【令和8年(2026年)】中小企業省力化投資補助金(一般型)第7回公募の変更点を徹底解説|対象者拡大・要件厳格化・加点新設

中小企業省力化投資補助金(一般型)の第7回公募が動き出しました。今回の公募要領(令和8年・2026年6月版)は、これまでの公募と比べて変更点が大きいことが特徴です。支援対象を新たな分野へ広げる一方で、不正行為や法令違反に対する基準を厳格化し、支援機関の活用を促す方向へと制度が明確にアップデートされています。

本制度は、人手不足に悩む中小企業等がIoT・ロボット・AI等を活用したオーダーメイド設備を導入する際の費用を補助するもので、最大1億円という大型の補助が受けられる点が魅力です。第7回では「歯科医業を営む医療法人」が新たに対象者へ追加されたほか、補助対象外経費の明確化、加点項目の新設など、申請前に必ず押さえておくべき改定が複数あります。

本記事では、第6回から第7回への変更点を中心に、制度の基本スペック・採択率の推移・申請戦略までを網羅的に整理しています。これから申請を検討する経営者の方はもちろん、すでに過去回で申請経験のある方、支援に携わる士業・同業の方にも参考になります。

第7回公募の全体像と基本スペック

まず、変更点の前提として第7回公募の基本的な枠組みを確認します。本制度は中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しし、賃上げにつなげることを目的とした制度です。製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」とは異なり、一般型は事業者の業務に合わせて設計・開発されたオーダーメイド設備の導入を支援する点が核心です。

補助上限額と補助率

従業員数 補助上限額(通常) 大幅賃上げ特例適用時
5人以下 750万円 1,000万円
6〜20人 1,500万円 2,000万円
21〜50人 3,000万円 4,000万円
51〜100人 5,000万円 6,500万円
101人以上 8,000万円 1億円

補助率は中小企業が原則1/2(最低賃金引き上げ特例適用時は2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が2/3です。事業実施期間は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)と定められています。

POINT
機械装置・システム構築費は単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須です。運搬費・技術導入費・外注費・専門家経費・クラウドサービス利用費など、機械装置・システム構築費以外の経費は総額500万円(税抜)までが補助上限となります。

満たすべき基本要件

3〜5年の事業計画期間において、以下の要件を全て満たす計画の策定が求められます。

  • 労働生産性の年平均成長率(CAGR)を+4.0%以上向上させること
  • 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上増加させること
  • 事業場内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とすること
  • 従業員21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表すること

これらに加え、省力化指数の算出・投資回収期間の根拠提出・付加価値額の増加・オーダーメイド設備の導入という要件も求められます。

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変更点①|補助対象者の拡大(歯科医業を営む医療法人を追加)

第7回公募における最も注目すべき変更点が、補助対象者への「歯科医業を営む医療法人」の追加です。これまで医療法人は原則として対象外でしたが、第7回からは一定要件を満たす歯科医業を営む医療法人が申請できるようになりました。

対象となるのは、次の要件を全て満たす法人です。

  • 医療法第44条に規定する都道府県知事の認可を受け設立されている法人であること
  • 従業員数が300人以下であること

これに伴い、提出書類にも「歯科医業を営む医療法人の場合」として、上記要件に該当することを確認できる書類が追加されました。歯科医院は受付・予約管理・口腔内スキャナ・CAD/CAM等のデジタル化余地が大きく、人手不足対策としての省力化投資との親和性が高い分野です。これまで対象外だった歯科分野の医療法人にとっては、本制度を活用できる初めての機会となります。

補足
歯科医業を営む医療法人以外の医療法人(一般の医科)は引き続き対象外です。また、特定非営利活動法人・社会福祉法人については従来どおり所定の要件を満たす場合に対象となります。自院が対象に該当するかは、医療法人の形態と認可状況を必ず確認してください。

変更点②|補助対象外となる事業者の要件厳格化

コンプライアンスの観点から、補助対象外となる事業者の規定が複数変更・追加されました。近年の補助金行政全体に共通する「不正の排除」「審査の厳格化」の流れが、本制度にも明確に反映されています。

反社会的勢力への対応の明確化

第6回までは「暴力団又は暴力団員と関係がある事業者」という規定でしたが、第7回では「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に規定する反社会的勢力に該当する事業者が明記されました。対象範囲が暴力団に限定されず、反社会的勢力全般へと広がっています。

