【令和8年(2026年)8月】成長加速化補助金2次公募 採択223件の地域別・事業内容分析|どの地域でどんな投資が通ったのか

中小企業成長加速化補助金2次公募の採択者一覧が、令和8年(2026年)8月4日に公表されました。採択は223件、本社所在地は45都道府県に広がっています。補助上限5億円という大型制度でありながら、大都市圏に極端に偏った結果にはなりませんでした。

採択者一覧を1件ずつ読み込むと、いくつかの明確な傾向が浮かび上がります。とりわけ注目すべきは、223件のうち46件(20.6%)が、本社所在地とは異なる都道府県を主な事業実施場所としているという点です。東京都本社の企業29件のうち16件が地方で投資を行っており、この制度が地方への生産拠点移転を後押しする側面を持つことが数値に表れています。

本記事では、公表された採択者一覧をもとに、地域別の採択件数、投資が集まっている都道府県、事業内容の類型、金融機関の内訳を整理します。個別企業の特定を避けるため事業者名は記載せず、地域と事業の性格から傾向を読み解きます。

補足

本記事の地域別・業種別の集計は、中小機構が公表した「中小企業成長加速化補助金 2次公募 採択者一覧」の記載事項(本社所在地・主な事業実施場所・補助事業名・共同申請参加者・金融機関名)をもとに、壱市コンサルティングが独自に分類・集計したものです。業種分類は補助事業名と事業者名からの推計であり、事務局が公表した公式の業種区分ではありません。個別企業の特定につながる記載は行っていません。

Contents
  1. 地域ブロック別の採択件数|関東・中部北陸・近畿で7割を占める
  2. 都道府県別|東京29件・大阪25件・愛知22件が上位
  3. 越境投資46件(20.6%)の中身|首都圏から地方への生産移転
  4. 事業内容の類型|製造業と建設・インフラ関連で約5割
  5. 補助事業名に現れるキーワード|何が語られているのか
  6. 地域ブロックごとの事業内容の特徴
  7. 確認書を発行した金融機関の内訳|地方銀行が約半数
  8. 共同申請15件の構成|グループ内連携とリース会社の活用
  9. まとめ|採択企業の姿から見える5つのポイント
  10. よくあるご質問
  11. 大型設備投資と成長加速化補助金をご検討の経営者様へ

地域ブロック別の採択件数|関東・中部北陸・近畿で7割を占める

まず、本社所在地を地域ブロックに集約した分布です。

地域ブロック 本社所在地ベース 構成比 事業実施場所ベース
関東(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨) 59件 26.5% 52件
中部・北陸(新潟・富山・石川・福井・長野・岐阜・静岡・愛知・三重) 54件 24.2% 62件
近畿(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山) 44件 19.7% 39件
九州・沖縄 21件 9.4% 25件
中国(鳥取・島根・岡山・広島・山口) 15件 6.7% 14件
東北(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島) 12件 5.4% 15件
北海道 10件 4.5% 9件
四国(徳島・香川・愛媛・高知) 8件 3.6% 7件

関東・中部北陸・近畿の3ブロックで157件、全体の70.4%を占めます。ただし本社所在地ベースと事業実施場所ベースを比べると、様相が変わります。関東は本社59件に対し実施52件と7件の純減、中部・北陸は本社54件に対し実施62件と8件の純増です。九州・沖縄も21件から25件へ、東北も12件から15件へ増えています。首都圏の企業が地方に投資し、その投資額と雇用が地方に落ちる構図が、この差分に表れています。

なお、本社所在地は45都道府県に及びます。採択者の本社が置かれていないのは香川県と宮崎県の2県のみでした。売上高10億円以上という規模要件がある制度としては、地域的な広がりのある結果と整理されます。

お問い合わせはこちら

📊 このセクションの要点

採択223件の本社所在地は45都道府県に広がり、関東59件・中部北陸54件・近畿44件の3ブロックで70.4%を占めます。事業実施場所ベースでは中部北陸が62件、九州沖縄が25件、東北が15件へ増加し、関東は52件へ減少します。首都圏から地方への投資の流れが数値に表れています。

