「中小企業省力化投資補助金(一般型)」第5回公募の概要と採択結果・申請ポイント
制度概要:省力化投資補助金(一般型)とは何か
「中小企業省力化投資補助金(一般型)」は、中小企業の人手不足解消や生産性向上を支援するため、IoT・ロボットなどデジタル技術を活用したオーダーメイド設備投資の費用の一部を補助する国の制度です。目的は労働力不足に悩む企業が自社の現場に適した省力化設備を導入し、付加価値額と労働生産性を高め、それを賃上げにつなげることにあります。令和6年度補正予算で約3,000億円規模の大型予算が組まれており、1件あたり最大1億円の補助金が支給される非常に大きな支援策です。公募は年に複数回行われる**「公募回制」を採用しており、2025年までに第1~4回の公募が実施されました。一般型以外に、事務局が省力化効果の高い設備をあらかじめ登録した「カタログ型」もありますが、一般型はカタログ掲載に限らない自由度の高い設備導入が可能な反面、審査基準が多くやや厳格な点が特徴です。単なる既製品の購入ではなく自社課題に合わせたオーダーメイド性のある設備・システム投資**が対象となることに留意しましょう。
補助対象者は、中小企業基本法等で定める中小・小規模事業者のほか、一部の中堅企業やNPO法人、社会福祉法人など幅広く含まれます。補助対象経費には、機械装置や専用ソフトの購入・製作費、据付費、外注費、専門家費用などが含まれ、必ず税抜50万円以上の設備投資を1つ以上行う必要があります。また、GビズIDプライムアカウントによる電子申請のみとなっており、ID取得には時間を要するため早めの取得が推奨されています。
第5回公募のスケジュールと最新の変更点
第5回公募(一般型)は2025年12月19日に公募要領が公開され、2026年2月上旬に申請受付開始、2月下旬に申請締切というスケジュールが予定されています。申請から約3か月後の2026年5月下旬頃に採択結果発表が見込まれており、採択後は交付決定を経て18か月以内に設備導入を完了する必要があります。今回の公募期間は実質3週間程度と短期間であるため、年明け早々から申請準備を進めることが重要です。なお、第1~3回の採択企業および第4回公募に現在申請中の企業は第5回に申請不可ですのでご注意ください。
第5回公募では制度設計にいくつか変更点があります。最も大きいのは**「賃上げ要件」の強化です。第4回公募までは「給与総額の年平均+2%以上」または「1人当たり給与の年平均が地域最低賃金上昇率以上」という柔軟な条件でどちらかを満たせばよい設計でした。しかし第5回公募からは**、「1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加」させるという単一の条件に一本化されました。この年3.5%増という水準は、日本銀行が掲げる物価目標2%に実質賃上げ分1.5%を上乗せしたものであり、形式的な人員増ではなく社員一人ひとりの賃金上昇を確実に実現する計画が求められます。これに伴い、従業員数の調整などで要件を形式的に満たすことが難しくなり、補助事業の成果が賃金上昇に直結しているかがより厳しく問われる制度設計となっています。賃上げ要件を達成できなかった場合には補助金の減額・返還措置もあり得るため(※公募要領参照)、実現可能な計画目標を設定することが肝要です。
次に補助率・補助額の算定方法も簡素化されました。第4回までは補助金額1,500万円超の部分に補助率1/3の低減措置があり、規模の大きい投資ほど企業負担が増す仕組みでした。第5回ではこの区分が廃止され、各社の従業員規模ごとに定められた補助上限額までは一律の補助率を適用する方式に変更されています。一般的な補助率は中小企業で1/2(小規模事業者は2/3)ですが、所定の最低賃金引上げ等の特例要件(例:大幅な賃上げ達成)を満たす場合には補助上限額が引き上げられ、最大で補助率2/3・補助上限1億円まで受けられます。例えば従業員5人以下の企業では通常上限750万円(補助率2/3)が、特例適用で上限1,000万円に増額される、といった仕組みです。第5回からは補助率の逓減がなくなったことで、大規模投資でも当初から全額に一定の補助率が適用されるため、企業にとって計画を立てやすくなったと言えます。なお、自社の従業員規模や賃上げ計画に応じた補助上限額・補助率を正確に把握するため、公募要領の関連箇所を必ず確認してください。
第1~3回公募の採択結果と採択傾向の分析
2024~2025年に実施された第1~3回公募の結果は以下の通りです:
- 第1回公募(募集期間:2025年1~3月) – 応募1,809件、採択1,240件(採択率約68.5%)
