【令和8年度】東京都クラウドファンディング活用助成金|手数料2/3・上限100万円と株式型1,000万円を解説
東京都は令和8年(2026年)8月24日、「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業」について令和8年度の取扱事業者が決定したことを公表し、8月25日から手数料助成の申請受付を開始しました。都の公表によれば、昨年度に本事業を通じて調達された金額は約40億円に達しています。
この制度の本質は、プロジェクトそのものへの補助ではなく、クラウドファンディング事業者に支払った「利用手数料」を後払いで取り戻す仕組みという点にあります。購入寄付型は手数料の2分の1(上限80万円)または3分の2(上限100万円)、株式型は2分の1(上限750万円)または3分の2(上限1,000万円)が助成されます。手数料負担という、クラウドファンディング活用をためらう最大の要因を都が直接軽減する設計です。
本記事では、令和8年度(2026年度)の制度内容を一次情報に基づいて整理し、購入寄付型と株式型それぞれの対象者・助成要件・助成額、今年度の取扱事業者、申請上の注意点、そして実務でどう活用すべきかまでを解説します。
東京都がクラウドファンディングを支援する政策的背景
中小企業の資金調達といえば、長らく金融機関からの借入が中心でした。しかし新製品の開発や新サービスの立ち上げのように、実績も担保もない段階の挑戦は、信用力を前提とする融資審査と相性が良くありません。金融機関が慎重にならざるを得ない領域が、構造的に残り続けてきたのが実態です。
クラウドファンディングは、この空白を埋める手段として広がりました。支援者から少額の資金を集める仕組みであると同時に、「その商品に本当に需要があるか」を市場に問うテストマーケティングの機能を併せ持ちます。目標金額を達成できれば需要の裏づけが得られ、達成できなければ本格的な投資に踏み込む前に方向転換ができます。
一方で、クラウドファンディングには無視できないコストがあります。調達額に対して十数パーセント規模の利用手数料が発生することが一般的であり、プロジェクトページの制作費や広報費も必要です。目標を達成しても手取りが想定より大きく目減りする点が、活用をためらわせる要因となってきました。東京都はここに着目し、手数料の一部を助成する形で支援しています。
都の報道発表によれば、本事業は「2050東京戦略」の戦略13 産業「中小企業を支え、成長を支援」を推進する取組と位置づけられています。単発の補助施策ではなく、都の長期戦略に組み込まれた継続的な支援策である点を理解しておく必要があります。
📊 このセクションの要点
クラウドファンディングは、担保も実績もない段階の挑戦に資金を供給し、同時に需要を検証できる手段です。東京都は、その活用を阻む「手数料負担」に直接手当てする形で本事業を実施しており、2050東京戦略に基づく継続的な中小企業支援策として位置づけられています。
制度の全体像と資金の流れ
本事業は、東京都が直接事業者に助成金を支給する形ではなく、都が選定した補助事業者(事務局)が窓口となる三層構造で運営されています。令和8年度の事務局は銀座セカンドライフ株式会社が担い、専用サイトを通じて申請受付・相談対応・セミナー開催が行われます。
もう一つの重要な構造が、「取扱事業者」制度です。助成の対象となるのは、都が選定した取扱クラウドファンディング事業者のサイトで実施したプロジェクトに限られます。どのサイトを使ってもよいわけではないため、プロジェクトを立ち上げる前に取扱事業者を確認しておくことが、実務上の最初の分岐点となります。
令和8年度事業の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業 |
| 実施主体 | 東京都産業労働局金融部金融課 |
| 事務局 | クラウドファンディングを活用した資金調達支援事務局(運営:銀座セカンドライフ株式会社) |
| 令和8年度の受付開始 | 令和8年(2026年)8月25日(火曜日) |
| 助成対象 | 取扱事業者に支払うクラウドファンディング利用手数料 |
| 助成上限額 | 購入寄付型:80万円または100万円/株式型:750万円または1,000万円 |
