【令和8年(2026年)最新】健康経営優良法人と東京都「銀の認定」とは?中小企業の取得要件を徹底解説
人材確保や企業イメージの向上を目的に、近年「健康経営優良法人」の認定を目指す中小企業が急速に増えています。経済産業省が定め、日本健康会議が認定するこの制度は、令和8年(2026年)の認定で中小規模法人部門だけでも23,085法人が選ばれるなど、いまや経営戦略の一つとして定着しつつあります。
ところが、東京都内の中小企業が「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」を申請する場合には、全国共通の手続きに加えて「健康優良企業(銀の認定)」を取得していることが必須条件となります。これは東京都が独自に「健康優良企業」認定制度を先行実施してきた経緯によるもので、東京都内の事業所に特有の要件です。この点を知らずに申請しようとして、想定外に時間がかかってしまう経営者が少なくありません。
本記事では、健康経営優良法人認定制度の全体像から、東京都内の中小企業に固有の「銀の認定」要件、その取得手順とスケジュール、活用メリットまでを網羅的に整理します。これから認定取得を検討している経営者の方はもちろん、人事・総務の実務担当者の方にも参考になります。
健康経営優良法人認定制度とは何か
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。経済産業省が制度を所管し、日本健康会議が認定主体となっています。平成29年度(2017年度)に始まり、年々認定法人数を増やしてきました。
ここでいう「健康経営」とは、従業員の健康管理や健康づくりを単なる福利厚生ではなく、経営的な視点でとらえ、戦略的に実践する考え方を指します。従業員の健康増進にかかる支出を「コスト」ではなく「投資」と位置づける発想がその根幹をなします。背景には、少子化による生産年齢人口の減少、深刻な人手不足、国民医療費の増加といった構造的な課題があります。
POINT 健康経営優良法人の認定は、自社の健康への取り組みを「見える化」し、従業員・求職者・取引先・金融機関といった外部のステークホルダーから社会的な評価を受けるための仕組みです。認定マークは名刺や求人案内、自社サイトに掲示することができます。
大規模法人部門と中小規模法人部門の違い
健康経営優良法人は、企業規模に応じて「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つに分かれています。それぞれの部門で、上位法人には特別な冠が付与されます。自社がどちらの部門に該当するかによって、申請の方法も要件も大きく異なる点に注意が必要です。
| 区分 | 大規模法人部門 | 中小規模法人部門 |
|---|---|---|
| 対象規模の目安 | 従業員おおむね1,001人以上 | 従業員おおむね1,000人以下 |
| 上位法人の冠 | 上位500社「ホワイト500」 | 上位500社「ブライト500」/501〜1,500位「ネクストブライト1000」 |
| 申請の起点 | 「健康経営度調査」への回答 | 加入する保険者の「健康宣言事業」への参加 |
| 東京都内での銀の認定 | 必須条件ではない | 必須条件(健康優良企業 銀の認定) |
経済産業省の公表によれば、健康経営優良法人2026では、大規模法人部門に3,765法人、中小規模法人部門に23,085法人が認定されています(令和8年(2026年)3月9日現在)。中小規模法人部門の裾野が圧倒的に広いことがわかります。本記事の主題である「銀の認定」が関わるのは、このうち東京都内に所在する中小規模法人部門の事業所です。
東京都内の中小企業に固有の要件「銀の認定」とは
ここが本記事の核心です。中小規模法人部門に該当する事業所が健康経営優良法人を申請する場合、全国共通のルールとして、加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合連合会の各都道府県支部など)が実施する「健康宣言事業」に参加していることが前提となります。
そのうえで東京都内の事業所には、追加の条件があります。東京都においては「健康優良企業」認定制度を平成27年(2015年)12月から先行実施していることから、健康企業宣言を宣言・取り組んでいることに加え、「健康優良企業(銀の認定)」を受けていることが、健康経営優良法人の申請の必要条件となります。これは協会けんぽ東京支部が公式に案内している、東京都内に固有の取り扱いです。
「健康企業宣言」と「銀の認定」の位置づけ
「健康企業宣言」は、健康企業宣言東京推進協議会が運営する取組みで、会長には東京都知事が選出されています。この協議会は、東京都内の中小企業による健康経営・健康づくりを支援・普及・促進し、取り組む事業所を「健康優良企業」として認定することを目的に、参加機関が連携して推進しているものです。
