【令和8年8月開始】健康経営優良法人2027の申請受付がスタート|締切・認定要件・申請料を解説

健康経営優良法人認定事務局は、令和8年(2026年)8月17日(月)から「健康経営優良法人2027」の申請受付を開始しました。締切は大規模法人部門が10月9日(金)17時、中小規模法人部門が10月16日(金)17時です。認定発表は令和9年(2027年)3月が予定されています。

この制度で最も誤解が多いのは、「取り組みの量を増やせば認定される」という理解です。実際の審査は、自社の健康課題を特定し、それに対する推進計画・目標指標・効果検証が一本の筋で通っているかを見ています。加えて、認定申請書の代理作成・代理申請は認められておらず、申請主体はあくまで法人自身です。この点を外したまま外部に丸投げすると、不認定という結果に直結します。

本記事では、健康経営優良法人2027の申請スケジュール、部門区分の判定方法、両部門の認定要件、申請料、そして事務局が公表している「不認定となった記載例」までを、一次情報に基づいて実務目線で整理します。

Contents
  1. 健康経営優良法人2027の申請受付が8月17日に開始
  2. 申請から認定までのスケジュールと期限
  3. 自社はどちらの部門か|申請区分の判定方法
  4. 中小規模法人部門の認定要件を読み解く
  5. 大規模法人部門とホワイト500の要件
  6. 申請料と支払い実務の落とし穴
  7. 中小規模法人部門は健康宣言事業への参加が前提
  8. 不認定となった記載例から学ぶ実務の勘所
  9. 提出前に必ず確認すべき実務チェックポイント
  10. 認定取得を経営に生かすという発想
  11. まとめ
  12. よくあるご質問
  13. 健康経営優良法人の申請準備は壱市コンサルティングへ

健康経営優良法人2027の申請受付が8月17日に開始

健康経営優良法人認定制度は、従業員等の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践している法人を、経済産業省と日本健康会議が顕彰する仕組みです。令和8年(2026年)3月に発表された「健康経営優良法人2026」は第10回にあたり、次回の「健康経営優良法人2027」は第11回の認定となります。

認定事務局の告知によれば、令和8年(2026年)7月14日の健康経営推進検討会での報告を経て、8月17日(月)に申請受付が開始されました。新規に申請する法人に必要なIDの発行は、これに先立ち8月3日から開始されています。

認定を受け続けるには毎年の申請が必要

見落とされやすいのが、認定の有効期間です。認定事務局が公表するQ&Aでは、健康経営優良法人の認定期間はおよそ1年間であり、「健康経営優良法人2026」の認定期間は令和9年(2027年)3月31日までと明示されています。すでに2026の認定を受けている法人であっても、令和9年(2027年)4月以降も認定法人であり続けるためには、今回の申請が必須です。

注意

「昨年認定を取ったから今年は自動更新される」という制度ではありません。ロゴマークを名刺・求人票・自社サイトに掲載している法人ほど、申請漏れによる認定切れの影響が大きくなります。認定期間の終期を経営カレンダーに登録しておくことが重要です。

認定法人数は2年連続で大幅に増加

経済産業省の公表によれば、健康経営優良法人2026の認定数は大規模法人部門3,765法人、中小規模法人部門23,085法人でした。前回の健康経営優良法人2025(大規模法人部門3,400法人、中小規模法人部門19,796法人)と比べ、両部門ともに大幅な増加が見られています。とりわけ中小規模法人部門の伸びは顕著で、人材確保を目的として認定取得に動く中小企業が増えている実態を示しています。

認定年 大規模法人部門 中小規模法人部門
健康経営優良法人2025(第9回) 3,400法人 19,796法人
健康経営優良法人2026(第10回) 3,765法人 23,085法人
健康経営優良法人2027(第11回) 申請受付中(令和9年3月発表予定) 申請受付中(令和9年3月発表予定)

📊 このセクションの要点

健康経営優良法人2027の申請受付は令和8年(2026年)8月17日に開始されました。認定期間は約1年であり、2026の認定法人も令和9年(2027年)4月以降に認定を維持するには今回の申請が必要です。認定法人数は2年連続で大幅に増加しており、中小規模法人部門は23,085法人に達しています。

申請から認定までのスケジュールと期限

締切は部門ごとに異なり、いずれも17時締切である点に注意が必要です。ファイルのアップロードは締切まで何度でも可能で、最後に受け付けられたファイルが審査対象となります。

