【2026年10月】建設業が使える補助金|工務店・設備工事・専門工事業の制度の選び方と重機・車両の確認点
工務店、設備工事、専門工事業の経営者から、「建設業が使える補助金はどれか」というご相談が増えています。人手不足と時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)を受けて、機械やソフトへの投資を考える会社が増えているためです。
結論から言えば、建設業だけの専用の補助金は基本的にありません。 設備、ソフト、販路、承継といった投資の目的ごとに、業種を問わない制度から選ぶのが実務です。
補助金は公募の回ごとに条件も日程も変わります。そのため本記事は、2026年10月時点の公式情報にもとづく整理であり、締切を前面に出さず、時間がたっても使える「選び方」を中心に書いています。
本記事では、建設業の目線で、使える制度の全体像、制度ごとの中身、車両・重機・工具の考え方、悩み別の選び方を整理します。
建設業の投資は「目的」で分ける
建設業の投資を目的別に分けると、使える制度は次のように整理できます。これは壱市コンサルティングの整理であり、公式の区分ではありません。
| 投資の目的 | 使える制度 |
|---|---|
| 設備(重機・測量・ICT) | 省力化投資補助金 |
| ソフト(施工管理・見積原価) | デジタル化・AI導入補助金 |
| 販路(ホームページ・看板) | 小規模事業者持続化補助金 |
| 承継(建設業許可) | 事業承継・M&A補助金 |
| 大きな新事業 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
住宅分野の「みらいエコ住宅」と、厚生労働省の「助成金」は、会社が設備を買う補助金とは性格が異なります。この2つは後半で区別して説明します。
📊 このセクションの要点
建設業専用の補助金は基本的になく、設備・ソフト・販路・承継・新事業という投資の目的から制度を選びます。
省力化投資補助金(一般型):設備投資の中心
建設業の設備投資で最初に検討する制度が、中小企業省力化投資補助金の一般型です。第8回公募要領の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 中小企業 1/2、小規模事業者等 2/3 |
| 補助上限 | 従業員数で変わる(750万円〜8,000万円。賃上げの特例でさらに上がる) |
| 向く投資 | 自社の工程に合わせて個別に設計した設備・システム |
| 建設業の例(参考) | ICT対応の油圧ショベル、ドローン・レーザー測量、鉄筋加工の自動化 |
建設業の例は、二次情報にもとづく参考の事例です。重機だから対象、対象外と一律には決まりません。 省力化の中身を、自社の工程に合わせて説明できるかどうかが論点になります。
建設業は採択全体の約1割から2割を占める
公式の採択結果概要で、建設業が採択全体に占める割合は次のとおりです。製造業に次ぐ2位で、この制度で採択されている中心の業種のひとつです。
| 公募回 | 建設業が採択全体に占める割合 |
|---|---|
| 第1回 | 11.3% |
| 第5回 | 17.7% |
| 第6回 | 14.6% |
注意
これは採択全体に占める建設業の割合であり、建設業だけの採択率ではありません。建設業に限った採択率は、公式には示されていません。なお、第6回の採択率は全体で63.9%(申請1,841件に対し採択1,176件)です。
カタログ注文型にある建設向けの製品
省力化には、国が省力化の効果を認めた製品から選ぶ「カタログ注文型」もあります。カタログには、建設に関係する次の製品が掲載されています。
| 用途 | カタログの製品名 |
|---|---|
| 測量 | トータルステーション、GNSS測量機、3Dレーザースキャナ |
| 墨出し | 墨出しロボット |
| 重機 | マシンコントロール・マシンガイダンス付きショベル |
| 鉄筋 | 鉄筋組立ロボット |
補足
カタログ注文型の現在の補助率・上限額・受付状況は、本記事では確認できていません。最新の内容は公式サイトでご確認ください。
📊 このセクションの要点
省力化投資補助金は建設業の採択も多い制度ですが、重機だから対象とは言い切れません。 工程に合わせた省力化の説明が鍵になります。
車両・重機・工具の扱いは公募要領で確認する
建設業の経営者が最も気にするのが、車両・重機・工具の扱いです。車両や土地建物は対象外になりやすいと言われますが、これも公募要領で確認が必要です。重機・工具は、制度ごと、回ごとに扱いが変わり得るため、本記事では断定しません。
注意
買う前に、必ず最新の公募要領の「対象経費」の欄で、対象になるかを確認してください。迷う場合は、事務局や専門家に事前に相談することをおすすめします。
📊 このセクションの要点
車両・重機・工具の扱いは制度と回で変わります。発注の前に、公募要領で確認することが原則です。
デジタル化・AI導入補助金:施工管理・原価・受発注のソフト
施工管理や原価管理のソフトには、デジタル化・AI導入補助金が使えます。2026年の通常枠の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2(最低賃金に近い事業者は2/3) |
| 補助額 | 5万円以上150万円未満、または150万円以上450万円以下 |
| 対象 | 施工管理、見積・原価管理、受発注、会計などのソフト・クラウド |
