【2026年7月破産】全東信の破産で飲食店はどうすべきか|カード決済停止・資金繰り・セーフティネット保証1号

クレジットカード決済代行を手掛けていた株式会社全東信は、令和8年(2026年)7月6日に大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。破産申請時の負債は1,151億6,491万円(東京商工リサーチ公表)で、令和8年(2026年)に発生した倒産としては最大規模です。そして、その打撃を最も強く受けたのが、加盟店の中核を占めていた飲食店でした。

破産手続の開始と同時に、店舗のクレジット端末は使用不能になりました。さらに、立替払を受け取っていない売上金は破産債権に転じ、約束されていた入金日に振り込まれることはありません。飲食店は「明日の売上が入ってこない」ことと「今日カードが使えない」ことを、同じ日に同時に突きつけられたことになります。

経済産業省は令和8年(2026年)7月10日に支援措置を公表し、同月31日には全東信がセーフティネット保証1号の指定事業者として官報に告示されました。一般保証とは別枠で、融資額の100%を保証する枠が開いています。ただし利用には市区町村長の認定が必要で、認定書の有効期間は多くの自治体で30日です。動き出しの速さがそのまま結果に直結します。

本記事では、飲食店の経営者が今日から何をすべきかを優先順位の順に整理し、なぜ飲食業にこれほど打撃が集中したのかという構造的な背景と、使える公的支援制度、そして次に同じことが起きないための備えまでを、特定の事業者の立場に偏らずに解説します。全東信を利用していた店舗の方はもちろん、他社の決済代行を使っている飲食店経営者の方、飲食業の支援に携わる士業・金融機関の方にも参考になります。

Contents
  1. 飲食店に何が起きたのか
  2. なぜ打撃が飲食店に集中したのか
  3. 飲食店経営者が今日から動くべきこと
  4. 飲食店が使える公的支援制度
  5. 次に同じことが起きないための備え
  6. この記事のまとめ
  7. よくある質問
  8. 飲食店の資金繰り立て直しなら壱市コンサルティング

飲食店に何が起きたのか

破産手続の概要と規模

株式会社全東信は、令和8年(2026年)7月6日午後0時に大阪地方裁判所から破産手続開始決定(令和8年(フ)第3500号)を受け、破産管財人が選任されました。破産管財人の公表によれば、破産手続の開始により同社は事業を停止し、財産はすべて破産管財人の管理下に置かれています。

負債規模は、東京商工リサーチが破産申請時で1,151億6,491万円、帝国データバンクが令和7年(2025年)3月期決算時点で1,259億2,900万円と公表しています。金融債権者は63行・社、金融債権額は1,130億2,138万円に達しており、地方銀行・信用金庫・信用組合が中心です。影響は飲食店だけでなく、その飲食店に融資している地域金融機関にも同時に及んでいるという点が、この事案の広がりを示しています

項目 内容
破産手続開始決定 令和8年(2026年)7月6日/大阪地方裁判所(令和8年(フ)第3500号)
負債総額 1,151億6,491万円(破産申請時/東京商工リサーチ公表)
1,259億2,900万円(令和7年(2025年)3月期決算時点/帝国データバンク公表)
加盟店数 破産申請時点で約2万50店舗(東京商工リサーチ公表)。平成30年(2018年)9月時点では20万店超と公表されていた
利用業種の中心 飲食業。特に個人経営・小規模の店舗、夜間営業の業態の比率が高い
金融債権者 63行・社/金融債権額1,130億2,138万円(東京商工リサーチ公表)
業界団体の動き 一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)が飲食店向けにリリースを出し、セーフティネット保証1号の指定を関係方面に働きかけ

飲食店に生じた3つの実害

第一に、クレジット端末機が一切使用できなくなりました。破産手続開始により決済代行およびこれに付帯する一切のサービスが中止されたためです。端末が物理的に作動する場合であってもサービスは利用できないと明示されており、カード決済を再開するには別の決済事業者と新たに加盟店契約を締結する必要があります。

