【2026年最新版】補助金不正受給の実態調査報告

~具体的事例から見る不正スキームと、悪質コンサルに依頼した事業者が負う刑事・行政リスク~

Contents
  1. 第1章 問題の所在―なぜ補助金不正は繰り返されるのか
  2. 第2章 IT導入補助金における不正事例
  3. 第3章 小規模事業者持続化補助金の不正事例
  4. 第4章 ものづくり補助金の不正事例
  5. 第5章 事業再構築補助金の不正事例
  6. 第6章 成長加速化補助金における不正リスクの構造分析
  7. 第7章 大規模成長投資補助金の不正リスク
  8. 第8章 なぜ「コンサルは逃げ、事業者が残る」のか
  9. 第9章 不正受給後に企業が直面する現実
  10. 第10章 総括―補助金は「経営者の覚悟」を試す制度である
  11. 各種補助金・融資など資金調達のサポート|壱市コンサルティング

第1章 問題の所在―なぜ補助金不正は繰り返されるのか

中小企業向け補助金に関する不正受給は、決して例外的な事象ではない。
むしろ、制度が大型化・複雑化するにつれて、構造的に発生しやすい問題として定着しつつある。

特に2019年以降、

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金

を中心に、事業者名の公表、登録事業者の取消、刑事事件化が相次いだ。

本章以降では、抽象的な注意喚起ではなく、実際に起きた事例をもとに、不正がどのように行われ、どの段階で発覚し、最終的に誰がどのような責任を負ったのかを整理する。


第2章 IT導入補助金における不正事例

―「実質自己負担ゼロ」という言葉の末路

事例1:IT導入支援事業者主導によるキックバックスキーム

背景

IT導入補助金は、中小企業のIT化を促進する目的で創設された制度であり、補助率が高く、申請件数も極めて多い。その一方で、制度初期から「実質自己負担ゼロ」を謳う営業が横行していた。

不正スキームの概要

実際に確認された典型的なスキームは以下のとおりである。

  • IT導入支援事業者(ベンダー)が相場より高額な見積を提示
  • その金額を前提に補助金申請
  • 補助金交付後、
    • 値引き
    • キャッシュバック
    • 別名目(広告費、業務委託費等)での返金
      により差額を事業者に還流

事業者側から見れば、「補助金のおかげで負担が軽減された」だけに見えるが、実態としては補助金額を不正に引き上げ、公金の一部を不正取得している構造である。

発覚の経緯

このスキームは、会計検査院の調査により発覚した。
複数年度にわたり、IT導入補助金の交付実績と実際の取引内容を突合した結果、

  • 見積金額と実支払額の乖離
  • 不自然な返金の存在

が確認された。

処分内容

  • IT導入支援事業者の登録取消
  • 事業者に対する補助金返還命令
  • 事業者名・事業者番号の公表

さらに一部案件では、詐欺容疑での刑事告発に発展している。

事業者が負った現実的ダメージ

  • 補助金の全額返還
  • 数年間、補助金申請不可
  • 金融機関からの信用低下
  • 取引先からの調査・契約見直し

「コンサルに任せただけ」「ベンダーがそう言った」という主張は、いずれも免責理由として認められなかった。


第3章 小規模事業者持続化補助金の不正事例

―「少額だから大丈夫」という誤認

事例2:架空広告費による不正受給

背景

小規模事業者持続化補助金は、比較的少額であることから、事業者の警戒心が薄れやすい制度である。

不正内容

ある事例では、

  • チラシ制作・配布を行ったとして申請
  • 実際にはチラシを配布していない
  • 印刷会社との取引実態も存在しない

にもかかわらず、実績報告書を提出し補助金を受給していた。

発覚経緯

  • 事務局による事後確認
  • 配布実績の裏付けが取れない
  • 印刷会社への照会で架空が判明

処分

  • 補助金の全額返還
  • 加算金の支払い
  • 事業者名の公表

金額の多寡に関係なく、虚偽は虚偽として扱われることが明確になった事例である。


第4章 ものづくり補助金の不正事例

―設備投資型補助金に潜む落とし穴

事例3:架空設備・過大外注費の計上

背景

ものづくり補助金は、設備投資を前提とするため、外部業者との取引が多くなり、不正が複雑化しやすい。

不正スキーム

  • 実際には製作していない金型を計上
  • 数量・仕様を水増し
  • 外注先と口裏を合わせた請求書作成

発覚

  • 会計検査院の調査
  • 現地確認により設備の不存在が判明

処分

  • 交付決定取消
  • 数千万円規模の返還
  • 企業名の公表

この事例では、「一部は実際に行っている」という主張は認められなかった。


第5章 事業再構築補助金の不正事例

―悪質コンサルが介在した典型例

事例4:架空外注とキックバック

背景

事業再構築補助金は金額が大きく、コンサル主導の申請が多い。

不正の構造

  • コンサルが外注業者を指定
  • 実際には行っていない工事を外注したことにする
  • 補助金受給後、外注業者から事業者またはコンサルに資金が還流

発覚

  • 元関係者からの内部通報
  • 契約内容と実態の不一致が判明

処分

  • 補助金全額返還
  • 加算金
  • 事業者名の公表
  • 関係者の刑事責任追及

第6章 成長加速化補助金における不正リスクの構造分析

―「大型投資 × 高額成功報酬」が生む歪み

1. 制度の概要と特徴

成長加速化補助金(いわゆる「100億企業成長」系補助金)は、
中小企業が大規模な成長投資を行い、売上・付加価値・雇用を飛躍的に拡大することを目的とした制度である。

