【令和8年度】経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業とは?業務改善コース・賃上げ重点コース・新市場進出コースの違い・申請要件・助成対象経費を徹底解説
令和8年(2026年)4月15日、東京都と(公財)東京都中小企業振興公社は、都内中小企業向けの新たな助成制度「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」の申請受付開始を正式に発表しました。業務改善コースの第1回申請受付は令和8年5月11日(月)午後2時より開始されます。
本制度は、長期化する物価高騰や国際情勢の不安定化という厳しい経営環境の中で、中小企業が存続・成長するために必要な「設備投資等による経営基盤の強靭化」と「新事業展開による経営の多角化・多重化」を支援することを核心に据えた制度です。業務改善コース(助成上限600万円)、賃上げ重点コース(同600万円・高助成率)、新市場・新分野進出コース(助成上限1,000万円)の3コースが設けられており、自社の状況に応じた申請が可能です。
本記事では、3コースの制度設計の違いから申請要件・助成対象経費・審査のポイント・採択を高めるための実践的戦略まで、経営者・財務担当者が申請前に知るべき情報を網羅的に解説しています。「うちに使える助成金はあるか」と情報収集中の方はもちろん、「申請に向けて何から手をつけるべきか」という段階の方にも参考になります。
制度誕生の背景と政策的意義
「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」を理解するためには、この制度が設計された経営環境の文脈を把握する必要があります。
令和3年(2021年)後半から始まった物価高騰は、令和8年(2026年)現在も長期化しています。エネルギーコスト・原材料費・人件費のトリプル高騰に加え、国際情勢の不安定化による調達コストの上昇が重なり、都内中小企業の収益構造は構造的な圧迫を受けています。
東京都はこの状況に対して、単なる「補填型」の助成ではなく、事業者自身の「創意工夫」と「経営改革への投資」に公費を乗せることで、経営基盤そのものを強靭化する方向性を選択しました。本事業の名称に「創意工夫チャレンジ」という言葉が盛り込まれているのは、この政策思想を体現しています。
「設備投資等による経営基盤の強靭化」と「新事業展開による経営の多角化・多重化」という2つのアプローチは、それぞれ業務改善コース(および賃上げ重点コース)と新市場・新分野進出コースに対応します。複数コースを用意することで、各事業者のステージや経営課題に応じた活用を可能にしている点が、本制度の設計上の特徴です。
また、専門家(アドバイザー)の派遣が助成とセットで提供される点も注目に値します。業務改善・賃上げコースで最大2回、新市場・新分野進出コースでは最大10回と、後者においては実質的なハンズオン支援に近い伴走体制が想定されています。
3コースの全体像と違い
本事業は3つのコースで構成されています。コースを間違えると申請要件を満たせない、または本来受けられる助成率を下回るという事態が生じます。まず全体像を正確に把握することが肝要です。
| 項目 | 業務改善コース | 賃上げ重点コース | 新市場・新分野進出コース |
|---|---|---|---|
| 対象要件(財務) | 直近決算の営業利益が前期比減少 または 損失計上 | 同左(+賃金引上げ計画の策定) | 直近決算の売上高が前期比減少 または 損失計上 |
| 助成限度額 | 600万円 | 600万円 | 1,000万円 |
| 助成率 | 2/3以内 | 3/4以内 (小規模は4/5以内) | 2/3以内 賃金引上げ計画あり:3/4以内 (小規模は4/5以内) |
| 支援規模(採択予定数) | 700社 | 500社 | 100社 |
| アドバイザー派遣 | 最大2回 | 最大2回 | 最大10回 |
| 取組の方向性 | 既存事業の深化・発展 | 既存事業の深化・発展 | 新市場・新分野への進出 |
| 第1回申請期間 | 5/11〜5/29 | 6/1〜6/12 | 7/1〜7/14 |
対象要件で注意すべきは、業務改善コースと賃上げ重点コースが「営業利益の前期比減少」を要件とするのに対し、新市場・新分野進出コースは「売上高の前期比減少」を要件とする点です。この違いは実務上の申請可否に直結します。
また、業務改善コースと賃上げ重点コース、新市場・新分野進出コースを重複して申請することはできません。自社の状況とコースの趣旨を照らし合わせ、最適なコースに1本に絞って申請することが必要です。
業務改善コース 詳細解説
本記事が最も詳しく解説するのが業務改善コースです。令和8年5月11日(月)に第1回申請受付が始まり、年4回の申請機会が設けられています。
