【令和8年度(2026年)】兵庫県「稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業」とは?補助率・上限額・申請方法を徹底解説

兵庫県は令和8年(2026年)、県内の中小企業者等を対象とした「稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業」の公募を開始します。この制度は、持続的な賃上げ環境の整備を促進することを目的に、収益力の向上につながる設備投資に対して補助を行うものです。第1期は令和8年6月8日(月曜日)から、第2期は令和8年9月1日(火曜日)から公募が始まります。

本制度の核心は、単なる設備導入の費用補填ではなく、「稼ぐ力=収益力の向上」と「賃上げ」を結びつけるという政策的な位置づけにあります。補助率は補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)、上限額は500万円、下限額は25万円と、地方自治体の設備投資補助としては実務で活用しやすい設計になっています。

本記事では、制度の背景・補助対象・補助率・申請方法・スケジュール・国の補助金との違いまでを網羅的に整理します。これから設備投資を検討している県内の経営者の方はもちろん、ものづくり補助金や省力化投資補助金との併用・使い分けを検討したい方にも参考になります。

「稼ぐ力」という政策テーマが補助金になった背景

「稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業」を理解するためには、近年の中小企業政策が「賃上げ」と「収益力向上」を一体で捉えるようになった経緯を俯瞰する必要があります。物価上昇局面において、賃上げの原資を確保するには、企業が生み出す付加価値そのものを高めなければなりません。賃上げの持続性は、最終的に企業の「稼ぐ力」に依存するという認識が、国・地方双方の政策の前提になっています。

この制度名が示す通り、本補助金は「稼ぐ力」、すなわち収益力の向上を核心に据えた設計です。言い換えれば、単に古い設備を新しくするための補助ではなく、設備投資を通じて収益構造そのものを改善し、それを賃上げ環境の整備へとつなげるという政策意図を持った制度です。設備投資の内容が「収益力の向上につながると認められる」ことが評価の前提となる点を、深く理解しておく必要があります。

国の補助金との「役割分担」という見方

国のものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金が全国規模で大型の設備投資を支援するのに対し、本制度は兵庫県内の事業者に対象を絞り、商工会・商工会議所の経営指導を前提とした地域密着型の支援として整理されます。上限500万円・下限25万円という金額帯は、国の補助金では拾いきれない比較的小規模な設備投資にも対応できる設計です。地域の支援機関と連携しながら、身の丈に合った設備投資を後押しする位置づけと理解するのが実態に近い見方です。

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制度の基本的な仕組みと全体像

本制度は、策定した補助事業計画書に基づいて実施する「収益力の向上につながると認められる設備等の導入」を補助対象とします。まず制度の全体像を、以下の表で整理します。

項目 内容
実施主体 兵庫県(産業労働部 地域経済課)
目的 持続的な賃上げ環境の整備を促進するための収益力向上に資する設備投資の補助
補助対象者 兵庫県内に補助事業を実施する事業所を有する中小企業者等
補助率 補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)
補助上限額 500万円
補助下限額 25万円
審査方法 書類審査のみ(ヒアリング審査なし)
申請の前提条件 商工会・商工会議所による経営指導(意見書)が必要

📌 POINT

本制度の最大の特徴は、ヒアリング審査がなく、提出された書類のみで審査が行われる点です。そのため、補助事業計画書の記載内容が採否を大きく左右します。「なぜその設備投資が収益力の向上につながるのか」を、書類のなかで論理的に示すことが採択の鍵になります。

補助対象者と「小規模事業者」の区分

補助対象者は、兵庫県内に本補助事業を実施する事業所を有する中小企業者等です。詳細な要件は公募要領(P6〜8)で確認する必要がありますが、本制度では補助率の点で「中小企業者」と「小規模事業者」が区別されている点に注意が必要です。

区分 補助率 想定されるメリット
中小企業者 補助対象経費の2分の1以内 最大1,000万円の投資で500万円の補助を受けられる
小規模事業者 補助対象経費の3分の2以内 自己負担が軽く、約750万円の投資で500万円の補助に到達する

一般に小規模事業者とは、商業・サービス業で従業員5人以下、その他の業種で従業員20人以下を指します(業種により基準は異なります)。自社がどちらに該当するかによって自己負担額が変わるため、設備投資の計画段階で区分を確認しておくことが重要です。

