【令和8年度第2回】東京都創業助成金とは?対象経費・採択率・採択事例198件を徹底解説

公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する創業助成事業(通称・東京都創業助成金)は、令和8年度(2026年度)第2回の申請受付を令和8年(2026年)9月29日10時00分から10月8日23時59分まで行います。上限400万円・下限100万円、助成率3分の2以内という条件は、創業期の事業者が利用できる公的支援としては全国的にも群を抜いた水準にあります。

一方で、この制度は「思い立ってすぐ申請できる助成金」ではありません。申請要件2として指定された23の創業支援事業のいずれかを、申請書受理の時点で既に利用済みであることが必須であり、公社のプランコンサルティングを利用する場合は要件充足までに概ね3か月を要します。準備の起点をどこに置くかで、そもそも申請できるかどうかが決まる制度です。

さらに、令和7年度(2025年度)の申請者数は1,225者、採択者数は201者でした。単純計算の採択率は16.4%であり、10社のうち8社以上が採択に至っていません。書類審査と面接審査を経る二段構えの審査で、事業計画の完成度そのものが問われます。

本記事では、令和8年度第2回募集要項の内容を踏まえ、申請要件・助成対象経費・審査の視点・スケジュールを網羅的に整理したうえで、令和7年度第1回・第2回に採択された198件の助成事業概要を分析し、どのような事業計画が採択されているのかを具体的に解説します。

Contents
  1. 創業助成事業が果たす役割と政策的背景
  2. 令和8年度第2回募集の全体像
  3. 申請要件を4つの角度から確認する
  4. 申請要件2「創業支援事業の利用」が最大の関門
  5. 助成対象経費を7区分で網羅する
  6. 助成金申請額の計算方法と申請額の設計
  7. 申請から助成金支払いまでの流れと必要書類
  8. 審査の視点と評価される事業計画の条件
  9. 採択実績の推移から読む難易度
  10. 令和7年度採択198件の分析から見える傾向
  11. 採択に近づくための実践的な戦略
  12. 交付決定後に発生する義務と注意点
  13. まとめ
  14. よくある質問
  15. 創業助成事業の申請をご検討の方へ

創業助成事業が果たす役割と政策的背景

創業助成事業の目的を理解するためには、東京都が抱える開業率の課題を俯瞰する必要があります。令和8年度第2回募集要項によれば、都内開業率は約4.4%(令和6年度)にとどまり、米国・英国と比較して低い水準にあります。東京都は創業希望者への着実な支援によって都内開業率の向上を図ることを目標に掲げており、本助成事業はその政策目標を担う中核的な施策として位置づけられています。

この制度設計には一貫した思想があります。創業期の事業者が直面する最大の障壁は、売上が立つ前に発生する固定費です。事務所や店舗の賃借料、認知を獲得するための広告費、最初の従業員を雇うための人件費。これらは事業の立ち上がりに不可欠でありながら、収益に先行して発生するため、自己資金の乏しい創業者にとっては致命的な制約となります。創業助成事業が助成対象経費として賃借料・広告費・従業員人件費を中心に据えているのは、この構造的なボトルネックを直接的に緩和するためです。

国のものづくり補助金や新事業進出補助金が設備投資を中心に据えているのとは対照的に、創業助成事業は設備投資ではなくランニングコストを支援対象とするという点で性格が異なります。この違いは申請戦略にも直結します。高額な機械装置を導入する計画は本制度になじまず、むしろ「拠点を確保し、人を雇い、市場に認知されるまでの助走期間を買う」という発想で計画を組み立てることが求められます。

補足

創業助成事業への申請は、法律上「負担付贈与契約」の申込みに該当します。交付決定によって公社と申請者の間に契約が成立し、助成事業を適切に遂行する義務、実績報告書を提出する義務、交付決定に付される条件を遂行する義務が発生します。単なる「もらえるお金」ではなく、義務を伴う契約であるという理解が出発点になります。

📊 このセクションの要点

創業助成事業は、都内開業率約4.4%という課題を背景に、創業初期のランニングコストを直接支援する制度です。設備投資型の国の補助金とは性格が異なり、賃借料・広告費・人件費という固定費の負担軽減に焦点が置かれています。申請は負担付贈与契約の申込みであり、交付決定後は義務が発生します。

令和8年度第2回募集の全体像

まず制度の骨格を数値で押さえます。令和8年度(2026年度)第2回募集の基本条件は次のとおりです。

項目 内容
実施機関 公益財団法人東京都中小企業振興公社(東京都との共同実施)
申請受付期間 令和8年(2026年)9月29日(火)10時00分〜10月8日(木)23時59分
申請方法 電子申請(Jグランツ)のみ。GビズIDプライムの事前取得が必須
助成限度額 上限400万円/下限100万円(事業費+従業員人件費は上限300万円、委託費は上限100万円)
助成率 助成対象と認められる経費の3分の2以内
助成対象経費 事業費(賃借料・広告費・器具備品購入費・産業財産権出願導入費・専門家指導費)/従業員人件費/委託費(市場調査・分析費)
交付決定日 令和9年(2027年)3月1日予定
助成対象期間 交付決定日から6か月以上2年が経過する日までの間で必要な期間(最長は令和11年2月28日)
申請件数の制限 1人につき1件。同一代表者が経営する複数法人による申請は受付不可

上限400万円という金額の意味

助成率3分の2で上限400万円を得るには、助成対象経費として最低600万円を計上する必要があります。ただし、経費区分ごとに上限が設定されている点に注意が必要です。事業費と従業員人件費を合わせた助成金額の上限は300万円、委託費(市場調査・分析費)の助成金額の上限は100万円とされているため、400万円満額を狙う場合は、事業費・人件費で300万円、市場調査・分析費で100万円という構成が必要になります。

この構造を理解せずに事業費だけで400万円を申請すると、上限300万円で頭打ちになります。逆に、市場調査・分析費は外部専門業者への委託と成果物の納品が前提であり、実態を伴わない計上は実績報告時に認められません。金額の最大化を優先して不要な委託を積み上げるのは、審査上も実務上も得策ではありません。

注意

「従業員人件費のみ」「委託費のみ」「従業員人件費及び委託費のみ」を助成対象経費として申請することはできません。必ず事業費を助成対象経費として含める必要があります。人件費だけを目的とした申請は形式的に成立しないため、経費構成の設計段階で確認が必要です。

📊 このセクションの要点

令和8年度第2回の申請受付は令和8年(2026年)9月29日から10月8日まで、Jグランツによる電子申請のみです。助成限度額は上限400万円・下限100万円、助成率は3分の2以内ですが、事業費と人件費で上限300万円、委託費で上限100万円という区分別の上限があります。事業費を含めない申請は認められません。

申請要件を4つの角度から確認する

創業助成事業には申請要件1から4までが設定されており、そのすべてを満たすことが申請の前提となります。要件を1つでも欠くと、事業計画の内容にかかわらず書類審査で不通過となります。

申請要件1 創業者等としての該当性

公社が申請書を受理する時点で、次の3類型のいずれかに該当する必要があります。

類型 要件の内容
創業予定の個人 都内での創業を具体的に計画している個人。交付決定後、速やかに開業し、開業・廃業等届出書の写しを提出できること
法人の代表者 法人登記から5年未満。本店(士業法人は主たる事務所)が都内に登記され、都内で実質的に事業を行っていること
個人事業主 税務署への開業届出から5年未満。納税地と主たる事業所等が都内に実在し、そこで実質的に事業が行われていること
特定非営利活動法人 法人登記から5年未満かつ、中小企業者と連携して振興に資する事業を行う、または中小企業者が主体となって設立したもの