都道府県別|東京29件・大阪25件・愛知22件が上位

本社所在地と事業実施場所を、それぞれ件数の多い順に並べます。

都道府県 本社所在地 事業実施場所 差分
東京都 29件 16件 −13件
大阪府 25件 18件 −7件
愛知県 22件 24件 +2件
静岡県 12件 11件 −1件
北海道 10件 9件 −1件
兵庫県 10件 8件 −2件
埼玉県 7件 6件 −1件
福岡県 7件 8件 +1件
群馬県・新潟県 各6件 群馬5件/新潟7件 −1件/+1件
茨城県・熊本県 各5件 茨城8件/熊本7件 +3件/+2件
岐阜県 1件 7件 +6件

最も投資が流入したのは岐阜県、最も流出したのは東京都

差分の大きさで際立つのが岐阜県です。本社を岐阜県に置く採択者は1件のみですが、事業実施場所としては7件が岐阜県を選んでいます。愛知県本社の企業3件、東京都・三重県・大阪府の企業が各1件、岐阜県に投資を行う構図です。中京圏の製造業の集積と、用地確保のしやすさが背景にあると考えられます。

逆に流出が最も大きいのは東京都です。本社29件に対し実施場所は16件で、13件の純減となりました。東京都本社の企業が事業実施場所に選んだ道県は、宮城県・山形県・茨城県・埼玉県・千葉県・山梨県・岐阜県・愛知県・滋賀県・京都府と広範に及びます。とりわけ茨城県には東京都本社の企業4件が集中しており、茨城県は本社5件に対し実施8件と3件の純増となりました。

大阪府も本社25件に対し実施18件と7件の純減です。実施場所として選ばれたのは、京都府・奈良県・和歌山県といった近隣府県のほか、岐阜県・愛知県・三重県・岡山県・東京都と広域に分散しています。

POINT

審査基準には「域内仕入の拡大や地域における価値創造」が波及効果の項目として置かれています。都市部に本社を置く企業であっても、地方に生産拠点を新設し、その地域のサプライチェーンや雇用に効果を及ぼす計画であれば、この項目で評価を得やすい構造です。本社所在地そのものが不利に働くわけではなく、投資の落ちる場所とその地域への効果が問われていると整理されます。

📊 このセクションの要点

本社所在地の上位は東京都29件、大阪府25件、愛知県22件、静岡県12件です。事業実施場所ベースでは愛知県24件、大阪府18件、東京都16件となり、東京都は13件、大阪府は7件の純減となりました。最も投資が流入したのは岐阜県で、本社1件に対し実施場所7件です。

越境投資46件(20.6%)の中身|首都圏から地方への生産移転

採択223件のうち、本社所在地と主な事業実施場所が異なるのは46件、全体の20.6%です。この46件の性格を整理すると、いくつかのパターンに分かれます。

パターン 内容(企業名は伏せています)
首都圏本社×北関東・東北への工場新設 東京都本社の製菓・樹脂・機械の各社が茨城県に工場再開発や増設を計画。東京都本社の食品加工業が山形県で製造拠点を拡充。東京都本社の建設関連が宮城県に自社倉庫を建設
中京圏内での県境を越えた拠点整備 愛知県本社の3社が岐阜県に、三重県本社と大阪府本社の各1社が岐阜県に投資。次世代電池・半導体向けセラミックス、危険物商品の製造販売、製造DX関連など
産地・原料立地を選んだ拠点新設 東京都本社の刃物関連企業が刃物産地である岐阜県関市に自社工場を新設。埼玉県本社の企業が熊本県で地域未利用資源を活用した飼料開発、福岡県で選別・ペレット製造設備を整備
全国物流網の再編 青森県本社の運送会社が熊本県に大規模中継ハブ拠点を新設し、国産農産物の全国物流を強靭化する計画
地方本社×都市部での事業展開 広島県本社の小売業が東京都で店舗展開、大阪府本社の資源循環事業者が東京都で首都圏拠点を再編、神奈川県本社の精密機器メーカーが東京都に生産拠点を構築

この46件を見て気づくのは、単なる本社移転や事務所開設ではなく、いずれも工場・物流拠点・研究開発拠点といった実体を伴う投資であるという点です。補助対象経費が建物費・機械装置費・ソフトウェア費を中心とする制度設計上、当然の帰結ではありますが、結果として地方への設備投資が集中する構造になっています。

お問い合わせはこちら

📊 このセクションの要点

本社所在地と事業実施場所が異なる採択は46件・20.6%です。首都圏本社企業の北関東・東北への工場新設、中京圏内での県境を越えた拠点整備、産地立地を選んだ工場新設、全国物流網の再編などのパターンに分かれます。いずれも実体を伴う設備投資であり、投資額と雇用が実施地域に落ちる構造です。

