【令和8年】中小企業成長加速化補助金3次公募|上限5億円・締切10月29日・変更点を徹底解説

令和8年(2026年)8月20日、中小企業成長加速化補助金事務局から3次公募の概要資料および公募要領が公表されました。申請受付は令和8年(2026年)9月29日(火)に開始し、締切は令和8年(2026年)10月29日(木)15時00分です。補助上限額5億円・補助率2分の1という設備投資系補助金として最大級の規模は、1次・2次公募から据え置かれています。

今回の公募でとりわけ重要なのが、事務局が公募要領のなかで明記した一文です。令和7年度補正予算については、本3次公募をもって終了となる見込みとされました。つまり現行の予算枠で申請できる機会は、今回が最後になる可能性が高いということです。加えて、3次公募では賃上げ要件の「基準年度」「最終年度」の定義が明文化され、外注費・専門家経費の対象範囲が絞り込まれるなど、実務に直結する改訂が複数入っています。

一方で、競争環境は依然として厳しい水準にあります。1次公募の採択倍率は約6.0倍、2次公募は約3.9倍。売上高10億円以上100億円未満という限られた事業者層のなかで、申請の質そのものが問われる制度になっています。

本記事では、3次公募の要件・対象経費・スケジュールを一次情報に基づいて整理したうえで、2次公募からの変更点、公表された採択者データから読み取れる採択ラインの実像、そして締切まで約2か月という短期間で何をどう準備すべきかを、認定経営革新等支援機関の実務目線で解説します。

Contents
  1. 中小企業成長加速化補助金3次公募の全体像
  2. 制度の目的と「100億企業」政策における位置づけ
  3. 補助対象者の要件と申請できない事業者の条件
  4. 賃上げ要件の詳細と補助金返還のリスク
  5. 補助対象経費の区分と対象外となる経費
  6. 2次公募からの主な変更点
  7. 2次公募の結果が示す採択ラインの実像
  8. 申請から採択までのスケジュールと提出書類
  9. 審査基準の読み解き方と審査員が見ているポイント
  10. 共同申請とリース会社の活用
  11. 中堅等大規模成長投資補助金との使い分け
  12. 締切から逆算した準備の実務ステップ
  13. まとめ
  14. よくある質問
  15. 中小企業成長加速化補助金の申請をお考えの経営者の方へ

中小企業成長加速化補助金3次公募の全体像

中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指す中小企業の大胆な設備投資を支援する制度です。賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入を通じた地域経済への波及効果が大きい企業を政策的に後押しするという設計思想が、要件と審査基準の隅々にまで貫かれています。

3次公募の基本スペックは、1次・2次公募から大きくは変わっていません。まずは制度の骨格を数値で押さえておきます。

3次公募の基本情報

項目 内容
補助上限額 5億円
補助率 2分の1
補助事業期間 交付決定日から14か月以内〜24か月以内
対象者 売上高100億円を目指す中小企業(売上高10億円以上100億円未満)
主な要件 「100億宣言」の公表/投資額1億円以上(税抜き)/賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画
対象経費 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
申請受付開始 令和8年(2026年)9月29日(火)
申請締切 令和8年(2026年)10月29日(木)15時00分
申請方法 補助金申請システム「Jグランツ」(GビズIDプライムが必要)
事務局 TOPPAN株式会社(中小企業成長加速化補助金事務局)

補助事業期間の「14か月以内〜24か月以内」という表記は、独立行政法人会計基準および関連規定に基づく予算執行可能期間を踏まえて調整される旨が注記されています。工場の新設や大型設備の導入を前提とした制度であるため、他の補助金と比べて事業期間が長く設定されている点が特徴です。

令和7年度補正予算では最後の公募となる見込み

3次公募の概要資料には、スケジュールの説明に続けて重要な記載があります。「令和7年度補正予算については、本3次公募をもって終了となる見込み」という一文です。今後については100億企業成長ポータルを通じて最新情報が随時提供されるとされていますが、少なくとも現時点で確定している公募機会は今回が最後になります。

この制度は補助上限5億円という規模から、工場の新設・増築、物流拠点の整備、自動化ラインの導入といった、企業の将来を左右する投資に紐づいて申請されるケースがほとんどです。「次回でもよい」と先送りできる性質のものではありません。設備投資構想が具体化している企業にとっては、今回の公募が意思決定の期限になると認識する必要があります。

注意

「終了となる見込み」という表現であり、後継予算や新たな公募の可能性が完全に否定されたわけではありません。ただし、投資判断を後継制度の存在を前提に組み立てることは、きわめてリスクの高い意思決定になります。現行公募での申請を基本線として準備を進めることが賢明です。

📊 このセクションの要点

3次公募は補助上限5億円・補助率2分の1で、令和8年(2026年)9月29日受付開始、10月29日15時締切です。制度の基本スペックは1次・2次公募から据え置かれていますが、令和7年度補正予算では本公募をもって終了となる見込みと明記されており、現行枠で申請できる最後の機会になります。

制度の目的と「100億企業」政策における位置づけ

この補助金を正しく理解するためには、なぜ国が「売上高100億円」という具体的な数字を掲げているのか、その政策的背景を俯瞰する必要があります。公募要領の事業目的には、日本経済が賃上げ率・国内投資ともに30年ぶりの高水準にある一方で、多くの中小企業が物価高や人手不足といった経営課題に直面しているという現状認識が示されています。

なぜ売上高100億円が政策目標になっているのか

公募要領では、売上高が100億円に及ぶ企業について、一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいため、地域経済に与えるインパクトが大きいと整理されています。経済の好循環を全国に行き渡らせるには、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げすることに加えて、地域にインパクトのある成長企業を創出することが重要であるという政策判断です。

言い換えれば、この制度は個社の設備投資を支援する制度ではなく、地域経済を牽引する成長企業を意図的に生み出すための制度です。この本質を理解しているかどうかが、投資計画書の説得力を大きく分けます。単に「生産能力が上がり売上が伸びます」という論理だけでは、審査基準の半分にしか答えていないことになります。