補助対象となる経費の範囲

補助対象経費は、専ら補助事業のために使用され、かつ補助事業者に所有権が帰属する設備等に係る経費に限られます。具体的には以下の経費が対象です。

経費区分 内容
機械装置等費 機械装置等の購入、製作、改良に要する経費
ソフトウェア・システム費 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築に要する経費
運搬・据付費 対象設備の使用場所への導入に直接必要な運搬または据付に要する経費

⚠️ 注意

補助対象となるのは、交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払いが完了した経費のみです。交付決定前に発注・契約・支払いを済ませた設備は対象外となります。「先に設備を買ってしまってから補助金を申請する」という進め方はできない点を、必ず押さえておく必要があります。

専用ソフトウェアや情報システムも対象に含まれるため、生産管理システムや業務効率化のためのシステム導入なども、収益力の向上につながる投資として計画に組み込むことができます。なお、汎用ソフトや事務用品など、補助事業に専ら使用されるとは言えないものは対象外となるため、経費の切り分けには注意が必要です。

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公募スケジュールと申請の流れ

本制度は第1期と第2期の2回に分けて公募が行われます。それぞれの公募期間・事業実施期間・実績報告期限を整理すると、以下のとおりです。

項目 第1期 第2期
公募期間 令和8年(2026年)6月8日(月)〜7月7日(火) 令和8年(2026年)9月1日(火)〜9月30日(水)
事業実施期間 交付決定日〜令和8年(2026年)11月30日(月) 交付決定日〜令和9年(2027年)1月31日(日)
実績報告期限 令和8年(2026年)12月10日(木) 令和9年(2027年)2月10日(水)

申請前に必須となる「商工会・商工会議所の経営指導」

本制度の申請には、商工会・商工会議所による経営指導が必須です。申請書類のなかに「商工会・商工会議所の意見書(様式第1-2号)」を添付する必要があるため、自社単独では申請できません。意見書の取得には日数を要するため、兵庫県は公募期限の1週間前までを目安に商工会・商工会議所へ依頼するよう案内しています。

この経営指導のプロセスは、設備投資計画を客観的に磨き上げる機会でもあります。早い段階で支援機関と連携し、計画の方向性を整理しておくことが賢明です。

申請方法と提出書類

申請は、専用メールアドレス(kaseguchikara@pref.hyogo.lg.jp)宛てに必要書類を添付して提出します。メールの件名は「【交付申請】稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業費補助金」とすることが指定されています。主な提出書類は以下のとおりです。

書類名 様式
提出書類チェックリスト Excel
補助金交付申請書 様式第1号(Word)
補助事業計画書 様式第1-1号(Word)
商工会・商工会議所の意見書 様式第1-2号(Word)
相見積もり省略理由書(該当時) 様式第1-3号(Word)

⚠️ 注意

申請書類はExcelまたはWordファイルのまま提出することが求められています。データ管理の都合上、PDF等への変換は不可とされている点に注意が必要です。また、申請書類到達後3営業日以内に事務局から確認メールが返信されますが、3営業日を過ぎても返信がない場合は、必ず電話で到達確認を行う必要があります。

国の主要補助金との比較と使い分け

設備投資を支援する補助金は、国にも複数あります。本制度を検討するうえでは、ものづくり補助金・中小企業省力化投資補助金・小規模事業者持続化補助金との違いを把握しておくと、自社に最適な制度を選びやすくなります。

制度名 主体 補助上限の目安 審査の特徴
稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業 兵庫県 500万円 書類審査のみ・商工会指導が前提
ものづくり補助金 枠により750万円〜数千万円 革新性・付加価値向上を重視
中小企業省力化投資補助金 従業員規模により変動 人手不足解消・省力化を重視
小規模事業者持続化補助金 50万円〜250万円 販路開拓・小規模投資が中心

💡 補足

国の補助金が「革新性」や「省力化」といった切り口で大型投資を支援するのに対し、本制度は商工会・商工会議所の伴走を前提とした、収益力向上のための堅実な設備投資に向いていると整理されます。国の補助金で採択が難しい比較的小規模な投資や、地域の支援機関と連携しながら進めたい投資には、本制度が有力な選択肢になります。

