【令和8年(2026年)最新】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の採択事例分析|第9回・第10回の177社から判明した5つの傾向
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社が令和3年度(2021年度)から実施している、都内中小企業の大型設備投資を対象とする助成事業です。令和7年度(2025年度)は第9回で85社、第10回で92社と、合計177社の支援対象事業が決定し、令和8年度(2026年度)からは助成限度額が最大1億円から最大2億円へと大幅に拡充されるなど、東京都の中小企業支援策の中核として年々規模を拡大しています。
本助成金の最大の特徴は、最大2億円という大型の助成額にもかかわらず、過去回の採択率が概ね25%〜40%程度にとどまる狭き門であるという点です。一次審査(書類)と二次審査(面接)の二段階を勝ち抜くためには、東京都中小企業振興公社が公表する採択企業一覧から「どのような事業計画テーマが採択されているのか」を読み解き、自社の計画書に反映させることが不可欠です。
本記事では、東京都中小企業振興公社が公表する第9回(令和7年度第1回)・第10回(令和7年度第2回)の支援対象事業一覧177社を一次データとして、事業区分別・要件適用別・業種別の採択傾向と、計画テーマに見る評価のポイントを定量的に整理します。これから第12回(令和8年度第1回)以降の申請を検討する経営者の方はもちろん、過去に不採択となった経験をお持ちの方、東京都内で大型設備投資を計画されている士業・コンサルタントの方にも参考になる内容です。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは|制度の全体像
制度の目的と政策的位置づけ
本助成事業は、都内中小企業者が「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」による生産性向上を進める際に必要となる、機械設備等の導入経費の一部を助成する制度です。東京都中小企業振興公社が公表する制度説明によれば、令和6年度(2024年度)からはすべての事業区分でゼロエミッション要件・賃上げ要件の適用が可能となり、東京都の長期戦略「『未来の東京』戦略」および「2050東京戦略」の中核施策として位置づけられています。
本制度は、試作・開発フェーズの研究開発助成ではなく、既に設計・試作が完了した「量産フェーズ」の設備投資を対象とする点に特徴があります。この性質ゆえに、国の「ものづくり補助金」や「中小企業新事業進出促進補助金」とは申請者層・事業フェーズの両面で棲み分けが生じています。
基本要件と助成内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施主体 | 東京都/公益財団法人 東京都中小企業振興公社 |
| 申請資格 | 基準日時点で東京都内に登記簿上の本店又は支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者等 |
| 助成限度額 | 100万円〜最大2億円(第11回以降。第10回までは最大1億円) |
| 助成率 | 2分の1〜5分の4以内(ゼロエミ要件・賃上げ要件で拡充) |
| 助成対象期間 | 交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月 |
| 審査 | 一次審査(書類)と二次審査(面接)の二段階審査 |
| 令和8年度予算 | 約173億円 |
事業区分の変遷
本制度は採択回ごとに事業区分が見直されています。第8回までは「競争力・ブランド力強化」「DX推進」「イノベーション」「後継者チャレンジ」の4区分体制でしたが、第9回・第10回は「競争力強化」「DX推進」「イノベーション」「後継者チャレンジ」の4区分体制で運用され、第12回(令和8年度第1回)からは「競争力強化」「後継者チャレンジ」「アップグレード促進」の3区分体制へと再編されています。区分が変わっても、製造業の生産設備、IT・DX系のシステム、後継者による新分野設備という採択の中心はおおむね一貫しています。
採択結果の数値ファクト|第9回・第10回177社の構造分析
採択件数の推移