項目 大規模法人部門 中小規模法人部門
提出物 健康経営度調査票 認定申請書
申請受付開始 令和8年(2026年)8月17日(月) 令和8年(2026年)8月17日(月)
申請締切 令和8年(2026年)10月9日(金)17時 令和8年(2026年)10月16日(金)17時
申請料の請求書送付 令和8年(2026年)11月上旬頃 令和8年(2026年)11月上旬頃
申請料の振込期限 令和8年(2026年)12月31日 令和8年(2026年)12月31日
内定 令和9年(2027年)2月下旬頃 令和9年(2027年)2月下旬頃
認定法人の発表 令和9年(2027年)3月 令和9年(2027年)3月
評価結果の送付 認定後にフィードバックを提供 令和9年(2027年)4月中旬頃

申請の開始方法は「過去の申請歴」で変わる

過去に申請・回答したことがある法人には、受付開始時に登録済みのメールアドレス宛に案内が届きます。大規模法人部門で昨年回答していない上場企業には郵送での案内が送られます。一方、初めて申請する法人は、事前に新規ID発行(登録)の手続きが必要です。登録後にメールで案内が届き、そこから専用サイトで調査票・申請書をダウンロードします。

アップロード後、直後にメールや電話での受付完了連絡は行われません。画面に「アップロード完了」と表示されるため、その画面を印刷して控えとする運用が推奨されています。大規模法人部門については、ファイルの受領確認メールが令和8年(2026年)10月15日(木)中に担当者メールアドレス宛に送付され、翌16日(金)になっても届かない場合は事務局への問い合わせが必要です。

📊 このセクションの要点

締切は大規模法人部門が10月9日、中小規模法人部門が10月16日で、いずれも17時締切です。締切まで何度でも再アップロードが可能で、最後のファイルが審査対象となります。初めて申請する法人は新規ID発行の手続きが先に必要となるため、逆算した準備が欠かせません。

自社はどちらの部門か|申請区分の判定方法

申請の第一歩は部門区分の確定です。会社法上の会社等または士業法人の場合、業種ごとの従業員数と資本金(出資金)額の両面から判定します。業種の分類は日本標準産業分類に従って判断することが定められており、自社の感覚的な業種認識と一致しない場合がある点に注意が必要です。

業種 大規模法人部門(従業員数) 中小規模法人部門(従業員数) 中小規模法人部門(資本金または出資金額)
卸売業 101人以上 1人以上100人以下 1億円以下
小売業 51人以上 1人以上50人以下 5,000万円以下
サービス業 101人以上 1人以上100人以下 5,000万円以下
製造業その他 301人以上 1人以上300人以下 3億円以下

POINT

従業員数が大規模法人部門に該当し、かつ資本金または出資金額が中小規模法人部門に該当する場合は、いずれかの部門を選んで申請できます。ただし両部門への同時申請は認められず、両方に申請があった場合はいずれの部門でも認定されません。

会社法上の会社等・士業法人以外は従業員数のみで区分

特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人、健保組合等保険者、社団法人、財団法人、商工会議所・商工会は、従業員数101人以上が大規模法人部門、1人以上100人以下が中小規模法人部門となります。地方公共団体および地方公共団体以外の公法人・特殊法人は、301人以上が大規模法人部門、1人以上300人以下が中小規模法人部門です。

「常時使用する従業員」の数え方

部門区分の分母となる従業員数は、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を含める必要があります。正社員だけでなく、常時使用する非正社員、自社が派遣元となる派遣社員も含めて回答します。一方で、会社法上の役員(取締役・監査役)は従業員数に含めません。出向社員については、他社への出向・他社からの出向のいずれの場合も、自社が健康診断実施義務を負う者は必ず含めます。

除外できるのは、日日雇い入れられる者、二箇月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者、試の使用期間中の者に限られます。いずれも所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は算入対象となります。従業員が0名の法人は申請できません。

📊 このセクションの要点

部門区分は日本標準産業分類に基づく業種と、常時使用する従業員数・資本金額で決まります。従業員数が大規模、資本金が中小に該当する場合はいずれかを選択できますが、両部門への申請は認められません。役員は従業員数に含めず、出向社員は健診実施義務の所在で判断します。

中小規模法人部門の認定要件を読み解く

中小規模法人部門の認定要件は、5つの大項目で構成されます。必須項目をすべて満たしたうえで、選択項目を所定数以上充足する設計です。健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)の認定要件は次のとおりです。