| 昨年度の調達実績 | 本事業を通じた調達金額 約40億円(東京都公表) |
| 相談窓口 | 購入寄付型 03-6403-9225/株式型 03-5776-2895 |
補足
本事業は「助成金」であり、事業計画書の点数を競って採否が決まる補助金とは性格が異なります。要件を満たし、所定の手続を踏めば交付される設計です。ただし予算の範囲内で実施されるため、申請時期が遅れるほど不利になる点は補助金と共通しています。
📊 このセクションの要点
本事業は都・事務局・取扱事業者の三層構造で運営されます。助成対象となるのは都が選定した取扱事業者のサイトで実施したプロジェクトのみであり、プロジェクト立ち上げ前の事業者選定が成否を分けます。令和8年度の受付は8月25日に始まりました。
購入寄付型(CF)の対象者・助成要件・助成額
購入寄付型は、支援者にリターンとして商品やサービスを提供する「購入型」と、リターンを伴わない「寄付型」を対象とします。中小企業や個人事業主にとって最も利用しやすい類型であり、本事業の中心をなす区分です。
対象者は、都内で事業を行い、後述する7つの助成要件のいずれかに該当する創業希望者または中小企業等です。個人事業主、NPO法人、一般社団法人等も含まれます。これから事業を始める創業希望者が対象に入っている点は、本事業の大きな特徴です。
助成要件は7区分あり、どの区分に該当するかによって助成率と上限額が変わります。1)から3)は2分の1・上限80万円、4)から7)は3分の2・上限100万円です。同じ手数料額でも、区分の選び方によって受け取れる助成額が変わることになります。
7つの助成要件と助成率・上限額
| 助成要件 | 内容 | 助成率・上限額 |
|---|---|---|
| 1) | 創業者または創業希望者 | 2分の1/上限80万円 |
| 2) | 新製品または新サービスの創出に取り組む者 | 2分の1/上限80万円 |
| 3) | 「2050東京戦略」に寄与するソーシャルビジネスを行う者 | 2分の1/上限80万円 |
| 4) | HTT・ゼロエミッションに資する取組を行う者 | 3分の2/上限100万円 |
| 5) | デジタル技術を活用した取組を行う者 | 3分の2/上限100万円 |
| 6) | 女性活躍の推進に資する取組を行う者 | 3分の2/上限100万円 |
| 7) | 事業の見直し・再構築に取り組む者 | 3分の2/上限100万円 |
POINT
同じプロジェクトでも、要件2)の「新製品・新サービスの創出」として整理するか、要件5)の「デジタル技術を活用した取組」として整理するかで、助成率が2分の1から3分の2へ、上限額が80万円から100万円へ変わります。プロジェクトの企画段階で、どの政策目的に接続する事業なのかを明確に位置づけておくことが重要です。
なお、助成要件の共通前提として「取扱CF事業者の運営するサイトで資金調達を完了した者」であることが求められます。目標金額を達成できなかったプロジェクトは対象になりません。手数料が発生していても、調達完了に至らなければ助成の土俵に乗らない点を、事前に理解しておく必要があります。
📊 このセクションの要点
購入寄付型は創業希望者から中小企業、個人事業主、NPO法人まで幅広く対象とし、7つの助成要件のいずれかに該当することが条件です。HTT・ゼロエミッション、デジタル技術、女性活躍、事業の見直し・再構築の4区分は助成率3分の2・上限100万円に拡充されます。前提として資金調達の完了が必須です。
株式型(ECF)の対象者・助成要件・助成額
株式型クラウドファンディング(ECF)は、株式や新株予約権を発行してインターネット経由で投資家から資金を集める仕組みです。購入寄付型が「商品の先行販売」に近いのに対し、株式型はエクイティによる本格的な資金調達であり、調達規模も助成上限額も桁が変わります。
対象者は、都内で事業を行う中小企業であり、創業した日から10年未満の株式会社です。個人で創業して法人化した場合は、個人での創業日から10年未満であることが条件となります。購入寄付型と異なり、法人形態と創業年数の制限がある点に注意が必要です。
| 区分 | 要件 | 助成率・上限額 |
|---|---|---|