入口となる「100億宣言」の手続に要する時間

本補助金の申請時点で、申請者の「100億宣言」が100億宣言ポータルサイトに公表されている必要があります。100億宣言とは、中小企業の経営者が「売上高100億円」という目標を目指し、実現に向けた取組を行っていくことを宣言する仕組みです。企業理念・経営者メッセージ、売上高100億円実現の目標と課題、実現に向けた具体的措置といった内容を掲載します。

実務上きわめて重要なのは、100億宣言の公表に係る手続には通常2〜3週間を要するという点です。事務局も概要資料で、補助金申請を検討する場合は早めに100億宣言を進めるよう呼びかけています。締切間際に宣言手続を始めた場合、公表が間に合わず申請そのものができなくなります。

POINT

100億宣言の公表手続に2〜3週間、GビズIDプライムの取得にも2週間程度を要する場合があります。この2つは投資計画書の作成と並行して、最優先で着手すべき事項です。締切から逆算すると、遅くとも令和8年(2026年)9月上旬には手続を開始しておく必要があります。

なお、100億宣言の申請数は、1次公募の申請締切時点(2025年6月9日)で1,517件、2次公募の申請締切時点(2026年3月26日)で3,091件と、1年足らずで倍増しています。宣言企業の母集団が拡大していることは、そのまま補助金申請の競争環境にも影響します。

📊 このセクションの要点

本補助金は、地域経済にインパクトを与える成長企業を創出するという政策目的に基づく制度です。申請の入口となる100億宣言は公表まで2〜3週間、GビズIDの取得にも2週間程度を要するため、投資計画書の作成と並行した早期着手が不可欠です。

補助対象者の要件と申請できない事業者の条件

補助対象者は、公募要領のⅠ(補助事業の要件)、Ⅱ(事業者の範囲)、Ⅲ(不支給要件)のいずれも満たす中小企業者であって、事業終了後の建物・設備等の管理・運営等に責任を持って実施できる者とされています。要件は多岐にわたるため、順に整理します。

補助事業の4要件

要件 内容と実務上の留意点
投資額1億円以上 建物費・機械装置費・ソフトウェア費の補助対象経費(資産計上するものに限る)の合算額。外注費・専門家経費は投資額に含まれない
100億宣言の公表 公募の申請時までにポータルサイトに公表されていることが必要。公表手続に2〜3週間
賃上げ要件 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定。賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間
国内実施 日本国内において補助事業を実施すること。日本国内に本社および実施場所を有すること

投資額の定義は正確に押さえる必要があります。1億円以上という水準は、あくまで建物費・機械装置費・ソフトウェア費のうち資産計上するものの合計で判定されます。外注費と専門家経費は投資額にカウントされないうえ、この2つの合計額は投資額未満でなければならないという上限規制もかかります。

また、事業実施場所が複数になる場合も応募対象となりますが、補助事業の目的・内容が一体的であることが必要です。交付決定後に事業実施場所を変更することは原則として認められません。さらに、既存の老朽化設備を入れ替えるなど生産能力等が向上しない投資、いわゆる更新投資は認められない点にも注意が必要です。

事業者の範囲と中小企業者の定義

中小企業等経営強化法第2条第1項各号に規定する中小企業者であることが前提となります。業種ごとの資本金・従業員数の基準は次のとおりです。

業種 資本金・従業員数の基準
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他 資本金3億円以下または従業員300人以下
ゴム製品製造業(一部除く) 資本金3億円以下または従業員900人以下
卸売業 資本金1億円以下または従業員100人以下
サービス業 資本金5,000万円以下または従業員100人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 資本金3億円以下または従業員300人以下
旅館業 資本金5,000万円以下または従業員200人以下
小売業 資本金5,000万円以下または従業員50人以下

加えて、企業組合・協業組合・事業協同組合などの組合または連合会も対象に含まれます。一方で、これらに該当しない組合や、財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人、社会福祉法人、法人格のない任意団体は補助対象外です。

中小企業者の定義に加えて、次の条件も満たす必要があります。売上高が10億円以上100億円未満であること、収益事業を行っていること、国内金融機関に口座を有し日本円で精算できること、そして公募開始日時点において確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことです。

みなし大企業とみなし同一法人の判定

グループ企業や資本関係のある企業にとって、実務上最も注意を要するのがこの論点です。みなし大企業に該当する場合、中小企業者の定義を満たしていても対象外となります。判定基準は、発行済株式総数または出資価格総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している、3分の2以上を大企業が所有している、大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている、といった内容です。

みなし同一法人については、親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなされ、いずれか1社の申請しか認められません。個人が複数の会社それぞれの議決権を50%超保有する場合も同様です。さらに、代表者が同じ法人についても同一法人とみなされ、そのうち1社の申請しか認められません。補助金を目的に主要株主や出資比率を変更して申請することも認められないと明記されています。

注意

申請は1事業者につき1案件のみです。申請を行った事業者が、本公募の異なる補助事業で共同申請者として参画することも認められません。資本関係または人的関係のある会社により提出された同一内容と認められる申請は、審査の対象とされません。グループ経営を行っている企業は、申請主体の選定を早い段階で確定させておく必要があります。

不支給要件に該当する事業

公募要領には14項目の不支給要件が列挙されています。実務上とくに確認すべきものを挙げると、具体的な補助事業の実施の大半を他社に外注または委託し企画だけを行う事業、実質的に労働を伴わない事業や専ら資産運用的性格の強い事業、購入した設備を自ら事業の用に供することなく特定の第三者に長期間貸与させる事業、補助事業が1次産業(農業・林業・漁業)である事業などです。

賃上げに関連する不支給要件も設けられています。主として従業員の解雇を通じて賃上げ要件を達成するような事業、補助事業期間に限って従業員数の削減を行い期間終了後に増員を行うなど専ら対象事業者となることを目的として従業員数等を変更していると認められた事業は、いずれも不支給となります。制度の趣旨を形式的に潜脱する行為は明確に排除されているということです。

また、国庫および公的制度からの二重受給となる事業も対象外です。これまでに交付決定を受けた、あるいは現在申請している補助金・委託費等の実績は必ず申請書に記載する必要があり、記載がない場合は不採択となる可能性があると明記されています。

