【令和8年度】経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(新市場・新分野進出コース)|助成上限1,000万円・申請スケジュール・他コースとの違いを徹底解説

令和8年(2026年)6月、東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」)は、都内中小企業向けの助成制度「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(新市場・新分野進出コース)」の令和8年度第1回募集要項を正式に公表しました。申請受付期間は令和8年(2026年)7月1日(水)午前9時から7月14日(火)午後4時までのわずか2週間で、Jグランツによる電子申請のみが受け付けられます。

本コースは、既存事業の深化・発展を支援する「業務改善コース」「賃上げ重点コース」とは異なり、新製品・新サービスの開発と新市場・新分野への進出の両方に取り組む事業者を対象とした、より挑戦的な経営の多角化を後押しする位置づけです。助成限度額は1,000万円と3コース中最大で、賃金引上げ計画を策定すれば助成率は最大4/5にまで引き上げられます。

本記事では、本コースの制度概要、申請要件、助成対象経費、申請から助成金交付までのスケジュール、他コースとの違い、賃金引上げ計画による特例助成率の活用方法までを網羅的に解説しています。新規事業展開を検討している経営者の方はもちろん、補助金申請支援に取り組む士業・コンサルタントの方にも参考になります。

本記事のポイント

本コースは「新製品・新サービスの開発」と「新市場・新分野への進出」の両方を一体的に行う事業が対象となります。既存事業の延長線上にある取組は対象外であり、業務改善コース・賃上げ重点コースとは申請対象事業が明確に区別される点に注意が必要です。

Contents
  1. 制度誕生の背景と政策的意義
  2. 制度の基本的な仕組みと目的
  3. 事業概要|助成限度額・助成率・対象期間
  4. 申請要件|誰が申請できるのか
  5. 助成対象経費|何にいくら使えるのか
  6. 申請から助成金交付までのスケジュール
  7. 3コースの違い|どのコースを選ぶべきか
  8. 賃金引上げ計画と特例助成率の活用
  9. 制度活用の実践的戦略
  10. 注意事項|申請前に押さえるべき制度上の制約
  11. まとめ|本コース活用の5つのポイント
  12. よくあるご質問(Q&A)
  13. 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の活用支援なら壱市コンサルティング

制度誕生の背景と政策的意義

本制度を理解するためには、東京都の中小企業政策がここ数年で重視してきた「経営基盤強化」と「経営の多角化・多重化」という二本柱を俯瞰する必要があります。長期化する物価高騰、為替変動、国際情勢の不安定化、そして近年続く賃上げ圧力など、都内中小企業を取り巻く経営環境はかつてないほど複雑化しています。

こうした環境下では、既存事業の効率化や付加価値向上といった「事業の深化」だけでは経営の持続可能性を確保することが困難になりつつあります。特定の事業や市場への依存度が高い事業者ほど、外部環境の変化を直接的にコストや売上の毀損として受けることになるためです。そのため、企業が培ってきた技術やノウハウを活用しつつ、新たな製品・サービスを開発し、これまで関わってこなかった市場や顧客層へ進出することによって、収益源の多重化と経営リスクの分散を図ることが急務となっています。

本コースは、この「新たな収益源の創出」と「経営の多角化」という政策目的を、補助金という直接的な財政支援に加え、最大10回のアドバイザー派遣による伴走支援を組み合わせて実現しようとする制度です。

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制度の基本的な仕組みと目的

「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」は、東京都が公社に委託して実施する助成事業の総称であり、内部に3つの異なるコースを持つ複合制度です。本記事の主題である「新市場・新分野進出コース」は、その中で「既存事業からの飛躍」を支援する位置づけに置かれています。

対象となる取組の核心

本コースで助成対象となるのは、次の2つを同時に実施する事業です。

必須要件 内容
①新製品・新サービスの開発 既存事業と比較して「新製品」「新サービス」と判断できる開発に取り組むこと(既存事業に対する新規性)
②新市場・新分野への進出 新たな市場や、これまで関わってこなかった分野の顧客層に対して、開発した製品・サービスを提供すること

この「両方を実施する必要がある」という点が、本コースの最大の特徴です。新製品開発のみ、あるいは新市場開拓のみでは対象外となります。「何を作るか」と「誰に売るか」の双方で新規性が問われると整理されます。