健康企業宣言にエントリーした事業所には「宣言の証」が送付されます。さらに健康づくりに取り組み、一定の成果を上げて認定を受けた事業所には「健康優良企業認定証(銀の認定証)」が交付され、「健康優良企業ロゴマーク」が付与されます。このロゴマークは名刺や求人案内などに利用することができます。この「銀の認定」が、東京都内の中小企業にとって健康経営優良法人申請の入口になるという構造です。
注意 「銀の認定」が必須となるのは、あくまで中小規模法人部門に申請する事業所です。大規模法人部門に申請する事業所については、銀の認定を受けていることは申請の必要条件ではなく、「健康経営度調査」への回答を起点とした手続きになります。自社がどちらの部門に該当するかを最初に確認することが重要です。
銀の認定を取得するまでの流れ
銀の認定を受けるためには、健康企業宣言の「STEP1」に応募し、実際に取り組みを実践したうえで、定められた書類を提出して審査を受ける必要があります。協会けんぽ東京支部に加入している事業所の場合、流れは次のように整理できます。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP1宣言 | 健康企業宣言システムから新規事業所登録を行い、「健康企業宣言(申込)STEP1」を入力する。承認されると「宣言の証」が交付される。 |
| 取組み実践 | 健診の受診・受診後の保健指導・健康づくり環境の整備など、宣言した項目に概ね6か月以上取り組む。 |
| レポート提出 | 「実施結果レポート」と、概ね6か月以上取り組んだことがわかる実績資料等を協会けんぽ東京支部に提出する。 |
| 審査・評価 | 合計点が80点以上であることが認定の基準。原則として提出した翌月末までに審査・評価が行われ、認定可否が連絡される。 |
| 銀の認定 | 基準を満たすと「健康優良企業 銀の認定証」が交付される。これで健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請要件を満たす。 |
なお、加入している保険者が協会けんぽ東京支部ではなく健康保険組合の場合は、健康保険組合連合会東京連合会の健康企業宣言システムを通じて手続きを行います。窓口や提出先は加入する保険者によって異なるため、まず自社がどの保険者に加入しているかを確認することが出発点になります。
補足 銀の認定の上位には「金の認定」があります。これは健康企業宣言の「STEP2」に進み、より高い水準の健康経営を実践した事業所に与えられる認定です。健康経営優良法人の申請要件としては「銀の認定」で足りますが、自社の健康経営をさらに高めたい事業所にとっては金の認定が次の目標となります。
銀の認定・金の認定と健康経営優良法人の関係
3つの認定の関係を整理すると、東京都内の中小企業にとっては「健康企業宣言STEP1(銀の認定)」が土台となり、その上に「健康経営優良法人」が積み上がる構造であることがわかります。
| 認定の種類 | 主体 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 健康優良企業 銀の認定 | 健康企業宣言東京推進協議会・健保連東京連合会等 | 健康企業宣言STEP1の達成。東京都内の中小規模法人が健康経営優良法人を申請する前提条件。 |
| 健康優良企業 金の認定 | 同上 | 健康企業宣言STEP2の達成。銀の上位に位置する、より高い水準の認定。 |
| 健康経営優良法人 | 経済産業省(制度)・日本健康会議(認定) | 全国共通の顕彰制度。中小規模法人部門の上位500社はブライト500。 |
健康経営優良法人を取得するメリット
認定取得には準備の手間がかかりますが、それを上回る経営上のメリットがあります。とりわけ人手不足が深刻な中小企業にとって、その効果は無視できません。
人材の確保と従業員の意識変化
企業が自ら健康企業宣言を行うことで、従業員の健康管理に対する意識が変わります。従業員が健康になれば生産性の向上につながります。また、認定証やロゴマークを社内に掲示し、対外的に広報することで、求職者に対して「従業員を大切にする会社」という印象を与えることができ、採用力の強化につながります。
金融・信用面での優遇
東京都内の健康企業宣言にエントリーした事業所に対しては、「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」(東京信用保証協会)において、信用保証料率の優遇を受けられる仕組みが用意されています。健康経営への取り組みが、資金調達の面でも具体的な恩恵につながるという点は、中小企業の経営者にとって見逃せないメリットです。
| メリットの分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 採用・人材 | 求人案内・名刺へのロゴ掲示による企業イメージ向上、求職者へのアピール |
| 生産性 | 従業員の健康増進による欠勤率の低下・労働生産性の向上 |