📊 このセクションの要点

対象者は売上高10億円以上100億円未満の中小企業者で、投資額1億円以上・100億宣言の公表・賃上げ要件・国内実施の4要件を満たす必要があります。みなし大企業・みなし同一法人の判定、および1事業者1申請の原則は、グループ経営企業にとって申請可否を左右する論点です。

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賃上げ要件の詳細と補助金返還のリスク

本補助金の要件のなかで、最も慎重な設計を要するのが賃上げ要件です。単なる努力目標ではなく、未達成の場合には未達成率に応じた補助金返還が制度として組み込まれているためです。5億円という補助額の大きさを考えれば、返還リスクの評価は投資判断そのものに直結します。

基準年度と最終年度の定義

賃上げ要件は、基準年度の「従業員1人当たり給与支給総額」と比較した最終年度の同数値の年平均上昇率が、基準率である4.5%以上であることを求めるものです。基準率4.5%は、全国における直近5年間(2020年度を基準とし、2021年度から2025年度までの5年間)の最低賃金の年平均上昇率に由来します。

3次公募では、この基準年度と最終年度の定義が公募要領上で明文化されました。基準年度とは補助事業の完了した日の属する事業年度をいい、当該事業年度が12か月に満たない場合は次の12か月の期間を有する事業年度を基準年度とします。最終年度とは基準年度から3事業年度目の事業年度をいい、基準年度から3事業年度後までの期間に12か月に満たない事業年度がある場合、その年度を除いた3事業年度後を最終年度とします。

年平均上昇率の計算式は、最終年度の数値をA、基準年度の数値をBとして、(A÷B)の3分の1乗から1を引いた値が基準率以上であること、と定義されています。たとえば基準年度の1人当たり給与支給総額が500万円、最終年度が581万円であれば、年平均上昇率は約5.1%となり基準率4.5%を上回ります。

「給与支給総額」か「1人当たり給与支給総額」かの選択

1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が基準率以上であることを満たしたうえで、目標として「従業員の給与支給総額」を掲げるか「従業員の1人当たり給与支給総額」を掲げるかは、応募申請時に選択します。申請後の変更はできません

給与支給総額を選択した場合、達成が必要な条件は2つになります。1つは基準年度と比較した最終年度の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が基準率4.5%以上であること、もう1つは給与支給総額の年平均上昇率が応募申請時の目標以上であることです。増員を伴う成長計画では給与支給総額の伸びを示しやすい一方、1人当たりの水準も同時に問われる構造になっている点を理解しておく必要があります。

補助金返還となる4つのパターン

返還事由 返還の範囲
交付決定までに目標を従業員等に表明しなかった場合 交付決定の取消および全額返還
基準年度の数値が申請時直近事業年度の数値を下回った場合 全額返還
応募申請時に掲げた目標を達成できなかった場合 未達成率に応じた返還
給与支給総額を目標とした場合に1人当たりの上昇率が4.5%を下回った場合 未達成率に応じた返還(両指標未達成の場合は未達成率の大きい指標に応じて返還)

天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求められません。また、補助金返還となった場合も事業者名は公表されないことが概要資料に明記されています。給与支給総額の確認方法は、法人の場合は従業員の賃金台帳の提出を求め、記載された金額で判断されます。

注意

2番目の返還事由は見落とされがちです。基準年度は補助事業完了年度であり、申請から数年後に到来します。その時点の給与水準が申請時の直近決算期を下回っていれば、目標達成の可否以前に全額返還の対象となります。補助事業期間中に業績が一時的に悪化しても賃金水準を維持できるだけの財務的余力を、計画段階で織り込む必要があります。

審査で評価される「足下の賃上げ」

3次公募でも、補助事業完了後の賃上げに加えて、工場の建設や設備の導入といった補助事業の完了を待たずに実施する「足下の賃上げ」が評価対象とされています。公募要領には、最低でも応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない計画の場合は、審査上大幅に不利になると明記されています。

足下の賃上げについては、採択後交付決定までの間に従業員への表明が必須とされ、補助事業期間中の賃上げ実績はモニタリングの対象となります。2次公募の実績値では、採択者・申請全体ともに足下の賃上げの中央値は3.0%でした。投資が売上に貢献し始める前の期間においても賃上げを継続できるかどうかが、実質的な選別要素になっているということです。

📊 このセクションの要点

賃上げ要件は基準年度から最終年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率4.5%以上が必須で、未達成の場合は未達成率に応じた返還が生じます。3次公募では基準年度・最終年度の定義が明文化されました。加えて、補助事業完了を待たずに実施する足下の賃上げが審査で強く評価されます。

補助対象経費の区分と対象外となる経費

補助対象経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。対象経費は、交付決定を受けた日付以降に発生かつ契約(発注)を行い、補助事業期間内に納品・検収・支払等の手続がすべて完了したものに限られます。

5つの経費区分

区分 対象となるもの 主な対象外
建物費 事務所・生産施設・加工施設・倉庫等の建設、増築、改修、中古建物の取得(単価100万円税抜以上)。建物附属設備、付帯工事(土地造成含む) 建物の単なる購入・賃貸、土地代、構築物(門・塀・フェンス・広告塔・駐車場舗装等)、撤去・解体費用
機械装置費 機械装置、工具・器具の購入・製作・借用(単価100万円税抜以上)、一体で行う改良・修繕・据付け・運搬 構築物、船舶、航空機、車両及び運搬具。既に取得している機械装置に関する経費
ソフトウェア費 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用(単価100万円税抜以上) パソコン・タブレット・スマートフォン本体費用、自社の他事業と共有するもの、販売目的のソフトウェア構築
外注費 補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注する経費 投資計画の作成に要する経費、外注先が設備やシステムを購入する費用、量産品の加工外注費用
専門家経費 補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために依頼した専門家への経費(1日5万円が上限) 応募申請時の投資計画の作成に要する経費

専門家の謝金単価は、大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師が1日5万円以下、准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータが1日4万円以下、それ以外が1日2万円以下と定められています。また、外注費と専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計経費未満でなければなりません

