【第4回新事業進出補助金】の変更点を徹底解説|第3回との違いと賃上げ要件の正しい理解
新事業進出補助金の第4回公募は、第3回の単なる続編ではありません。制度の骨格は引き継ぎつつも、第4回では「新規事業への挑戦」と「賃上げの中身」をこれまで以上に一体で問う設計へと踏み込んでいます。既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業に進出することに加え、付加価値額の伸び、一人当たり給与支給総額の引上げ、事業場内最低賃金の水準、ワークライフバランスへの対応まで、企業全体の成長戦略として説明できるかが重要になっています。第4回では、公募期間が令和8年3月27日から令和8年6月19日18時までとされ、補助率は原則1/2、地域別最低賃金引上げ特例に該当する場合は2/3です。さらに、補助事業の実施期間は交付決定日から14か月以内、ただし採択発表日から16か月以内とされており、採択後の実行管理まで含めて計画性が問われる公募です。
新事業進出補助金はどんな補助金なのか
新事業進出補助金の最大の特徴は、単なる設備更新や既存事業の延長ではなく、既存事業とは異なる事業への前向きな挑戦そのものを支援する制度である点にあります。第4回公募要領では、中小企業等が要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要とされており、その最初の要件として「新事業進出指針」に示す新事業進出の定義に該当する事業であることが求められています。説明会資料では、その具体像として、製品等の新規性、市場の新規性、新規事業売上高要件が整理されています。つまり、この補助金は「新しいことを始める」だけでは足りず、自社にとって新規性があり、既存事業とは異なる市場を対象とし、将来的に売上や付加価値に一定以上のインパクトを持つ事業であることまで求めています。
同時に、新事業進出補助金は、事業そのものの新規性だけを評価する補助金でもありません。第4回では、付加価値額の年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金の水準確保、一般事業主行動計画の公表といった要件が並んでいます。言い換えれば、新規事業に挑戦し、その結果として企業の収益力と従業員処遇の双方を改善することが制度の前提になっています。ここが、単なる投資補助とは異なる新事業進出補助金の本質です。
第4回で押さえるべき基本条件
第4回では、補助対象事業の要件として、新事業進出要件、付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件、ワークライフバランス要件、金融機関要件、賃上げ特例要件、地域別最低賃金引上げ特例要件が整理されています。すべての事業者に共通して求められるのは、新事業進出、付加価値額、賃上げ、事業場内最低賃金、ワークライフバランスに関する基本要件です。そこに加えて、資金調達方法や賃上げ方針、最低賃金帯の従業員構成に応じて、金融機関要件や各種特例の要件が重なっていく構造です。
説明会資料では、付加価値額要件は年平均成長率4.0%以上、賃上げ要件は一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最賃水準要件は地域別最低賃金より30円以上高い水準、ワークライフバランス要件は次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表とされています。これらはいずれも、新規事業の中身だけでなく、企業としての成長と雇用の質の改善を同時に求める制度であることを示しています。
第4回のスケジュールと補助率
第4回の公募は、令和8年3月27日に開始され、申請受付は令和8年5月19日から、締切は令和8年6月19日18時までとされています。採択発表は令和8年9月頃予定です。補助率は原則1/2で、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合は2/3となります。補助金額は下限750万円で、上限は従業員数に応じて設定されており、大幅な賃上げによる補助上限額引上げの特例措置もあります。さらに、補助事業の実施期間は交付決定日から14か月以内、ただし採択発表日から16か月以内とされているため、採択後の交付申請が遅れると実行期間が短くなる点にも注意が必要です。
このスケジュールと補助率は、比較記事の脇役ではなく、第4回を理解するうえでの基本情報です。特に補助率2/3の可能性があることは、投資規模が大きい事業にとって実務上の意味が非常に大きく、事前に特例該当性を確認する価値があります。
第4回の賃上げ要件はどこが重要なのか
第4回の要件の中で、とりわけ丁寧に読まなければならないのが賃上げ要件です。説明会資料では、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率が3.5%以上であることが求められています。これは単なる参考目標ではなく、返還要件を伴う実質的な成果目標です。したがって、申請時に数字を置くだけでなく、その数字をどう達成するのかを、事業計画と人件費計画の両面から説明できる必要があります。
ここで大切なのは、「一人当たり給与支給総額」が何を意味するかを曖昧にしないことです。表面上は「給与を3.5%上げる」と見えますが、制度が見ているのは総額の増減ではなく、あくまで一人当たりの処遇改善です。したがって、人員増で給与総額が増えたというだけでは、制度の趣旨を満たしたことにはなりません。第4回は、企業全体の規模拡大だけでなく、従業員一人ひとりの待遇改善を求めている公募だと理解するべきです。
一人当たり給与支給総額の定義は、必ず押さえておきたい
