【令和8年(2026年)】エイジフレンドリー補助金とは?3コース・補助率・申請期限を徹底解説

高年齢労働者の労働災害防止のために設備改善や専門家指導の経費を補助する「エイジフレンドリー補助金」の令和8年度(2026年度)版が、令和8年(2026年)5月20日から申請受付を開始しています。60歳以上の従業員を常時1名以上雇用する中小企業事業者であれば、業種を問わず活用できる制度です。

令和8年度は「専門家総合対策コース」「熱中症対策コース」「コラボヘルスコース」の3コースで構成され、コースによって補助率は2分の1から4分の3、上限額は30万円から100万円と幅があります。全ての申請者に交付されるわけではなく、高年齢労働者の雇用状況や取組計画を審査したうえで、効果が期待できるものに交付される「審査型」の補助金である点が特徴です。

とりわけ注意すべきは、交付決定日より前に発注・契約・購入を行った経費は、いかなる理由があっても補助対象外になるという運用ルールです。過去には、この点を誤解して補助金を受け取れなかった事例が数多く報告されています。

本記事では、令和8年度エイジフレンドリー補助金の対象要件・3コースの補助内容・補助対象経費の具体例・申請フロー・不採択や不支給を避けるための実務上の注意点までを、厚生労働省およびエイジフレンドリー補助金事務センターの公表資料に基づいて網羅的に解説します。初めて申請を検討される経営者の方はもちろん、顧問先への案内を検討されている士業・支援者の方にも参考になります。

Contents
  1. エイジフレンドリー補助金が創設された背景と政策的意義
  2. 制度の基本的な仕組みと申請の全体像
  3. 補助対象となる事業者の要件
  4. 3つのコースと補助率・上限額
  5. 補助対象になるもの・ならないものの具体例
  6. 申請スケジュールと必要書類
  7. 交付決定されても支払われない「不支給」を避けるために
  8. エイジフレンドリー補助金を活かすための実践的な視点
  9. この記事のまとめ
  10. よくある質問(Q&A)
  11. エイジフレンドリー補助金の活用なら壱市コンサルティング

エイジフレンドリー補助金が創設された背景と政策的意義

エイジフレンドリー補助金を理解するためには、この制度が生まれた背景にある「働く人の高齢化」と「高年齢労働者の労働災害」という構造的な課題を俯瞰する必要があります。

日本では労働力人口の高齢化が進み、60歳以上の高年齢労働者が事業活動を支える重要な担い手となっています。一方で、加齢に伴う身体機能の低下は、転倒・墜落・腰痛といった労働災害の発生リスクを高めます。厚生労働省の労働災害統計でも、休業4日以上の死傷者に占める高年齢労働者の割合は増加傾向にあり、とりわけ「転倒」による災害が大きな比重を占めています。

こうした状況を受け、厚生労働省は高年齢労働者の安全と健康を確保するための取組指針として「高年齢労働者の労働災害防止のための指針(エイジフレンドリーガイドライン)」を策定しました。令和8年度版の補助金では、令和8年(2026年)4月1日から適用される高年齢者の労働災害防止のための指針が前提となっており、経営トップによる方針表明・リスクの洗い出し・職場環境の改善・体力チェック・安全衛生教育といった一連の取組を、資金面から後押しするのがこの補助金の役割です。

この補助金は、労働保険のうち労災保険の原資を基に運営されています。そのため申請にあたっては、労災保険の加入状況と保険料の支払い状況が確認されます。制度の運営主体は一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会に置かれた「エイジフレンドリー補助金事務センター」であり、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が連携して周知を行う体制です。

単なる設備購入の補助ではなく、「リスクアセスメント(危険性・有害性の調査)を起点に、優先度の高い対策から実施する」という安全衛生管理の考え方そのものを制度に組み込んでいる点が、この補助金の本質です。この視点を理解しておくことが、採択される計画づくりの第一歩となります。

