【令和8年度(2026年度)】島根県の補助金とは?製造業・サービス業・デジタル化の主要制度を徹底解説

令和8年(2026年)に入り、島根県では県独自の補助金メニューが大きく拡充されました。製造業向けの大型補助金が複数創設され、サービス業の新事業展開支援、デジタル化支援、省エネ・脱炭素支援など、業種ごとに使える制度が出そろっています。県外の事業者にはあまり知られていませんが、島根県は全国制度に県独自の上乗せや特例が乗りやすく、地域によっては採択のハードルが相対的に下がる傾向があります。

島根県の補助金を正しく理解するうえで重要なのは、「国の補助金」と「県独自の補助金」を二層構造として捉えるという視点です。国の制度だけ、あるいは県の制度だけを見ていては、本来手にできるはずの資金を取りこぼすことになります。両者を組み合わせることで、県内の中小企業が活用できる補助金の総額は相当な規模に達します。

本記事では、令和8年度(2026年度)の島根県の主要補助金を、製造業・サービス業・デジタル化・雇用・事業承継の分野ごとに整理し、申請窓口や注意点まで網羅的に解説します。島根県内で設備投資や事業拡大を検討している経営者の方はもちろん、県内の事業者を支援する士業・支援機関の方にも参考になります。

島根県の補助金が「二層構造」になっている背景

島根県の補助金環境を理解するためには、この地域が抱える構造的な事情を俯瞰する必要があります。島根県は全国でも人口減少・高齢化が先行している地域であり、後継者不在による廃業や、製造業の生産性向上、エネルギーコストの高騰といった課題が、他県以上に切実なものとして現れています。

こうした事情を背景に、島根県では国の補助金(ものづくり補助金・事業承継引継ぎ補助金など)に加え、県が独自に予算を組んだ補助金メニューを毎年度整備しています。国の制度が「全国一律の底上げ」であるのに対し、県の制度は「地域特有の課題への上乗せ」という役割分担になっていると理解するのが実態に近い見方です。

特に令和8年度(2026年度)は、製造業支援が大きく強化されました。生産プロセスの変革、脱炭素化、エネルギーコスト削減という3つの軸で県独自メニューが追加され、製造業を営む県内の中小企業にとっては申請の選択肢が広がっています。

令和8年度(2026年度)島根県の主要補助金一覧

まず、令和8年度(2026年度)に島根県内で活用できる主要な県独自補助金を一覧で整理します。金額・期限は記事作成時点の公表情報であり、申請にあたっては必ず各制度の公式公募ページで最新情報を確認してください。

制度名 補助上限 主な対象
ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業補助金(第2回) 3,000万円 製造業の生産ライン自動化・工程DX・設備改革
ものづくり産業脱炭素化促進事業補助金 型により変動 製造業の炭素生産性向上・成長分野進出設備投資
飲食・商業・サービス業新事業展開支援事業補助金 600万円 飲食・商業・サービス業の新たな設備投資
中小企業デジタル導入加速化補助金 150万円 全業種のデジタル技術導入・サイバーセキュリティ対策
いきいき職場づくり支援補助金 80万円 全業種の働きやすい職場づくりの取組
事業承継新事業活動支援補助金 制度により変動 事業承継後の販路開拓・商品開発等

ポイント:島根県の補助金は、製造業向けの大型メニューと、サービス業・全業種向けの中小規模メニューに大別されます。自社の業種と投資内容に応じて、複数制度の併用可能性を含めて検討することが重要です。

製造業向け|生産プロセス変革・脱炭素・省エネの大型メニュー

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業補助金

令和8年度(2026年度)に島根県が新たに強化した目玉メニューが、ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業補助金です。第2回の公募では補助上限3,000万円と県独自制度としては大型で、生産ラインの自動化・工程のDX化・設備改革といった投資が対象となります。公募は令和8年(2026年)5月30日から7月31日にかけて予定されており、申請窓口はしまね産業振興財団です。

この制度は、単なる設備の更新ではなく、生産プロセスそのものを変革する投資を支援することを核心に据えた制度です。人手不足が深刻化する県内製造業にとって、自動化・省人化への投資を県の補助で後押しできる意義は大きいといえます。