代表的な取組例

募集要項で示されている主な取組例は次の通りです。

取組パターン 具体例
技術・ノウハウの転用 自社が培った技術やノウハウを、新たな市場や別の分野へ転用することで、新製品・新サービスを開発する取組
BtoBからBtoCへの進出 既存のBtoB市場から、新たに一般消費者向けのBtoC市場へ進出するために、新製品・新サービスを開発する取組
既存資産の活用 企業や既存事業の資産(技術・遊休資産等)を活かして、新市場・新分野の顧客に新たな価値を創出する取組
異業種機能の追加 異業種の機能(飲食・物販等)を新たに提供することで、これまで接点のなかった新しい顧客層を開拓する取組
産業財産権の活用 特許・実用新案・意匠・商標等を活用して新製品・新サービスを開発し、新たな市場を開拓する取組

明確に対象外となる取組

本コースで対象外となる取組も募集要項に列挙されています。これらは「既存事業の深化・発展」に該当するため、業務改善コースまたは賃上げ重点コースの方が適合します。

本コースで対象外となる取組

  • すでに売上実績があり、提供体制が確立されている取組
  • 既存の製品・サービスを、そのまま別の市場に展開する取組
  • 高性能な機器や設備の導入等による競争力強化の取組
  • 高効率な省エネ機器の導入等による生産性向上の取組
  • 法令改正への対応など、義務的な取組
  • 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組

事業概要|助成限度額・助成率・対象期間

本コースの基本スペックは下表のとおりです。

項目 内容
対象者 申請要件を満たす都内中小企業者(個人事業主を含む)
助成限度額 1,000万円(千円未満切捨て)
助成率(通常) 助成対象経費の2/3以内
助成率(賃上げ計画あり) 3/4以内(小規模企業者は4/5以内)
助成対象期間 交付決定日から最大1年間
アドバイザー派遣 最大10回(初回・完了検査時は必須、間で任意8回)
申請方法 Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムが必要)

申請要件|誰が申請できるのか

本コースに申請するには、募集要項に定める9つの要件をすべて満たす必要があります。特に重要な要件を整理します。

中小企業者の定義

本コースで対象となる中小企業者は、業種ごとに資本金または従業員数で定義されます。大企業が実質的に経営に参画している場合は対象外となる点に注意が必要です。

業種 資本金または従業員
製造業、情報通信業、建設業、運輸業、その他 3億円以下 または 300人以下
卸売業 1億円以下 または 100人以下
サービス業 5,000万円以下 または 100人以下
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
飲食業 5,000万円以下 または 50人以下

所在地要件と実施場所要件

申請受付開始日時点で、法人の場合は本店登記が都内にあること(実施場所が都内であれば支店登記でも可)、個人事業者の場合は納税地が都内にあることが必要です。実施場所が東京都外(神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県・山梨県)の場合は、申請受付開始日時点で東京都内に登記簿上の本店があることが要件となります。

財務要件|営業利益の減少または損失計上

本コースの特徴的な要件として、申請受付開始日時点で「直近決算期の営業利益が前期決算期と比較して減少している」または「直近決算期において損失を計上している」のいずれかに該当する必要があります。

財務要件の判定例

直近決算期が2025年の場合、営業利益が2024年決算期と比較して減少している、または2025年決算期で損失を計上している場合に要件に該当します。経営状態が安定的に黒字拡大している事業者は、本コースの財務要件を満たさない点に留意が必要です。

他コース・他事業との重複申請の制約

本コースは、業務改善コース・賃上げ重点コースと重複して申請した場合は受付されません。また、令和8年度中小企業収益力強化サポート事業のハンズオン支援の決定通知を受けた事業者も申請できません。3コースのうち1つを選択する必要があります。

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助成対象経費|何にいくら使えるのか

本コースの助成対象経費は11区分に整理されています。区分ごとに単独申請の可否や上限額が異なります。

経費区分 単独申請 上限額 主な対象
原材料・副資材費 試作品の部品、化学薬品、試験用部品等
機械装置・工具器具費 製造機械、計測機器、金型、治具等(税抜10万円以上)
委託・外注費 △(※1) 開発委託、試作品制作、共同研究、市場調査
産業財産権出願・導入費 特許・実用新案・意匠・商標の出願費等
規格等認証・登録費 規格適合、認証申請・審査・登録費
設備等導入費 設備購入費、設置工事費等
システム等導入費 システム構築、ソフトウェア導入、クラウド利用等
専門家指導費 不可 外部専門家への謝金・交通費等
不動産賃借料 本事業に必要な事務所・施設の賃借料
販売促進費 不可 200万円 Webサイト、印刷物、PR動画、広告、展示会、ECサイト出店等
その他経費 不可 100万円 他区分に属さない本事業に直接必要な経費