経営者の方からよく受ける質問のひとつが「賃上げをしないと申請できないのか」というものです。結論から言えば、業務改善コースに賃上げ要件はありません。ものづくり補助金や事業再構築補助金など経済産業省系の補助金では、申請要件または加点要件として賃上げへのコミットメントが求められるケースが定着しています。一方、本コースは賃上げを条件とせず、「営業利益の前期比減少または損失計上」という財務実績のみを申請要件とする設計です。物価高騰等で収益が圧迫されており、現時点で賃上げを約束できる状況にない事業者にとっても、ハードルなく申請できる点が本制度の大きな特長のひとつです。なお、賃上げ計画を策定できる場合は「賃上げ重点コース」を選択することで助成率の上乗せを受けることができます。
制度の基本設計
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む) |
| 助成対象経費 | 既存事業を深化・発展させる計画に基づく取組に必要な経費のうち、審査で認められたもの |
| 助成対象期間 | 交付決定日から最大1年間 |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成限度額 | 600万円(千円未満切捨て) |
| 交付方式 | 精算払い(後払い)。助成事業実施後に実績報告・完了検査を経て交付額が確定 |
取組の類型:「深化」と「発展」
業務改善コースで助成対象となる取組は、「既存事業の深化」と「既存事業の発展」の2類型に分類されます。
| 類型 | 定義 | 取組例 |
|---|---|---|
| 既存事業の「深化」 | 経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高める取組 | 高性能機器・設備の導入による競争力強化 既存商品・サービスの品質向上 高効率・省エネ機器導入による生産性向上 |
| 既存事業の「発展」 | 経営基盤の強化に向け、既存事業を基に新たな事業展開を図る取組 | 新たな商品・サービスの開発 商品・サービスの新たな提供方法の導入 既存事業で得た知見に基づく新たな取組 |
対象外となる主な取組としては、申請者の既存事業との関連性が薄い取組、法令改正への義務的対応、単なる老朽設備の維持更新などが挙げられます。「この取組が競争力・生産性の向上に寄与するか」という観点が、対象・対象外を分ける基準と理解しておく必要があります。
賃上げ重点コース 詳細解説
賃上げ重点コースは、業務改善コースの申請要件(営業利益の前期比減少または損失計上)を満たしたうえで、賃金引上げ計画を策定する事業者を対象とした高助成率のコースです。
助成率が業務改善コースの2/3から3/4(小規模企業は4/5)に引き上げられるため、賃上げに取り組む意思がある事業者にとっては経済的メリットが大きくなります。ただし、賃金引上げ計画を達成できなかった場合は助成率が2/3に引き下げられるため、計画は実現可能な水準で策定することが重要です。
第1回申請受付期間は令和8年6月1日(月)〜6月12日(金)と、業務改善コースより約3週間遅れて開始されます。
新市場・新分野進出コース 詳細解説
新市場・新分野進出コースは、既存の枠組みを超えて新製品・新サービスで新市場へ参入する取組を支援する、本事業で最も高額な助成上限を持つコースです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象要件(財務) | 直近決算期の売上高が前期比減少、または損失計上 |
| 助成限度額 | 1,000万円 |
| 助成率 | 2/3以内(賃金引上げ計画策定の場合3/4以内、小規模は4/5以内) |
| 採択予定数 | 100社(業務改善700社、賃上げ500社と比較して選考が厳しい) |
| アドバイザー派遣 | 最大10回(手厚い伴走支援) |
| 第1回申請期間 | 令和8年7月1日(水)〜7月14日(火) |
採択予定数が100社と他コースに比べて少なく、競争は厳しくなります。一方で、アドバイザー派遣が最大10回と充実しており、事業計画の精度が採否を大きく左右する構造です。詳細な募集要項は準備中のため、申請を検討する場合は公社の公式ページを定期的に確認することが必要です。
申請スケジュール一覧
本事業は各コースごとに複数回の申請機会が設けられています。最新のスケジュールを正確に把握したうえで、書類準備に取り組む必要があります。
| 回次 | 業務改善コース | 賃上げ重点コース | 新市場・新分野進出コース |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 5月11日(月)〜5月29日(金) | 6月1日(月)〜6月12日(金) | 7月1日(水)〜7月14日(火) |
| 第2回 | 8月3日(月)〜8月14日(金) | 9月1日(火)〜9月14日(月) | 令和9年1月4日(月)〜1月14日(木) |
| 第3回 | 11月2日(月)〜11月13日(木) | 12月1日(火)〜12月14日(月) | - |
| 第4回 | 令和9年2月1日(月)〜2月12日(金) | 令和9年3月1日(月)〜3月12日(金) | - |
業務改善コースの第1回スケジュールは以下のとおりです。
| フェーズ | 時期 |