| 原則 | 取扱ECF事業者の運営するサイトで、株式および新株予約権の発行により資金調達を完了した者 | 2分の1/上限750万円 |
| 特例 | 主たる事業がHTT・ゼロエミッションの推進を目的とするもの、またはデジタル技術を活用しDXの推進につながるもの | 3分の2/上限1,000万円 |
特例の判定基準は「主たる事業」が該当するかどうかです。購入寄付型がプロジェクト単位で要件を判定するのに対し、株式型は企業の事業内容そのもので判定される構造になっています。脱炭素関連やDX関連を主たる事業とする都内スタートアップにとって、上限1,000万円という水準は資金調達コストを大きく左右します。
注意
株式型クラウドファンディングは、新株の発行によって既存株主の持分が希薄化します。また、多数の少数株主が生じることで、その後の資本政策やM&A・事業承継の局面に影響が及ぶ場合があります。助成上限額の大きさだけで判断せず、資本政策全体の中で位置づけを検討することが重要です。
📊 このセクションの要点
株式型は創業10年未満の都内中小企業(株式会社)が対象で、助成上限額は原則750万円、HTT・ゼロエミッションまたはDX推進を主たる事業とする場合は1,000万円です。判定はプロジェクト単位ではなく企業の主たる事業で行われます。持分の希薄化を伴うため、資本政策との整合が前提となります。
令和8年度の取扱クラウドファンディング事業者
令和8年(2026年)8月24日の東京都報道発表により、今年度の取扱事業者が確定しました。ここに挙げられた事業者のサイト以外で実施したプロジェクトは、助成の対象になりません。プロジェクト開始前に必ず確認すべき最重要事項です。
| 類型 | 令和8年度の取扱事業者 |
|---|---|
| 購入寄付型 (取扱CF事業者・7社) |
株式会社CAMPFIRE/株式会社クリーマ/株式会社ワンモア/きびだんご株式会社/株式会社メディアジーン/株式会社マクアケ/株式会社MotionGallery |
| 株式型 (取扱ECF事業者・4社) |
エクイティファンディング株式会社/株式会社CFスタートアップス/株式会社FUNDINNO/イークラウド株式会社 |
取扱事業者は年度ごとに選定されるため、前年度に対象だったサイトが翌年度も対象である保証はありません。複数年にわたって継続的にクラウドファンディングを活用する場合は、毎年度の取扱事業者リストを確認する運用が必要です。
また、都は本事業について「ベンチャー企業や中小企業者等への支援を目的とした事業であり、投資の勧誘を目的としたものではない」と明示しています。株式型を検討する際は、この位置づけを踏まえた慎重な判断が求められます。
📊 このセクションの要点
令和8年度の取扱事業者は購入寄付型7社、株式型4社です。対象外のサイトで実施したプロジェクトは助成を受けられないため、サイト選定は助成の可否を決定づける最初の分岐点となります。取扱事業者は年度ごとに選定される点にも留意が必要です。
申請の流れと実務上の注意点
本事業の申請は、プロジェクトの開始前ではなく資金調達を完了し、手数料を支払った後に行います。一般的な補助金が「交付決定を受けてから発注・支出」という順序であるのに対し、本事業は逆の順序になる点が最大の特徴です。
実務上おさえるべき5つの論点
| 論点 | 実務上の対応 |
|---|---|
| サイトの選定 | 取扱事業者以外のサイトを使うと助成対象外になる。プロジェクト企画の最初の段階で確認する |
| 目標達成の要否 | 資金調達の完了が前提。目標金額の設定は「達成できる水準」から逆算する |
| 助成要件の選択 | 該当区分によって助成率が2分の1か3分の2かに分かれる。プロジェクトの政策的な位置づけを事前に整理する |
| リターンの履行 | 購入型は支給申請の前提としてリターン提供の完了が求められる。製造・発送スケジュールを申請期限から逆算する |
| 予算の消化 | 予算の範囲内で実施されるため、年度後半になるほど不確実性が高まる。早期の着手が有利に働く |