第二に、立替払を受け取っていない売上金が破産債権に転じました。月2回の入金サイクルであれば半月分、ボーナス払いの繰越分を抱えていればそれ以上の売上が、入金予定日を過ぎても振り込まれません。破産手続のなかで配当という形で一部が戻る可能性は残りますが、配当率は一般に僅少にとどまるケースが多く、この配当を資金繰りの前提に置くことは現実的ではありません。

第三に、代替決済手段を確保するまでの期間、機会損失が積み上がります。カードが使えない店では客単価が下がり、決済手段を理由に来店をあきらめる客も生まれます。宴会・接待利用の比率が高い店ほど影響は大きく、未収売上金の焦付きとはまったく別の損失として現れます。

注意

破産手続開始後に端末が反応することがあっても、決済は成立しません。誤って処理すると、後日その代金を回収できないまま顧客とのトラブルに発展するおそれがあります。端末は物理的に使用を停止し、レジ担当者・アルバイトを含む全スタッフに周知したうえで、店頭とオンライン予約ページの双方に案内を掲示してください。

📊 このセクションの要点

令和8年(2026年)7月6日の破産手続開始により、飲食店は端末の使用停止・未収売上金の破産債権化・代替手段確保までの機会損失という3つの実害を同時に受けました。加盟店の中心が個人経営・小規模の飲食店であったため、被害は資金的な体力の薄い層に集中しています。

なぜ打撃が飲食店に集中したのか

この事案の被害が飲食業に偏った理由は、単なる偶然ではありません。飲食店の資金繰りの構造そのものが、このサービスと強く結びついていたためです。特定の事業者に限らず、業界全体として共有すべき論点として整理します。

早期入金が「日銭」の代わりになっていた

飲食業はもともと現金商売で、日々の売上がそのまま翌日の仕入代金になる業態です。ところがキャッシュレス化が進むと、売上の大半は「入金待ちの債権」に変わります。一般的なカード決済では締め日から15日後・30日後・45日後の入金となり、その間も仕入・家賃・人件費の支払いは待ってくれません。

破綻した決済代行サービスは、週2回や月6回といった短い入金サイクルを設定していました。手数料が相対的に高くても、日銭の感覚に近い形で資金が回るため、多くの店に選ばれていました。つまりこのサービスは、飲食店にとって決済手段であると同時に、実質的な短期資金調達手段でもあったと理解するのが実態に近い見方です

項目 飲食店の一般的なサイクル
生鮮食材の仕入 当日〜週次の締めで短期支払い。市場・産直は現金取引も残る
酒類・食材卸 月締め翌月払いが中心。支払日は月初〜月中に集中
家賃 前月末〜月初に前払い。繁華街の路面店は負担比率が高い
人件費 月次給与に加え、アルバイトの日払い・週払いを併用する店も多い
カード売上の入金 通常は締め後15〜45日後。早期決済代行では週2回・月6回など短サイクル

他社では契約が難しい店の受け皿だった

報道によれば、破綻した決済代行会社は他の決済事業者では加盟店契約が難しい業種・事業者とも取引を行っていました。開業間もない個人店、夜間営業の業態、法人化していない事業者など、既存の金融・決済インフラから十分なサービスを受けにくい層を顧客として業容を拡大した側面があります。

この点は、影響の深刻さを二重にしました。他社の審査が通りにくかった店ほど、代替の決済手段をすぐには確保できないという構造になっているためです。破綻によって決済手段を失った店が、そのまま決済手段のない状態で営業を続けざるを得ない状況が生まれています。

現金オンリーに戻るという逃げ道がない

経済産業省が令和8年(2026年)3月に公表した数値によれば、令和7年(2025年)のキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)に達し、その内訳ではクレジットカードが82.7%(134.6兆円)を占めています。さらに政府は令和12年(2030年)に国内指標で65%とする目標を掲げ、中小の飲食店等での普及を促す方針を示しています。

POINT

キャッシュレス比率がここまで上がった以上、「しばらく現金のみで営業する」という選択は、実質的に売上の相当部分を手放すことを意味します。代替決済の確保は、コストの問題ではなく売上維持の問題として捉える必要があります。

