【2026年3月新設】モニタリング強化型特別保証制度とは?仕組み・要件・保証料・活用法を徹底解説

令和8年(2026年)3月16日、中小企業向けの新たな信用保証制度「モニタリング強化型特別保証制度」の取り扱いが全国の信用保証協会で開始されました。

コロナ禍の大規模融資支援から平時の経営支援へと移行が進む中、本制度は単なる資金調達の手段ではなく、中小企業が認定経営革新等支援機関と連携しながら月次で経営状況を把握・報告し、問題の予兆を早期に察知することで経営改善につなげることを本質的な目的として設計されています。

保証限度額は最大2億8,000万円。令和9年3月末までの申込分は国が保証料の2分の1を補助するなど、資金面での優遇も手厚い制度です。

本記事では、制度誕生の背景から申込要件・保証条件・モニタリングの具体的な運用方法・活用戦略まで、経営者・担当者が知るべき情報をすべて網羅しています。制度の活用を検討している方はもちろん、顧問先への案内を考えている士業・金融機関の方にも参考にしていただける内容です。

Contents
  1. 1.制度誕生の背景と政策的意義
  2. 2.制度の基本的な仕組みと目的
  3. 3.申込資格要件と対象者
  4. 4.保証条件の詳細(限度額・保証料率・期間)
  5. 5.モニタリングの具体的な内容と運用
  6. 6.申込手続きのフローと必要書類
  7. 7.認定経営革新等支援機関の役割
  8. 8.伴走支援型特別保証制度との比較・連続性
  9. 9.制度活用の実践的戦略とポイント
  10. 10.制度の課題と注意事項
  11. 11.経営改善サポート保証制度との関係
  12. 12.制度の総括とまとめ
  13. Q&A 10項目
  14. モニタリング強化型特別保証制度の活用支援なら
    壱市コンサルティング

1.制度誕生の背景と政策的意義

「モニタリング強化型特別保証制度」は、令和8年(2026年)3月16日から信用保証協会において取り扱いが開始された、中小企業向けの新たな信用保証制度である。この制度が誕生した背景を理解するためには、コロナ禍における大規模な資金支援策の経緯と、その後の経営環境の変化を俯瞰する必要がある。

2020年から2021年にかけて猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、中小企業・小規模事業者の経営に壊滅的なダメージを与えた。これに対し日本政府は、いわゆる「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を軸とした緊急的な金融支援を実施した。政府系金融機関では2022年9月まで、民間金融機関では2021年3月まで新規貸付が行われ、最終的な融資総額は国全体で約234万件・42兆円(2022年6月末時点)という空前の規模に達した。この緊急支援策が多くの中小企業を倒産から救ったことは疑いなく、2021年の企業倒産件数は6,015件と前年比23%減少するなど、下支え効果は顕著であった。

しかしながら、問題はその後に生じた。ゼロゼロ融資の据置期間(最長5年)が順次終了し、元金返済が本格的に始まる時期が到来した。特に2023年7月から2024年4月にかけては約52,000件ずつ返済開始が集中すると見込まれ、多くの事業者が資金繰りの悪化に直面した。さらにコロナ禍の長期化に加え、物価高・エネルギーコストの上昇・人手不足・賃上げ圧力という新たな経営課題が重なり、経営の立て直しが容易でない事業者が多数存在した。

こうした状況への対処として、まず令和5年(2023年)1月に「コロナ借換保証(民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度)」が開始された。これはゼロゼロ融資からの借換えを主な目的とし、保証限度額1億円・保証料の大幅引き下げ・伴走支援付きという特徴を持つ制度であった。令和4年度(2022年度)から運用されていた「伴走支援型特別保証制度」を拡充する形で機能し、コロナ債務を抱える多くの中小企業に活用された。しかし、この制度は令和6年(2024年)6月30日をもって新規申込受付を終了した。これはコロナ禍の特例的な金融支援から平時の支援体制へ移行が進んでいるためである。

一方で、支援の枠組みが整備されても、事業者が自社の経営状況を適時・適切に把握し、金融機関や支援機関と情報を共有する仕組みが不十分であるという問題が残り続けた。令和7年(2025年)3月に公表された「円滑な事業再生等に向けたモニタリングの高度化に関する研究会報告書」では、事業者の定期的な情報提供(モニタリング)の促進に一層の実効性を確保するため、事業者との定期的な接点を持つ支援者(税理士・公認会計士等)の関与を含めつつ、事業者のインセンティブとなる信用保証の仕組みを早期に検討し、結論を得ることが提言された。

さらに令和7年(2025年)11月21日の閣議決定「『強い経済』を実現する総合経済対策」においても、「地域金融機関・信用保証協会・士業等で連携した予兆管理を強化するための信用保証制度を新設する」との方針が明記された。この一連の政策的要請を受けて、中小企業庁金融課が制度設計を進め、令和8年(2026年)3月2日に制度の取扱開始の公表がなされ、同年3月16日から全国の信用保証協会において受付が開始されたのである。

  • 制度創設の政策的背景:三つの課題への対応

第一に、コロナ融資・物価高・人手不足等により依然として厳しい経営環境に置かれている中小企業の事業立て直しと投資を後押しする必要性。
第二に、経営状況の変化の予兆を早期に把握し、必要な支援を機動的に行える体制を構築するという政策課題。
第三に、事業者が自発的にモニタリングに取り組むインセンティブ(保証という形での優遇)を設けることで、経営管理の高度化を促進するという構造的な問題意識。

2.制度の基本的な仕組みと目的

モニタリング強化型特別保証制度は、その名称が示す通り、「モニタリングの強化」を核心に据えた信用保証制度である。一般的な信用保証制度は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となることで融資の実現を可能にする仕組みであるが、本制度はそこに「定期的なモニタリングの実施・報告」という義務を組み込んだ点に最大の特徴がある。