東京都中小企業振興公社が公表する採択企業一覧から、各回の採択件数を整理します。第7回108件→第8回134件→第9回85件→第10回92件と推移しており、第8回でピークを迎えた後、第9回・第10回は概ね85〜92件の水準で安定的に推移しています。令和8年度(2026年度)予算は約173億円に拡大しており、第11回以降は採択枠も拡大する可能性があります。
| 公募回 | 実施年度 | 採択件数 | 参考予算規模 |
|---|---|---|---|
| 第7回 | 令和6年度(2024年度)第1回 | 108件 | 約124億円 |
| 第8回 | 令和6年度(2024年度)第2回 | 134件 | 約124億円 |
| 第9回 | 令和7年度(2025年度)第1回 | 85件 | 約144億円 |
| 第10回 | 令和7年度(2025年度)第2回 | 92件 | 約144億円 |
| 第12回 | 令和8年度(2026年度)第1回 | 募集要項公表済 | 約173億円 |
事業区分別の採択構成|「競争力強化」が9割超
第9回・第10回の支援対象事業一覧(東京都中小企業振興公社公表)177社を事業区分別に集計すると、「競争力強化」区分が165社(約93%)を占める圧倒的な構成となっています。これは制度の性格を端的に示しています。本制度は研究開発フェーズではなく量産フェーズの設備投資を対象とするため、既存事業の競争力強化を主軸とする計画が中心になるという制度設計が、採択構成にそのまま反映されていると整理されます。
| 事業区分 | 第9回 | 第10回 | 合計 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 競争力強化 | 79社 | 86社 | 165社 | 93.2% |
| DX推進 | 1社 | 2社 | 3社 | 1.7% |
| イノベーション | 2社 | 3社 | 5社 | 2.8% |
| 後継者チャレンジ | 3社 | 1社 | 4社 | 2.3% |
| 合計 | 85社 | 92社 | 177社 | 100% |
追加要件の取得状況|ゼロエミ・賃上げが採択の主流
第9回・第10回177社のうち、ゼロエミッション要件を取得した企業は約93社(52.5%)、賃上げ要件を取得した企業は約63社(35.6%)に上ります。両要件のいずれも取得しない計画は全体の1割強にとどまっており、要件適用による助成率拡充が標準的な選択肢として定着していることが分かります。同じ設備投資を行うのであれば、要件適用で助成率を最大4/5まで引き上げる方が経済合理性が高いことを、申請者側も認識している実態が読み取れます。
| 要件 | 第9回 | 第10回 | 合計 | 取得率 |
|---|---|---|---|---|
| ゼロエミッション要件 | 42社 | 51社 | 93社 | 52.5% |
| 賃上げ要件 | 32社 | 31社 | 63社 | 35.6% |
⚠ 採択率に関する留意点:東京都中小企業振興公社は応募件数を公式には開示していないため、採択率は支援事業者の推計値(概ね25%〜40%)として流通しています。本記事でも同様の前提で記述しますが、正式な採択率ではない点にはご留意ください。
業種別・テーマ別の採択傾向|177社の事業計画テーマから読み解く5つの軸
業種・分野別の構成
第9回・第10回の事業計画テーマを分野別に整理すると、本制度の採択の中心は金属加工・精密機械加工を軸とする製造業であることが鮮明になります。次いで、印刷・製本業、半導体製造装置関連、食品製造業、環境・廃棄物処理業が続き、第10回では航空宇宙・防衛装備関連の採択が複数確認されている点も特徴的です。
| 分野 | 採択事業の典型例(事業計画テーマより) |
|---|---|
| 金属加工・精密機械加工 | 最新マシニングセンタ導入、5軸加工機による生産性向上、ファイバーレーザ加工設備、CNC旋盤導入、複合加工機による工程集約 |
| 半導体製造装置関連 | 半導体製造装置部品の量産体制、AI向け半導体製造装置需要拡大対応、先端半導体製造装置部品の高品質表面処理 |
| 印刷・製本業 | 最新印刷機導入、デジタル印刷の内製化、CO2排出量25%削減した印刷ライン、大型絵本対応の糸かがり機 |
| 医療機器・歯科 | 医療機器部品の国内自社生産化、医療用画像診断装置のFPC採用、デジタル活用による審美歯科・インプラント治療強化 |
| 食品製造業 | 納豆の増産と品質安定、餡の生産能力拡大、こんにゃくと白滝兼用包装機、煎餅商品化による市場開拓 |
