ものづくり補助金 第19次公募以降の動向と第22次公募の実務解説

―― 採択結果から読み解く「今、本当に評価される事業計画」とは何か ――

中小企業を取り巻く経営環境は、ここ数年で大きく様変わりしました。慢性的な人手不足、原材料価格やエネルギーコストの上昇、賃上げ要請への対応、デジタル化や海外市場対応の必要性など、経営者が同時に向き合わなければならない課題は増え続けています。その一方で、設備投資や新事業への挑戦は「必要だと分かっていても簡単には踏み切れない」状況に置かれている企業も少なくありません。

こうした中、中小企業の挑戦を制度面から支援してきたのが、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)です。しかし、直近の公募状況を見ると、この補助金はもはや「申請すれば通る制度」ではなくなっています。第19次公募以降、採択率はおおむね3割前後にまで低下し、事業計画の完成度と経営戦略との整合性が強く問われる段階に入ったと言えます。

本記事では、第19次・第20次公募の採択結果を起点に、現在進行中の第22次公募の内容を中心として、経営者がどのような視点で補助金を捉え、どのような準備をすべきかを体系的に解説します。


第19次・第20次公募の採択結果が示す構造的変化

まず、直近2回の採択結果を整理します。

第19次公募では、申請者数5,336者に対して採択者数は1,698者、採択率は約31.8%でした。続く第20次公募では、申請者数2,453者、採択者数825者で、採択率は約33.6%となっています。多少の上下はあるものの、3社に1社程度しか採択されない競争環境が定着していることが分かります。

さらに第20次では、枠別の内訳が明示されました。製品・サービス高付加価値化枠は比較的安定した採択率を維持した一方で、グローバル枠は2割台前半と、明らかに厳しい結果となっています。この数字が示すのは、「海外」というキーワードがあるだけでは評価されず、海外需要開拓としての必然性と実行力が伴わない計画は淘汰されているという事実です。

このような採択結果の背景には、制度運営側の姿勢の変化があります。ものづくり補助金は、単なる設備導入支援ではなく、「補助金を通じて中小企業の構造転換を促す政策ツール」としての色合いを強めています。そのため、事業としての完成度が低いもの、補助金がなければ成立しないもの、あるいは市場性が曖昧な計画は、採択されにくくなっています。


第22次公募の位置づけと全体スケジュール

こうした流れを受けて実施されるのが、第22次公募です。第22次では、公募期間が2025年10月24日から2026年1月30日までと設定され、電子申請の受付開始は2025年12月26日となっています。採択結果の公表は2026年4月下旬頃が予定されています。

ここで経営者が特に注意すべき点は、電子申請開始が年末年始をまたぐことです。GビズIDの取得、見積書の準備、社内での投資判断、事業計画の詰めといった作業を年内にどこまで進められるかが、申請の質を左右します。実務的には、「締切までまだ時間がある」と考えて動き出しが遅れる企業ほど、計画の完成度が下がり、不採択リスクが高まる傾向があります。

第22次公募は、制度内容そのものよりも、準備の早さと計画の成熟度が結果に直結しやすい公募であると言えるでしょう。


第22次公募の申請枠と補助内容の整理

第22次公募では、申請枠は大きく2つに整理されています。

製品・サービス高付加価値化枠

この枠は、国内向けの新製品・新サービス開発、生産性向上を目的とした設備投資を対象としています。補助上限額は従業員規模によって異なり、5人以下で750万円、6~20人で1,000万円、21~50人で1,500万円、51人以上で2,500万円です。補助率は中小企業が1/2、小規模事業者が2/3となっています。

ここで重要なのは、「高付加価値化」という言葉が示す通り、単なる老朽設備の更新や能力増強は対象外になりやすいという点です。新たな製品・サービスの創出、あるいは既存事業に明確な価値向上をもたらす取組であることが、事業計画上はっきりと示されていなければなりません。

グローバル枠

グローバル枠は、海外需要開拓を目的とした事業を対象とします。補助上限額は一律3,000万円で、従業員規模による区分はありません。補助率は高付加価値化枠と同様に、中小企業1/2、小規模事業者2/3です。

対象となる事業類型としては、輸出、海外進出、インバウンド対応、海外企業との共同事業などが例示されています。ただし、第20次の採択結果が示す通り、グローバル枠は「難易度の高い枠」であり、海外市場での販売戦略、価格設定、競争優位性が具体的に描けていない計画は通りにくい傾向があります。


第22次公募で明確になった審査の着眼点

第22次公募の公募要領を詳細に読むと、審査で重視されるポイントがかなり具体的に整理されていることが分かります。大きく分けると、以下の3点が核になります。

1.革新性(新規性・独自性)

革新性とは、必ずしも「世界初の技術」を意味するものではありません。しかし、同一地域や同一業界内で既に広く普及している取組は、高い評価を受けにくいのが実情です。技術的な新規性だけでなく、提供価値、ビジネスモデル、顧客体験の変化など、どこに新しさがあるのかを言語化できるかが重要になります。

2.必要性と因果関係

審査では、「なぜその設備投資が必要なのか」「その投資がなければ何が実現できないのか」という因果関係が厳しく問われます。設備を導入すること自体が目的になっている計画は評価されにくく、設備はあくまで手段であり、目的は事業の価値創出であるという構造が明確である必要があります。

