【2026年4月号】中東情勢激化で中小企業を直撃するコスト高騰|政府の最新支援策と経営者が今すぐ取るべき対応を徹底解説~株式会社壱市コンサルティング ニュースレポート

令和8年(2026年)2月28日、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模な軍事攻撃作戦が開始されて以来、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を含む中東全域での緊張が続いています。世界的な原油価格の高騰は、国内中小企業の物流費・原材料費・外注費を連鎖的に直撃しており、令和4年(2022年)のロシアによるウクライナ侵攻から続くコスト高の構造に、さらなる追い討ちをかける状況となっています。

問題の本質は「コストが上がっているのに、売価に転嫁できていない」という非対称な構造にあります。利益が削られ、資金繰りが悪化し始めても、見た目の売上が維持されているために対処が遅れる——このパターンで資金繰り危機に陥る中小企業が、今後急増するリスクがあります。政府はこの状況を受け、令和8年(2026年)3月〜4月にかけて中小企業・小規模事業者向けの支援策を相次いで打ち出しました。

本記事では、中東情勢が中小企業に与える影響の構造から、政府が整備した特別相談窓口・セーフティネット貸付・価格転嫁要請の詳細、そして経営者が今すぐ実行すべき具体的な行動まで、すべて網羅しています。資金繰りへの不安を抱える経営者・財務担当者の方はもちろん、「まだ影響は軽微」と感じている方にも、早期対応の重要性を理解いただける内容です。

Contents
  1. 中東情勢悪化の経緯と中小企業への影響構造
  2. コスト高騰が引き起こす「資金繰り悪化の連鎖」
  3. 政府が打ち出した中小企業向け支援策の全体像
  4. 特別相談窓口の拡充:何が、どう変わったか
  5. セーフティネット貸付の拡充:要件と活用の実務
  6. 官民金融機関への要請:条件変更・借換え交渉の現実
  7. 価格転嫁・取引適正化の推進:交渉の「根拠」を手に入れる
  8. 経営者が今すぐ実行すべき3つの対応策
  9. 支援策活用のチェックリストと注意点
  10. まとめ
  11. よくあるご質問(Q&A)
  12. 各資金繰り診断から金融機関交渉・価格転嫁サポートまで、認定支援機関として現場で伴走します

中東情勢悪化の経緯と中小企業への影響構造

令和4年(2022年)2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、国際原油価格は大幅に上昇しました。それ以来、国内の中小企業は物流費・原材料費・エネルギーコストの上昇という重圧に継続的にさらされてきました。一時的な落ち着きを見せた時期もありましたが、令和8年(2026年)2月末の中東情勢の急変がこの構造を再び悪化させています。

アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃作戦が開始されたことで、世界の原油供給の約2割が通過するホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に置かれています。原油の国際価格は短期間で急騰し、その影響は日本の中小企業にも以下のルートで波及しています。

影響ルート具体的な影響特に影響が大きい業種
燃料費の上昇軽油・ガソリン・重油価格の高騰運輸業・建設業・農業
物流費の上昇燃料サーチャージの増加・配送コストの転嫁製造業・卸売業・小売業
原材料費の高騰石油由来原料・輸入資材・化学品の価格上昇製造業・食品加工業・化学業
外注費の増加協力会社への燃料・人件費コストの転嫁建設業・製造業・IT業
電気・ガス料金エネルギー価格上昇に伴う光熱費増加飲食業・宿泊業・製造業

この構造を理解するためには、コスト上昇が「一時的な値上がり」ではなく、原油価格→物流→仕入→外注→電気・ガスと連鎖的に拡大する「波及効果」であることを俯瞰する必要があります。特に仕入コストの上昇が遅れて顕在化する業種では、今月の試算表には影響が出ていないが3か月後に急激に悪化する、というケースが現場では頻繁に起きています。

コスト高騰が引き起こす「資金繰り悪化の連鎖」

中東情勢に端を発するコスト高騰が、なぜ資金繰り危機に直結するのか。損益と資金繰りを混同して「まだ赤字ではないから大丈夫」と判断している経営者が陥りやすい構造を整理します。