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制度の基本的な仕組みと申請の全体像

令和8年度エイジフレンドリー補助金の全体像を、まず数字で押さえておきましょう。制度の骨格は以下のとおりです。

項目 内容
制度名 令和8年度エイジフレンドリー補助金
運営 厚生労働省/一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会(エイジフレンドリー補助金事務センター)
コース数 3コース(専門家総合対策/熱中症対策/コラボヘルス)
交付申請受付期間 令和8年(2026年)5月20日〜10月31日(当日消印有効)
※専門家総合対策コース第1段階は8月31日まで
支払請求書提出期限 令和9年(2027年)1月31日(当日消印有効)
申請方法 郵送またはJグランツ(電子申請)/メールでの申請は不可
申請回数 1事業者につき年度内1回限り(複数コースの併願不可)

申請の大まかな流れは、「交付申請 → 審査 → 交付決定 → 取組の実施(発注・購入・工事) → 実績報告・支払請求 → 補助金の確定・支払い」という順序で進みます。ここで絶対に外してはならないのが、「交付決定の通知が届いてから発注・購入・工事に着手する」という順序です。この順番を守らないと、たとえ良い取組を実施しても補助金は1円も支払われません。

交付決定前の発注は「いかなる理由があっても」補助対象外

交付決定日より前に発注・契約・購入を行った経費は補助対象外です。また、交付決定後であっても、発注・契約・購入の前に取組を実施した場合、取組の全てが完了する前に代金を支払った「前払い」の場合も、補助金は支払われません。ネット購入も同様です。

補助対象となる事業者の要件

エイジフレンドリー補助金の対象となるのは、次の2つをいずれも満たす中小企業事業者です。

① 1年以上事業を実施していること

創業から1年以上経過していることが必要です。今年開設したばかりの事業場や新設倉庫で使用する機器の導入は、この基準に抵触するため補助対象外となります。

② 役員を除き、自社の労災保険適用の高年齢労働者(60歳以上)が常時1名以上就労していること

対象となるのは「60歳以上」の労働者です。労災保険の特別加入者(中小事業主等)や家族従事者は、ここでいう労働者には含まれません。役員も対象外です。

加えて、企業規模が中小企業事業者の範囲に収まっている必要があります。業種ごとの基準は以下のとおりで、「常時使用する労働者数」または「資本金・出資の総額」のいずれか一方を満たせば中小企業事業者に該当します。

業種 常時使用する労働者数 資本金・出資の総額
小売業(飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業を含む) 50人以下 5,000万円以下
サービス業(医療・福祉、宿泊業、娯楽業、教育・学習支援業など) 100人以下 5,000万円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
その他の業種(製造業、建設業、運輸業、農林漁業、金融・保険業など) 300人以下 3億円以下

社会福祉法人や医療法人のように資本金・出資がいずれもない場合は、常時使用する労働者数のみで判断されます。医療・福祉を含むサービス業であれば、法人全体で100人以下であることが要件です。

「常時使用する労働者」の数え方にも注意が必要です。企業全体(全ての事業所)の労働者数から、日々雇い入れられる者・2か月以内の期間を定めて使用される者・季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者・試用期間中の者を除いて数えます。この考え方は中小企業基本法における「常時使用する従業員」に準じています。

さらに、審査にあたっては過去1年以内に厚生労働省所管法令違反による行政処分・送検を受けていないこと、過去5年以内に補助金の交付決定取消し等を受けていないこと、暴力団等でないことといった要件も確認されます。

3つのコースと補助率・上限額

令和8年度は3つのコースが用意されています。複数コースを併せて申請することはできず、申請は1年度につき1回までです。まずは全体を一覧で確認しましょう。

コース 補助率 上限額 主な対象
専門家総合対策コース
第1段階
4/5 100万円
(第2段階と合算)
専門家によるリスクアセスメント
専門家総合対策コース
第2段階
1/2 100万円
(第1段階と合算)
職場環境改善(設備導入・工事)/運動指導・安全衛生教育
熱中症対策コース 1/2 100万円 暑熱環境での身体冷却機器等の導入
コラボヘルスコース 3/4 30万円 保険者と連携した健康保持増進の取組

なお、いずれのコースも補助率・上限額は消費税を除いた金額で算定されます。消費税や振込手数料は補助対象になりません。それぞれのコースを詳しく見ていきます。

専門家総合対策コース(職場環境改善・運動指導等)