未収残高が無担保のまま滞留していた

決済代行を経由した売上は、店から見れば決済代行会社に対する売掛債権です。入金サイクルが短ければ残高は小さく抑えられますが、それでも常に一定額が未収の状態で滞留します。年末年始や大型連休の直後、ボーナス払いの繰越分が重なる時期には、残高はさらに膨らみます。

この滞留残高には、担保も保証もついていません。取引先が1社であるがゆえに、店は自社の月商の相当額を、実質的に無担保で1社に預けている状態になっていたと整理されます

📊 このセクションの要点

早期入金が日銭の代わりとして資金繰りに組み込まれていたこと、他社の審査が通りにくい店ほど依存度が高かったこと、キャッシュレス比率58.0%の時代に現金回帰という逃げ道がないこと。この3つが重なり、打撃が飲食業に集中しました。

飲食店経営者が今日から動くべきこと

やるべきことは多く見えますが、順番を間違えなければ整理できます。回収できるかどうかの検討は後回しで構いません。まず店を開け続けられる状態をつくることが最優先です。優先順位の順に整理します。

端末の停止と、顧客への案内

端末の使用を物理的に停止し、全スタッフに周知します。そのうえで、店頭・レジ横・予約サイト・自社SNSに「現在カード決済を停止していること」「利用可能な支払方法」を明示します。予約が入っている団体客・接待利用の顧客には、来店前に個別連絡を入れることが有効です。会計時に初めて知らせる形になると、顧客満足の低下がそのまま次回来店の喪失につながります

代替決済手段の確保

他の決済代行事業者、カード会社との直接契約、QRコード決済の追加導入を、同時並行で申し込みます。審査には日数を要するため、1社ずつ順番に試すと機会損失が積み上がります。比較の軸は次の3点です。

比較軸 確認するポイント
入金サイクル 締め日と入金日、月何回か。短いほど資金繰りは楽になるが手数料は上がる傾向
手数料率 カードブランド別の料率、端末費用、月額固定費の有無
審査期間と必要書類 申込から利用開始までの日数、業態による可否、法人・個人事業主の別

当面は入金の早い事業者で資金繰りを守り、経営が落ち着いた段階で手数料率の低い事業者へ切り替えるという二段構えも有効です。今回の教訓を踏まえ、最初から2系統以上を並行して契約しておくことが望まれます

資金繰り表の作り直し

未収売上金が回収不能となる前提で、向こう6か月から12か月の資金繰り表を作り直します。配当の可能性はゼロとして計画するのが安全側の判断です。そのうえで、不足額と不足が生じる時期を特定します。

金融機関や信用保証協会に相談する際、この資金繰り表の有無が対応のスピードを大きく左右します。「いくら足りないのか」「いつ足りなくなるのか」を数字で示せる状態にしてから相談することが、支援を早期に引き出す最大の要点です

仕入先・家主への支払条件の相談

融資が実行されるまでには時間がかかります。その間をつなぐ手段として、酒類卸・食材卸への支払サイトの延長、家賃の分割や一時的な猶予の相談が現実的な選択肢になります。取引先倒産という外部要因であること、公的支援の申請を進めていること、いつまでに正常化する見込みかを資料で示せば、話は進みやすくなります。

補足

支払を止めてから事後に説明するのと、支払期日の前に事情を伝えて相談するのとでは、取引先の受け止め方がまったく異なります。飲食業は同じ卸・同じ物件オーナーと長く付き合う業態です。先に伝えることが、その後の取引条件を守ります。

未収売上金の確定と債権届出の準備

決済明細、締め日別の合計、入金済みと未入金の区分、取消・返品処理の有無を整理し、根拠資料とともに一覧化します。カード決済は手数料控除の前後で金額が変わるため、税込金額と手数料控除後の金額の双方を併記しておくと、後の照合が円滑になります。

破産管財人の公表では、配当が見込める可能性が高まった段階で改めて破産債権者に必要な手続を案内するとされています。債権届出の期限・様式は破産管財人からの通知および公告で確認する必要があり、届出を行わなければ配当を受ける権利は確定しません。回収見込みが低くても、届出はセーフティネット保証1号の認定申請や貸倒処理において「回収困難」を裏づける証跡になります。

