【令和8年(2026年)】事業承継・M&A補助金「事業承継促進枠」とは?15次公募の要件・補助額・申請のポイントを徹底解説

中小企業の経営者が高齢化し、後継者への引き継ぎが待ったなしの段階に入っています。そうしたなかで令和8年(2026年)5月、事業承継・M&A補助金の15次公募の公募要領が開示され、6月19日(金)から申請受付が始まります。親族内承継や従業員承継を予定する後継者の設備投資を後押しする「事業承継促進枠」は、世代交代を成長の契機に変えるための数少ない制度です。

この補助金の核心は、単なる代表者交代の費用補助ではありません。承継予定者が主導し、引き継いだ経営資源を活かして生産性を高める取組を支援する点にあります。補助上限額は最大1,000万円、小規模事業者であれば補助率は3分の2に達します。事業承継を「守り」ではなく「攻め」の起点に位置づける設計だと理解しておく必要があります。

本記事では、15次公募の事業承継促進枠について、対象者の要件・補助額・補助対象経費・申請フロー・加点事由・採択実績までを網羅的に整理します。これから親族や従業員への承継を考えている経営者の方はもちろん、後継者となる方、支援にあたる士業・金融機関の方にも参考になります。

事業承継が中小企業政策の最重要テーマになった背景

事業承継・M&A補助金を理解するためには、なぜ国がここまで事業承継の支援に力を入れているのか、その経緯を俯瞰する必要があります。日本の中小企業は経営者の高齢化が進み、後継者が決まらないまま廃業に至るケースが社会問題となってきました。技術や雇用、地域の取引網といった経営資源が、世代交代のタイミングで失われてしまうことは、地域経済にとって大きな損失です。

国はこの課題に対し、税制(事業承継税制)、相談体制(事業承継・引継ぎ支援センター)、そして資金面(本補助金)という三本柱で支援を組み立ててきました。本補助金は、その資金面を担う中核的な制度です。正式名称が「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金」であることが示す通り、事業承継を契機とした生産性向上を核心に据えています。言い換えれば、単に承継費用を肩代わりするのではなく、世代交代を企業の成長へと結びつけることを政策目的としているのです。

💡 POINT

本補助金は「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」「PMI推進枠」の4つの枠で構成されています。このうち事業承継促進枠は、親族内承継・従業員承継を予定する後継者の設備投資を支援する枠であり、M&Aの仲介手数料などを支援する専門家活用枠とは目的が異なります。

事業承継・M&A補助金の全体像と4つの枠

まず、自社がどの枠に該当するのかを正しく判断することが出発点になります。4つの枠はそれぞれ支援する場面が異なり、同一公募回での重複申請は原則できません。事業承継促進枠は、専門家活用枠・PMI推進枠との同一公募回での申請が不可とされている点に注意が必要です(廃業・再チャレンジ枠との併用は可能です)。

枠の名称 支援する場面
事業承継促進枠 親族内承継・従業員承継を予定する後継者が主導する、生産性向上に資する設備投資等
専門家活用枠 M&Aによる経営資源の引継ぎに伴う、仲介・FA費用等の専門家活用費(買い手支援・売り手支援)
PMI推進枠 M&A後の経営統合(PMI)に係る専門家活用や設備投資
廃業・再チャレンジ枠 廃業に伴う費用(他の枠との併用申請が可能)

15次公募回からは、専門家活用枠に「小規模売り手支援類型」という新類型が追加されています。本記事の主題である事業承継促進枠とは別枠ですが、M&Aによる譲渡を検討している小規模事業者にとっては選択肢が広がったことになります。

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事業承継促進枠の補助対象者と要件

事業承継促進枠の対象となるのは、日本国内で事業を営み、地域経済に貢献している中小企業者等です。中小企業基本法に準じた資本金・従業員数の基準を満たす必要があり、業種によって基準が異なります。

中小企業者等の主な基準

業種 資本金または従業員数(いずれか)
製造業その他 資本金3億円以下 または 従業員300人以下
卸売業 資本金1億円以下 または 従業員100人以下
小売業 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下

