【2026年6次公募】大規模成長投資補助金とは?50億円上限・投資額20億円・変更点を徹底解説
令和8年(2026年)6月30日、経済産業省所管の「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」(大規模成長投資補助金)について、6次公募の公募要領・様式の事前公開版が公表されました。事務局の最新の案内では、6次公募の開始は令和8年(2026年)7月下旬頃、公募締め切りは8月下旬頃が予定されています。
本補助金は、補助上限50億円(補助率1/3以下)という、ものづくり補助金や新事業進出補助金とは桁の異なる規模の設備投資・拠点新設を支援する制度です。その一方で、投資額20億円以上・賃上げ年平均5.0%以上という高い要件が課され、経営者自身によるプレゼンテーション審査も必須となる、他の補助金とは性質を大きく異にする制度でもあります。
6次公募では、審査基準の厳格化や「足下の賃上げ」の評価、AX(AIトランスフォーメーション)に対する加点の新設など、5次公募からの重要な変更点が予定されています。本記事では、事前公開版の公募要領をもとに、制度の全体像・要件・対象経費・5次公募からの変更点・スケジュール・注意点を網羅的に整理します。大規模投資による賃上げと成長を検討している中堅・中小企業の経営者はもちろん、支援に携わる士業・金融機関の方にも参考になる内容です。
※本記事は令和8年(2026年)6月30日公表の事前公開版に基づく解説です。事前公開版を用いた申請は認められません。実際の申請にあたっては、必ず事務局が公開する最新の公募要領・様式をご確認ください。
大規模成長投資補助金が生まれた背景と政策的意義
大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小・スタートアップ企業が、人手不足等の喫緊の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした制度です。予算額は総額2,000億円が計上されています。
この制度の背景には、物価上昇と人手不足が同時に進むなかで、地方経済を支える中堅・中小企業が「省力化による労働生産性の抜本的な向上」と「事業規模の拡大」を両立させなければ、持続的な賃上げが困難であるという政策課題があります。名称が示す通り、単なる設備投資支援ではなく、大規模投資を通じて賃上げの原資となる付加価値を生み出す仕組みを後押しする点に、この制度の核心があります。
したがって本補助金は、補助金を受け取ること自体が目的ではなく、投資によって創出した利益を従業員の賃金として還元し、それを3年間にわたって継続することまでが要件として組み込まれています。この点を深く理解しておくことが、制度活用の出発点になります。
制度の基本的な仕組みと全体像
まず、6次公募における制度の基本スペックを整理します。補助上限額の大きさに目が向きがちですが、補助率が1/3以下であるため、自己資金や金融機関からの資金調達を含めた資金計画が前提となる制度である点に注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算額 | 総額2,000億円 |
| 補助上限額 | 50億円(補助率1/3以下) |
| 補助事業期間 | 原則として、交付決定日から最長で令和10年(2028年)12月末まで |
| 公募開始(予定) | 令和8年(2026年)7月下旬頃 |
| 公募締め切り(予定) | 令和8年(2026年)8月下旬頃 |
| 申請方法 | 電子申請システムのみ(GビズIDプライムアカウントが必須) |
なお、申請書のなかで補助率1/4を適用した採択も許容すると回答した事業者については、本来の採択レベルに満たない場合でも追加的に採択される可能性があります。ただしその場合でも、提出した賃上げ目標数値の達成が要件となります。より確実な採択を狙う戦略として検討の余地があります。
補助対象者と2つの申請類型
補助対象者の範囲
補助対象者は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する、常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社・個人等です。企業組合・協業組合・事業協同組合などの法人も、収益事業に関する内容であれば対象となり得ます。
一方で、発行済株式の2分の1以上が同一の大企業の所有に属する法人など、「みなし大企業」に該当する事業者は補助対象外です。また、農業・林業・漁業といった1次産業を主たる事業とする場合も対象外となります。一定の要件を満たせば、中堅・中小企業を中心とした最大10社のコンソーシアム形式(共同申請)も可能です。
一般企業向けと100億宣言企業向け
申請類型は、以下の2つに分かれます。どちらの類型で申請するかは申請様式に明記する必要があります。
| 申請類型 | 対象事業者 | 投資額要件 | 賃上げ要件 |
|---|---|---|---|