|---|---|
| 申請受付(第1回) | 令和8年5月11日(月)午後2時 〜 5月29日(金)午後4時 |
| 書類審査 | 令和8年7月〜 |
| 面接審査 | 令和8年8月10日(月)〜8月28日(金)のいずれか1日(1時間程度) |
| 交付決定(予定) | 令和8年9月下旬 |
面接審査の日程は書類審査通過後に個別通知されますが、日程変更は認められません。8月10日〜28日の期間は代表者が動けるよう事前にスケジュールを確保しておくことが必要です。
業務改善コース 申請要件の詳細
申請要件は(1)〜(9)の全項目を満たす必要があります。特に重要な要件を以下に整理します。
中小企業者の定義
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・情報通信業・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業・飲食業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
大企業が発行済株式総数の1/2以上を保有、または役員総数の1/2以上を大企業役員・職員が兼務している場合は、中小企業者であっても申請不可となります。グループ企業の資本構造について事前に確認が必要です。
財務要件(最重要)
申請受付開始日時点(令和8年5月11日時点)で、以下のいずれかに該当することが必要です。
- ア:直近決算期の営業利益が、前期決算期と比較して減少していること
- イ:直近決算期において損失を計上していること
例として、直近の決算期が令和7年(2025年)の場合、令和7年の営業利益が令和6年(2024年)と比較して減少していること、または令和7年の決算期で損失を計上していることが要件に該当します。「利益は出ているが利益額は減った」という状況も、要件アに該当します。
その他の主要要件
本コースは、賃上げ重点コースまたは新市場・新分野進出コースとの重複申請が認められません。また、令和8年度中小企業収益力強化サポート事業のハンズオン支援を受けている、または申請中の場合も申請対象外となります。過去に同コースで交付決定を受けた場合、再申請はできません(不採択の場合は再申請可)。
助成対象経費の全経費区分
助成対象経費は公社の審査で認められた経費のみが対象となります。経費区分ごとに上限額・申請条件が異なるため、事前に計画段階で確認することが不可欠です。
| 経費区分 | 上限額 | 単独申請 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 原材料・副資材費 | なし | 可 | 販売用製品・材料費は対象外。残量管理のための受払簿を作成すること |
| 機械装置・工具器具費 | なし | 可 | 単価税抜10万円未満の物品は対象外 |
| 委託・外注費 | なし | △(市場調査費のみは不可) | 技術開発・改良要素を伴わないデザイン・翻訳等は対象外 |
| 産業財産権出願・導入費 | なし | 可 | 助成対象期間内に出願手続きの完了が必要 |
| 規格等認証・登録費 | なし | 可 | 認証取得後の更新審査料等は対象外 |
| 設備等導入費 | なし | 可 | 単価税抜10万円未満の設備は対象外。設計費のみも対象外 |
| システム等導入費 | なし | 可 | 単価税抜10万円未満の物品は対象外。要件定義等コンサルティング費も対象外 |
| 専門家指導費 | なし | 不可 | 顧問契約先への依頼は対象外。宿泊費・タクシー代等も対象外 |
| 不動産賃借料 | なし | 可 | 敷金・礼金・仲介手数料・管理費等は対象外 |
| 販売促進費 | 150万円 | 不可 | 「発展」による新商品・サービスの販促のみ対象。既存事業の販促は対象外 |
| その他経費 | 100万円 | 不可 | 単価税抜10万円未満の物品購入は対象外 |
販売促進費の詳細(上限150万円)
販売促進費には以下の細目があります。既存事業の販売促進は対象外で、あくまで「発展」による新商品・新サービスの販促のみが対象です。
- 自社Webサイト制作・改修費
- 印刷物製作費(チラシ・カタログ等)
- PR動画製作費
- 広告費(新聞・雑誌・Web広告等)
- 出展小間料(リアル展示会)
- 資材費・輸送費・通訳費
- オンライン出展基本料
- ECサイト出店初期登録料
助成金申請額の計算方法
助成金申請額は、経費項目ごとに3分の2を乗じて計算します(千円未満切り捨て)。なお、助成限度額600万円を超える部分は自己負担となります。助成対象経費が900万円の場合、600万円(900万円×2/3)が助成金額となりますが、助成対象経費が1,500万円の場合であっても助成金額は上限の600万円に留まります。
助成金は後払いの精算払いのため、助成事業の実施段階では事業者自身が全額を自己資金で用意する必要があります。資金繰りの観点からも、実施前の資金計画を綿密に立てることが不可欠です。
審査の視点と採択を高める実践的戦略