事業内容の類型|製造業と建設・インフラ関連で約5割

採択者一覧の補助事業名と事業者名から、事業内容の類型を分類しました。前述のとおり、これは壱市コンサルティングによる独自集計であり、事務局が公表した業種区分ではありません。

事業類型 件数 構成比 主な投資内容(企業名は伏せています)
製造業(機械・金属・素材ほか) 59件 26.5% プレス・鋳物・金型・精密加工の新工場建設、スマートファクトリー化、大型設備の導入、一貫生産体制の構築
建設・インフラ関連(鉄骨・建材製造を含む) 50件 22.4% Hグレード鉄骨の生産体制高度化、システム建築用鉄骨の全自動ライン導入、ICT施工基盤、非住宅木造建築の部材生産
食品・農水産加工 29件 13.0% レトルト・冷凍・フリーズドライ工場の新設、地域食材を核とした研究開発拠点、輸出を見据えた製造ライン増設
資源循環・環境・GX 21件 9.4% 太陽光パネルの再資源化、高度選別システム、プラスチックのマテリアルリサイクル、解体工事の大型化、PFAS処理
飲食・サービス 11件 4.9% セントラルキッチンの整備を伴う多店舗展開、6次産業モデルの確立、専門店から総合メーカーへの転換
宿泊・観光 11件 4.9% 自社ブランドホテルの新設、築古ビルの省人化ホテルへの再生、温泉地旅館の通年稼働化、リゾート型産後ケア施設
物流・運輸 8件 3.6% 3D自動倉庫を備えた次世代EC物流拠点、中継輸送・混載による物流効率化、港湾を核とした国際競争力強化
電機・電子・半導体関連 8件 3.6% パワーデバイス向け工場投資、高信頼性EMSの一貫生産拠点、光ファイバセンサケーブルの量産工場
情報・サービスほか 7件 3.1% ECギフトの顧客創出システム、専門人材のプロシェアリング事業、SNS連動の流通プラットフォーム
医療・ヘルスケア 6件 2.7% がん検査サービスの自動化投資、医療機器分野の製造拠点整備、歯科材料の製品ラインナップ拡充
教育・人材 1件 0.4% 日本語学校4法人の連携による教育インフラ投資
その他・分類困難 12件 5.4% 複合的な事業構造や、補助事業名から業種を特定できないもの

製造業と建設・インフラ関連で109件、全体の48.9%を占めます。建設・インフラ関連には鉄骨や建材の製造事業者も含めているため、「ものをつくる会社」が採択者の約半数という構図になります。これは補助対象経費が建物費・機械装置費・ソフトウェア費に限定され、外注費・専門家経費の合計がそれらを超えられない制度設計と整合します。

一方で、宿泊・観光、飲食・サービス、情報・サービス、医療・ヘルスケアといった非製造業も一定数採択されています。建物や設備への大型投資を伴う事業構造であれば、業種そのものは制約にならないと理解するのが実態に近い見方です。

📊 このセクションの要点

壱市コンサルティングの独自分類では、製造業59件・建設インフラ関連50件で全体の48.9%を占めます。食品・農水産29件、資源循環・環境21件が続きます。宿泊・観光や飲食、医療といった非製造業も採択されており、大型の設備投資を伴う事業構造であれば業種は制約にならないと整理されます。

補助事業名に現れるキーワード|何が語られているのか

223件の補助事業名に含まれる語句の出現率を集計しました。複数のキーワードを含む事業名があるため、合計は100%を超えます。

テーマ(関連語をまとめて集計・重複あり) 件数 出現率
海外展開・輸出・グローバル・インバウンド 39件 17.5%
サプライチェーン強靭化・安定供給・国産化 25件 11.2%
GX・資源循環・脱炭素・環境 24件 10.8%
高付加価値化 22件 9.9%
省人化・省力化・自動化・ロボット 22件 9.9%
半導体・電池・データセンター等の先端産業 14件 6.3%
AI・DX 12件 5.4%
人手不足・人材育成・担い手 7件 3.1%
防衛・航空・宇宙 5件 2.2%