法令違反に関する対象期間の拡大

第6回では「過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けた事業者」という限定的な規定でしたが、第7回では「本補助金の公募開始日から5年前の日以降に、補助事業に関連する法令違反があった事業者」へと変更されました。対象期間が1年から5年へと大幅に延び、対象となる法令の範囲も労働関係法令に限定されず「補助事業に関連する法令」全般へと広がっています。

不正受給者の排除を明記

第7回から新たに、「経済産業省又は中小機構が所管する補助金又は給付金等において不正を行った事業者」は対象外とすることが明記されました。これは、コロナ禍以降に問題となった各種給付金・補助金の不正受給を強く意識した規定であり、過去の不正歴が本制度の申請可否に直結する形になっています。

注意
これらの厳格化により、過去の法令違反・不正歴がある事業者は申請段階で対象外となるリスクが高まりました。申請前に自社の過去の補助金・給付金の受給履歴や法令遵守状況を必ず確認してください。虚偽の申請が判明した場合、不採択・採択取消・補助金返還に加え、事業者名・代表者名を含む不正内容が公表される可能性があります。

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変更点③|補助対象外経費の追加と明確化

経費の取り扱いについても、対象外となる範囲がより明確に整理されました。これは申請時の経費計上ミスを防ぐ意味でも重要な改定です。

他者が利用する設備の除外を追加

第7回では「専ら申請者自身ではない他者が利用するシステム及び設備の開発・導入費用」が補助対象外として新たに追加されました。本制度は申請者自身の省力化を支援するものであり、第三者に提供・販売・賃貸することを前提とした設備は対象とならないという原則が、より明確に示された形です。

汎用品の例外規定を明記

事務用のパソコン・スマートフォン・タブレット・家具などの「汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費」は引き続き対象外ですが、第7回では「本事業でのみ使用が可能なものを除く」という例外規定が明確に追記されました。これにより、見た目は汎用品であっても本事業専用としてしか使えない構成の場合は、対象となる余地があることが示されています。

補足
汎用設備やパッケージソフトを単体で導入する事業は対象外ですが、複数を組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合は対象となります。「オーダーメイド性をどう説明するか」が経費区分の判断における最重要ポイントです。

変更点④|審査における加点項目の追加・更新

採択率が高いとはいえ、僅差で採否が分かれる場面では加点項目が決定的な意味を持ちます。第7回では加点項目に重要な追加・更新が行われました。

生産性向上支援センター利用加点の新設

第7回より、新たに設置された「生産性向上支援センター」(全国47都道府県のよろず支援拠点内に2026年4月1日設置)の支援を受けて「生産性向上取組計画書」の作成を完了し、応募申請時に同計画書を提出した事業者に対する加点が新設されました。公的支援機関を活用した計画づくりが、そのまま加点につながる仕組みです。

省力化ナビ加点の本格運用

第6回では公開予定とされていた中小機構の「省力化ナビ」について、第7回では具体的なURLが明記され、本格的な運用を前提とした記載になりました。応募申請締切日までに省力化ナビを活用し、申請に用いるGビズIDプライムを入力することが加点の条件です。

第7回の加点項目一覧

加点項目 概要
事業承継・M&A 過去3年以内に事業承継により経営資源を引き継いだ事業者
事業継続力強化計画 有効な計画(連携型含む)の認定を取得している事業者
成長加速マッチングサービス 会員登録し挑戦課題を登録している事業者
地域別最低賃金引き上げ 所定期間に対象賃金帯で雇用する従業員が一定割合以上の事業者
事業場内最低賃金引き上げ 全国目安額(63円)以上の賃上げを行った事業者
えるぼし/くるみん 女性活躍推進法・次世代法に基づく認定を受けている事業者
省力化ナビ 応募締切日までに省力化ナビを活用し生産性向上の知見を確認
健康経営優良法人 健康経営優良法人2026に認定されている事業者
生産性向上支援センター利用(新設) 支援を受けて「生産性向上取組計画書」を作成・提出した事業者

なお減点項目として、賃上げ加点を受けて採択されながら要件未達となった場合の減点措置や、類似テーマへの申請集中による過剰投資抑制のための減点が引き続き設けられています。

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変更点⑤|賃金台帳の提出範囲の変更

細かな点ですが実務上重要な変更として、交付申請時に提出する「全従業員分の賃金台帳」について、提出範囲の表記が変わりました。第6回の「応募申請の直近決算月分」から、第7回では「応募申請の直近決算期分」へと変更されています。1か月分ではなく1事業年度分(決算期分)の賃金台帳が求められる形になり、準備すべき書類のボリュームが増えています。交付申請の段階で慌てないよう、早めに賃金台帳の整理を進めておくことが重要です。