| 環境・廃棄物処理 | 産業廃棄物処理能力向上、廃LEDランプ・廃太陽光パネル中間処理、RPF固形燃料供給、廃プラスチック水平リサイクル |
| 航空宇宙・防衛装備 | 基幹ロケット部品の増産対応、防衛装備関連部品の量産体制、航空機シート・航空機部品の生産性向上、宇宙関連製品の難削材加工 |
| 次世代自動車関連 | EV・HV向け大電流リレー用鉄芯、EV自動車部品の短納期・高品質提供、次世代自動車の安全性を支えるガラス基板 |
事業計画テーマから抽出される5つのテーマ軸
第9回・第10回177社の事業計画テーマを精査すると、業種を横断して以下の5つのテーマ軸に採択事業が集中していることが整理されます。いずれも東京都中小企業振興公社が公表する事業計画テーマから直接抽出した実例です。
テーマ軸①:内製化による一貫生産体制の構築
「加工工程の内製化による一貫生産体制構築」「デジタル印刷物の内製化と競争力強化」「精密加工内製化による品質継承・革新」など、外注依存からの脱却と垂直統合を打ち出す計画が多数。外部委託していた工程を社内に取り込むことで、納期短縮・品質安定・利益率向上の三位一体を実現する論理構成が特徴です。
テーマ軸②:成長分野(半導体・EV・宇宙・防衛)への参入対応
「半導体製造装置部品の安定供給」「EV自動車・建機・農機具部品の短納期・高品質提供」「基幹ロケット部品の増産対応」「防衛装備関連部品の量産体制強化」など、国策的にも成長が期待される分野へ自社の強みを接続する計画が増加。特に第10回では宇宙・防衛関連の採択が目立ちます。
テーマ軸③:自動化・5軸化による生産性の飛躍的向上
「同時5軸制御技術の導入」「ロボットアーム×画像処理による自動充填」「自動ハンダ付け装置」「ロボットを活用したファクトリーオートメーション」など、自動化・多軸化による省人化と生産能力拡大を同時に実現する設備投資が中心。人手不足対応と生産性向上を一体で示す論理が評価されています。
テーマ軸④:環境負荷低減と循環型社会への貢献
「CO2排出量25%削減した印刷ライン」「廃棄燃焼時CO2排出量98%削減できるファブリックサイン」「水平リサイクル推進事業」「廃太陽光パネルのワンストップ中間処理」など、ゼロエミッション要件と連動した環境貢献型の計画が増加。単なる省エネを超え、廃棄物処理・再利用領域での新事業展開も採択されています。
テーマ軸⑤:高付加価値分野への量産対応
「医療用画像診断装置上位クラスへのFPC採用」「先端半導体製造装置部品の高品質表面処理」「特殊仕様ソリッドフレーム順送プレス」など、汎用品ではなく高付加価値・高難度分野での量産対応を訴求する計画が目立ちます。「量産フェーズだが汎用ではない」という制度の趣旨に最も適合する典型例です。
後継者チャレンジ区分の特徴
第9回・第10回で「後継者チャレンジ」区分に採択された7社の事業計画テーマを見ると、単なる事業承継ではなく、後継者主導の新分野・多角化展開が一貫したキーワードとなっています。「屋外広告変革期のビジネスチャンスに向けた生産性向上」「洗濯代行業による事業多角化」「最新コンクリート製造装置導入による新素材製造事業への進出」「基幹ロケット部品の増産対応と民間宇宙開発部品の供給増加」など、承継を契機とした攻めの設備投資が採択の鍵となっていることが読み取れます。
採択/不採択の分岐要因|審査項目と177社の共通点
本助成金の事業計画書は、本文10ページ以内(収支計画は対象外)で構成され、東京都中小企業振興公社が公表する募集要項では以下の審査項目が設定されています。各項目で「何が問われているのか」を構造的に理解することが、採択への第一歩です。
審査項目の構造
| 審査項目 | 問われていること |
|---|---|
| 目的との適合性 | 「製品・サービスの質的向上」「生産能力の拡大」のいずれに該当し、どの事業区分の趣旨と整合するか |
| 事業計画の優秀性 | 自社の強み・独自性・技術的優位性が具体的に示されているか |
| 事業計画の実現性 | 人員体制・技術力・資金繰り・販路の観点で実行可能か |
| 事業計画の妥当性 | 設備価格・スケジュール・売上計画が妥当な水準にあるか |
| 成長・発展性 | 事業実施後の中長期的な売上・付加価値・雇用への波及効果 |
採択事業計画テーマの3つの共通項
第9回・第10回177社の事業計画テーマを精査すると、採択された計画には以下の3つの共通項が見られます。
✅ 共通項①:「設備名+目的+成果」が一文で語られている