ここで最も見落とされやすいのが経営経験の通算年数です。募集要項は、個人事業主・法人の登記上の代表者として通算5年以上の経営経験がある方を明確に対象外としています。しかもこの経営経験には、申請した法人とは別の法人で代表者を務めていた期間、雇われ社長や子会社の社長として事業を実施した期間、海外での経営経験も含まれます。複数の事業を並行して行い期間が重複している場合は通算して計算します。

一方で、個人事業の開業・廃業等届出書を提出していないフリーランスとしての活動期間は経営経験に含まれません。休業である旨を記載した確定申告書を提出した個人事業主、休業の異動届出書を税務署に提出した法人代表者については、当該休業期間が事業実施の期間から除かれます。

申請要件3 事業の継続性と適格性

申請要件3は、申請を行う事業そのものの性質に関する12項目の要件です。中小企業者に該当すること、みなし大企業でないこと、都内で実質的に事業活動を継続することに加えて、実務上争点となりやすい項目が含まれています。

論点 要件の趣旨
事業承継・譲渡の除外 他の個人事業主または他の法人の実施事業の承継や譲渡ではないこと。既存事業の引継ぎは創業とみなされない
経営の独立性 代表者以外の主体が実質的な経営の指揮・命令・監督を継続して行っていないこと
成果の公益性 成果や効果が特定の法人・個人を対象としたものではないこと。都内経済への波及・社会貢献・課題解決につながること
助成金なしでの実行可能性 助成金の交付がない場合であっても事業の実施が可能な資金計画であること
後払いを前提とした資金繰り 助成対象期間の終了から一定期間を経過した後に助成金が支払われる点を踏まえた資金計画であること
事業費の計上 従業員人件費のみ・委託費のみ等の申請ではないこと。事業費の計上が必須

「助成金の交付がない場合であっても事業の実施が可能な資金計画であること」という要件は、申請書の資金計画欄にも反映されています。申請書の記入例では資金調達欄に本助成金を含めないことが明記されており、助成金を前提にした資金計画は制度の設計思想に反します。募集要項も「助成金採択の見込で策定された事業内容に対してではなく、採択がされない場合でも実施可能な事業内容に対し、助成金活用による事業内容の充実を期待して助成する」と明示しています。

申請要件4 納税・重複受給・コンプライアンス

申請要件4は、納税地の都内所在、都民税の納税状況、他の助成金・補助金との関係、反社会的勢力の排除等を定めています。特に重要なのが重複受給に関する制限です。

公社の「商店街起業・承継支援事業」および「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」の助成金を受けている、または受ける予定である場合は申請できません。また、国・都道府県・区市町村等から他の助成金・補助金を受けている場合、本助成金と同一経費への重複助成となる経費があってはなりません。ここでいう同一経費とは同一の対象物に対して支払われる経費を指し、賃借料のように継続して支払われる経費については、助成対象期間の重複がなければ同一物件であっても対象となります。

注意すべきは、この判定が申請者本人の事業に限られない点です。申請事業とは別の事業の事業主や別法人の代表者として受給した助成金・補助金も、申請者の受給実績に含まれます。過去に別会社で公的助成を受けた経験がある場合は、申請書4欄への記載漏れが生じないよう整理が必要です。

📊 このセクションの要点

申請要件1から4のすべてを満たすことが前提であり、1つでも欠ければ書類審査で不通過となります。経営経験の通算5年未満という判定には別法人での代表者経験や海外での経営経験も含まれます。また、助成金がなくても実施可能な資金計画であることが要件とされ、資金調達欄に助成金を含めることはできません。

申請要件2「創業支援事業の利用」が最大の関門

創業助成事業を検討する事業者が最初に直面する壁が申請要件2です。公社が申請書を受理する時点で、指定された23の創業支援事業のいずれかを利用済みであることが求められます。この要件を満たすには相応の時間がかかるため、募集要項も「【申請要件2】を満たすには概ね3か月以上かかります」と明記しています。

区分 創業支援事業 実施・運営機関
公社の支援 プランコンサルティングによる事業計画書策定支援の終了(過去3か年の期間内)/東京シニアビジネスグランプリのファイナリスト進出/事業可能性評価事業での「事業の可能性あり」評価/商店街開業プログラムの受講修了 東京都中小企業振興公社
創業支援施設への入居 東京都が設置した創業支援施設への入居/認定インキュベーション施設に認定後6か月以上継続入居しインキュベーションマネージャーの個別支援を受けている/中小機構・区市町村・地方銀行・信用金庫・信用組合・大学が設置した都内創業支援施設に1年以上の賃貸借契約で入居 東京都・公社・各設置主体
アクセラレーション等 青山スタートアップアクセラレーションセンターのプログラム受講/TCICアクセラレーションプログラム・TCIC Ideation Programの採択/TCIC IP INNOVATION AWARDファイナリスト/TOKYO Co-cial IMPACTスタジオプログラム採択/現代版トキワ荘起業家育成プログラム採択/TOKYO STARTUP GATEWAYセミファイナリスト進出 東京都
女性・若手向け 東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT Women)国内プログラム受講/女性経営者等の活躍促進事業(NEW)創業支援プログラム受講/高校生起業家養成プログラム(起業スタートダッシュ)養成講座修了 東京都
融資・出資の利用 女性・若者・シニア創業サポート事業(2.0を含む)の融資利用/東京都中小企業制度融資(創業融資)の利用/都内区市町村の創業者向け制度融資(信用保証協会保証付き)の利用/東京都出資のベンチャーファンドからの出資/政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)の利用 取扱金融機関・政策金融機関・東京都
認定特定創業支援等事業 産業競争力強化法に基づく認定特定創業支援等事業の支援を受け都内区市町村長の証明を取得(過去3か年)/東京商工会議所・東京信用保証協会・東京都商工会連合会・中小企業大学校東京校BusiNestによる準ずる支援 都内区市町村・各支援機関

どの経路を選ぶかで準備期間が変わる

23の経路は、要件充足までに要する期間が大きく異なります。実務上、最も現実的な選択肢は次の3つです。

第一に、公社のプランコンサルティングによる事業計画書策定支援です。概ね3か月程度を要しますが、事業計画そのものを磨きながら要件を満たせるため、申請準備と要件充足を同時並行で進められる利点があります。第二に、東京都中小企業制度融資(創業融資)や区市町村の創業者向け制度融資の利用です。既に創業融資を受けている事業者は、追加の準備なく要件を満たしている可能性があります。融資実行時点の返済約定期間が申請時点を含んでいれば、繰上完済済みでも対象となる点は見落とされやすい取扱いです。第三に、区市町村の認定特定創業支援等事業です。特定創業支援等事業による支援を受け、過去3か年以内に区市町村長の証明を取得していれば要件を満たします。

POINT

認定特定創業支援等事業については、証明書に有効期限の記載があっても、証明日が募集要項の定める利用時期(申請書受理日から遡って過去3か年の期間内)に該当していれば申請要件を満たします。有効期限切れを理由に申請を諦めてしまうケースがありますが、判定基準は証明日です。

なお、要件2で認められるのは「本助成金の申請を行う事業」を実施するための証明・入居・受講・審査・融資に限られます。別事業のために受けた支援を流用することはできません。また、原則として「本助成金に申請を行う代表者」自身が要件を満たす必要があり、融資等の一部の要件のみ法人が満たしていれば足ります。

注意

公社は、指定された支援を利用していても提出した証明書類に不備がある場合は原則として書類審査で不通過となる、と明示しています。修了証と証明書は別物であり、認定特定創業支援等事業では実施機関から発行された所定様式の証明書が必要です。修了証を提出して不通過となる事例が繰り返し指摘されています。

