【令和8年(2026年)】熊本地震で使える国の支援制度一覧|中小企業向け融資・保証・税務と支援の方法

令和8年(2026年)7月28日午後4時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7を観測しました。気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と命名しています。九州の広い範囲で強い揺れが観測され、建物や道路・橋梁の損壊、停電、断水、都市ガスの供給停止、斜面崩落などの被害が発生しています。

地震発生当日の7月28日には、熊本県の10市10町1村、あわせて21市町村に災害救助法が適用されました。これを受けて、経済産業省は翌7月29日に被災中小企業・小規模事業者向けの5つの支援措置を公表しています。特別相談窓口の設置、災害復旧貸付、セーフティネット保証4号、既往債務の返済条件緩和、小規模企業共済の災害時貸付という構成です。

災害時の支援制度は、発災直後から段階的に積み上がっていきます。まず動くのが災害救助法と資金繰り支援、次に罹災証明書を起点とした生活再建支援、そして被害の全容が判明した後に設備・店舗の復旧を支える補助金という順序です。現時点で使える制度と、今後追加される可能性がある制度を切り分けて把握することが、被災した事業者にとって最初の実務になります。

本記事では、令和8年(2026年)熊本地震に関して国が講じている救済制度を、事業者向け・個人向けに分けて一覧で整理します。あわせて、被災地の外にいる事業者・個人がどのような形で支援できるかについても、義援金と支援金の違いや税務上の取扱いを含めて解説します。熊本県内で被災された経営者の方はもちろん、取引先や関連会社が被災した企業の経営者、被災地支援を検討している事業者の方にも参考になります。

本記事は、被災された方が公的な相談窓口へ最短でたどり着けるようにすることを目的として作成しています。実際の申請・相談は、各制度を所管する公的機関の窓口が正式な受付先です。本文中には各機関の公式ページのURLを記載していますので、そちらから直接ご確認ください。

この記事で分かること

  • 災害救助法が適用された熊本県21市町村の一覧
  • 被災した事業者が使える国の支援制度5本柱の詳細と金額条件
  • 罹災証明書を起点とした個人・世帯向けの救済制度
  • 今後措置される可能性がある制度と、現時点で未確認の事項
  • 被災地の外から事業者・個人ができる支援の形と税務上の取扱い
Contents
  1. 令和8年熊本地震の概要と災害救助法の適用
  2. 被災した事業者が使える国の支援制度一覧
  3. 資金繰りを支える融資・保証制度の詳細
  4. まず相談すべき特別相談窓口
  5. 税務上の取扱いと手続
  6. 個人・世帯向けの主な救済制度
  7. 今後措置される可能性がある制度と現時点の確認事項
  8. 被災地の外から支援するためにできること
  9. この記事のまとめ
  10. よくある質問
  11. 本記事の参照元と、まず確認していただきたい公式情報
  12. 壱市コンサルティングの取り組みについて

令和8年熊本地震の概要と災害救助法の適用

地震の発生状況

気象庁の発表によれば、震源は熊本県熊本地方、震源の深さは約10〜16km、地震の規模はマグニチュード7.1(暫定値)です。震度7を観測したのは宇城市と氷川町で、熊本市南区、八代市、宇土市、美里町、益城町では震度6強、合志市、大津町、西原村、御船町、上天草市、芦北町では震度6弱を観測しています。長崎県、鹿児島県、福岡県でも震度5強から5弱の揺れが記録されました。

国土交通省は7月28日以降、被害状況について継続的に報を重ねて公表しています。余震活動は依然として活発であり、被害の全容は確定していません。制度の適用範囲や支援内容は今後も更新されるため、実際の申請にあたっては必ず各機関の最新情報を確認する必要があります。

災害救助法が適用された21市町村

内閣府は令和8年(2026年)7月28日付で、熊本県の10市10町1村に災害救助法の適用を決定しました。この災害救助法の適用地域が、その後の多くの支援制度の対象範囲を決める起点になります。