ものづくり産業脱炭素化促進事業補助金

脱炭素への対応を設備投資の面から支援するのが、ものづくり産業脱炭素化促進事業補助金です。グリーン成長分野からの受注拡大に向けた設備投資、取引の確保・継続のための炭素生産性を増加させる設備投資、設備の配置変更、エネルギーの見える化などが対象で、事業内容によってA型からD型までの区分が設けられています。

締切は複数回設定されており、第1回が令和8年(2026年)6月22日、第2回が8月17日、第3回が10月15日となっています(いずれも17:00必着)。ただし事業予算の範囲で終了となる場合があるため、早めの準備が賢明です。制度全般の問い合わせ先は島根県商工労働部産業振興課(TEL:0852-22-5341)です。

高効率省エネ設備の導入支援

2050年カーボンニュートラルの実現と温室効果ガス排出削減目標の達成に向け、県内の中小企業者等が高効率省エネ設備を導入する場合の経費を補助するメニューも公募されています。補助上限は500万円で、複数の申請期間が設定されています。エネルギーコストの高騰に直面している製造業にとって、設備更新と光熱費削減を同時に進められる制度です。

サービス業・商業向け|新事業展開支援事業補助金

飲食店・小売業・サービス業など、製造業以外の事業者が活用しやすいのが、飲食・商業・サービス業新事業展開支援事業補助金です。原油価格・物価高騰対策として設けられた制度で、補助上限600万円・補助率4分の3(75%)と、補助率の高さが特徴です。

項目 内容
補助上限 600万円
補助率 4分の3(75%)
主な要件(一般枠) 県内に主たる事業所を有すること、物価高騰等の影響を受けていること、自社にとって新たな取組のための設備投資であること、3年以内に投資額以上の年間売上増を見込む計画であること
公募期間 令和8年(2026年)4月20日〜9月30日(1次5月29日/2次7月31日/3次9月30日)
問い合わせ 島根県中小企業課 商業・サービス業支援係(TEL:0852-22-5655)

この制度には一般枠のほかに、三菱マヒンドラ農機株式会社等との取引がある事業者を対象とした特別枠も設けられています。補助率75%という水準は、県独自制度としては非常に手厚いといえます。新メニュー・新サービスの開発や、新たな設備の導入を計画している事業者は、優先的に検討する価値があります。

デジタル化・DX向け|中小企業デジタル導入加速化補助金

業務効率化やDXを進めたい県内事業者に向けた制度が、中小企業デジタル導入加速化補助金です。全国向けのデジタル化・AI導入補助金とは別に、島根県が独自に整備しているデジタル化支援メニューで、ほぼ全業種が対象となります。

項目 内容
補助上限・下限 上限150万円/下限15万円(ハード・ソフト2事業の合計)
補助率 ハード事業3分の1以内/ソフト事業2分の1以内
主な要件 事業完了までにIPAのSECURITY ACTION(一つ星または二つ星)を宣言・登録すること
問い合わせ 島根県中小企業団体中央会 連携支援課(TEL:0852-21-4809)/島根県産業振興課 産業デジタル推進室

クラウド会計・クラウド勤怠・人事労務システムなどの導入費用に活用でき、生産性向上や売上拡大に資するデジタル投資が補助対象となります。サイバーセキュリティ対策に関する経費も対象に含まれている点が、近年の特徴です。

なお、より踏み込んだデジタル化を進める事業者向けには、専門家派遣事業の利用実績を前提とした「しまねデジタル推進伴走支援助成金」も用意されています。補助金とあわせて専門家の伴走支援を受けることで、導入後の定着まで見据えた取組が可能になります。

雇用・人材・事業承継向けの制度

いきいき職場づくり支援補助金

誰もがいきいきと働き続けられる職場づくりの取組を支援する制度です。補助上限80万円・補助率3分の1で、受付期間は令和8年(2026年)4月1日から令和9年(2027年)1月29日までと長く設定されています。「しまねいきいき職場宣言」を行った企業であることなどが要件です。申請受付は一般社団法人島根県経営者協会で行われ、問い合わせ先は島根県雇用政策課(TEL:0852-22-5297)です。