| 一般企業向け | 100億宣言企業以外の事業者 | 20億円以上 | 年平均5.0%以上 |
| 100億宣言企業向け | 「売上高100億円」を目指す旨を宣言した企業 | 15億円以上 | 年平均4.5%以上 |
100億宣言企業向けは、投資額と賃上げの要件がやや緩和されます。ただし申請時までに、申請者の100億宣言が100億宣言ポータルサイトに公表されている必要があります。自社がどちらの類型に該当するかは、投資規模と賃上げ計画の両面から早い段階で判断しておくことが賢明です。
補助事業の要件|投資額と賃上げの2本柱
投資額の要件
補助対象となるには、外注費・専門家経費を除く補助対象経費分(税抜)で、一般企業向けは20億円以上、100億宣言企業向けは15億円以上の投資が必要です。投資場所が複数地域にわたる場合も、補助事業の目的・内容が一体的であれば対象となります。
賃上げの要件と返還リスク
賃上げ要件は本制度の根幹をなす部分です。補助事業の終了後3年間の補助事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、基準率(一般企業向け5.0%、100億宣言企業向け4.5%)以上であることが求められます。具体的には、申請時に基準率以上の目標を掲げ、その目標を従業員等に表明したうえで達成することが要件です。
年平均上昇率は、次の計算式で算定されます。基準年度(補助事業完了日を含む事業年度)と最終年度(その3事業年度後)の1人当たり給与支給総額を比較します。
| 計算式 | 年平均上昇率 = {(最終年度の1人当たり給与支給総額 ÷ 基準年度の1人当たり給与支給総額)^(1/3)}− 1 |
|---|---|
| 算定事例 | 500万円 → 596万円の場合:{(596万円 ÷ 500万円)^(1/3)}− 1 ≒ 6.0% |
【注意】返還リスク
目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。さらに、基準年度の1人当たり給与支給総額が、申請時点の直近事業年度の水準を下回っている場合には、補助金は全額返還となります。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除き、賃上げは「努力目標」ではなく「達成義務」であると理解しておく必要があります。
補助対象経費の5区分と上限ルール
補助対象経費は、以下の5区分で定められています。建物費・機械装置費・ソフトウェア費は、いずれも単価100万円(税抜)以上のものが対象です。交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業期間内に納品・検収・支払等が完了したものが対象となる点にも注意が必要です。
| 区分 | 対象となる経費の概要 |
|---|---|
| 建物費 | 専ら補助事業に使用する建物の建設・増築・改修・中古建物の取得(土地代・単なる購入や賃貸・既存建物の解体費用は対象外) |
| 機械装置費 | 機械装置・工具・器具の購入・製作・借用、および一体で行う改良・修繕・据付け・運搬 |
| ソフトウェア費 | 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築・借用・クラウドサービス利用(自社の他事業と共有する場合は対象外) |
| 外注費 | 加工・設計・検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
| 専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払う経費(1日5万円が上限。中小企業診断士は1日4万円以下) |
ここで見落としやすいのが、外注費と専門家経費の上限ルールです。外注費と専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満(全体事業費の半額未満)でなければなりません。あくまで設備・拠点への投資が中心となる制度設計であることが、この配分ルールにも表れています。
なお本補助金は、賃上げ促進税制、地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、大胆な投資促進税制との併用ができません。税制優遇との使い分けは、税理士等に確認のうえ検討する必要があります。
5次公募からの主な変更点|6次公募で押さえるべきポイント
6次公募では、5次公募から複数の重要な変更が予定されています。特に審査の厳格化と、賃上げに対する評価の強化が全体を貫くテーマです。
| 区分 | 主な変更点(予定) |
|---|---|
| 審査基準 | 事業計画の達成状況をモニタリングする旨を公募要領上に明記。計画の実現可能性をこれまで以上に厳格に評価。「投資総額を上回る余剰キャッシュを保有している企業」の審査を厳格化 |
| 足下の賃上げ | 補助事業完了後の賃上げに加え、補助事業期間中の全社賃上げ率(足下の賃上げ)を新たに評価対象化。最低でも物価上昇率を上回る賃上げが達成されない場合は審査上大幅に不利 |