本制度の特徴は以下の点に集約される。

  • 投資額が1億円以上となるケースが多い
  • 外注費・設備費・専門家経費が複雑に絡む
  • 補助金額が数千万円〜億単位に達する
  • 投資期間・フォローアップ期間が長期に及ぶ

これらの要素は、制度の政策的意義を高める一方で、不正が入り込む余地を拡大する


2. 想定される不正スキーム(実務上確認されている類型)

成長加速化補助金そのものは比較的新しい制度であるが、
実務上は、過去の大型補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金)で実際に発生した不正スキームが、そのまま持ち込まれることが確認されている。

具体的には、次のような類型である。

(1)設備・外注費の水増しと還流

  • 設備業者・外注業者と結託し、相場より高額な見積を作成
  • 補助金額を最大化
  • 補助金交付後、
    • 値引き
    • 紹介料
    • 業務委託費
      等の名目で差額を還流

表面上は「正規の取引」に見えるが、実態としては補助金の一部を不正に取得している構造である。

(2)架空・未完成設備の計上

  • 設備を発注したことにするが、実際には導入されていない
  • 一部しか完成していないのに、全額計上
  • 仕様・数量を実態より多く報告

大型設備ほど現地確認が難しく、事後調査で発覚するケースが多い


3. 発覚のメカニズムと処分の現実

成長加速化補助金では、以下のような経路で不正が発覚する可能性が高い。

  • フォローアップ期間中の実地検査
  • 会計検査院による調査
  • 元関係者(元社員・元業者)からの通報

不正が確認された場合、

  • 交付決定取消
  • 補助金全額返還
  • 加算金
  • 事業者名・代表者名の公表

という処分が下される可能性が高く、
金額が大きい分、経営への影響は致命的となる。


第7章 大規模成長投資補助金の不正リスク

―「賃上げ」「地域貢献」を掲げる制度の裏側

1. 制度の性格と社会的注目度

大規模投資補助金(正式名称:中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)は、

  • 投資規模10億円以上
  • 補助上限数十億円
  • 賃上げ・雇用創出を強く要件化

という、極めて社会的注目度の高い制度である。

この制度では、「不正受給」だけでなく、「目標未達成」そのものが企業名公表につながる可能性が制度上明示されている点が重要である。


2. 想定される不正・不適正の具体像

大規模投資補助金で問題になりやすいのは、以下の類型である。

(1)関係会社・関連業者を使った価格操作

  • グループ会社・親族会社を経由した設備発注
  • 市場価格と乖離した契約
  • 差額を別名目で内部循環

外形的には合法に見えるが、実態としては補助金の不正取得と評価される可能性が高い。

(2)賃上げ要件を巡る虚偽・誇張

  • 賃上げ計画を過大に設定
  • 実態が伴わない報告
  • 一時的な対応で帳尻を合わせる

この制度では、賃上げ状況が長期間フォローされるため、
後から必ず検証される構造になっている。


3. 公表リスクという「第二の制裁」

大規模投資補助金において特筆すべきは、
不正でなくても、制度趣旨を裏切った場合に企業名が公表され得る点である。

これは、

  • 社会的信用
  • 金融機関評価
  • ESG評価

に直接的な影響を与える。

「補助金は取れたが、その後の経営で企業価値を大きく毀損する」
という結果になり得る点で、極めて重い制度である。


第8章 なぜ「コンサルは逃げ、事業者が残る」のか

―法的責任構造の整理

1. 補助金制度における責任主体

補助金制度において、

  • 申請主体
  • 受給主体
  • 実績報告主体

はいずれも事業者本人である。

補助金コンサルタントは、あくまで「支援者」「助言者」に過ぎない。

そのため、不正が発覚した場合、

  • 返還命令
  • 公表
  • 刑事責任

の名宛人になるのは、ほぼ例外なく事業者である。


2. コンサルタントが処罰されにくい理由

多くの悪質コンサルは、

  • 契約書上、自らを「助言者」と位置付ける
  • 実際の申請書類には名前を出さない
  • 不正部分を「事業者判断」に見せる

という形で、法的責任から距離を取る設計をしている。

結果として、

  • コンサルはフェードアウト
  • 事業者だけが残る

という構図が繰り返される。


第9章 不正受給後に企業が直面する現実

補助金不正の影響は、返還や罰金にとどまらない。

実務上、次のような影響が確認されている。

  • 金融機関からの融資見直し
  • 既存融資の条件変更
  • 取引先からの監査要請
  • 新規取引停止
  • 採用応募の激減
  • M&A・事業承継の破談

特に地方企業においては、
「一度の不正公表が、事業継続そのものを困難にする」ケースも少なくない。


第10章 総括―補助金は「経営者の覚悟」を試す制度である

本調査を通じて明らかになるのは、次の事実である。

  • 補助金不正は構造的に起きやすい
  • 悪質コンサルは常に存在する
  • しかし、最終責任は事業者が負う

補助金は、正しく使えば企業成長を加速させる。
だが、理解せず、任せきりにすれば、経営を破壊する凶器になり得る。

経営者に求められているのは、

  • 制度を理解しようとする姿勢
  • 不自然な提案を拒否する判断
  • 「断る勇気」

である。

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