まず、原材料費・物流費の上昇は、仕入れ時点で現金が先に出ていくという点が重要です。売上代金の回収は通常30日〜90日後であるのに対し、コスト増加分の支払いは即座に発生します。売上が変わらなくても、仕入コストの増加分だけ毎月の資金流出が増え続けます。これが3か月・6か月積み重なることで、手元資金が急速に目減りします。

さらに深刻なのは、この構造が「見えにくい」点です。売上高・粗利率が若干悪化しても、「コスト上昇の影響だから仕方ない」と受け止め、実際の資金繰りへの影響を数値で把握しないままでいるケースが多く見られます。しかしながら、資金繰り表で試算すると、6か月後には借入余力がなくなっているという現実に直面することも少なくありません。

フェーズ企業の状態とるべき行動
第1フェーズ(影響軽微)コスト増だが利益はまだプラス、資金繰りは問題なし資金繰りシミュレーション・銀行への情報共有開始
第2フェーズ(利益圧迫)赤字転落または利益率が著しく悪化セーフティネット貸付の申請、条件変更の交渉
第3フェーズ(資金繰り逼迫)手元資金が3か月分を切る、支払いに支障が出始める緊急融資・リスケジュール・専門家への相談が急務

重要なのは、第1フェーズの段階で動くかどうかで、その後の選択肢の広さが大きく変わるという点です。第3フェーズに至ってから金融機関に駆け込んでも、融資審査の基準は厳しくなり、支援の幅は格段に狭まります。「早期に動くほど有利」というのは、現場コンサルタントとして断言できることです。

政府が打ち出した中小企業向け支援策の全体像

政府は令和8年(2026年)3月〜4月にかけて、中東情勢の緊迫化を受けた中小企業・小規模事業者向け支援策を体系的に整備しました。その全体像は大きく4つの柱で構成されています。

支援の柱主な内容実施主体
① 相談体制の拡充特別相談窓口を「中東・ウクライナ情勢」対応に拡充(3月23日付)商工会議所・日本政策金融公庫等
② 資金繰り支援セーフティネット貸付の対象・金利引き下げ要件の拡充(4月1日〜)日本政策金融公庫・商工中金等
③ 金融機関への要請条件変更・借換え等の柔軟対応、機械的審査の禁止を要請金融庁・経済産業省
④ 価格転嫁推進発注者側への価格協議応諾・買いたたき禁止を業界団体等に要請経済産業省・公正取引委員会

これらの支援策は、単独で活用するのではなく「相談→資金繰り対策→価格転嫁」という順序で組み合わせて活用することが効果的です。以下のセクションで各施策の実務的な詳細を解説します。

特別相談窓口の拡充:何が、どう変わったか

令和8年(2026年)3月23日付で、これまでの「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」が「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」に拡充されました。名称の変更だけでなく、中東情勢による影響を受けた・または懸念される事業者が新たに対象に加わったことが実質的な変更点です。

相談窓口の設置場所と特徴

相談窓口は、全国の以下の機関に設置されています。

設置機関相談内容の特徴
日本政策金融公庫融資・資金繰り相談が中心。政府系融資の申請窓口
沖縄振興開発金融公庫沖縄県内の事業者向け
商工中金組合員・中堅中小企業向けの融資相談
信用保証協会保証付き融資の相談・申請
商工会議所・商工会経営全般の相談、専門家派遣の調整
よろず支援拠点複合的な経営課題の相談(無料)
中小機構・地方経済産業局補助金・助成金・政策連携の相談

全国約1,000か所という規模で設置されており、資金繰りの相談だけでなく、経営全般・取引先との価格交渉・補助金活用など幅広い相談を無料で受け付けています。「相談するほどの状況ではない」と思わずに、まず現状を整理する場として気軽に活用することをお勧めします。

相談窓口を活用する前に準備しておくべき資料

相談の質を高めるために、以下の資料を事前に準備しておくと、相談時間を有効に使えます。

  • 直近3か月分の試算表(月次)
  • 直近1年分の資金繰り実績と今後3〜6か月の見通し
  • 主要仕入品目・物流費のコスト変動実績(比較表があると理想的)
  • 借入残高一覧(金融機関名・残高・返済条件)

セーフティネット貸付の拡充:要件と活用の実務

日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付は、経済環境の変化により業況が悪化している、または悪化が懸念される事業者を対象とした政策的融資制度です。今回の拡充により、中東情勢により今後の影響が懸念される事業者も対象範囲に含まれることが明示されました。