区分 市町村名
市(10) 熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市
町(10) 下益城郡美里町、菊池郡大津町、菊池郡菊陽町、上益城郡御船町、上益城郡嘉島町、上益城郡益城町、上益城郡甲佐町、八代郡氷川町、葦北郡芦北町、葦北郡津奈木町
村(1) 阿蘇郡西原村

公式情報

内閣府「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」
https://www.bousai.go.jp/pdf/260728.pdf

内閣府「災害救助法の適用状況」(最新の適用状況はこちら)
https://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo_tekiyou.html

熊本県「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/27/274494.html

国土交通省「令和8年熊本地震による被害状況等について」
https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_260728.html

災害救助法の適用は、避難所の設置や応急仮設住宅の供与といった直接の救助措置を根拠づけるだけでなく、セーフティネット保証4号、小規模企業共済の災害時貸付、携帯電話各社の料金支援、金融機関の柔軟な本人確認対応など、幅広い支援措置の適用要件として機能します。自社の事業所がこの21市町村に含まれるかどうかを最初に確認してください。

被災した事業者が使える国の支援制度一覧

経済産業省が令和8年(2026年)7月29日に公表した被災中小企業・小規模事業者支援措置は、次の5本柱で構成されています。

制度 内容 実施機関
特別相談窓口の設置 被災事業者の相談を一元的に受け付ける窓口を県内の支援機関に設置 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構九州本部、九州経済産業局
災害復旧貸付等の実施 被災した中小企業・小規模事業者への運転資金・設備資金の融資 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫
セーフティネット保証4号の適用 一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証 信用保証協会
既往債務の返済条件緩和等 返済猶予等の条件変更、貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化を要請 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会
小規模企業共済 災害時貸付 共済契約者に対し原則即日で低利融資 中小企業基盤整備機構

公式情報

経済産業省「令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」(令和8年7月29日)
https://www.meti.go.jp/press/20260729003.html

中小企業庁 ミラサポplus(同支援措置の掲載ページ)
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/24559/

押さえておくべき前提
この5つはいずれも資金繰りを止めないための制度であり、設備や店舗そのものの復旧費用を補助する制度ではありません。復旧費用を直接補助する仕組みは、過去の大規模災害では被害状況の把握後に別途措置されてきました。

資金繰りを支える融資・保証制度の詳細

日本政策金融公庫の災害復旧貸付

災害により被害のあった中小企業・小規模事業者を対象とする融資制度です。運転資金・設備資金のいずれにも利用できます。

項目 国民生活事業 中小企業事業
融資限度額 3,000万円(各融資制度に上乗せ) 1億5,000万円(別枠)
融資期間 10年以内(うち据置期間2年以内)※中小企業事業の設備資金は15年以内(うち据置期間2年以内)
金利 2.60% 2.65%

金利はいずれも令和8年(2026年)7月1日現在、貸付期間5年の場合の水準です。国民生活事業の限度額は既存の融資制度に上乗せされる金額であり、中小企業事業では別枠として設定されます。既往の借入枠を使い切っている事業者でも、この枠を使って新規に資金調達できる余地があるという点が、通常の融資との決定的な違いです。

セーフティネット保証4号

自然災害等の突発的事由により経営の安定に支障が生じている中小企業者に対し、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で100%保証を行う制度です。今回は災害救助法が適用された熊本県の10市10町1村が対象地域となります。

項目 内容
対象資金 経営安定資金
保証割合 100%保証
保証限度額 無担保8,000万円、普通2億円(一般保証枠とは別枠)
売上要件 最近1か月の売上高等が前年同月比20%以上減少し、かつその後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期比20%以上減少する見込みであること
必要な手続 売上高等の減少について市区町村長の認定が必要
保証人 原則として第三者保証人は不要

経済産業省は、地域の指定を近日中に官報で告示する予定としたうえで、告示に先立って信用保証協会での事前相談を開始しています。売上減少の要件は「実績1か月+見込み2か月」の構成であるため、告示を待つ間に月次の売上データと前年同月比の資料を整えておくことで、認定申請を速やかに進められます。

