【令和8年度・大阪府】利益率向上・賃上げ支援事業とは?上限500万円・補助率2/3を徹底解説
物価高騰と最低賃金の上昇が続くなか、大阪府内の中小企業にとって「賃上げの原資をどう確保するか」は避けて通れない経営課題となっています。こうした状況を受け、大阪府は令和8年度(2026年)に「利益率向上・賃上げ支援事業」を新設しました。生産性向上や売上拡大によって利益率を高める取組みを、緊急的かつ集中的に支援する補助金です。
この制度の本質は、単なる設備投資補助ではありません。「稼ぐ力を高め、その果実を賃上げに回す」という一本の流れを事業者自身に設計させる点にあります。上限500万円・補助率3分の2・採択予定約600者という、大阪府独自の補助金としては規模の大きい制度です。
本記事では、利益率向上・賃上げ支援事業の全体像と申請のポイントを網羅的に解説します。これから申請を検討する大阪府内の経営者の方はもちろん、顧問先への助言を検討する士業・支援機関の方にも参考になります。
制度が新設された背景と政策的意義
利益率向上・賃上げ支援事業は、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、大阪府が令和8年度(2026年)に実施する補助事業です。持続的な賃上げを実現するためには、賃上げの原資となる利益そのものを企業が生み出す力が欠かせません。
賃上げは社員の暮らしを守る重要な取組みですが、単に費用を捻出するだけでは長続きしません。利益が出る仕組みをつくることが、継続的な賃上げの前提条件です。本事業はその点を制度設計の核心に据え、業務プロセスの効率化や省力化、新規事業の推進など、生産性向上や売上拡大を通じて売上高営業利益率を高める取組みを幅広く支援します。
大阪府は本事業を「大阪府賃上げ促進支援パッケージ」の一環として位置づけており、補助金単体ではなく、価格転嫁支援や販路開拓支援、金融支援などと組み合わせた総合的な賃上げ支援を打ち出しています。
利益率向上・賃上げ支援事業の基本的な仕組みと目的
本事業の目的は、府内中小企業等が賃上げ原資を確保できるよう、利益率向上につながる取組みを支援することにあります。制度の基本情報は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 500万円 |
| 補助率 | 補助対象経費総額の3分の2以内 |
| 採択予定者数 | 約600者 |
| 申請期間 | 令和8年(2026年)5月25日(月)〜6月26日(金)17:00 |
| 補助対象期間 | 交付決定日(令和8年8月上旬予定)〜令和9年(2027年)1月31日 |
| 申請方法 | 電子申請のみ(郵送・持参は不可) |
| 支払方式 | 精算払い(事業完了後の後払い) |
補助率3分の2は、大阪府独自の補助金としてはきわめて手厚い水準です。採択枠も約600者と多めに設定されており、府内中小企業にとって検討する価値の高い制度と整理できます。
対象となる事業者と申請要件
対象は、大阪府内に本店または主たる事業所を有する中小企業者等です。法人だけでなく、個人事業主、弁護士法人・税理士法人・社会保険労務士法人などの士業法人、企業組合・協業組合、一定の要件を満たす一般社団法人も対象に含まれます。
業種別の中小企業者規模要件
業種ごとに、資本金または従業員数のいずれかを満たす必要があります。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 等 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
注意:従業員1人以上が必須
申請時の直近期末決算において、常時使用する従業員が1人以上いることが条件です。役員・専従者・日雇労働者・2か月以内の期間労働者・試用期間中の者は、この「従業員」には含まれません。
対象外となるケース
| 対象外となる主なケース |
|---|
| 発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が所有している |
| 発行済株式の3分の2以上を大企業が所有している |
| 大企業の役員等が役員総数の2分の1以上を占めている |
| 直近3事業年度の法人税・消費税等に未納がある |
| 暴力団員等に該当する |
補助条件と対象経費の詳細
補助対象となるのは、業務プロセスの効率化やロスの削減、省力化、新規事業の推進など、生産性向上または売上拡大を通じて利益率向上を図る事業です。補助対象経費は7区分に整理されています。
