資産を手放さずに資金を確保する方法~不動産・車両リースバックの実務と意思決定のポイント~株式会社壱市コンサルティング ニュースレポート(2026年2月発行)
- 不動産・車両リースバックの実務と、失敗しないためのFAQ大全
- 1. リースバックとは何か:一言で言うと「売って借りる」
- 2. 銀行融資と何が違うのか:「会社の信用」ではなく「資産の価値」
- 3. 不動産リースバック:拠点を守りながら大型資金を作る
- 4. 車両(トラック等)リースバック:スピード資金化と稼働継続
- 5. リースバックはどんな目的で使うべきか:3つの典型
- 6. 失敗しないための実務チェックリスト(契約前)
- リースバックを検討する経営者・財務担当が最初にぶつかる疑問に答える
- Q1. リースバックは借金(借入)ですか?
- Q2. 赤字や債務超過でも利用できますか?
- Q3. 税金や社会保険料の未納があっても使えますか?
- Q4. 取引先や従業員に「資金繰りが厳しい」とバレませんか?
- Q5. 不動産リースバックの最大のデメリットは何ですか?
- Q6. 車両リースバックはどれくらいの期間で資金化できますか?
- Q7. 減価償却済み(簿価1円)の車両でも資金化できますか?
- Q8. 車両リースバックの落とし穴は何ですか?
- Q9. リースバック後に、資産を買い戻すことはできますか?
- Q10. リースバックとファクタリング、どちらが良いですか?
- Q11. リースバックを“やってはいけない”のはどんな会社ですか?
- Q12. 契約前に必ず確認すべき項目を3つに絞ると?
- Q13. リースバックで調達した資金の使い道は何が良いですか?
- Q14. どの業者を選べばいいですか?
- Q15. リースバック実行までに社内で準備すべきことは?
- まとめ:リースバックは「資金調達」ではなく「資金繰りの再設計」
- 各種補助金・融資など資金調達のサポート|壱市コンサルティング
不動産・車両リースバックの実務と、失敗しないためのFAQ大全
中小企業の資金繰りは、「利益が出ているかどうか」だけでは決まりません。
売上が伸びている会社でも、入金サイトが長く支払いが先行すれば資金は不足します。逆に、利益が薄くても資金の出入りが安定していれば事業は継続できます。だからこそ、経営において資金繰りは“空気”のように重要です。足りなくなった瞬間に、あらゆる意思決定が制約されます。
資金調達の王道は銀行融資です。ただ、実務では次のような壁に直面することも珍しくありません。
- 決算内容が思わしくなく審査が進まない
- 追加融資より返済圧縮を求められる
- 審査に時間がかかり、支払期限に間に合わない
- 税金・社会保険の状況がネックになる
- 既存借入が多く、これ以上の借入が難しい
こうした場面で、資金調達の選択肢を「融資」だけに限定してしまうと、打てる手が一気に減ります。そこで理解しておきたいのが、保有資産の価値を使って現金化する セールアンドリースバック(以下、リースバック) です。
リースバックは、うまく活用すれば「事業を止めずに資金を確保する」強力な手段になります。一方で、契約設計を誤ると、長期的に重いコスト負担を抱え、資金繰りがさらに悪化することもあります。
本記事では、リースバックの仕組みから実務の判断軸までを整理したうえで、最後に FAQ(よくある質問) を“体系立てて”掲載します。経営者・財務責任者が社内で検討しやすいよう、できるだけ具体的に書きます。
1. リースバックとは何か:一言で言うと「売って借りる」
リースバックは、自社が保有する資産を第三者に売却して現金化し、同時に賃貸借契約(リース契約)を結ぶことで、同じ資産を使い続けながら資金を得る手法です。
リースバックの基本構造
- 資産の所有権:買い手に移転
- 資産の使用権:借り手として継続
- キャッシュ:売却代金が一括入金
- 継続コスト:毎月の賃料(リース料)が発生
ここで大切なのは、リースバックは「返済」ではなく「賃料」の支払いが続く点です。
つまり、短期的な資金確保だけでなく、長期の支払い構造(固定費)をどう設計するかが成否を分けます。
2. 銀行融資と何が違うのか:「会社の信用」ではなく「資産の価値」
銀行融資の審査は、端的に言えば「返せるかどうか」です。
一方、リースバックは、資産価値が中心の判断軸になりやすいのが特徴です。
リースバックが検討されやすい局面
- 直近の業績が悪化していても、資産価値がある
- 迅速に資金を作りたい(特に車両)
- 事業拠点や車両を止められない
- 借入を増やしたくない/増やせない