| 金融 | 信用保証料率の優遇制度、金融機関からの評価向上 |
| 取引・広報 | 取引先・自治体からの社会的評価、ホームページでの紹介 |
申請スケジュールと注意すべきポイント
健康経営優良法人の認定は1年に1回のサイクルで行われます。健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)の場合、申請受付は令和7年(2025年)8月18日から10月17日まででした。認定結果は令和8年(2026年)3月に発表されています。申請には認定申請料(中小規模法人部門で16,500円・税込)が必要です。
最重要の注意点 東京都内の中小企業にとって最大の落とし穴は、「銀の認定」の取得に時間がかかるという点です。銀の認定には概ね6か月以上の取組実績が必要であり、さらに審査・評価に一定の期間を要します。健康経営優良法人の申請期限(例年10月中旬)から逆算すると、その年の春先までには健康企業宣言STEP1を開始しておく必要があります。申請を検討している事業所は、余裕をもって取り組むことが不可欠です。
「今年の認定に間に合わせたい」と直前に動き出しても、6か月の取組実績という時間の壁を越えることはできません。健康経営優良法人の取得を経営計画に組み込む際には、まず銀の認定取得までの逆算スケジュールを描くことが、成否を分ける最初のステップとなります。
取得に向けた実践的な進め方
東京都内の中小企業が健康経営優良法人の取得を目指す場合、実務的には次の順序で進めることが賢明です。第一に、自社が加入する保険者(協会けんぽ東京支部か健康保険組合か)を確認します。第二に、その保険者の健康企業宣言システムから新規登録を行い、STEP1を宣言します。第三に、健診受診率の向上や保健指導の実施など、宣言項目に沿った取り組みを6か月以上、計画的に実行します。
この過程で重要なのは、実施結果レポートで80点以上を確実に獲得できる取り組み設計を、最初の段階から行っておくことです。後から慌てて取り組むのではなく、宣言時点で「どの項目で点数を積み上げるか」を明確にしておくことで、認定の確実性とスピードが大きく変わります。健康経営は一過性のイベントではなく、継続的な仕組みづくりであるという視点が欠かせません。
この記事のまとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 制度の全体像 | 健康経営優良法人は経済産業省が定め日本健康会議が認定する顕彰制度で、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれる。2026では中小規模法人部門に23,085法人が認定された。 |
| ② 東京都固有の要件 | 東京都内の中小規模法人が申請する場合、健康企業宣言に加えて「健康優良企業(銀の認定)」の取得が必須条件となる。これは東京都が平成27年(2015年)に制度を先行実施した経緯による。 |
| ③ 銀の認定の取得基準 | 健康企業宣言STEP1に応募し、概ね6か月以上取り組んだうえで、実施結果レポートで80点以上を獲得することが認定の基準となる。 |
| ④ 時間管理が成否を分ける | 銀の認定には6か月以上の取組実績と審査期間が必要なため、申請したい年の春先までに健康企業宣言を開始しておく必要がある。 |
| ⑤ 取得メリット | 人材確保・企業イメージ向上・生産性向上に加え、信用保証料率の優遇など金融面の恩恵もある。 |
よくある質問(Q&A)
Q1.東京都内のすべての企業に「銀の認定」が必要ですか?
A1.必須となるのは中小規模法人部門に申請する東京都内の事業所です。健康経営優良法人の申請にあたり、健康企業宣言の取り組みに加えて健康優良企業(銀の認定)を受けていることが必要条件とされています。大規模法人部門に申請する場合は銀の認定は必須条件ではなく、健康経営度調査への回答を起点とした手続きになります。まず自社がどちらの部門に該当するかを確認してください。
Q2.なぜ東京都だけ銀の認定が必要なのですか?
A2.東京都においては「健康優良企業」認定制度を平成27年(2015年)12月から先行して実施してきた経緯があります。全国共通の健康経営優良法人制度が始まる前から、東京都独自の健康企業宣言・健康優良企業認定の仕組みが運用されていたため、その仕組みを健康経営優良法人の中小規模法人部門の申請要件として接続している、という構造です。会長を東京都知事が務める健康企業宣言東京推進協議会が運営しています。
Q3.銀の認定の取得にはどのくらいの期間がかかりますか?
A3.健康企業宣言STEP1を宣言してから、概ね6か月以上の取組実績が必要です。そのうえで実施結果レポート等を提出し、審査・評価が行われます。協会けんぽ東京支部の場合、原則として提出した翌月末までに認定可否が連絡されます。したがって、宣言から認定までは最短でも半年以上を見込んでおく必要があります。早めの着手が肝心です。
Q4.実施結果レポートは何点とれば認定されますか?