📊 このセクションの要点

申請要件2は指定された23の創業支援事業のいずれかを利用済みであることを求めるもので、公社のプランコンサルティングを選ぶ場合は概ね3か月を要します。既に創業融資を受けている事業者や認定特定創業支援等事業の証明を持つ事業者は、追加準備なく要件を満たしている可能性があります。証明書類の形式不備は不通過に直結します。

助成対象経費を7区分で網羅する

助成対象経費は、事業費(賃借料・広告費・器具備品購入費・産業財産権出願導入費・専門家指導費)、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)の合計7区分で構成されます。まず、すべての区分に共通する前提を整理します。

助成対象経費として認められるには、申請を行った事業を実施するために必要な経費であること、7区分のいずれかに当てはまること、助成対象期間中に契約・履行(取得・実施等)・支払のすべてが完了していること、使途・単価・規模等が確認できること、他の事業と明確に区分できること、財産取得の場合は所有権が助成事業者に帰属することが必要です。ただし賃借料と従業員人件費に限り、交付決定日以前に契約した内容も対象となります。

賃借料

助成事業の遂行に必要な都内の不動産(事務所、店舗、駐車場等)の賃借料や共益費、都内の事務所・店舗等で使用する器具備品等のリース・レンタル料が対象です。助成対象期間を通して継続的に賃借する経費に限られ、交付決定日以前に契約し継続して使用している賃借も含まれます。

区分 具体的な取扱い
対象となるもの 事務所・店舗・駐車場の賃借料と共益費/レンタルオフィス・シェアオフィス・コワーキングスペースの賃借料/業務用サーバー等のレンタル料/按分により専有部分を明確に区分できる共同使用物件
対象外(契約関連) 敷金・礼金・保証金・手数料・更新料/火災保険料・地震保険料/賃借料に含まれる光熱水費(差し引いた金額が対象)
対象外(物件の性質) 申請者・代表者本人・配偶者・三親等以内の親族が所有する不動産/都内区市町村・国立大学・中小企業支援機関等が設置する創業支援施設/間仕切り等で物理的に区分されていない住居兼店舗・事務所/バーチャルオフィス利用料/転貸借禁止等に違反する物件/都外の不動産
対象外(一時利用) 会議室使用料/ウィークリーマンション賃借料/セミナー・イベントスペースの一時使用料/レンタルオフィスの個別サービス(貸ロッカー等)
対象外(器具備品) 自動車・バイク・自転車等のリース/携帯電話・スマートフォン等の通信費を含む機器/1か月未満の短期使用/親族所有の器具備品/第三者に賃貸する器具備品

賃借料は多くの申請者にとって最大の経費項目となります。自宅兼事務所の場合、間仕切り等によって物理的に区分されていなければ対象外となる点は、創業初期の事業者にとって影響が大きい取扱いです。また、都内区市町村等が設置する創業支援施設の賃借料は対象外である一方、その施設への入居自体は申請要件2を満たす手段になり得るという、性格の異なる二面性がある点も理解しておく必要があります。

広告費

自社で行う販路開拓や顧客獲得を目的とした広報活動のうち、広告掲載、パンフレット等の作成、展示会出展、ホームページ作成、試供品・見本品作成等に関する経費が対象です。制作物についてはデザイン料、配送料や投函等の配送委託費も含まれます。

区分 具体的な取扱い
対象となるもの 広告掲載費/パンフレット・チラシ作成費/展示会出展料・展示品運搬費・展示ブース工事負担金/ホームページ作成費(事業案内・商品PR目的のレンタルサーバー代を含む)/試供品・見本品作成費/インターネット広告の代理配信・配信結果報告書作成費
対象外(販売目的) 販売を主目的とする展示会出展費/オンラインショップ出店費用/自社HP内の商品・サービス販売ページ/有料会員サイト構築費/HPで予約・決済を行うシステム構築費/書籍等の対価を求める制作物
対象外(その他) 市場調査費用・調査に伴う謝金/切手・はがき購入費/贈答用商品券等の交際費/広告効果のない協賛金/商品開発の試作品費用/展示会主催者と直接契約を締結しない共同出展/委託業務の全部または主要部分の再委託
実績報告時の要件 チラシ・パンフレット・試供品は助成対象期間中に配布を完了することが原則。未配布残品や使用実態がないものは対象外となり、配布済数量のみが対象

広告費で最も誤解が多いのが、ホームページ関連費用の取扱いです。事業の案内や商品・サービスのPRを目的としたホームページ作成費は対象となりますが、決済機能や商品販売ページを備えたECサイトの構築費は対象外です。また、ホームページ制作を請け負う事業やホームページを使用して広告収入を得る事業を行う場合、HP制作費用が製造原価に該当するため対象とならない場合があります。EC展開を計画の中心に据える事業者は、この線引きを申請書作成の段階で織り込む必要があります。

器具備品購入費

都内の事務所・店舗等に設置・利用する、創業初期に必要な机、パソコン、コピー機、エアコン等、単体で機能を果たす器具備品の購入費が対象です。1点あたりの購入単価が税込1万円以上50万円未満のものに限られます。応接セットやパソコンなど複数のもので構成され同時購入する場合は、その合計金額を1点あたりの購入単価とします。購入費として一括で会計処理できる配送費や組立・据付費用も対象になります。

分類 対象外となる主なもの
性質による除外 中古品/リース終了後の買取費用/第三者に賃貸・贈呈する器具備品/助成事業以外の用途に使用する(予定を含む)もの
消耗品 事務用消耗品・日用消耗品/文房具類(ペン、ハサミ、パンチ、ステープラー、定規、クリアファイル、USBメモリー、SDカード等)
機械装置・設備 建物附属設備(ガス引込み設備、ボイラー、ネオンサイン、屋外照明等)を含む機械装置/自動車・原動機付自転車・自転車・リヤカー・人力車等の車両/不動産
原材料・商品 原材料品(セメント、鋼材、木材、砂利、薬品、パイプ、針金、ガラス等)/油脂・薪炭類・塗料/飲料品・食料品・衣料品
その他 稿本・設計図・図案・証書・帳簿/新聞・雑誌・官報・地図・絵はがき/通貨・有価証券・金券・印紙・切手/貴金属(腕時計を含む)・宝玉・宝石/書画・骨とう・彫刻物その他の美術品/義歯・義肢・コンタクトレンズ・メガネ/動物・植物

飲食店の開業を計画する場合、この区分の制約は特に重く働きます。厨房設備のうち建物附属設備に該当するものや、単体で機能を果たさない設備は対象外となり、食材の購入費も対象になりません。実際に令和7年度の採択事例には飲食業が多数含まれますが、その多くは器具備品購入費よりも賃借料と広告費を中心に経費を構成していると考えるのが自然です。

産業財産権出願・導入費

助成事業の遂行に必要な商品・製品・サービスに関する国内外の特許権、実用新案権、意匠権、商標権の出願、他の事業者からの譲渡、または実施許諾(ライセンス料を含む)に要する経費が対象です。出願については助成対象期間内の出願手続完了が公的機関の書類等で確認できることが必要で、出願・譲渡に関しては助成事業者に権利が帰属することが求められます。

一方で、出願に関する調査、審査請求、登録、権利維持に関する経費は対象外です。産業財産権に関する費用のうち助成対象となるのは出願・譲渡・実施許諾に限られるという点は、知財戦略を計画に組み込む事業者が誤りやすい箇所です。なお、産業財産権の出願のための印紙購入費については、器具備品購入費で対象外とされる印紙の例外として、この区分で対象になります。