税務上の取扱いの確認

破産手続開始の申立てがあった場合、法人税法上は個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となり、担保等により回収が見込まれる部分などを除いた金額の50%相当額を損金に算入する取扱いが定められています。貸倒損失として全額を損金算入できる時期は、破産手続の進行状況によって判断が分かれます。決算期や債権額によって影響が大きく異なるため、破産手続開始決定日・未収売上金額・担保の有無を整理した資料を顧問税理士に提示し、当期の処理方針を確認してください。

📊 このセクションの要点

優先順位は、端末停止と顧客案内、代替決済の同時申込、資金繰り表の作り直し、仕入先・家主への相談、債権届出の準備、税務処理の確認の順です。回収可能性の検討に時間を使わず、店を開け続けられる状態をつくることを最優先に据えてください。

飲食店が使える公的支援制度

経済産業省は令和8年(2026年)7月10日、この破産手続開始により影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援措置を公表しました。同日、中小企業庁は金融庁・財務省等とともに、官民金融機関等に対して事業者支援の徹底を要請しています。

セーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)

大型倒産事業者に対して売掛金債権等を有することにより経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で100%保証を行う制度です。株式会社全東信は令和8年(2026年)7月31日付で指定事業者として官報に告示されました。個人事業主として営む店も、中小企業者の要件を満たせば対象になります。

項目 内容
制度概要 信用保証協会が一般保証とは別枠で100%保証
認定基準① 全東信に対し50万円以上の売掛金債権(未収入金)または前渡金返還請求権を有すること
認定基準② 50万円未満であっても、全東信との取引依存度が20%以上であること
保証限度額(別枠) 普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内
保証人 原則として第三者保証人は不要
手続の流れ 事業所所在地の市区町村で認定→金融機関・信用保証協会へ融資申込。認定書の有効期間は発行日から30日とする自治体が多い

認定申請では「市区町村内における事業実態を確認できる資料」と「未収入金の残高または取引依存度を確認できる資料」が求められます。法人は履歴事項全部証明書、個人事業主は直近の青色申告決算書や確定申告書第一表の写しが一般的です。未収入金が50万円未満で取引依存度により申請する場合は、年間売上高が確認できる決算書等と、破産手続開始前の直近月の取引が確認できる資料が追加で必要になります。飲食店では月次の売上台帳と決済明細が中心の資料になります。

セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)

日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付は、要件が緩和されました。通常は最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少といった数値要件が課されますが、特別相談窓口が設置された事象の影響を受けた場合、数値要件を満たさなくても、資金繰りに著しい支障をきたしている、またはきたすおそれがあれば対象となります。売上そのものは落ちていないが入金が止まったという飲食店の状況は、まさにこの緩和が想定する事態です

項目 内容
対象資金 設備資金および運転資金
貸付限度額 中小企業事業:7億2,000万円/国民生活事業:7,200万円(多くの飲食店は国民生活事業が窓口)
貸付期間 設備資金20年以内、運転資金10年以内
据置期間 3年以内
貸付利率 基準利率(中小企業事業2.65%、国民生活事業3.35%)※令和8年(2026年)7月現在、貸付期間5年以内の標準的利率

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

取引先の法的整理により売掛金債権等が回収困難となった場合、加入者は無担保・無保証人・無利子の共済金貸付を受けられます。貸付額は、回収困難となった債権額と掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額です。ただし、貸付を受けた額の10分の1に相当する掛金は権利が消滅する取扱いとなっており、実質的な負担が生じます。貸付事由に該当しない場合でも、解約手当金の範囲内で一時貸付金を利用できます。

特別相談窓口と業界団体の動き

全国の日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫および信用保証協会に特別相談窓口が設置されています。あわせて、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続の迅速化、担保徴求の弾力化について、事業者の実情に応じた対応を行うよう要請が出されています。

業界側では、一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)が飲食店向けの案内を出し、セーフティネット保証1号の指定を関係方面に働きかけていました。自治体独自の制度融資が用意されるケースもあり、大阪府は令和8年(2026年)7月に制度融資による資金繰り支援を打ち出しています。所在地の自治体と加盟団体の双方から情報を取ることが、使える手段を取りこぼさないための実務です