大項目 評価項目 中小規模法人部門の要件
経営理念・方針 健康宣言の社内外への発信および経営者自身の健診受診 必須
組織体制 健康づくり担当者の設置/(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供 いずれも必須
制度・施策実行(1) 健康経営の具体的な推進計画/①定期健診受診率(実質100%)②受診勧奨の取り組み③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 推進計画は必須。①〜③のうち2項目以上
制度・施策実行(2) ④教育機会の設定⑤ワークライフバランス⑥仕事と育児・介護の両立支援⑦コミュニケーション促進⑧私病の復職・両立支援⑨女性の健康⑩高年齢従業員への対応 ④〜⑩のうち2項目以上
制度・施策実行(3) ⑪保健指導⑫食生活の改善⑬運動機会の増進⑭長時間労働の予防と事後対応⑮心の健康⑯感染症予防⑰喫煙率低下 ⑪〜⑰のうち4項目以上
受動喫煙対策 受動喫煙対策に関する取り組み 必須
評価・改善 健康経営の取り組みに対する評価・改善 必須
法令遵守・リスクマネジメント 定期健診の実施、50人以上の事業場でのストレスチェック実施、労働基準法・労働安全衛生法違反による送検がないこと等 必須(自主申告)

ブライト500・ネクストブライト1000を狙う場合の水準

中小規模法人部門の上位500法人には「ブライト500」、501位から1,500位の法人には「ネクストブライト1000」の冠が付加されます。認定要件上、これらを狙う場合は選択項目①〜⑰のうち16項目以上を満たす必要があります。17項目中16項目という水準は、ほぼ全項目に近い充足を求めるものであり、単年度の駆け込み対応で到達できる水準ではありません。中期的に施策を積み上げる設計が前提となります。

小規模法人特例という選択肢

従業員数が特に少ない法人には、選択項目の充足数を緩和する小規模法人特例が設けられています。小規模法人特例では、(1)の推進計画と①〜③を合わせた範囲で2項目以上、④〜⑩のうち2項目以上、⑪〜⑰のうち2項目以上が要件となります。適用対象となる従業員数の基準は業種別に定められているため、申請書内の判定結果を必ず確認してください。

補足

申請区分の判定は、申請書のExcel内で業種と従業員数をもとに自動判定されます。「中小規模法人部門に該当」または「中小規模法人及び小規模事業者特例に該当」の判定が表示されない状態で提出しても認定されません。業種・従業員数の未記載箇所がないか、提出前に必ず確認が必要です。

📊 このセクションの要点

中小規模法人部門は、必須項目に加えて①〜③から2項目、④〜⑩から2項目、⑪〜⑰から4項目の充足が求められます。ブライト500・ネクストブライト1000を目指す場合は①〜⑰のうち16項目以上が必要です。小規模法人特例を使う場合は充足数が緩和されますが、判定は申請書内の自動判定に従います。

大規模法人部門とホワイト500の要件

大規模法人部門は「健康経営度調査票」への回答が申請そのものとなります。中小規模法人部門との最大の違いは、経営レベルへの組み込みと情報開示が正面から問われる点です。健康宣言はアニュアルレポートや統合報告書等での発信が必須とされ、健康づくり責任者は役員以上であることが求められます。産業医・保健師の関与も必須項目です。

評価項目 ホワイト500 大規模法人部門
健康宣言の社内外への発信 必須 必須
従業員パフォーマンス指標および測定方法の開示 必須 対象外
他社からの派遣社員等や家族への健康支援 必須 対象外
健康づくり責任者が役員以上 必須 必須
経営レベルの会議での議題・決定 必須 対象外
産業医・保健師の関与 必須 必須
選択項目の充足数 ②〜⑰のうち14項目以上(①は必須) ①〜⑰のうち14項目以上
受動喫煙対策・効果検証・法令遵守 必須 必須

ホワイト500の要件には、「トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること」が必須項目として位置づけられており、健康経営優良法人2027ではこの項目に回答結果の公表が追加されています。自社の取り組みが外部から検証可能な形で開示されることを前提に、社内の合意形成を先に進めておく必要があります。

📊 このセクションの要点

大規模法人部門では健康づくり責任者が役員以上であること、産業医・保健師の関与、統合報告書等での健康宣言の発信が必須です。選択項目は14項目以上の充足が求められます。ホワイト500はさらに従業員パフォーマンス指標の開示、経営会議での議題化、トップランナーとしての普及活動が必須となります。