中小企業庁は本制度を、「経営状況の変化の予兆を早期に把握し、必要な支援を行える体制をつくるための保証制度」と位置付けている。言い換えれば、単に資金を融通するための保証制度ではなく、経営の見える化・定期的な対話・予兆の早期検知・四者連携(事業者・認定支援機関・金融機関・保証協会)による支援という一連の経営支援の仕組みを、信用保証という金融的インセンティブによって実現しようとするものである。

より具体的に制度の構造を解説すると、以下のようになる。まず中小企業者が認定経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」)と連携し、毎月、財務状況・資金繰り状況等を把握することを誓約する。この誓約書を金融機関経由で提出することで、最大2億8,000万円の信用保証(組合等の場合は4億8,000万円)を受けることができる。そして融資実行後は、5事業年度にわたって毎月の月次管理・年次のモニタリング報告書の提出・必要に応じた経営状況変化の報告が義務付けられる。

この仕組みの本質は「お金を貸す制度」ではなく「会社の状態を見守りながら支える制度」であるという点を、利用を検討する経営者は深く理解しておく必要がある。融資実行後のモニタリング活動は単なる事務作業ではなく、自社の財務状況を客観的に把握し、経営課題を早期に発見・対処するための仕組みとして機能することが期待されている。支援者(認定支援機関・金融機関・保証協会)も、この定期的なモニタリングを通じて事業者の状況を継続的に把握し、問題が深刻化する前に経営支援・金融支援を行うことが可能になる。

制度の本質的な目的:三つの視点

事業者の視点:月次管理を通じた経営の「見える化」が進み、財務体質の強化と資金繰りの安定化が図られる。問題の予兆を早期に察知できるため、対処の選択肢が広がる。

金融機関・保証協会の視点:定期的なモニタリングにより事業者の経営状況をリアルタイムで把握でき、必要な支援(借入条件の変更・追加融資・経営支援の紹介等)を機動的に行うことができる。

政策的視点:中小企業の経営管理水準の底上げを図り、事業者の経営改善・再建を促進することで、地域経済の安定と金融システムの健全性維持に貢献する。

本制度の取扱期間は令和8年(2026年)3月16日から令和11年(2029年)3月31日(保証申込受付)までの3年間の時限措置とされている。この期間設定には、現下の厳しい経営環境にある中小企業を集中的に支援するという政策的意図が込められている。

3.申込資格要件と対象者

モニタリング強化型特別保証制度を利用できる対象者の基本要件は、中小企業庁の制度資料において以下のように規定されている。すなわち、「認定経営革新等支援機関との連携により、月次で財務状況や資金繰り状況等を把握し、経営状況等の報告を行うことを誓約する書面を提出している中小企業者」である。

ここで重要なのは、本制度が売上減少や業績悪化などの「財務的条件」を申込要件として定めていない点である。つまり、業績が良好な事業者であっても、今後の経営強化や先行きの安定化を目的として、認定支援機関と連携した月次モニタリング体制を整えることを誓約すれば申込みが可能である。ただし、当然ながら金融機関および信用保証協会による審査があり、信用力・返済能力等の観点から希望に添えない場合もある。

申込資格要件の詳細

申込資格要件の中に、一つ注意すべき条件が存在する。それは「認定支援機関が申込金融機関と同一である場合の特別要件」である。

通常、認定支援機関は税理士・公認会計士・中小企業診断士など、申込金融機関とは別の第三者機関であることが多い。しかし、銀行などの金融機関自体も認定支援機関となっている場合があり、融資を申し込む金融機関と認定支援機関が同一となるケースも想定される。この場合、制度資料では「申込人の金融機関からの総借入金残高のうち、申込金融機関におけるプロパー融資残高の割合が5割以上であるものに限る」という条件が付加される。

これは、金融機関自身が認定支援機関として関与する場合、その金融機関がすでに事業者に対して相応のプロパー融資(信用保証なしの直接融資)を行っていることを確認するための条件である。金融機関自身が事業者の経営状況を十分に把握した上で直接支えている(プロパー融資比率5割以上)と判断できる場合のみ、同一機関として認定支援機関の役割を担うことを認めるという趣旨である。

要件区分内容
基本要件認定経営革新等支援機関との連携により、月次で財務状況・資金繰り状況等を把握し、経営状況等の報告を誓約する書面(申込人資格要件申告書兼誓約書)を提出していること
特別要件(認定支援機関=申込金融機関の場合)申込人の金融機関からの総借入金残高のうち、申込金融機関におけるプロパー融資残高の割合が5割以上であること
対象事業者中小企業者(個人事業主を含む)。組合等の場合は保証限度額が異なる
制度的要件金融機関・信用保証協会の審査を通過すること

なお、本制度は責任共有制度の対象となっている。これは、金融機関と保証協会が融資リスクを共有する仕組みであり(原則80%保証)、金融機関もリスクの一部を負担することで、融資審査の厳格化と継続的な支援へのインセンティブが生まれる設計となっている。

4.保証条件の詳細(限度額・保証料率・期間)

本制度の保証条件は、中小企業が直面する資金ニーズに広く対応できるよう設計されている。以下に各条件の詳細を解説する。

保証限度額

本制度の保証限度額は2億8,000万円(組合等の場合は4億8,000万円)である。これは一般の普通保険(2億円、組合等4億円)および無担保保険(8,000万円)の範囲内での保証となる。1企業の保証限度額として、複数の保証協会利用分を合算した限度額となる点に注意が必要である。

この限度額はゼロゼロ融資の上限(多くの場合6,000万円)を大きく超えるものであり、複数の保証付き融資を一本化(借換え)する際や、事業立て直しのための新規資金調達において、十分な規模の支援が可能な水準となっている。

保証期間と据置期間

返済方法保証期間据置期間
一括返済1年以内
分割返済(運転資金)10年以内1年以内
分割返済(設備資金・運転設備資金)10年以内3年以内

据置期間とは、元金の返済を猶予し、利息のみを支払う期間のことである。特に設備資金・運転設備資金における据置期間が最長3年と設定されている点は、大型投資を伴う事業立て直しを行う企業にとって重要な意味を持つ。この期間中に事業の収益化・安定化を図ることができる。