| 経費区分 | 主な対象 | 上限・注意点 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 単価5万円(税抜)以上の機械・工具・専用ソフト・クラウドサーバー領域賃借料 等 | 汎用品(PC・タブレット等)は対象外 |
| 開発費 | 試作開発の原材料費・設計費・製造費・市場調査費 等 | 量産品は対象外 |
| 専門家経費 | 助言・コンサルティングの謝金、旅費 | 謝金は1日5万円が上限。宿泊費は対象外 |
| 外注費 | 設計・検査等の委託費 | 補助対象経費総額の50%まで |
| 知的財産権等関連経費 | 特許ライセンス料、弁理士手続代行費 等 | 特許庁納付手数料は対象外 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 広告掲載、展示会出展、マーケティングツール導入費 等 | 自社制作の人件費は対象外 |
| 研修費 | 新規導入設備の操作研修 等 | 補助対象経費総額の3分の1まで。一般スキルアップ研修は対象外 |
注意:補助対象外となる主な経費
自社の人件費・旅費、汎用品(PC・タブレット・スマホ・生成AI・カメラ・家具家電等)の購入費、不動産購入費・家賃・敷金、建物の建設・工事費、税理士等への決算書作成費用、補助金申請のための事業計画作成費用、関連会社への支払い、そして消費税及び地方消費税は対象外です。申請書には税抜金額を記入します。また、交付決定日(令和8年8月上旬予定)までに発注・契約が終わっているものも対象外です。
申請フローと必要書類
申請から補助金の支払いまでの主なスケジュールは以下のとおりです。補助金は事業完了後の精算払いであるため、事業実施期間中は全額を自己負担で支出し、実績報告と検査を経た後に補助金が支払われます。資金繰りを見据えた計画が前提となります。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年5月25日〜6月26日 | 申請受付(6月26日17:00まで) |
| 令和8年8月上旬 | 交付決定(採択発表) |
| 令和8年8月〜令和9年1月31日 | 補助事業実施期間 |
| 令和9年2月12日まで | 実績報告書の提出 |
| 令和9年3月下旬 | 補助金の支払い |
申請に必要な書類10点
申請は専用の電子申請フォームから行います。提出が必要な書類は次のとおりです。
- 補助金交付申請書(様式第1号)
- 事業計画書(様式第1号別紙1)
- 補助対象経費の支出計画書(様式第1号別紙2)
- 賃金引き上げに向けた宣言書(様式第1号別紙3)
- 要件確認申立書(様式第1-2号)
- 暴力団等審査情報(様式第1-3号)
- 登記事項証明書の写し(法人)または住民票の写し(個人)
- 直近の確定申告書の写し
- 納税証明書(府税・国税の2種)
- 決算書類(直近事業年度分)
POINT:申請書類は申請者自身が作成する必要があります
認定経営革新等支援機関などの外部機関から、検討やブラッシュアップのための助言を受けることは差し支えありません。しかし、申請書類の作成自体を外部機関が行うことは認められていません。申請書類の提出者および連絡担当者は、申請者の役員・従業員に限られます。専門家を活用する場合は、この役割分担を正しく理解しておくことが重要です。
最大の特徴である賃上げ宣言書と追跡調査
本事業の最大の特徴は、申請にあたって賃上げ宣言書(様式第1号別紙3)の提出が必須である点です。代表者は、従業員(役員・専従者を除く)の給与支給総額を、基準年度から目標達成年度までに2.0%以上引き上げる目標を設定し、その達成に向けて取組みを推進することを従業員に宣言します。
| 給与支給総額に含まれるもの | 含まれないもの |
|---|---|
| 給料・賃金・賞与 等 | 役員報酬・福利厚生費・法定福利費・退職金 |
給与支給総額2.0%引き上げの具体的な計算イメージ
「2.0%」がどの程度の負担になるのかは、自社の給与支給総額から逆算すると具体的に把握できます。重要なのは、対象が個々人の賃金ではなく従業員全体の給与支給総額である点です。たとえば、従業員10名・給与支給総額3,000万円の事業者であれば、計算は次のようになります。
| 項目 | 金額イメージ |
|---|---|
| 基準年度の給与支給総額(直近期末) | 3,000万円 |
| 目標年度の給与支給総額(+2.0%) | 3,060万円 |
| 必要となる増額分(年間) | 60万円 |