採択率の推移と第7回の見通し

省力化投資補助金(一般型)の採択率は、これまで一貫して高い水準を維持しています。中小機構が公表する採択結果(第1回〜第4回)は以下のとおりです。

公募回 申請数 採択数 採択率
第1回 1,809件 1,240件 約68.5%
第2回 1,160件 707件 約61.0%
第3回 2,775件 1,854件 約66.8%
第4回 2,100件 1,456件 約69.3%

採択率は一貫して60%台後半を維持しており、ものづくり補助金(直近で約3割)や新事業進出補助金(同4割前後)と比べても際立って高い水準です。これは、人手不足対策としての省力化投資を国が強力に後押ししている姿勢の表れと整理されます。第5回についても採択発表が行われており、最新の採択結果は中小機構の公式サイトで確認できます。

注意
採択率が高いことは、要件を満たしていなくても採択されることを意味しません。第3回では申請数が前回比で2倍以上に急増しており、注目度の高まりとともに今後は審査の厳格化や採択率低下が起こりうる点に留意が必要です。第7回では要件厳格化も進んでおり、「採択率が高いから簡単」という認識は禁物です。

第7回で押さえるべき申請戦略

変更点を踏まえると、第7回で採択を勝ち取るために重視すべきポイントは次の3点に整理されます。

オーダーメイド性の説明を磨く

本制度の核心は、汎用設備の単体導入ではなく、自社の業務に合わせて設計・開発された専用設備の導入です。「なぜこの設備でなければ自社の課題が解決できないのか」「省力化指数・投資回収期間・付加価値額がどう向上するのか」を、根拠資料とともに具体的かつ詳細に示すことが採択の分かれ目になります。

加点項目を早期から積み上げる

事業継続力強化計画の認定や省力化ナビの活用、新設された生産性向上支援センターの利用は、いずれも事前準備に時間を要します。応募締切間際では間に合わないため、早い段階で取得・活用に着手することが賢明です。

口頭審査への備え

ソフトウェア投資やシステム開発等を中心に、書面では計画の詳細を把握しにくい案件には口頭審査(オンライン・1事業者30分程度)が実施されます。審査には申請事業者自身(法人代表者等)が対応する必要があり、事業計画書作成支援者やコンサルタントの代理対応は一切認められません。経営者自身が計画の中身を語れる状態にしておくことが不可欠です。

まとめ|第7回公募の5つのポイント

ポイント 内容
① 対象者が拡大 歯科医業を営む医療法人(従業員300人以下)が新たに対象に追加された。
② 要件が厳格化 反社対応の明確化、法令違反の対象期間を5年に拡大、不正受給者の排除を明記。
③ 経費区分が明確化 他者利用設備を対象外に追加、汎用品の例外規定を明記。
④ 加点が新設・更新 生産性向上支援センター利用加点を新設、省力化ナビを本格運用。
⑤ 提出書類が増加 賃金台帳が「直近決算月分」から「直近決算期分」へ変更され、準備負担が増加。

総じて第7回公募は、支援対象を歯科分野へ広げる一方で、不正行為や法令違反への基準を厳格化し、公的支援機関の活用を促す方向へ制度がアップデートされたと整理できます。採択率は依然として高水準ですが、要件の厳格化が進んだ今、入念な準備こそが採択への近道です。

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よくある質問(Q&A)