最も多いのは海外展開・輸出に関する語で、39件・17.5%に及びます。本補助金の政策的な位置づけには「輸出による外需獲得」が明示されており、公表されている審査員の所見でも、国内市場だけで100億円に到達するのは現実的ではないという指摘がなされています。売上高100億円という目標に対して、外需の取り込みを事業名レベルで打ち出す申請が一定の厚みを持っているということです。

次いでサプライチェーン強靭化・安定供給・国産化が25件・11.2%、GX・資源循環・脱炭素が24件・10.8%です。いずれも審査基準の波及効果の項目に直結するテーマであり、単に自社が伸びるだけでなく、産業や地域にどのような変化をもたらすかを語る構成が定着していると整理されます。

また、補助事業名に「工場」を含むものが45件・20.2%、「新工場」を含むものが19件・8.5%、「拠点」を含むものが26件・11.7%あります。補助事業名の段階で建物投資であることを明示している案件が全体の3割前後を占めるのが、この制度の実像です。

お問い合わせはこちら

📊 このセクションの要点

補助事業名のキーワード分析では、海外展開・輸出関連が39件・17.5%で最多です。サプライチェーン強靭化25件、GX・資源循環24件、高付加価値化と省人化・自動化が各22件と続きます。工場・拠点といった建物投資を明示する事業名が3割前後を占めます。

地域ブロックごとの事業内容の特徴

地域ブロック別に、採択された事業内容の構成を見ると、地域産業の性格がそのまま反映されています。

地域 上位の事業類型 特徴的な投資テーマ
北海道(10件) 食品・農水産3件、物流・運輸2件 道内食材を核とした研究開発拠点、レトルト・セントラルキッチンの新設、高付加価値乳製品、港湾を核とした農産物輸出基盤
東北(12件) 建設・インフラ4件、食品・農水産3件、宿泊・観光2件 半導体需要に対応する新工場、電力インフラの安定供給、橋梁補修システムの大規模導入、温泉地旅館の構造的な繁閑差の解消
関東(59件) 製造業15件、建設・インフラ14件、食品・農水産7件、飲食・サービス4件 最も業種が多様。ホテル、EC、人材、日本語教育、産後ケアなど非製造業の採択が集中。北関東は鉄骨・鋼材加工の大型化が目立つ
中部・北陸(54件) 製造業18件、建設・インフラ14件、食品・農水産6件、医療・ヘルスケア3件 自動車産業のサプライヤーによる体制強化、スマートファクトリー化、静岡県は食品・輸送機器・観光が並立
近畿(44件) 製造業17件、建設・インフラ8件、電機・電子・半導体5件 大阪府に金属加工・機械部品の集積。工具・撹拌機・鋳鉄部品などニッチ分野での世界シェア獲得を掲げる計画が多い
中国(15件) 製造業5件、資源循環・環境4件、食品・農水産2件、建設・インフラ2件 自動車部品の世界シェア維持、航空機・エネルギー向け高付加価値製品、資源循環型の自動車解体、水産の総合商社化
四国(8件) 資源循環・環境3件、建設・インフラ2件、食品・農水産2件 高精度自動選別によるサーキュラーエコノミー拠点、災害に強い地域づくりを掲げる鉄骨工場、次世代繊維、茶製品の製造能力増強
九州・沖縄(21件) 建設・インフラ6件、食品・農水産5件、飲食・サービス3件、資源循環・環境3件 半導体産業を支える表面処理能力の増強、バイオマス燃料の供給網、アイスクリーム・菓子の輸出向け工場、沖縄のインフラ基盤再構築

とくに目を引くのは、四国と中国地方における資源循環・環境分野の比重の高さです。四国8件のうち3件、中国15件のうち4件がこの分野に該当します。件数の絶対値は小さいものの、構成比では他地域を上回ります。解体・選別・再資源化といった事業は大型のプラント投資を必要とするため、本補助金の投資規模と適合しやすい構造にあると整理されます。

また、東北・九州の複数の採択案件で半導体産業への言及が見られます。工場立地の動きが、地域のサプライヤーの設備投資を引き出している構図が読み取れます。

補足

地域別の件数はいずれも母数が小さく、1件の増減が構成比を大きく動かします。四国8件、北海道10件、東北12件という規模では、傾向として読むにとどめ、統計的な有意性を主張できるものではありません。次回以降の公募結果と併せて継続的に観察することが必要です。