また、固定資産を売却して現金化すると、貸借対照表(B/S)の構造が変わります。固定資産が圧縮され、現金比率が上がり、自己資本比率が改善する場合もあります。
これは、その後の金融機関交渉や取引条件の見直しにプラスに働く可能性があります(もちろん、状況により異なります)。
3. 不動産リースバック:拠点を守りながら大型資金を作る
不動産リースバックの対象は、社屋・工場・倉庫・店舗・オフィスビルなどです。
不動産は資産規模が大きいため、数千万円〜数億円規模の資金調達につながることがあります。
不動産リースバックの主な利点
- まとまった資金が一括で入る
- 原則として固定資産税等の負担が所有者側へ移る
- 移転を伴わず事業を継続できる
- B/Sのスリム化で財務の見え方が変わる
注意点(ここを見誤ると失敗する)
- 月額賃料が高すぎないか(将来の固定費化)
- 契約期間が長すぎないか/途中解約できるか
- 更新時の賃料改定ルール(段階的増額など)
- 修繕・原状回復の負担が借主に偏りすぎていないか
- 将来買い戻す可能性があるなら、その条件が明確か
不動産は金額が大きい分、条件のわずかな違いが経営に与える影響も大きくなります。
「いくら調達できるか」より先に、“その賃料を何年払い続けても経営が成り立つか“を中心に検討してください。
4. 車両(トラック等)リースバック:スピード資金化と稼働継続
車両リースバックは、特に運送業・建設業・製造業などで活用されます。トラック、ダンプ、クレーン車などの商用車は市場価値が評価されやすく、資金化までのスピードが比較的早い傾向があります。
車両リースバックの利点
- 最短1週間程度で資金化の可能性
- 売却後も同じ車両を使い続けられる
- 減価償却済みでも市場価値があれば資金化できるケース
車両リースバックで見落としがちな落とし穴
- 契約終了時に返却が必須 → その後の買い直し負担が発生
- 買戻し・再リースの可否で“将来の稼働”が変わる
- 走行距離や使用条件の制限
- 修理・整備・保険・事故時の責任分担
車両は「稼働=売上」の要素が強い資産です。
よって、検討の中心は「今いくら資金が入るか」だけでなく、契約終了時に事業が止まらない設計になっているかに置くべきです。
5. リースバックはどんな目的で使うべきか:3つの典型
リースバックを検討する企業の目的は、概ね次の3つに集約されます。
目的①:短期資金ショートの回避(時間を買う)
支払期限が迫り、融資では間に合わない。
この局面で、資金化の速さが価値になります(特に車両)。
目的②:借入依存の是正(財務の組み替え)
借入が膨らみ、追加融資が難しい。
固定資産を現金化して借入返済に充て、B/Sを組み替える。
目的③:高コスト資金からの脱却(例:ファクタリング依存)
手数料負担が重く、資金繰りが改善しない。
まとまった資金で整理し、通常の資金調達へ回帰させる。
重要なのは、リースバックは「目的達成のための手段」であり、目的が曖昧なまま実行すると、賃料負担だけが残りやすい点です。
6. 失敗しないための実務チェックリスト(契約前)
契約前に、最低限ここだけは押さえてください。
金額・コスト
- 売却代金(入金日含む)
- 月額賃料
- 契約期間中の総支払額
- 途中解約条件・違約金
- 更新時の賃料改定ルール
継続利用
- 使用条件(走行距離・用途制限など)
- 修繕・整備・保険の負担区分
- 事故・災害時の扱い
契約終了後(最重要)
- 返却が必須か
- 買戻しは可能か(価格算定方法)
- 再リースは可能か(条件)
経営の打ち手
- 調達後に実行する改善策(値上げ、原価改善、回収条件見直し等)
- その改善策で賃料を吸収できる見込みがあるか
FAQ(よくある質問)
リースバックを検討する経営者・財務担当が最初にぶつかる疑問に答える
ここからは、実務で実際に多い質問を、意思決定に役立つ形でまとめます。
社内説明用にも使えるよう、結論を先に、次に理由・注意点を記載します。
Q1. リースバックは借金(借入)ですか?
A. 借入ではありません。
資産を「売却」して現金化し、その後は「賃料」を払って使い続ける取引です。返済義務のある融資とは性質が異なります。
ただし、毎月の賃料は固定費になるため、資金繰りへの影響は“返済”と同等以上に大きくなる場合があります。
Q2. 赤字や債務超過でも利用できますか?
A. 可能性はあります。
リースバックは資産価値が中心となりやすく、会社全体の信用力が厳しい場合でも検討余地があります。
ただし、条件(賃料・期間・買戻し条件など)が厳しくなることもあるため、複数提案を比較することが重要です。
Q3. 税金や社会保険料の未納があっても使えますか?