申請料と支払い実務の落とし穴

認定申請料は部門により異なります。申請時点では支払いを行わず、申請期間終了後の令和8年(2026年)11月上旬頃に請求書が送付される流れです。

区分 申請料(1件あたり)
大規模法人部門 80,000円(税込88,000円)
大規模法人部門(グループ会社と合算する場合の加算) 同時認定の対象となる法人1社ごとに15,000円(税込16,500円)を加算
中小規模法人部門 15,000円(税込16,500円)
健康経営度調査への回答のみ(大規模法人部門) 申請料なし(認定審査は実施されず、フィードバックシートのみ提供)

注意

申請料の振込期限は令和8年(2026年)12月31日です。振込手数料は申請者負担であり、入金が確認できない場合は審査そのものが行われません。請求書は原則として申請書に記載した担当者住所・メールアドレス宛に送付されるため、担当者情報の記載誤りは請求書の不着、ひいては審査不実施に直結します。

📊 このセクションの要点

申請料は大規模法人部門が税込88,000円、中小規模法人部門が税込16,500円です。請求書は11月上旬頃に送付され、振込期限は12月31日です。入金が確認できない場合は審査が行われないため、担当者のメールアドレス・住所を正確に記載することが実務上の要点となります。

中小規模法人部門は健康宣言事業への参加が前提

中小規模法人部門で見落とされやすいのが、申請の前提条件です。申請にあたっては、事前に「健康宣言事業」への参加が必要とされています。加入している保険者によって取るべき手続きが異なります。

加入保険者 必要な手続き
協会けんぽ・健康保険組合 加入している保険者が実施している健康宣言事業へ参加する
国保組合・共済組合・その他(保険者が実施している場合) 該当する健康宣言事業へ参加する
国保組合・共済組合・その他(保険者が実施していない場合) 各自治体が実施する健康宣言事業への参加、または自社独自の健康宣言の実施で代替可能

協会けんぽは各都道府県支部で、健康保険組合は各都道府県連合会で健康宣言事業を実施しています。そのため、これらの保険者に加入していながら「自治体独自の健康宣言」や「自社独自の健康宣言」を選択すると不適合となります。また、東京都に所在する医療保険者のうち、健康企業宣言東京都推進協議会による「銀の認定取得」を健康経営優良法人申請の要件としている保険者に加入している場合は、銀の認定を取得していない限り不適合となります。

健康宣言事業の参加要件は保険者ごとに異なるため、加入保険者への事前確認が不可欠です。健康宣言の内容については、認定事務局が保険者に対して確認を行う運用となっています。

📊 このセクションの要点

中小規模法人部門の申請には健康宣言事業への事前参加が必要です。協会けんぽ・健康保険組合に加入している法人は、その保険者の健康宣言事業に参加しなければ不適合となります。東京都の一部保険者では「銀の認定」取得が要件となるため、加入保険者への事前確認が申請準備の起点となります。

不認定となった記載例から学ぶ実務の勘所

認定事務局が公表している申請のポイントには、実際に不認定となった記載例が具体的に示されています。これらは「制度を形式的に埋めた申請」と「経営として設計された申請」の差が最も表れる部分です。

取り組みとして認められない例

認められない記載 理由
紙巻きたばこから電子たばこへの切り替えを推奨する 禁煙促進となるエビデンスがなく、吸引デバイス全般を推奨すべきでないという見解に基づく
同じ血液型同士で担当チームを割り振る 科学的に効果が検証されていない取り組みは認められない
特定の従業員の体重推移を社内報で周知する 従業員のプライバシーへの配慮を欠き、法人としての目標とも認められない
休憩時間に一部の社用車での喫煙を認めている 不特定多数が同乗しうる社用車内での喫煙は受動喫煙を引き起こす可能性がある

目標指標として認められない例

認められない指標 理由
コミュニケーションの取りやすさ等の主観的な定性指標 客観的に測定可能な指標であることが求められる
売上の向上、交通事故発生予防 健康経営の推進との関連性が薄い
1人あたりの医療費を20,000円以下にする 真に必要な医療費を削減しかねないため、短期的な目標指標としては不適切
傷病手当金の申請日数を40日以下にする 従業員の真に必要な申請を躊躇させかねない(傷病による欠勤日数の削減は可)
時間外労働を月100時間から月85時間へ減らす 是正後も月80時間超の長時間労働の領域を出ていない
年に5日の有給休暇の取得 法令の範囲内にとどまる目標値は適切な推進計画として認められない