専門家指導費

創業初期の事業遂行に必要な知見・対応方法等に関し、外部専門家等に相談して助言・指導を受ける際、手数料として支払われる経費が対象です。実績報告時には、専門家の資格、氏名、相談日時、相談に要した時間、主な助言・指導の具体的内容、対応状況等の契約履行が確認できる議事録・報告書・業務完了届等の提出が必要です。

注意

専門家指導費で対象外となるのは、本助成金・財務諸表・法務・税務等に関する書類作成代行費用、調査費用、手続代行費用です。また、業務の一部の遂行と助言が一体となっている委託については、業務の遂行部分が対象外となります。弁護士・税理士・会計士・社労士・コンサルタント等との顧問契約(月々定額払い、1年以上の長期契約、自動更新契約などの文言が契約書に記載されているもの)も対象外です。

従業員人件費

助成事業者と直接雇用契約を締結した従業員のうち、都内を勤務地とする従業員に対する給与(基本給)およびパート・アルバイト従業員に対する賃金が対象です。交付決定日より前に雇用した従業員も含まれます。

項目 取扱い
正規従業員の上限 1人につき月額35万円が限度。年俸制の場合は毎月の定額振込が必要
賞与の取扱い 月額あたりの給与と賞与の合計が35万円を限度として対象
パート・アルバイト 1人につき日額8,000円が限度。助成対象経費の限度額であり最低賃金とは別の基準
従業員兼役員 雇用保険へ加入している場合のみ、給与から役員報酬部分を除いた金額が対象
対象外(手当等) 時間外労働に対する賃金・手当/法定休憩時間相当分/休日労働に対する賃金・手当/法定福利費(社会保険料・労働保険料の事業主負担分)/飲食・娯楽・役職・資格・住居・扶養・通勤(交通費)に関する手当
対象外(属人的要素) 都外・国外を勤務地または居住地とする従業員/法人の代表者・役員(監査役、会計参与を含む)/個人事業主本人および生計を一にする三親等以内の親族・配偶者/派遣契約・委託契約に基づく人件費および外注費

従業員人件費は、実績報告時の証憑要求が最も重い区分です。従業員別の作業日報、就業規則、雇用契約書または労働条件通知書、出勤簿、賃金台帳の写し、雇用保険被保険者証の写し等、多種類の書類提出が求められます。交付決定を受けてから労務管理の体制を整えるのでは間に合いません。人件費を助成対象経費に含める計画であれば、申請段階から作業日報の様式や就業規則の整備を進めておく必要があります。

市場調査・分析費(委託費)

市場等の調査・分析を外部専門業者等に委託し、委託費として支払われる経費が対象です。対象となるのは、自社がターゲットとする市場の市場規模、市場の成長の見込み、販売先や競合先の状況、ニーズ、嗜好、商品・サービスの価格水準等の市場調査・分析と、その調査・分析を実施したうえで自社の経営資源(商品・サービス、技術・知財、財務、運用等)を踏まえてどのような事業戦略が望ましいかについての調査・分析です。

この区分には外部専門業者等に委託し、成果物が納品されることという厳格な条件が付されており、実績報告時に成果物を公社に提出しなければなりません。成果物がない経費、成果物を公社に提出できない経費、書籍・統計資料・分析用ソフトウェア等の購入費、委託業務の全部または主要部分を第三者に再委託・外注する経費は対象外です。

全区分に共通する対象外経費

区分を問わず助成対象外となる経費として、次のものが明示されています。消費税等の公租公課、通信運搬費(広告費の郵送料を除く)、光熱水費、新聞購読料、書籍代、団体等の会費、収入印紙代。茶菓・飲食・娯楽・接待の費用。借入金の支払利息、損害遅延金、分割手数料(リボ払い手数料等)、振込手数料、代引手数料。他の事業と明確に区分できない経費。一般的な市場価格に対して著しく高額な経費。クレジットカード等により付与されたポイント分(過去に付与されたポイントの使用分を含む)。他の取引と相殺して支払われるもの、他社発行の手形や小切手による支払。委託業務で成果物等の資産の帰属が委託先になるもの。

さらに実務上の重要性が高いのが、親会社、子会社、グループ企業等関連会社(資本関係のある会社、役員及び社員等を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等)、株主の親族や役員の親族が経営する会社等との取引が全区分で対象外とされている点です。創業期は身近な関係者に発注しがちですが、この制約により助成対象外となる取引が生じ得ます。発注先の選定は申請前に確認すべき事項です。

POINT

支払のタイミングにも注意が必要です。対象期間外分の賃借料(翌月分を前月末に前払いするケース)、対象期間外分の従業員人件費(月末締めの翌月払いのケース)、最後の支払が対象期間外となる分割払、対象期間外におけるクレジットカードの引落は、いずれも助成対象になりません。事業完了日の設定は、支払サイクルまで見込んで逆算することが重要です。

📊 このセクションの要点

助成対象経費は7区分で構成され、各区分に詳細な対象外規定が置かれています。器具備品は税込1万円以上50万円未満、正規従業員人件費は月額35万円、パート・アルバイトは日額8,000円が限度です。EC構築費、顧問契約、親族関係会社との取引、対象期間外の支払は全体を通じて対象外となる代表的な論点です。

助成金申請額の計算方法と申請額の設計

助成金申請額は、助成対象経費のうち事業費・従業員人件費・委託費のそれぞれに3分の2を乗じ、経費区分ごとに千円未満を切り捨てて算出します。事業費と従業員人件費の助成金申請額の上限は合計300万円、委託費の助成金申請額の上限は100万円です。

経費区分 所要金額の目安 交付申請額
事業費+従業員人件費 450万円以上 上限300万円
委託費(市場調査・分析費) 150万円以上 上限100万円
合計 600万円以上 下限100万円・上限400万円

募集要項は、よくある間違いとして2つのケースを挙げています。1つは交付申請額が所要金額の3分の2を超えているケース。もう1つは各区分の計算は正しいものの、交付申請額の合計が400万円を超えているケースです。400万円の申請を行う際に所要金額の合計を600万円ちょうどに調整するケースが見受けられるが、所要金額の合計は600万円以上であっても問題ないとも明記されています。無理に経費を圧縮して整合性を崩すより、実態に即した所要金額を計上したうえで交付申請額を上限内に収める方が、審査上も実績報告上も安全です。

📊 このセクションの要点

上限400万円を得るには助成対象経費600万円以上が必要で、うち委託費が150万円以上でなければ100万円枠を使い切れません。所要金額を600万円ちょうどに合わせる必要はなく、実態に即した金額を計上したうえで交付申請額を上限内に収める設計が適切です。

申請から助成金支払いまでの流れと必要書類

令和8年度第2回のスケジュールは次のとおりです。申請から交付決定まで約5か月、そこから最長2年の助成対象期間、さらに実績報告と検査を経て助成金が支払われます。

時期 プロセス
令和8年9月中旬 令和8年度第2回申請者用電子申請マニュアル公開予定
令和8年9月29日〜10月8日 申請受付(Jグランツによる電子申請)
令和8年12月中旬頃 書類審査結果の通知(Jグランツにて連絡)
令和9年1月5日 法人設立可能な期限としての基準日(面接審査開始日の前営業日)
令和9年1月6日〜1月14日 面接審査(平日日中/代表者本人が会場へ来場/日本語で実施)
令和9年3月上旬 総合審査を経て審査結果を通知。採択者には交付決定通知書を発行
令和9年3月1日 交付決定日(予定)。助成対象期間の開始
令和9年9月以降 6か月経過以降、1回に限り中間報告による中間払が可能
最長 令和11年2月28日 事業完了日。以降、実績報告・完了検査を経て助成金確定・支払