Q1.第7回公募の最大の変更点は何ですか?
A1.最も大きな変更点は補助対象者の拡大です。第7回から「歯科医業を営む医療法人」(医療法第44条の認可を受け、従業員300人以下)が新たに対象に追加されました。これまで対象外だった歯科分野の医療法人が、初めて本制度を活用できるようになった点は大きな意味を持ちます。あわせて、補助対象外事業者の要件厳格化、補助対象外経費の明確化、加点項目の新設という改定も行われており、申請前に必ず確認すべき内容です。
Q2.補助上限額と補助率はどのくらいですか?
A2.補助上限額は従業員数に応じて750万円から8,000万円(大幅賃上げ特例適用時は最大1億円)まで設定されています。補助率は中小企業が原則1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が2/3です。中小企業でも最低賃金引き上げ特例を適用すれば補助率が2/3に引き上げられます。大型の設備投資を計画する中小企業にとって、現行制度のなかでも特に手厚い支援内容と整理できます。
Q3.採択率はどのくらいですか?
A3.中小機構が公表する第1回〜第4回の採択率は約61〜69%で、一貫して60%台後半を維持しています。ものづくり補助金(約3割)や新事業進出補助金(4割前後)と比較しても際立って高い水準です。ただし、第3回で申請数が前回比2倍以上に急増したように注目度は高まっており、今後は審査の厳格化や採択率の低下も想定されます。高採択率に油断せず、要件を満たす計画づくりが重要です。
Q4.歯科以外の医療法人も対象になりますか?
A4.対象となるのは「歯科医業を営む医療法人」に限られます。一般の医科を営む医療法人は引き続き対象外です。歯科医業を営む医療法人であっても、医療法第44条に基づく都道府県知事の認可を受け設立されていること、従業員数が300人以下であることという要件を満たす必要があります。自院が対象に該当するか不明な場合は、認定経営革新等支援機関に相談することをおすすめします。
Q5.汎用設備やパッケージソフトは対象になりますか?
A5.汎用設備やパッケージソフトを単体で導入する事業は対象外です。ただし、複数を組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合や、事業者の導入環境に応じて周辺機器・機能等が変わる場合は、オーダーメイド設備とみなされ対象となります。第7回では「本事業でのみ使用が可能なものを除く」という例外規定も明記されました。経費区分の判断では「オーダーメイド性をどう説明するか」が最重要となります。
Q6.過去に法令違反があると申請できませんか?
A6.第7回では「本補助金の公募開始日から5年前の日以降に、補助事業に関連する法令違反があった事業者」が対象外と規定されました。第6回までは過去1年・労働関係法令に限定されていましたが、対象期間が5年へ拡大し、対象法令も補助事業に関連する法令全般へ広がっています。あわせて、経済産業省・中小機構所管の補助金や給付金で不正を行った事業者も対象外と明記されました。申請前に自社の法令遵守状況と過去の受給履歴を必ず確認してください。
Q7.加点を取るには何から準備すればよいですか?
A7.第7回で新設された生産性向上支援センター利用加点や、事業継続力強化計画の認定、省力化ナビの活用は、いずれも事前準備に時間を要します。とくに生産性向上支援センターは2026年4月によろず支援拠点内へ設置されたばかりで、支援を受けて「生産性向上取組計画書」を完成させるには余裕を持った着手が必要です。応募締切間際では間に合わないため、申請を決めた段階で加点項目の取得・活用に動き出すことが賢明です。
Q8.他の補助金と併用できますか?
A8.国(独立行政法人等を含む)が助成する制度と補助対象経費が重複する事業は対象になりません。同一事業を複数の補助金に同時に応募し、複数で採択された場合は、交付を受ける補助金を一つだけ選択する必要があります。過去・現在に交付決定を受けた、または申請中の補助金・委託費の実績は応募申請時に必ず入力してください。記載漏れは申請にかかる虚偽として不採択の対象となります。デジタル化・AI導入補助金など他制度との使い分けは、対象経費が重複しない設計が前提です。
Q9.口頭審査では誰が対応する必要がありますか?
A9.口頭審査はソフトウェア投資やシステム開発等を中心に実施され、オンライン(Zoom等)で1事業者あたり30分程度行われます。審査には申請事業者自身(個人事業主本人・法人代表者・役員)が対応する必要があり、事業計画書作成支援者やコンサルタント、社外顧問の対応・同席は一切認められません。役員または申請担当者1名のみ同席が認められます。経営者自身が計画の中身を自分の言葉で説明できる状態にしておくことが不可欠です。
Q10.申請準備で最初にやるべきことは何ですか?
A10.まずGビズIDプライムアカウントの取得です。発行には一定期間を要するため、未取得の方は最優先で手続きを進めてください。並行して、自社の人手不足の課題を整理し、どの業務をどの設備で省力化するか、その効果(省力化指数・投資回収期間・付加価値額)をどう示すかを検討します。設備の参考見積書やカタログの収集、賃金台帳(直近決算期分)の整理も早めに着手すべきです。要件厳格化が進んだ第7回では、計画の質と準備の早さが採択を左右します。

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※本記事は中小企業省力化投資補助事業(一般型)第7回公募要領(2026年6月・独立行政法人中小企業基盤整備機構)および中小機構公表の採択結果に基づき作成しています。制度内容・申請期間は変更される場合がありますので、申請にあたっては必ず公式の最新情報をご確認ください。

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