見落としやすい対象外経費

対象外経費のなかで、大型投資案件において混同されやすいものを挙げます。再生可能エネルギーの売電を行うための発電設備および一体不可分の附属設備、事務所等にかかる家賃・保証金・敷金・仲介手数料・光熱水費、各種保険料、借入金の支払利息、公租公課などです。

加えて、事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)、同一代表者・役員が含まれている事業者やみなし同一法人内の事業者・資本関係がある事業者への支払、同一企業の部署間の支払も対象外です。機械装置等の社内発注・社内製造も同一法人内における支払とみなされ対象外となります。自社グループ内で製造機能を持つ企業では、この点が経費計上の可否を大きく左右します。

補足

交付申請時には、経済性の観点から原則2者以上の同一条件による相見積が必要です(建物・機械・ソフトウェアは100万円税抜以上、外注費・専門家経費は発注先1件あたり50万円税抜以上の場合)。建設業許可が必要な規模の建物では、建設業許可を有さない業者からの見積は認められません。申請の準備段階であらかじめ複数者から見積を取得しておくと、採択後の交付申請が円滑に進みます。

📊 このセクションの要点

対象経費は建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費の5区分で、いずれも単価100万円(税抜)以上が原則です。投資額1億円の判定に用いるのは前3者のうち資産計上するものに限られ、外注費と専門家経費の合計は投資額未満に抑える必要があります。自社人件費やグループ内取引は対象外です。

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2次公募からの主な変更点

事務局は3次公募の公募要領とあわせて、2次公募からの変更箇所を明示した対照版を公表しています。制度の骨格に大きな変更はないものの、賃上げ要件の定義と経費区分の運用に関わる改訂が入っており、いずれも実務に影響します。

変更項目 変更の内容
基準年度・最終年度の定義 注記として独立して明文化。12か月に満たない事業年度がある場合の取扱いが明確化された
新規設立法人の基準年度の特例 「決算が一度も確定していない場合、基準年度を翌事業年度とすることができる」旨の記載が削除された
給与支給総額の確認方法 法人の賃金台帳による判断のみを記載。個人事業主の青色申告決算書等による判断の記述が削除された
外注費の定義 「補助事業遂行のために必要な」から「補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な」に限定
専門家経費の定義 同様に「補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために」依頼した専門家への経費に限定
審査基準(売上高投資比率) 「設備投資額(本補助事業を含む)」から「設備投資額(本補助事業に限る)」に変更
抵当権設定に関する記載 「6.その他」に置かれていた抵当権設定の項目が削除。補助対象経費の注意事項側の記載に一本化された
1次審査結果の扱い スケジュール表の表記が「公表」から「通知」に変更
決算書のファイル名指定 「前々期決算」等から「3期前分」「2期前分」「直近決算期(前期)分」の表記に変更

外注費・専門家経費の限定が意味すること

実務上、最も影響が大きいのは外注費と専門家経費の定義変更です。2次公募では「補助事業遂行のために必要な」経費という広い表現が用いられていましたが、3次公募では「補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な」経費へと明確に限定されました。

この変更により、資産取得と直接結びつかない周辺業務の外注や専門家活用は、対象経費として計上しにくくなったと整理されます。経費計上の設計段階から、各費目が「どの資産の取得に、どのように必要か」を説明できる構成にしておくことが求められます。

あわせて、外注費の注記にあった「機械装置の製作を外注する場合は機械装置費に計上してください」という記載も削除されています。ただし、建物・機械装置・ソフトウェアの設計等を外注し、減価償却資産として資産計上する場合は、外注費ではなく該当する経費区分に計上する旨の記載は維持されています。

売上高投資比率の分母・分子の明確化

審査基準における「企業の収益規模に応じたリスクをとった投資となっているか」という評価軸について、括弧書きが「本補助事業を含む」から「本補助事業に限る」に変更されました。これは、評価対象となる設備投資額が本補助事業に係るものに限定されることを意味します。

2次公募の実績値では、売上高投資比率(最新決算期の全社売上高に対する補助事業全体に要する経費の割合)の中央値は、採択者が54.7%、申請全体が38.5%でした。自社の売上規模に対してどれだけ思い切った投資を行うかが、そのまま評価に直結する構造になっていると理解するのが実態に近い見方です。

📊 このセクションの要点

3次公募では賃上げ要件の基準年度・最終年度が明文化され、新規設立法人の基準年度特例が削除されました。外注費・専門家経費は資産取得に直接必要な経費へと限定され、審査基準の売上高投資比率は本補助事業に係る投資額のみで評価されることが明確化されています。

2次公募の結果が示す採択ラインの実像

3次公募の概要資料には、参考資料として2次公募の結果概要が詳細に掲載されました。採択者と申請全体の各指標を比較できる形でデータが公表されており、これは申請準備における事実上のベンチマークとして活用できます。

採択倍率の推移

1次公募は申請1,270件に対し採択211件で、採択倍率は約6.0倍。2次公募は申請872件に対し採択224件で、採択倍率は約3.9倍でした。申請件数が減少し採択件数が増加したことで、倍率は緩和しています。ただし4件に1件しか採択されない水準であり、依然として競争は厳しいと認識する必要があります。

採択者と申請全体の主要指標比較

指標(2次公募・中央値) 採択者 申請全体
全社売上高成長率(年平均) 30.5% 26.0%
全社付加価値増加率(年平均) 35.0% 28.6%
労働生産性成長率(年平均) 23.7% 18.0%
売上高投資比率 54.7% 38.5%
最新決算期の売上高 20.5億円 26.9億円
補助事業全体に要する経費(税抜) 11.3億円 10.3億円
EBITDAマージン 9.4% 6.8%
1人当たり給与支給総額の増加率 6.5% 6.0%
給与支給総額の増加率 17.4% 12.5%
最新決算期の1人当たり給与支給総額 436.9万円 418.9万円
足下の賃上げ 3.0% 3.0%
最新決算期の自己資本比率 43.8% 34.4%
ローカルベンチマークの得点 22.3点 21.0点
最新決算期のROA 5.1% 3.7%