誤解しやすい点
100%保証は信用保証協会が金融機関に対して全額を保証する仕組みであり、借り入れた事業者の返済義務が免除されるものではありません。また、保証が付いても融資そのものは金融機関の審査を経て実行されます。この点を誤解したまま資金計画を立てると、後の返済局面で行き詰まるリスクがあります。

既往債務の返済条件緩和等の対応

経済産業省は、熊本県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化について、被災した中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応するよう要請しています。

新規借入だけが選択肢ではありません。復旧の見通しが立つまでの期間、既存借入の元本返済を猶予するだけで資金繰りが持ち直すケースは多くあります。新規融資と条件変更のどちらを先に検討するかは、復旧に要する期間と手元資金の残存月数から逆算して判断することが重要です。

小規模企業共済の災害時貸付

災害救助法が適用された地域内に事業所を有する小規模企業共済の契約者を対象に、中小企業基盤整備機構が原則即日で低利融資を行う制度です。

項目 内容
対象者 50万円以上の借入限度額を有する共済契約者で、被災区域内に事業所を有し、要件該当の証明を商工会等から受けた者
要件 ①被災区域内の事業所または主要な資産が全壊・流失・半壊・床上浸水等の損害を受けていること
②災害の影響を受けた後、原則として1か月間の売上高が前年同月比で減少する見込みであること
借入限度額 納付済掛金合計額に掛金納付月数に応じた7〜9割を乗じた額(50万円以上5万円の倍数)と1,000万円のいずれか少ない額
借入期間 500万円以下は36か月、505万円以上は60か月
借入利率 年0.9%(令和8年(2026年)7月29日時点)
担保・保証人 不要
取扱期間 災害発生の日から6か月以内
借入窓口 商工組合中央金庫の本・支店(原則即日貸付が可能)

年0.9%という利率は、今回の支援措置のなかで最も低い水準です。手続に必要な書類は、罹災証明書または商工会等の確認を受けた被災証明願、中小企業基盤整備機構からの通知物、実印と3か月以内発行の印鑑証明書原本、本人確認資料、収入印紙です。借入窓口を商工中金以外に登録している場合は変更手続が必要となり、即日貸付ができなくなる点に注意が必要です。また取扱期間が発災から6か月以内と限定されているため、該当する共済契約者は早い段階で検討することが賢明です。

まず相談すべき特別相談窓口

熊本県内の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構九州本部、九州経済産業局に特別相談窓口が設置されています。中小企業基盤整備機構は、九州本部とオンライン経営相談「E-SODAN」にも窓口を開設しています。

制度を個別に調べてから動くよりも、被害の状況と資金の残存月数を持って窓口に相談し、全体像を整理してもらうほうが復旧までの時間を短縮できます。

相談窓口の公式案内

経済産業省「特別相談窓口一覧」(PDF・所在地と受付時間の一覧)
https://www.meti.go.jp/files/000002989.pdf

中小企業基盤整備機構 オンライン経営相談「E-SODAN」
https://bizsapo.smrj.go.jp/

J-Net21(中小企業向け支援情報の集約サイト)
https://j-net21.smrj.go.jp/news/bt5puv000000prhn.html

小規模企業共済 災害時貸付に関する問い合わせ
中小企業基盤整備機構 共済相談室 050-5541-7171(平日9時〜17時)

税務上の取扱いと手続

災害時には、国税庁が地域を指定して申告・納付期限を延長する措置が取られることがあります。地域指定の対象外であっても、「災害による申告、納付等の期限延長申請」を個別に提出することで延長が認められる仕組みがあります。地方税や社会保険料についても、猶予や減免の制度が設けられています。

資産に損害を受けた場合の主な取扱いとしては、法人では被災資産の滅失損・除却損の損金算入や修繕費の取扱い、個人では雑損控除と災害減免法による所得税の軽減免除の選択適用が挙げられます。雑損控除と災害減免法は有利なほうを選択する形になるため、損害額と所得金額の双方から試算して判断する必要があります。