なお、課税所得の年平均額が15億円を超える事業者や、大企業に株式の過半を保有される「みなし大企業」、社会福祉法人・医療法人・一般社団法人などの法人格は対象外です。自社が対象になるかどうかは、申請前に必ず確認しておく必要があります。

補助対象となる事業承継の要件

事業承継促進枠の最大の特徴は、経営権と所有権の双方が、被承継者(引き継がせる側)から承継者(引き継ぐ側)へ移転することが要件となっている点です。単なる代表者の交代だけでは要件を満たしません。法人の場合は承継予定者による株式の取得、個人事業主の場合は被承継者の廃業と承継者の開業を伴う事業譲渡が求められます。

承継予定者については、対象会社での一定の経験が必要です。具体的には、役員として3年以上、または従業員として継続3年以上の業務従事経験があること、あるいは被承継者の親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)で代表経験がないことが求められます。

⚠️ 注意

次のようなケースは、実質的な事業承継とみなされず補助対象外となります。経営権・所有権の移転を伴わない代表者交代、グループ内の事業再編、物品・不動産のみを保有する事業の承継、フランチャイズ契約、従業員へののれん分け、休眠会社や設立間もない法人での代表者交代などです。「形だけの承継」では採択されない設計になっていると理解しておく必要があります。

また、対象会社は公募申請時点で3期分の決算・申告が完了していること、個人事業の場合は開業から5年が経過していることが必要です。事業承継は、公募申請期日である令和8年(2026年)7月24日から5年後の令和13年(2031年)7月23日までに完了させる計画でなければなりません。

補助上限額・補助率と賃上げ要件

事業承継促進枠の補助上限額は、賃上げ要件の達成状況によって変わります。基本の上限は800万円ですが、所定の賃上げ要件を満たす場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率は事業者の規模によって異なり、小規模事業者等であれば3分の2、それ以外は2分の1です。

区分 内容
補助下限額 100万円(補助額が100万円を下回る申請は受付不可)
補助上限額 800万円(賃上げ要件を満たす場合は1,000万円
補助率 小規模事業者等:3分の2以内 / それ以外:2分の1以内
※800万円超〜1,000万円の部分は補助率2分の1以内
廃業費の併用 +300万円以内(廃業・再チャレンジ枠との併用申請時)

ここでいう小規模事業者等とは、製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は従業員5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)の事業者を指します。多くの承継案件はこの基準に該当するため、補助率3分の2を活かせるケースは少なくありません

補助上限額を引き上げる賃上げ要件

上限額を1,000万円に引き上げるには、補助事業完了日を含む事業年度(基準年度)と比較し、翌年度の従業員1人当たり給与支給総額を3%以上引き上げる必要があります。この賃上げは公募申請時までに、全従業員または従業員代表者・役員に対して表明することが要件です。

⚠️ 注意

公募申請時に賃上げの意向を表明しなかった場合、後から賃上げを実施しても上限額は800万円のままです。また、賃上げを表明して上限を引き上げたにもかかわらず未達となった場合は、引き上げ額(最大200万円)の返還を求められます。表明するかどうかは、達成可能性を冷静にご判断ください。

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補助対象となる経費・ならない経費

補助対象経費は「事業費」と「廃業費」に大別されます。事業費の中心は設備費であり、店舗・事務所の工事費や機械装置・器具備品の調達費などが対象になります。一方で、汎用性が高く他の用途にも使えるもの(パソコン、タブレット、スマートフォン等)や、不動産購入費、中古品購入費、消耗品などは対象外です。

経費区分 主な内容
設備費 国内の店舗・事務所等の工事費、機械装置・器具備品の調達費(品目1件20万円以上が対象)
産業財産権等関連経費 特許権等の取得に要する弁理士費用等(事業費の3分の1が上限)
謝金 士業・大学教授等の専門家に支払う経費
旅費 販路開拓等を目的とした国内外出張の交通費・宿泊費
外注費・委託費 業務の一部を第三者に外注・委託する経費(委託費は事業費の2分の1が上限)
廃業費 廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費等(廃業・再チャレンジ枠併用時のみ)