採択を勝ち取るための実践的戦略

本制度はヒアリング審査がなく、書類審査のみで採否が決まります。したがって、補助事業計画書の完成度がそのまま結果に直結すると理解しておく必要があります。採択可能性を高めるためのポイントを整理します。

「収益力の向上」を数値で示す

本制度の趣旨は収益力の向上です。「設備が新しくなる」「作業が楽になる」といった定性的な記述に留まらず、その設備投資によって売上・粗利・付加価値がどの程度向上するのかを、具体的な数値で示すことが重要です。投資前と投資後の収益構造を対比して示せると、計画の説得力が高まります。

「賃上げ」との接続を明確にする

この制度は持続的な賃上げ環境の整備を目的としています。設備投資によって生まれた収益力の向上を、どのように従業員の処遇改善や賃上げにつなげるのかという道筋を計画に盛り込むことで、制度趣旨との整合性を示すことができます。

スケジュールを逆算して動く

申請には商工会・商工会議所の意見書が必須であり、その取得には日数を要します。公募期間の終盤に駆け込みで動くと、意見書の取得が間に合わないリスクがあります。公募開始前から計画づくりに着手し、公募期限の1週間前までに意見書を取得できるよう逆算して動くことが賢明です。

このセクションのまとめ

書類審査のみの制度だからこそ、補助事業計画書の質が決定的に重要です。「収益力向上の数値根拠」「賃上げとの接続」「逆算したスケジュール管理」の3点が、採択可能性を左右する鍵になります。

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申請前に押さえておきたい注意事項

制度を活用するうえで、見落としやすい注意点を整理します。いずれも、申請の可否や補助金の受給に直結する重要な論点です。

注意点 内容
経費の発生時期 交付決定日以降に発生し、事業期間中に支払完了した経費のみが対象
事業計画の変更 計画変更は実施前(発注・契約前)に変更申請を行い、承認を受ける必要がある
事業の中止・廃止 補助事業の全部を実施しなくなった場合は、期間終了日までに中止(廃止)承認申請が必要
実績報告 補助事業完了から30日以内、または提出期限のいずれか早い日までに実績報告が必要

なお、コールセンター(電話番号:0120-850-271)の開設は公募開始日である6月8日からとなります。それまでの問い合わせは、兵庫県産業労働部 地域経済課(電話番号:078-362-3313)が窓口となります。最新かつ正確な情報は、必ず兵庫県の公式公募要領で確認することが重要です。

この制度のポイントまとめ

ポイント 内容
① 賃上げと収益力向上の一体制度 持続的な賃上げ環境の整備を目的に、収益力の向上に資する設備投資を補助する兵庫県独自の制度
② 補助率1/2・上限500万円 補助率は2分の1以内、小規模事業者は3分の2以内。上限500万円・下限25万円で実務的に使いやすい設計
③ 商工会指導が必須 申請には商工会・商工会議所の意見書が必要。公募期限の1週間前までに依頼するのが目安
④ 書類審査のみ ヒアリングはなく、補助事業計画書の完成度が採否を左右する
⑤ 2期制・経費の時期に注意 第1期6月・第2期9月の2回公募。交付決定後に発生・支払いした経費のみ対象

よくある質問(Q&A)

Q1. 補助率と上限額はいくらですか?

A1.補助率は補助対象経費の2分の1以内、小規模事業者は3分の2以内です。上限額は500万円、下限額は25万円です。中小企業者の場合は最大1,000万円の投資で500万円、小規模事業者の場合は約750万円の投資で500万円の補助に到達します。下限が25万円に設定されているため、ごく小規模な投資は対象外となる点に注意が必要です。設備投資の規模を計画する際は、この上限・下限の範囲に収まるかをまず確認することが重要です。

Q2. 誰が申請できますか?

A2.兵庫県内に本補助事業を実施する事業所を有する中小企業者等が対象です。県外に本社があっても、補助事業を実施する事業所が県内にあれば対象となり得ますが、詳細な要件は公募要領(P6〜8)で確認する必要があります。また、補助率の点で「中小企業者」と「小規模事業者」が区別されているため、自社がどちらに該当するかを事前に確認しておくことが、自己負担額の見通しを立てるうえで重要です。

Q3. どのような経費が対象になりますか?

