【令和8年度(2026年)】高知県の補助金を徹底解説|所得向上・賃金向上・新事業創出から国の主要補助金まで

高知県では、令和8年度(2026年)も若者の所得向上と持続的な賃上げを軸に、県独自の補助金が複数用意されています。中核となるのは所得向上推進企業等総合支援事業費補助金であり、これに賃上げ原資を下支えする補助金、新事業の創出を後押しする補助金などが組み合わさる構成です。

これらの県補助金は、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金といった国の補助金と組み合わせて活用できるものが少なくありません。県の制度を単体で見るのではなく、国の制度と一体で設計することが、高知県の事業者にとって最も実利のある使い方になります。

本記事では、高知県の事業者が令和8年度(2026年)に活用できる主要な補助金を、対象・要件・スケジュールの観点から網羅的に整理します。これから設備投資や賃上げ、新規事業を検討する経営者の方はもちろん、顧問先を支援する士業・支援機関の方にも参考になります。

高知県の補助金を取り巻く令和8年度(2026年)の全体像

高知県の補助金政策を理解するうえで核心となるのが、「若者の所得向上」と「高付加価値型経営への転換」という県全体の方針です。県の主力補助金は、単なる設備購入の補助ではなく、賃上げと付加価値向上を3年計画で約束させる設計になっています。これは国の補助金が「賃上げ」「生産性向上」に重点を移している流れとも一致しています。

令和8年度(2026年)の高知県の補助金は、おおむね次の4つの目的に整理できます。自社がどの目的に当てはまるかを最初に見極めることが、制度選びの出発点になります。

目的 該当する主な県補助金
高付加価値化・生産性向上 所得向上推進企業等総合支援事業費補助金
賃上げの下支え 賃金向上環境整備事業費補助金
新規事業・実証・製品開発 新事業創出支援事業費補助金
販路開拓・人材確保 事業戦略等推進事業費補助金(販路開拓支援)/地域外プロフェッショナル人材活用促進事業費助成金 ほか

ポイント:県補助金の多くは「県議会の予算議決が前提」「公募期間が短い」「先着・予算上限到達で早期終了する」という特徴があります。年度が替わる4月前後は特に動きが速く、情報を待ってから動くと間に合わないケースが頻発します。

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所得向上推進企業等総合支援事業費補助金(県の主力補助金)

高知県の補助金のなかで、中堅企業・中小企業にとって最も中心となるのが所得向上推進企業等総合支援事業費補助金です。若者の所得向上につながる高付加価値型経営への転換を目指す県内事業者の挑戦を後押しすることを目的としています。県内に本社または主たる事業所を持つ中堅企業・中小企業等が対象です。

補助対象となる6つの取組

この補助金が「総合支援」と名乗る通り、対象となる取組は幅広く設定されています。設備投資に限らず、ソフト面の取組も対象に含まれる点が特徴です。

取組 内容
高付加価値化 新商品開発やサービスの差別化等により顧客単価の向上を図る
生産能力の向上 生産設備への投資等により収量・生産量の拡大を図る
販路拡大 新市場開拓やリピーター獲得等により売上拡大を図る
経営組織の変革 経営形態の見直し等を通じて生産性向上を図る
人材育成 従業員の能力開発等を通じて生産性向上を図る
働き方改革 人材定着やモチベーション向上等を通じて生産性向上を図る

3つの枠と賃上げ要件

この補助金は、賃上げと付加価値向上の3年間の事業計画を策定することが前提です。求められる成長率の水準によって、複数の枠に分かれています。

求められる成長率(年平均)
横展開枠 「従業員1人あたりの給与支給総額」および「付加価値額」の年平均成長率2%以上(事業実施後1年目も2%以上)
先進枠 「給与支給総額」「従業員1人あたり給与支給総額」「付加価値額」の年平均成長率5%以上(事業実施後1年目も5%以上)。フォローアップ支援機関の指定が必要
100億企業枠 「高知県100億企業登録制度」への登録が必要。フォローアップ支援機関の指定が必要

あわせて満たす要件:「こうち男性育休推進企業」への登録、実施翌年度の事業効果報告と取組事例の調査・公表への同意が必要です。補助率・補助上限額は枠ごとに異なるため、最新の公募要領・交付要綱で必ず確認してください。

公募スケジュール

令和8年度(2026年)の1次公募は、令和8年4月20日(月)〜5月20日(水)17時必着で実施され、すでに募集を終了しています。次回公募の有無・時期は本記事執筆時点では未定であり、県の公式ホームページで順次案内される予定です。申請は電子フォーム(FormBridge/kintone連携)で受け付けられました。次回に向けては、決算書2期分の準備と、3年計画の数値設計を先行して進めておくことが現実的です。