今回の地震に関する具体的な期限延長の対象地域や適用期間は、国税庁および熊本国税局の公表内容で確認してください。本記事の税務に関する記述は一般的な制度の枠組みを整理したものであり、個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

個人・世帯向けの主な救済制度

罹災証明書がすべての起点になる

罹災証明書は、住宅が火災や自然災害による被害を受けた場合に、市町村が被害の程度を認定して交付する証明書です。被災者生活再建支援金、住宅の応急修理、税の減免、災害援護資金、保険金請求など、多くの手続の前提となります。原則として被災した住家がある市町村に申請し、申請後に自治体の被害認定調査を経て交付されます。

被害状況を撮影した写真は、罹災証明書の申請や保険請求の資料になる場合があります。ただし、撮影のために倒壊のおそれがある建物へ戻る必要はありません。安全が確認できた後に、無理のない範囲で記録してください。

申請窓口・公式案内

罹災証明書の申請は、被災した住家がある市町村の窓口が受付先です。

熊本市「令和8年熊本地震 被災者支援制度(冊子)」
https://www.city.kumamoto.jp/kiji00372110/index.html

熊本県 公式ホームページ
https://www.pref.kumamoto.jp/

被災者生活再建支援金

被災者生活再建支援法に基づき、一定規模以上の自然災害により住宅に大きな被害を受けた世帯に対して支給される制度です。住宅の被害程度に応じた基礎支援金と、住宅の再建方法に応じた加算支援金で構成され、複数人世帯では合計で最大300万円が支給されます。単身世帯の支給額は複数人世帯の4分の3です。

対象となるのは原則として、被災時に生活の本拠として居住していた住宅です。空き家、別荘、他人へ貸している住宅は対象外となる場合があります。令和8年(2026年)熊本地震に対するこの制度の適用状況は、熊本県または各市町村の最新情報で確認してください。

住宅の応急修理制度

災害救助法に基づき、住宅の日常生活に必要な最小限度の部分について、市町村が業者に依頼して応急的に修理を行う制度です。原則として市町村を経由して実施されるため、訪問業者とその場で直接契約するのではなく、必ず市町村の窓口を通して手続を進めてください。基準額や対象範囲は災害ごとに定められるため、市町村の案内を確認する必要があります。

今後措置される可能性がある制度と現時点の確認事項

過去の大規模災害では、被害の全容が把握された後の段階で、設備・店舗・工場の復旧費用を直接支援する補助制度が措置されてきました。平成28年(2016年)熊本地震における中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業、いわゆるグループ補助金がその代表例です。近年は「なりわい再建支援補助金」の名称で措置される例もあります。

令和8年(2026年)熊本地震について、令和8年(2026年)8月1日時点では、次の事項はいずれも公表内容から確認できていません。断定的な情報として扱わず、必ず一次情報の更新を追跡してください。

確認事項 確認先
激甚災害の指定の有無および指定内容 内閣府(防災情報のページ)、官報
なりわい再建支援補助金・グループ補助金型の措置の有無 中小企業庁、熊本県
被災者生活再建支援法の適用状況 内閣府、熊本県、各市町村
国税の申告・納付期限延長の対象地域と期間 国税庁、熊本国税局
セーフティネット保証4号の官報告示日 官報、熊本県信用保証協会
熊本県および各市町村の独自支援策 熊本県、各市町村
熊本県以外の県における被害と支援措置の有無 内閣府、各県

復旧工事の発注前に確認すべきこと
復旧費用を補助する制度は、事後着手が認められないケースがあります。すでに支払ってしまった費用が対象外となる事態を避けるため、緊急性の高い応急措置と、計画的に進められる本格復旧を切り分けて管理してください。