📊 このセクションの要点

セーフティネット保証1号は令和8年(2026年)7月31日に告示され、個人事業主の店も含めて別枠100%保証が使えます。セーフティネット貸付は「売上は落ちていないが入金が止まった」状況にも対応できるよう要件が緩和されています。

次に同じことが起きないための備え

今回の事案は、決済代行が民間企業の提供するサービスであり、供給が止まるリスクを抱えているという事実を突きつけました。飲食店の経営者が平時に整えておくべき備えを整理します。

備えの項目 確認すべき内容
決済手段の複線化 カード決済とQRコード決済を別事業者で2系統以上確保しているか。1社停止しても営業を続けられるか
未収残高の把握 決済代行会社に対する未収残高が月商の何割かを、月次で把握しているか
取引先の信用確認 決済代行会社や主要卸の報道・行政処分・入金遅延の兆候を定期的に確認しているか
共済への加入 経営セーフティ共済に加入しているか。掛金は損金算入でき、取引先倒産時に即戦力となる
手元資金の水準 入金が1か月止まっても家賃・人件費・仕入を払える現預金があるか
金融機関との関係 平時から試算表を共有し、緊急時にすぐ相談できる担当者がいるか

経営セーフティ共済も取引信用保険も、取引先が破綻してからでは加入できないという点で、平時にしか取れない対策です。今回被害を受けなかった店ほど、この機会に体制を点検する価値があります。

📊 このセクションの要点

決済手段の2系統化、未収残高の月次把握、経営セーフティ共済への加入、入金が1か月止まっても耐えられる手元資金。この4点が、飲食店にとって最も実効性の高い備えです。

この記事のまとめ

ポイント 内容
① まず店を開け続けられる状態をつくる 端末の停止と顧客への案内、代替決済の同時申込が最優先です。未収売上金が戻るかどうかの検討は後回しで構いません。カードが使えない期間の機会損失は、焦付きとは別に積み上がります。
② 未収売上金は破産債権となり、入金日どおりの弁済は受けられない 令和8年(2026年)7月6日の破産手続開始により、立替払を受けていない売上金は破産債権に転じました。配当率は一般に僅少にとどまるため、資金繰りにはゼロとして織り込みます。
③ セーフティネット保証1号が令和8年(2026年)7月31日に告示された 一般保証と別枠で、普通保証2億円・無担保保証8,000万円を上限に100%保証が受けられます。未収入金50万円以上、または取引依存度20%以上が認定基準で、個人事業主の店も対象です。
④ 「売上は落ちていないが入金が止まった」状況も貸付の対象になる セーフティネット貸付は数値要件が緩和され、資金繰りに著しい支障をきたすおそれがあれば対象です。多くの飲食店は国民生活事業(限度額7,200万円)が窓口となります。
⑤ 決済手段は2系統以上に分ける キャッシュレス決済比率が58.0%に達した現在、現金のみに戻る選択は売上の相当部分を手放すことを意味します。決済の複線化と経営セーフティ共済への加入は、平時にしか取れない対策です。

よくある質問

Q1.未収売上金は最終的にいくら戻ってくるのか

A1.現時点で配当率を見通すことはできません。破産手続における配当は、破産財団の規模、債権の優先順位、換価の進捗によって決まります。今回の事案では負債総額の大半が金融債権であり、店舗の未収売上金は一般の破産債権として他の債権者と按分された配当を受ける立場になります。一般論として、大型破産事案における一般債権者への配当率は僅少にとどまるケースが多く、配当があるとしても手続の進行に相当の期間を要します。したがって、配当額を資金繰り計画に織り込むことは避け、ゼロを前提に計画を立てることが実務上の安全側の判断です。ただし、配当を受けるためには債権届出が必要であり、届出を行わなければ権利そのものが確定しません。

