2026年、正解が機能しなくなる
第3回 人はなぜ、分かっていても決められないのか
前回、
「うまくいっているはずだった状態」が、なぜ一番危険だったのか
という話を書きました。
今回はそこから一歩進めて、
「人はなぜ、分かっていても決められないのか」
というテーマを、もう少し構造的に掘り下げてみます。
これは意志の弱さでも、
性格の問題でもありません。
むしろ、今の時代だからこそ
多くの人が陥りやすい状態だと感じています。
情報も正解も、もう十分にある
今は、
分からないことがあれば検索すればいい。
AIに聞けば、要点をまとめてくれる。
補助金も、
事業計画も、
独立の進め方も、
情報だけで言えば、困ることはほとんどありません。
それでも、人は決められません。
なぜなら、
情報が足りないからではない
からです。
決められない本当の理由
現場で多くの人と話していて、
決められない理由は
だいたい次の構造に集約されていると感じます。
・選択肢が多すぎる
・どれも「それなりに正しそう」
・間違えたときの責任が自分に返ってくる
ここで人は、
無意識のうちに判断を先送りします。
「もう少し調べてから」
「他の事例も見てから」
「AIにも聞いてから」
でもこれは、
本当に情報が足りないのではなく、
判断を引き受ける準備ができていない
だけです。
正解が用意された環境の落とし穴
成功事例が共有され、
「こうやればうまくいく」というモデルが
分かりやすく示されている環境は、
一見するととても安心できます。
でも、その安心感の中では、
自分で考え、決める場面が
驚くほど少なくなります。
選択肢はあっても、
判断の余地がない。
気づかないうちに、
環境そのものが判断の代わり
になってしまうのです。
AIは判断を代わってくれない
AIはとても優秀です。
整理もしてくれるし、
選択肢も出してくれる。
ただし、
どれを選ぶかは決めてくれません。
それは当然です。
選んだ結果に対する責任、
その後の後悔や納得感まで、
AIは引き受けられないからです。
だからこそ、
AIが進化すればするほど、
人は逆に迷うようになります。
「決められない」は、能力不足ではない
決められないのは、
考えていないからでも、
能力が足りないからでもありません。
むしろ、
ちゃんと考えている人ほど、決められなくなる。
先のリスクや代償が
見えてしまうからです。
問題は、
「どう決めるか」を
誰も教えてくれなかったこと。
正解は教えてもらえても、
判断の引き受け方は
誰も教えてくれません。
判断とは、覚悟を引き受けること
判断とは、
最適解を探すことではありません。
・どれを選ぶか
・どれを捨てるか
・その結果を自分で受け取るか
この3つをセットで引き受けることです。
だからこそ、
人は簡単に決められない。
でも、
決めないままでいることも、
実は一つの判断です。
次回は、
「正解が用意された環境」から離れる
という判断について書きます。
成功モデルが共有され、
居心地のよかった場を離れると決めたとき、
僕は何を手放そうとしたのか。
環境を変えるという判断について、
具体的に振り返ります。