📊 このセクションの要点

関東は業種が最も多様で、非製造業の採択が集中しています。中部北陸と近畿は製造業が中心で、自動車産業やニッチ分野の世界シェア獲得を掲げる計画が目立ちます。四国と中国は資源循環・環境分野の構成比が高く、東北と九州では半導体関連への言及が複数見られます。

確認書を発行した金融機関の内訳|地方銀行が約半数

2次公募の採択者223件は、すべてが金融機関による確認書を提出しています。採択者一覧に記載された金融機関名を業態別に集計すると、次のようになります。

業態 件数 構成比
地方銀行・第二地方銀行 109件 48.9%
メガバンク・りそなグループ 56件 25.1%
政府系(日本政策金融公庫・商工組合中央金庫) 34件 15.2%
信用金庫・信用組合 24件 10.8%

個別の金融機関では、日本政策金融公庫が22件で最多、次いで三菱UFJ銀行18件、りそな銀行15件、商工組合中央金庫とみずほ銀行が各12件と続きます。地方銀行では広島銀行7件、足利銀行・北陸銀行・静岡銀行が各6件です。

注目すべきは、信用金庫・信用組合が24件・10.8%を占めている点です。売上高10億円以上・投資額1億円以上という規模の案件で、信金・信組がメインとして確認書を発行しているケースが1割を超えます。金融機関の規模が採択の可否を左右するわけではないことを示す数値です。

なお、地方銀行が約半数を占める構図は、本補助金が地域経済へのインパクトを重視する制度であることと整合します。地域金融機関が事業性を評価し、成長資金の供給にコミットする関係が、審査上も実務上も基盤になっていると整理されます。

📊 このセクションの要点

確認書を発行した金融機関は、地方銀行・第二地銀が109件・48.9%と約半数を占めます。メガバンク・りそなグループ56件、政府系34件、信用金庫・信用組合24件です。個別では日本政策金融公庫22件が最多で、信金・信組が1割を超えていることから、金融機関の規模は採択の制約にならないと読み取れます。

共同申請15件の構成|グループ内連携とリース会社の活用

採択223件のうち、共同申請参加者が記載されているのは15件です。事務局の資料では2次公募の採択者の事業者数合計が241者とされており、共同申請の構成事業者を加えた数と整合します。

15件の構成を見ると、大きく3つの型に分かれます。第一に、グループ会社間での投資分担型です。ホールディングス会社と事業会社、あるいは関係会社同士が連携し、生産設備の統合や事業の融合を図る計画がこれに当たります。第二に、リース会社との共同申請です。設備をリース会社が取得する形態を取る場合、事業者とリース会社の共同申請となります。2次公募では1件がこの形態でした。第三に、同業・関連事業者による連携型です。日本語学校4法人が連携して教育インフラに投資する計画や、生産・加工・飲食を一体化した6次産業モデルを複数法人で構築する計画などがこれに該当します。

共同申請は223件中15件、6.7%にとどまります。制度上は認められた形態ですが、審査で連携の意義と相乗効果を説明する負担が加わるため、事業構造上の必然性がある場合に選択されていると整理されます。

お問い合わせはこちら

📊 このセクションの要点

共同申請は223件中15件・6.7%です。グループ会社間の投資分担型、リース会社との共同申請、同業・関連事業者の連携型の3つに整理されます。単独申請が大半を占めており、共同申請は事業構造上の必然性がある場合に選択される形態です。

まとめ|採択企業の姿から見える5つのポイント

ポイント 内容
45都道府県に広がる採択 本社所在地が確認されないのは香川県と宮崎県のみ。関東・中部北陸・近畿で70.4%を占めるが、大都市圏への極端な偏りはない
5件に1件は本社と別の県で投資 越境投資は46件・20.6%。東京都は13件、大阪府は7件の純減。岐阜県は本社1件に対し実施7件で最大の純増
製造業と建設・インフラで約5割 製造業59件・建設インフラ50件で48.9%。ただし宿泊・観光、飲食、医療、教育など非製造業も採択されており、業種は制約にならない
最多テーマは海外展開・輸出 補助事業名に海外・輸出・グローバル関連の語を含むものが39件・17.5%。サプライチェーン強靭化25件、GX・資源循環24件が続く
地域金融機関が採択を支えている 確認書の発行元は地方銀行・第二地銀が109件・48.9%。信用金庫・信用組合も24件・10.8%を占め、金融機関の規模は制約にならない