「最新マシニングセンタ導入による生産性向上と生産工程の効率化」のように、何を導入し、何のために、どのような成果を狙うのかが、テーマ名の段階で明確に整理されています。
✅ 共通項②:自社の競争優位性が業界文脈で示されている
「関東唯一のニップル生産企業として」「70年間蓄積した加工技術のデジタル化」「老舗パン屋の挑戦」など、自社固有の強み・歴史・市場ポジションがテーマ名に組み込まれているケースが多数。
✅ 共通項③:成長分野・社会課題との接続が明示されている
「東京都の環境負荷低減」「水素需要対応」「インフラ整備を牽引」「我が国の防衛力に貢献」など、自社事業を社会的文脈(成長分野・国策・地域課題)に位置づける表現が多用されています。
不採択につながりやすい4つの典型パターン
採択された177社の傾向と公社の募集要項の注意事項を照らし合わせると、不採択となりやすい計画には以下の共通点が見られると整理されます。
❌ 典型パターン①:単なる設備更新
「老朽化したため新機種に入れ替える」だけの計画では、競争力強化・生産能力拡大の論理が立ちません。採択事例では必ず「設備更新→何が新しくできるようになるか→売上・付加価値への波及」が一貫して語られています。
❌ 典型パターン②:試作・開発フェーズの混入
本制度は量産フェーズが対象です。「新製品の開発」「試作機の製作」が中心の計画は、別制度(新製品・新技術開発助成事業など)の方が整合的です。
❌ 典型パターン③:自社の強みの説明不足
「業界で初めて」「独自技術」と書きながら根拠が乏しい計画は、二次審査(面接)で実現性を厳しく問われます。採択事例は「関東唯一」「70年間蓄積」など具体的事実で裏付けています。
❌ 典型パターン④:収支計画の整合性欠如
導入設備の生産能力と売上計画が整合しない、自己負担分の資金調達計画が不明確といったケースが該当します。
二次審査(面接)で問われる視点
本制度は一次審査(書類)を通過した申請者に対して二次審査(面接)が実施され、総合審査会で採択者が決定されます。面接では、書類の記載内容の真実性、経営者自身の事業理解、設備導入後の運用体制について深く問われると整理されます。書類で美しく見せるだけでなく、経営者自身が自分の言葉で事業の核心を語れることが、最終的な採択の分岐要因となります。
過去回との比較|制度の進化と評価基準の変化
前身制度「革新的事業展開設備投資支援事業」との連続性
本制度の前身にあたる「革新的事業展開設備投資支援事業」は第1回から第8回まで実施され、現行の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」(令和3年度〜)へと引き継がれました。東京都中小企業振興公社のウェブサイトでは両制度の採択企業一覧が並列で公表されており、前身制度を含めて見れば、東京都の大型設備投資助成は10年以上にわたって継続してきた中小企業政策であると整理されます。
第8回・第9回・第10回の構造変化
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年度(第7回〜第8回) | すべての事業区分でゼロエミッション要件・賃上げ要件の適用が可能となり、助成率の拡充メニューが整備された |
| 令和7年度(第9回〜第10回) | 予算規模が約144億円に拡大。賃上げ要件適用時の助成金交付が2回分割払いとなる運用が明確化。採択構成は「競争力強化」が93%超を占める集中型に |
| 令和8年度(第11回〜第12回) | 助成限度額が最大1億円から最大2億円へ倍増。事業区分が「競争力強化」「後継者チャレンジ」「アップグレード促進」の3区分に再編 |
評価軸の変化|「設備の質」から「経営の質」へ
第1回〜第5回までは、導入する設備そのものの技術的優位性が採択評価の中心でした。一方、第9回・第10回では、設備導入を起点とする経営全体の質的向上が問われる傾向が強まっています。具体的には、賃上げ計画の達成、ゼロエミッションへの貢献、生産性指標の改善、社会課題との接続といった経営指標がより重要になっています。「いい設備を入れる」だけでなく「設備を活かす経営体質」を示す計画書が、現在の採択ボリュームゾーンを形成していると整理されます。
次回応募者への示唆|採択を勝ち取る5つの実務指針
指針①:「競争力強化」区分を主軸に据える
第9回・第10回で採択された177社のうち93%が「競争力強化」区分であることから、汎用的な設備投資案件は「競争力強化」を主軸に据えるのが王道です。第12回からの新区分「アップグレード促進」はゼロエミ・賃上げが必須であり、スケールアップ志向の中堅企業向けの色合いが濃いため、自社の規模・性格に応じた区分選定が重要となります。