| 中堅企業への移行 | 「中小企業から中堅企業への移行」に対する加点措置を強化 |
| AXへの取組 | 先進的なAIによるビジネスモデル転換(AX)に向けた取組が確認できた企業への加点措置を新設 |
| 金融機関等の関与 | 従来の「確認書」に加え、「金融機関・ファンド等による出資・融資表明書」を新設し、より大きな加点を措置 |
| ファミリーガバナンス | ファミリーガバナンスへの取組状況に関する申告書等を提出した事業者への加点措置を新設 |
とりわけ、「足下の賃上げ」が評価対象になった点は、6次公募の申請戦略に直結します。工場の建設や設備の導入といった補助事業の完了を待たずに、補助事業期間中から賃上げを実施し、それを従業員へ表明することが求められるためです。参考として、事務局は物価上昇率の参考値として、2025年の消費者物価指数(総合指数)の前年比3.2%上昇を示しています。
📌 このセクションのポイント
6次公募のキーワードは「実現可能性の厳格化」と「足下の賃上げ」。過大な計画は定量効果が大きくても審査上不利になり、補助事業期間中から物価上昇率を上回る賃上げを実施できるかが問われます。
審査基準と加点措置
6つの審査観点
審査は、提出された成長投資計画をもとに、以下の観点を定量的・定性的に評価して採択事業者を決定します。
| 審査観点 | 主に問われる内容 |
|---|---|
| 経営力 | 5〜10年後を見据えた長期成長ビジョン、外部・内部環境を踏まえた事業戦略、成果目標と管理体制、資金計画 |
| 先進性・成長性 | 市場・ユーザーの明確さ、競合との差別化、労働生産性の抜本的向上と人手不足の改善 |
| 地域への波及効果 | 給与支給総額・雇用の増加、地域内の取引先・パートナーへの波及 |
| 大規模投資・費用対効果 | 収益規模に応じたリスクをとった投資か、補助金額に対する付加価値増加額、企業の行動変容 |
| 実現可能性 | 実施体制・財務状況、課題設定と解決方法、金融機関・ファンド等のコミットメント |
| 補助金の必要性 | 自己資金や金融機関等からの資金調達のみでは実現困難で、真に本補助金による支援が必要か |
主な加点措置
加点措置は多岐にわたります。自社が該当し得るものを早期に洗い出し、必要な認定取得や様式作成を進めておくことが有効です。主なものは以下の通りです。
- 中小企業から中堅企業への移行に関する宣誓(大幅加点)
- AX(AIトランスフォーメーション)に向けた取組
- 17の戦略分野(AI・半導体、造船、量子、航空・宇宙、フードテック、GX等)に係る事業
- 本社機能の地方移転を伴う大規模投資/既存の工場跡地を活用した大規模投資
- えるぼし・くるみん認定企業、健康経営優良法人、地域未来牽引企業、パートナーシップ構築宣言登録企業
- 金融機関・ファンド等による確認書、または出資・融資表明書(表明書は大幅加点。両者はいずれか一方のみ申請可)
- J-Startup選定企業、ファミリーガバナンスへの取組
加えて、各都道府県のなかで特に優れた事業計画を提出した事業者は、地域への波及効果が特に期待できるものとして加点されます。
申請フローとスケジュール
審査は書面審査(1次審査)とプレゼンテーション審査(2次審査)の2段階で行われます。2次審査は地域ブロック単位で開催され、申請企業の経営者自身によるプレゼンテーションと質疑応答が必須です。経営者の出席・説明がない場合、審査上不利になる可能性があります。
【注意】外部コンサルの同席は不可
主たる申請者・共同申請者以外(外部コンサルティング会社等)のプレゼンテーション審査への同席は認められません。外部支援者が経営顧問などの形で同席することも認められず、発覚した場合は不採択または交付決定の取消となる場合があります(金融機関・ファンド等による確認書・表明書を提出した場合の当該担当者の同席は可能)。
| 工程 | 時期(予定) |
|---|---|
| 6次公募申請 | 令和8年(2026年)7月下旬頃〜8月下旬頃 |
| 書面審査(1次審査) | 令和8年(2026年)9月下旬頃 |
| プレゼンテーション審査(2次審査) | 令和8年(2026年)10月中旬頃 |
| 採択発表 | 令和8年(2026年)11月上旬頃 |
| 交付申請 | 令和8年(2026年)11月中旬以降 |
| 交付決定 | 令和9年(2027年)1月中旬以降 |
電子申請の手続きには数時間程度を要するとされており、締め切り間際には申請が集中します。また、申請に必須のGビズIDプライムアカウントは、書類郵送申請の場合、書類に不備がなくとも審査完了まで最大1か月を要することがあります。アカウント未取得の場合は、速やかに取得手続きを行うことが重要です。
制度活用にあたっての注意点
成長投資計画は申請者自身が作成する
公募要領では、成長投資計画の検討やブラッシュアップのために外部支援事業者(コンサルティング会社等)の助言を受けることは差し支えないとしつつも、成長投資計画書は申請者自身で作成することを求めています。プレゼンテーション審査の場で、申請内容に対する事業者本人の理解が著しく不足していると判断された場合、審査上大幅に不利になります。