被災地の外から支援するためにできること

義援金と支援金の違いを理解する

被災地への資金支援には、性格の異なる二つの形があります。この違いを理解せずに拠出すると、意図した使われ方にならない場合があります。

区分 義援金 支援金
届く先 被災者本人(世帯単位で配分) 支援活動を行う団体
主な受付先 日本赤十字社、共同募金会、被災自治体、他の都道府県 NPO・NGO、中間支援組織、各種基金
特徴 配分委員会での決定を経るため被災者に届くまで時間を要するが、公平に行き渡る 発災直後の緊急支援に機動的に使われる
向いている場面 被災者の生活再建を直接後押ししたい場合 避難所運営や物資配布など初動の活動を支えたい場合

令和8年(2026年)熊本地震については、次のような受付が行われています。いずれの場合も、公式サイトから直接アクセスして寄付先を確認してください。災害のたびにフィッシングサイトや義援金詐欺が発生しています。

義援金・支援金の受付窓口

赤い羽根共同募金「令和8年熊本地震」
https://www.akaihane.or.jp/saigai/2026kumamoto_earthquake/

Yahoo!ネット募金「令和8年熊本地震緊急支援募金」
https://donation.yahoo.co.jp/promo/20260728.html

福岡県「令和8年熊本地震に係る災害義援金の募集について」
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/giennkin-reiwa8nenkumamoto.html

ジャパン・プラットフォーム「令和8年熊本地震被災者支援」
https://www.japanplatform.org/emergency/program/kumamoto_earthquake2026.html

ふるさと納税の代理寄付という選択肢

被災自治体への寄付を、被災していない他の自治体が事務を代行して受け付ける仕組みが「代理寄付」です。被災自治体の職員が寄付受付の事務作業から解放されるため、災害対応に人員を割けるという利点があります。各ふるさと納税ポータルサイトで災害支援の受付が行われることが一般的であり、返礼品なしの寄付として扱われます。

企業として支援する場合の税務上の取扱い

企業による被災地支援には、税務上いくつかの取扱いが用意されています。ただし要件や範囲は個別事情によって異なるため、実行前に必ず顧問税理士に確認してください。

支援の形 一般的な取扱いの考え方
被災した取引先への災害見舞金 復旧過程で支出するものは交際費等に該当せず損金算入できる取扱いがある
被災者救援のための自社製品等の提供 緊急に行うものは寄附金・交際費等に該当せず損金算入できる取扱いがある
地方公共団体への義援金 国等に対する寄附金として全額損金算入の対象となる取扱いがある
被災取引先への売掛債権の免除 復旧支援を目的として相当の期間内に行われるものは寄附金に該当しない取扱いがある

災害時の税務上の取扱いは、国税庁が災害ごとにFAQ等を公表することが通例です。令和8年(2026年)熊本地震に関する具体的な取扱いは、国税庁および熊本国税局の公表資料で確認してください。

取引を継続することも支援になる

被災した取引先に対して最も実効性のある支援は、多くの場合、取引を止めないことと、支払条件を緩めることです。納期の猶予、前払いへの一時的な切り替え、代替生産の共同検討といった対応は、資金と時間の両面で被災企業を支えます。

また、被災地の事業者から商品を購入する、被災地を訪問して消費するといった経済的な支援は、復旧が進んだ段階でこそ効果を持ちます。発災直後は現地の受入体制が整っていないため、時期を見極めることが重要です。

ボランティア活動に参加する場合

災害ボランティアは、被災自治体の災害ボランティアセンターが受付と調整を行います。個人で現地に向かうのではなく、必ず災害ボランティアセンターの募集情報を確認してから行動してください。受入人数や活動内容、宿泊・食事の自己完結が求められる範囲は、復旧の段階に応じて変化します。

ボランティア情報の確認先

全国社会福祉協議会 全社協 被災地支援・災害ボランティア情報
https://www.saigaivc.com/

熊本県社会福祉協議会「熊本県災害ボランティア情報」(熊本県災害ボランティアセンター)
https://www.fukushi-kumamoto.or.jp/kvc/

