今回は「第1回中小企業新事業進出補助金の公募開始」についてになります。
令和6年度の補正予算案で新たに創設された、事業再構築補助金の後継補助金となる、「中小企業新事業進出補助金」の第1回公募が開始しましたので、ポイントを解説していきます。
第1回中小企業新事業進出補助金の公募開始
事業再構築補助金の後釜となる補助金が新事業進出補助金です。
中小企業新事業進出促進補助金のホームページ
公募期間
令和7年4月22日(火)~令和7年7月10日(木)18:00まで
補助金交付候補者の採択発表:令和7年10月頃(予定)
約2.5ヶ月間の公募期間があります。
第13回事業再構築補助金の採択発表が7月上旬までとなっておりますので、もしかすると10日の〆切の18時が事業再構築補助金の採択発表となると思います。
事業目的
中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上
を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。
補助対象者
中小企業者
「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人:企業組合、一般財団法人及び一般社団法人については、非営利型法人に該当しないものも対象、農事組合法人、労働者協同組合など
補助対象外事業者 ※重要!
1. 本補助金の申請締切日を起点にして16か月以内に以下の補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、又は申請締切日時点において以下の補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者
→第11回事業再構築補助金までで採択されている事業者は対象となり、第12回、第13回の事業再構築補助金で採択された事業者は対象外ということになります。
2. 事業再構築補助金において採択の取消を受けた事業者
3. 事業再構築補助金の補助事業者のうち、「中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程」第22条第1項1号、3号、5号、7号、10号、11号及び12号に基づく交付決定の取消を受けている事業者
4. 事業再構築補助金の補助事業者のうち、「中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程」第24条第6項(処分制限財産の処分)に基づく納付命令又は第27条第1項(収益の発生)に基づく納付命令を受けているにも関わらず、未納付の事業者
5. 事業再構築補助金の補助事業者のうち、「中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程」第25条に基づく「事業化状況・知的財産権報告書」の提出対象となっているにも関わらず、未提出の事業者
6. 事業再構築補助金の補助事業者のうち、「中小企業等事業再構築促進補助金(新市場進出)交付規程」第18条第2項、第22条第2項、第27条第2項及び第27条第3項に基づく返還命令を受けているにも関わらず、未返還の事業者
7. 応募申請時点で従業員数が0名の事業者
※ 中小企業等の新規事業への進出を通した企業規模の拡大や賃上げを事業の目的とすることから、従業員が0名の事業者は対象となりません。
8. 新規設立・創業後1年に満たない事業者
※ 中小企業等の新規事業への進出を事業の目的とすることから、創業間もない事業者は対象となりません。
※ 最低1期分の決算書の提出が必要です。
9. みなし大企業
(ア) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等
(イ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者等
(ウ) 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等
(エ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額をア~ウに該当する中小企業者が所有している中小企業者等
(オ) ア~ウに該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者等
(カ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上をア~オに該当する中小企業者が所有している中小企業者等
10. 公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の
課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
11. 応募申請以降に上記「(1)中小企業者」、「(2)「中小企業者等」に含まれる「中小企業
者」以外の法人」、「(3)特定事業者の一部」のいずれにも該当しなくなった事業者及び
「9.みなし大企業」に該当することとなった事業者
12. 法人格のない任意団体(応募申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている
場合を除く。)
13. 収益事業を行っていない法人
※ 社会福祉法人においては公的保険制度の範囲外で行う事業を収益事業とみなします。
14. 運営費の大半を公的機関から得ている法人
15. 政治団体
16. 宗教法人
17. 申請時に虚偽の内容を申請した事業者
※ 故意又は重過失により、虚偽の内容で申請した場合、次回以降の公募への申請も一切受け付けません。
18. 応募申請時点や事業実施期間に限って、一時的に資本金の減資や従業員数の削減を行うなど、専ら本補助金の補助対象者となることのみを目的として、資本金の額又は出資の総額並びに常勤従業員の数を変更していると認められる事業者
19. 経済産業省又は独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)から補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている事業者
20. 経済産業省又は中小機構が所管する補助金又は給付金等において不正を行った事業者
21. 本補助金の公募開始日から5年前の日以降に、補助事業に関連する法令違反があった事業者
22. 「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)」第2条に規定す
る暴力団又は暴力団員と関係がある事業者
→7.8.は事業再構築補助金ではなかった要件です。
補助上限
従業員数20人以下 750万円~2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 750万円~4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人 750万円~5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 750万円~7,000万円(9,000万円)
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
補助率
1/2
→1,500万円以上の投資に対し、しの1/2となる750万円が最低ラインとなります。
事業実施期間
交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)
同一事業者での応募は、1回の公募につき1申請に限ります。なお、複数の事業を計画している場合においては、事業計画書中に複数の計画の内容を記載して申請することが可能です。
⚫ 過去の公募回で本補助金の補助金交付候補者として不採択となった事業者は、事業計画の見直しを行った上で、再度申請することもできます。
⚫ また、一定の条件を満たす場合に限り、既に本補助金の補助金交付候補者として採択又は交付決定を受けている事業者においても2回目の申請が可能です。
→第1回に採択された事業者が、第2回でもある一定の要件を満たせば、2回目の申請が可能となっています。
事業概要
企業の成長・拡大を通した生産性向上や賃上げを促すために、中小企業等が行う、既存事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援。
→事業再構築補助金では、コロナ禍、物価高騰といったキーワードがありましたが、人手不足や賃上げといキーワードに変化しております。
事業再構築補助金では新規性が必要不可欠となっていましたが、申請要件の中でどれだけその新規性が問われるかどうかがポイントです。
文面だけをみると、ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠と同様の内容と思わしき、新たな市場の開拓、新規顧客の獲得や新サービスの立ち上げといった内容と思えます。
