【経営管理ビザ改正の完全解説】資本金3000万円時代の要件・実務・対策まとめ

2025年10月の制度改正により、経営管理ビザはこれまでとは大きく性質が変わりました。従来のように形式的な要件を満たすだけでは許可が難しくなり、資本金3000万円、雇用、日本語能力、事業計画の実現性など、より実務に即した審査が行われるようになっています。

本記事では、最新の改正内容を整理しながら、どのような点が変わったのか、そして実務上どのように対応すべきかをわかりやすく解説していきます。

Contents
  1. 経営管理ビザが大きく変わった――2025年改正で何が起きたのか
  2. もっとも大きな改正点は「資本金3000万円以上」
  3. 常勤職員1名以上の雇用が必須になった意味
  4. 日本語能力要件の導入は「組織として日本で回るか」を見るもの
  5. 経歴要件の追加で「誰が経営するのか」がより重く見られるようになった
  6. 事業計画書は「添付書類」ではなく申請の中心になった
  7. 支援は誰ができるのか――役割分担を理解することが大切
  8. 事業所、自宅兼用、活動実態――改正後は「本当に経営しているか」が問われる
  9. 更新審査では納税・社会保険・長期出国まで見られる
  10. 永住や高度専門職にも影響するため、先の設計が重要になる
  11. 経過措置があるから安心、ではない
  12. Q&A10問
  13. まとめ
  14. 各種補助経営管理ビザ取得に向けた事業計画・資金調達支援|壱市コンサルティング

経営管理ビザが大きく変わった――2025年改正で何が起きたのか

2025年10月の改正によって、在留資格「経営・管理」、いわゆる経営管理ビザは、これまでと比べてはっきりと別の制度になったといってよい状態になりました。従来も一定の要件はありましたが、今回の改正では、単に会社を作った、資本金を入れた、というだけでは足りず、日本国内で一定規模の事業を、継続的かつ実体をもって経営できるかどうかが、より正面から問われるようになっています。改正内容を見ていくと、資本金、雇用、日本語能力、経歴、事業計画、事業所、更新時の公租公課の履行まで、一つひとつの要件が独立しているのではなく、すべてが「本当に経営者として日本で活動する人か」を見極める方向に向いています。今回の改正は、制度を少し厳しくしたというより、制度の考え方そのものを、より実体重視・継続重視へ切り替えたものだと理解したほうが正確です。

もっとも大きな改正点は「資本金3000万円以上」

今回の改正で最も注目を集めているのは、やはり資本金等3,000万円以上という新基準です。これまで経営管理ビザの説明では、500万円という数字がよく語られてきましたが、改正後はその前提が大きく変わりました。法人の場合には、株式会社であれば払込済資本の額、合名会社・合資会社・合同会社であれば出資の総額が3,000万円以上必要とされます。個人事業の場合には、事業所の確保、雇用する職員の給与1年分、設備投資経費など、事業のために現実に投下されている総額が3,000万円以上必要になります。つまり、単に見せかけの数字を置けばよいという話ではなく、事業を営むために必要な財産が実際に投入されていることが問われています。しかも法人については、従業員の給与や事務所維持費などをあとから資本金に合算して3,000万円とみなすことはできず、あくまで資本金の額または出資総額で判断されると整理されています。ここから見えてくるのは、制度が小規模で流動的な起業モデルよりも、初期段階から相応の資本を持ち、事業体としての安定性を備えたモデルを強く想定しているということです。

常勤職員1名以上の雇用が必須になった意味

資本金3,000万円要件と並んで重要なのが、常勤職員を1名以上雇用することが必要になった点です。これは単なる人数要件の追加ではありません。改正後の経営管理ビザは、外国人が一人で形式的に会社を持つ制度ではなく、少なくとも一人以上の常勤職員を抱える組織的な事業体であることを前提にしています。しかも、この常勤職員には範囲があり、日本人、特別永住者、または「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留資格を持つ者が中心になります。法別表第一の在留資格を持つ外国人は、雇用義務を満たす常勤職員としては原則対象外です。さらに、常勤職員とは、単に毎日来ている人という意味ではなく、週30時間以上、労働日数や年間勤務日数、雇用保険加入、有給休暇付与なども含めて、実態として常勤性が認められる必要があります。つまり、今回の改正は、労務管理まで含めて日本で実際に事業を営むことを強く求めているのです。

日本語能力要件の導入は「組織として日本で回るか」を見るもの

今回、新たに明確化された要件の一つが日本語能力です。改正後は、申請者または常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力、すなわち「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の能力を有することが必要になります。具体的には、JLPT N2以上、BJT400点以上、中長期在留20年以上、日本の大学等の高等教育機関卒業、日本で義務教育を修了し高等学校を卒業していることなどが確認方法として示されています。この要件は、単に語学試験の点数を出せばよいという話ではありません。改正後の制度が見ているのは、その事業が日本国内で顧客、行政、金融機関、取引先、従業員と継続的に関わる以上、日本語で相応に動ける体制が組織内に存在するかという点です。したがって、申請人本人に高い日本語能力があればもちろん有利ですが、そうでない場合でも、常勤職員の配置や役割分担を通じて日本語運用体制を構築しているかどうかが重要になります。言い換えれば、日本語能力要件は個人の語学力チェックというより、日本で事業を動かすための運営基盤の確認として導入されたものだと考えるべきです。