事業承継新事業活動支援補助金

後継者不在による廃業が全国平均以上の課題となっている島根県では、事業承継支援にも力を入れています。国の事業承継・引継ぎ補助金(上限最大600万円)に加え、県独自の事業承継新事業活動支援補助金が公募されており、承継後の新事業展開(販路開拓・商品開発等)の費用が補助対象となります。

国の補助金で承継コストをカバーし、県の補助金で承継後の新事業展開をカバーするという組み合わせが可能です。しまね産業振興財団内の事業承継・引継ぎ支援センターに早期に相談することで、補助金申請と並行して後継者マッチング支援を受けられる点も、島根県ならではの強みです。

副業・兼業人材の活用支援

県外の専門人材を副業・兼業の形で活用する取組を支援するメニューも整備されています。人材確保が難しい地方の中小企業にとって、フルタイム雇用ではなく副業人材という形で外部の知見を取り込む選択肢を、県の補助で後押しできる制度です。

国の補助金との組み合わせ戦略

島根県の補助金を最大限に活かすには、国の補助金と組み合わせる視点が欠かせません。製造業であれば国のものづくり補助金(地方加算あり)、デジタル投資であれば全国向けのデジタル化・AI導入補助金、事業承継であれば国の事業承継・引継ぎ補助金が、それぞれ県独自メニューの隣に存在しています。

重要なのは、同一の経費を国と県の両方から二重に補助を受けることは原則としてできないという点です。一方で、投資の性質ごとに制度を使い分けることや、年度をまたいで段階的に活用することは可能です。どの経費をどの制度に割り当てるかという設計が、補助金活用の成否を分けます。

組み合わせの考え方の例

大型の設備投資は国のものづくり補助金で、付随する省エネ設備は県の脱炭素化促進事業補助金で、業務システムは県のデジタル導入加速化補助金で——というように、投資対象ごとに最適な制度を割り当てる設計が有効です。制度ごとに公募時期・要件が異なるため、年間スケジュールを俯瞰した計画が前提となります。

申請にあたっての注意点

島根県の補助金を申請する際には、いくつか共通して注意すべき点があります。第一に、多くの制度が予算の範囲内で受付を終了するという点です。複数回の締切が設定されていても、予算が先に尽きれば後半の締切を待たずに終了します。早い締切回での申請が賢明です。

第二に、制度ごとに申請窓口が分かれている点です。しまね産業振興財団、島根県中小企業団体中央会、島根県商工会連合会、島根県経営者協会など、制度によって受付主体が異なります。自社が使いたい制度の正しい窓口を確認することが、申請の第一歩です。

第三に、補助金は原則として後払い(精算払い)であるという点です。交付決定後に事業者が一旦経費を立て替え、実績報告を経て補助金が支払われます。手元資金や資金繰りの計画とあわせて検討することが重要です。

まとめ|令和8年度の島根県補助金で押さえるべき5つのポイント

ポイント 内容
① 二層構造で捉える 国の補助金と県独自の補助金を組み合わせることで、活用できる総額が大きく変わります。
② 製造業は大型メニューが充実 生産プロセス変革(上限3,000万円)・脱炭素化・省エネの3本柱が令和8年度に強化されました。
③ サービス業は補助率75% 新事業展開支援事業補助金は補助率4分の3と手厚く、新たな設備投資に有効です。
④ デジタル化は県独自制度を活用 デジタル導入加速化補助金(上限150万円)はほぼ全業種が対象。SECURITY ACTION宣言が要件です。
⑤ 早期準備と窓口確認が鍵 多くの制度が予算の範囲で終了します。制度ごとに窓口が異なるため、早めの確認と準備が賢明です。

よくある質問(Q&A)

