事業承継・M&A補助金

第14次 事業承継・M&A補助金 公募開始~事業承継を前に進めるための制度概要・スケジュール・対象経費の総まとめ

事業承継は、「社長が交代する」という一点だけで完結するものではありません。
後継者の選定、権限や株式の移転、金融機関や取引先への説明、従業員の不安への対応、そして承継後の成長戦略――これらを同時に進める必要がある、極めて実務負荷の高い経営課題です。

こうした事業承継を単なる引き継ぎで終わらせず、次の成長につなげるために設けられているのが、「事業承継・M&A補助金」です。
第14次公募では、特に親族内承継・従業員承継などの事業承継を後押しする枠(事業承継促進枠)が用意されており、承継を契機とした設備投資や業務改善の取組を支援する内容となっています。

本記事では、2026年1月30日から開始された第14次公募について、
公募の全体像/スケジュール/事業承継促進枠の内容/補助金の対象経費(何の費用が補助されるのか)/実務上の注意点までを、ひとつの記事として整理します。


第14次 事業承継・M&A補助金の全体像

第14次公募では、主に次の4つの枠が設けられています。

  • 事業承継促進枠
  • 専門家活用枠
  • PMI推進枠
  • 廃業・再チャレンジ枠

このうち、事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継などを予定している中小企業が、承継を機に行う生産性向上等の取組を支援する枠です。

本記事では、この「事業承継促進枠」を中心に解説します。


第14次公募のスケジュール(申請から補助金受領まで)

第14次公募の申請は、電子申請のみで行われます。
申請受付期間は、2026年2月27日から2026年4月3日17時まで(予定)とされています。

申請後の大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 公募申請(電子申請)
  2. 採択結果の公表(2026年5月頃予定)
  3. 交付申請
  4. 交付決定
  5. 補助事業の実施(設備導入・外注等)
  6. 実績報告
  7. 補助金額の確定・交付

重要な点として、採択された時点では、まだ発注・契約はできません
原則として、交付決定後に契約・発注し、補助事業期間内に支払いまで完了した経費のみが補助対象となります。


事業承継促進枠とは何を支援する制度か

事業承継促進枠は、事業承継を予定している企業が、承継をきっかけに行う生産性向上等の取組を支援する制度です。

ここで重要なのは、
「事業承継そのものにかかる費用」を補助する制度ではない、という点です。

この枠で支援されるのは、

  • 承継後の経営を見据えた設備投資
  • 業務効率化・生産性向上のための取組
  • 承継後の事業基盤を強化するための施策

といった、**承継を契機とした“前向きな投資”**です。

また、対象となる事業承継は、経営権および所有権が被承継者から承継者へ移転することが前提となります。
単なる代表者交代や、形式的な引き継ぎは対象にならない点に注意が必要です。


補助額・補助率の基本的な考え方

事業承継促進枠では、申請時の補助額が100万円を下回る申請は受け付けられません

補助率は、企業規模によって異なります。

  • 小規模企業者:補助率 2/3以内
  • 上記以外の中小企業:補助率 1/2以内

補助上限額は、原則として 800万円 です。
一定の賃上げ要件を満たす場合は、上限が 1,000万円 まで引き上げられます。ただし、賃上げ要件を満たせなかった場合、上限額が引き下げられる点には注意が必要です。


この補助金で「何の費用が対象になるのか」

補助対象経費の大原則

補助対象となる経費は、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 補助事業の遂行に必要であること
  • 補助事業期間内に契約・発注し、支払いまで完了していること
  • 実績報告時に、契約書・請求書・支払証憑などで内容と金額が確認できること

この条件を満たさない経費は、内容にかかわらず補助対象外となる可能性があります。


事業承継促進枠における対象経費(事業費)