とりわけ実務で問題になりやすいのが、リターン提供と申請期限のスケジュール管理です。購入型では、支援者へのリターンをすべて提供し終えたうえで完了報告と支給申請を行う流れとなります。製造リードタイムの長い商品や、季節性のあるサービスをリターンに設定した場合、年度内の期限に間に合わない事態が生じます。プロジェクト設計の段階で、リターンの内容と提供時期を申請期限から逆算しておくことが不可欠です。
POINT
令和8年度における助成対象手数料の支払期間、完了報告・支給申請の期限、年度内の申請回数の上限といった手続的な条件は、事務局が公表する募集要領で必ず確認してください。前年度の条件をそのまま前提にすると、期限を誤るリスクがあります。
📊 このセクションの要点
本事業は資金調達と手数料支払の後に申請する後払い型の助成金です。サイト選定、目標達成、助成要件の選択、リターン履行、予算消化の5点が実務上の分岐点となります。リターン提供の完了が支給申請の前提となるため、スケジュールは申請期限から逆算して設計する必要があります。
購入寄付型と株式型のどちらを選ぶべきか
同じ「クラウドファンディング」という言葉で括られていても、購入寄付型と株式型は資金調達の性格がまったく異なります。助成上限額の差だけを見て株式型に飛びつくのは、経営判断としては危険です。
| 比較項目 | 購入寄付型(CF) | 株式型(ECF) |
|---|---|---|
| 資金の性格 | 売上(前受金)または寄付 | 資本(エクイティ) |
| 対象者 | 創業希望者・中小企業等(個人事業主・NPO法人・一般社団法人等を含む) | 創業10年未満の都内中小企業(株式会社) |
| 助成上限額 | 80万円または100万円 | 750万円または1,000万円 |
| 持分への影響 | なし | 新株発行により希薄化する |
| 主な副次効果 | 需要検証・先行顧客の獲得・PR | 株主コミュニティの形成・信用力の補強 |
| 向いている場面 | 新商品の市場投入前テスト、創業初期の初動資金 | 研究開発型・先行投資型で回収まで時間を要する事業 |
購入寄付型で得た資金は、リターンの提供義務を伴う前受金としての性格を持ちます。調達額がそのまま自由に使える資金ではなく、原価と発送コストを差し引いた残りが実質的な手取りである点を、資金繰り計画に織り込む必要があります。ここを見誤ると、調達には成功したのに運転資金が逼迫するという事態が起こります。
一方の株式型は返済も物理的なリターンも不要ですが、株主が増えることによる意思決定コストと、将来の資本政策への制約が生じます。数年後の成長シナリオと出口戦略を描いたうえで判断すべき手段であり、当面の資金不足を埋める目的で選ぶものではありません。
📊 このセクションの要点
購入寄付型は売上・前受金、株式型は資本という違いがあり、経営に与える影響も対象者要件も異なります。購入寄付型は原価と発送コストを差し引いた実質手取りで資金繰りを見積もること、株式型は資本政策と出口戦略を前提に判断することが、選択の基本軸となります。
制度活用の実践的戦略
助成率3分の2の区分に該当させる設計
助成率が2分の1から3分の2に上がる4区分は、HTT・ゼロエミッション、デジタル技術の活用、女性活躍の推進、事業の見直し・再構築です。これらはいずれも東京都が重点的に推進する政策領域であり、プロジェクトの企画段階で政策目的との接点を意識的に設計することで、要件該当性を高められます。
たとえば新商品の販売プロジェクトであっても、省エネルギー性能や資源循環の観点を組み込めばHTT・ゼロエミッションの文脈に接続します。同様に、生産管理や顧客管理にデジタル技術を実装する取組であれば、デジタル技術活用の区分に整理できます。後づけで理屈を組み立てるのではなく、事業計画そのものを政策的な文脈と整合させる発想が求められます。
他の補助金・融資との組み合わせ
クラウドファンディングは単独で完結する資金調達手段ではありません。実務では、クラウドファンディングで需要を検証し、その実績をもって補助金申請や融資交渉に臨むという組み立てが有効に機能します。目標金額の達成という客観的な事実は、事業計画の実現可能性を裏づける材料になるためです。
具体的には、クラウドファンディングで市場性を確認したうえで、量産設備の導入をものづくり補助金で、販路開拓を小規模事業者持続化補助金で、業務プロセスのデジタル化をデジタル化・AI導入補助金で手当てするという設計が考えられます。同一の経費を複数の制度で重複して申請することはできませんが、フェーズごとに制度を使い分けることは可能です。