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賃金向上環境整備事業費補助金(賃上げ原資の下支え)

令和8年度(2026年)に新たに用意されているのが賃金向上環境整備事業費補助金です。これは、国や県の生産性向上等に資する補助事業を活用して持続的な賃上げを目指す事業者に対し、補助事業の効果が現れるまでの間の賃上げ原資の一部を支援するものです。設備投資そのものではなく、賃上げを下支えする性格の補助金である点が特徴です。

項目 内容
対象事業者 県内に本社または主たる事業所を有する中堅企業・中小企業・個人事業主等で、県が指定する国または県の補助金(指定補助金)の交付決定を令和8年度に受けている者等。賃金を支払う従業員が1名以上いること
補助単価 対象従業員1人あたり10万円
補助限度額 1社あたり1,000万円(指定補助金に係る自己負担額が上限)。自己負担額が100万円未満の場合は、10万円×対象従業員数(上限100万円)
賃上げ要件 直近事業年度の決算で対前年度比2%以上の賃上げ、または令和7年12月1日〜令和8年12月1日の間に対前年同月比2%以上の賃上げ(指定補助金で賃上げ実績が交付要件である場合を除く)
公募期間 令和8年6月1日〜令和9年3月31日(予定)

活用の勘所:この補助金は「国や県の補助金の交付決定を受けていること」が入口になります。つまり、ものづくり補助金や省力化投資補助金などを先に押さえることで、後から賃上げ原資の補助も受けられるという二段構えの設計が可能です。本制度は県議会の予算議決が前提であり、内容が変更される可能性があるため、最新情報の確認が必要です。

新事業創出支援事業費補助金(新規事業・実証・製品開発)

既存事業の延長ではなく、新製品や新サービスの事業化に挑戦する事業者を支援するのが新事業創出支援事業費補助金です。新事業展開に向けた市場調査・実現可能性調査、事業化のための実証実験、製品開発等に係る取組が対象となります。所管は産業イノベーション課(高知県産学官民連携センター「ココプラ」内)です。

この補助金は、目的別に「新事業チャレンジ支援」「実証等支援・製品開発支援」といった区分で運用されます。県外企業が単独で申請する場合や、県内企業が幹事者でないコンソーシアムを構成する場合は、補助事業終了後2年以内に高知県内に事業所を設置することが求められるなど、県内への事業集積を意図した要件が設定されています。新製品開発や実証フェーズに資金を投じたい事業者にとって、有力な選択肢になります。

補足:補助上限額・補助率・公募回数は区分や年度によって異なります。新規事業の構想がある段階で早めに事務局へ相談し、自社の取組がどの区分に該当するかを確認しておくことが、採択の確度を高めるうえで有効です。

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販路開拓・人材確保を支える県の補助金

大型の設備投資や新規事業だけでなく、日常の事業活動を後押しする小回りの利く補助金も県には用意されています。とりわけ販路開拓と人材確保は、高知県の中小企業に共通する課題であり、関連する制度を押さえておく価値があります。

事業戦略等推進事業費補助金(販路開拓支援)

自社開発商品の新たな販路拡大を目的に、見本市への出展、コンテスト申込、外商促進セミナーの受講、栄養成分検査、広告掲載などにかかる経費の一部を補助する制度です。比較的少額ながら、外商に踏み出す最初の一歩を支える性格を持ちます。新商品を世に出すフェーズの事業者に向いています。

地域外プロフェッショナル人材活用促進事業費助成金

県外の高度人材を副業・兼業や正規雇用で活用する取組を支援する制度です。「副業・兼業活用推進枠」と「一般枠」が設けられており、県内だけでは確保が難しい専門人材を外部から取り込みたい事業者にとって有効です。デジタル化や新規事業の推進にあたり、社内に不足する専門知見を補う手段になります。

注意:これらの補助金は市町村単位の制度(高知市・室戸市・四万十市など)も多数存在し、所在地によって使える制度が異なります。本社・事業所のある市町村の公式情報を必ず確認してください。

高知県で使える国の主要補助金(県の制度と組み合わせる)

高知県の事業者は、県の補助金に加えて、国の主要補助金も当然に活用できます。むしろ金額規模では国の補助金のほうが大きく、県の賃上げ補助金と組み合わせる戦略が現実的です。令和8年度(2026年)に想定される国の主要補助金を整理します。