金利引き下げ要件の拡充(令和8年4月1日〜)

一定の要件を満たす場合は、基準利率から0.4%引き下げの適用を受けることができます。令和8年(2026年)4月1日より、この引き下げの対象要件が拡充されており、中東情勢の影響を受けた・または懸念される事業者が新たに対象となっています。

項目内容
制度名セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)
対象者社会的・経済的環境の変化(中東情勢・原油高騰含む)により業況悪化または悪化が懸念される事業者
金利引き下げ基準利率から0.4%引き下げ(一定要件を満たす場合)
申請窓口日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)、商工中金等
特徴担保・保証人の要件が比較的緩和されており、影響が懸念される段階から申請可能

セーフティネット貸付を活用するうえで押さえるべきポイント

この制度の本質は、「悪化してから申請する」のではなく、「悪化が懸念される段階で先手を打つ」ために設計されている点にあります。業績が安定しているうちに申請・実行しておくことで、実際に資金が必要になった局面での手元資金を厚くできます。「まだ大丈夫だから申請しない」という判断が、後に選択肢を狭める最大の原因となります。

また、この融資は既存の借入とは別枠で実行されるケースが多く、メインバンクの融資余力に影響しにくい点も実務上の利点です。申請にあたっては、コスト上昇の影響を数値で示した資料(試算表・資金繰り見通し)の準備が審査をスムーズに進めるうえで重要です。

官民金融機関への要請:条件変更・借換え交渉の現実

政府は今回、官民の金融機関に対して複数の要請を発出しています。この要請の内容を正確に理解しておくことで、金融機関との交渉の場において有利に進められます。

融資判断に関する要請の核心

政府の要請文では、金融機関に対して以下の姿勢が求められています。

  • 決算状況・借入状況・条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断しないこと
  • 事業の特性・各種支援施策の実施見込みを踏まえた丁寧な対応を行うこと
  • 既往債務の条件変更や借換えの申込みを断念させるような対応を取らないこと
  • 金利見直し協議の際には、個別の実情を踏まえた返済計画のアドバイスを行うこと

この要請の本質は、「条件変更(リスケ)の申請は、その後の融資審査に悪影響を与えない」という方向性を政府が金融機関に求めているという点にあります。これまで中小企業経営者の間では「条件変更を申請するとブラックリストに載る」「新規融資が受けられなくなる」という誤解が根強くありましたが、今回の要請はこうした懸念を払拭する内容となっています。

条件変更交渉を進める際の実務的な留意点

政府の要請があるとはいえ、金融機関が自動的に条件変更に応じるわけではありません。交渉を有利に進めるには、以下の点が重要です。

留意点実務上のポイント
根拠資料の準備コスト上昇の影響を示す試算表・資金繰り表・比較データを揃える
経営改善の意思を示す価格転嫁交渉・コスト削減・売上回復策など、改善に向けた行動計画を提示する
早期相談支払いが滞る前に相談する。滞納後では選択肢が大幅に狭まる
複数行への相談メインバンクだけでなく、日本政策金融公庫等の政府系機関にも並行して相談する

価格転嫁・取引適正化の推進:交渉の「根拠」を手に入れる

今回の政府の対応のなかで、中小企業経営者にとってきわめて重要なのが価格転嫁・取引適正化への強力な後押しです。政府は関係業界団体や行政機関に対して、以下の内容を明示した要請文を発出しています。

政府要請の核心:発注者側への義務的な要求

  • 協議に応じない一方的な代金決定の禁止
  • 「買いたたき」の防止——仕入コストの上昇を理由に一方的に発注単価を下げる行為の禁止
  • 急激なコスト上昇分を踏まえた価格協議の義務化——通常の価格改定時期を待たず、急激なコスト上昇分について協議するよう求める

言い換えれば、この要請は受注側(中小企業)に「価格交渉をする権利と根拠」を与えるものです。「値上げをお願いしにくい」「取引先に嫌われたくない」と感じて価格改定を先延ばしにしてきた経営者は、今こそ政府の要請を「後ろ盾」として活用してください。