書類審査・面接審査ともに、同じ5つの審査視点で評価が行われます。この視点の理解が、申請書類の質を大きく左右します。
| 審査の視点 | 評価される内容 | 申請書作成上のポイント |
|---|---|---|
| 発展性 | 既存事業の深化・発展に資する取組か | 既存事業との連続性・関連性を明示。「なぜ今この取組が必要か」を経営判断として記述する |
| 市場性 | 事業環境の変化前後の市場分析が十分か | 業界動向・競合環境・顧客ニーズの変化を具体的データとともに示す。定性的記述だけでなく定量的な市場規模・変化率を盛り込む |
| 実現性 | 取り組むための体制が整っているか | 社内の実施体制(担当者・役割分担)、外部パートナーの確保状況、資金調達の見通しを明示する |
| 優秀性 | 事業者としての創意工夫・今後の展望があるか | 他社が取り組んでいない独自の切り口・工夫点を明確化。3〜5年の事業展望を数値目標とともに提示する |
| 自己分析力 | 自社の状況を適切に理解しているか | SWOT分析等で自社の強み・弱みを客観的に把握・記述。「自社だからこそできる取組」の根拠を示す |
面接審査で押さえるべき点
面接審査は代表者・役員・従業員に限り最大2名が出席できます。顧問や外部コンサルタントの同席・代理出席は認められず、これが発覚した場合は審査に重大な影響を及ぼします。面接は日本語で行われ、電子機器(録音機器・PC等)の持ち込みは不可です。
申請書類に基づいて内容を説明することが基本ですが、補足資料・サンプル品の使用は必要最小限の範囲で認められます。面接官は申請書の内容を事前に把握しているため、書類と口頭説明に齟齬が生じないよう、申請書作成段階から代表者自身が内容を深く理解しておくことが肝要です。
申請手続きのフローと必要書類
申請方法
申請はデジタル庁が運営する電子申請システムjGrants(Jグランツ)のみです。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です(エントリーアカウント・メンバーアカウントでは申請不可)。GビズIDをまだ取得していない場合は、発行に数週間かかるため早急に手続きを開始することが必要です。
主な必要書類(法人の場合)
| 書類名 | 留意事項 |
|---|---|
| 申請様式 | 公社ホームページよりダウンロード |
| 誓約書(2種) | 反社会的勢力排除・助成金申請に関する誓約書 |
| 履歴事項全部証明書 | 発行後3ヶ月以内のもの(法務局発行) |
| 法人事業税・都民税 納税証明書 | 直近のもの(都税事務所発行) |
| 決算書【損益計算書】 | 直近2期分(申請様式に記入した営業利益と対応するもの) |
| 見積書・カタログ等 | 一契約あたり税抜30万円以上の経費について提出 |
| 相見積書 | 一契約あたり税抜100万円以上の経費は2社以上の見積書が必要 |
提出ファイル名は「法人名(屋号)_提出書類名_提出日付」の形式が必要です(例:壱市コンサルティング_履歴事項全部証明書_20260518)。
交付決定後の流れ
交付決定後の助成金受取までの流れは以下のとおりです。
①交付決定 → ②助成事業の実施(発注・契約・支払はすべて助成対象期間内) → ③実績報告書の提出(完了後原則1ヶ月以内) → ④完了検査(公社職員による現地確認) → ⑤助成金交付額の確定 → ⑥助成金の請求・支払
助成金の支払は精算払いのため、助成事業の実施段階では事業者自身の資金で全額支出することが必要です。また、交付決定後に助成事業の内容を変更することは原則認められません。やむを得ない変更が生じた場合は必ず事前に公社へ相談することが必要です。
まとめ:5つのポイント
本記事の内容を5つのポイントとして整理します。
- 令和8年度の新規事業で、3コース合計1,300社超の採択が予定されている大型支援制度。業務改善コース(上限600万円・年4回申請機会)の第1回受付は令和8年5月11日から5月29日まで。
- コース選択は財務状況と事業の方向性で決まる。業務改善・賃上げコースは「営業利益の前期比減少」、新市場・新分野進出コースは「売上高の前期比減少」が財務要件。賃上げ計画を策定できる場合は助成率が大幅に高まる。
- 助成対象経費は幅広いが、各経費区分に細かい要件がある。機械・設備・システムは単価税抜10万円以上が条件。販売促進費は上限150万円で「既存事業の発展」による新商品・新サービスの販促のみ対象。
- 審査は書類・面接の2段階で、5つの視点(発展性・市場性・実現性・優秀性・自己分析力)により評価される。面接は代表者等のみ出席可能で外部コンサルタントの同席は不可。申請書の内容を代表者自身が完全に把握しておくことが必要。
- 助成金は後払いの精算払いのため、事業実施段階の資金繰りが重要。交付決定前の発注・契約は対象外となるため、スケジュール管理を徹底すること。GビズIDの取得や書類準備も含め、申請受付開始前から準備を始めることが採択率向上につながる。
よくある質問(Q&A)
Q1. 業務改善コースの財務要件「営業利益の減少」とはどのように判断するのですか?