このコースは、第1段階(リスクアセスメント)と第2段階(対策の実施)の2段階に分かれています。それぞれ別々に交付申請と交付決定の手続きが必要ですが、補助金の上限額は第1段階と第2段階を合わせて100万円です。

第1段階(A:リスクアセスメントの実施)では、労働安全衛生に係る外部専門家による、高年齢労働者の特性に配慮したリスクアセスメントを受ける経費が、補助率4/5で補助されます。ここでいう「専門家」とは、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント・労働災害防止団体法第12条に規定する安全管理士または衛生管理士を指します。

第2段階は、第1段階のリスクアセスメント結果を踏まえて、優先度が高いと判断された対策を実施するもので、補助率は1/2です。対策の内容によって、次の2つに分かれます。

B:設備・装置の導入その他の労働災害防止対策(熱中症対策を除く)

転倒・墜落災害防止対策、重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策、その他の高年齢労働者の労働災害防止対策など、ハード面の対策が対象です。

C:転倒防止・腰痛予防のための運動指導等/安全衛生教育

専門家による身体機能のチェックと運動指導、あるいは専門家による安全衛生教育など、ソフト面の取組が対象です。第2段階では、BとCのどちらか一方の対策について申請が可能です。

第1段階を省略して第2段階から申請することも可能

外部専門家の代わりに、自社の安全衛生担当者(安全管理者・衛生管理者・安全衛生推進者・衛生推進者。常時使用する労働者数が10人未満の場合は事業主も可)がリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえて第2段階から直接申請することもできます。この場合、第1段階の申請は不要で、リスクアセスメントの費用は補助対象になりません。自社実施のリスクアセスメントや安全衛生委員会等の審議は、令和8年(2026年)4月1日以降に実施したものが対象です。

補助金の計算イメージも押さえておきましょう。たとえば、専門家によるリスクアセスメントに20万円(第1段階の補助対象額は4/5で16万円)、優先度が高いと判断された対策の総額が200万円(第2段階の補助対象額は1/2で100万円)だった場合、合計の補助対象額は116万円となりますが、上限は100万円のため、補助金は第1段階16万円+第2段階84万円=合計100万円となります。

熱中症対策コース

60歳以上の高年齢労働者が安全に働けるよう、暑熱な環境による熱中症予防対策として、身体機能の低下を補う装置・装備の導入に要する経費を補助するコースです。補助率は1/2、上限額は100万円です。

ここでいう「屋外作業等」とは、屋外、または労働安全衛生規則第606条の温湿度調整を行ってもなお室温31℃または湿球黒球温度(WBGT)28℃を超える屋内作業場での作業を指します。屋内作業の場合は、温湿度調整を行ってもこの基準を下回らないことを説明する必要があります(例:炉があるため空間全体での温湿度調整ができない、など)。

補助対象となる機器の具体例としては、体温を下げる機能のある服や装備、作業場・休憩場所に設置する移動式のスポットクーラー(熱排気を屋外へ逃がせるもの、標準使用期間5年以上のものに限る)、アイススラリーや保冷剤を冷やすための専用の冷凍ストッカー(最大400Lまで)、深部体温を推定できるウェアラブルデバイスによる健康管理システムなどが挙げられます。

コラボヘルスコース

コラボヘルスとは、医療保険者と事業者が積極的に連携し、明確な役割分担のもとで労働者の健康づくりを効果的・効率的に実行することを指します。このコースは、コラボヘルス等の労働者の健康保持増進のための取組に要する経費を、補助率3/4・上限額30万円で補助します。

申請の前提として、事業者が実施した健康診断(事業主健診)の結果を保険者に提供していることが必要です。これを確認できる書類(保険者が発行する事業所カルテ・健康スコアリングレポート、受領書、健診機関への同意書・契約書など)を用意する必要があります。