保証料率と国の補助

保証料率は、企業の信用区分に応じて年率0.45%〜1.90%の範囲で設定される。この保証料は、信用保証協会を利用するコストとして事業者が支払うものである。

重要なのは、令和8年(2026年)3月16日から令和9年(2027年)3月31日までに保証申込を行った場合、国が保証料の2分の1相当額を補助するという時限的な優遇措置が設けられていることである。この補助により、事業者の実質負担は約0.23%〜0.95%程度に圧縮される。

例えば、信用区分に応じて年率1.15%が適用される事業者の場合、国の補助後の実質負担は約0.58%となる。この水準は、通常の保証付き融資の保証料率(一般的に0.45〜2.0%程度)と比較しても、かなり低い水準といえる。

補助に関する重要な注意事項

① 国の保証料補助は令和9年(2027年)3月31日までの申込分に限り確定している。令和9年4月以降の保証申込については、補助の有無を含めて現時点で未定である。

② 担保割引や会計参与設置会社割引は本制度では適用されない。

③ 条件変更保証料(条件変更時に発生する保証料)は補助対象外となる。

④ 事業者選択型経営者保証非提供制度の対象となるが、その上乗せ分の保証料については補助対象外となる。

担保・保証人

担保については「必要に応じて徴求」とされており、必ずしも担保の提供が必須ではない。また、保証人についても「必要に応じて徴求」とされているが、法人代表者以外の連帯保証人は原則として求めないこととされている。これは中小企業経営者の個人保証への過度な依存を減らすという政策的方向性と整合した設計になっている。

融資利率

融資利率については「金融機関所定利率」が適用される。つまり、利率は各金融機関の判断に委ねられており、制度として一律に定められてはいない。具体的な利率については、申込先の金融機関に確認する必要がある。

項目内容
保証限度額2億8,000万円(組合等:4億8,000万円)
対象資金事業資金
返済方法一括返済または分割返済
保証期間一括:1年以内、分割:10年以内
据置期間運転資金:1年以内、設備・運転設備資金:3年以内
担保必要に応じて徴求
連帯保証人必要に応じて徴求(法人代表者以外は原則不要)
融資利率金融機関所定利率
保証料率年0.45%〜1.90%(信用区分による)
国の補助保証料の1/2相当(〜令和9年3月31日申込分)
責任共有制度対象(原則80%保証)
申込方法金融機関経由
取扱期間令和8年3月16日〜令和11年3月31日

5.モニタリングの具体的な内容と運用

本制度における最も重要な特徴であり、かつ利用者にとって最も深く理解しなければならない要素が「モニタリング」の仕組みである。モニタリングとは、定期的に経営状況を確認・記録し、関係者と情報を共有する一連の活動を指す。本制度では、このモニタリングが「月次管理」「年次報告」「経営状況変化の報告(必要に応じて)」の三層構造で設計されている。

モニタリング期間

モニタリングの実施期間は、貸付実行日の属する事業年度から5事業年度(以下「モニタリング期間」)とされている。具体的には、貸付実行日の属する月(翌月に初回を実施)から、当該月が属する事業年度を起点として5事業年度目の決算月(翌月に実施)までが対象となる。

例えば令和8年5月に本制度を実行した場合、初回の月次管理は令和8年5月の実績を令和8年6月末までに実施することになる。5事業年度にわたる長期間の管理義務は、一見すると負担に感じるかもしれないが、この期間を通じて経営の安定化・体質改善を継続的に進めることが本制度の本来の狙いである。

なお、モニタリング期間内に融資を完済した場合、月次管理は完済日の前々月の実績分(完済日の前月に実施)までで終了となる。

月次管理(毎月の実施義務)

月次管理は本制度の根幹をなす活動であり、毎月、事業者と認定支援機関が連携して「月次管理表」を作成することが義務付けられている。原則として、月次管理の対象となる月の翌月末までに実施する。

月次管理表には以下の事項を記載する。これらは単なる数字の羅列ではなく、経営状況を多角的に把握するための重要な情報である。

月次管理表の記載項目内容の説明
財務状況売上高、費用、利益等の損益状況の記録
資金繰り状況現金・預金の残高、入出金の状況の把握
資金繰り表今後の収入・支出の見込みを示す将来キャッシュフローの予測
経営課題現在直面している主要な経営上の問題点
対応策経営課題に対する具体的な対処方法・行動計画
今後の見通し業績・資金繰りの将来的な展望
支援機関の所見認定支援機関による客観的な評価・コメント

この月次管理表は、単なる事務的なフォームへの記入作業ではない。売上が落ちた・支出が増えた・先々の現金が足りなくなりそうだといった変化を毎月の記録の中から早期に発見するための重要なツールである。月次管理表に基づく定期的な対話が、経営課題の発見と解決のサイクルを生み出す。

年次モニタリング報告(年に1回)

モニタリング期間においては、年に1回、事業者と認定支援機関が連携して「モニタリング報告書」を作成し、事業者が金融機関に提出する。金融機関はこれを保証協会に転送する形で、保証協会にも報告が届く仕組みとなっている。

提出時期は事業者の決算期によって異なる。決算期が4月から9月の事業者は12月中に金融機関へ提出(保証協会には1月中)、決算期が10月から翌3月の事業者(個人事業主を含む)は6月中に金融機関へ提出(保証協会には7月中)となる。

なお、初年度分(当初貸付実行日の属する事業年度)の報告は、2年目分の報告とまとめて報告する形式をとる。これは制度開始直後の運用上の煩雑さを軽減するための措置である。

経営状況変化の報告(必要に応じて)