A1. 直近決算期の営業利益が、前期決算期と比較して1円でも減少していれば要件に該当します。例えば令和7年度(2025年度)の営業利益が100万円で、令和6年度(2024年度)の営業利益が110万円であれば、10万円の減少として要件アに該当します。損失計上(要件イ)との選択適用ですので、いずれか一方を満たせば申請可能です。判断の根拠として、直近2期分の決算書(損益計算書)を申請時に提出する必要があります。
Q2. 個人事業主でも申請できますか?
A2. 申請可能です。個人事業主は「納税地が都内にあること」が申請要件(地域要件)となります。また、中小企業者の定義における「従業員数・資本金」の要件は、業種に応じた従業員数での判定となります(資本金は法人のみが適用)。必要書類として開業届・個人事業税納税証明書・代表者の住民税納税証明書等が必要です。
Q3. 既存の機械装置の修繕費は助成対象になりますか?
A3. 対象外です。機械装置・工具器具費の経費区分では「自家用機械類・既存機械装置等の改良、修繕等に係る経費」が明示的に対象外とされています。新たに購入・リース・レンタルする場合に限り助成対象となります。また、単価が税抜10万円未満の物品も対象外です。
Q4. ITシステムの導入費は助成対象になりますか?
A4. システム等導入費の経費区分として対象となります。ただし、いくつかの重要な制限があります。①単価税抜10万円未満の物品は対象外、②要件定義等のコンサルティング費(仕様書作成費・サポート費用等)は対象外、③パソコンは汎用品として対象外、④ライセンス契約等は助成対象期間(最大1年分)のみが対象です。導入するシステムが「本事業の取組に直接必要」であることの説明が審査上重要なポイントとなります。
Q5. コンサルタントに申請書の作成を依頼することはできますか?
A5. Jグランツ上の当初申請手続きに限り、行政書士等の第三者が代理申請機能を使用することができます。ただし、申請の確認・提出および申請受付以降の手続きは申請事業者(代表者または従業員)が行う必要があります。また、面接審査への外部コンサルタントの同席は認められません。申請書の内容については代表者自身が深く理解し、面接で自分の言葉で説明できる状態にしておく必要があります。
Q6. 展示会への出展費用は助成対象になりますか?
A6. 販売促進費の「出展小間料」として対象となりますが、いくつかの条件があります。①「既存事業の発展」による新商品・新サービスの販促であること(既存事業の販促は対象外)、②助成対象となる展示会(商談を主目的とする一般公開のもの)であること、③出展・支払が助成対象期間内に行われること(申込・契約は期間前でも可)、などが主な条件です。また、販売促進費全体の上限は150万円です。
Q7. 新市場・新分野進出コースと業務改善コースの違いは何ですか?
A7. 最大の違いは「取組の方向性」と「助成上限額」です。業務改善コースは既存事業の深化・発展(700社採択予定・上限600万円)が対象で、新市場・新分野進出コースは新製品・新サービスで新市場へ参入する取組(100社採択予定・上限1,000万円)が対象です。財務要件も異なり、業務改善コースは「営業利益」の前期比減少、新市場コースは「売上高」の前期比減少です。新市場コースはアドバイザー派遣が最大10回と充実している一方、採択数が少なく競争が厳しいため、事業計画の精度が重要です。
Q8. 助成金は申請すれば必ず受け取れますか?