| 注意 | 登録されたITツールから選ぶことが前提。パソコン等のハードは通常枠では原則対象外 |
国土交通省も、施工管理ソフトの利用料が対象になり得ると周知しています。この制度は今後見直される見通しがあるとの情報もあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。
📊 このセクションの要点
施工管理や原価管理のソフトは、登録ITツールから選ぶデジタル化・AI導入補助金の領域です。
小規模事業者持続化補助金:ホームページ・看板・チラシ
ホームページ、看板、チラシなど、販路を広げる取り組みには小規模事業者持続化補助金が使えます。第20回公募要領の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 建設業は「製造業その他」の区分にあたるとされ、従業員は 20人以下 が目安 |
| 補助率 | 2/3 |
| 補助上限 | 50万円(インボイス特例・賃金引上げ特例などを使うと最大200万円) |
| 使い道 | ホームページ、看板、チラシなどの販路開拓 |
商工会議所などの支援を受けて計画を作るのが基本です。従業員数の区分に自社が当てはまるか、車両や工具が対象経費になるかは、公募要領で確認が必要です。建設業だけの採択率は、公式には示されていません。
📊 このセクションの要点
持続化補助金は販路開拓向けです。建設業の区分と対象経費は公募要領で確認します。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:大きな新事業
新しい市場に向けた大きな事業には、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金があります。3つの枠の上限は次のとおりです。
| 枠 | 補助上限 | (特例) |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 2,500万円 | 3,500万円 |
| 新事業進出枠 | 7,000万円 | 9,000万円 |
| グローバル枠 | 7,000万円 | 9,000万円 |
見られるのは、これまでの工事の延長ではなく、新しい市場に向けた事業かどうかという点です。ただし、建設業がどう扱われるかは枠ごとの要件を公募要領で確認する必要があり、本記事では建設業の具体例を断言しません。
📊 このセクションの要点
大型の新事業向けの制度です。建設業の扱いは公募要領で確認し、具体例は断定しません。
建設業許可の承継と事業承継・M&A補助金
建設業では、代替わりのときに許可をどう引き継ぐかが重要です。国土交通省によると、次の取扱いがあります。
| 承継の形 | 許可の取扱い |
|---|---|
| 事業譲渡・合併・分割 | 2020年10月から、事前に認可を受ける制度 |
| 相続 | 死亡後30日以内に認可を受ければ、許可の空白なく承継できる |
こうした承継に関わる費用には、事業承継・M&A補助金があります。補助率や対象費用は、公募要領で確認してください。
📊 このセクションの要点
許可の承継は事前の認可(相続は30日以内)がポイントです。費用面は事業承継・M&A補助金を確認します。
みらいエコ住宅と助成金は、補助金とは別に区別する
みらいエコ住宅:施主の補助を事業者が代行する制度
みらいエコ住宅2026は、施主が受け取る補助を、事業者が登録して代行する制度です。会社自身が設備を買うための補助金とは別物で、工務店は施主に案内する立場になります。事業者としての登録要件は公式サイトでご確認ください。
助成金:補助金とは別の制度
助成金は補助金とは別の制度で、窓口も要件も異なります。建設分野には、人材確保等支援助成金(建設分野)や、人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)があります。要件や金額は、窓口で必ず確認してください。
📊 このセクションの要点
みらいエコ住宅は施主の補助の代行、助成金は補助金とは別制度です。混同しないことが重要です。
経費の考え方と、申請の前に確認すること
| 区分 | 考え方 |
|---|---|
| 対象になりやすい | 事業の目的に直結する機器・ソフト・広報 |
| 確認が必要 | 重機・車両・工具(制度ごとに異なる) |
| 対象外になりやすい | パソコン等の汎用品、家賃・光熱費などの日々の経費、取替えだけの投資 |
| 発注の順番 | 交付決定の前の発注・支払いは、多くの補助金で対象外 |
申請の前には、次の4点を確認します。対象者の条件(従業員数・業種の区分)、対象経費(買うものが入っているか)、公募の回(条件は回ごとに変わる)、相談先(事務局・商工会議所・専門家)です。
📊 このセクションの要点
経費は目的に直結するかで考え、交付決定の前に発注しないことを守ります。
会社の悩み別・制度の選び方
| 会社の悩み | 検討する制度 |
|---|---|
| 重機・測量・ICTを入れたい | 省力化投資補助金 |
| 施工管理・原価をIT化したい | デジタル化・AI導入補助金 |
| ホームページ・看板で受注を増やしたい | 小規模事業者持続化補助金 |
| 許可を含めて代替わりしたい | 事業承継・M&A補助金 |
| 新しい分野に出る大きな事業 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
この表は壱市コンサルティングの目安であり、公式の区分ではありません。最終的には各制度の窓口で確認してください。