A4.合計点が80点以上であることが銀の認定の基準です。採点は健診の受診状況、保健指導、健康づくりの取り組みなど複数の項目で構成されます。点数を確実に積み上げるためには、宣言の段階でどの項目に取り組むかを設計し、6か月の取組期間中に計画的に実績を作っていくことが重要です。直前に取り繕おうとしても基準を満たすことは難しい点に注意してください。
Q5.銀の認定と金の認定はどう違いますか?
A5.銀の認定は健康企業宣言STEP1の達成に対する認定で、金の認定はその上位にあたるSTEP2の達成に対する認定です。健康経営優良法人の申請要件としては銀の認定で足ります。金の認定は、より高い水準の健康経営を実践した事業所に与えられるもので、自社の健康経営をさらに発展させたい事業所にとっての次の目標と位置づけられます。
Q6.協会けんぽ加入と健康保険組合加入で手続きは違いますか?
A6.異なります。協会けんぽ東京支部に加入している事業所は協会けんぽ東京支部に書類を提出します。一方、健康保険組合に加入している事業所は、健康保険組合連合会東京連合会の健康企業宣言システムを通じて手続きを行います。窓口・提出先・運用が保険者ごとに異なるため、まず自社がどの保険者に加入しているかを確認することが出発点になります。
Q7.健康経営優良法人の申請料はいくらですか?
A7.健康経営優良法人2026の中小規模法人部門では、認定申請料として16,500円(税込)が必要でした。これは健康経営優良法人そのものの申請料であり、銀の認定(健康企業宣言)の取り組み自体は別の仕組みです。健康企業宣言への参加に伴う費用は加入する保険者の案内に従って確認してください。なお申請料は年度によって変わる可能性があるため、申請前に最新の公募内容を確認することが重要です。
Q8.「ブライト500」とは何ですか?
A8.中小規模法人部門の健康経営優良法人のうち、上位500社に付与される冠が「ブライト500」です。さらに501位から1,500位の法人には「ネクストブライト1000」が付与されます。ブライト500に認定されるには、まず中小規模法人部門の健康経営優良法人として認定されたうえで、経営トップによる健康づくりの積極的な発信など、より高い基準を満たす必要があります。東京都内の事業所の場合、その前提としてやはり銀の認定が必要です。
Q9.認定を辞退したり継続できなくなった場合にペナルティはありますか?
A9.健康企業宣言については、登録または認定の継続ができなくなった場合に辞退届を提出する仕組みがあり、辞退によるペナルティは設けられていません。ただし、銀や金の認定を得てから辞退し、再度参加する場合には、改めてSTEP1から取り組み直す必要があります。一度離脱すると積み上げがリセットされる点には留意が必要です。
Q10.経営者として最も意識すべきことは何ですか?
A10.健康経営優良法人の取得を「認定をとること」だけを目的にしてしまうと、本質を見失います。重要なのは、従業員の健康への投資が、人材定着・採用力・生産性という形で経営に還元される仕組みを社内につくることです。そのうえで東京都内の中小企業は、銀の認定取得という時間のかかる前提条件があることを理解し、早い段階から逆算してスケジュールを組むことが、認定取得を確実にする最も重要な姿勢です。
健康経営優良法人の取得なら壱市コンサルティング
壱市コンサルティングでは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、健康経営優良法人の取得を「単なる認定取得」で終わらせず、人材確保・生産性向上・資金調達といった経営課題の解決につなげる伴走支援を大切にしています。東京都内の中小企業に固有の「銀の認定」という前提条件を踏まえ、逆算したスケジュール設計から実務まで一貫してサポートします。
📋 取得ロードマップの設計
健康企業宣言STEP1の着手時期から逆算し、申請に間に合う実行計画を策定します。
📊 実施結果レポートの作成支援
80点以上を確実に獲得するための取り組み項目の設計と書類作成を支援します。
🏦 資金面・経営面の総合支援
信用保証料率の優遇など、健康経営を資金調達や経営改善につなげる助言を行います。
🔄 継続的な伴走支援
銀の認定から金の認定、さらにブライト500まで、段階的な目標設定を支援します。
「いつから何を始めればいいのか分からない」という段階こそ、ご相談に最も適した時期です。
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください
✅ 健康経営優良法人を取得して採用力を高めたい
✅ 東京都内なので銀の認定が必要と聞いたが手順が分からない
✅ 今年の申請に間に合うか逆算して判断したい
✅ 実施結果レポートで80点を確実にとりたい
✅ 健康経営を資金調達や経営改善にもつなげたい