指針②:事業計画テーマで勝負を決める
177社の事業計画テーマには「設備名+目的+成果」「自社固有の強み」「成長分野・社会課題との接続」という3要素が共通して含まれています。事業計画テーマは申請書の冒頭に置かれ、審査員が最初に目にする情報です。30〜50文字程度で、上記3要素を凝縮した一文を練り上げることが、書類審査通過の第一関門となります。
指針③:ゼロエミッション要件・賃上げ要件を組み込む
第9回・第10回ではゼロエミ要件取得率52.5%、賃上げ要件取得率35.6%であり、両要件のいずれかを取得した採択企業が大多数を占めます。同じ設備を導入するなら、要件適用の有無で交付決定額が大きく変わります。ただし賃上げ要件は2回分割払いとなり、賃金引上げ計画の達成が必須となるため、無理のない計画設計が重要です。
指針④:成長分野との接続を明確に示す
第9回・第10回の採択事例では、半導体・EV・宇宙・防衛・環境・医療といった成長分野・国策分野への接続が明示された計画が多数を占めます。自社の事業をこれらのマクロな成長文脈に位置づける視点が、評価軸である「成長・発展性」の高評価につながります。
指針⑤:早期着手で十分な準備時間を確保する
本制度は申請予約期間(約2週間)と申請書類提出期間(約2週間)が明確に分かれており、申請書類は10ページの本文+収支計画+各種添付資料で構成されます。遅くとも公募開始の1ヶ月以上前から準備を開始することが、説得力のある計画書作成には不可欠です。
まとめ|177社の採択事例から導かれる5つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 制度規模は拡大基調 | 令和8年度(2026年度)予算は約173億円、助成限度額は最大2億円へ倍増。東京都の中小企業政策の中核施策として確立された制度です。 |
| ② 採択の93%が「競争力強化」区分 | 第9回85社・第10回92社の合計177社のうち165社(93.2%)が「競争力強化」区分での採択。本制度の性格を最も端的に示す数字です。 |
| ③ ゼロエミ・賃上げ要件が標準化 | ゼロエミ要件52.5%、賃上げ要件35.6%の取得率。要件適用による助成率拡充が事実上の標準的選択肢として定着しています。 |
| ④ 採択の中心は5つのテーマ軸 | 内製化による一貫生産体制、成長分野(半導体・EV・宇宙・防衛)参入、自動化・5軸化、環境負荷低減、高付加価値分野量産対応の5軸に集中します。 |
| ⑤ 評価軸は「設備」から「経営」へ | 設備の技術的優位性だけでなく、賃上げ・ゼロエミ・成長分野接続・社会課題貢献といった経営全体の質的向上が問われる方向に評価軸が変化しています。 |
よくある質問(Q&A)
Q1.本制度の助成上限額はいくらですか
A1.助成限度額は第11回以降で最大2億円です。第10回までは最大1億円でしたが、令和8年度(2026年度)の制度改正により倍増しました。下限は100万円で、小規模事業者でゼロエミ・賃上げ要件を適用しない場合は限度額3,000万円となります。事業区分や要件適用の有無で助成率(1/2〜4/5)が変動するため、同じ設備費用でも交付決定額は大きく変わります。自社の規模・計画内容に応じて、適切な要件選択を行うことが重要です。
Q2.採択率はどの程度でしょうか
A2.東京都中小企業振興公社は応募件数を公式には開示していないため、正式な採択率は公表されていません。支援事業者の推計では、令和2年度(2020年度)が約40%、令和3年度(2021年度)が約25%、令和4年度(2022年度)第3回が約40%とされています。第9回85件、第10回92件と採択件数自体は前年度比で抑制傾向にあり、決して通りやすい制度ではないという認識が必要です。書類審査と面接審査の二段階を通過する必要があります。
Q3.国のものづくり補助金との違いは何ですか
A3.最大の違いは事業フェーズと申請対象範囲です。本制度は「量産フェーズ」の設備投資を対象とし、試作・開発フェーズは対象外です。一方、ものづくり補助金は革新的な製品・サービスの試作開発も含めて支援します。また、本制度は東京都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者に限定される一方、ものづくり補助金は全国の中小企業が対象です。助成額・補助率の水準も異なるため、自社の計画フェーズと所在地に応じて使い分けることが重要です。