代理申請と類似記載は不認定に直結する

推進計画の設問について、認定事務局は「各法人が自法人の課題に応じた主体的な取り組みを行うことを求めている」と明記したうえで、他法人と著しく類似した記載が確認された場合や、代理申請が発覚した場合は認定されないとしています。大規模法人部門の健康経営度調査に関するQ&Aでも、行政書士などが業として申請代行することについて、本調査票は代理作成を認めていないため申請者本人が記入・提出するよう回答されています。

加えて、申請書ファイルには法人固有のIDが設定されており、子会社や支援先法人との共有使用は認められません。共有使用された場合、回答および申請が無効となる場合があります。外部の支援を受ける場合であっても、記入と提出の主体は法人自身であるという前提を崩さない体制設計が求められます。

POINT

健康経営優良法人の申請支援において外部が担えるのは、健康課題の整理、要件の棚卸し、推進計画の設計に関する助言、社内体制構築の伴走までです。申請書そのものを外部が作成・提出することは制度上認められていません。この線引きを明確にできる支援者を選ぶことが、認定を確実にする最短経路となります。

📊 このセクションの要点

科学的根拠を欠く取り組みや、主観的・法令範囲内にとどまる目標指標は認められません。1人当たり医療費や傷病手当金申請日数の削減も不適切な指標とされています。代理申請と他法人との類似記載は不認定に直結し、申請書ファイルの共有使用も無効事由となります。

提出前に必ず確認すべき実務チェックポイント

回答できるのは「実施済み」の取り組みのみ

回答対象となるのは、所定の起算日から申請日までに実施した内容に限られます。実施が確定していても、申請日以降に実施予定の内容は記載できません。健康経営度調査に関するQ&Aでも、調査回答日までに実施していない内容は記載不可と明示されています。回答期間の起算日は年度ごとに設定されるため、令和8年度(2026年度)の申請書・調査票に記載された期間を必ず確認してください。

なお、自社が主体の取り組みだけでなく、健保組合などの保険者が主体の取り組みも実績として記載できます。ただし、その取り組みに自社が関与し、従業員に周知していることが条件です。また、本社のみ・一部事業場のみの取り組みではなく、法人単位での取り組みについて回答する必要があります。

ストレスチェックは全事業場が対象

ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づき50人以上の労働者を抱える事業場で実施が義務付けられています。認定基準では、50人未満の事業場の有無にかかわらず、すべての事業場で法令に則ったストレスチェックを実施している場合に基準を満たすとされています。こころの耳ホームページでのセルフチェックやWebでの個別チェックは、法定のストレスチェック制度に準じないため認められません。

令和7年(2025年)5月14日に公布された労働安全衛生法の改正により、従業員数50人未満の事業場についてもストレスチェックの実施が義務化されることが決まっています。施行は公布後3年以内の政令で定める日とされており、いずれ全事業場が対象となります。認定要件への対応と法令対応が同じ方向を向いている領域であり、先行して整備する意義が大きい項目です。

エビデンス資料は2年間保存する義務がある

認定審査に際し、日本健康会議健康経営優良法人認定委員会および認定事務局から追加的な確認が行われる場合があります。回答した各項目の取り組みを説明できる資料は、申請期間最終日から2年間保存し、提出を求められた場合には1週間以内に対応する必要があります。提出期限日までに提出がない場合は不認定または認定取り消しとなります。

資料の形式に指定はなく、紙媒体でも電子ファイルでも構いません。追加的な確認では、評価項目に該当する設問でチェックしたすべての選択肢の内容を確認できる資料の提出が求められます。「選択肢にチェックを入れたが、実施を裏付ける資料がない」という状態を作らないことが、認定取り消しリスクを避ける最も確実な方法です。

回答漏れによる不認定に再審査はない

申請書には認定要件に係る設問に「★」が付されており、回答しない場合は不認定となります。回答漏れで不認定となった場合、再審査は行われません。申請書には「認定基準適合書&申請にあたって保存すべき資料」シートが用意されており、適合状況の簡易な自己チェックが可能です。ただしこれは簡易評価結果であり、認定を保証するものではない点に留意が必要です。

また、誓約事項には従業員代表の氏名記載が求められます。従業員代表は36協定に準じるものとされ、36協定を締結していない場合は事業場等における従業員の過半数を代表する者(管理監督者・役員を除く)となります。法人の代表者と同一の記載や、取締役等で従業員代表の要件を満たさない場合は申請できません。誓約日も申請期間中の日付である必要があります。