月次管理・年次報告とは別に、一定の「報告基準」に該当する場合は、事業者と認定支援機関が連携して「経営状況の変化に関する報告書」を作成し、金融機関および保証協会に対して報告することが義務付けられている。報告基準は以下の二つのケースを想定している。

経営状況変化に関する報告が必要な場合(報告基準)

(1)今後6か月以内に資金不足が懸念されるとき
月次管理の中で、将来の資金繰り予測を行った結果、半年以内に手元資金が不足する可能性が具体的に見込まれる場合。

(2)上記(1)には該当しないが、経営状況の変化に関する報告を行うことが必要と判断したとき
例えば「主要取引先の経営状況の悪化や取引条件の変更により、収益性が大幅に低下している」ケースなど。直近の業況が大きく変化し、関係者への周知と対策協議が必要と判断される場合。

この報告を受けた後は、原則として事業者・認定支援機関・金融機関・保証協会の4者が対話を通じて、経営支援や金融支援の必要性を検討し、事業者支援の方針について認識を共有することとされている。対話の方法は必ずしも一堂に会することを求めず、電話・オンライン会議等による実施も可能とされている。

この「4者協議」は本制度の最も重要な要素の一つといえる。問題が深刻化・不可逆化する前に、関係者全員が同じ認識の下で協力し合いながら解決策を探ることが、中小企業の事業継続・再建における成功確率を高めると期待されている。

6.申込手続きのフローと必要書類

モニタリング強化型特別保証制度の申込から融資実行に至るまでのフローを以下に示す。

1.金融機関への相談まず取引のある金融機関(メインバンク等)に対し、本制度の利用を検討している旨を相談する。現在の資金繰り状況・経営改善の意欲・将来計画等を率直に伝えることが重要である。金融機関は事業者の状況を把握した上で、本制度の適用可否や融資条件について検討を行う。

2.定支援機関の選定・連携本制度の申込には認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関等)との連携が必須である。既に顧問税理士・会計士がいる場合は、その機関が認定支援機関かどうかを確認する。認定支援機関でない場合や新たに探す必要がある場合は、中小企業庁のウェブサイト上の「認定経営革新等支援機関検索システム」を活用することができる。

3.申込人資格要件申告書兼誓約書の作成・提出本制度独自の必須書類である「モニタリング強化型特別保証制度申込人資格要件申告書兼誓約書」を作成する。この書類の表面(事業者が記入する部分)は押印不要だが、裏面(認定支援機関が記入する部分)には認定支援機関の押印が必要となる。認定支援機関と協力して書類を完成させることが実務上の重要なポイントである。

4.保証申込・審査信用保証協会所定の申込資料に加え、上記の誓約書等の添付書類を金融機関に提出し、金融機関経由で保証協会に保証申込を行う。金融機関および保証協会による審査が実施される。審査では事業者の信用力・返済能力・事業継続性等が評価される。

5.保証承認・融資実行保証協会による保証承認が得られた後、金融機関が融資を実行する。融資条件(金額・利率・返済期間・据置期間等)は金融機関と事業者の間で合意された内容となる。

6.モニタリングの開始・継続融資実行後、5事業年度にわたるモニタリング期間が始まる。翌月末までに初回の月次管理表を作成することを皮切りに、毎月の月次管理・年次のモニタリング報告書の提出が継続的に行われる。問題が生じた場合は速やかに経営状況変化の報告を行い、4者協議につなげる。

申込時に必要な書類

書類の種類説明
信用保証協会所定の申込資料通常の保証申込に必要な書類一式(決算書、試算表、借入状況一覧等)
申込人資格要件申告書兼誓約書本制度固有の書類。事業者・認定支援機関がそれぞれ記載・押印
その他金融機関が求める書類事業計画書、資金繰り表等(金融機関の判断による)

7.認定経営革新等支援機関の役割

モニタリング強化型特別保証制度において、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)は制度の実効性を左右する最重要のプレーヤーの一つである。この制度は、認定支援機関なしには成立しないといっても過言ではない。

認定支援機関とは、中小企業等経営強化法第31条第1項の規定に基づき、主務大臣(経済産業大臣、財務大臣等)の認定を受けた専門家または機関のことである。税務・金融・企業財務などの専門知識や支援の実務経験が一定水準以上と認められた、税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会・商工会議所・金融機関等が代表的な認定支援機関として挙げられる。

本制度における認定支援機関の具体的な役割は多岐にわたる。申込段階では誓約書の裏面に記名・押印することで、事業者の月次モニタリング実施を「連携して行う」ことを公的に表明する。融資実行後は事業者と共に毎月の月次管理表を作成し、財務状況・資金繰りの確認・分析を行う。所見の欄に客観的なコメントを記入することで、事業者自身では気づきにくい課題を指摘することもある。

年次のモニタリング報告書の作成においても認定支援機関が主体的に関与し、事業者が金融機関・保証協会に対して適切に経営状況を報告できるよう支援する。問題の予兆が検知された場合は「経営状況の変化に関する報告書」の作成を支援し、4者協議においても専門家として事業者をサポートする役割を担う。

認定支援機関を選ぶ際の重要なポイント

① 既に顧問税理士・公認会計士、顧問の中小企業診断士がいる場合、その機関が認定支援機関かどうかをまず確認する。日常的に自社の財務状況を把握している顧問が認定支援機関を兼ねることが、最もスムーズかつ実効的な運用につながる。

② 認定支援機関が申込金融機関と同一の場合は、プロパー融資残高5割以上の要件を満たすかどうかを事前に確認する。

③ 月次管理表の作成・確認に継続的に協力できる体制があるかどうかを確認する。月次管理は5年にわたる長期的な取り組みであり、継続性・信頼性が不可欠である。

④ 月次管理に伴う費用(顧問料・追加報酬等)については事前に認定支援機関と明確にしておく。これは事業者の資金繰り計画にも影響するためである。

8.伴走支援型特別保証制度との比較・連続性

モニタリング強化型特別保証制度を理解する上では、その前身にあたる制度との比較・連続性を把握することが重要である。特に「伴走支援型特別保証制度」および「コロナ借換保証」との関係性を整理することで、本制度の設計思想と位置付けがより明確になる。