A8. 交付決定はあくまで助成金受取の前提条件であり、最終的な助成金額は助成事業の完了後に行われる完了検査の結果で確定します。①助成対象経費として認められない支出があった場合、②必要書類(納品書・請求書・振込控等)が不備の場合、③購入物が助成事業で実際に使用されていることが確認できない場合などは、交付決定額から減額されることがあります。また、不正が発覚した場合は助成金の全額返還と今後の申請禁止措置が取られます。適切な経理処理と書類管理が不可欠です。
Q9. 申請が不採択となった場合、再申請はできますか?
A9. 不採択となった場合、次回以降の募集で再度申請することが可能です。ただし、一度でも交付決定を受けた場合は同コースへの再申請はできません。不採択後に再申請する際は、審査上の弱点(申請書の記述内容・事業計画の説得力など)を見直したうえで申請することが重要です。なお、審査の内容・結果に関する個別のお問い合わせには回答が得られないため、不採択通知の文面と申請内容を自ら分析して改善点を特定する必要があります。
Q10. 他の助成金と併用することはできますか?
A10. 同一テーマ・内容で国・都道府県・区市町村等から助成等を受けていないこと、同一テーマで公社が実施する他の助成事業に申請していないことが要件となっています。ただし「同一テーマ・内容」でなければ、他の助成制度との併用は一律に禁止されているわけではありません。複数の助成制度を活用する際は、テーマ・経費の重複がないかを慎重に確認し、必要に応じて事務局に相談することが重要です。また、令和8年度中小企業収益力強化サポート事業のハンズオン支援との重複は明示的に禁止されています。
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書類準備から面接対策まで、申請の全工程をサポートします
壱市コンサルティングは、東京都中小企業振興公社の各種助成事業の支援実績を持つ、中小企業診断士・認定支援機関です。経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業についても、コース選択の検討段階から交付決定後の完了検査まで、一貫してご支援いたします。
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申請受付は令和8年5月11日(月)から始まります。書類の収集・準備には相応の時間が必要です。早い段階でご相談いただくほど、採択の可能性が高まります。
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
- ✅ 自社がどのコースに申請できるか判断できない
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- ✅ 過去に申請して不採択となり、再申請を検討している
株式会社壱市コンサルティング 代表取締役 / 中小企業診断士
不動産業界で約18年の実務経験(売買・賃貸・管理・開発)を経て独立。補助金・助成金の採択総額15億円以上・100件以上の支援実績を持つ。一方で「採択されても事業が進まない企業が多い」という現場課題を重視し、採択後の事業推進・経営改善まで一体的に支援するスタイルを取る。中小企業の経営者が「手段としての補助金・助成金」を正しく活用し、本業の成長につなげるための伴走支援を行っている。
各種補助金・助成金・融資など資金調達のサポート|壱市コンサルティング
本稿で繰り返し述べてきたとおり、助成金の申請は「採択されること」ではなく「事業として成果を出すこと」が目的です。壱市コンサルティングでは、書類作成だけで終わる支援ではなく、採択後の事業推進・資金計画まで一体的に伴走する支援を行っています。
資金調達サポートの特徴
当社には各業界に精通した中小企業診断士・行政書士が在籍しており、2〜3名体制で担当いたします。補助金・助成金と融資を組み合わせた資金調達戦略の設計から、事業計画・申請書類の作成、金融機関・行政対応まで、一貫してサポートします。
単なる書類作成にとどまらず、「通る計画」ではなく「実行できる計画」を重視しているのが、私たちの支援スタイルです。
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「情報収集段階」「まだ検討中」という段階でも問題ありません。市場開拓助成事業については、先着1社様限定で申請サポートを承っております(2026年公募対応)。また、公募・申請の1か月前からのご相談についても、事前面談のうえで対応可否を判断しておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
補助金・融資に関する事前相談では、以下の観点から貴社の状況を整理します。
①補助金・助成金・融資が活用可能な事業内容かどうか ②補助金と融資のどちら、または併用が適切か ③どの申請枠・制度を選ぶと有利か ④採択・融資審査における評価ポイントと注意点 ⑤事業計画・資金計画で重視すべき要素
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東京都の補助金・助成金申請、および融資を含む資金調達をご検討中の方は、壱市コンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。