悪質商法と詐欺への注意喚起も支援のひとつ

災害後には、屋根修理やブルーシート張りの訪問営業、「保険金が出るから自己負担なく修理できる」といった勧誘が増加します。保険金の請求は契約者自身または保険会社経由で行うことができ、手数料を支払う必要はありません。公的機関を名乗って現金やキャッシュカードを求める電話・訪問は詐欺です。

被災地に知人や取引先がいる場合、こうした注意喚起を伝えること自体が有効な支援になります。その場で契約せず、複数の見積もりを取り、市町村の窓口を経由することを勧めてください。

この記事のまとめ

ポイント 内容
① 災害救助法の適用地域が支援の起点 令和8年(2026年)7月28日、熊本県の10市10町1村に災害救助法が適用されました。セーフティネット保証4号や小規模企業共済の災害時貸付など、多くの制度がこの21市町村を対象範囲としています。自社事業所が含まれるかの確認が最初の実務です。
② 事業者向けは5つの資金繰り支援が柱 特別相談窓口、災害復旧貸付、セーフティネット保証4号、既往債務の返済条件緩和、小規模企業共済の災害時貸付の5本柱です。いずれも資金繰りを止めないための制度であり、設備の復旧費用そのものを補助する制度ではありません。
③ 別枠であることが最大の意味を持つ 災害復旧貸付の中小企業事業1億5,000万円、セーフティネット保証4号の無担保8,000万円・普通2億円は、いずれも既存枠とは別枠です。既往の借入枠を使い切っている事業者でも新規調達の余地が生まれます。
④ 罹災証明書がすべての手続の前提になる 生活再建支援金、応急修理、税の減免、共済の災害時貸付など、多くの制度が罹災証明書または被災証明を前提としています。安全確保を優先したうえで、市町村への申請を早期に行うことが重要です。
⑤ 復旧費用の補助制度は動向の追跡が不可欠 激甚災害の指定やなりわい再建支援補助金型の措置は、令和8年(2026年)8月1日時点で確認できていません。こうした制度は事後着手が認められない場合があるため、本格復旧の発注前に制度の有無を確認する必要があります。

よくある質問

Q1.災害救助法の適用地域外の事業者は支援を受けられませんか

A1.制度によって対象範囲が異なるため、適用地域外でも利用できる制度があります。セーフティネット保証4号と小規模企業共済の災害時貸付は、災害救助法が適用された地域を対象としています。一方、日本政策金融公庫および商工組合中央金庫の災害復旧貸付は、今般の地震により被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象としており、地域を21市町村に限定した記載にはなっていません。また、国税の申告・納付期限の延長は、地域指定の対象外であっても個別に申請することで認められる仕組みがあります。適用地域外であっても、まずは特別相談窓口で自社の状況を説明し、利用可能な制度を確認してください。間接的な被害を受けた事業者に対しては、セーフティネット保証5号など別の制度が該当する可能性もあります。

Q2.セーフティネット保証4号は官報告示前でも申し込めますか

A2.正式な告示前でも、信用保証協会での事前相談が開始されています。経済産業省は令和8年(2026年)7月29日時点で、近日中に官報で地域の指定を告示する予定としたうえで、信用保証協会において事前相談を開始すると公表しています。ただし実際の保証申込には市区町村長による売上高等の減少の認定が必要であり、認定申請は告示後の手続となります。事前相談の期間を活用して、最近1か月の売上高と前年同月の売上高を比較できる資料、その後2か月を含む3か月間の売上見込みを説明できる資料を準備しておくことで、告示後の手続を迅速に進められます。月次試算表や売上台帳の整理を先に進めておくことが有効です。

Q3.売上が20%まで減っていない場合、4号保証は使えませんか

A3.セーフティネット保証4号の要件を満たさない場合でも、他の資金調達手段があります。4号保証は最近1か月の売上高等が前年同月比20%以上減少していることを要件としており、この水準に達していない場合は認定を受けられません。ただし災害復旧貸付には売上減少要件が設けられておらず、被害を受けた事業者であれば相談できます。また、既往債務の返済条件緩和は売上減少幅にかかわらず金融機関との協議事項です。売上が維持できていても、復旧費用の支出により手元資金が減少しているケースは多くあります。売上要件だけで判断せず、資金繰り表を作成したうえで金融機関に相談することが重要です。