経歴要件の追加で「誰が経営するのか」がより重く見られるようになった

改正後は、申請者について、経営管理または申請事業に必要な技術・知識分野に関する博士、修士、専門職学位を持っていること、または事業の経営もしくは管理について3年以上の経験を有していることが必要となりました。この要件の意味は非常に大きいです。以前よりも、単に会社の代表になるだけでは足りず、申請人本人に経営を担うだけの知識または経験があるのかが正面から問われるようになったからです。しかも、3年以上の経験には、在留資格「特定活動」に基づく起業準備活動の期間を含めることができるとされており、これは、正規のルートで日本で起業準備を積み重ねてきた人については、その過程も評価するという考え方を示しています。一方でいえば、何の準備もないまま、経歴の裏付けも乏しい状態で経営管理ビザに進もうとすることは、改正後はより困難になるということでもあります。制度は、資金と組織だけでなく、その中心に立つ人の資質や準備状況まで含めて審査する方向へ進んでいます。

事業計画書は「添付書類」ではなく申請の中心になった

今回の改正で、実務上とくに重要性が高まったのが事業計画書です。改正後は、在留資格決定時に提出する事業計画書について、その計画に具体性、合理性、実現可能性が認められるかを評価するものとして、経営に関する専門的知識を有する者の確認が義務付けられました。施行時点では、中小企業診断士、公認会計士、税理士がその確認者に該当すると整理されています。他方で、弁護士や行政書士以外の者が、官公署に提出する申請書類の作成を報酬を得て業として行うことについては行政書士法違反のおそれがあることも注意喚起されています。つまり、ここで求められているのは、誰かが雛形に当てはめて作ったそれらしい計画書ではありません。外部の専門家が見ても、数字の置き方、事業の流れ、市場の見方、人員計画、資金計画に無理がなく、実際に成立しうると評価できる計画が必要なのです。改正後の経営管理ビザにおいては、事業計画書は単なる説明資料ではなく、申請の説得力そのものを担う中核文書だと考えるべきです。

支援は誰ができるのか――役割分担を理解することが大切

この改正に関連してよく聞かれるのが、「経営管理ビザの支援は誰ができるのか」という点です。公式Q&Aでは、事業計画書を評価する専門家として、中小企業診断士、公認会計士、税理士が想定されています。ただし、これはあくまで事業計画の企業評価を行う専門家としての位置付けです。一方で、官公署に提出する申請書類そのものを、報酬を得て業として作成することについては、弁護士または行政書士以外が行うと法的な問題が生じる可能性があります。したがって、実務上は、申請書類の作成や入管への提出対応を担う専門家と、事業計画の評価や財務・税務面を支える専門家が、役割分担しながら支援する形が自然です。利用者側からすると、「一人の専門家に全部任せられるか」という発想よりも、誰がどの範囲まで適法かつ適切に対応できるのかを理解したうえで、必要に応じて複数の専門家の力を借りることが重要になります。

事業所、自宅兼用、活動実態――改正後は「本当に経営しているか」が問われる

申請に関する取扱いの部分も、今回の改正では極めて重要です。まず、業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合には、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行っているとは認められないとされています。たとえば、業務の大半を外部に委託し、申請人本人が日常的に経営活動をしていない場合や、事業内容や財務状況など経営者として把握しているべき事項を把握していない場合は、消極的に評価されます。また、事業所については、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。改正後の規模に応じた経営活動を行うために必要な事業所を確保する必要があるからです。さらに、事業所の広さについて一律の基準はないものの、その事業規模に照らして必要かつ十分な広さが求められます。ここからわかるのは、改正後の制度が、書面上の整合性だけではなく、実際に日本国内でその規模の事業を回している姿が見えるかを見ているということです。

更新審査では納税・社会保険・長期出国まで見られる

経営管理ビザは、初回許可を取れば終わりではありません。むしろ改正後は、更新時の審査が非常に重要になります。公式資料では、在留期間更新時に、公租公課の履行状況として、労働保険、社会保険、源泉所得税、法人税、消費税、地方税などの納付状況を確認するとされています。しかもQ&Aでは、必要書類について「どれか一つを出せばよい」のではなく、納付義務のあるものはすべて提出が必要だと明言されています。また、在留期間中に正当な理由なく長期間出国していた場合には、本邦における活動実態がないものとして更新が認められない可能性があります。一般論として、決定された在留期間のうち累計で過半を超える出国期間がある場合には、正当な理由がない限り消極的に評価されるとされています。つまり、改正後の経営管理ビザは、「会社を作ったか」だけでなく、その後きちんと日本で経営し、雇用し、納税し、保険に加入し、国内で活動しているかまで一貫して見られる制度なのです。