📊 このセクションの要点

回答できるのは申請日までに実施済みの取り組みに限られ、法人単位での実施が前提となります。ストレスチェックは50人未満の事業場を含む全事業場が対象であり、法定制度に準じない簡易チェックは認められません。エビデンス資料は2年間の保存義務があり、回答漏れによる不認定に再審査はありません。

認定取得を経営に生かすという発想

中小規模法人部門の認定数が2年間で19,796法人から23,085法人へ増加している背景には、認定が「表彰」から「経営上の実利」へと性格を変えつつある事情があります。人材の採用競争において、健康経営優良法人のロゴマークは求職者に対する客観的なシグナルとして機能します。従業員数が数十名規模の企業ほど、大企業と同じ土俵で自社の姿勢を示せる数少ない手段となります。

また、自治体の入札における加点評価、地方自治体や金融機関による低利融資・保証料割引などのインセンティブが各地で用意されています。認定事務局のポータルサイトでは、国の取り組みと地域の取り組みがそれぞれ整理されているため、自社所在地の自治体・金融機関で利用できるインセンティブを事前に確認しておくことが、費用対効果の判断材料になります。

もっとも、認定取得それ自体を目的化すると、要件を形式的に埋めるだけの申請になり、翌年以降の継続が負担になります。健康経営の本質は、従業員の健康課題を経営課題として捉え直し、離職率・欠勤日数・生産性といった経営指標に接続する点にあります。認定要件が求めている「課題の特定→推進計画→目標指標→効果検証」という流れは、そのままPDCAの設計図として機能します。この流れを社内に定着させられた企業ほど、翌年以降の申請負担が軽くなり、ブライト500・ネクストブライト1000への段階的な引き上げも視野に入ります。

補足

「健康経営®」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。自社の広報物で使用する際は、認定ロゴマークの使用規程とあわせて表記ルールを確認してください。

📊 このセクションの要点

認定は採用競争における客観的なシグナルとして機能し、自治体の入札加点や金融機関のインセンティブにもつながります。ただし認定取得の目的化は翌年以降の負担を招きます。認定要件が示す「課題特定→推進計画→目標指標→効果検証」の流れを社内のPDCAとして定着させることが、継続的な認定と経営改善の双方につながります。

まとめ

ポイント 内容
締切は部門で異なる 大規模法人部門は令和8年10月9日17時、中小規模法人部門は10月16日17時。いずれも締切まで再アップロード可能で、最後のファイルが審査対象となる
認定維持には毎年の申請が必要 健康経営優良法人2026の認定期間は令和9年3月31日まで。継続認定には今回の申請が必須となる
中小規模は健康宣言事業への参加が前提 協会けんぽ・健保組合加入法人はその保険者の健康宣言事業への参加が必要。東京都の一部保険者では「銀の認定」取得が要件となる
代理申請は不認定事由 申請書の代理作成・代理申請、他法人と著しく類似した記載、申請書ファイルの共有使用はいずれも認定されない、または無効となる
エビデンスの保存と支払期限を管理する 取り組みを説明できる資料は申請期間最終日から2年間保存。申請料は12月31日までに振り込まなければ審査が行われない

よくあるご質問

Q1.健康経営優良法人2026に認定されていますが、今回も申請が必要ですか。

A1.必要です。健康経営優良法人の認定期間は約1年間であり、認定事務局のQ&Aでは「健康経営優良法人2026」の認定期間は令和9年(2027年)3月31日までと明示されています。令和9年(2027年)4月以降も認定を受け続けるためには、令和8年度(2026年度)の健康経営度調査への回答および「健康経営優良法人2027」への申請が必要です。すでに認定を取得している法人ほど、ロゴマークを名刺・求人票・自社サイト・車両などに展開しているケースが多く、認定切れの影響範囲が広くなります。前回申請時のデータや資料が社内に残っているうちに着手すれば、二年目以降の申請負担は初年度より大幅に軽くなります。過去に申請した法人には受付開始時に登録済みメールアドレス宛に案内が届くため、担当者の異動があった場合はメールアドレスの更新を事務局へ連絡しておくことが重要です。