よくあるご質問

Q1.地方の企業は採択されにくいのですか。

採択者の本社所在地は45都道府県に及んでおり、地方であることが不利に働く構造は確認できません。むしろ審査基準には「域内仕入の拡大や地域における価値創造」「地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を力強く牽引する事業であるか」が波及効果の項目として明記されています。地域経済へのインパクトを説明しやすい地方企業のほうが、この項目では語りやすい面もあります。ただし、売上高10億円以上という規模要件があるため、母集団そのものが地域によって偏る点には留意が必要です。件数の多寡は、その地域における対象規模の企業数を反映している側面が大きいと理解するのが適切です。

Q2.製造業以外でも採択される可能性はありますか。

2次公募では、宿泊・観光11件、飲食・サービス11件、物流・運輸8件、情報・サービス7件、医療・ヘルスケア6件、教育・人材1件が採択されています。製造業以外でも十分に採択されているのが実態です。ただし、補助対象経費は建物費・機械装置費・ソフトウェア費が中心で、外注費と専門家経費の合計はこれらの合計未満でなければなりません。したがって、投資の中身が建物や設備に落ちる事業構造であることが前提になります。ホテルの新築、セントラルキッチンの整備、自動倉庫の導入、検査ラボの構築といった形で、建物・設備投資として計画を組み立てられるかどうかが分岐点です。人件費中心のサービス業では、投資額1億円以上という要件を満たすこと自体が難しくなります。

Q3.本社と違う都道府県で事業を実施しても問題ありませんか。

2次公募の採択223件のうち46件・20.6%が、本社所在地と異なる都道府県を主な事業実施場所としています。制度上も、日本国内で補助事業を実施することが要件であり、本社と同一都道府県である必要はありません。むしろ、用地の確保しやすさ、原材料の産地への近接、物流網上の位置といった合理的な理由から、本社から離れた場所を選ぶ計画が多数採択されています。ただし、波及効果の審査では、その地域における仕入の拡大や雇用創出をどう説明するかが問われます。単に土地が安いからという理由ではなく、その立地を選んだ事業上の必然性と、地域にもたらす効果を明確にする必要があります。

Q4.採択された補助事業名を見ると、どれも壮大に見えます。事業名は重要ですか。

事業名そのものが加点されるわけではありませんが、計画の性格を一行で示す機能があります。223件の補助事業名を通読すると、投資の内容(新工場の建設、設備の導入など)と、それがもたらす結果(供給体制の強化、海外展開、シェア拡大など)を組み合わせた構成が大半です。逆に、抽象的なスローガンだけの事業名は少数にとどまります。事業名は審査員が最初に目にする情報であり、何にいくら投資して何を実現するのかが伝わる表現になっているかは確認すべき点です。ただし、事業名を整えることに労力を割くよりも、計画本体の論理構成と数値根拠を固めることが優先されるのは言うまでもありません。

Q5.海外展開を計画に入れないと採択されませんか。

必須要件ではありませんが、補助事業名に海外・輸出関連の語を含む採択は39件・17.5%あり、無視できない比重です。本補助金の政策的な位置づけには「輸出による外需獲得」が明示されており、公表されている審査員の所見でも、国内市場だけで100億円に到達するのは現実的ではなく、可能な限り早く輸出やM&Aによる販路拡大の打ち手を講じているかが指摘されています。現在の売上高が20億円前後の企業が100億円を目指す場合、国内既存市場のシェア拡大だけで説明し切るのは容易ではありません。海外展開に限らず、新市場への進出、M&A、バリューチェーンの構築など、既存事業の延長線を超える打ち手を計画に組み込むことが求められます。

Q6.メインバンクが信用金庫ですが、確認書を発行してもらえますか。

2次公募の採択223件のうち、信用金庫・信用組合が確認書を発行しているのは24件・10.8%です。1割を超える案件が信金・信組をメインとしており、金融機関の業態や規模が採択の制約になっているとは読み取れません。確認書の発行にあたって金融機関が判断するのは、投資計画の事業性、財務基盤の改善・強化に向けた与信管理の方針、成長資金の供給や増加運転資金への対応姿勢です。これらは金融機関の規模ではなく、その金融機関が当該事業者をどれだけ理解し、成長を支える意思があるかによります。日ごろから決算内容や事業計画を共有し、関係を築いておくことが実質的な準備になります。