事業再構築補助金の様に、既存事業と新規事業の切り分けが明確にしないといけないのかどうかが今後の公募が出てきた時のポイントとなります。
(1)新事業進出要件
①製品等の新規性要件
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等が、新規性を有するものであること。
② 市場の新規性要件
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等の属する市場が、新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
③ 新事業売上高要件
次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
(ⅰ)事業計画期間終了後、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の総売上高の10%又は総付加価値額の15%を占めることが見込まれるものであること。
(ⅱ)応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間終了後、新たに製造する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10%又は付加価値額の15%以上を占めることが見込まれるものであること。
(2)付加価値額要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること
(3)賃上げ要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
(1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
例)東京都は2.8%
(2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(4) 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
(5) ワークライフバランス要件
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
→ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金(一般型)では21人以上の事業者となりますが、中小企業新事業進出促進補助金は全ての事業者が申請し、公表されていないといけないです。
(6) 金融機関要件
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
「金融機関の確認書」の取得が必須です。
<賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件>
(7) 賃上げ特例要件 【要件未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと
(1)補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
(2)補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
補助対象外事業
※よく質問や問い合わせを受けるものだけを抜粋
・補助事業の主たる内容そのものを他者へ外注又は委託する事業、及び具体的な補助事業の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
・グループ会社(みなし同一事業者に該当する他の事業者)が既に実施している事業を実施するなど、補助事業で新たに取り組む事業の内容が、容易に実施可能である事業
・不動産賃貸(寮を含む)、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業
・建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
・1次産業(農業、林業、漁業)に取り組む事業
・事業計画の重複となる事業
⚫ 同一事業者(みなし同一事業者を含む)が今回の公募で複数申請を行っている事業
⚫ 本補助金において提出された、他の法人・事業者と同一又は類似した内容の事業
・国庫及び公的制度からの二重受給となる事業
⚫ 間接直接を問わず国(独立行政法人等を含む)が目的を指定して支出する過去又は現在の他の補助金、助成金、委託費等(以下「補助金等」という。)と同一の補助対象経費を含む事業
⚫ 公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等との重複を含む事業、及び同一又は類似した内容の事業
・中小企業庁が所管する補助金(中小企業生産性革命推進事業、中小企業等事業再構築促進事業、中小企業省力化投資補助事業等)と同一の補助対象経費を含む事業
補助対象経費
機械装置・システム構築費又は建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければなりません。
機械装置・システム構築費
① 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)
② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用に要する経費
③ ①又は②と一体で行う、改良、据付け又は運搬に要する経費
建物費
① 専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
② 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
③ 専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費
→構築物は対象にはなりませんでした。
運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、(検査・加工・設計等に係る)外注費 補助上限額:補助金額全体の10%、専門家経費 補助上限額:100万円、クラウドサービス利用費
広告宣伝・販売促進費
補助上限額:事業計画期間1年あたりの売上高見込み額( 税抜き) の5%
① 補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR 等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費
※上限額=事業計画期間内の総売上見込み額合計÷事業計画年数×5%
→建物費と広告宣伝・販売促進費が補助対象経費にあることが、他の補助金との大きな違いです。ただし、広告宣伝・販売促進費には、上限額5%の新ルールが設けられました。
事業計画作成の概要
⚫ 事業計画は、以下の項目について、電子申請システムに入力する必要があります。「事業計画テンプレート」(後日公開予定)も参考に、「10.審査項目」を熟読のうえで作成してください。
⚫ 事業計画書に記載する内容は、定性的・定量的情報を用いて、具体的な理由や根拠を示しながら詳細に記載してください。
→事業計画書の作成詳細については、別記事にて解説します。
加点項目 ※取得できそうな加点項目をピックアップ
・パートナーシップ構築宣言加点
・成長加速化マッチングサービス加点
〇コメント
補助上限額は拡充して、補助率が1/2に縮小されました。補助金額の最低が750万円で、1,500万円以上の投資をする事業のみが対象となります。
2回目の中小企業新事業進出促進補助金への申請ができる制度が設置されました。
過去に、ものづくり補助金、事業再構築補助金で補助金を受給されている事業者も対象となります。事業再構築補助金については、第11回までの採択事業者に限ります。
対象経費では、建物費と広告宣伝費が対象となることが他の補助金との違いで、広告宣伝費は事業期間の売上想定の5%が上限となりました。
加点項目は少なく、事業内容の審査がポイントなります。
7月10日〆切と年始の予想通りの展開となりました。
中小企業新事業進出補助金の申請サポート

壱市コンサルティングでは、中小企業診断士のチームで中小企業新事業進出補助金の申請サポートを実施しております。
専門分野をもった中小企業診断士のメンバーが揃っており、各業界に適した人材が2~3名体制で責任をもって担当します。
今後公募が出てくるであろう、ものづくり補助金などの大型補助金の申請サポートについても引き続き、先着10社様限定で承っております。
本来十分な準備期間の中で申請まで進めらることが望ましいですが、直前1ヶ月前から始められる方も面談の上、お受けしてきております。
実際に補助金が活用できる事業の取り組みなのか、どの申請枠で進めれば有利なのか、採択されるポイントはどこなのかなど、初回は無料相談を実施しています。
今後中小企業新事業進出補助金の申請をご検討の方は、是非お問い合わせいただければと思います。