補助金 主な用途
ものづくり補助金 革新的な製品・サービス開発や生産性向上のための設備投資。令和8年度も継続見込みで、令和7年度補正予算では省力化・成長投資・賃上げへの重点化が進む
小規模事業者持続化補助金 小規模事業者の販路開拓・生産性向上。チラシ作成、ウェブ制作、店舗改装など小回りの利く取組に対応
中小企業省力化投資補助金 人手不足解消に向けた省力化設備の導入。オーダーメイド型は従業員規模に応じて高額の補助上限が設定
新事業進出補助金 既存事業とは異なる新市場・新分野への進出に伴う設備投資等を支援
デジタル化・AI導入補助金 業務効率化や売上向上に資するソフトウェア・AIツールの導入を支援(旧称の制度に代わる後継制度)

組み合わせの基本形:国の補助金で設備投資・デジタル投資を行い、その交付決定を入口として県の賃金向上環境整備事業費補助金で賃上げ原資の補助を受ける。これが高知県の事業者にとって最も合理的な「国+県」の重ね方です。国の補助金は公募回ごとに要件が変わるため、最新の公募要領を必ず確認してください。

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高知県の補助金を活用するための実践戦略

補助金は「公募が始まってから動く」のでは間に合いません。特に高知県の県補助金は公募期間が1か月程度と短く、予算上限到達で早期終了することもあります。採択を確実にするための実践的な順序を整理します。

まず3年後の数値計画から逆算する

所得向上推進企業等総合支援事業費補助金をはじめ、県の主力補助金は賃上げと付加価値額の3年計画が前提です。設備を選ぶ前に、3年後にどの水準まで給与支給総額と付加価値額を伸ばすのかを先に決め、そこから逆算して投資内容を組み立てることが、計画に一貫性を持たせる最短ルートです。

GビズIDなど申請インフラを先に整える

国の補助金ではGビズIDプライムの取得が必須で、発行までに数週間かかる場合があります。県補助金も電子フォーム申請が主流です。決算書2期分、登記事項証明書、納税証明書などの添付書類も、公募開始前に揃えておくことが望まれます。

「国+県」の重ね方を設計する

前述の通り、国の補助金の交付決定が県の賃上げ補助金の入口になる構造があります。単発で申請するのではなく、年間を通じた申請計画として複数制度を組み合わせることで、同じ投資から得られる支援額を最大化できます。認定経営革新等支援機関の関与が要件・加点になる制度もあるため、早い段階で支援機関に相談することが賢明です。

申請にあたっての注意点

補助金は採択されれば終わりではありません。交付後の実績報告・事業効果報告まで含めて一つの制度です。所得向上推進企業等総合支援事業費補助金では実施翌年度の事業効果報告と取組事例の公表への同意が、賃上げ補助金では賃上げ実績の証明が求められます。計画した賃上げが未達の場合、補助金の返還を求められるリスクがある点に注意が必要です。

また、県補助金は県議会の予算議決が前提であり、内容の変更・中止があり得ます。本記事の情報は執筆時点のものであり、申請の可否や金額の最終判断は、必ず最新の公募要領・交付要綱・事務局への確認にもとづいて行ってください。

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この記事のまとめ

ポイント 内容
① 県の主力は所得向上補助金 高付加価値化・生産能力向上・販路拡大など6分野が対象。横展開枠・先進枠・100億企業枠があり、賃上げと付加価値の3年計画が前提
② 賃上げ原資を県が下支え 賃金向上環境整備事業費補助金は従業員1人10万円・1社上限1,000万円。国・県の補助金の交付決定が入口になる
③ 新規事業は新事業創出補助金 市場調査・実証実験・製品開発を支援。区分が複数あり、早期の事務局相談が有効
④ 国+県の重ね方が要 国の補助金で投資し、県の賃上げ補助金を重ねる二段構えが高知県の事業者の合理的な使い方
⑤ 報告・返還リスクまで設計 採択後の事業効果報告・賃上げ実績証明まで含めて一つの制度。計画未達時の返還リスクに留意する

よくある質問(Q&A)