補助対象となる取組は、健康診断結果等を踏まえた産業医・保健師・公認心理師・労働衛生コンサルタント等による禁煙指導・メンタルヘルス対策等の健康教育、健康診断結果を電磁的に保存・管理するシステムの導入(初期費用のみ)、栄養指導・保健指導等の健康保持増進措置などです。このコースでは健康器具など物品の購入はできない点に注意が必要です。メンタルヘルス対策は単独では申請できず、他の健康教育・研修等とセットで申請する必要があります。

どのコースが自社に合うかご相談ください

補助対象になるもの・ならないものの具体例

実務で最も悩みやすいのが「自社が導入したい設備は補助対象になるのか」という点です。Q&Aで示されている代表的な判断例を整理します。まずは専門家総合対策コース第2段階の労働災害防止対策から見ていきましょう。

分類 補助対象になるもの 補助対象にならないもの
転倒・墜落防止 労働者が出入りする部屋の段差解消、通路の滑り防止(防滑床材・グレーチング)、階段の手すり設置、床面から2m未満の高所作業台、労働者用通路の凍結防止マット 配線収納のための床嵩上げ工事、照明器具の変更、和式から洋式へのトイレ改修、2m以上の高所作業車、既存の滑り止めが老朽・劣化した場合の再施工
重量物・搬送 ハンドリフト、チェーンブロック(ホイスト含む)、重筋作業を補助するアシストスーツ クレーン(つり上げ荷重0.5トン以上)、乗用フォークリフト、テールゲートリフター、自動車整備用リフト
介護・医療 移乗介助の負担を軽減する機器、入浴用ストレッチャー・リフト・自動浴槽、片ひじが外せる介助式車いす、ノーリフトケアの修得研修 電動ベッド、褥瘡防止ベッド、見守り装置、体重測定装置(被介助者側の負担軽減と区別が困難なもの)
その他・共通 自社名義車両への後付けの踏み間違い防止装置 物品のリース代金、工具・生産機器・事務用機器・生産ライン(コンベア含む)、法令で導入義務のある安全機器、新車購入時オプション、据付けのための材料費・人件費

判断の軸になるのは、「高年齢労働者の身体機能の低下を補うものか」「高年齢労働者の労働災害リスクを低減する効果が認められるか」という点です。高年齢労働者に限らず、その機器がないと業務ができないようなものは補助対象になりません。また、顧客や施設利用者が利用する施設・設備の改善は、労働者の安全確保を目的としない限り対象外です。

熱中症対策コースでは、スポットクーラーやミストファン、電動ファン付き作業服が対象になり得ますが、扇風機・送風機・サーキュレーター、気化式冷風機、水冷式エアコン、大容量スポットクーラー、WBGT指数計、保冷剤・保冷温庫は対象外です。同じ「体温を下げる」目的の機器は、1人の高年齢労働者につきどちらか一つ、台数は高年齢労働者の人数分が上限となります。

令和8年度に対象外となった取組の例

補助対象は労働災害の発生状況や予算額を勘案して年度ごとに見直されます。令和8年度は、危険個所への安全標識・警告灯の設置、防滑靴、トラック荷台等の昇降設備の導入、事務室・作業場へのエアコン(工場扇・送風機を含む)の設置などが、引き続き対象外となっています。

申請スケジュールと必要書類

申請の受付は、コースによって審査サイクルが異なります。とりわけ専門家総合対策コースの第1段階は8月31日が申請期限で、他のコース・段階(10月31日)より2か月早い点に注意が必要です。第2段階、熱中症対策コース、コラボヘルスコースは、毎月末に取りまとめて翌月に審査という月次サイクルで運用されます。

区分 申請期限 審査サイクル
専門家総合対策コース 第1段階 令和8年8月31日 随時取りまとめ・随時審査
専門家総合対策コース 第2段階 令和8年10月31日 毎月末取りまとめ・翌月審査
熱中症対策コース 令和8年10月31日 毎月末取りまとめ・翌月審査
コラボヘルスコース 令和8年10月31日 毎月末取りまとめ・翌月審査

申請は郵送またはJグランツ(電子申請)で行い、メールでの申請はできません。郵送の場合は消印で受付日を確認するため、消印が確認できない料金別納・料金後納郵便や、受付日が確認できない宅配便では送付しないよう注意が必要です。申請書類は、機器の販売業者・工事の施工業者・運動指導を実施する業者や、社会保険労務士等が代理で提出することはできません。事業者自身が責任を持って申請する必要があります。