創業期における位置づけ
購入寄付型の助成要件1)には創業希望者が含まれており、法人設立前の段階でも対象となり得ます。創業期は実績がなく融資を受けにくい時期であり、この段階でクラウドファンディングによる需要検証と初動資金の確保ができる意義は小さくありません。東京都には創業助成金や女性・若者・シニア創業サポート2.0といった創業支援策も用意されており、創業前後の各段階で使える制度を全体像として把握しておくことが賢明です。
📊 このセクションの要点
助成率3分の2の区分に該当させるには、企画段階から政策目的との接点を設計することが有効です。クラウドファンディングで需要を検証し、その実績を補助金申請や融資交渉に接続する組み立てが実務上の定石となります。創業期においては、都の他の創業支援策と併せて全体像を把握することが重要です。
制度の課題と注意すべき点
本事業は使いやすい制度ですが、構造上の制約も存在します。第一に、助成対象が「手数料」に限定されている点です。商品開発費、設備投資、人件費といったプロジェクト本体のコストは対象外であり、事業資金そのものはクラウドファンディングによる調達で賄う前提となります。
第二に、資金調達の完了が前提であるため、プロジェクトが不調に終わった場合のリスクは事業者が負う構造です。目標未達であっても、ページ制作や広報にかけた費用は戻りません。目標金額を過大に設定すると、達成できずに費用だけが残る結果になります。
第三に、購入型ではリターンの履行義務が経営を圧迫するリスクがあります。想定を大きく超える支援が集まった場合、原価と発送コストが膨らみ、調達額を上回る負担が生じる事例が実際に発生しています。リターンの単価設計は、原価・送料・決済手数料をすべて織り込んだうえで行う必要があります。
注意
クラウドファンディングで集めた資金の税務上の取扱いは、購入型・寄付型・株式型で異なります。購入型は原則として売上に計上され、法人税・所得税および消費税の課税対象となります。「助成金が出るから実質負担が軽い」という理解だけで進めず、税務処理まで含めて顧問税理士と確認することが重要です。
📊 このセクションの要点
助成対象は手数料に限られ、事業資金本体は対象外です。目標未達のリスクとリターン履行コストは事業者が負うため、目標金額とリターン単価の設計が成否を左右します。税務上の取扱いも類型ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 受付が始まった | 令和8年度(2026年度)の手数料助成は、令和8年8月25日から申請受付が開始されている |
| 助成額は区分次第 | 購入寄付型は2分の1・80万円または3分の2・100万円、株式型は2分の1・750万円または3分の2・1,000万円 |
| サイト選定が第一関門 | 都が選定した取扱事業者(購入寄付型7社・株式型4社)のサイト以外は助成対象外となる |
| 後払い型の助成金 | 資金調達の完了と手数料の支払を経てから申請する。目標未達のプロジェクトは対象にならない |
| 設計段階が勝負 | 助成要件の該当区分、目標金額、リターン単価、提供スケジュールをプロジェクト企画時に確定させる |
よくあるご質問
Q1.まだ法人化していない個人でも申請できますか。
A1.購入寄付型であれば、個人事業主や創業希望者も対象に含まれます。東京都の公表資料では、購入寄付型の対象者は「都内で事業を行い、助成要件のいずれかに該当する創業希望者または中小企業等(個人事業主、NPO法人、一般社団法人等も含む)」とされています。助成要件1)に「創業者または創業希望者」が明記されているため、これから事業を始める段階でも申請の余地があります。一方、株式型は「創業した日から10年未満である株式会社」が対象であり、法人格が必須です。個人で創業して後に法人化した場合は、個人での創業日から10年未満であることが条件となります。自らの事業形態がどちらの類型に適合するかを、最初に整理してください。
Q2.目標金額に届かなかった場合はどうなりますか。