この60万円という増額分を、本事業による利益改善のどこから生み出すのか。事業計画書では、この原資の出どころを明確に示すことが評価につながります。賃上げの数字と事業計画の数字が一体になっていることが、本事業の事業計画における最重要ポイントです。なお、ここで示した金額はあくまで計算イメージであり、自社の実額で確認することが前提となります。
さらに、賃上げの実施状況を確認するため、実績報告時・令和9年度末・令和10年度末の計3回にわたる追跡調査が実施されます。申請時にこの追跡調査への回答に同意することが要件であり、長期にわたって賃上げの取組みを確認される点を理解しておく必要があります。
なお、目標を達成できなかった場合でも、ただちに補助金の返還を求められる制度設計にはなっていません。目標未達の場合は、大阪府が支援機関の情報提供などのサポートを実施する予定とされています。事業計画と一体で賃上げの道筋を描くことが、現実的な対応です。
持続化補助金・ものづくり補助金との違い
利益率向上・賃上げ支援事業を、全国規模の主な補助金と比較すると、次のように整理できます。同一の経費について複数の補助金を重複して受給することはできないため、自社の取組み内容に最も合う制度を選ぶことが重要です。
| 項目 | 利益率向上・賃上げ支援事業 | 小規模事業者持続化補助金 | ものづくり補助金 |
|---|---|---|---|
| 対象地域 | 大阪府限定 | 全国 | 全国 |
| 補助上限額 | 500万円 | 50〜250万円 | 750万円〜 |
| 補助率 | 3分の2 | 3分の2〜4分の3 | 2分の1〜3分の2 |
| 主な目的 | 利益率向上・賃上げ | 販路開拓 | 革新的設備投資 |
| 賃上げ要件 | 必須(2.0%) | 任意特例 | 加点項目 |
| 公募回数 | 令和8年度のみ | 年複数回 | 年複数回 |
採択率はどの程度か|前身「テイクオフ補助金」からの推計
利益率向上・賃上げ支援事業は令和8年度(2026年)に新設された制度であり、過去の公募実績はありません。そのため確定的な採択率は存在しません。しかし、採択率を読み解くうえで最も参考になるのが、前身にあたる「新事業展開テイクオフ支援事業(テイクオフ補助金)」の実績です。同事業は本事業と同じ大阪府の経営革新グループが所管し、同じく物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した、補助金と伴走支援を組み合わせる同型の制度でした。
大阪府が公表した採択結果をもとにテイクオフ補助金の採択率推移を整理すると、以下のようになります。
| 年度 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度(2024年) | 約1,584者 | 約324者 | 約20% |
| 令和7年度(2025年) | 約1,062者 | 約694者 | 約65% |
注目すべきは、採択率が年度によって大きく振れている点です。採択枠が絞られた令和6年度(2024年)は約20%と、申請者の5人に1人しか採択されない狭き門でした。一方、採択枠を大幅に拡大した令和7年度(2025年)は約65%まで上昇しています。採択率は「採択枠」と「申請者数」の綱引きで決まるという構造が、ここに表れています。
この構造を本事業に当てはめると、採択枠は約600者と公表済みであるため、採択率は「600者 ÷ 申請者数」で決まります。本事業は補助上限500万円とテイクオフ補助金(上限100万円〜150万円程度)を大きく上回る手厚い水準であり、対象も幅広いため、申請が集まりやすい条件がそろっています。仮に申請者数がテイクオフ補助金令和7年度(約1,062者)と同程度かそれ以上に膨らむと想定すると、採択率はおおむね4割〜6割程度に着地する可能性が高いと整理できます。申請が想定以上に殺到すれば、令和6年度のように4割を下回る展開もあり得ます。
POINT:採択率の見方
前身制度の数値はあくまで参考であり、本事業の採択率を保証するものではありません。ただし「枠が公表されている=申請者数しだいで競争率が決まる」という性質は共通します。申請者数は締切まで分からないため、採択を前提とするのではなく、計画の質を高めて競争に備える姿勢が現実的です。なお、テイクオフ補助金では新規事業という制度趣旨のもとで業種により採択傾向の差が指摘されましたが、本事業は利益率向上という別の趣旨であるため、業種そのものよりも「利益率向上の論理の強さ」が評価を左右すると理解するのが妥当です。