交付決定後に取組を実施したら、令和9年(2027年)1月31日(当日消印有効)までに実績報告書・精算払請求書を提出します。この期限を1日でも過ぎると補助金は支払われません。交付決定を受けた日から3か月以内の請求に努めることとされています。支払請求時には、発注書・納品書・請求書・銀行振込明細書といった証拠書類の添付が求められ、発注書等には必ず交付決定日以降の日付を記載する必要があります。

交付決定されても支払われない「不支給」を避けるために

エイジフレンドリー補助金で特に注意したいのは、「交付決定=入金確定ではない」という点です。交付決定を受けても、実際の取組が決定内容と異なっていたり、書類に不備があったりすると、補助金は支払われません。過去に不支給となった代表的なパターンを整理します。

不支給になりやすい主なパターン

・発注書等の日付が空欄、または交付決定日より前の日付になっていた

・交付決定通知書と同じ日付で発注していた(郵便事情を考慮すると不適切とされる)

・取組の全てが完了する前に代金を支払った(前払い)

・交付決定された実施計画と、実際に実施した取組内容が違った

・ローン・手形・小切手・電子マネー・プリペイド等での支払い(対象外)

これらを避けるための鉄則は、「交付決定通知書が手元に届いてから、内容を確認したうえで発注・契約する」「取組の全てが完了してから代金を支払う」「補助対象と補助対象外(自費購入分等)をまとめず、対象分のみで発注・請求・支払いを行う」という3点です。申請時に提出する見積書は交付決定前の資料であり、発注書とはみなされません。見積書を発注の資料として扱うと補助金は交付されないため注意してください。

申請、請求は現場だけでなく、交付決定後の発注・支払いも関わるため、総務・経理を含めた法人全体で一体的に対応することが求められます。物品の購入を急ぐからといって個別に審査を早めてもらうことはできず、証明書や控えの発行も行われないため、スケジュールには余裕を持たせておくことが賢明です。

エイジフレンドリー補助金を活かすための実践的な視点

この補助金を単なる設備購入の値引きとして捉えるのではなく、「高年齢労働者が安全に働き続けられる職場づくり」への投資として位置づけると、活用の幅が大きく広がります。実務上、意識しておきたい視点を挙げます。

第一に、リスクアセスメントを起点にすることです。第2段階の対策は、リスクアセスメントの結果で優先度が高いと判断されたものが対象です。厚生労働省の職場改善ツール「エイジアクション100」を基にリスクを洗い出し、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づく手法で詳細に評価すると、審査で求められる「リスクアセスメント結果を踏まえた対策」という要件を的確に満たしやすくなります。自社実施の場合は、安全衛生委員会等での審議記録や議事録を添付できるよう、令和8年4月以降の早い段階で審議の場を設けておくことが有効です。

第二に、申請コースと締切から逆算してスケジュールを組むことです。専門家総合対策コースを検討する場合、第1段階の期限は8月31日と早く、交付決定・リスクアセスメント実施・第2段階の申請・交付決定・対策実施・支払請求という長い工程を、令和9年1月31日までに終える必要があります。10月に申請すると交付決定が12月になり、事後チェックや支払請求が締切に間に合わないこともあるため、早めの着手が重要です。

第三に、過去の補助実績との重複を避けることです。過去に補助を受けた対策・取組と同一のものは対象外です。たとえば昨年度「重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策」で補助を受けた場合、今年度に同じ対策を再度申請することはできませんが、「転倒・墜落災害防止対策」など異なる対策であれば申請できます。同様に、コラボヘルスコースで過去に補助を受けた場合、翌年に別の取組内容であってもコラボヘルスコースの申請はできません。

第四に、予算に達すると受付が締め切られる点を踏まえることです。各コースには予算額が定められており、交付決定額が予算に達した場合は、受付期間の途中であっても申請受付が終了します。「まだ期限まで時間がある」と考えて先延ばしにすると、申請機会を逃すおそれがあります。導入したい対策が固まっているなら、早期の申請が有利です。