📌 補足

1件(案件・発注)あたり50万円以上(税抜)の経費は、原則として2者以上からの相見積が必須となり、最低価格を提示した者を選定する必要があります。外注費・委託費については50万円未満でも相見積が必要です。また、事業承継に際して被承継者に支払う譲受費用(土地・資産購入費等)は補助対象外である点に注意してください。

支払方法にも制約があります。補助対象となるのは、補助事業者名義の事業用口座からの銀行振込、またはクレジットカードの1回払いのみです。現金払い、手形・小切手、PayPayやSuicaなどのキャッシュレスサービスでの支払いは対象になりません。

15次公募のスケジュールと申請の流れ

15次公募は、令和8年(2026年)5月22日(金)に公募要領が開示されました。申請受付期間は限られているため、早めの準備が欠かせません。特にGビズIDプライムアカウントの取得には1〜3週間程度かかるため、未取得の方は最優先で手続きを進める必要があります。

項目 時期(予定)
公募要領開示 令和8年(2026年)5月22日(金)
公募申請受付期間 令和8年(2026年)6月19日(金)〜7月24日(金)17:00
採択日 令和8年(2026年)9月中旬
補助事業期間 交付決定日(9月下旬予定)から14か月以内
事業承継対象期間 公募申請期日から5年後(令和13年〔2031年〕7月23日)まで

申請は、デジタル庁が運営する電子申請システム「Jグランツ」からのみ受け付けられます。申請にあたっては、認定経営革新等支援機関による確認書の発行が必要です。承継予定者の選定状況や事業承継計画の蓋然性について、認定支援機関の確認を受けた計画書でなければ要件を満たさない設計になっています。

📌 補足

公募申請時点では事業承継が完了していないことが前提のため、原則として被承継者を補助対象者として申請します。個人事業主の場合は、承継予定者が開業前であることに鑑み、被承継者と承継予定者による共同申請が必須です。申請締切直前に認定支援機関へ確認を依頼すると間に合わないことがあるため、余裕をもって準備を進めることが重要です。

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採択率を高める加点事由

本補助金には、採択審査において有利になる加点事由が用意されています。該当する場合は、それぞれを証する書類を提出することで加点を受けられます。事前に取得・準備できるものは、申請前に整えておくことが賢明です。

加点事由(主なもの)
「中小企業の会計に関する基本要領」または「指針」の適用を受けている
経営力向上計画・経営革新計画・先端設備等導入計画の認定を受けている
地域未来牽引企業・健康経営優良法人である
(連携)事業継続力強化計画の認定を受けている
代表者(予定を含む)が「アトツギ甲子園」の出場者である
えるぼし認定・くるみん認定等のワーク・ライフ・バランス推進の取組をしている
基準年度の翌年度に1人当たり給与支給総額を2%以上引き上げる賃上げを表明している
事業承継・引継ぎ支援センター等の支援を受けて事業承継計画書を策定している
米国の追加関税措置により大きな影響を受けている

特に注目したいのは、後継者の登竜門として知られる「アトツギ甲子園」の出場が加点対象になっている点です。これは事業承継促進枠が、若い後継者の挑戦を後押しする制度であることを象徴しています。賃上げ加点については、上限額引き上げ要件(3%)とは別に2%以上という基準が設けられている点も押さえておきましょう。

14次公募の採択実績から読み取れること

15次公募の戦略を立てるうえで、直前の14次公募の結果は重要な手がかりになります。事務局の公表によれば、14次公募の採択実績は次の通りです。

申請件数 採択件数 採択率(目安)
事業承継促進枠 169件 103件 約61%
専門家活用枠 299件 180件 約60%
PMI推進枠 43件 27件 約63%
全体 512件 311件 約61%

