コインランドリーが黒字になるかは「稼働率」でほぼ決まる|1店舗の数字で赤字の境目を見る

コインランドリーが黒字になるかは「稼働率」でほぼ決まる|1店舗の数字で赤字の境目を見る

コインランドリーが黒字になるかどうかは、機械の台数や立地の前に、稼働率でほぼ決まります。

同じお店でも、稼働率が5ポイント違うだけで、毎月の手残りは約16万円動きます。たとえば次の仮の例では、赤字と黒字の分かれ目は稼働率17.6%です。

本記事では、1軒のお店の仮の数字を使い、固定費、分かれ目の稼働率、近所に競合が出店したときの変化、始める前に見る3つの数字を整理します。投資をおすすめする記事ではなく、数字の見方をお伝えする記事です。

たとえば、こんなお店で計算します(仮の数字)

たとえば「ピカピカランドリー」というお店を考えます。店名も数字も、計算のために置いた仮の設定で、実在の店や統計の平均ではありません。

項目 仮の設定 補足
設備 機械7台・24時間営業・月30日 稼働率1%は、7台×24時間×30日×1%=月に50.4回の利用
売上 客単価800円・1回の利用は約1時間 稼働率1%あたりの売上は約4万320円(4.032万円)
変動費 売上の20% 電気・ガス・水道・洗剤など。売上の80%が手元に残る
初期投資 2,700万円 自己資金700万円+借入2,000万円
借入 10年返済・年2.5% 毎月の返済は約18.9万円
固定費 月56.9万円 家賃25万円・清掃と見回り5万円・保守や保険など8万円・返済約18.9万円

補足

金利は年2.5%で置いています。創業向けの制度融資(自治体が金融機関と組む融資)の水準を想定した置き方で、実際の金利は借り方・保証の有無・時期で変わります。税金は考えていません。

赤字と黒字の分かれ目は、稼働率17.6%

変動費が売上の20%なら、100円売れたときに手元に残るのは80円です。つまり、売上の8割で固定費をちょうど払える所が、赤字と黒字の分かれ目になります。

固定費56.9万円を0.8で割ると、月の売上71.1万円(固定費56.9万円+変動費14.2万円)です。稼働率に直すと、71.1万円÷4.032万円=17.6%です。

稼働率が1%上がると、売上は約4万円増え、変動費を引いた手残りは約3.2万円(3.2256万円)増えます。月の手残りは、次の式で表せます。

計算式

月の手残り=稼働率(%)×3.2256万円-固定費56.9万円

稼働率 月の売上(万円) 月の手残り(万円)
0% 0 -56.9
15% 60.5 -8.5
17% 68.5 -2.0
17.6%(分かれ目) 71.1 0
20% 80.6 +7.7
22% 88.7 +14.1
30% 121.0 +39.9

機器メーカーの試算では、稼働率は12〜15%が目安とされています。この仮の例では、目安どおりの15%でも手残りはマイナス8.5万円です。毎月の返済が約18.9万円あるためで、返済が軽ければ分かれ目は下がります。人の目安ではなく、自分のお店の分かれ目を自分で計算することが重要です。

📊 このセクションの要点

この仮の例の分かれ目は稼働率17.6%(月の売上71.1万円)です。稼働率1%あたりの手残りは約3.2万円で、5ポイントの違いは月約16万円の差になります。

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金利が変わっても、分かれ目はほとんど動かない

借入2,000万円・10年・元利均等で、金利だけを変えて試算します。金利が1ポイント動いても、分かれ目の稼働率は約0.3ポイントしか動きません。

年利 月の返済(万円) 固定費(万円) 分かれ目の月売上(万円) 分かれ目の稼働率
2% 18.4 56.4 70.5 17.5%
2.5%(この記事の設定) 18.9 56.9 71.1 17.6%
3% 19.3 57.3 71.6 17.8%
4% 20.2 58.2 72.8 18.1%

開業1年目に起きがちなこと:近所に競合が出店したら

仮の例の1年目を追います。開業直後はお店がまだ知られておらず、稼働率は15%でした。半年かけて利用が増え、稼働率は22%になります。ここまでは順調です。

ところが、開業から9か月目に、歩いて5分の所に新しいコインランドリーができました。利用者が分かれ、稼働率は22%から17%に下がります。

時期 稼働率 月の手残り(万円)
開業直後 15% -8.5
半年後 22% +14.1
9か月目(競合が出店) 17% -2.0

手残りは+14.1万円から-2.0万円へ、差は約16万円です。稼働率1%あたり約3.2万円が、5ポイント分なくなった計算(3.2256万円×5)で、この差は金利に関係しません。お客さんが減っても、家賃や返済は減りません。稼働率が分かれ目の17.6%を下回った瞬間に、赤字に変わります。

市場の数字も見ておきます。矢野経済研究所の調査では、コインランドリーの市場規模は約1,155億円で、前年比100.9%の微増です。日本コインランドリー連合会の推計では、全国に約2万6千店あります。需要があることと、1軒のお店が黒字になることは別の話です。だからこそ、お店1軒の数字で見る必要があります。

始める前に見る3つの数字

見る数字 見方 この仮の例では
分かれ目との余白 今の稼働率-分かれ目の稼働率。月に一度ではなく週ごとに見る 22%なら+4.4ポイント、17%なら-0.6ポイント
天気ごとの稼働率 雨の日と晴れの日で、稼働率がどれだけ違うかを記録する。台数を増やすのは、これを見てから 雨の日に機械が足りているかも分かる
固定費の中の返済の割合 売上が減っても返済は減らない。光熱費が上がれば分かれ目も上がる 固定費56.9万円のうち返済18.9万円で約33%

この3つを見ながら稼働率を20%まで戻せれば、手残りは+7.7万円になります。同じお店でも、稼働率の数字ひとつで景色が変わります。

補助金は「なくても成り立つか」を先に見る

機械の導入などで補助金を使う方もいます。大事なのは、補助金がなくても成り立つかを先に見ることです。補助金は多くが後払いで、家賃や返済などの固定費は変わらないためです。

まず補助金なしの数字で分かれ目を計算し、成り立つことを確かめます。そのうえで補助金が入れば、手元が増える分だけ余裕ができます。対象になるかどうかは、公募要領で必ず確認してください。

事前相談のご案内

事業の数字の整理は、事前相談でお話しします。ご自身の条件での分かれ目の出し方や、補助金を使う場合の考え方を、一緒に整理できます。お問い合わせフォームか公式LINEから、お気軽にご連絡ください。

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出典

稼働率の目安(12〜15%)は、機器メーカーの試算によります。市場の数字以外の数字は、この記事の仮の設定です。

※この記事は、開業や投資をおすすめするものではなく、数字の見方の整理です。個別の助言ではありません。数字や制度は変わります。実際に始める前に、ご自身の条件で試算し、最新の公式情報をご確認ください。

※ご相談は、制度の整理が中心です。書類作成や手続きなど士業の業務にあたる部分は、提携先の士業事務所と連携します。

株式会社壱市コンサルティング(ICHI-ICHI)

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