Q2.行政書士やコンサルタントに申請を代行してもらうことはできますか。

A2.代理作成・代理申請は認められていません。令和8年度健康経営度調査に関するQ&Aでは、行政書士などが業として申請代行することについて、本調査票は代理作成を認めていないため申請者本人が記入のうえ提出するよう回答されています。中小規模法人部門の申請のポイントでも、他法人と著しく類似した記載が確認された場合や代理申請が発覚した場合は認定されないと明記されています。外部支援者が担えるのは、自社の健康課題の整理、認定要件の充足状況の棚卸し、推進計画や目標指標の設計に関する助言、社内推進体制の構築支援までです。記入と提出は法人自身が行う前提で支援設計を組むことが、不認定リスクを避ける唯一の方法となります。支援を依頼する際は、この線引きを明確に説明できる相手かどうかを確認してください。

Q3.従業員数が大規模、資本金が中小規模に該当します。どちらで申請すべきですか。

A3.いずれかを選択して申請できますが、両部門への申請はできません。健康経営優良法人申請区分では、従業員数が大規模法人部門に該当し、かつ資本金または出資金額が中小規模法人部門に該当する場合、どちらの部門にも申請できるとされています。ただし両部門に申請があった場合、いずれの部門においても認定されません。判断の分かれ目は、求められる体制の水準です。大規模法人部門は健康づくり責任者が役員以上であること、産業医・保健師の関与、統合報告書等での健康宣言の発信が必須となり、選択項目も14項目以上の充足が必要です。中小規模法人部門は選択項目の充足数が緩やかである一方、健康宣言事業への事前参加が前提となります。現状の体制と、認定を何に使うか(採用・入札・金融)から逆算して選択してください。

Q4.健康宣言事業に参加していませんが、今からでも申請に間に合いますか。

A4.保険者の受付状況次第であり、早急な確認が必要です。中小規模法人部門の申請には健康宣言事業への事前参加が必要とされており、参加要件や受付スケジュールは保険者ごとに異なります。協会けんぽは各都道府県支部で、健康保険組合は各都道府県連合会で健康宣言事業を実施しているため、これらに加入している法人が自治体独自の健康宣言や自社独自の健康宣言を選択すると不適合となります。東京都に所在する医療保険者のうち、健康企業宣言東京都推進協議会による「銀の認定取得」を要件としている保険者に加入している場合は、銀の認定を取得していなければ不適合です。銀の認定は取得までに一定の期間を要するため、10月16日の締切から逆算すると、まず加入保険者への確認を最優先で行う必要があります。

Q5.申請日以降に実施予定の健康診断を実績として記載できますか。

A5.記載できません。健康経営度調査に関するQ&Aでは、調査回答日までに実施していない内容は記載不可と明示されています。中小規模法人部門の申請のポイントでも、実施が確定していても申請日以降に実施した内容は記載不可であるとされ、申請期間終了後に受診予定の健診を実績として記載した例が不適合として示されています。定期健診受診率については、年度をまたいだ集計結果を記載することもできません。前年度に8割が受診し、当年度の申請日時点で残る2割が受診しているため100%として申請する、という処理は不適合例として明示されています。健診スケジュールと申請時期が近接している法人は、どちらの年度の集計で申請するかを先に確定させることが実務上の要点です。

Q6.50人未満の事業場しかない場合、ストレスチェックは必要ですか。

A6.認定基準を満たすためには全事業場での実施が必要です。認定事務局の説明では、ストレスチェックは50人以上の労働者を抱える事業場で労働安全衛生法第66条の10に基づく実施が義務付けられているとしたうえで、50人未満の事業場の有無に関わらず、すべての事業場で法令に則ったストレスチェックを実施している場合に認定基準を満たすとされています。こころの耳ホームページでのセルフチェックやWebでの個別チェックなど、法定のストレスチェック制度に準じないものは認められません。実施者は医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師であることが求められます。令和7年(2025年)5月公布の改正労働安全衛生法により50人未満の事業場も義務化されるため、先行対応の意義は大きいと整理されます。

Q7.健保組合が実施している取り組みを自社の実績として記載できますか。

A7.自社が関与し従業員に周知していれば記載できます。申請のポイントでは、自社が主体の取り組みだけでなく、健保組合などの保険者が主体の取り組みも実績として記載可能とされています。ただし、その取り組みに自社が関与し、従業員に周知していることが条件です。健康経営度調査に関するQ&Aでも、各設問選択肢にある「費用補助」について、自社が取り組みに関与し自社の従業員に周知していれば保険者による補助も含めて構わないと回答されています。追加的な確認では、チェックしたすべての選択肢の内容を確認できる資料の提出が求められるため、保険者の案内を社内へ周知した記録(メール、掲示物、社内報など)を保存しておくことが実務上の備えとなります。