A2.資金調達を完了していることが助成要件の前提であるため、目標未達のプロジェクトは助成対象になりません。東京都の公表資料では、助成要件として「取扱CF事業者の運営するサイトで資金調達を完了した者」と明記されています。目標金額を達成できなければ、いわゆるAll or Nothing方式では資金自体が入らず、達成できていても手数料が発生していない状況では助成の対象となる支出が存在しません。したがって、実務上は「達成可能な水準」に目標金額を設定することが極めて重要です。過大な目標を掲げて未達に終わると、ページ制作費や広報費だけが持ち出しとして残ります。目標金額は理想額ではなく、確度の高い支援見込みから逆算して設定してください。
Q3.どのクラウドファンディングサイトを使っても助成を受けられますか。
A3.東京都が選定した取扱事業者のサイトで実施したプロジェクトに限られます。令和8年(2026年)8月24日の東京都報道発表によれば、今年度の取扱CF事業者(購入寄付型)は株式会社CAMPFIRE、株式会社クリーマ、株式会社ワンモア、きびだんご株式会社、株式会社メディアジーン、株式会社マクアケ、株式会社MotionGalleryの7社、取扱ECF事業者(株式型)はエクイティファンディング株式会社、株式会社CFスタートアップス、株式会社FUNDINNO、イークラウド株式会社の4社です。これ以外のサイトを利用したプロジェクトは、内容がどれほど優れていても助成の対象外となります。取扱事業者は年度ごとに選定されるため、プロジェクトを企画する時点で最新のリストを確認することが不可欠です。
Q4.助成率が3分の2になるのはどのような場合ですか。
A4.購入寄付型では助成要件4)から7)に該当する場合、株式型では主たる事業が特例条件に該当する場合です。購入寄付型の4)から7)は、HTT・ゼロエミッションに資する取組、デジタル技術を活用した取組、女性活躍の推進に資する取組、事業の見直し・再構築に取り組む場合であり、助成率3分の2・上限100万円が適用されます。株式型では、主たる事業がHTT・ゼロエミッションの推進を目的とするもの、またはデジタル技術を活用しDXの推進につながるものである場合に特例が適用され、助成率3分の2・上限1,000万円となります。購入寄付型がプロジェクト単位で判定されるのに対し、株式型は企業の主たる事業で判定される点が構造的な違いです。
Q5.助成の対象となる経費には何が含まれますか。
A5.取扱事業者に支払うクラウドファンディングの利用手数料が対象であり、商品開発費や設備投資は対象外です。本事業は「利用手数料の助成」という設計であり、プロジェクト本体にかかる費用は助成の範囲に含まれません。前年度の運用では、利用手数料に加えて決済手数料や早期振込手数料、プロジェクトページの制作費用、プロジェクトの広報活動費用が対象経費に含まれていました。ただし、令和8年度における対象経費の範囲と支払対象期間は事務局が公表する募集要領で確定するため、必ず一次情報で確認してください。前年度の条件を前提に準備を進めると、対象外の経費を積み上げてしまうおそれがあります。
Q6.申請はプロジェクトを始める前に行うのですか。
A6.資金調達を完了し、取扱事業者に手数料を支払った後に交付申請を行う流れです。一般的な補助金では、交付決定を受けた後に発注・支出するのが原則ですが、本事業は順序が逆になります。クラウドファンディングで資金調達を完了し、取扱事業者から資金を受け取って手数料を支払った段階で交付申請を行い、審査を経て交付決定を受けます。その後、購入型ではリターンの提供を完了したうえで完了報告と支給申請を行い、助成金が支給されます。したがって、手数料はいったん全額を自己負担で支払う必要があり、助成金が入金されるまでの資金繰りを見込んでおくことが実務上の要点となります。
Q7.年度内に複数回申請することはできますか。
A7.前年度の運用では、要件を満たす別プロジェクトについて年度内に複数回の申請が認められていました。過去の募集要領では、同一申請者であっても、助成要件のいずれかに該当し、別のプロジェクトかつ異なる製品・サービスであれば、年度内に複数回申請できる取扱いとされていました。また、前年度までに本助成金を利用した事業者も、新たに当年度の申請が可能とされていました。ただし、申請回数の上限は年度によって変更される可能性があるため、令和8年度の取扱いは事務局の募集要領で確認する必要があります。複数プロジェクトを計画している場合は、申請回数の上限と予算消化の状況を早い段階で事務局に確認しておくことが賢明です。