事業承継促進枠の採択率は約6割であり、申請すれば必ず通る制度ではありません。一方で、要件を満たし、生産性向上のストーリーが明確な計画であれば、十分に採択を狙える水準だと整理できます。採択の分岐は、承継予定者が主導する取組であること、引き継ぐ経営資源を活かした計画であること、付加価値額の伸び率が年3%以上という生産性向上要件を満たす蓋然性が高いことを、審査の着眼点に沿って具体的に示せるかどうかにあります。

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事業承継促進枠を活かすための実践的な視点

この補助金を最大限に活かすには、承継のタイミングと投資のタイミングを意図的に重ねることが鍵になります。後継者が決まったものの、設備が老朽化していて投資判断を先送りにしている、という状況こそ、最も有効に活用できる時期です。世代交代を機に古い設備を刷新し、新しい商品・サービスへ展開することは、まさに本補助金が想定する「生産性向上に資する取組」に合致します。

注意すべきは、本補助金が事業化状況報告を通じて生産性向上要件の達成を継続的に確認する仕組みになっている点です。補助金を受け取って終わりではなく、補助事業完了後5年間にわたり、各事業年度終了後90日以内に事業化状況を報告する義務があります。承継対象期間内に承継が完了しなかった場合や、生産性向上が未達となった場合には、補助金の返還を求められることもあります。

この制度の「真の使い方」

事業承継促進枠は、承継を単なる代替わりに留めず、後継者が引き継いだ経営資源に新たな投資を重ね、企業を次の成長段階へ押し上げるために資金を活用することが本来の趣旨です。補助金の獲得そのものより、承継後の事業をどう伸ばすかという設計が、採択にも事業の成功にも直結します。

まとめ|15次公募で押さえるべき5つのポイント

ポイント 内容
① 生産性向上が核心 承継予定者が主導し、引き継ぐ経営資源を活かして付加価値額を年3%以上伸ばす計画が前提です。
② 補助は最大1,000万円 補助上限は800万円、賃上げ要件達成で1,000万円。小規模事業者等は補助率3分の2を活かせます。
③ 経営権と所有権の移転が必須 単なる代表者交代では対象外。株式の取得や事業譲渡を伴う実質的な承継が要件です。
④ 申請は7月24日17時まで 受付は令和8年(2026年)6月19日〜7月24日。GビズID取得と認定支援機関の確認書が必要です。
⑤ 採択率は約6割 14次公募の事業承継促進枠は169件中103件が採択。計画の質が採否を分けます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 親族ではなく従業員に承継する場合も対象になりますか?

A1. 対象になります。事業承継促進枠は親族内承継と従業員承継の両方を対象としています。従業員が承継する場合は、対象会社の役員として3年以上、または従業員として継続3年以上の業務従事経験が必要です。さらに、経営権だけでなく株式等の所有権も承継者へ移転することが求められます。在籍している従業員が承継予定者となる場合は、申請時点でその法人に在籍していることも要件です。形式的な代表者交代ではなく、実質的に経営を引き継ぐ計画であることを示す必要があります。

Q2. まだ後継者が完全に決まっていなくても申請できますか?

A2. 公募申請時点で、要件を満たす将来経営者となる見込みの後継者(承継予定者)が選定できていることが必要です。完全に承継が完了している必要はありませんが、「誰に承継するか」が定まっていない段階では申請できません。事業承継は公募申請期日から5年後の令和13年(2031年)7月23日までに完了する計画で、その蓋然性が高いことを認定経営革新等支援機関の確認を受けた計画書で示す必要があります。後継者候補が複数いて未確定という段階であれば、まず承継計画の整理から着手することが先決です。

Q3. 補助率が3分の2になるのはどんな事業者ですか?

A3. 「小規模事業者等」に該当する場合に補助率3分の2が適用されます。具体的には、製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は従業員5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)の事業者です。これに該当しない場合の補助率は2分の1です。多くの承継案件は小規模事業者に該当するため、3分の2を活かせるケースは少なくありません。補助率2分の1と3分の2では自己負担額が大きく変わるため、自社がどちらに該当するかは申請前に必ず確認しておくことが重要です。

Q4. 被承継者から会社や事業を買い取る費用は補助対象になりますか?