この補助金の記事を書くときに、絶対に落としてはいけないのが、一人当たり給与支給総額の算定対象となる従業員の考え方です。第3回公募要領には、「一人当たり給与支給総額及び給与支給総額の算出に含める従業員は、基準年度及びその算出対象となる各事業年度において、全月分の給与等の支給を受けた従業員とします」と明記されています。さらに、中途採用や退職等で全月分の給与等の支給を受けていない従業員は、全月分の給与等の支給を受けていない事業年度に限り算出対象から除くこと、産前・産後休業や育児休業、介護休業等に伴う時短勤務者は算出対象から除くことができること、パートタイム従業員は正社員の就業時間に換算して人数を算出することなども書かれています。
この定義が重要なのは、一人当たり給与支給総額が単純な在籍人数割りではないからです。比較対象として意味のある従業員群を前提に計算する考え方であり、途中入社や途中退職が多い年度、短時間勤務者が多い年度、パート比率が高い年度では、数字の見え方が大きく変わります。第4回では賃上げ要件の中心が一人当たり給与支給総額に置かれている以上、この考え方を押さえずに賃上げ計画を語ることはできません。制度を正しく反映した記事にするためには、この定義を本文の重要な位置に必ず入れておく必要があります。
第3回と比べて、第4回の賃上げ要件はどう変わったのか
第3回公募要領では、賃上げ要件は二本立てでした。補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を都道府県別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させることに加え、給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させることが求められていました。しかも、応募申請時点では一人当たり給与支給総額目標値と給与支給総額目標値の両方を設定することが必要とされていました。
これに対し、第4回では、説明会資料上、賃上げ要件の中心が一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上へ整理されています。ここが、第3回と第4回を分ける最重要ポイントです。第3回は「一人当たり」と「総額」の両方を見ていましたが、第4回はより明確に、一人当たりの処遇改善そのものに重心を移したと読むことができます。したがって、第3回の感覚のまま「総額2.5%」を中心に考えてしまうと、第4回の制度趣旨を外すおそれがあります。
第4回の賃上げ特例は、より高い賃上げを求める仕組み
第4回には、通常の賃上げ要件とは別に賃上げ特例があります。説明会資料では、賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件として、一人当たり給与支給総額を年平均6.0%以上、かつ事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げることが示されています。これは通常要件である一人当たり給与支給総額3.5%からさらに2.5%上乗せし、事業場内最低賃金の30円要件からさらに20円上乗せするものです。
ここでも、第3回との違いを押さえることが大切です。第3回の賃上げ特例は、給与支給総額基準値にさらに3.5%上乗せし、合計6.0%以上とする設計でした。つまり、第3回の6.0%は給与支給総額ベースです。第4回では、同じ6.0%でも一人当たり給与支給総額ベースへと軸が変わっています。数字だけを見ると同じに見えますが、評価対象が違うため、制度の意味はかなり異なります。
第4回の地域別最低賃金引上げ特例は、今回の大きな新設要素
第4回の大きな特徴として外せないのが、地域別最低賃金引上げ特例です。説明会資料では、2024年10月から2025年9月までの間に、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上である月が3カ月以上あることが要件とされています。公募要領でも同内容が示され、要件確認のために指定様式と賃金台帳の提出を求めること、本特例を適用する場合は基本要件から事業場内最賃水準要件を除くことが明記されています。
この特例の意味は、最低賃金改定の影響を強く受ける賃金帯の従業員を一定割合以上抱える事業者を、制度上明確に後押しすることにあります。補助率が2/3に引き上がる点だけでも大きいですが、要件構造そのものにも影響するため、第4回では単なる加点項目ではなく、制度の使い勝手を大きく変える本格的な特例として理解する必要があります。
第4回では最低賃金関係の加点と書類も増えている
第4回では、最低賃金関連の制度が特例だけで終わっていません。説明会資料では、加点項目として地域別最低賃金引上げに係る加点と事業場内最低賃金引上げに係る加点が示されています。前者は、地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が30%以上である月が3カ月以上ある事業者、後者は、2025年7月と応募申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、全国目安で示された額63円以上の賃上げをした事業者です。
さらに、公募要領では、これらの特例や加点を申請する場合の書類も追加されています。地域別最低賃金引上げに係る特例または加点を希望する場合は、所定様式による要件確認書と、要件を満たす任意3カ月分の賃金台帳の写しが必要です。事業場内最低賃金引上げに係る加点を希望する場合は、2025年7月と応募申請直近月の対象従業員および全従業員の賃金台帳の写しが必要です。つまり、第4回では、最低賃金関連の優遇を使うなら、その裏づけ資料まで含めて準備することが前提になっています。
第4回は、新規事業の中身だけでなく会社全体の計画性が問われる