事業承継促進枠で補助対象となる「事業費」は、主に次の6区分に整理されています。

1. 設備費

国内の店舗・事務所・工場等の工事、国内で使用する機械・器具等の調達にかかる費用です。

例としては、

  • 生産設備、加工機、検査装置の導入
  • 業務効率化のための機械・装置
  • 生産性向上を目的とした店舗・工場内の改修工事

などが該当します。

一方で、売上原価に該当する仕入や、単なる老朽化対応、汎用性が高く事業との関連が説明できない機器等は対象外になりやすい点に注意が必要です。


2. 産業財産権等関連経費

補助対象事業の実施に直接関係する、特許権等の取得に必要な弁理士費用が対象となります。

事業と直接関係のない権利化や、将来的な可能性にとどまるものは対象外と判断されることがあります。


3. 謝金

補助対象事業を実施するために依頼した専門家に支払う報酬です。

  • 生産工程改善の助言
  • 業務プロセス再設計の支援
  • 設備導入後の運用設計に関する助言

などが典型例です。

「誰に」「何を依頼し」「どのような成果を得たか」が明確であることが重要です。


4. 旅費

販路開拓や事業実施に必要な国内外出張の交通費・宿泊費が対象となります。

出張の目的と補助事業との関連性を説明できること、証憑が整っていることが求められます。


5. 外注費

業務の一部を第三者に請け負わせるための費用です。

  • 治具や試作品の製作
  • システムの一部開発
  • 制作物の作成

など、「成果物」が明確な請負業務が該当します。


6. 委託費

業務の一部を第三者に委任するための費用です。

  • 調査・分析業務
  • 業務改善の実施支援
  • プロジェクト支援

などが該当します。成果物や業務内容が確認できることが重要です。


対象外になりやすい費用の代表例

事業承継促進枠では、次のような費用は原則として補助対象外とされています。

  • 売上原価に相当する仕入・原材料費
  • 被承継者に支払う事業譲渡代金や資産購入費用
  • 事業と直接関係のない消耗品・汎用機器
  • 交付決定前に契約・支払いを行った費用

特に、「事業を引き継ぐための対価(株式取得費用等)」が補助される制度ではない点は、誤解されやすいポイントです。


実務上の注意点:経費は「内容」だけでなく「手順」で決まる

補助対象経費は、内容が適切でも、

  • 契約・発注のタイミング
  • 支払い時期
  • 証憑の不備

によって対象外となることがあります。

見積 → 契約・発注 → 納品・検収 → 請求 → 支払い、という流れを意識し、すべてを補助事業期間内に完結させることが重要です。


事業承継・M&A補助金の申請サポートについて

壱市コンサルティングでは、当社に所属する中小企業診断士・行政書士が、
事業承継・M&A補助金をはじめとした各種補助金の申請サポートを行っています。

補助金申請は、単に書類を作成すればよいものではありません。

  • 補助金の趣旨に合った事業内容か
  • どの申請枠を選ぶべきか
  • 審査でどの点を見られるか

といった点を踏まえた事業設計そのものが、採択結果を大きく左右します。


専門分野を持つ中小企業診断士・行政書士が責任をもって対応

壱市コンサルティングには、業界別・テーマ別に専門分野を持つ中小企業診断士・行政書士が在籍しています。

製造業、建設業、IT・サービス業など、
事業内容や事業承継・M&Aの形態に応じて最適な担当者が責任をもってサポートします。

  • 事業内容を正確に理解したうえでの申請書作成
  • 数字や事業計画の整合性チェック
  • 審査視点を踏まえた表現・構成のアドバイス

といった点を重視し、
「通る可能性を高める申請」を一緒に作り上げます。


事業承継・M&A補助金の活用をご検討中の方へ

今後、事業承継やM&Aを予定しており、補助金の活用を検討している方は、
ぜひ一度、壱市コンサルティングまでお問い合わせください。

「申請すべきかどうか迷っている段階」
「この投資が補助金の対象になるのか確認したい」

といった初期段階からのご相談も可能です。

補助金ありきではなく、
事業として本当に意味のある取り組みかどうかという視点も含めて、
中小企業診断士・行政書士が客観的にアドバイスいたします。

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