伴走支援型特別保証制度との比較

伴走支援型特別保証制度は、2021年4月から開始されたコロナ禍後の主要な支援制度であり、金融機関が「伴走者」として融資後も定期的なモニタリング(原則として5事業年度にわたり四半期に1回)を行うことを特徴としていた。申込要件として「セーフティネット4号・5号の認定」または「売上・利益率の5%以上の減少」が求められ、業績悪化を前提とした制度設計であった。また「経営行動計画書」の作成が必要で、アクションプランの具体化が求められた。

これに対してモニタリング強化型特別保証制度では、業績悪化要件が設けられていない。月次のモニタリング体制を整えることを誓約すれば申込できる設計になっており、業績が堅調な事業者も将来的な経営強化・安定化を目的として利用できる。また、モニタリングの主体が「金融機関による伴走支援」から「事業者と認定支援機関の連携による月次管理」へと移行しており、事業者の自発的な取り組みをより重視した設計となっている。

比較項目伴走支援型特別保証モニタリング強化型特別保証
開始時期2021年4月〜2026年3月16日〜
現在の状況新規申込は2024年6月30日終了2029年3月31日まで受付
業績要件売上・利益率5%以上減少等なし(誓約書の提出のみ)
計画書経営行動計画書の作成必須誓約書のみ(計画書は任意)
モニタリング主体主に金融機関事業者+認定支援機関
モニタリング頻度四半期に1回(年4回)毎月(月次管理)+年次報告
保証限度額2億8,000万円2億8,000万円(同水準)
コロナ対応色強い(コロナ禍対応の色彩)平時の経営支援として設計

両制度に共通するのは、「単なる融資支援ではなく、継続的なモニタリングを通じた経営改善支援」という理念である。本制度はその理念を引き継ぎながら、より普遍的で持続可能な形に昇華させた制度設計といえる。

コロナ借換保証との関係

コロナ借換保証は伴走支援型特別保証制度を拡充する形で2023年1月に開始され、ゼロゼロ融資の借換えに特化した制度であった。保証限度額1億円・保証料の大幅引き下げ(国補助により実質0.2%等)を特徴とし、コロナ債務に苦しむ事業者に広く活用された。しかし2024年6月30日で新規申込受付を終了し、その後継として本制度が創設されたという流れを理解することが重要である。

9.制度活用の実践的戦略とポイント

モニタリング強化型特別保証制度を最大限に活用するためには、単に「保証付きの融資を受ける」という視点を超え、制度の本来の狙いである「経営管理の高度化と経営改善」に積極的に取り組む姿勢が不可欠である。以下に、制度を実践的に活用するための戦略とポイントを詳述する。

早期相談・早期申込の重要性

本制度における国の保証料補助は、令和9年(2027年)3月31日までの申込分に限って確定している。補助を受けられる間に申込を行うことで、保証料コストを約半減させることが可能であり、これは中長期的なコスト削減に大きく寄与する。資金調達を検討している企業は、令和9年3月末を一つの重要な目標として行動計画を立てることが推奨される。

また、資金繰りが完全に行き詰まってからでは選べる選択肢が極端に限られる。事業者は早い段階で金融機関・認定支援機関に相談し、将来の資金需要を見越した計画的な活用を検討することが賢明である。

借換えによる資金繰り改善と成長投資への活用

本制度の保証限度額2億8,000万円は、複数の借入を一本化(借換え)するのに十分な規模である。例えば複数の金融機関から分散している保証付き融資や、返済中のコロナ関連融資などを本制度による一本の保証付き融資に統合することで、返済管理の簡素化・据置期間の再設定による月次返済額の軽減が可能になる。

しかし最も重要な活用戦略は、借換えで生まれた「余裕資金と余裕時間」を、収益力強化のための具体的な投資・行動に振り向けることである。多くの経営者が陥りがちな「とりあえず借り換えて安心した」という状態に留まらず、設備投資・人材育成・販路開拓・デジタル化・生産性向上等の本質的な経営改善に資金を活用することが、この制度の「真の使い方」である。

月次管理をビジネスの武器にする

月次管理表の作成は、義務として捉えるのではなく、経営の「見える化」ツールとして積極的に活用するという姿勢が成功のカギである。毎月、認定支援機関(顧問税理士・会計士等)と共に財務状況・資金繰りを確認することで、問題の予兆を早期に発見できる。異変を感じた時点で金融機関・保証協会に報告し、協議を通じて対策を講じることで、経営危機の芽を事前に摘むことが可能になる。

プロ(認定支援機関)の視点で定期的に経営をチェックしてもらえる機会を最大限に活かすことが、制度活用の成功につながる。月次管理を通じた経営管理能力の向上は、本制度の利用終了後も事業者の財産として残り続ける。

金融機関との関係構築

本制度の利用を通じて、金融機関との信頼関係を積極的に構築することが重要である。月次管理・年次報告・必要に応じた経営状況変化の報告という継続的な情報共有を通じて、金融機関は事業者の経営状況をリアルタイムで把握できるようになる。この信頼関係が、将来的な追加融資・条件変更・新事業への資金調達等において大きなメリットをもたらす。

特に、経営状況が悪化した場合でも定期的に正直に状況を報告し、対策を協議する姿勢を保つことが重要である。報告を怠ったり、問題を隠したりすることは金融機関との信頼関係を著しく損ない、将来の金融取引に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

補助金・助成金との組み合わせ

本制度による保証付き融資と各種補助金・助成金を組み合わせることで、さらに厚みのある資金調達が可能になる。例えば、ものづくり補助金・IT導入補助金等の返済不要の資金と本制度の融資を組み合わせることで、返済負担を抑えながら成長投資を行うことが可能である。認定支援機関(特に中小企業診断士や補助金申請に精通した専門家)と連携することで、こうした複合的な資金調達戦略の立案も期待できる。