申請計画づくりを相談する

この記事のまとめ

令和8年度エイジフレンドリー補助金の要点を、5つのポイントとして整理します。

ポイント 内容
① 対象は60歳以上を雇う中小企業 1年以上事業を実施し、役員を除く労災保険適用の高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用する中小企業事業者が対象。
② 3コース・併願不可 専門家総合対策(上限100万円)・熱中症対策(上限100万円)・コラボヘルス(上限30万円)の3コース。複数併願はできず、年度内1回限り。
③ 交付決定前の発注は対象外 交付決定日より前の発注・契約・購入は、いかなる理由があっても補助対象外。前払いも不可。
④ 締切と予算に要注意 申請は10月31日まで(第1段階は8月31日)、支払請求は令和9年1月31日まで。予算到達で途中終了あり。
⑤ リスクアセスメントが起点 対策はリスクアセスメント結果で優先度が高いと判断されたものが対象。自社実施なら4月以降の審議記録を準備。

エイジフレンドリー補助金は、審査を経て交付が決まる「審査型」であり、運用ルールも細かく設定されています。制度を正しく理解し、コース選択・スケジュール・書類整備を丁寧に進めることが、確実に補助金を受け取るための近道です。

よくある質問(Q&A)

Q1.全ての申請者が補助金を受け取れますか?

A1.いいえ、全ての申請者に交付されるわけではありません。エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の雇用状況や対策・取組の計画を審査したうえで、効果が期待できるものに交付される審査型の補助金です。加えて、各コースには予算額が定められており、交付決定額が予算に達した場合は受付期間の途中でも申請受付が終了します。導入したい対策が固まっているなら、早期の申請が有利です。

Q2.申請してすぐに設備を購入してもよいですか?

A2.いいえ、交付決定通知が届くまで発注・購入はできません。交付決定日より前に発注・契約・購入を行った経費は、いかなる理由があっても補助対象外になります。過去には、発注書の日付が交付決定日より前になっていたために不支給となった事例があります。交付決定通知書が手元に届き、内容を確認してから発注・契約を行い、取組が全て完了してから代金を支払ってください。

Q3.複数のコースを同時に申請できますか?

A3.できません。複数コースの併願は不可で、申請は年度内1回限りです。3つのコースのうち、自社の課題に最も合うものを1つ選んで申請します。なお、専門家総合対策コースの第1段階と第2段階は別々に申請手続きを行いますが、これらは合わせて1回の交付申請とみなされます。どのコースが自社に適しているか迷う場合は、リスクの所在や導入したい対策から逆算して選ぶとよいでしょう。

Q4.リースで導入した設備は補助対象になりますか?

A4.いいえ、物品等のリース代金は補助対象外です。補助の対象は購入・工事・専門家指導などにかかる経費です。リースのほか、ローンによる支払い、手形・小切手・電子債権・電子マネー・プリペイドによる支払いも補助対象外です。また、消費税や振込手数料も補助の対象になりません。支払いは銀行振込で行い、取組が全て完了した後に代金を支払うのが原則です。

Q5.社会保険労務士に申請を代行してもらえますか?

A5.いいえ、社会保険労務士等による申請書類の提出代行はできません。本補助金は、中小企業事業者自らが責任を持って事務センターに申請するものです。機器の販売業者や工事の施工業者、運動指導を実施する業者が代わりに作成・提出することもできません。申請内容に不明点がある場合、事務局からの問い合わせは申請事業者宛てに行われます。士業が関わる場合は、あくまで計画づくりや助言といった支援の形になります。

Q6.昨年度に補助金を受けていても、また申請できますか?

A6.過去に補助を受けた対策・取組と同一でなければ申請できます。たとえば昨年度に「重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策」で補助を受けた場合、今年度に同じ対策を再度申請することはできませんが、「転倒・墜落災害防止対策」など異なる対策であれば申請可能です。ただしコラボヘルスコースは、過去に補助を受けていると取組内容が異なっても再度の申請はできません。以前不採択となった対策を、内容を見直して同一年度内に再申請することも可能です。

Q7.事務室にしか60歳以上の労働者がいない場合も対象になりますか?