採択される事業計画の組み立て方
本事業の審査では、賃金引き上げの実現可能性と、事業計画の効果予測が重視されます。採択される事業計画に共通するのは、「取組み・利益率向上・賃上げ」が一本の論理でつながっていることです。この因果の鎖を、根拠ある数値とともに示せるかどうかが評価を分けます。
評価される因果の組み立て
事業計画は、次の流れが断絶なくつながっていることが理想です。設備やシステムを導入することそのものが目的化していると、効果予測の説得力が弱まります。
| 段階 | 事業計画で示すこと |
|---|---|
| 現状と課題 | いまの売上高営業利益率と、それを圧迫している具体的な要因(非効率・ロス・人手不足・低付加価値 等) |
| 取組み | 課題を解消する具体策(設備・システム・販促・外注 等)と、それが課題をどう解くか |
| 効果 | 生産性向上または売上拡大によって、売上高営業利益率が何ポイント改善するか(根拠つき) |
| 賃上げ | 改善した利益を原資に、給与支給総額を2.0%以上引き上げる道筋 |
数値は「根拠」とセットで示す
効果予測は、結果の数字だけでなく算定根拠まで示すことで説得力が増します。たとえば「業務時間を月40時間削減し、その分を付加価値の高い業務へ振り向ける」「歩留まりを3%改善する」「客単価を○円引き上げる」といった、計算過程が追える形で記載することが重要です。売上・コスト・利益率の改善前後を対比で示すと、効果が明確に伝わります。
業種別の活用イメージ
補助対象経費は7区分にわたるため、複数の区分を組み合わせて取組みを設計できます。
| 業種 | 組み合わせ例 |
|---|---|
| 製造業 | 機械装置の導入+設計の外注+オペレーター研修で、生産能力と歩留まりを高める |
| 飲食業・小売業 | POSや受発注システムの導入+販促物制作+展示会出展で、業務効率化と売上拡大を両立する |
| サービス業 | マーケティングツール導入+専門家コンサルティング+広告掲載で、集客と単価を改善する |
注意:評価されにくい計画
設備導入そのものが目的になっている計画、賃上げの数字が事業計画の数字と切り離されている計画、固定費削減や人員削減で利益率を上げようとする計画は、評価されにくいか、そもそも補助対象外となります。前向きな生産性向上・売上拡大によって利益率を高め、その果実を賃上げに回すという制度の趣旨に沿った設計が前提です。
採択を勝ち取るための実践的戦略
審査では、賃金引き上げの実現可能性や事業計画の効果予測などの観点が見られます。これに加え、事前準備で対応できる2つの加点項目が設定されています。申請を検討する段階こそ、これらに着手する最も有効な時期です。
加点項目1:事業継続計画(BCP)の策定
中小企業の事業継続計画(BCP)を策定している事業者(策定予定者を含む)は、より継続的に賃上げの取組みを実現できる可能性が高いと評価され、加点されます。大阪府の中小企業BCPページで策定方法を確認できます。
加点項目2:パートナーシップ構築宣言への登録
サプライチェーン全体の付加価値向上と、大企業・中小企業の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言ポータルサイトに登録している事業者も加点対象です。申請日までに宣言を登録し、原則として令和8年(2026年)7月8日(水)までに公表されている必要があります。
採択者だけが受けられる伴走支援
採択された約600者のうち、約100者に対し、専門家による無料の伴走支援が提供される予定です。定期的な個別面談や講座、事業計画への客観的なアドバイスなどを通じて、利益率向上に向けた取組みを支援します。ただし希望すれば必ず受けられるわけではなく、採択後の希望調査をもとに事務局が決定します。
制度活用にあたっての注意事項
本事業を活用する際には、次の点に注意が必要です。第一に、申請期間が約1か月と短く、賃上げ計画を含む事業計画の組み立てには相応の時間がかかります。第二に、補助金は精算払いであり、事業期間中の支出は一旦すべて自己負担となるため、つなぎ資金の手当てが欠かせません。
第三に、交付決定前に発注・契約を済ませた経費は対象外となります。早く動きたい場合でも、交付決定を待ってから発注する必要があります。最悪の場合、フライング発注によって補助対象外と判断されるリスクがあるため、この点は冷静にご判断ください。
精算払いと資金繰りの注意点