Q7.採択企業の一覧はどこで確認できますか。

中小機構が運営する100億企業成長ポータルにおいて、PDF形式とExcel形式で公開されています。2次公募については令和8年(2026年)8月4日付の公表ページから、1次公募については令和7年(2025年)9月19日付の公表ページから、それぞれ採択者一覧を取得できます。記載項目は法人番号、事業者名、共同申請参加者、本社所在地、主な事業実施場所、補助事業名、金融機関名です。Excel形式で取得すれば、自社と同業種・同地域の採択事例を抽出して比較することが可能です。あわせて公開されている各種指標のPDFでは、採択者と申請全体の数値が対比されており、自社の計画水準を客観視する材料になります。

Q8.同業種の採択事例を参考にして計画を作ってよいですか。

投資テーマの方向性を掴む材料としては有効ですが、計画の骨格を借りることは避けるべきです。公表されているのは補助事業名のみであり、計画書の中身は開示されていません。事業名から読み取れるのは投資の対象と目指す方向性までです。公表されている審査員の所見では、社長自身の考えや経験則が投資計画に落とし込まれているか、様々な質問に対してぶれずに答えられるかが重視されると指摘されています。他社の型に自社の事情を当てはめた計画は、プレゼンテーション審査の質疑で必ず綻びます。同業の採択事例は、自社の投資構想が制度の射程に入っているかを確認する参照点として使い、内容は自社の実態から組み立てることが適切です。

Q9.1次公募と2次公募で、採択される事業内容の傾向は変わりましたか。

両公募とも工場・生産拠点への大型投資が中心である点は共通しています。1次公募でも、新工場建設、設備の高度化、リサイクル関連プラント、食品製造ラインの増設といった案件が採択されています。事業内容の類型そのものに大きな変化は見られません。変化したのは数値水準のほうです。2次公募の採択者は、売上高成長率の中央値で年30.5%、売上高投資比率の中央値で54.6%と、1次公募採択者(それぞれ23.7%、44.0%)を上回っています。同じような投資テーマでも、より大胆な規模と成長シナリオが求められるようになったと整理するのが実態に近い見方です。

Q10.3次公募に向けて、今の段階で何から着手すべきですか。

100億宣言の申請と、メインバンクへの投資構想の共有です。3次公募の申請受付期間は令和8年(2026年)8月5日時点で未確定ですが、2次公募の公募概要資料には夏頃を目途に実施予定と記載されていました。100億宣言は申請から公表まで通常2〜3週間を要し、不備があればさらに時間がかかります。金融機関の確認書も内部の稟議手続を経る必要があります。この2つはいずれも公募要領の公表後に着手すると間に合わないおそれがあります。並行して、投資対象の絞り込み、用地や設備の見積取得、売上・粗利の積み上げによる成長計画の骨格づくりを進めておくことが、実務上の優先事項です。

大型設備投資と成長加速化補助金をご検討の経営者様へ

採択事例の傾向分析から、自社の投資構想の位置づけを整理します

壱市コンサルティングは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、補助金申請支援と経営コンサルティングの両面から中小企業をご支援しています。公表データの分析にもとづき、自社の投資構想が制度の射程に入っているかを構想段階から検討します。

📊 採択データにもとづく適合性の診断

同業種・同地域・同規模の採択事例と自社の投資構想を突き合わせ、制度適合性と課題を整理します。

💼 投資計画・成長シナリオの設計

売上高成長率・付加価値増加率・賃上げ率の整合を取りながら、審査基準に沿った計画を組み立てます。

🤝 立地選定・地域波及効果の整理

本社と別の地域で投資を行う場合の、立地の必然性と地域への波及効果の説明を組み立てます。

🏦 金融機関との連携・確認書取得の伴走

地方銀行・信用金庫を含むメインバンクとの協議の進め方から、確認書取得までをご支援します。

投資構想の段階でご相談いただくほど、選べる打ち手は増えます。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 工場や物流拠点の新設を検討しているが、活用できる補助金がわからない
  • ✅ 本社とは別の地域に拠点を構えたいが、計画上どう説明すべきか整理したい
  • ✅ 製造業ではないが、大型の設備投資で成長加速化補助金を狙えるか知りたい
  • ✅ 売上高100億円を目指すロードマップを、数値に落として描きたい
  • ✅ 3次公募に向けて、今から何を準備すべきか道筋を確認したい

お問い合わせはこちら

友だち追加 お問い合わせ