このデータから読み取れることは明確です。採択者は、成長性の3指標(売上高成長率・付加価値増加率・労働生産性成長率)と投資の思い切りの良さ(売上高投資比率)において、申請全体を明確に上回っています。売上高成長率で約4.5ポイント、付加価値増加率で約6.4ポイント、売上高投資比率では約16ポイントもの差がついています。

興味深いのは、最新決算期の売上高の中央値が採択者20.5億円に対し申請全体26.9億円と、採択者のほうが企業規模が小さい点です。一方で補助事業全体に要する経費は採択者のほうが大きい。つまり、規模が小さくても大胆な投資に踏み切り、高い成長率を描いた企業が選ばれているという構図です。売上規模の大きさそのものは有利に働いていません。

財務の健全性も明確に差が出ている

EBITDAマージン(採択者9.4%対申請全体6.8%)、自己資本比率(43.8%対34.4%)、ROA(5.1%対3.7%)と、収益性・安全性のいずれの指標でも採択者が上回っています。審査基準に「補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか(ローカルベンチマークによるスコアリング)」が明示されているとおり、財務体質は明確な評価項目です。

なお、2次公募の採択者における「金融機関による確認書」の提出率は100%でした。確認書の提出は公募要領上「該当者のみ」の任意書類ですが、実態としては採択者全員が金融機関の確認書を提出していることになります。5億円規模の投資に対して金融機関のコミットメントが得られていない計画は、実現可能性の観点から評価されにくいと理解するのが自然です。

POINT

金融機関による確認書の準備は、投資計画書の作成と同じかそれ以上の時間を要します。金融機関側が計画内容を精査し、確認書を発行するまでのプロセスを踏まえると、締切の1か月前には金融機関との協議を開始しておくべきです。

📊 このセクションの要点

2次公募は申請872件・採択224件で採択倍率約3.9倍でした。採択者は成長性3指標と売上高投資比率で申請全体を大きく上回る一方、企業規模はむしろ小さく、規模ではなく成長シナリオと投資の思い切りが評価されています。金融機関による確認書の提出率は採択者で100%でした。

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申請から採択までのスケジュールと提出書類

3次公募のスケジュールは、申請から採択結果の公表まで約5か月を要する長期戦です。2段階の審査を経るため、申請後も準備すべきことが残ります。

時期 内容
令和8年9月1日(火) 公募説明会(動画配信)
令和8年9月29日(火) 3次公募 申請受付開始
令和8年10月29日(木)15時 3次公募 申請締切
令和9年1月中旬 1次審査(書面審査)結果の通知
令和9年2月15日〜3月5日 2次審査(プレゼンテーション審査)※土日祝除く
令和9年3月下旬以降 採択結果の公表(以降順次、交付決定)

提出書類の一覧

書類 形式・留意点 対象
投資計画書(様式1) 40ページ以内・PDF。共同申請は幹事企業が代表して作成 全申請者
投資計画書別紙(様式2) Excel形式。決算資料および様式1と数値の平仄を合わせる 全申請者
ローカルベンチマーク(様式3) 拡張子.xlsm。財務分析シートの黄色セルに入力。共同申請は全事業者分 全申請者
決算書等(3期分) 貸借対照表、損益計算書、販管費明細、製造業は製造原価明細書も必須 全申請者
金融機関による確認書(様式4) 金融機関から投資計画書の確認を受けた場合に提出 該当者のみ
リース取引に係る宣誓書(様式5) リース会社との共同申請の場合に必要 該当者のみ
リース料軽減計算書(様式6) リース事業協会が確認した計算書。リース会社との共同申請の場合に必要 該当者のみ

ファイル名は事務局が指定する形式に変更したうえで提出する必要があります。また、Jグランツ上では30MBを超える容量のファイルは提出できません。提出書類に不備(必要書類の欠落や記入漏れ等)があった場合は、その内容に関わらず審査の対象とならないと明記されています。

注意

資料提出後、公募締切前に資料を再提出したい場合は、必ず公募締切の2営業日前の17時までに事前に事務局へ問い合わせたうえで、所定の手続により再提出する必要があります。事前連絡がない場合は、最初に提出された書類で審査されます。差し替えを前提としたスケジュールは組めないと考えるべきです。

プレゼンテーション審査における重要な制約

2次審査は、地域ブロック単位で開催される審査会で、提出された申請資料を用いて申請企業の経営者自身がプレゼンテーションと質疑応答を行います。経営者の出席・説明は必須であり、なされない場合は審査上不利になる可能性があるとされています。ここでいう経営者とは「代表取締役社長・会長等の代表権を有している方」です。

きわめて重要な制約として、主たる申請者・共同申請者以外(外部コンサルティング会社等)のプレゼンテーション審査への同席は認められません。外部コンサルティング会社等の関係者が経営顧問などの形で同席することも認められず、発覚した場合には不採択または交付決定の取消となる場合があるとされています。ただし、金融機関による確認書を提出した申請者については、当該金融機関の担当者等の同席が可能です。

この制度設計が意味するのは、投資計画書を外部に丸投げして作成した企業は2次審査で必ず露呈するということです。経営者自身が計画の数字の根拠、実現のための仕組み、人材確保の手段を自分の言葉で語れなければ通過できません。支援者の役割は、経営者の構想を整理し、論理を補強し、経営者が語れる状態をつくることに限られます。

📊 このセクションの要点

申請から採択公表まで約5か月、書面審査とプレゼンテーション審査の2段階です。投資計画書は40ページ以内のPDFで、提出書類の不備は審査対象外となります。2次審査には経営者本人の出席が必須で、外部コンサルティング会社の同席は認められません。

審査基準の読み解き方と審査員が見ているポイント

審査は「経営力」「波及効果」「実現可能性」の3つの柱で構成され、合計10の観点から定量的・定性的に評価されます。投資計画書の章立ては、この審査基準に対応させて設計するのが基本です。