Q4.災害復旧貸付とセーフティネット保証4号はどちらを優先すべきですか

A4.資金の使途と必要額、既存の取引関係によって判断が分かれます。災害復旧貸付は日本政策金融公庫・商工組合中央金庫という政府系金融機関からの直接融資であり、中小企業事業では1億5,000万円の別枠が設定されています。一方、セーフティネット保証4号は民間金融機関からの融資に信用保証協会の保証を付ける仕組みで、無担保8,000万円・普通2億円の別枠が用意されています。設備復旧を含む大型の資金需要であれば災害復旧貸付、既存の取引金融機関との関係を維持しながら運転資金を確保したい場合は4号保証という整理が実務的です。両者は排他的ではなく、併用を前提に資金計画を立てることも可能です。

Q5.小規模企業共済の災害時貸付は必ず即日で借りられますか

A5.借入窓口を商工組合中央金庫に登録している場合に限り、原則として即日貸付が可能です。借入窓口を商工中金以外の金融機関に登録している場合、窓口を商工中金に変更する手続が必要となり、即日貸付はできません。また、罹災証明書または商工会等の確認を受けた被災証明願、中小企業基盤整備機構からの通知物、実印、3か月以内発行の印鑑証明書原本、本人確認資料、収入印紙が必要です。印鑑証明書は市町村での取得が必要なため、被災直後は時間を要する可能性があります。取扱期間が災害発生の日から6か月以内と限定されているため、該当する可能性がある共済契約者は早期に共済相談室へ問い合わせることが賢明です。

Q6.店舗や工場の復旧費用を補助する制度はありますか

A6.令和8年(2026年)8月1日時点で、今回の地震に対する復旧費用の補助制度は確認できていません。過去の大規模災害では、平成28年(2016年)熊本地震における中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業、いわゆるグループ補助金のように、被害の全容が把握された段階で復旧費用を補助する制度が措置されてきました。近年は「なりわい再建支援補助金」として措置される例もあります。こうした制度が今回措置されるかどうかは、中小企業庁および熊本県の公表内容を継続的に確認する必要があります。重要なのは、この種の補助制度では交付決定前に着手した費用が対象外となる場合があるという点です。緊急を要する応急措置と、計画的に進める本格復旧を切り分けて記録・管理してください。

Q7.罹災証明書はいつまでに申請すればよいですか

A7.申請期限は市町村が定めるため、被災した住家がある市町村の案内を確認してください。罹災証明書は、被災者生活再建支援金、住宅の応急修理、税の減免、災害援護資金、共済の災害時貸付など、多くの制度の前提となる書類です。申請後に自治体の被害認定調査が行われ、その結果に基づいて交付されます。調査には時間を要するため、早期の申請が結果的に各種手続の開始を早めます。なお、認定結果に納得できない場合は再調査を申し出ることができる仕組みが設けられていることが一般的です。事業用の建物・設備については、罹災証明書とは別に商工会等が確認する被災証明願が用いられる場合があります。

Q8.被災した取引先を支援したいのですが、税務上の問題はありませんか

A8.一定の要件のもとで、寄附金や交際費等に該当しない取扱いが用意されています。被災した取引先に対して復旧過程で支出する災害見舞金は交際費等に該当せず損金算入できる取扱いがあり、被災者救援のために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用についても同様の取扱いがあります。また、復旧支援を目的として相当の期間内に行われる売掛債権の免除も、寄附金に該当しないものとして扱われる取扱いがあります。地方公共団体への義援金は、国等に対する寄附金として全額損金算入の対象となる取扱いがあります。ただし要件や範囲は個別事情によって異なり、今回の地震に関する具体的な取扱いは国税庁および熊本国税局の公表内容で確認する必要があります。実行前に顧問税理士へご相談ください。