Q8.推進計画の目標指標には、どのようなものを設定すべきですか。

A8.客観的に測定可能で、法令水準を超え、健康経営との関連が明確な指標を設定します。認定事務局が示す不認定例では、コミュニケーションの取りやすさといった主観的な定性指標、売上向上や交通事故発生予防のような関連性の薄い指標、1人あたり医療費の削減、傷病手当金申請日数の削減、月100時間から月85時間への時間外労働是正、年5日の有給休暇取得といった目標が、いずれも不適切とされています。適切な例としては、健診結果に基づく特定指標の該当者数(BMIが25を超える従業員数など)を、現状値・目標値・単位・目標達成予定年度とセットで記載する形式が示されています。「何人を、いつまでに、いくつにするか」が第三者に伝わる書き方であるかが判断の分かれ目となります。

Q9.申請書をアップロードした後、受付完了の連絡はありますか。

A9.アップロード直後の個別連絡はありません。健康経営度調査に関するQ&Aでは、アップロード完了後に画面へ「アップロード完了」と表示されるものの、直後にメールや電話等で受付完了の連絡は行っていないと回答されています。アップロード後の画面を印刷して控えとすることが案内されています。大規模法人部門については、ファイルの受領確認メールが令和8年(2026年)10月15日(木)中に担当者メールアドレス宛に送付され、10月16日(金)になっても届かない場合は事務局窓口へメールで問い合わせることとされています。また、締切日までは何度でもアップロードが可能で、最後にアップロードされたファイルが回答として受け付けられます。修正が生じた場合は締切前に差し替えれば足ります。

Q10.設問で「評価項目不適合」の選択肢を選ぶと、その時点で不認定になりますか。

A10.必須項目でなければ、直ちに不認定となるわけではありません。健康経営度調査に関するQ&Aでは、「評価項目不適合」とは認定要件に対しての記載であり、申請全体が不認定となるわけではないと説明されています。必須項目が不適合の場合は不認定となりますが、選択項目が不適合であっても、他の認定要件を満たせば認定要件を満たすことになります。一方、「健康経営優良法人不認定」と表示される選択肢は必須項目に係るものであり、これを選択した場合は不認定となります。また「Q●も非実施の場合、評価項目不適合」とは、当該設問とQ●の両方が不適合となった場合に評価項目不適合となる趣旨です。適合状況は申請書内の「認定基準適合書&申請にあたって保存すべき資料」シートで簡易に確認できますが、これは簡易評価であり認定を保証するものではありません。

健康経営優良法人の申請準備は壱市コンサルティングへ

「申請書は自社で書く」を前提にした、認定支援機関の伴走支援

健康経営優良法人の認定申請書は、制度上、法人自身が記入・提出するものです。壱市コンサルティングでは、この前提を守ったうえで、認定要件の充足状況の棚卸しから推進計画の設計、社内推進体制の構築までを伴走支援しています。中小企業診断士および認定経営革新等支援機関として、健康経営を採用力・生産性・資金調達につなげる観点から助言します。

📋 認定要件の充足状況の棚卸し

現在の取り組みを認定要件の項目に対応づけ、不足している項目と締切までに整備可能な項目を切り分けます。

📊 推進計画と目標指標の設計支援

不認定例に該当しない、客観的に測定可能な指標の立て方と、課題から効果検証までの筋の通し方を一緒に組み立てます。

🔄 社内推進体制とエビデンス管理の整備

健康づくり担当者の役割設計、従業員代表への共有プロセス、2年間の保存義務に対応した資料管理の仕組みづくりを支援します。

💼 経営課題との接続

離職率・欠勤日数・採用単価といった経営指標と健康経営の取り組みを接続し、翌年以降も回り続ける設計にします。

中小規模法人部門の締切は令和8年(2026年)10月16日17時です。健康宣言事業の参加確認から逆算すると、着手は早いほど有利です。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 自社が中小規模法人部門と大規模法人部門のどちらに該当するか判断できない
  • ✅ 選択項目をいくつ満たしているのか、社内で棚卸しできていない
  • ✅ 推進計画の目標指標をどう設定すればよいかわからない
  • ✅ 昨年認定されたが、今年の申請担当者が代わって進め方がわからない
  • ✅ ブライト500・ネクストブライト1000を中期的に狙いたい
  • ✅ 健康経営を採用や資金調達にどう生かすか整理したい

お問い合わせはこちら

友だち追加 お問い合わせ