A3.機械装置等の購入・製作・改良に要する経費、専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築に要する経費、対象設備の運搬・据付に要する経費が対象です。専ら補助事業のために使用され、かつ補助事業者に所有権が帰属する設備等に係る経費に限られます。生産管理システムや業務効率化システムなど、収益力の向上につながるシステム投資も計画に組み込むことができます。汎用ソフトや事務用品など、専用性が認められないものは対象外となります。

Q4. 公募期間はいつですか?

A4.第1期は令和8年(2026年)6月8日(月曜日)から7月7日(火曜日)まで、第2期は令和8年(2026年)9月1日(火曜日)から9月30日(水曜日)までです。なお、申請には商工会・商工会議所の経営指導(意見書)が必要であり、その取得には日数を要します。兵庫県は公募期限の1週間前までを目安に商工会・商工会議所へ依頼するよう案内しています。公募期間の終盤に駆け込まないよう、早めに動くことが賢明です。

Q5. 申請はどうやって行いますか?

A5.専用メールアドレス(kaseguchikara@pref.hyogo.lg.jp)宛てに必要書類を添付して提出します。メールの件名は「【交付申請】稼ぐ力の強化に向けた設備投資支援事業費補助金」とすることが指定されています。申請書類はExcelまたはWordファイルのまま提出する必要があり、PDF等への変換は不可です。申請書類到達後3営業日以内に事務局から確認メールが届きますが、3営業日を過ぎても返信がない場合は、必ず電話で到達確認を行うことが重要です。

Q6. 審査ではヒアリングがありますか?

A6.ヒアリング審査はありません。本制度の採択審査は、公募要領に記載される「審査の観点」に基づき、提出された申請書類等による書類審査のみで行われます。これは、補助事業計画書の記載内容がそのまま採否を左右することを意味します。口頭で補足説明する機会がないため、「なぜその設備投資が収益力の向上につながるのか」を、書類のなかで論理的かつ具体的に示すことが採択の鍵になります。

Q7. 交付決定の前に設備を購入してもよいですか?

A7.交付決定前に発注・契約・支払いを行った設備は補助対象外となります。補助対象となるのは、交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払いが完了した経費のみです。「先に設備を買ってから補助金を申請する」という進め方はできません。設備の発注・契約は、必ず交付決定を受けた後に行う必要があります。この時系列を誤ると、せっかくの設備投資が補助の対象外になってしまうため、最も注意すべき点の一つです。

Q8. 実績報告はいつまでに必要ですか?

A8.補助事業が完了した日から30日以内、または定められた提出期限のいずれか早い日までに実績報告が必要です。第1期の実績報告期限は令和8年(2026年)12月10日(木曜日)、第2期は令和9年(2027年)2月10日(水曜日)です。実績報告書類は申請時と同じメールアドレス宛てに電子メールで提出します。補助金は実績報告と確定検査を経て支払われるため、事業完了後の報告まで含めてスケジュールを管理することが重要です。

Q9. 国のものづくり補助金などと併用できますか?

A9.同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは原則として認められません。ただし、対象とする設備や経費を分けることで、本制度と国の補助金をそれぞれ別の投資に活用するという使い分けは検討できます。本制度は上限500万円・書類審査のみで、国の補助金では拾いきれない比較的小規模な投資に向いています。一方、革新性の高い大型投資はものづくり補助金、省力化はものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金が適しています。どの制度を使うかは、投資内容と金額に応じて整理することが賢明です。

Q10. 採択されるために最も意識すべきことは何ですか?

A10.ヒアリングがなく書類審査のみであるため、補助事業計画書の完成度がすべてです。最も意識すべきは、「その設備投資がどのように収益力の向上につながるのか」を数値で具体的に示すことです。さらに、本制度が賃上げ環境の整備を目的としている以上、向上した収益をどのように従業員の処遇改善へとつなげるのかという道筋も計画に盛り込むと、制度趣旨との整合性が高まります。加えて、商工会・商工会議所の意見書の取得を含めた逆算スケジュールの管理も欠かせません。この3点を押さえることが、採択可能性を高める最も実効的な方法です。

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