第4回を読み物として理解するうえで大切なのは、この補助金が単に「よいアイデアに補助を出す制度」ではないことです。新規事業の新規性や市場性を説明し、付加価値額の伸びを示し、一人当たり給与支給総額の引上げを約束し、最低賃金水準にも配慮し、必要に応じて金融機関の確認を取り、採択後は交付申請・実績報告・5年間の事業化状況報告まで続く。第4回は、事業のアイデア、財務計画、人事労務、補助事業の実行管理が一本につながっていることを求める公募です。
だからこそ、第4回では「採択されそうな事業」を考えるだけでは足りません。その事業を3~5年の会社全体の戦略の中でどう位置づけるか、その成長をどう従業員処遇へつなげるか、最低賃金の上昇にどう対応するかまで含めて語れる事業者が、制度の趣旨に沿った申請者だと言えます。
よくあるQ&A
Q. 新事業進出補助金のいちばん大きな特徴は何ですか
新事業進出補助金の最大の特徴は、既存事業とは異なる新しい事業への進出を支援しつつ、同時に付加価値向上や賃上げまで求める点です。新事業の新規性だけでなく、企業の成長と従業員処遇改善を一体で見ている制度だと考えると理解しやすくなります。
Q. 第4回の公募スケジュールはどうなっていますか
第4回は、令和8年3月27日に公募開始、令和8年5月19日に申請受付開始、令和8年6月19日18時に締切、採択発表は令和8年9月頃予定です。応募申請は電子申請のみです。
Q. 第4回の賃上げ要件は何ですか
第4回では、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上とすることが求められています。これは返還要件を伴う目標です。
Q. 一人当たり給与支給総額は、どう計算するのですか
ここは非常に重要です。第3回公募要領では、一人当たり給与支給総額及び給与支給総額の算出に含める従業員は、基準年度及びその算出対象となる各事業年度において、全月分の給与等の支給を受けた従業員とすると明記されています。中途採用や退職者の扱い、時短勤務者やパートタイム従業員の扱いにもルールがあるため、単純な在籍人数割りではありません。第4回でこの指標が中心になっている以上、この定義は必ず踏まえておくべきです。
Q. 第3回との違いはどこにありますか
最も大きいのは賃上げ要件の重心です。第3回では、一人当たり給与支給総額に加え、給与支給総額の年平均成長率2.5%以上も必要でした。第4回では、説明会資料上、賃上げ要件の中心が一人当たり給与支給総額3.5%以上へ整理されています。つまり、第4回では、会社全体の給与総額よりも、一人当たりの処遇改善がより前面に出ています。
Q. 第4回の賃上げ特例とは何ですか
第4回の賃上げ特例は、通常要件よりさらに高い賃上げを求める仕組みです。具体的には、一人当たり給与支給総額を年平均6.0%以上、かつ事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げることが求められます。
Q. 地域別最低賃金引上げ特例は、どういう事業者が対象ですか
2024年10月から2025年9月までの間に、主たる実施場所で雇用している従業員のうち、当該期間の地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が30%以上である月が3カ月以上ある事業者が対象です。
Q. 地域別最低賃金引上げ特例を使うと、何が有利になりますか
補助率が原則1/2に対し、2/3になります。また、公募要領では、この特例を適用する場合、基本要件から事業場内最賃水準要件を除くとされています。単なる加点ではなく、制度上かなり大きな効果があります。
Q. 第4回では提出書類は増えていますか
増えています。特に、地域別最低賃金引上げ特例や関連加点を使う場合には、要件確認書や賃金台帳の提出が必要です。最低賃金関係の制度を活用するなら、労務資料の整備まで含めた準備が欠かせません。
Q. 金融機関から借入を予定している場合、何か必要ですか
金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合には、金融機関による確認書の提出が必要です。金融機関等からの資金提供を受けない場合は提出不要です。
Q. 第4回で意識すべき実務上のポイントは何ですか
まずは、自社の事業が本当に新事業進出要件に当てはまるかを丁寧に検証することです。そのうえで、一人当たり給与支給総額の定義を踏まえた賃上げ計画を立て、必要なら地域別最低賃金引上げ特例の該当性も確認することが大切です。第4回は、事業内容だけでなく、人件費設計や労務資料の整合性まで含めて見られる公募です。
まとめ
第4回の新事業進出補助金は、表面的には「新しい事業を支援する補助金」に見えますが、実際にはそれ以上のものです。新規事業の新規性と市場性を説明し、付加価値の伸びを示し、一人当たり給与支給総額の引上げを約束し、最低賃金への対応まで含めて会社全体の成長戦略として語ることが求められています。第3回との比較でいえば、賃上げ要件の重心が一人当たり給与支給総額へとより明確に寄り、地域別最低賃金引上げ特例や関連加点・追加書類が加わったことで、第4回はより政策色の強い公募になりました。
そのため、第4回を本当に活用できる事業者は、単に補助金を取りにいく事業者ではなく、新規事業と賃上げを一体の経営課題として捉えられる事業者です。制度を正しく読み、数字の意味を正しく理解し、必要書類まで含めて早めに準備すること。それが、第4回を読み違えずに向き合うためのいちばん確実な出発点になります。
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新事業進出補助金は、
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といった、経営戦略そのものが問われる補助金です。
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壱市コンサルティングの新事業進出補助金 申請サポートの特長
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