Q1.高知県の補助金は誰でも申請できますか?
A1.多くの県補助金は、県内に本社または主たる事業所を有することが前提です。所得向上推進企業等総合支援事業費補助金は中堅企業・中小企業等で常時雇用する従業員がいることが条件であり、業種・規模・賃上げ計画の有無などで対象が絞られます。新事業創出支援補助金のように県外企業が一定条件で申請できる制度もありますが、その場合は補助事業終了後に県内へ事業所を設置することが求められます。まずは自社の所在地と規模が各制度の対象に当てはまるかを確認してください。
Q2.所得向上推進企業等総合支援事業費補助金は今からでも申請できますか?
A2.令和8年度(2026年)の1次公募は令和8年5月20日で募集を終了しています。次回公募の有無・時期は本記事執筆時点では未定で、県の公式ホームページで案内される予定です。次回に備えるなら、決算書2期分の整理と、賃上げ・付加価値額の3年計画の数値設計を先行して進めておくことが有効です。公募開始を待ってから計画を作り始めると、1か月程度の短い公募期間では間に合わないことが多いためです。
Q3.賃金向上環境整備事業費補助金はいくらもらえますか?
A3.対象従業員1人あたり10万円で、1社あたりの補助限度額は1,000万円です。ただし指定補助金に係る自己負担額が上限となり、自己負担額が100万円未満の場合は10万円×対象従業員数(上限100万円)となります。前提として、県が指定する国または県の補助金の交付決定を令和8年度に受けていること、2%以上の賃上げが行われていることが要件です。設備投資の補助とは別建てで賃上げ原資を補う性格の制度であり、最新の交付要綱で金額の取扱いを確認してください。
Q4.国の補助金と県の補助金は併用できますか?
A4.同一の経費に複数の補助金を重複して充てることは原則できません。一方で、賃金向上環境整備事業費補助金のように「国・県の補助金の交付決定を受けていること」を要件とし、別の支援を上乗せする設計の制度もあります。つまり同じ経費に二重取りはできませんが、役割の異なる補助金を組み合わせる併用は可能です。どの経費にどの制度を充てるかの整理が重要であり、計画段階で経費を区分しておくことが採択後のトラブル防止につながります。
Q5.補助金は申請すれば必ずもらえますか?
A5.いいえ。県・国を問わず、多くの補助金は審査を経た採択方式です。事業計画の妥当性、賃上げ・付加価値向上の見込み、経費の積算根拠などが審査されます。さらに県補助金は予算上限に達した時点で受付を終了することがあり、要件を満たしていても申請の機会自体を逃すリスクがあります。採択の確度を高めるには、審査観点に沿った計画書の作成と、早期の準備・申請が欠かせません。
Q6.個人事業主でも対象になりますか?
A6.制度によります。賃金向上環境整備事業費補助金は中堅企業・中小企業・個人事業主等が対象に含まれ、所得向上推進企業等総合支援事業費補助金も個人事業主が決算書(青色申告決算書または白色申告収支内訳書)の2期分を提出する形で申請できる設計です。一方で法人を前提とする制度もあるため、各制度の公募要領で「補助対象者」の定義を確認することが必要です。国の持続化補助金やものづくり補助金も個人事業主が対象になります。
Q7.賃上げ計画が未達だったらどうなりますか?
A7.賃上げや付加価値向上を要件とする補助金では、計画が未達の場合に補助金の一部返還を求められる可能性があります。県の所得向上補助金は3年計画の成長率を約束する制度であり、国のものづくり補助金等でも賃上げ要件の未達時に返還リスクが設定されています。したがって、達成できる現実的な水準で計画を組むことが重要です。背伸びした数値で採択を狙うと、後年度の返還リスクを抱えることになるため、冷静にご判断ください。
Q8.デジタル化・AI導入補助金は高知県でも使えますか?
A8.はい。デジタル化・AI導入補助金は国の制度であり、高知県の事業者も全国の事業者と同様に申請できます。業務効率化や売上向上に資するソフトウェア・AIツールの導入が対象で、人手不足が深刻な地方の中小企業にとって有効な制度です。県の補助金と用途が重ならない範囲で組み合わせることで、デジタル投資と賃上げの双方を支援対象に乗せることが可能です。最新の公募要領で対象ツールや補助率を確認してください。
Q9.申請書類の作成は自社だけでできますか?
A9.自社作成は可能ですが、3年間の数値計画や審査観点を押さえた事業計画書の作成には相応の経験が求められます。先進枠・100億企業枠ではフォローアップ支援機関の指定が要件になるなど、外部の支援機関の関与が前提となる制度もあります。認定経営革新等支援機関や中小企業診断士などの専門家に相談することで、計画の一貫性や採択の確度を高められます。まずは無料相談の機会を活用し、自社に合う制度の見極めから始めるのが現実的です。
Q10.補助金活用で最も意識すべきことは何ですか?
A10.補助金は「目的ではなく手段」であるという視点です。補助金が取れるから設備を入れるのではなく、3年後にどのような経営状態を目指すのかという経営計画が先にあり、その実現を補助金が後押しするという順序が本来の使い方です。高知県の補助金が一貫して賃上げと付加価値向上を求めているのは、補助金を一過性の資金ではなく、稼ぐ力の底上げに使ってほしいという政策意図の表れです。この点を踏まえた計画づくりが、採択と事業成果の両方につながります。

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