申請時に必要となる書類

提出書類は6分類です。ファイル名の付け方まで指定されており、ZIPにまとめず単体データで提出することが求められます。

書類 内容と留意点
申請書等 創業助成事業申請書(指定様式・全ページ)と反社会的勢力排除に関する誓約事項(申請書別紙)。指定様式以外の添付資料は提出不可
確定申告書等 直近2期分。法人は別表一〜一六、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、法人事業概況説明書等。個人事業主は確定申告書第一表・第二表と収支内訳書または青色申告決算書。1期目の法人・創業予定の個人は不要
登記・開業関係 法人は履歴事項全部証明書の原本(発行後3か月以内・法務局の窓口または郵送で取得したもの)。個人事業主は個人事業の開業・廃業等届出書
納税証明書等 法人は法人都民税・法人事業税の納税証明書の原本。個人事業主は令和7年度分の住民税納税証明書と事業税納税証明書の原本。発行機関は都道府県税事務所と区市町村であり、税務署で取得する国税の納税証明書ではない
本人確認書類 運転免許証・パスポート・マイナンバーカード(個人番号は黒塗り)・在留カード等のいずれか1つ
申請要件確認書類 指定された創業支援事業の利用を証明する書類いずれか1つ。所定様式でない場合は不通過となる

公社は、書類審査で不通過となりやすい不備として6つのポイントを挙げています。申請書Excelの一部のみをPDF化してしまっている、確定申告書の一部書類が不足している、履歴事項全部証明書ではなくインターネットで取得した登記情報を提出している、納税証明書の税金の種類や年度が誤っている(国税の納税証明書を提出してしまう)、指定された創業支援事業の利用を証明する書類が所定のものと異なる、指定様式以外の添付資料を使用している、という内容です。いずれも事業計画の質とは無関係な形式的不備であり、これで不通過となるのは避けたいところです。

代理申請機能の取扱い

Jグランツ上の代理申請機能を使用することで、申請手続を申請者に代わり第三者が行うことができます。ただし、申請の確認および提出は申請者自身が行う必要があり、申請受付以降の手続きも申請者自身が行います。助成対象経費に関与する事業者(外注先事業者)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者は代理申請を請け負うことができません。代理申請を行う場合は、申請者が「同意書(代理申請用)」を作成し、公社指定の様式でJグランツ申請フォームの指定箇所にアップロードします。

📊 このセクションの要点

申請から交付決定まで約5か月を要し、令和9年(2027年)1月には代表者本人が出席する面接審査があります。提出書類は6分類で、履歴事項全部証明書の原本、都道府県税事務所発行の納税証明書など取得に時間を要するものが含まれます。形式的な不備による書類審査不通過が繰り返し指摘されています。

審査の視点と評価される事業計画の条件

審査は、書類審査(形式審査・内容審査)、面接審査、総合審査の3段階で行われます。公社は審査の主な視点を明示しており、申請書の各項目と評価軸が1対1で対応する構造になっています。

評価軸 問われる内容
製品・商品・サービス内容の完成度 具体的な内容、適切な価格設定、実施する時期や場所等について説明できているか
問題意識・潜在力の明確さ 創業によって解決可能な社会課題、経営理念、ビジョンが明確か。自身の強み・弱みとその補強方法が明確か
対象市場に対する理解度・適応性 想定顧客が明確か。市場規模・特徴・成長性を的確に把握しているか。競合他社との差別化・優位性が明確か
事業の実現性 収益獲得の仕組みが適正か。製造・調達ルートが的確か。販売戦略が的確か。想定リスクと回避方法が検討されているか
助成金の活用方法の有効性 事業への助成金の活用方法が事業の拡充等に効果的か
スケジュール・経営見通しの妥当性 経営計画・経営見通しが実現の見込める内容か
資金調達の妥当性 助成対象期間中に必要な資金調達が見込めるか。助成金の交付がない場合でも事業継続が可能な収支計画か
申請経費の妥当性 事業計画に必要な経費が計上され、販売計画や経営収支と連動しているか

この評価軸から読み取れるのは、計画全体の整合性が繰り返し問われているという点です。助成対象経費は事業計画書⑤「助成金の活用方法」と連動していなければならず、さらに資金繰り表・経営見通し・資金計画とも整合していなければなりません。事業内容の説明は魅力的でも、資金繰り表の売上見込みと販売戦略が噛み合っていない、経費明細と助成金活用方法の記述が対応していないといった不整合は、実現性への疑念として評価に反映されます。

面接審査についても制約を把握しておく必要があります。面接審査当日は書類申請時に提出した書類のみ使用可能であり、パソコン等の電子機器類、説明を行うための追加書類、商品・サービスのサンプル等の持込・配布はできません。通訳等を除き代表者以外の入室は認められず、指定日時に来場しない場合は申請を辞退したものとみなされます。申請書に書ききれなかった内容を当日の資料で補うという発想は通用しません。

📊 このセクションの要点

審査は8つの評価軸で構成され、事業内容・市場理解・実現性・助成金活用・経営見通し・資金調達・経費妥当性の整合性が一貫して問われます。面接審査では申請時に提出した書類しか使用できず、追加資料やサンプルの持込はできません。申請書の完成度がそのまま面接審査の武器になります。

採択実績の推移から読む難易度

公社が公表する過去の申請者数・採択者数から、年度別の採択率を整理します。

年度 申請者数 採択者数 採択率
平成29年度(2017年度) 863者 115者 13.3%
平成30年度(2018年度) 600者 151者 25.2%
令和元年度(2019年度) 808者 152者 18.8%
令和2年度(2020年度) 1,037者 156者 15.0%
令和3年度(2021年度) 1,140者 157者 13.8%
令和4年度(2022年度) 1,210者 162者 13.4%
令和5年度(2023年度) 1,060者 157者 14.8%
令和6年度(2024年度) 1,053者 208者 19.8%
令和7年度(2025年度) 1,225者 201者 16.4%

推移から読み取れる事実は3点あります。第一に、申請者数は令和2年度(2020年度)以降1,000者を超える水準で高止まりしており、令和7年度(2025年度)の1,225者は公表されている範囲で最多です。第二に、採択者数は令和5年度(2023年度)までは概ね150件台で推移していましたが、令和6年度(2024年度)に208件へ大きく増加し、令和7年度(2025年度)も201件と200件台を維持しています。第三に、その結果として採択率は令和4年度(2022年度)の13.4%を底に、令和6年度19.8%、令和7年度16.4%と回復傾向にあります。

令和7年度を回別に見ると、第1回は申請593件・採択93件(うち辞退2件)で採択率15.7%、第2回は申請632件・採択108件(うち辞退1件)で採択率17.1%でした。回による大きな差はなく、どちらの回に申請しても難易度は概ね同水準と整理されます。

POINT

採択率16%台という数値は、国の主要補助金と比較しても低い水準です。参考までに、新事業進出補助金の第1回は37.2%、第2回は35.4%でした。創業助成事業は、上限400万円・助成率3分の2という条件の裏側で、それに見合う競争環境にあると認識する必要があります。

📊 このセクションの要点

令和7年度(2025年度)は申請1,225者に対し採択201者、採択率16.4%でした。採択者数は令和6年度以降200件台を維持しており、採択率は令和4年度の13.4%を底に回復傾向にあります。回による難易度の差はほとんどありません。

令和7年度採択198件の分析から見える傾向

公社は採択者一覧を公表しており、法人名・代表者名とともに「助成事業概要」(30文字以内)が掲載されています。壱市コンサルティングでは、令和7年度第1回(91件掲載)と第2回(107件掲載)の合計198件の助成事業概要を分野横断的に分析しました。以下の集計はキーワードによる分類であり、1件が複数の分野に該当する場合があります。