A4. 対象になりません。事業承継に際して被承継者に支払う譲受費用(土地、資産購入費用等)は補助対象外です。被承継者に対して支払う費用は原則として補助対象になりません。本補助金が支援するのは、あくまで承継後に承継予定者が主導して行う生産性向上のための設備投資等です。承継そのものに伴う資産の譲渡費用と、承継後の成長投資を明確に区別して計画を立てることが、要件充足の前提になります。

Q5. パソコンやスマートフォンの購入は対象になりますか?

A5. 原則として対象になりません。パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、カメラなど、汎用性が高く容易に持ち運びでき他の目的にも使用できるものは補助対象外とされています。一方、補助対象事業のみに使用する特定業務用のソフトウェアや、店舗・事務所内に据え置きで専用と判断できる機械装置・器具備品は対象になり得ます。設備費は品目1件20万円以上(税抜)が対象となるため、何が対象になるかは個別の使用目的に照らして慎重に判断する必要があります。

Q6. 申請に認定経営革新等支援機関の関与は必須ですか?

A6. 必須です。事業承継促進枠の申請にあたっては、認定経営革新等支援機関による確認書の発行を受ける必要があります。事業承継計画表についても、認定支援機関等により事業承継の蓋然性が高いと確認を受けたものに限られます。申請締切の直前に確認を依頼すると間に合わない場合があるため、余裕をもって依頼することが重要です。認定支援機関は事業承継計画の蓋然性を客観的に評価する役割を担うため、早い段階から相談しておくことが賢明です。

Q7. 賃上げ要件は必ず満たさなければいけませんか?

A7. 賃上げ要件は、補助上限額を800万円から1,000万円に引き上げるための任意の要件です。賃上げをしなくても補助上限800万円で申請できます。上限を引き上げる場合は、補助事業完了日を含む基準年度と比較し、翌年度の従業員1人当たり給与支給総額を3%以上引き上げ、公募申請時までに従業員等へ表明する必要があります。ただし、表明して引き上げたにもかかわらず未達となった場合は引き上げ額(最大200万円)の返還を求められます。達成可能性を見極めたうえで判断することが重要です。

Q8. 他の補助金と併用できますか?

A8. 同一・類似内容の事業で、国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度と重複する場合は対象になりません。同一の補助対象経費について、自己負担分を超えて他制度の交付を受ける、または見込まれる場合も対象外です。一方、対象経費や事業内容が明確に分かれていれば、デジタル化・AI導入補助金やものづくり補助金など他制度を別事業で活用することは可能です。重複の懸念がある場合は、公募申請書(別紙)で重複に相当しない根拠を明確に示す必要があります。事業ごとに経費を切り分ける設計が前提になります。

Q9. 採択率を上げるために今からできることは何ですか?

A9. まず、事前に取得できる加点事由を整えることです。経営力向上計画や事業継続力強化計画の認定、健康経営優良法人やえるぼし・くるみん認定などは、計画的に準備すれば取得できます。次に、審査の着眼点である「取組の目的・必要性」「実現可能性」「収益性」「継続性」に沿って、承継予定者が主導する生産性向上のストーリーを具体的に描くことです。14次公募の事業承継促進枠の採択率は約6割であり、要件を満たし計画の質が高ければ十分に採択を狙えます。早い段階で事業計画の設計に着手することが、採択への近道です。

Q10. この補助金の本質を一言でいうと何ですか?

A10. 事業承継を「守り」ではなく「攻め」の起点に変える制度だという点に尽きます。多くの中小企業は、承継を代替わりという守りの局面として捉えがちです。しかし本補助金は、世代交代のタイミングこそ古い経営資源を刷新し、後継者の新しい発想で事業を伸ばす好機だと位置づけています。補助金を受け取ること自体が目的化すると、補助事業完了後5年間の事業化状況報告で生産性向上が問われる仕組みに対応できません。承継後の成長戦略まで描いて初めて、この制度を活かしきれると理解しておく必要があります。

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