評価の柱 主な審査観点
経営力 中長期ビジョンと経営者の明確なシナリオ/高い売上高成長率と付加価値増加率/収益規模に応じたリスクをとった投資/賃上げ計画の具体性と持続性/外部・内部環境分析と差別化戦略/成果目標と管理体制/コンソーシアムの相乗効果
波及効果 域内仕入の拡大や地域における価値創造/サプライチェーンを通じた波及効果/地域のモデル企業としての取組(取引適正化、BCP、知財・経済安全保障、女性活躍等)
実現可能性 早期に投資が実行できる経営体制/ローカルベンチマークによる財務スコアリング/金融機関のコミットメント

波及効果の項目では、地域未来牽引企業の選定、健康経営優良法人の認定、パートナーシップ構築宣言の実施、事業継続力強化計画の認定取得、えるぼし認定、くるみん認定などが具体例として挙げられています。取得は必須ではないものの、審査の参考とされる旨が明記されています。事業継続力強化計画のように比較的短期間で認定を取得できるものは、申請前に整えておく価値があります。

審査員が実際に指摘しているポイント

3次公募の概要資料には、過去の審査を担当した審査員の感想が掲載されています。公募要領の抽象的な審査基準を、実際の審査でどう読み替えているかが示された貴重な情報です。

経営力については、社長の考えや経験則が投資計画に落とし込まれており、社長自身の言葉でさまざまな質問にブレずに答えられているか、経営シナリオが「絵に描いた餅」になっていないか、数字の根拠・実現するための仕組み・人材確保等の手段のすべてがシンクロしているかが挙げられています。さらに、自社の投資対象のテーブルに乗ることが前提であり、補助金が取れなければ何もしない「補助金ありき」となっていないかという視点も明示されています。

また、国内市場だけで100億円到達は現実的ではないため、可能な限り早く輸出やM&Aによる販路拡大、バリューチェーン構築などの打ち手を講じているかという指摘もあります。実現可能性については、市場分析の解像度の高さ、事業のダウンサイドリスクを含めたアセスメント、単一事業・ワンショットの投資ではない成長投資と賃上げを持続できるエコシステムの描写が求められています。

金融機関のコメントについても、プラス面ばかりではなく課題面も把握し、経営者とともにどのように解決しようとしているかが見られています。確認書を形式的に取得するだけでは評価につながらないということです。

POINT

波及効果については「多少荒削りな計画でも、意欲的で、不連続な成長に繋がり、産業や地域に有意義な変化をもたらせるか」という視点が示されています。完成度の高さよりも、不連続な成長への意欲と地域へのインパクトが重視されている点は、計画の書き方を大きく左右します。

📊 このセクションの要点

審査は経営力・波及効果・実現可能性の3本柱・10観点で行われます。審査員は「補助金ありき」の計画を明確に警戒しており、経営者自身の言葉で語れる一貫したシナリオと、輸出やM&Aを含む100億円到達への具体的な打ち手を求めています。

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共同申請とリース会社の活用

事業者単独での申請が原則ですが、共同申請(コンソーシアム)により一層の相乗効果を発揮できる場合などには、複数事業者での申請が認められます。共同申請する場合は、共同申請者全者が事業者の範囲を満たす必要があり、100億宣言および賃上げ要件は原則として各者で対応することが求められます。

また、参加企業のなかに投資額5千万円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)の中小企業者を少なくとも1者以上含むことが必要です。

パターン 取扱い
異業種・異機能の企業連携 販路やブランドに強みがある企業と特殊技術に強みを持つ企業の連携など。連携の意義・目的と相乗効果が審査対象
企業グループ全体での共同申請 100億宣言を資本関係にある企業グループとして実施した場合、グループ全体でコンソーシアムを形成可能。参加全企業の賃上げ・売上高成長率等が評価対象
企業グループの一部での共同申請 特段の事情がある場合等に限り可能。資本関係を示す資料の提出と、一部でコンソーシアムを組むことが適切である理由の説明が必要
リース会社との共同申請 設置事業者とリース会社の共同申請とし、原則1つの共同申請につきリース会社は1社。リース会社は100億宣言不要。建物の取得にリース会社を利用する場合、建物費は対象外

リースを活用する場合、補助対象はリース会社が購入した設備機械装置であり、リース料を構成する手数料・保険料等は対象になりません。リース料から補助金相当分が減額されていることを証明できる書類の提示が必要で、契約期間は導入設備の減価償却期間(複数の場合は最長のもの)以上とする必要があります。なお、割賦契約はリースに含まれません。

📊 このセクションの要点

共同申請は相乗効果が見込める場合に認められ、参加企業のうち1者以上が投資額5千万円以上である必要があります。企業グループでの申請は100億宣言の実施単位と整合させることが基本で、リース活用時は建物費が対象外となる点に注意が必要です。

中堅等大規模成長投資補助金との使い分け

3次公募の概要資料には、参考情報として中堅等大規模成長投資補助金(100億宣言枠)に関する記載があります。中堅・中小企業が賃上げに向けた省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るための大規模投資を支援する制度で、新規公募分として基金2,000億円が措置され、100億宣言企業向けにそのうち1,000億円程度が確保されるとされています。

項目 中小企業成長加速化補助金 中堅等大規模成長投資補助金
補助対象者 売上高100億円を目指す中小企業(売上高10億円以上100億円未満) 中堅・中小企業(常時使用する従業員が2,000人以下の会社等)
補助率 2分の1 3分の1
補助上限額 5億円 50億円
投資額の要件 1億円以上 100億宣言企業は15億円以上、それ以外は20億円以上
賃上げ要件 補助事業終了後3年間の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率4.5%以上 100億宣言企業は4.5%以上、それ以外は5.0%以上
補助事業実施期間 交付決定日から14か月以内〜24か月以内 交付決定日から最長で令和10年12月31日まで

中堅等大規模成長投資補助金は中小企業成長加速化補助金とは別事業であり、準備が整い次第、当該補助金事務局から案内されるとされています。投資額が15億円を超える規模の構想を持つ企業は、補助率2分の1・上限5億円の成長加速化補助金と、補助率3分の1・上限50億円の大規模成長投資補助金のどちらが有利かを、投資総額と資金調達計画から試算して判断する必要があります。