分野・要素 該当件数(198件中) 構成比
ものづくり・製品開発・技術サービス 48件 24.2%
デジタル関連(AI・DX・アプリ・SaaS等) 44件 22.2%
医療・福祉・ヘルスケア 38件 19.2%
飲食・食品 37件 18.7%
AI(生成AIを含む明示的言及) 24件 12.1%
子育て・教育・スクール 24件 12.1%
地域・まちづくりへの言及 21件 10.6%
DX(明示的言及) 12件 6.1%
伝統・工芸・和文化 12件 6.1%
建設・建築・不動産 11件 5.6%
人材・採用支援 8件 4.0%
インバウンド・越境・海外展開 8件 4.0%

傾向1 特定業種への偏りはなく、間口は広い

198件の採択事業を俯瞰して最初に確認できるのは、業種の偏りが小さいことです。ものづくり・技術サービスが24.2%、デジタル関連が22.2%、医療・福祉・ヘルスケアが19.2%、飲食・食品が18.7%と、複数の領域が拮抗しています。国の補助金では対象業種や事業類型が絞られることが多いのに対し、創業助成事業は業種要件を設けていないため、この分散はそのまま制度の間口の広さを反映しています。

実際に令和7年度第2回では、超先端的な技術事業と、地域に根差した小規模な店舗事業が同じ回で並んで採択されています。「CNC旋盤の無人運転を実現するAI×ロボットサービス」「皮膚創傷洗浄装置の開発・販売」といった技術事業がある一方で、「日本料理店の運営」「創作和菓子店」「小岩の本格寿司」といった飲食店の開業も採択されています。技術的先進性がなければ採択されない制度ではないことは、事例から明確に読み取れます。

傾向2 AI活用が急速に一般化している

助成事業概要に「AI」を明示的に含む案件は198件中24件(12.1%)でした。第1回が10件、第2回が14件と、半年で増加しています。デジタル関連を広く取れば44件(22.2%)に達します。

注目すべきは、AIが「IT企業の事業」に限定されていない点です。訪問看護ステーションの業務支援AIツール、産業保健業務のDX、発達障害児のために声を画像化するスマホアプリ、AIタブレットによる高齢者の認知症予防と見守り、医療介護領域のクラウド型情報連携支援など、医療・福祉分野へのAI実装が明確な潮流となっています。同様に、車載AIソフトウェア、AI空調制御と薄型太陽光の組み合わせ、空間情報科学とAIによる都市DX、生成AIによる画像加工SaaSなど、産業横断的にAIが手段として組み込まれています。

この傾向は令和8年度以降の申請にも示唆を与えます。AIを使うこと自体はもはや差別化要因になりにくく、どの現場の、どの非効率を、どのように解消するのかという具体性が問われる段階に入っていると理解するのが実態に近い見方です。

傾向3 社会課題の解決が明示されている

申請要件3には「事業内容が、都内経済への波及、社会貢献、課題解決につながるものであること」が定められ、審査の視点にも「創業によって解決可能となる社会課題」が明記されています。この評価軸は、採択事業概要にそのまま表れています。

医療・福祉・ヘルスケア分野が38件(19.2%)を占めることに加え、障害児通所支援、放課後等デイサービス、児童発達支援、不登校支援のフリースクール、発達に特性のある子どもを対象とした学習塾、教員不足を解決する学校業務推進モデル、介護予防事業の業務代行など、公的サービスの隙間を埋める事業が数多く採択されています。地域・まちづくりへの言及も21件(10.6%)にのぼり、日野市、府中市、福生市・羽村市、中野、日本橋浜町、小岩、蒲田、池袋、新橋といった具体的な地名を掲げた事業が並びます。

POINT

採択者の助成事業概要は30文字以内という制約のもとで書かれています。その短い文字数のなかに「誰のどの課題を、どう解決するか」が収まっている案件が多く、事業の焦点が絞り込まれていることが窺えます。事業計画の全体が定まっていれば、30文字で説明できるはずです。逆に30文字でまとめられない場合、計画の焦点がまだ定まっていない可能性があります。

傾向4 個人事業主の採択が一定割合を占める

採択者一覧では、法人名の記載がない行が個人(個人事業主・創業予定の個人)による採択です。令和7年度第2回の107件のうち、法人名の記載がないものは約4割にのぼります。第1回でも同様の傾向が見られます。法人化していなければ採択されないという事実はありません。ヘアサロン、整体、助産院、パーソナルトレーニングジム、学習塾、飲食店など、個人事業として立ち上げる事業が数多く採択されています。

ただし、個人・個人事業主として申請する場合は法人設立のタイミングに厳格な制約が課されます。この点は後段の注意事項で詳述します。

📊 このセクションの要点

令和7年度採択198件を分析すると、ものづくり24.2%、デジタル関連22.2%、医療・福祉・ヘルスケア19.2%、飲食・食品18.7%と業種の偏りは小さく、制度の間口は広いことが確認できます。AI活用は12.1%に達し医療・福祉分野への実装が進んでいます。社会課題解決と地域密着が一貫した評価軸であり、個人事業主の採択も一定割合を占めます。

採択に近づくための実践的な戦略

ここまでの制度理解と採択事例の分析を踏まえ、実務上有効と考えられる論点を整理します。

申請要件2の充足経路を最短で確定させる

令和8年度第2回の申請受付は令和8年(2026年)9月29日開始です。プランコンサルティングによる要件充足には概ね3か月を要するため、今から着手して第2回に間に合わせることは困難です。しかし、既に創業融資を受けている、区市町村の特定創業支援等事業の証明を持っている、創業支援施設に入居しているといった場合は、すでに要件を満たしている可能性があります。まず自身が23の経路のいずれかに該当していないかを確認することが、判断の出発点になります。

第2回に間に合わない場合は、令和9年度(2027年度)第1回を目標に据えることになります。令和8年度第1回の受付は令和8年4月7日から16日でしたので、翌年度も同様のスケジュールであれば、今から準備すれば十分に間に合います。要件充足のための行動を先に開始し、その過程で事業計画を練り上げるという順序が合理的です。

経費構成を「事業計画から逆算する」

審査の視点には「事業計画に必要な経費が計上され、販売計画や経営収支と連動しているか」が明記されています。上限400万円という金額から逆算して経費を積み上げる発想は、この評価軸と正面から衝突します。

正しい順序は、事業計画を先に固め、その実行に不可欠な経費を洗い出し、そのうち助成対象となるものを抽出し、結果として助成金申請額が決まるという流れです。下限100万円を満たせないのであれば、そもそも申請の時期尚早である可能性を検討すべきです。逆に、必要経費が600万円を大きく超えるのであれば、無理に600万円に圧縮する必要はありません。

事業計画書の5項目を独立させて書き切る

申請書の事業計画書は、製品・商品・サービス内容の詳細、申請者について、対象市場について、事業の実施について、助成金の活用方法という5つのブロックで構成されます。それぞれのブロックには「項目別に必ず記入願います」と指定された小項目があります。

ブロック 必ず記入すべき項目
製品・商品・サービス内容 種類、価格、規模・数量、場所、開始時期、時間帯。写真や図の活用が推奨されている
申請者について 創業に至った経緯・理由/創業によって解決可能となる社会課題/経営理念・ビジョン/創業者の強み・人脈・ノウハウ・弱みとその補強方法
対象市場について 想定顧客/対象市場の規模・特徴・成長性/競合他社との差別化内容、優位性、選ばれる理由
事業の実施について 収益獲得の仕組み/製造・調達ルート/販売戦略(顧客の獲得方法)/想定されるリスクとその回避方法
助成金の活用方法 助成対象経費明細の内容および総括表と連動させて記入