行政書士法・悪質業者への留意
公募要領には、行政書士(または行政書士法人)でない者が、申請者に代わって有償で申請書類の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性がある旨が明記されています。交付決定後に判明した場合、交付決定の取消となる可能性があります。あわせて、計画の実現可能性を踏まえず補助金獲得のみを目的とする業者や、サービス内容とかい離した高額な成功報酬を請求する業者への注意も促されています。支援を受ける場合は、支援者の資格・報酬体系・支援内容を冷静にご判断ください。
取得資産の処分制限と報告義務
補助事業により取得した資産には、法に基づく財産処分の制限が課されます。また、単価50万円(税抜)以上の機械等の処分制限財産を処分する場合は、事前に基金設置法人の承認が必要です。補助事業完了後は、賃上げ・事業化の状況を3事業年度分(計4回)報告する義務があり、賃上げ要件を満たさなかった場合には返還が発生します。採択はゴールではなく、5年程度にわたる長期のコミットメントの始まりであると理解しておく必要があります。
この記事のまとめ
大規模成長投資補助金6次公募は、補助上限50億円という大規模な設備投資・拠点新設を支援する一方で、投資額20億円以上・賃上げ年平均5.0%以上という高い要件と、経営者自身によるプレゼンテーション審査、3年間の賃上げ達成義務を伴う制度です。6次公募では審査の厳格化と足下の賃上げ評価が加わり、計画の実現可能性がこれまで以上に問われます。押さえるべきポイントは次の5点です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 規模と要件は表裏一体 | 補助上限50億円・補助率1/3以下。投資額20億円以上(100億宣言企業は15億円以上)が入口の要件となる |
| ② 賃上げは達成義務 | 補助事業終了後3年間で年平均5.0%以上(100億宣言企業4.5%以上)。未達成なら返還、基準年度が申請時を下回れば全額返還 |
| ③ 6次の目玉は足下の賃上げ | 補助事業期間中の全社賃上げ率が新たに評価対象に。物価上昇率を上回る賃上げが実質的な前提となる |
| ④ 経営者の主体性が問われる | 計画書は申請者自身が作成。2次審査は経営者の出席・説明が必須で、外部コンサルの同席は不可 |
| ⑤ 準備の逆算が鍵 | 公募開始は7月下旬頃、締切8月下旬頃の予定。GビズID取得・加点要素の洗い出し・資金計画を早期に着手する |
よくある質問(Q&A)
Q1.大規模成長投資補助金は、どのくらいの規模の企業が対象ですか。
A1.常時使用する従業員数が2,000人以下の会社・個人等が対象です。日本国内に本社および補助事業の実施場所を有することが前提となります。ただし、発行済株式の2分の1以上が同一の大企業の所有に属する法人などの「みなし大企業」は補助対象外です。また、投資額20億円以上(100億宣言企業は15億円以上)という要件があるため、実質的には相応の投資体力を持つ中堅・中小企業やスタートアップが主な対象となります。一定要件を満たせば、最大10社のコンソーシアム形式での共同申請も可能で、この場合は幹事企業が計画を取りまとめて申請します。
Q2.補助率はどのくらいですか。50億円が満額もらえるのですか。
A2.補助率は1/3以下で、50億円はあくまで上限額です。たとえば投資額が60億円の場合、補助額は最大でも20億円程度となり、残りは自己資金や金融機関からの資金調達等でまかなう必要があります。補助金の支払いは原則として補助事業完了後の精算払であるため、事業実施中は自己負担分を含めた資金繰りが前提になります。さらに、申請書のなかで補助率1/4を適用した採択も許容すると回答すると、本来の採択レベルに満たない場合でも追加採択される可能性があります。資金計画は制度活用の成否を左右する要素です。
Q3.賃上げ要件を達成できなかった場合、どうなりますか。
A3.未達成率に応じて補助金の返還を求められます。補助事業終了後3年間の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が基準率(5.0%または4.5%)を下回った場合、または基準年度の水準が申請時点の直近事業年度を下回った場合には、補助金は全額返還となります。基準率以上を達成したものの、自ら掲げた目標水準に届かなかった場合も、未達成率に応じた返還が求められます。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求められませんが、賃上げは「達成義務」と捉えて計画を立てることが重要です。
Q4.6次公募は5次公募から何が変わりますか。