永住や高度専門職にも影響するため、先の設計が重要になる

今回の改正は、単に経営管理ビザの新規許可や更新に影響するだけではありません。施行日後、改正後の許可基準に適合していない場合には、「経営・管理」「高度専門職1号ハ」「高度専門職2号」(経営・管理活動を前提とするもの)からの永住許可や、高度専門職1号ハから高度専門職2号への変更は認められないと整理されています。これは非常に重いポイントです。つまり、目先の更新だけ何とか通せばよいという話ではなく、将来的に永住やより安定した在留資格を目指すのであれば、早い段階から新基準への適合を見据えて事業を設計していく必要があるということです。今回の改正によって、経営管理ビザは短期的な在留維持のための制度ではなく、中長期的な事業基盤の構築と一体化した制度になったといえます。

経過措置があるから安心、ではない

もっとも、改正には経過措置があります。施行日前日までに受け付けられ、審査継続中の申請には改正前の基準が適用されますし、すでに「経営・管理」で在留している人が、施行日から3年を経過する日、つまり令和10年10月16日までの間に更新申請を行う場合には、改正後基準に適合していなくても、経営状況や今後の適合見込み等を踏まえて判断されます。ただし、これは免除ではありません。公式資料でも、施行日から3年を経過した後の更新申請については、改正後の基準に適合する必要があると明示されています。つまり、この3年間は猶予期間というより、新基準へ移行するための準備期間です。資本増強、雇用整備、日本語体制の確保、経営改善、必要に応じた専門家評価文書の準備などを、この間に進めていく必要があります。

Q&A10問

Q1 経営管理ビザの改正で最も大きい変更点は何ですか?

最も大きいのは、資本金等3,000万円以上常勤職員1名以上の雇用が明確に求められるようになった点です。これにより、制度全体が小規模・形式的な起業ではなく、一定規模以上の実体ある事業を前提とするものへ変わりました。

Q2 法人の場合、給与や家賃を足して3,000万円にしてもよいですか?

できません。法人の場合は、資本金の額または出資の総額で判断されます。給与や事務所維持費などを後から合算して3,000万円とみなすことはできません。

Q3 個人事業主の場合、3,000万円はどう証明しますか?

個人事業主の場合は、事業所の確保、職員給与1年分、設備投資経費など、事業のために投下されている総額で見られます。決算書のほか、必要に応じて領収書などの提出も求められます。

Q4 常勤職員は外国人でもよいですか?

雇用義務を満たす常勤職員としては、日本人、特別永住者、または法別表第二の在留資格を持つ外国人が中心です。法別表第一の在留資格の外国人は、原則としてその要件充足には使えません。

Q5 日本語能力は申請者本人に必ず必要ですか?

必ずしも申請者本人だけに求められているわけではなく、申請者または常勤職員のいずれかがB2相当以上の日本語能力を持っていればよいとされています。ただし、組織全体として日本語運用体制が説明できることが重要です。

Q6 自宅を事務所にして申請できますか?

改正後は、自宅と事業所の兼用は原則認められません。改正後の規模に応じた経営活動を行うために必要な、独立した事業所の確保が求められます。

Q7 事業計画書の確認は誰に依頼できますか?

施行時点では、中小企業診断士、公認会計士、税理士が、事業計画書を評価する専門家に該当するとされています。ただし、申請書類全体の作成は別の法的整理が必要です。

Q8 会社の役員や社内の会計担当者が事業計画書を評価してもよいですか?

会社の役員や従業員は、客観性確保の観点から評価者として認められません。外部顧問の公認会計士や税理士であれば差し支えないとされています。

Q9 更新時に赤字だと不許可になりますか?

公式資料は赤字だけで直ちに不許可とまではしていませんが、更新時には経営状況、公租公課の履行、活動実態などが総合的に見られます。したがって、赤字であっても改善可能性や実態をどう説明できるかが重要になります。

Q10 すでに経営管理ビザを持っている人も新基準に従う必要がありますか?

はい。経過措置はありますが、施行日から3年経過後は改正後基準に適合する必要があります。したがって、既存の在留者も今のうちから新基準への移行準備が必要です。

まとめ

2025年10月の改正によって、経営管理ビザは、従来の比較的入り口の広い制度から、日本で一定規模以上の事業を実体をもって継続的に営むことができる人を対象とする制度へ大きく変わりました。資本金等3,000万円以上、常勤職員1名以上、日本語能力、経歴、専門家確認付きの事業計画書、原則として独立した事業所、更新時の保険・税の履行確認といった要件は、別々の条件ではなく、すべてが「本当に経営者として日本で活動するのか」を確認するためのものです。これから申請する人はもちろん、すでに経営管理ビザで在留している人にとっても、今回の改正は無関係ではありません。むしろ今後は、単に許可を取ることではなく、新基準に耐えうる事業体をどう作るかが最大の課題になります。制度を正しく理解し、必要に応じて適切な専門家の支援を受けながら、資本、人材、計画、コンプライアンスを一体で整えていくことが、改正後の経営管理ビザでは決定的に重要になります。

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