本事業は事業完了後の精算払い(後払い)です。たとえば補助対象経費が750万円・補助金500万円の取組みであっても、事業期間中は750万円全額を自社で立て替え、補助金500万円が振り込まれるのは令和9年(2027年)3月下旬の見込みです。交付決定から補助金入金までの数か月間、補助金相当額を自己資金でまかなう必要があるという点を、計画の段階で織り込んでおくことが重要です。
自己資金で立て替えが難しい場合は、つなぎ資金として金融機関の融資を検討することになります。大阪府は本事業を「賃上げ促進支援パッケージ」の一環と位置づけており、設備投資応援融資に係る信用保証料の補助など、金融面の支援メニューも用意されています。補助金と融資をどう組み合わせるかを早い段階で設計しておくことが賢明です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 規模の大きい府独自補助金 | 補助上限500万円・補助率3分の2・採択予定約600者と、大阪府独自の補助金として規模が大きい。 |
| 賃上げ2.0%の宣言が必須 | 給与支給総額2.0%以上引き上げの宣言書提出と、3回の追跡調査への同意が要件となる。 |
| 使い道が広い7区分の経費 | 設備投資から販促・研修まで幅広く活用でき、生産性向上・売上拡大の取組みが業種を問わず対象。 |
| 加点は事前準備で取れる | BCP策定とパートナーシップ構築宣言の登録が加点項目。早めの着手が採択ボーダーで効く。 |
| 申請期間は約1か月のみ | 令和8年5月25日〜6月26日17:00。書類取得と計画策定を逆算し、早期の準備着手が賢明。 |
よくある質問
Q1.創業して間もないのですが申請できますか?
A1.創業後の決算を1度でも終えていれば申請可能です。要件は、申請時の直近期末決算において常時使用する従業員が1人以上いることです。ただし、創業から交付申請日までに終了した事業年度について、法人税・消費税・地方消費税を完納している必要があります。創業初年度で決算をまだ迎えていない場合は、本事業の対象外となります。創業期の資金需要には、別の創業向け補助金や融資制度の活用を検討することが現実的です。
Q2.賃上げ目標2.0%を達成できなかった場合、補助金は返還が必要ですか?
A2.目標未達であっても、ただちに補助金の返還を求められる制度設計にはなっていません。目標未達の場合は、大阪府が支援機関の情報提供などのサポートを実施する予定とされています。ただし、申請内容に虚偽があった場合や、補助金を他の用途に使用した場合などは、交付決定が取り消され返還を求められることがあります。賃上げは無理のない範囲で、事業計画と一体で道筋を描くことが重要です。
Q3.採択されたら必ず伴走支援を受けられますか?
A3.伴走支援は採択事業者約600者のうち約100者が対象です。採択後に実施される希望調査をもとに、支援の必要性や事業計画との親和性を踏まえて事務局が決定するため、希望しても必ず受けられるとは限りません。なお、伴走支援にかかる謝金は事務局が負担しますが、旅費等の実費は採択事業者の負担となります。
Q4.他の補助金と併用できますか?
A4.同一の商品・サービス等の経費について、国または地方公共団体等からの他の補助金との重複受給は認められません。重複支給が判明した場合には、不交付や返還を求められることがあります。一方で、経費を区別し、別々の取組みにそれぞれ別の補助金を活用することは可能です。たとえば、設備投資は本事業で、販路開拓は持続化補助金で、というように切り分ければ併用できます。
Q5.申請書類の作成を外部の専門家に依頼できますか?
A5.申請書類は申請者自身が作成する必要があります。認定経営革新等支援機関などの外部機関から、検討やブラッシュアップのための助言を受けることは差し支えありませんが、作成自体を外部機関が行うことは認められていません。申請書類の提出者および連絡担当者は、申請者の役員・従業員に限られます。専門家を活用する場合は、論点整理や事業計画のブラッシュアップ、加点項目の段取りといった伴走支援の形で進めることになります。
Q6.「利益率」とは具体的に何を指しますか?
A6.本事業が高めることを目指すのは、売上高営業利益率です。すなわち、売上高に対する営業利益の割合を高める取組みが対象となります。生産性向上によってコストを下げる方法と、売上拡大によって利益額そのものを増やす方法のいずれも対象となり、両方を組み合わせることもできます。事業計画書では、取組みが利益率をどの程度押し上げるのかを、根拠ある数値で示すことが評価につながります。
Q7.固定費の削減や人員削減で利益率を上げる計画は認められますか?