- 第2回公募(募集期間:2025年4~5月) – 応募1,160件、採択707件(採択率約60.9%)
- 第3回公募(募集期間:2025年6~8月) – 応募2,775件、採択1,854件(採択率約66.8%)
第1回は約7割、第2回は約6割、第3回も約67%と、採択率は一貫して60%台後半を維持しています。これは他の主要な補助金制度、例えば直近の「ものづくり補助金」(採択率約33%)や「新事業進出補助金」(同37%)と比較しても際立って高い成功率です。言い換えれば、省力化投資補助金(一般型)は現行の補助金の中でも非常に利用しやすい制度であることが分かります。この高い採択率は、中小企業庁が人手不足対策を強力に後押しする姿勢の表れと言えるでしょう。ただし、予算枠には限りがあるため今後応募が集中すれば審査厳格化や採択率の低下も予想されます。実際、第3回では応募件数が前回比で2倍以上に急増しており、制度への注目度が一気に高まったことが数字に表れました。この傾向を踏まえると、第5回以降はさらに申請競争の激化が見込まれるため、より綿密な対策が必要です。
過去3回の採択結果から、いくつかの特徴的な傾向が読み取れます:
- 製造業の採択が最多:第1回採択企業の約61.7%、第3回でも**51.3%**を製造業が占め、製造業が中心的な利用者となっています。
- 建設業の増加:製造業に次ぐ建設業は、第1回11.3%から第3回15.5%へと採択割合が伸長し存在感を増しています。
- 他業種への拡大:卸売業・小売業・サービス業など非製造系の業種にも採択が広がり、幅広い業態で活用され始めています。例えば第3回では卸売5.3%、小売3.9%、専門サービス4.2%など、多様な業種から採択者が出ています。
- 申請額の傾向:1件あたりの補助申請額は1,500万~1,750万円帯が各回で最も多く、第3回では申請全体の約20.7%を占めました。補助上限が大きい制度ですが、中小企業の現実的な投資規模としてこのレンジが人気と言えます。
- 高度な自動化投資の台頭:第3回ではAMR(自律走行ロボット)やAIによる積算、自動包装機など、複数工程を統合自動化する本格的な投資案件が増加しました。単一工程の省力化に留まらず、業務プロセス全体を再構築するような大胆な取組みが主流化しつつあります。
以上から、第1~3回の採択傾向として**「製造業中心だが他業種にも門戸開放」「採択率は高水準ながら今後競争激化の可能性」「投資テーマはより高度・大規模に」といったポイントが浮かび上がります。第5回公募に臨む事業者は、これらの傾向を踏まえて自社の計画をブラッシュアップ**すると良いでしょう。
申請成功のためのポイント:採択される事業計画とは
省力化投資補助金(一般型)で採択されるためのカギは、ずばり「自社の課題に即した明確な省力化効果」と「生産性向上による付加価値創出」の両立です。審査では、導入する設備によってどのような省力化(人手削減や作業時間短縮)が見込めるか、その結果付加価値(売上や利益、生産量等)がどれほど向上するか、さらに投資内容が事業規模・現場の実情に見合ったものか、そして導入する技術の革新性などが総合的にチェックされます。カタログ型に比べて審査項目が多岐にわたるため、申請段階では以下のポイントを意識しましょう。
- 1. 省力化効果の具体的な数値提示:現在の業務プロセスにおけるボトルネックや手作業負担を定量化し、設備導入後に何人分の作業削減や何時間の短縮が実現するかを数値で示します。例えば「〇〇工程に3人×月160時間かかっている作業を、自動化で1人見守り程度に削減し○時間短縮」など具体的に記載します。省力化によって生まれた人員や時間の余力をどの高付加価値業務に再配置するかまで触れると、付加価値向上につながる投資であることが明確になります。実際に第1回採択企業の例では、熟練者しか対応できなかった溶接工程に3Dスキャナー搭載の溶接ロボットシステムを導入し、手作業だった工程の自動化・標準化を実現しました。その結果、生産性と品質を同時に向上させるとともに、人手不足が解消され、余剰になった人員を品質管理や顧客対応に再配置することで受注率や顧客満足度の改善にもつなげています。このように省力化と付加価値向上を両立させた事例は好評を博しており、自社計画でも省力化効果→生産性アップ→売上・利益増→賃上げ実現というストーリーを描くことが重要です。