これらの小項目は審査の視点と完全に対応しています。記載を求められている項目を漏らすことは、その評価軸で加点を得る機会を自ら放棄することにほかなりません。特に「弱みとその補強方法」「想定されるリスクとその回避方法」は、自社に不利な情報を書く項目であるため省略されがちですが、事業の実現性を評価するうえで審査側が最も知りたい情報の1つです。

面接審査を申請書の延長として設計する

面接審査では追加資料の持込ができず、提出した申請書のみが手元にあります。したがって、申請書は「読まれる文書」であると同時に「面接で参照される資料」でもあります。数値の根拠、想定顧客の裏付け、競合との比較といった質問が想定される箇所については、申請書のどのページで説明したかを自身で把握しておくことが、当日の受け答えの安定につながります。

📊 このセクションの要点

まず自身が申請要件2の23経路のいずれかを既に満たしていないか確認することが出発点です。経費は上限額からの逆算ではなく事業計画から導き出し、事業計画書の指定小項目はすべて記入します。面接審査では申請書しか使えないため、申請書の完成度が当日の受け答えの質を規定します。

交付決定後に発生する義務と注意点

創業助成事業は、採択がゴールではありません。交付決定によって負担付贈与契約が成立し、複数年にわたる義務が発生します。

法人設立のタイミングという最大の落とし穴

創業予定の個人・個人事業主として申請した場合、交付決定は個人・個人事業主に対して行われ、助成対象となる事業は個人事業となります。この状態で助成対象期間中に法人設立を行うと、交付決定に付される条件により助成金を受給できなくなります

公社はこの問題に対応するため、法人設立可能な期限として基準日を設けています。令和8年度第2回の基準日は令和9年(2027年)1月5日(面接審査開始日の前営業日)です。申請後、基準日までに条件を満たしたうえで法人を設立し、法人名義の申請書と履歴事項全部証明書を提出することで、交付決定は設立した法人に対して行われます。申請後、基準日までに法人設立を予定している場合は、申請書の事業計画書の「法人設立予定日」欄に予定を記入します。

注意

基準日の翌日である令和9年(2027年)1月6日から事業完了日までの間に法人設立を行うと、助成金を受給できなくなります。個人事業として申請しながら助成対象期間中の法人化を視野に入れている場合、この制約は事業戦略そのものに関わります。なお、助成対象期間終了後に個人事業主から法人化を行い、助成事業者が当該法人の代表者として同一事業を行う場合は、事業活動を継続しているとみなされます。

助成事業完了後の5年間の義務

助成事業が完了した年度の翌年度から起算して5年間、次の義務が課されます。

義務 内容
事業活動・納税 登記または納税地を都内に置き、都内で実質的に事業活動を継続し、東京都に事業税・都民税を納税すること
関係書類の保存 助成事業に係る関係書類を5年間保存すること
企業化状況報告書 助成事業の実施状況について毎年報告書を提出すること
収益納付 5年間に助成事業の実施により収益を得た場合、収益の一部を公社に納付する場合がある。納付金の上限は助成額
財産の管理・処分 取得財産の管理状況を明らかにし保存すること。50万円以上の財産を未償却残高がある状態で処分する際は事前に公社の承認が必要

収益納付については免除規定が置かれています。収益納付額の計算期間中において赤字(営業利益、経常利益、純利益のいずれかが単体決算で赤字)を計上した企業、および計算期間中に継続して「中小企業の1企業(法人企業)当たりの経常利益」(中小企業庁「中小企業実態基本調査」)を超過していない企業は、収益納付を免除されます。創業期の事業者の多くはこの免除規定に該当する可能性が高いものの、事業が順調に成長した場合には納付の対象となり得るという構造は理解しておく必要があります。

📊 このセクションの要点

個人・個人事業主として申請した場合、令和9年(2027年)1月5日の基準日を過ぎて助成対象期間中に法人設立を行うと助成金を受給できません。助成事業完了後は5年間にわたり都内での事業継続・納税、企業化状況報告書の提出、収益納付、財産管理の義務が発生します。

まとめ

ポイント 内容
制度条件は全国屈指 上限400万円・下限100万円、助成率3分の2以内。賃借料・広告費・人件費という創業期の固定費を直接支援する設計で、設備投資型の国の補助金とは性格が異なる
申請要件2が実質的な入口 指定された23の創業支援事業のいずれかを利用済みであることが必須。プランコンサルティング経由では概ね3か月を要するため、準備の起点をいつ置くかで申請可否が決まる
対象経費の制約は細かい 器具備品は税込1万円以上50万円未満、人件費は月額35万円・日額8,000円が限度。EC構築費、顧問契約、親族関係会社との取引、期間外の支払は対象外
採択率は16%台 令和7年度(2025年度)は申請1,225者に対し採択201者で16.4%。採択者数は令和6年度以降200件台を維持しており、採択率は回復傾向にある
業種の間口は広い 採択198件の分析ではものづくり24.2%、デジタル関連22.2%、医療・福祉19.2%、飲食・食品18.7%と分散。技術的先進性がなければ採択されない制度ではなく、社会課題解決と地域密着が一貫した評価軸

よくある質問

Q1.まだ創業していませんが申請できますか。

A1.都内での創業を具体的に計画している個人であれば申請できます。ただし、申請要件2として指定された23の創業支援事業のいずれかを、公社が申請書を受理する時点で利用済みである必要があります。創業前の個人が採択された場合、交付決定後に速やかに開業し、税務署に提出済の個人事業の開業・廃業等届出書の写しを提出することが求められます。また、助成対象期間内であっても創業前に契約・履行・支出した経費は助成対象になりません。税務署に開業の届出を行って以降に契約・履行・支出した経費のみが対象となるため、開業のタイミングと経費発生のタイミングを整合させておく必要があります。加えて、創業前の個人の場合も令和7年度分の住民税納税証明書(令和6年中の所得に基づくもの)の原本提出が求められます。

Q2.経営経験5年未満という要件はどのように判定されますか。

A2.個人事業主としての期間と法人の登記上の代表者としての期間を通算して判定します。業種や事業の形態は問われず、申請した法人とは別の法人で代表者を務めていた期間も含まれます。雇われ社長や子会社の社長として事業を実施した期間も経営経験に含まれ、海外での経営経験も対象です。一方、個人事業の開業・廃業等届出書を提出していないフリーランスとしての活動期間は含まれません。休業である旨を記載した確定申告書を提出した個人事業主、休業の異動届出書を税務署に提出した法人代表者については、当該休業期間が除かれます。複数の事業を行い期間が重複している場合は通算して計算するため、A社で1年、B社で3年(うち1年はA社と重複)という場合、通算は4年ではなく重複を考慮した年数となります。判定に迷う場合は公社に事前確認することが確実です。

Q3.自宅を事務所にしている場合、家賃は助成対象になりますか。

A3.助成事業の実施に必要な空間が間仕切り等によって物理的に区分されていない住居兼店舗・事務所の賃借料は、助成対象になりません。募集要項は賃借料の対象外例として明確にこれを挙げています。逆に言えば、物理的に区分されており、各事業の専有部分の面積等で経費が按分可能であれば、対象となる余地があります。また、申請者となる法人、その代表者本人・配偶者、申請者となる個人事業主・配偶者、またはそれらの三親等以内の親族が所有する不動産に関する賃借料も対象外です。実家の一部を事務所として借りるといった形態は、この規定に抵触します。バーチャルオフィスの利用料も対象外ですが、バーチャルオフィス以外に都内で実質的に事業を行っている別の拠点が存在する場合は、申請要件そのものは満たします。