価格転嫁交渉を成功させるための実務ステップ

ステップ具体的なアクション
① コスト上昇の見える化仕入品目別・物流費別にコスト上昇額・上昇率を数値で整理する
② 価格改定の根拠資料を作成原油価格・物価指数などの公的データを根拠として活用する
③ 交渉先と交渉タイミングを決める影響が大きい取引先から優先し、期初・更新時期に合わせて設定する
④ 交渉の場で政府要請を活用「政府の価格転嫁要請に基づき協議をお願いしたい」という切り出し方が有効
⑤ 合意内容を文書化する口頭合意だけでなく、メール・覚書で合意内容を記録しておく

価格転嫁は、一度合意すれば継続的に利益改善につながります。今回の政府要請を単なる「追い風」と捉えるだけでなく、取引構造そのものを適正化する永続的な取り組みの起点として位置づけることが重要です。

経営者が今すぐ実行すべき3つの対応策

支援策が整備されていても、活用しなければ意味がありません。壱市コンサルティングが現場で支援してきた経験から、今この時期に経営者が優先すべき行動を3つに絞ります。

① 資金繰りへの影響を「数字」で見える化する

物流費・仕入価格・外注費の上昇が、自社の試算表にどのように反映されているかを確認してください。重要なのは損益計算書の確認だけでなく、資金繰り表でのシミュレーションです。利益は出ていても資金が詰まるケースは現場では珍しくありません。3か月・6か月先の資金繰りを試算することが、すべての対策の起点です。

特に確認すべき項目は以下です。

  • 前年同月比での仕入コスト・物流費の増加額
  • 月次の粗利率の変化(月次試算表がない場合は早急に整備)
  • 手元現金・預金残高の推移と今後3〜6か月の見通し
  • 借入の返済スケジュールと余力

② 取引銀行に「今の現状」を先手で共有する

資金繰りが苦しくなってから銀行に相談しても、十分な支援を受けることは難しくなります。有事においては、早期の対応が肝になります。現状の業況・コスト上昇の影響・今後の見通しを担当者に積極的に情報共有する姿勢が求められます。

「まだ赤字ではない」「まだ資金は足りている」という状態で相談することを恥ずかしいと感じる必要はありません。政府は金融機関に対して、影響が懸念される段階から丁寧に対応するよう要請しています。早めに相談するほど、選択肢(セーフティネット貸付・条件変更・借換え等)が広がります。

③ 価格転嫁の交渉を先送りにしない

仕入費や経費が上昇しているにもかかわらず、「取引先との関係を壊したくない」「値上げを言い出しにくい」と感じて価格改定を先延ばしにしている中小企業は、現場では非常に多く見受けられます。しかしながら、その先送りこそが利益を侵食し続ける根本原因です。

政府の要請でも、発注者側に対して急激なコスト上昇分の価格協議に応じること、一方的な代金決定を禁止することが明示されています。今こそ、コスト上昇の根拠データを揃えて、価格改定の協議を申し入れる好機です。

支援策活用のチェックリストと注意点

各支援策を活用する際の実務上の注意点を整理します。

支援策活用時の注意点
特別相談窓口相談前に試算表・資金繰り表・借入一覧を準備しておくと相談の質が上がる。複数の窓口への相談も可能
セーフティネット貸付融資実行までに2〜4週間程度かかる場合がある。審査に必要な書類を早めに揃える
条件変更・借換え条件変更後も金融機関への定期的な業況報告は継続する。改善への取り組みを示すことが次の融資につながる
価格転嫁交渉一度交渉して断られても、データの補充・時期の変更で再交渉できる。あきらめず継続的に取り組む姿勢が重要

また、以下の点には特に注意が必要です。

  • 支援策の活用は、抜本的な経営改善の「時間稼ぎ」と位置づける。融資で資金を確保しながら、価格転嫁・コスト削減・売上増加の具体策を並行して進めることが不可欠です。
  • 借入が増えすぎると、返済負担で将来の資金繰りが悪化する。融資の活用は「必要な額を、必要なタイミングで」という原則を守ることが重要です。
  • 政府の支援策は随時更新される。最新情報は日本政策金融公庫・中小企業庁の公式サイトで確認するか、認定支援機関に相談することをお勧めします。