Q4.「競争力強化」以外の区分でも採択は狙えますか
A4.第9回・第10回の採択構成では「競争力強化」が93.2%を占める一方、「DX推進」「イノベーション」「後継者チャレンジ」も合計で12社採択されています。これらの区分は枠が小さい分、区分の趣旨への適合性がより厳しく問われると整理されます。例えば「後継者チャレンジ」では事業承継を契機とする新分野・多角化展開が、「イノベーション」では都市課題解決と国内外市場拡大への接続が、明確に示されている計画が採択されています。区分選定は安易な差別化狙いではなく、自社の計画の本質に即した選択が重要です。
Q5.ゼロエミッション要件・賃上げ要件は必須ですか
A5.第10回までの「競争力強化」「DX推進」「イノベーション」「後継者チャレンジ」では選択適用でした。第9回・第10回ではゼロエミ要件取得率52.5%、賃上げ要件取得率35.6%であり、適用が事実上の標準となっています。第12回からの新区分「アップグレード促進」ではゼロエミコース及び賃上げコースが必須となります。賃上げ要件適用時は助成金交付が2回分割払いとなり、賃金引上げ計画の達成確認後に2回目が交付される仕組みです。計画達成のリスクと交付増加のメリットを総合的に判断する必要があります。
Q6.申請から交付決定までのスケジュールはどのようになっていますか
A6.例年の運用では、申請予約期間(約2週間)→申請書類提出期間(約2週間)→一次審査(書類)→二次審査(面接)→交付決定の流れです。第8回の例では、令和6年10月23日から申請予約が開始され、令和7年1月下旬に一次審査結果通知、令和7年3月中旬に交付決定という約5ヶ月のスケジュールでした。設備の発注は交付決定後でなければ対象外となるため、調達リードタイムが長い設備は事前のスケジューリングが特に重要です。
Q7.不採択になった場合、再申請は可能ですか
A7.次回以降の公募回への再申請は可能です。本制度は概ね年2回のペースで公募されており、計画を練り直して再チャレンジする事業者は少なくありません。再申請にあたっては、前回の不採択理由を可能な範囲で分析し、特に「目的との適合性」「優秀性」「実現性」のうちどこに弱さがあったかを見極めることが重要です。事業区分の選定が誤っていた場合、別区分での再申請も検討する価値があります。
Q8.他の補助金との併用は可能ですか
A8.同一の経費に対して国・自治体の他の補助金と重複して受給することは原則として認められません。ただし、対象経費が異なる場合や、フェーズが異なる場合(例:研究開発はものづくり補助金、量産化設備は本制度)には、戦略的な組み合わせが可能です。各補助金の公募要領で禁止されている重複受給のルールを必ず確認したうえで、自社の中長期的な投資計画に応じた制度選択を行うことが重要です。
Q9.製造業以外でも採択されますか
A9.採択企業の中心は金属加工・精密機械加工を中心とする製造業ですが、第9回・第10回では印刷業、食品製造業、環境・廃棄物処理業、医療・歯科サービス業、卸売業、運送業など、製造業以外の業種も採択されています。例えば「歯科クリニックのデジタル機器導入による審美歯科・インプラント治療強化」「物流DX化による処理能力倍増」「最新コンクリートポンプ導入による施工効率化」などが採択されています。業種よりも、自社の事業計画が「製品・サービスの質的向上」または「生産能力の拡大」のいずれかに明確に該当することが重要です。
Q10.コンサルタントに依頼する場合、どのような点を確認すべきですか
A10.「本助成金そのものの実績」を必ず確認することが重要です。本制度は東京都独自の制度であり、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの国の制度とは審査の論点が異なります。前身制度「革新的事業展開設備投資支援事業」の頃からの支援実績、過去の採択率、二次審査(面接)対策の有無、業種別の支援実績を具体的に確認することが望ましい姿です。なお、東京都中小企業振興公社は「自己負担なしでソフトウェア導入の助成金を受給できる」といった電話勧誘・セールスへの注意喚起を公式に行っており、本助成金の助成率は最大でも4/5(自己負担1/5以上)である点を十分に理解しておく必要があります。
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