Q8.予算がなくなると受付は終了しますか。
A8.本事業は予算の範囲内で実施されるため、交付決定額が上限に達した時点で受付が終了する運用が採られてきました。過去の募集案内では、審査期間中に交付決定額が上限に達した場合は受付を終了し、交付対象外となる旨が明示されていました。東京都の公表によれば昨年度の調達金額は約40億円に達しており、本事業の利用は相当な規模に及んでいます。令和8年度の受付は8月25日に始まったばかりですが、年度後半になるほど予算枠の不確実性は高まります。クラウドファンディングの実施を検討している事業者は、プロジェクトの開始時期そのものを前倒しで計画することが有利に働きます。
Q9.他の補助金と併用できますか。
A9.同一の経費を複数制度で重複して申請することはできませんが、フェーズごとの使い分けは可能です。本事業の助成対象はクラウドファンディングの利用手数料に限定されているため、設備投資や販路開拓といった他の経費は対象外です。したがって、クラウドファンディングで需要を検証したうえで、量産設備の導入をものづくり補助金、販路開拓を小規模事業者持続化補助金、業務プロセスのデジタル化をデジタル化・AI導入補助金で手当てするといった組み立てが実務上は成立します。ただし、各制度には固有の併用制限が設けられている場合があるため、複数制度の活用を前提とする場合は、それぞれの公募要領を突き合わせて確認することが必要です。
Q10.クラウドファンディングで集めた資金に税金はかかりますか。
A10.購入型で集めた資金は原則として売上に計上され、課税対象となります。購入型はリターンとして商品やサービスを提供する取引であるため、実質的には先行販売にあたり、法人税・所得税および消費税の課税対象として扱われるのが一般的です。寄付型は支援者と受領者の属性によって取扱いが分かれ、株式型は資本取引となるため損益には計上されません。また、本事業の助成金自体も収益として認識する必要があります。類型によって処理が大きく異なるため、プロジェクトの設計段階で顧問税理士に確認し、税負担を織り込んだうえで目標金額とリターン単価を決めることが重要です。
クラウドファンディングと補助金を組み合わせた資金調達をご支援します
資金調達は「どの制度を使うか」ではなく「どの順番で組み立てるか」で成果が変わります
壱市コンサルティングは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、補助金申請支援と経営アドバイザリーを提供しています。クラウドファンディングによる需要検証から、その実績を活かした補助金申請・融資交渉まで、資金調達の全体像を設計したうえでご支援します。
🏦 資金調達ロードマップの設計
クラウドファンディング・補助金・融資のどれをどの順序で使うべきかを、事業計画と資金繰りから逆算して設計します。
📋 補助金・助成金の申請支援
ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、新事業進出補助金、省力化投資補助金など、事業段階に応じた制度の選定と申請書類の作成をご支援します。
📊 事業計画と収支計画の策定
リターン原価や発送コストを織り込んだ収支計画、目標金額の妥当性検証まで、数値面から実行可能性を検討します。
🔄 採択後の伴走支援
実績報告や事業化状況報告など、交付決定後に発生する手続まで継続的にサポートします。
検討の初期段階でご相談いただくほど、選べる制度の幅は広がります
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください
- ✅ 新商品を開発したが、いきなり量産投資に踏み切る判断がつかない
- ✅ クラウドファンディングに関心はあるが、手数料負担が気になっている
- ✅ 自社のプロジェクトがどの助成要件に該当するのか判断できない
- ✅ クラウドファンディングの後に、どの補助金へつなげるべきか整理したい
- ✅ 創業前後で使える東京都の支援制度を一度整理しておきたい