3.市場性・収益性

誰に、いくらで、どのように売るのか。市場規模、顧客像、競合との違い、価格設定、収益見通しが論理的につながっているかが重要です。補助金終了後も事業が継続・成長できるかどうか、いわば「自走可能性」が問われています。


賃上げ・最低賃金特例をどう考えるべきか

第22次公募では、賃上げや最低賃金引上げに取り組む事業者に対して、補助上限額や補助率が引き上げられる特例が設けられています。一見すると「使った方が得」と感じやすい制度ですが、経営者としては慎重な判断が必要です。

特例は、採択後に要件を達成することが前提となります。要件未達の場合、補助金の返還が求められる可能性があるため、短期的な採択メリットだけで判断するとリスクが高いと言えます。人材確保や定着、組織強化という中長期の人件費戦略と整合する場合にのみ、積極的に活用すべき施策です。


第19次以降の流れから見える「採択されやすい企業像」

第19次・第20次の採択結果と、第22次公募の要件を総合すると、採択されやすい企業には明確な共通点があります。

第一に、補助金を「資金調達手段」ではなく、「成長戦略を加速させるための一要素」として位置づけている点です。第二に、設備投資と売上・付加価値向上の因果関係が明確であり、数字で説明できていること。第三に、国内外の市場を意識した中長期的な事業構想を持ち、それを実行に落とし込む体制まで描けていることです。

逆に、「使える補助金だから申請する」「とりあえず設備を入れたい」といった発想では、現在のものづくり補助金では採択を勝ち取ることは難しくなっています。


経営者が第22次公募に向けて取るべき実務的ステップ

第22次公募に向けて、経営者が取るべき行動は明確です。まず、自社の中期的な経営課題を整理し、その解決手段として本当に設備投資や新事業が必要かを検討します。そのうえで、国内向けなのか海外向けなのか、どの枠が自社に適しているかを判断します。

次に、設備投資の内容を具体化し、それがどのように価値創出につながるのかを因果関係で整理します。最後に、市場性・収益性を数字で示し、補助金がなくても成立する事業構造を描くことが重要です。


まとめ:第22次公募は「経営計画の完成度」が問われる局面

第19次公募以降、ものづくり補助金は明確に選別型の制度へと移行しています。第22次公募は、制度理解だけでなく、自社の経営戦略そのものを言語化できる企業にとって、大きなチャンスとなります。

補助金を単なる一時的な資金支援で終わらせるのではなく、設備投資・人材・市場戦略を一本のストーリーとして描けるか。それこそが、これからのものづくり補助金で採択を勝ち取るための最大のポイントです。

ものづくり補助金の申請サポートについて(株式会社壱市コンサルティング)

株式会社壱市コンサルティングでは、ものづくり補助金をはじめとする大型補助金(数百万円~数千万円規模)の申請支援に特化したコンサルティングサービスを提供しています。

当社の補助金申請サポートは、単なる申請書作成代行ではありません。
事業戦略・設備投資計画・市場性・収益性を一体で整理し、「採択される事業計画」に落とし込むことを重視しています。

中小企業診断士による複数名体制の申請支援

壱市コンサルティングでは、専門分野を持ち、各業界に精通した中小企業診断士が2~3名体制で担当します。
1名体制では見落とされがちな論点(革新性・必要性・市場性・実行可能性)について、複数の専門家視点でクロスチェックを行いながら申請書を構築する点が特長です。

  • 製造業・サービス業・建設業・IT・医療・卸売業など、業種特性を踏まえた対応
  • 設備投資と売上・付加価値向上の因果関係整理
  • 公募要領・審査観点を踏まえたストーリー設計

など、第19次以降の選別型公募に対応した実務レベルの支援を行っています。

ものづくり補助金をはじめとする大型補助金に継続対応

ものづくり補助金は単年度で終わる制度ではなく、切れ目なく公募が続く中長期型の補助金制度です。
壱市コンサルティングでは、第23次以降の公募も見据え、

  • ものづくり補助金
  • 新事業進出補助金
  • 省力化投資補助金(一般型)
  • 成長加速化補助金

など、中小企業の成長投資に直結する補助金申請を継続的にサポートしています。
現在、先着5社様限定で申請サポートを承っております。

ものづくり補助金で不採択となった事業者様向け特別対応

第19次ものづくり補助金では、合計3,638社の事業者様が不採択となりました。
「事業内容には自信があったが、なぜ通らなかったのか分からない」という声も少なくありません。

壱市コンサルティングでは、第19次で不採択となった事業者様を対象に、補助金コンサル乗り換えキャンペーンを実施しています。

  • 初回無料相談
  • 申請内容・不採択要因の整理
  • 着手金の割引対応

など、再チャレンジを前提とした実務的な支援を行います。
「前回の申請をどう改善すべきか」「次回公募で何を変えるべきか」を明確にしたうえで、次の申請につなげます。

今回の公募で何を変えるべきか」を明確にしたうえで、次の申請につなげます。

今後、ものづくり補助金の申請をご検討の方へ

ものづくり補助金は、今や経営計画そのものの完成度が問われる制度です。
申請を検討されている方、過去に不採択となった方、これから設備投資・新事業を本格化させたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

補助金ありきではなく、「経営戦略として使う補助金」という視点で、最適な申請支援をご提案いたします。

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