A7.認められません。従業員の解雇を通じて利益率向上を図る事業、固定費の削減のみを通じて利益率向上を図る事業は、補助対象外として審査から除外されます。また、発注側の優越的地位を利用した不当な取引条件変更や、単なる価格優位性のみを理由とする取引先変更によるコスト削減も対象外です。本事業はあくまで、生産性向上や売上拡大という前向きな取組みを支援するものと理解する必要があります。
Q8.パソコンや生成AIツールの購入費は対象になりますか?
A8.対象になりません。PC・タブレット・スマートフォン・生成AI・カメラ・家具家電等の汎用品の購入費・レンタル費は、補助対象外と明記されています。一方で、単価5万円(税抜)以上の専用ソフトウェアや、特定業務のために構築するシステムは、機械装置・システム構築費として対象になり得ます。汎用品か専用システムかの線引きが、経費計画の重要なポイントとなります。
Q9.交付決定前に設備を発注してもよいですか?
A9.交付決定日(令和8年8月上旬予定)までに発注・契約等が終わっているものは対象外です。採択の見込みが高いと感じても、交付決定を待ってから発注する必要があります。事業実施期間は交付決定日から令和9年1月31日までと短いため、発注先の選定や見積取得などの準備は交付決定前に進めておき、発注そのものは交付決定後に行うという段取りが現実的です。
Q10.採択率はどのくらいですか?過去の実績はありますか?
A10.本事業は令和8年度(2026年)に新設された制度であるため、過去の採択実績はなく、確定的な採択率は存在しません。ただし、前身にあたる新事業展開テイクオフ支援事業(テイクオフ補助金)が有力な参考になります。大阪府が公表した同事業の採択率は、採択枠が絞られた令和6年度(2024年)で約20%、採択枠を拡大した令和7年度(2025年)で約65%でした。本事業の採択枠は約600者と公表されているため、採択率は申請者数しだいで決まります。補助上限500万円と手厚く対象も広いことから申請は集まりやすく、おおむね4割〜6割程度に着地する可能性が高いと整理できます。採択を前提とせず、計画の質を高めて競争に備えることが現実的です。
Q11.この制度を最大限に活用するうえで、経営者が最も意識すべきことは何ですか?
A11.「取組み・利益率向上・賃上げ」を一本の論理でつなぐことです。本事業は単なる設備投資補助ではなく、稼ぐ力を高めてその果実を賃上げに回すという因果を、事業者自身に設計させる制度です。設備を入れること自体が目的化すると評価されにくく、また採択後に賃上げが続かなければ制度の趣旨に反します。投資が生産性向上や売上拡大にどうつながり、それが賃上げ原資をどう生むのか。この一貫したストーリーを描けるかどうかが、採択と事業成功の両方を左右します。
利益率向上・賃上げ支援事業の申請なら壱市コンサルティング
採択で終わらせず、賃上げが続く事業計画づくりを伴走支援
利益率向上・賃上げ支援事業は、申請書類を事業者自身が作成する制度です。壱市コンサルティングでは、認定経営革新等支援機関として、事業計画の論点整理やブラッシュアップ、加点項目の段取りを伴走支援の形でサポートします。
📋 事業計画のブラッシュアップ
取組み・利益率向上・賃上げの因果を一本の論理でつなぎ、効果予測に根拠を持たせる論点整理を支援します。
📊 数値計画と賃上げ計画の整合チェック
経費計画(別紙2)と賃上げ宣言書(別紙3)の整合を確認し、無理のない賃上げ計画づくりを支援します。
🤝 加点項目の段取り支援
BCP策定やパートナーシップ構築宣言の登録など、事前準備で取れる加点項目への着手をサポートします。
🔄 採択後の伴走支援
採択はゴールではなく出発点です。壱市コンサルティングでは、賃上げが継続できる経営体質づくりまでを見据えた支援を大切にしています。
申請期間は令和8年(2026年)6月26日17:00まで。書類取得と計画策定を逆算し、早めにご相談いただくことが重要です。
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
- ✅ 賃上げの原資をどう確保すればよいか分からない
- ✅ 利益率を上げる取組みをどう事業計画に落とし込めばよいか迷っている
- ✅ 経費区分の組み立てや対象・対象外の線引きに不安がある
- ✅ BCPやパートナーシップ構築宣言など加点項目の準備が間に合うか心配
- ✅ 採択後も賃上げを続けられる経営をしていきたい