10.制度の課題と注意事項

モニタリング強化型特別保証制度は非常に有用な制度である一方、利用にあたっては以下の点に十分注意する必要がある。

月次管理の継続的な負担

本制度の最大の要件である月次管理は、5事業年度(約5年間)にわたって毎月継続することが求められる。月次管理表の作成には、事業者側の時間・工数と認定支援機関の協力が必要であり、これは確実にコスト(金銭的・時間的)を伴う取り組みである。特に、認定支援機関への報酬として追加費用が発生する場合があり、事業者はあらかじめこのコストを資金繰り計画に織り込んでおく必要がある。

月次管理を継続できない場合、これは保証の前提条件の不履行となる可能性がある。金融機関との信頼関係が損なわれ、保証の見直しや将来的な金融取引への影響が生じるリスクがある。したがって、本制度の申込に際しては、5年間継続して月次管理を実施する体制と意志が確かにあるかどうかを冷静に判断することが重要である。

令和9年4月以降の補助の不確実性

国による保証料補助は令和9年(2027年)3月31日までの申込分について確定しているが、令和9年4月以降については補助の有無・補助率が現時点で未定である。これは保証料コストの試算に影響するため、申込を検討する企業は、補助がなくなった場合のコスト水準(0.45%〜1.90%の元の保証料率)でも事業継続が可能かどうかを事前に確認しておく必要がある。

融資利率は保証対象外

本制度は保証料の補助に関して国の支援があるが、融資利率は各金融機関の所定利率が適用される。融資利率は市場金利や金融機関のリスク評価に基づいて設定されるものであり、保証料が低くても融資利率が高ければ全体的な借入コストは大きくなる可能性がある。融資条件の交渉においては、保証料だけでなく融資利率も含めた総コストで評価することが重要である。

責任共有制度の意味

本制度は責任共有制度の対象であり、原則として80%保証(残りの20%のリスクを金融機関が負う)となっている。これは、金融機関が一定のリスクを負うことで、より厳格な融資審査が行われることを意味する。また、仮に返済が困難になった場合でも、保証協会は融資残高の80%を代位弁済するが、残りの20%は金融機関の損失となる点を理解しておく必要がある。

11.経営改善サポート保証制度との関係

令和8年(2026年)3月2日、中小企業庁は「モニタリング強化型特別保証制度」の取扱開始とともに、「経営改善サポート保証制度(経営改善・再生支援強化型)」の取扱期限延長も発表した。両制度は目的と対象が異なるため、整理して理解しておくことが重要である。

経営改善サポート保証制度(経営改善・再生支援強化型)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて借入が過大となり、事業再生の取り組みが必要な中小企業者を対象とした制度である。経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等の支援により作成した再生計画等に基づき、事業再生に必要な資金の借入を保証するものである。

比較項目モニタリング強化型特別保証経営改善サポート保証(再生支援強化型)
主な対象成長・立て直しを目指す中小企業全般コロナ影響で過大債務となり再生が必要な事業者
前提条件月次モニタリング体制の整備経営サポート会議等による再生計画の策定
保証限度額2億8,000万円一般枠とは別枠で最大2億8,000万円
保証割合80%(責任共有保証)80%(コロナSN5号借換は100%保証)
保証料率0.45%〜1.90%(補助あり)国補助により0.4%に軽減
保証期間分割返済10年以内15年以内
据置期間最長3年最長3年
取扱期限令和11年3月31日令和9年3月31日(延長後)

両制度は補完的な関係にある。経営状況の悪化が深刻で再生計画が必要な段階にある事業者には経営改善サポート保証制度が、より早期の段階でモニタリング体制を整えながら経営の安定化・強化を図りたい事業者にはモニタリング強化型特別保証制度が適している。自社の状況に応じて、どちらの制度が適切かを金融機関・認定支援機関と相談しながら判断することが重要である。

12.制度の総括とまとめ

モニタリング強化型特別保証制度は、コロナ禍後の経営環境における中小企業支援の「新たな標準」を示す制度といえる。従来の緊急的・一時的な金融支援から、継続的な経営管理・支援体制の構築を促す平時型の支援制度へのパラダイムシフトを体現した設計が、本制度の最大の特徴である。

制度の核心は「資金の融通」ではなく「経営状態の継続的な見守りと支援」であり、事業者・認定支援機関・金融機関・保証協会の4者が連携することで、問題の予兆を早期に把握し、深刻化する前に対処できる体制を構築することにある。この仕組みは、単に個々の企業の経営改善を促すだけでなく、地域金融・中小企業金融全体の健全性向上に貢献するものでもある。

利用を検討する経営者にとって重要なのは、本制度を「安く資金を借りる方法」として表面的に捉えるのではなく、経営管理の高度化・支援者との信頼関係構築・事業の持続的成長という本来の目的に沿って積極的に活用することである。月次管理という継続的な取り組みは確かに負担を伴うが、その過程で得られる経営の「見える化」と専門家からの継続的な支援は、中小企業が競争の激しい環境の中で生き残り・成長するための貴重な基盤となる。

令和9年(2027年)3月31日までに申込を行うことで国の保証料補助を活用できる現時点は、本制度を利用する上で最もコスト効率の高い時期である。資金調達ニーズがある事業者は、早期に金融機関・認定支援機関と相談を行い、制度活用の具体的な検討を開始することが推奨される。

本制度活用の5つのポイント(まとめ)

①早期相談・早期申込:令和9年3月31日までの申込で保証料の2分の1が国補助。補助期間内の活用を最優先に検討する。

②認定支援機関との良好な関係構築:月次管理を5年間継続するために、信頼できる顧問(中小企業診断士・税理士・会計士等)と事前に体制・費用を合意しておく。

③借換えだけで満足しない:借換えによる資金的余裕は、収益力強化・成長投資の原資として活用する。返済額を下げて安心するのではなく、前向きな経営行動につなげる。

④月次管理を経営ツールとして活用:義務としてではなく、自社の経営の「見える化」機会として積極的に取り組む。問題の早期発見・早期対応が経営危機を未然に防ぐ。

⑤金融機関との信頼関係を大切に:経営状況が厳しい時こそ正直に報告し、4者協議を通じて解決策を探る姿勢を持つ。

Q&A 10項目

Q1.モニタリング強化型特別保証制度は、業績が好調な企業でも申込できますか?