単純計算すると、投資額15億円の場合、成長加速化補助金では上限に張り付いて5億円、大規模成長投資補助金では5億円となり同額です。それを超える投資規模であれば大規模成長投資補助金のほうが補助額は大きくなります。ただし公募時期や採択見込みが異なるため、投資実行のタイミングとあわせた検討が欠かせません。

📊 このセクションの要点

中堅等大規模成長投資補助金は基金2,000億円が措置され、うち1,000億円程度が100億宣言企業向けに確保される見込みです。投資額15億円を境に有利な制度が変わるため、投資総額と実行タイミングの双方から使い分けを検討する必要があります。

締切から逆算した準備の実務ステップ

3次公募の締切は令和8年(2026年)10月29日15時です。本記事執筆時点から約2か月強しかありません。40ページの投資計画書、ローカルベンチマーク、金融機関との調整を並行して進める必要があるため、着手順序を誤ると間に合いません。

時期の目安 実施事項
最優先(即着手) 100億宣言の申請手続(公表まで2〜3週間)、GビズIDプライムの取得(2週間程度)、申請主体の確定(みなし大企業・みなし同一法人の判定)
9月上旬 投資構想の整理と経費区分への振り分け、投資額1億円要件と外注費・専門家経費の上限の確認、公募説明会(9月1日配信)の視聴
9月中旬 設備業者・建設業者からの見積取得開始、5年間の売上高・付加価値額・賃上げ計画の数値設計、様式2および様式3への入力
9月下旬 金融機関との協議開始(確認書の依頼)、投資計画書の骨子確定、9月29日の受付開始に備えたJグランツ上の準備
10月上旬〜中旬 投資計画書の執筆と推敲、数値の平仄チェック(様式1・2・3・決算書)、金融機関確認書の受領
10月下旬 ファイル名の指定形式への変更、容量30MB以内の確認、Jグランツでの申請完了(締切日は避けて数日前に完了させる)

数値の平仄が最も事故を起こしやすい

公募要領には、様式1・様式2・様式3と確定した決算資料の数値の平仄を合わせることが繰り返し記載されています。40ページの投資計画書と、Excelの別紙、ローカルベンチマーク、そして3期分の決算書。これらの間に一箇所でも数値の不整合があれば、書面審査の段階で計画全体の信頼性が疑われます

とくに賃上げ計画の数値は、様式1の記述、様式2の計算、そして交付決定までに従業員へ表明する内容のすべてで一致している必要があります。単位の指定(億円・万円・%)にも注意が必要です。提出前に、複数人による相互チェックの時間を必ず確保することが重要です。

📊 このセクションの要点

締切まで約2か月強のなか、100億宣言とGビズIDの手続は即着手すべき最優先事項です。金融機関との協議は9月下旬までに開始し、提出前には様式1・2・3と決算書の数値の平仄を複数人で確認する時間を確保する必要があります。

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まとめ

ポイント 内容
現行予算では最後の公募 令和7年度補正予算については3次公募をもって終了となる見込み。締切は令和8年10月29日15時
入口手続の所要日数 100億宣言の公表に2〜3週間、GビズIDの取得に2週間程度。いずれも即着手が必要
3次公募の主な変更点 基準年度・最終年度の定義を明文化、新規設立法人の特例を削除、外注費・専門家経費を資産取得に直接必要な経費に限定
採択される計画の特徴 2次公募採択者の中央値は売上高成長率30.5%、付加価値増加率35.0%、売上高投資比率54.7%。企業規模より成長シナリオと投資の思い切りが評価される
経営者自身が語れるか 2次審査は経営者出席が必須で外部コンサルの同席は不可。金融機関確認書の提出率は採択者で100%

中小企業成長加速化補助金は、補助上限5億円という規模の大きさに目が向きがちですが、制度の本質は補助金額ではありません。売上高100億円という目標に向けて、経営者が自らの言葉で語れる成長シナリオを持ち、それを裏付ける投資と賃上げを実行できるかが問われる制度です。審査員の感想に示された「補助金が取れなければ何もしないとなっていないか」という視点は、この制度の性格を端的に表しています。

現行予算での最後の公募となる見込みである以上、投資構想を持つ企業にとっては今回が判断の期限です。準備期間は限られていますが、着手順序を誤らなければ間に合う水準にあります。

よくある質問

Q1.売上高が10億円に届いていない場合、申請できませんか。

A1.売上高10億円以上100億円未満が要件であるため、10億円未満の場合は本補助金の対象外です。公募要領の事業者の範囲に「売上高が10億円以上100億円未満であること」が明記されており、この基準を満たさない場合は形式要件の段階で審査対象となりません。売上高が10億円に届いていない成長段階の企業については、ものづくり補助金、新事業進出補助金、中小企業省力化投資補助金(一般型)といった他の制度を検討することになります。なお、売上高の判定に用いる決算期については、様式1・2・3と提出する決算書の最新決算期を一致させる必要があります。直近決算で一時的に10億円を下回った場合の取扱いなど、判断に迷うケースは事務局への事前確認をおすすめします。

Q2.100億宣言はいつまでに公表されていればよいですか。

A2.補助金の公募の申請時までに、100億宣言ポータルサイトに公表されている必要があります。つまり、Jグランツで申請を行う時点で公表済みでなければなりません。事務局は概要資料のなかで、100億宣言の公表に係る手続には通常2〜3週間を要するため、補助金申請を検討する場合は早めに手続を進めるよう呼びかけています。締切である令和8年(2026年)10月29日から逆算すると、遅くとも10月初旬には宣言手続を完了させておく必要があります。実務上は、申請書類の作成と並行して最優先で着手すべき事項です。なお、リース会社との共同申請を行う場合、リース会社は100億宣言を行う必要はありません。