Q1.島根県の補助金は県外の事業者でも申請できますか?
A1.原則として、県内に主たる事業所を有することが要件です。島根県の補助金は県内産業の振興を目的としているため、多くの制度で「県内に主たる事業所を有する中小企業者等」が交付対象とされています。県外に本社があっても県内に事業所があれば対象となる場合がありますが、制度によって扱いが異なるため、必ず各制度の公募要領で対象者の定義を確認してください。
Q2.複数の補助金を同時に使うことはできますか?
A2.同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは、原則としてできません。一方で、投資対象ごとに制度を使い分けることは可能です。例えば、大型設備は国のものづくり補助金、業務システムは県のデジタル導入加速化補助金、というように経費を割り当てれば、複数制度の併用が成立します。どの経費をどの制度に割り当てるかという設計が、補助金活用の成否を分ける重要なポイントです。
Q3.製造業ですが、どの制度を優先すべきですか?
A3.投資の目的によって優先順位が変わります。生産ラインの自動化や工程のDX化が主目的であれば、上限3,000万円のものづくり産業生産プロセス変革等支援事業補助金が有力です。脱炭素や炭素生産性の向上が目的であれば脱炭素化促進事業補助金、純粋なエネルギーコスト削減であれば高効率省エネ設備の導入支援が適しています。投資内容を整理したうえで、最も適合する制度を選ぶことが重要です。
Q4.補助金はいつ支払われますか?
A4.多くの補助金は後払い(精算払い)です。交付決定を受けた後、事業者が一旦経費を立て替えて事業を実施し、実績報告と検査を経てから補助金が支払われます。つまり、申請時点で手元資金や資金繰りの計画が必要になります。資金繰りに不安がある場合は、つなぎ融資の活用も含めて、補助金申請と並行して資金計画を立てることが賢明です。
Q5.デジタル導入加速化補助金で対象になる経費は?
A5.生産性向上や売上拡大に資するデジタル技術の導入経費が対象です。具体的には、システム構築費、機器等の整備費、システム運用関連費、セキュリティ対策関連費などが含まれます。クラウド会計・クラウド勤怠・人事労務システムの導入費用も対象になり得ます。なお、補助事業の完了までにIPAのSECURITY ACTION(一つ星または二つ星)を宣言・登録することが要件となっている点に注意が必要です。
Q6.サービス業の新事業展開支援は何に使えますか?
A6.飲食・商業・サービス業等の事業者が、自社にとって新たな取組のために行う設備投資が対象です。補助率は4分の3(75%)、上限600万円と手厚い水準です。要件として、物価高騰等の影響を受けていること、3年以内に投資額以上の年間売上増を見込む事業計画であることなどが求められます。新メニューの開発や新サービスの提供に向けた設備投資を計画している事業者は、優先的に検討する価値があります。
Q7.事業承継を考えています。どの制度が使えますか?
A7.承継のフェーズによって使える制度が異なります。承継そのものの費用(M&A・親族外承継・廃業整理など)には国の事業承継・引継ぎ補助金(上限最大600万円)、承継後の新事業展開(販路開拓・商品開発等)には県独自の事業承継新事業活動支援補助金が活用できます。両者を組み合わせれば、承継コストと承継後の展開費用の両方をカバーできます。しまね産業振興財団内の事業承継・引継ぎ支援センターへの早期相談が有効です。
Q8.補助金の採択率を上げるには何が重要ですか?
A8.補助金の趣旨と自社の取組の整合性を、事業計画の中で明確に示すことが最も重要です。制度ごとに「何を支援したいのか」という政策目的があり、その目的に自社の投資がどう貢献するかを、具体的な数値とともに記述する必要があります。あわせて、投資後の売上・生産性の向上見込みを根拠とともに示すことが、審査での評価につながります。計画の論理性と実現可能性が問われると理解しておくことが重要です。
Q9.申請を専門家に依頼するメリットはありますか?
A9.制度選定の最適化と、事業計画の質の向上という二つの面でメリットがあります。島根県内には制度ごとに窓口が分かれた多数の補助金があり、自社にとって最適な制度を見極めること自体が容易ではありません。また、採択される事業計画には一定の構成や論理の型があり、その型を踏まえた書類づくりが採択率を左右します。中小企業診断士・認定経営革新等支援機関などの専門家は、制度選定から計画策定、申請後の実績報告まで一貫して支援できます。
Q10.補助金活用で経営者が最も意識すべきことは何ですか?
A10.「補助金を取ること」ではなく「補助金で事業をどう成長させるか」を起点に考えることです。補助金はあくまで投資を後押しする手段であり、目的ではありません。採択そのものをゴールにすると、補助対象になるからという理由で本来不要な投資をしてしまう本末転倒に陥りがちです。自社の経営計画の中に投資を位置づけ、その投資を補助金で前倒し・拡大するという順序で考えることが、補助金を真に活かす経営者の姿勢です。

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