A. スキーム次第で可能性があります。
ただし未納がある場合、差押えリスクや取引設計上の制約が生じることがあります。未納の有無だけでなく、金額、進捗、納付計画なども含めて整理し、早めに専門家へ相談するのが現実的です。
Q4. 取引先や従業員に「資金繰りが厳しい」とバレませんか?
A. 不動産の場合、外部からは分かりにくい傾向があります。
ただし、支払い遅延など別の要因で信用不安が広がることはあり得ます。リースバックは“資金繰り安定化”のために使い、遅延を防ぐことが重要です。
Q5. 不動産リースバックの最大のデメリットは何ですか?
A. 長期的な賃料負担が固定費として残ることです。
資金が入る一方で、賃料の支払いが続きます。
「受け取る額」より「払い続ける額(総額)」を重視しないと、長期的に資金繰りを圧迫します。
Q6. 車両リースバックはどれくらいの期間で資金化できますか?
A. 車両は不動産より早く、最短1週間程度で資金化できる可能性があります。
ただし、車両の種類・状態・書類の整備状況により変動します。急ぐ場合ほど、必要書類の準備と、査定・契約の段取りが重要です。
Q7. 減価償却済み(簿価1円)の車両でも資金化できますか?
A. 可能性があります。
簿価(会計上の価値)と市場価値(売れる価値)は別です。市場で評価されれば資金化できるケースがあります。
Q8. 車両リースバックの落とし穴は何ですか?
A. 契約終了後に返却が必要になり、買い直し負担が発生することです。
事業上その車両が不可欠なら、買戻しや再リースの選択肢があるかを契約前に必ず確認してください。
Q9. リースバック後に、資産を買い戻すことはできますか?
A. 契約設計によります。
買戻し・再リースが可能なスキームもありますが、条件(価格算定・時期・手続き)が曖昧だと後で揉めやすいので、契約書に明確化が必要です。
Q10. リースバックとファクタリング、どちらが良いですか?
A. 目的と時間軸で決まります。
ファクタリングはスピードが出やすい反面、手数料負担が重くなりやすく、依存すると資金繰りが改善しにくい構造があります。
リースバックは資産価値を使うため、まとまった資金で高コスト資金を整理し、資金調達構造を立て直す用途に向く場合があります。
Q11. リースバックを“やってはいけない”のはどんな会社ですか?
A. 資金化後の改善策がなく、賃料負担を吸収できない会社です。
リースバックは「資金繰りを立て直す時間」を作る手段です。
値上げ、原価改善、回収条件の見直し、稼働率向上など、賃料を吸収する打ち手がない場合は、短期で資金が入っても中長期で詰みやすくなります。
Q12. 契約前に必ず確認すべき項目を3つに絞ると?
A. 次の3つです。
- 総支払額(賃料×期間)
- 途中解約条件(違約金含む)
- 契約終了後の扱い(返却/買戻し/再リース)
この3点が曖昧な契約は、後で高確率で問題になります。
Q13. リースバックで調達した資金の使い道は何が良いですか?
A. “資金繰り改善に直結する使い道”が基本です。
例:高金利・高コスト資金の整理、支払い遅延の解消、運転資金の厚み確保、稼働率改善につながる投資など。
設備投資に使う場合は、投資回収計画が賃料負担を上回るかが重要です。
Q14. どの業者を選べばいいですか?
A. 条件比較ができる業者(または複数案を提示できる支援者)を推奨します。
リースバックは商品性が多様で、賃料・期間・出口条件が業者ごとに違います。1社だけで即決すると不利な条件を引きやすいため、比較検討が原則です。
Q15. リースバック実行までに社内で準備すべきことは?
A. 最低限、次の3点です。
- 資金繰り表(向こう3〜6か月)
- 資産情報(不動産なら権利関係、車両なら車検証等)
- 調達後の改善計画(何に使い、どう立て直すか)
これが揃うと、条件交渉も、社内説明も、判断も速くなります。
まとめ:リースバックは「資金調達」ではなく「資金繰りの再設計」
リースバックは、資産を活かしてまとまった資金を確保し、事業を止めずに経営を立て直すための有効な選択肢です。
ただし、成功の条件は明確で、
- 賃料負担の持続可能性
- 契約終了後の出口設計
- 資金化後の改善施策の具体性
この3つが揃って初めて、“資金繰りを良くする手段”になります。
反対に、目的が曖昧で、改善策もなく、出口条件も詰めないまま契約すると、短期的に楽になったように見えても、長期で経営が苦しくなる可能性があります。
資金調達は、会社の未来を左右する意思決定です。
リースバックを検討する際は、「いくら入るか」ではなく、“その後の経営が良くなる設計になっているか”という視点で判断してください。
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