Q3.投資額1億円には、コンサルティング費用や設計費用も含められますか。

A3.投資額に含められるのは建物費・機械装置費・ソフトウェア費のうち資産計上するものに限られ、外注費と専門家経費は含まれません。したがって、専門家に支払うコンサルティング費用は投資額1億円の判定には算入されません。さらに、外注費と専門家経費の合計額は投資額未満でなければならないという制約もあります。ただし、建物・機械装置・ソフトウェアの設計等を外注し、減価償却資産として資産計上する場合は、外注費ではなく該当する経費区分に計上することとされているため、この場合は投資額に含まれます。設計費用の取扱いは資産計上の可否によって変わるため、税理士や設備業者と早い段階で整理しておくことが重要です。

Q4.老朽化した設備の入れ替えは対象になりますか。

A4.既存の老朽化設備を入れ替えるなど、生産能力等が向上しない投資(更新投資)は認められません。公募要領の補助事業の要件に明記されている内容です。ただし、単なる入れ替えではなく、新設備の導入によって生産能力・生産性・製造可能な品目などが明確に向上する場合は、更新投資には該当しません。判断の分かれ目は、投資前後で何がどれだけ変わるかを定量的に示せるかどうかです。処理能力、歩留まり、リードタイム、対応可能な材質やサイズなど、具体的な指標で向上を説明できる構成にしてください。あわせて、その能力向上が売上高成長率と付加価値増加率にどう結びつくかを一貫した論理で描くことが求められます。

Q5.賃上げ目標は「給与支給総額」と「1人当たり給与支給総額」のどちらを選ぶべきですか。

A5.いずれを選択しても、1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%以上であることは共通の必須条件です。そのうえで、給与支給総額を選択した場合は、給与支給総額の年平均上昇率が応募申請時の目標以上であることも同時に達成する必要があり、条件が2つになります。増員を伴う積極的な成長計画であれば給与支給総額の伸びを示しやすい一方、達成すべき条件が増える点はリスクとして評価すべきです。応募申請時に選択した後の変更はできないため、5年間の採用計画と人件費計画をシミュレーションしたうえで決定してください。2次公募の採択者中央値は、1人当たりが6.5%、総額が17.4%でした。

Q6.金融機関による確認書は必ず提出しなければなりませんか。

A6.提出書類一覧上は「該当者のみ」の書類ですが、2次公募の採択者における提出率は100%でした。審査基準の実現可能性の項目に「金融機関のコミットメントが得られているか」が明示されており、確認書を発行した金融機関が適切に与信管理を行い、将来性・事業性を適切に評価し、成長資金の供給や増加運転資金に対応していく姿勢があるかが評価されます。また、確認書を提出した申請者は、2次審査に当該金融機関の担当者等が同席できるという実務上のメリットもあります。審査員の感想では、金融機関のコメントについてプラス面だけでなく課題面も把握しているかが見られている旨が示されており、形式的な取得では評価につながらない点に注意が必要です。

Q7.申請支援を受けたコンサルタントは、プレゼン審査に同席できますか。

A7.外部コンサルティング会社等のプレゼンテーション審査への同席は認められていません。公募要領には、主たる申請者・共同申請者以外の同席は認められず、外部コンサルティング会社等の関係者が経営顧問などの形で同席することも認められない旨が明記されています。発覚した場合には不採択または交付決定の取消となる場合があるとされており、きわめて厳格な運用です。同席が認められるのは、金融機関による確認書を提出した申請者における当該金融機関の担当者等に限られます。したがって支援者の役割は、経営者が自らの言葉で計画を語れる状態をつくることに集約されます。想定問答の作成と模擬プレゼンによる準備が、支援の実質的な中心になります。

Q8.他の補助金と併願することはできますか。

A8.国が助成する他の制度と重複した交付申請書の提出は原則として認められません。不支給要件にも「国庫及び公的制度からの二重受給となる事業」が挙げられており、補助対象経費の重複に限らず、テーマや事業内容から判断して同一または類似した内容の事業は対象外とされます。判定にあたっては、製品・サービスの内容、製造方法や提供方法、販売する市場や顧客の種類、販売方法等が総合的に勘案されます。これまでに交付決定を受けた、あるいは現在申請している補助金・委託費等の実績は必ず申請書に記載する必要があり、記載がない場合は不採択となる可能性があります。併願・併用について疑問がある場合は、事前に事務局へ相談することが公募要領で案内されています。

Q9.採択された場合、いつから発注や契約ができますか。

A9.交付決定後でなければ発注・契約はできません。交付決定日以前に発注・契約を行った経費は、いかなる事情があっても補助対象になりません。発注先に対して発注意思を書面もしくは口頭で表明する内示行為も「発注」とみなされる点に注意が必要です。3次公募のスケジュールでは、採択結果の公表が令和9年(2027年)3月下旬以降、その後順次交付決定となります。採択決定日から原則2か月以内に交付申請を行う必要があり、間に合わない可能性がある場合はあらかじめ事務局への相談が求められます。連絡がない場合は採択が取り消される可能性もあるため、採択後のスケジュール管理も重要です。支払いは原則として補助事業完了後の精算払いとなります。

Q10.採択後はどのような報告義務がありますか。

A10.補助事業完了後の実績報告に加えて、基準年度の終了後を初回として以降5年間・合計6回の事業化状況および賃金引上げ等の状況報告が義務づけられています。報告は毎事業年度終了後60日以内に行う必要があります。この検査により補助金の返還命令等の指示がなされた場合は、必ず従わなければなりません。また、補助事業関係書類は事業終了後5年間の保存義務があり、会計検査院等による実地検査が実施される可能性もあります。取得財産のうち単価50万円(税抜)以上の機械等については処分制限がかかり、処分制限期間内に譲渡・貸付け・担保提供・廃棄等を行う場合は事前に事務局の承認が必要です。5億円規模の補助金は、受給後も長期にわたる管理体制を前提とした制度であると理解しておく必要があります。

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現行予算では最後の公募。締切まで約2か月という短期決戦です

壱市コンサルティングは、認定経営革新等支援機関・中小企業診断士として、補助金申請支援において累計100件超・15億円超の採択実績を有しています。中小企業成長加速化補助金は、40ページの投資計画書、ローカルベンチマーク、金融機関との調整を短期間で並行して進める必要がある制度です。着手順序の設計から、経営者ご自身がプレゼンで語れる状態づくりまでを一貫して支援します。

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