まとめ

令和8年(2026年)4月時点での状況と対応ポイントを、5つに整理します。

  1. 中東情勢の激化によるコスト高騰は、原油→物流→仕入→外注→光熱費と連鎖的に拡大している。利益が出ていても資金繰りが先に悪化するリスクがあり、試算表だけでなく資金繰り表による数値把握が急務である。
  2. 政府は特別相談窓口を「中東・ウクライナ情勢」対応に拡充(3月23日付)し、全国約1,000か所で資金繰り・経営相談が可能になった。まず相談して現状を整理することが、すべての対応の起点となる。
  3. セーフティネット貸付の対象要件が拡大(4月1日〜金利引き下げ要件も拡充)されており、影響が懸念される段階からでも申請を検討できる。「まだ大丈夫だから不要」という判断が後に選択肢を大幅に狭める最大のリスクである。
  4. 金融機関への柔軟対応要請が政府から発出されており、条件変更・借換えの申請が融資審査に不利に働くという懸念は払拭されつつある。早期相談・早期交渉が、資金繰り安定の鍵となる。
  5. 価格転嫁の先送りは、コスト高騰を利益圧迫に転換し続けるリスクである。政府要請を「交渉の根拠」として活用し、急激なコスト上昇分を取引価格に反映させる交渉を今すぐ開始することが、この局面での「真の対応策」といえる。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 中東情勢の影響が「懸念される」だけでも、セーフティネット貸付の申請はできますか?

A1. できます。今回の要件拡充の最大のポイントは、現時点で業績が安定していても「今後の影響が懸念される事業者」が対象に含まれた点です。中東情勢に起因するコスト上昇が今後加速する場合、現在問題がなくても3〜6か月後に資金繰りが逼迫するリスクがあります。「影響が懸念される」段階で申請・実行することで、実際にリスクが顕在化した局面での手元資金を厚くできます。日本政策金融公庫等に相談する際は、コスト上昇の実績と今後の影響試算を数値で示した資料を準備しておくと審査がスムーズです。

Q2. 条件変更(リスケ)を申請すると、今後の新規融資が受けられなくなりますか?

A2. 自動的に新規融資ができなくなるわけではありません。政府は今回、金融機関に対して「条件変更の申込みを断念させるような対応を取らないこと」を明示的に要請しています。ただし、条件変更後は金融機関が定期的な業況報告を求めるのが一般的であり、改善に向けた取り組みを継続することが次の融資につながる重要な要素です。条件変更を「諦めの策」ではなく「改善のための時間を作る手段」として位置づけ、並行して価格転嫁・コスト削減・売上回復の具体策を進めることが重要です。

Q3. 価格転嫁の交渉を断られた場合、どうすればよいですか?

A3. 一度断られても、あきらめる必要はありません。政府の価格転嫁要請は、発注者側に対して義務的な内容を含むものであり、交渉の根拠として継続的に活用できます。断られた場合は、①コスト上昇の根拠データを補充する、②交渉タイミングを変更する(期初・契約更新時期)、③相手先の担当窓口を変える(現場担当→経営層への直接交渉)、といった対応が有効です。また、公正取引委員会の「価格転嫁に関する相談窓口」への相談も選択肢の一つです。

Q4. 特別相談窓口での相談内容は、金融機関に共有されますか?

A4. 相談窓口(商工会議所・よろず支援拠点等)での相談内容は、原則として相談者の同意なく金融機関に共有されることはありません。ただし、融資につなぐために金融機関への情報提供が必要な場合は、相談員から事前に説明があります。「相談したことが銀行に伝わって不利になる」という懸念は不要です。まずは気軽に現状を整理する場として活用してください。

Q5. 0.4%の金利引き下げは、どの程度の効果がありますか?

A5. 例えば5,000万円を借り入れた場合、年間の利息負担は0.4%の引き下げで20万円の軽減効果があります(5,000万円×0.4%=20万円/年)。5年返済であれば総額で約100万円の利息差が生じます。金額の大小よりも重要なのは、「影響が懸念される段階から積極的に申請する」という姿勢です。金利引き下げの適用要件の詳細は窓口ごとに異なる場合があるため、日本政策金融公庫等に直接確認することをお勧めします。

Q6. 買いたたきの被害を受けています。どこに相談すればよいですか?