Q2.カード決済を再開するまでにどのくらいかかるのか

A2.新たな加盟店契約の審査と端末手配が必要となるため、即日再開はできません。期間は事業者・業態・書類の揃い方によって幅があり、一律に何日とは示せません。確実に言えるのは、1社ずつ順番に申し込むと、その分だけ再開が遅れるということです。他の決済代行事業者、カード会社との直接契約、QRコード決済を同時並行で申し込み、審査が通ったものから順に導入するのが実務的です。特にQRコード決済は比較的早く使える場合があり、つなぎの手段として検討する価値があります。あわせて、現金払いの客に対する案内と、近隣ATMの位置を店頭で示すといった対応も、当面の客離れを抑えるうえで有効です。

Q3.個人経営の店でもセーフティネット保証1号は使えるのか

A3.個人事業主として営む飲食店も対象になります。認定基準は、全東信に対して50万円以上の未収入金等を有すること、または50万円未満であっても取引依存度が20%以上であることです。あわせて、申請先の市区町村内に事業実態のある事業所を有していることが求められます。個人事業主の場合、事業実態の確認資料としては税務署で収受された直近の青色申告決算書1ページ目、または所得税確定申告書の第一表の写しが一般的です。電子申告の場合は受信通知(メール詳細)が必要になります。書面申告で収受印が確認できない場合は、申請先の窓口に事前相談してください。なお、認定はあくまで保証を受ける前提であり、融資が確約されるものではありません。

Q4.認定申請にはどのような書類が必要か

A4.事業実態を示す書類と、未収入金または取引依存度を示す書類が必要です。法人であれば発行から3か月以内の履歴事項全部証明書、個人事業主であれば直近の青色申告決算書または確定申告書第一表の写しが求められるのが一般的です。未収入金が50万円以上の場合は、残高と入金状況が確認できる資料を提出します。50万円未満で取引依存度により申請する場合は、年間売上高が確認できる決算書等、当該期間に全東信へ譲渡した売掛債権額が確認できる資料、破産手続開始前の直近月の取引が確認できる資料が追加で必要になります。飲食店では決済代行の管理画面の明細、売上台帳、通帳の入金履歴が中心の資料になります。必要書類は自治体ごとに細部が異なるため、申請先の公表内容を必ず確認してください。

Q5.認定を受けてから融資実行までどのくらいかかるか

A5.認定書の有効期間内に融資申込を行う必要があり、逆算した準備が求められます。認定書の有効期間は発行日から起算して30日と定めている自治体が多く、認定を取得してから資料を揃え始めると期間内に申込が完了しないおそれがあります。実務上は、認定申請と並行して金融機関に相談し、資金繰り表・試算表・決算書といった融資審査に必要な資料を先に整えておくことが有効です。窓口が予約制の自治体もあるため、予約枠の確保も含めてスケジュールを設計してください。融資実行までの期間は金融機関の審査状況によって変動するため、その間をつなぐ手段として仕入先や家主への相談を並行して進めることが現実的です。

Q6.売上が落ちていなくても融資は受けられるのか

A6.今回は数値要件が緩和されているため、対象となり得ます。セーフティネット貸付は通常、最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少といった数値要件が課されます。しかし、特別相談窓口が設置された事象の影響を受けた場合は、数値要件を満たさなくても、資金繰りに著しい支障をきたしている、またはきたすおそれがあれば対象になります。飲食店で典型的に生じている「客足も売上も落ちていないが、カード分の入金だけが止まっている」という状態は、まさにこの緩和が想定する事態です。この場合、相談時に説明すべきは売上の減少ではなく、入金が止まったことによるキャッシュの不足額と、それが生じる時期です。資金繰り表で示すことが最も伝わります。

Q7.経営セーフティ共済に加入していれば何が使えるのか

A7.無担保・無保証人・無利子の共済金貸付が利用できます。取引先の法的整理により売掛金債権等が回収困難となった場合、回収困難となった債権額と、掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額の貸付を受けられます。ただし、貸付を受けた額の10分の1に相当する掛金は権利が消滅する取扱いとなっており、実質的な負担が生じる点は理解しておく必要があります。また、共済金の貸付事由に該当しない場合でも、解約手当金の範囲内で一時貸付金を利用できます。加入していなかった店は今回の事案では利用できませんが、掛金が損金算入できる制度であり、今後の備えとして加入を検討する価値があります。