A1.はい、申込可能です。本制度は伴走支援型特別保証制度やコロナ借換保証とは異なり、売上高の減少や利益率の低下などの業績悪化を申込要件としていません。申込の基本要件は「認定経営革新等支援機関との連携により、月次で財務状況・資金繰り状況等を把握し、経営状況等の報告を行うことを誓約する書面を提出していること」のみです。したがって、現在の業績が堅調であっても、将来的な設備投資・事業拡大・経営基盤の強化を目的として、月次モニタリング体制を整備することを誓約すれば申込できます。ただし、金融機関および信用保証協会による信用力・返済能力等の審査があるため、申込要件を満たしても必ずしも承認されるとは限りません。業績が好調な企業は一般的に審査通過の可能性が高いため、本制度を積極的に検討する価値があります。なお、本制度は3年間の時限措置(取扱期限:令和11年3月31日)であるため、利用を検討する場合は早めに動くことが重要です。

Q2.月次管理は必ず毎月実施しなければなりませんか?実施できない月があった場合はどうなりますか?

A2.原則として毎月の実施が義務付けられています。本制度の月次管理は、貸付実行日の属する事業年度から5事業年度にわたり、毎月(対象月の翌月末まで)実施することが求められる中核的な義務です。この月次管理の実施は、申込時に提出する「申込人資格要件申告書兼誓約書」において事業者が約束した内容であり、保証の前提条件となっています。もし正当な理由なく月次管理を継続的に怠った場合、それは誓約違反と見なされる可能性があります。最悪の場合、金融機関との信頼関係が著しく損なわれ、新たな融資が受けられなくなるなど、将来の金融取引に深刻な影響が生じるリスクがあります。やむを得ない事情で一時的に月次管理が困難な場合は、速やかに認定支援機関・金融機関に相談し、適切な対応策を検討することが重要です。月次管理を継続できる体制(特に認定支援機関との協力関係)を申込前にしっかりと整えておくことが、制度を長期的に活用するための大前提です。

Q3.認定経営革新等支援機関とは具体的にどのような機関ですか?どうやって探せばいいですか?

A3.認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業等経営強化法第31条第1項の規定に基づき、主務大臣の認定を受けた専門家または機関のことです。税務・金融・企業財務などの専門知識や支援の実務経験が一定水準以上と認められた専門家や機関が対象となっており、主な例としては税理士・税理士法人、公認会計士・監査法人、中小企業診断士、弁護士、商工会・商工会議所、金融機関(銀行・信用金庫等)、ファイナンシャルアドバイザーなどが挙げられます。既に顧問税理士や公認会計士がいる事業者は、まずその方が認定支援機関かどうかを確認することをお勧めします。日常的に自社の財務状況を把握している顧問が認定支援機関を兼ねることで、月次管理の実施がより円滑になります。新たに認定支援機関を探す場合は、中小企業庁が運営する「認定経営革新等支援機関検索システム(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/)」を活用することができます。地域・専門分野・業種等で絞り込み検索が可能です。なお、本制度において認定支援機関と申込金融機関が同一である場合は、プロパー融資残高が5割以上という追加要件があるため注意が必要です。

Q4.保証料の国の補助はいつまで受けられますか?また、補助を受けるための手続きは必要ですか?

A4.国の保証料補助は、令和8年(2026年)3月16日から令和9年(2027年)3月31日までに保証申込(信用保証協会での受付)を行った分について確定しています。この期間中に申込を行うと、適用される保証料率に応じて、各補助区分の料率に相当する額(概ね保証料の2分の1相当)を国が補助します。例えば、通常の保証料率が年1.15%の信用区分の事業者であれば、補助後の実質負担は約0.58%程度となります。令和9年(2027年)4月以降の申込分については、補助の有無や補助率が現時点で未定となっていますので、補助を確実に活用したい場合は令和9年3月31日までに申込を完了することが重要です。補助を受けるための特別な手続きは、原則として事業者側には不要です。定められた期間内に申込を行うことで、自動的に補助が適用される仕組みになっています。具体的な補助額や適用される保証料率については、申込先の金融機関または信用保証協会に確認することをお勧めします。

Q5.既存の借入を本制度で借換えることはできますか?借換えのメリットは何ですか?

A5.はい、本制度を活用した借換えは可能です。本制度の対象資金は「事業資金」全般であり、複数の既存借入(保証付き融資・プロパー融資等)を一本化する借換えにも対応しています。借換えの主なメリットは以下の通りです。第一に、複数の借入を一本化することで返済管理が容易になり、月次管理表の作成も整理しやすくなります。第二に、据置期間を新たに設定(運転資金は1年以内、設備・運転設備資金は3年以内)することで、元金返済を猶予し、その期間中に収益力の向上・コスト削減等の経営改善に集中することができます。第三に、保証料の国の補助を活用することで、既存借入と比較して保証料コストを削減できる場合があります。ただし、借換えを行う際は新たな融資として審査が行われるため、現在の信用状況・返済能力等が評価されます。また、借換えだけで満足してしまい、本来必要な収益力強化の行動を取らないことが「最大の罠」です。借換えで生まれた資金的余裕を、設備投資・販路開拓・デジタル化等の前向きな事業行動に確実に転換することが、本制度活用の成功につながります。

Q6.モニタリング期間中に経営状況が悪化した場合、どのような対応が求められますか?