A6. 買いたたきは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の違反行為に該当する可能性があります。相談窓口は複数あります。①公正取引委員会の「下請法相談窓口」(無料・匿名可)、②中小企業庁の「下請かけこみ寺」(全国に設置、無料相談)、③弁護士・認定支援機関への相談が一般的なルートです。政府の価格転嫁要請が出ている今は、取引先に対して「発注者側への価格転嫁要請が政府から出ている」という事実を提示して再交渉する絶好の機会でもあります。

Q7. 価格転嫁交渉は、どの取引先から始めればよいですか?

A7. 売上構成比の高い順、かつコスト転嫁の影響が大きい取引先から優先するのが基本原則です。ただし、関係性が長く交渉しやすい取引先を「最初の成功事例」として先行させ、交渉ノウハウを積んでから大口取引先に臨むという戦略も現場では有効です。また、複数の取引先を抱える場合は、一斉に交渉するのではなく、成功した交渉事例を「前例」として次の交渉に活用する連鎖的なアプローチが効果的です。

Q8. 物流費上昇の影響を試算表に正しく反映させるには、どうすればよいですか?

A8. 物流費は「売上原価」に含まれるか「販売費・一般管理費」に計上されるかが企業によって異なります。まず自社の勘定科目の分類を確認し、前年同月比で物流費がどの勘定科目でどの程度増加しているかを抽出します。次に、その増加分が月次の粗利率・営業利益率にどう影響しているかを数値化します。月次試算表を作成していない場合は、今すぐ税理士・顧問に依頼して月次での把握体制を整えることを強くお勧めします。数値の把握なしには、金融機関への説明も、支援策の活用も、価格転嫁の根拠作りも、すべて後手に回ります。

Q9. 今の段階では銀行に相談しにくいのですが、認定支援機関に相談する方法はありますか?

A9. 認定支援機関(中小企業診断士・税理士・コンサルタント等)は、金融機関との橋渡し役として機能します。「銀行に直接相談するのが不安」「何を相談してよいかわからない」という段階からでも、まず認定支援機関に状況を整理してもらうことが有効です。認定支援機関は、資金繰り表の作成・経営改善計画の策定・金融機関への説明資料の準備・交渉の同席まで支援することができます。壱市コンサルティングも認定支援機関として、こうした支援を提供しています。

Q10. セーフティネット貸付と通常の運転資金借入は、どう使い分ければよいですか?

A10. セーフティネット貸付は、経営環境の変化に対応するための「特別枠」として位置づけられており、通常の運転資金借入とは審査基準・金利・条件が異なります。組み合わせの考え方として、①通常の運転資金借入で日常的な資金ニーズをカバーし、②セーフティネット貸付でコスト高騰による追加的な資金ニーズに対応する、という二層構造が一般的です。ただし、借入総額が返済能力を超えると将来の資金繰りを圧迫するリスクがあります。借入の組み合わせについては、現状の返済スケジュールと資金繰り見通しを踏まえて、認定支援機関や金融機関と相談のうえ判断することをお勧めします。

株式会社壱市コンサルティング ニュースレポート(2026年4月発行)

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📋 資金繰り診断・シミュレーション
試算表・資金繰り表をもとに、コスト上昇の影響を数値で可視化します。「今はまだ大丈夫」という感覚的な判断から、根拠ある意思決定へのシフトをサポートします。月次試算表の整備から資金繰り表の作成まで、スピーディに対応します。

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条件変更・借換え・セーフティネット貸付の要件確認から申請手続きまで、認定支援機関として金融機関との交渉をトータルでサポートします。「何を準備すればよいかわからない」という段階からでもお気軽にご相談ください。

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コスト上昇の根拠資料の整理から、取引先への説明資料の作成・交渉準備まで支援します。政府の価格転嫁要請を「後ろ盾」として交渉を進める実践的なアドバイスを提供します。

📊 経営改善計画の策定支援
単なる資金繰り対策にとどまらず、価格転嫁・コスト構造の見直し・売上回復策を組み合わせた中期的な経営改善計画の策定を支援します。金融機関への説明資料としても活用できる計画書を作成します。

「まず状況を整理したい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。早いご相談ほど、選択肢が広がります。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 物流費・原材料費の上昇が利益を圧迫しており、資金繰りが心配になってきた
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  • ✅ 価格転嫁の交渉をしたいが、根拠の作り方・切り出し方がわからない
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