Q9.義援金と支援金は、どちらに寄付するのが望ましいですか

A9.目的が異なるため、望ましさは支援したい対象によって変わります。義援金は日本赤十字社、共同募金会、被災自治体などが受け付け、配分委員会の決定を経て被災者本人に世帯単位で配分されます。公平に行き渡る反面、被災者の手元に届くまでには一定の時間を要します。支援金はNPO・NGOや中間支援組織などが受け付け、避難所運営、物資配布、土砂撤去といった活動資金として機動的に使われます。被災者の生活再建を直接後押ししたいのであれば義援金、発災直後の緊急支援活動を支えたいのであれば支援金という整理が実務的です。いずれの場合も、公式サイトから直接アクセスし、フィッシングサイトや義援金詐欺に注意してください。

Q10.被災地の外にいる事業者が最も貢献できることは何ですか

A10.取引を止めないことと、自社の事業継続計画を見直すことです。被災した取引先に対して最も実効性のある支援は、多くの場合、取引の継続と支払条件の緩和です。納期の猶予、前払いへの一時的な切り替え、代替生産の共同検討といった対応は、資金と時間の両面で被災企業を支えます。物資の送付や現地でのボランティアは、受入体制が整った段階でこそ効果を持ちます。加えて、今回の地震を自社の事業継続体制を点検する契機とすることも、中長期的には社会全体の被害を減らす行動です。事業継続力強化計画の策定や、サプライチェーンの複線化、耐震対策への投資は、平時にしか進められない準備です。

本記事の参照元と、まず確認していただきたい公式情報

本記事は、被災された方が公的な窓口へ最短でたどり着けるように、公表されている一次情報を整理したものです。実際の申請・相談の受付は、各制度を所管する公的機関が行っています。最新の情報は必ず次の公式ページでご確認ください。

事業者向け

経済産業省「令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」
https://www.meti.go.jp/press/20260729003.html

同 特別相談窓口一覧(PDF)
https://www.meti.go.jp/files/000002989.pdf

中小企業基盤整備機構 経営相談チャット「E-SODAN」
https://bizsapo.smrj.go.jp/

個人・世帯向け/災害全般

内閣府「災害救助法の適用状況」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo_tekiyou.html

熊本県 公式ホームページ
https://www.pref.kumamoto.jp/

熊本市「令和8年熊本地震 被災者支援制度(冊子)」
https://www.city.kumamoto.jp/kiji00372110/index.html

国土交通省「令和8年熊本地震による被害状況等について」
https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_260728.html

罹災証明書の申請、被災者生活再建支援金、住宅の応急修理については、被災した住家がある市町村の窓口が正式な受付先です。市町村は災害対応に人員を割いている段階であるため、まずはホームページの案内をご確認いただき、電話での問い合わせは必要な範囲にとどめていただくことが、結果として被災地全体の負担軽減につながります。

壱市コンサルティングの取り組みについて

壱市コンサルティングは、中小企業診断士事務所として、また認定経営革新等支援機関として、中小企業・小規模事業者の資金繰りと事業計画の支援を行っています。今回の地震で被災された事業者の方が、制度の存在を知らないまま復旧の機会を逃すことのないよう、公表されている支援制度を継続的に整理して発信していきます。

公的な相談窓口が正式な受付先である点に変わりはありません。そのうえで、どの制度をどの順序で使うべきかの判断や、金融機関・信用保証協会に提出する資料の整え方について、相談先をお探しの場合はご連絡ください。被災地の事業者からのご相談については、まず状況の整理までを無償で対応します。

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本記事は令和8年(2026年)8月1日時点で公表されている情報をもとに整理したものです。支援制度の適用範囲・金額・期限は今後の発表により変更される可能性があります。申請にあたっては、内閣府、経済産業省・中小企業庁、国税庁、熊本県および各市町村の最新情報を必ずご確認ください。

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