- 2. 要件の確実な充足(生産性+4%、賃上げ+3.5%):応募要件として掲げられている**「労働生産性 年平均+4.0%以上向上」および「1人当たり給与 年平均+3.5%以上増加」といった数値目標は必ず事業計画期間内に達成する前提で計画を立てます。計画書には、導入設備による効率化で売上や粗利益がどの程度増え、それによって人件費(給与総額)や一人当たり給与をどのくらい増加させるか**を試算し、年平均成長率で要件値を上回ることを示しましょう。要件達成が見込めない計画は採択が難しくなりますし、要件未達の場合は補助金減額もあり得ますので、実現可能な範囲でしっかり目標設定することが大切です。
- 3. オーダーメイド性・革新性のアピール:一般型では既製品をただ購入するだけの単純な案件は敬遠される傾向があります。自社の業務フローに合わせて複数の機械やシステムを組み合わせたり改良したりする工夫があるか、業界ではまだ新しい先端技術やDX要素を取り入れているか、といった独自性が評価のポイントになります。例えば「汎用の検査装置にAI画像認識ソフトとロボットアームを組み合わせて自社向けにカスタマイズする」「建設現場の測量をドローン+専用システムで無人化する」など、自社課題を解決する創意工夫を盛り込んでください。ありきたりな機械導入ではなく付加価値を生むための投資であることを強調しましょう。
- 4. 認定支援機関との連携と早めの準備:本補助金では経営革新等認定支援機関(金融機関や士業、コンサル等)による事業計画書の事前確認が求められる場合があります※。採択率の高さとは裏腹に書類準備は専門的かつ煩雑なので、早めに支援機関や専門コンサルタントに相談し、ブラッシュアップと要件チェックを行うことをお勧めします。第5回は受付期間が短いため、年明け前から事業計画書・見積書等の準備に着手し、締切直前は電子申請システムが混雑する可能性もあるため余裕を持って提出するようにしましょう。また、申請に必要なGビズIDプライムの取得が未了の場合は早急に手続きを行ってください。
(※第5回公募要領では支援機関の関与方法について確認してください。支援機関名は採択時に公表される情報の一つです。)
以上のポイントを押さえて準備すれば、省力化補助金の高い採択率も追い風となり、中小企業にとって有望な設備投資チャンスをつかめるでしょう。
まとめ・今後の展望
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足という構造的課題に直面する中小企業にとって、業務効率化と賃上げ実現を同時に後押ししてくれる心強い支援策です。過去の公募では採択率60~70%台と高水準で推移し、多くの企業がこの制度を活用して省力化投資に踏み出しました。2026年実施の第5回公募では賃上げ要件の強化など制度の進化が図られ、補助を受ける企業に対してより明確な成果創出が求められています。申請を検討される企業の経営者の方は、最新の公募要領を熟読のうえ、自社の強みと課題にフィットした投資計画を練り上げてください。
幸い、本補助金は他の補助金に比べ応募者に開かれた制度であり、思い切った投資を支える十分な予算枠があります。特に人材確保が難しい昨今、IoTやロボット導入による省力化・DXは企業の成長戦略において欠かせません。本制度を上手に活用することで、競合他社に先駆けた生産性向上と働き方改革を実現し、ひいては従業員への賃金還元や企業の持続的成長につなげていきましょう。
第5回公募の申請受付締切は2026年2月下旬(予定)と目前です。まだ時間はありますが、準備期間は決して長くありません。早め早めの情報収集と社内体制整備で、ぜひ採択を勝ち取り、省力化投資のチャンスをものにしてください。分からない点は地域の中小企業支援機関や専門家へ相談しつつ、万全の計画書で応募されることを期待しています。企業の省力化投資による飛躍と、そこで働く方々の待遇向上が同時に実現するよう、本補助金をフル活用していただければ幸いです。
【参考資料】中小企業省力化投資補助金 公式サイト、公募要領、採択結果(中小企業庁)等など.中小企業省力化投資補助事業(一般型)第5回公募の変更点とその対策!
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中小企業省力化投資補助金(一般型)は、
「人手不足への対応」「省人化・自動化」「生産性向上」「賃上げ対応」など、
中小企業経営に直結するテーマを支援する非常に重要度の高い補助金制度です。
一方で、
- 要件が複雑で、自社が対象になるのか判断できない
- 採択される事業計画の書き方が分からない
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といった声が、経営者の方から数多く寄せられています。
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