A7.高年齢労働者の労働災害リスク低減効果が認められる取組であれば対象です。この補助金は高年齢労働者の労働災害防止のための取組に交付されるため、業務内容も踏まえて審査されます。作業現場に60歳以上がいない場合、その作業環境の改善は効果が認められにくいことがあります。ただし、転倒防止・腰痛予防のための運動指導、外部専門家による安全衛生教育、コラボヘルスコースについては、事務室勤務の高年齢労働者がいる場合でも補助対象となります。

Q8.運動指導はオンラインで受けても補助対象になりますか?

A8.いいえ、運動指導や専門家による指導は対面での実施に限られます。転倒防止・腰痛予防のための運動指導は、専門家が対面で「身体機能のチェック→運動指導→効果確認のチェック」の3段階を実施する必要があります。オンラインによる実施は補助対象外です。指導を行う専門家は、医師・理学療法士・作業療法士・健康運動指導士・柔道整復師・転倒予防指導士・アスレティックトレーナー・労働安全衛生コンサルタント等が該当します。自社で雇用する専門家が自社の労働者に実施する場合は補助対象外です。

Q9.他の補助金と併用できますか?

A9.同一の経費について他の補助金等の交付を受ける場合は、対象になりません。間接補助対象経費について、他の法令および予算に基づく補助金等の交付を受ける場合は、エイジフレンドリー補助金の交付対象とはなりません。労働災害防止や職場環境改善に関する補助金・助成金は複数存在するため、どの制度で何の経費を賄うのかを整理し、経費の重複がないように設計することが重要です。自社の状況に応じた制度の組み合わせは、専門家に相談するのが確実です。

Q10.申請にあたって最も意識すべきことは何ですか?

A10.「交付決定→発注→完了→支払い→請求」の順序を厳守することです。エイジフレンドリー補助金は、取組の中身よりも先に、この手続きの順序でつまずいて不支給になる事例が目立ちます。交付決定通知が届く前に発注しない、取組が完了する前に前払いしない、対象分のみで発注・請求・支払いを行う、という基本を守ることが最優先です。そのうえで、リスクアセスメントを起点に効果の高い対策を選び、締切と予算から逆算して早めに動くことが、確実な受給につながります。

エイジフレンドリー補助金の活用なら壱市コンサルティング

「取れる補助金」ではなく「安全な職場づくり」への投資として

壱市コンサルティングでは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、補助金の申請支援にとどまらず、その先の経営改善・職場環境の改善までを見据えた伴走支援を大切にしています。エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者が安全に働き続けられる職場づくりへの第一歩です。制度を正しく使い切るための計画づくりを、現場目線でサポートします。

📋 コース選択と申請計画の設計
3コースのうちどれが自社に適しているか、リスクの所在と導入したい対策から逆算して整理します。締切・予算・スケジュールを踏まえた無理のない申請計画を一緒に組み立てます。

🛡️ 不支給リスクの回避
「交付決定前の発注」「前払い」「対象外経費の混在」といった、不支給につながりやすい落とし穴を事前に洗い出し、書類整備と社内フローの構築を支援します。

🔄 実績報告・支払請求までの伴走
交付決定後の発注から実績報告・精算払請求まで、期限(令和9年1月31日)に間に合うよう進捗を管理し、必要書類の準備をサポートします。

💼 他制度との組み合わせ提案
デジタル化・AI導入補助金やものづくり補助金など、他の支援制度との整理・組み合わせも含め、自社に最適な資金活用の全体像をご提案します。

「どのコースで、いつ、何を申請すべきか」が固まっていない段階こそ、最も相談する価値のあるタイミングです。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

✅ 60歳以上の従業員がいるが、どの対策が補助対象になるか分からない

✅ 3コースのうちどれを選べばよいか判断できない

✅ 交付決定前の発注など、手続きのルールが不安

✅ リスクアセスメントや安全衛生委員会の記録の作り方が分からない

✅ 実績報告・支払請求まで期限内に確実に進めたい

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