A4.審査の厳格化と、賃上げ評価の強化が主な変更点です。事業計画の達成状況をモニタリングする旨が公募要領に明記され、計画の実現可能性がこれまで以上に厳格に評価されます。投資総額を上回る余剰キャッシュを保有している企業の審査も厳格化されます。加えて、補助事業完了後の賃上げに加え、補助事業期間中の全社賃上げ率(足下の賃上げ)が新たに評価対象となりました。加点面では、AXへの取組、中小から中堅への移行の強化、金融機関・ファンド等による出資・融資表明書の新設、ファミリーガバナンスへの取組などが予定されています。
Q5.「足下の賃上げ」とは具体的に何を求められるのですか。
A5.補助事業期間中から実施する、全社ベースの賃上げのことです。工場の建設や設備導入といった補助事業の完了を待たずに、補助事業期間中から賃上げを実施し、その状況が評価されます。採択後から交付決定までの間に従業員への表明が必須となり、交付決定時に事務局ホームページで公表する概要資料にも記載します。最低でも物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない場合は、審査上大幅に不利になります。事務局は参考値として、2025年の消費者物価指数(総合指数)の前年比3.2%上昇を示しています。
Q6.申請書類はコンサルティング会社に作成を任せてよいのですか。
A6.成長投資計画書は申請者自身が作成する必要があります。公募要領では、外部支援事業者の助言を受けること自体は差し支えないとしつつ、計画書の作成主体は申請者本人であることを求めています。プレゼンテーション審査で経営者本人の理解が著しく不足していると判断されると、審査上大幅に不利になります。また、行政書士でない者が有償で申請書類の作成を代行することは行政書士法違反に該当する可能性があり、交付決定の取消につながるおそれもあります。支援を受ける場合は、支援者の資格・報酬体系・支援範囲を確認することが重要です。
Q7.他の補助金や税制と併用できますか。
A7.一部の税制とは併用できません。本補助金は、賃上げ促進税制、地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、大胆な投資促進税制との併用ができません。ただし、これらの税制の適用を受ける設備以外のものについては、本補助金の補助対象経費として申請できます。他の補助金・委託費等との関係では、国庫および公的制度からの二重受給となる事業は対象外です。過去に交付決定を受けた、または現在申請している補助金等の実績は、必ず申請様式に記載する必要があります。制度の使い分けは、税理士等に確認のうえ検討してください。
Q8.2次審査ではどのようなことが行われますか。
A8.経営者自身によるプレゼンテーションと質疑応答が行われます。1次審査(書面審査)を通過した申請について、地域ブロック単位で審査会が設置され、外部有識者との対話形式で審査が行われます。経営者以外の役員や事業責任者が同席して補足説明することは可能ですが、経営者の出席・説明は必須です。ここで重要なのは、外部コンサルティング会社等の関係者は、経営顧問などの形であっても同席が認められない点です。日本語でのプレゼンテーションが原則であり、経営者本人が自社の計画を説明できる状態に仕上げておくことが求められます。
Q9.採択後にはどのような義務がありますか。
A9.長期にわたる報告義務と財産処分の制限があります。採択事業者は、交付決定から原則1か月以内に、採択された旨・目標賃上げ率・投資規模をプレスリリース等で対外的に公表する義務があります。補助事業完了後は、基準年度の終了後を初回として、以降3年間(合計4回)、事業化状況と賃金引上げ等の状況を毎年報告します。また、補助事業により取得した資産には財産処分の制限が課され、補助事業関係書類は事業終了後5年間の保存が求められます。採択はゴールではなく、数年単位の取り組みの起点であると理解しておく必要があります。
Q10.採択されやすくするために、今から準備しておくべきことは何ですか。
A10.資金計画・賃上げ計画・加点要素の3点を早期に固めることが重要です。まず、補助率1/3以下を前提に、自己資金と金融機関等からの資金調達を含めた資金計画を具体化します。次に、補助事業期間中の足下の賃上げと、完了後3年間の賃上げを一体で設計し、達成可能な水準で目標を設定します。そのうえで、AXへの取組・戦略分野・各種認定など、自社が該当し得る加点要素を洗い出し、必要な様式や認定取得を進めます。GビズIDプライムアカウントの取得や金融機関との連携(確認書・表明書)にも時間を要するため、公募開始前からの逆算した準備が採択可能性を高めます。
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大規模成長投資補助金は、補助金獲得そのものよりも、大規模投資を通じて持続的な賃上げと企業成長を実現できるかが問われる制度です。壱市コンサルティングでは、補助金の獲得だけを目的とした支援ではなく、経営者自身が説明できる成長投資計画の策定と、採択後の長期的な取り組みまでを見据えた伴走支援を大切にしています。
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