まとめ:会社の投資の目的に合わせて制度を選ぶ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 1.専用の補助金はない | 設備・ソフト・販路・承継・新事業の目的から選ぶ |
| 2.公式の数字は限られる | 建設業の採択割合が公式に出ているのは省力化(一般型)のみ(第6回14.6%)。建設業だけの採択率ではない |
| 3.車両・重機・工具 | 制度と回で扱いが異なる。公募要領で確認 |
| 4.別制度の区別 | みらいエコ住宅は施主の補助の代行、助成金は補助金とは別 |
| 5.最新の回で確認 | 条件や日程は回ごとに変わる。公式サイトで確認 |
よくある質問(Q&A)
Q1.建設業専用の補助金はありますか。
A1.基本的にありません。今回整理した制度はいずれも業種を問わない制度で、建設業は投資の目的に応じて選びます。設備なら省力化投資補助金、ソフトならデジタル化・AI導入補助金、販路なら持続化補助金、代替わりなら事業承継・M&A補助金が候補になります。
Q2.重機は補助金の対象になりますか。
A2.重機だから対象、対象外とは一律に言えません。省力化投資補助金(一般型)では、ICT対応の油圧ショベルなどが二次情報で例として挙げられていますが、扱いは制度と回で変わり得ます。自社の工程でどう省力化するかを説明できるか、また対象経費に入るかを、最新の公募要領で確認してください。
Q3.車両や工具は対象になりますか。
A3.本記事では断定できません。車両や土地建物は対象外になりやすいと言われていますが、制度ごと、回ごとに異なります。発注の前に公募要領の対象経費の欄で確認し、不明な点は事務局や専門家に相談してください。
Q4.建設業の採択率はどのくらいですか。
A4.建設業だけの採択率は、公式には示されていません。公式に確認できるのは、省力化投資補助金(一般型)で建設業が採択全体に占める割合のみです。第1回11.3%、第5回17.7%、第6回14.6%で、製造業に次ぐ2位でした。これは採択全体に占める割合であり、建設業の採択率ではありません。
Q5.施工管理ソフトの費用は補助対象になりますか。
A5.対象になり得ます。国土交通省も、施工管理ソフトの利用料がデジタル化・AI導入補助金の対象になり得ると周知しています。ただし、事務局に登録されたITツールから選ぶことが前提で、パソコンなどのハードは通常枠では原則対象外です。
Q6.持続化補助金は従業員何人まで使えますか。
A6.建設業は従業員20人以下が目安です。建設業は「製造業その他」の区分にあたるとされ、従業員20人以下が目安とされています。自社が当てはまるかは、公募要領で確認してください。補助率は2/3、上限は50万円で、特例を使うと最大200万円です。
Q7.新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は建設業でも使えますか。
A7.建設業の扱いは枠ごとの要件で確認が必要です。本記事では建設業の具体例を断言していません。3つの枠ごとに要件が異なるため、公式サイトの公募要領で、自社の事業が要件に当てはまるかを確認してください。
Q8.建設業許可は、代替わりのときにどうなりますか。
A8.事業譲渡・合併・分割は事前の認可、相続は30日以内の認可で、許可の空白なく承継できます。国土交通省によると、2020年10月から、事業譲渡・合併・分割は事前に認可を受ける制度になりました。相続の場合は、死亡後30日以内に認可を受ければ、許可の空白なく承継できます。
Q9.みらいエコ住宅は、工務店が使える補助金ですか。
A9.事業者自身の補助金ではありません。みらいエコ住宅は、施主が受け取る補助を、事業者が登録して代行する制度です。会社が設備を買うための補助金とは別物ですので、事業者としての登録要件などは公式サイトで確認してください。
Q10.助成金は補助金と何が違いますか。
A10.助成金は補助金とは別の制度で、窓口も要件も異なります。建設分野では、人材確保等支援助成金(建設分野)や、人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)があります。要件や金額は本記事では扱っていないため、窓口で必ず確認してください。
建設業の補助金のご相談は壱市コンサルティングへ
建設業の投資に、どの制度が合うかを一緒に整理します
建設業は、設備・ソフト・販路・承継と、投資の目的が幅広い業種です。壱市コンサルティングでは、中小企業診断士として、自社に合う制度の選び方から計画づくりまで支援しています。
📋 制度の選定と計画づくり
投資の目的に合う制度を整理し、公募要領の要件と照らして、申請の可否を一緒に確認します。
🤝 公募要領の確認と伴走
車両・重機・工具の扱いなど、判断に迷う点を公募要領で確認しながら進めます。
補助金は、発注の前の準備が結果を左右します。早めのご相談が安心です。
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください
- ✅ 自社の重機・ICT投資が対象になるか知りたい
- ✅ 施工管理や原価管理をIT化したい
- ✅ 代替わりに合わせて許可の承継と補助金を整理したい
本記事は2026年10月時点の公式情報にもとづく解説です。制度の内容や日程は変更される場合がありますので、申請の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