A6.経営状況が悪化した場合、特定の「報告基準」に該当するときは速やかに「経営状況の変化に関する報告書」を金融機関および保証協会に提出することが求められます。報告基準は二つあります。(1)今後6か月以内に資金不足が懸念されるとき、(2)上記には該当しないが、経営状況の変化に関する報告が必要と判断したとき(例:主要取引先の経営悪化による収益性の大幅低下等)です。この報告を受けた後は、事業者・認定支援機関・金融機関・保証協会の4者が対話を通じて経営支援や金融支援の必要性を検討し、事業者支援の方針を共有します。対話は必ずしも一堂に集まる必要はなく、電話やオンライン会議での実施も可能です。重要なのは、経営状況が悪化しているときこそ正直に、かつ早期に報告することです。問題の深刻化を恐れて報告を遅らせることは、選択肢を狭めるだけでなく関係者の信頼を損ないます。本制度の根本的な狙いは「問題が深刻化する前に早期発見・早期対応を行う体制を作ること」であり、報告基準に達した段階での速やかな行動が、経営回復への最善の道となります。

Q7.融資を早期完済した場合、モニタリング義務はどうなりますか?

A7.モニタリング期間内に融資を完済した場合、月次管理は完済日の前々月の実績分(完済日の前月に実施)をもって終了となります。完済後は月次管理表の作成義務が解消されます。また、モニタリング期間における最終事業年度分の報告期限までに完済した場合、完済日時点でのモニタリングの最終報告も完了することになります。これは、融資という制度の利用目的が達成されたことを意味するため、継続的なモニタリングの義務も終了するという論理的な帰結です。なお、完済することで保証協会への保証料のリターン(期間満了前完済の場合の一部返戻)については、各保証協会の規定・条件に基づいて処理されます。早期完済を検討する際は、保証料の精算条件についても事前に確認しておくことをお勧めします。いずれにせよ、融資を早期に完済できること自体は、事業者の財務状況の改善・安定化を示す望ましい事態であり、金融機関や保証協会との信頼関係強化にもつながります。

Q8.個人事業主も本制度を利用できますか?要件や手続きに違いはありますか?

A8.はい、個人事業主も本制度の対象です。制度資料では「中小企業者(個人事業主を含む)」と明記されており、法人に限らず個人事業主も申込可能です。申込要件の基本は法人の場合と同じで、認定経営革新等支援機関との連携による月次モニタリング体制の整備と誓約書の提出が必要となります。保証限度額も2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)と法人と同水準です。年次のモニタリング報告書の提出時期については、決算期が10月から翌3月の中小企業者(個人事業主を含む)は6月中に金融機関に提出することとされており、個人事業主の確定申告時期(3月15日)後の落ち着いた時期に当たる点は、個人事業主にとって取り組みやすい条件といえます。実務上の違いとしては、法人に比べて財務諸表の整備状況が弱い個人事業主の場合、認定支援機関(顧問税理士等)の協力を得て月次管理の体制を整えることがより重要になります。また、個人事業主の場合、事業と個人の財務が混在しやすいため、月次管理表作成を機に事業用口座の分離・帳簿管理の改善に取り組む良いきっかけとなります。

Q9.本制度と他の保証制度(セーフティネット保証等)を同時に利用することはできますか?

A9.本制度は一般の普通保険(2億円)と無担保保険(8,000万円)の範囲内での保証となりますが、他の保証制度との併用については個別の状況に応じた確認が必要です。原則として、本制度の保証限度額は一企業全体の限度額(複数の保証協会利用分を合算)として2億8,000万円が上限となります。セーフティネット保証(4号・5号)や経営改善サポート保証制度は、一般保証枠とは別の枠として機能するものもあり、本制度と組み合わせて活用できる場合もあります。ただし、各制度の対象要件・保証枠・保証料等は異なるため、複数の制度を組み合わせる際には、取引金融機関や信用保証協会に具体的な自社の状況を説明した上で、どの組み合わせが最も有利かを相談・確認することが不可欠です。なお、本制度は特定の災害・疫病等の影響を要件とするセーフティネット保証とは異なり、平時型の制度として設計されています。経営状況が悪化して緊急の資金需要が生じた場合はセーフティネット保証が、月次モニタリング体制を整えた上での計画的な資金調達には本制度が適しているという整理になります。

Q10.本制度の利用を断られた場合や審査が通らなかった場合、どのような代替策がありますか?

A10.本制度の審査が通らなかった場合でも、いくつかの代替的な資金調達・支援策を検討することができます。まず、経営改善サポート保証制度(経営改善・再生支援強化型)は、コロナ融資等で過大債務となり再生計画が必要な事業者向けの制度であり、令和9年3月31日まで取扱期限が延長されています。経営状況がより深刻で再生計画の策定が必要なケースでは、こちらの制度を検討するとよいでしょう。次に、中小企業再生支援協議会・経営改善支援センター・地域の商工会・商工会議所等の公的支援機関に相談することで、財務改善のアドバイスや計画策定支援を無料・低コストで受けられる場合があります。また、早期経営改善計画策定支援事業を活用することで、専門家(認定支援機関)費用の一部補助を受けながら経営改善計画を策定し、将来の再申込につなげる道もあります。さらに、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付・小規模事業者経営改善資金(マル経融資)等、信用保証協会を介さない政府系金融機関の融資制度も検討に値します。審査が通らなかった場合は、その理由を金融機関・保証協会に確認し、改善すべき点(信用力の向上・財務状況の改善・計画書の充実等)を把握した上で、再挑戦に向けた取り組みを着実に進めることが重要です。

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壱市コンサルティング

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モニタリング強化型特別保証制度は、申込資格の確認・誓約書の整備・認定支援機関との連携体制の構築など、制度理解だけでなく実務的な対応力が問われる制度です。壱市コンサルティングでは、こうした制度固有のハードルを踏まえ、単なる申請代行にとどまらず、実際に機能する経営改善支援を提供しています。

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