Q8.未収売上金は今期の決算で貸倒損失にできるのか

A8.破産手続開始の申立てを事由とする貸倒引当金の繰入が原則的な取扱いです。法人税法上、破産手続開始の申立てがあった場合、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金として、担保等により回収が見込まれる部分などを除いた金額の50%相当額を損金に算入する取扱いが定められています。貸倒損失として全額を損金算入できる時期については、破産手続の進行状況に応じて判断が分かれます。決算期や債権額によって影響が大きく異なるため、破産手続開始決定日、未収売上金額、担保の有無を整理した資料を顧問税理士に提示し、当期の処理方針を確認してください。個人事業の場合は所得税法上の取扱いとなるため、法人とは判断の枠組みが異なります。

Q9.当面は現金のみの営業に戻すという判断はありか

A9.短期のつなぎとしてはやむを得ませんが、恒久的な選択とすることは危険です。経済産業省の公表によれば、令和7年(2025年)のキャッシュレス決済比率は58.0%に達し、その内訳ではクレジットカードが82.7%を占めています。政府は令和12年(2030年)に国内指標で65%とする目標を掲げ、中小の飲食店等での普及を促す方針です。この環境で現金のみの営業を続けることは、売上の相当部分を手放すことを意味します。特に接待・宴会利用や外国人観光客の来店が多い店では、影響はさらに大きくなります。手数料の負担を避けたいという判断は理解できますが、失われる売上と比較して冷静にご判断ください。

Q10.飲食店の経営者が最も意識すべきことは何か

A10.店を開け続けるための決済手段と資金を確保することを、最優先に据えることです。取引先が破綻すると、経営者の関心はどうしても「いくら戻ってくるのか」に向かいます。しかし破産手続における回収は長期かつ僅少であり、そこに時間と労力を投じても営業の継続には結びつきません。優先すべきは、代替決済手段の確保、資金繰り表の作り直し、公的支援制度の活用の3点です。そのうえで、中期的には決済手段を2系統以上に分けること、決済代行会社への未収残高を月商比で把握すること、経営セーフティ共済に加入することという、平時にしか取れない対策を実行に移してください。今回被害を受けなかった店にとっても、同じ点検が必要です。

飲食店の資金繰り立て直しなら壱市コンサルティング

取引先倒産という外部要因からの立て直しを、認定経営革新等支援機関として伴走支援

取引先の突然の破綻は、経営努力とは無関係に資金繰りを直撃します。壱市コンサルティングでは、制度の申請代行だけを切り出すのではなく、資金繰りの実態把握から制度選択、金融機関との対話までを一体で支援することを大切にしています。

認定経営革新等支援機関として、これまで100件を超える補助金採択と資金調達支援に携わってきました。使える制度があるかどうかは、店ごとの数字を見なければ結論が出ません。まずは現状を数字で整理するところから着手します。

📊 資金繰り実態の可視化

未収債権の確定と資金繰り表の作り直しを行い、不足額と不足が生じる時期を数字で特定します。金融機関との交渉はここから始まります。

🏦 セーフティネット保証・貸付の活用支援

セーフティネット保証1号の認定申請書類の整備から、金融機関・信用保証協会との調整までを支援します。認定書の有効期間を踏まえたスケジュール設計を行います。

🛡️ 決済・取引先リスクの点検

決済手段の複線化、未収残高の上限設定、経営セーフティ共済の活用など、次の取引先破綻に備える仕組みを設計します。

🔄 守りから攻めへの転換支援

資金繰りが安定した段階で、補助金を活用した店舗改装・省力化設備の導入・新業態への展開へと接続します。

取引先の破綻は、初動の速さが結果を大きく左右します。まずは現状の整理からご相談ください。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ カード売上の入金が止まり、来月の仕入と家賃の支払いが見通せない
  • ✅ セーフティネット保証1号を使いたいが、認定申請の進め方がわからない
  • ✅ 資金繰り表を作ったことがなく、金融機関に何を見せればよいか整理できない
  • ✅ 仕入先や家主にどう説明して支払いを相談すればよいか判断できない
  • ✅ 今後同じことが起きないよう、決済と取引先のリスク管理を仕組み化したい

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