Q4.ECサイトの構築費用は助成対象になりますか。

A4.オンラインショップの出店費用、自社ホームページ内の商品・サービス販売ページに関する費用は助成対象外です。ホームページで予約・決済等を行うためのシステム構築費用、有料会員サイトの構築費用も同様に対象外とされています。助成対象となるのは、事業の案内や商品・サービスのPRを目的としたホームページの作成・運営費用であり、その範囲でレンタルサーバーやクラウド等の外部サーバー利用料も対象になります。なお、ホームページ制作を請け負う事業や、ホームページを使用して広告収入を得る事業を行う場合は、HP制作費用が製造原価に該当するため助成対象とならない場合があります。EC展開を計画の柱に据える事業者は、広告費として何を計上し何を自己負担とするかを申請前に切り分けておくことが重要です。

Q5.他の補助金と併願してもよいのでしょうか。

A5.併願自体は可能ですが、両方で交付決定を受けた場合はいずれか一方を取り下げる必要があります。対象となるのは、公社の「商店街起業・承継支援事業」「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」の助成金、および本助成金と同一経費への重複助成・補助となる助成金・補助金です。ここでいう同一経費とは同一の対象物に対して支払われる経費を指します。賃借料のように継続して支払われる経費は、助成対象期間の重複がなければ同一物件であっても対象となります。一方、パソコンなどの物品購入費は、同一の物品であれば対象外です。なお、この判定には別事業の事業主や別法人の代表者として受給した助成金・補助金も含まれるため、申請書の該当欄にはすべての実績を記入する必要があります。不採択により交付を受けなかったものは記入不要です。

Q6.一般社団法人や合同会社でも申請できますか。

A6.合同会社は申請できますが、一般社団法人・一般財団法人は対象外です。申請を行うことができるのは、中小企業基本法上「会社」に該当する法人であり、株式会社、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)、士業法人が該当します。特定非営利活動法人は、中小企業者と連携して振興に資する事業を行う、または中小企業者が主体となって設立したものという所定の要件を満たす場合のみ対象となります。対象外となるのは、一般社団法人、一般財団法人、事業協同組合、商工組合、有限責任事業組合(LLP)、労働者協同組合、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、農事組合法人、特定目的会社、任意のグループです。令和7年度の採択者一覧を見ても、株式会社と合同会社が多数を占めています。

Q7.助成金はいつ受け取れますか。資金繰りへの影響が心配です。

A7.助成金は後払いであり、助成対象期間の終了後に実績報告・検査を経て支払われます。令和8年度第2回で最短6か月の助成対象期間を設定した場合、交付決定日が令和9年(2027年)3月1日、事業完了日が同年8月31日となり、そこから実績報告と完了検査を経て支払われます。ただし、助成対象期間が6か月を超えている場合は、6か月経過以降に中間報告を行うことで1回に限り中間払を受けることができます。中間払でも「従業員人件費のみ」「委託費のみ」等の申請はできず、事業費を含める必要があります。募集要項も申請要件3で「助成対象期間の終了から一定の期間を経過した後に助成金が支払われる点を踏まえた資金計画であること」を求めており、立替払いを前提とした資金手当が不可欠です。

Q8.一度不採択になった場合、再申請できますか。

A8.不採択の場合は、申請要件を満たしていれば再度の申請が可能です。制限が課されているのは、本助成金に採択され助成金を受給した方による再度の申請です。ただし、辞退等により受給に至らなかった場合は、申請を行うための要件を改めて満たす場合に限り、1回のみ再度の申請ができます。公社は「辞退の内容が2回目の審査に影響することはありません」と明記しています。なお、申請は1人につき1件に限られ、同一の代表者が経営する複数の法人による申請は受付不可となります。また、他の申請者に対する公平性の観点から、申請書への個別のアドバイスは公社では行っていません。不採択の理由も個別には開示されないため、次回に向けた改善は自ら評価軸に照らして行う必要があります。

Q9.どのような業種が採択されやすいのでしょうか。

A9.特定の業種が有利という傾向は、公表データからは確認できません。令和7年度第1回・第2回の採択198件を分析すると、ものづくり・製品開発・技術サービスが24.2%、デジタル関連が22.2%、医療・福祉・ヘルスケアが19.2%、飲食・食品が18.7%と、複数の領域が拮抗しています。実際、AI×ロボットによる工作機械の無人運転や超小型人工衛星向けデバイス開発といった技術事業と、寿司店・焼鳥店・和菓子店といった飲食店の開業が同じ回で並んで採択されています。むしろ共通しているのは、対象顧客と解決する課題が明確であること、地域や社会課題との接続が示されていることです。なお、個人開業医の医業、風俗関連業、ギャンブル業、連鎖販売取引、催眠商法、霊感商法等は業種・業態として申請できません。

Q10.行政書士や中小企業診断士に申請を代行してもらえますか。

A10.Jグランツ上の代理申請機能を使用して第三者が申請手続を行うことは可能ですが、申請の確認および提出は申請者自身が行う必要があります。代理申請を行う場合は、申請者がGビズID上で受任者に委任の依頼を行い、受任者がJグランツ上で申請を作成します。申請受付以降の手続きも申請者自身が行います。また、公社指定様式の「同意書(代理申請用)」を作成し、Jグランツ申請フォームの指定箇所にアップロードする必要があります。助成対象経費に関与する事業者(外注先事業者)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者は代理申請を請け負うことができません。なお、面接審査は代表者本人が出席する必要があり、通訳等を除き代表者以外の入室はできません。専門家の役割は事業計画の磨き上げと形式要件の点検にあり、代表者自身が語れる計画に仕上げることが前提となります。

創業助成事業の申請をご検討の方へ

採択率16%台の制度で、要件確認から事業計画の設計までを伴走します

壱市コンサルティングは、中小企業診断士が代表を務める認定経営革新等支援機関(ID:109313013612)です。約30名の中小企業診断士・行政書士のパートナーネットワークとともに、補助金・助成金の申請支援と創業期の経営支援を行っています。創業助成事業は、申請要件の充足経路の選択と事業計画の完成度が結果を大きく左右する制度です。

📋 申請要件の該当性診断

申請要件1から4のうち、どこが充足済みでどこに不足があるかを整理します。特に申請要件2の23経路のうち、最短で満たせる経路をご提案します。

📊 事業計画書の設計と作成支援

審査の8つの視点に対応した事業計画書を、市場分析・競合分析・収益構造の各面から構築します。資金繰り表・経営見通し・助成対象経費明細の整合性まで点検します。

🏦 助成対象経費の切り分け

7区分にわたる詳細な対象外規定を踏まえ、計上可能な経費と自己負担とすべき経費を切り分けます。上限400万円の枠を実態に即して使い切る設計を行います。

🔄 交付決定後の伴走支援

実績報告に必要な証憑管理、中間払の活用、5年間の企業化状況報告まで、採択後に発生する実務を継続的にサポートします。

要件を満たしているかどうかの確認だけでも、早い段階で行うことが賢明です

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 自分が申請要件を満たしているのか判断できない
  • ✅ 令和9年度第1回に向けて、今から何を始めるべきか知りたい
  • ✅ 事業計画書のどこを書けば評価されるのかがわからない
  • ✅ どの経費が助成対象になるのか切り分けられない
  • ✅ 過去に申請して不採択になり、次回の改善点がわからない
  • ✅ 個人事業と法人設立のどちらで申請すべきか迷っている

お問い合わせはこちら

友だち追加 お問い合わせ