※1 委託・外注費のうち「市場調査費」だけでの申請はできません。
※2 販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外です。
※3 単独申請不可となっている経費のみを組み合わせての申請はできません。

販売促進費の活用範囲が広い点が特徴

本コースの大きな特徴のひとつが、販売促進費が上限200万円まで対象となる点です。新規事業や新商品の市場投入では、開発費だけでなく市場認知の獲得が成功要因を左右します。販売促進費には次の費目が含まれます。

販売促進費の費目 概要
自社Webサイト制作 助成対象商品の販売促進を行う自社サイトの制作委託費
印刷物製作費 チラシ・カタログ等の紙媒体印刷物の製作費
PR動画製作費 展示会・自社サイト・YouTube等で公開する販促動画の製作費
広告費 新聞・雑誌・展示会ガイドブック広告、Web広告(バナー・SNS・リスティング)
出展小間料 リアル展示会・オンライン展示会の出展料
資材費・輸送費・通訳費 展示会関連の装飾・什器、輸送、海外展示会の通訳費
ECサイト出店初期登録料 モール型ECサイトへの出店初期登録料

主な助成対象外経費

以下は本事業共通の助成対象外経費です。交付決定前の発注・契約・支払、現金支払(税抜10万円超)、汎用パソコン・テレビ等、土地建物の購入などは認められません。

特に注意すべき対象外経費

  • 交付決定前の発注・契約に係る経費
  • 直接人件費
  • 消費税、印紙代等の租税公課
  • 振込手数料、通信費、光熱費等の間接経費
  • 汎用性のある物品(テレビ、パソコン、Office製品等)
  • 中古品の購入、レンタル・リース(一部例外あり)
  • 親会社・子会社・グループ企業との取引、再委託
  • クレジットカードで支払ったが助成対象期間内に口座引落が完了しない経費

申請から助成金交付までのスケジュール

本コースのスケジュールは、申請受付期間が短く、面接審査の期間が指定されている点に注意が必要です。面接審査日はメールで通知され、日程変更は認められないため、事前にスケジュールを確保しておく必要があります。

時期 内容
令和8年(2026年)7月1日(水)9時~7月14日(火)16時 申請受付期間(Jグランツ)
令和8年(2026年)8月~ 書類審査
令和8年(2026年)10月7日(水)~10月15日(木) 面接審査(いずれか1日・1時間程度・対面原則)
令和8年(2026年)10月末 交付決定(予定)
交付決定日から最大1年間 助成事業の実施(契約・実施・支払)
事業完了後 原則1か月以内 実績報告書の提出
実績報告後 完了検査・助成金額の確定・助成金支払(1回目)
事業完了月の翌月から12か月間 賃金引上げ計画の実施(特例事業者のみ)
賃金引上げ計画期間終了から原則15日以内 賃金引上げ計画の実績報告・特例助成金支払(2回目)

スケジュール上の注意点

申請受付期間はわずか2週間です。Jグランツ申請にはGビズIDプライムが必要で、取得には2週間程度かかる場合があるため、未取得の事業者は今すぐ申請準備を始める必要があります。また、面接審査日は変更不可のため、10月7日~15日のスケジュールを事前に空けておくことが重要です。

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3コースの違い|どのコースを選ぶべきか

「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」は3つのコースから構成されており、いずれか1つを選んで申請する必要があります。重複申請は受付されません。3コースの違いを整理します。

項目 業務改善コース 賃上げ重点コース 新市場・新分野進出コース
対象となる取組 既存事業の深化・発展 既存事業の深化・発展+賃金引上げ計画 新製品・新サービス開発+新市場・新分野進出
助成限度額 600万円 600万円 1,000万円
助成率 2/3以内 3/4以内(小規模4/5以内) 2/3以内(賃上げ計画あり3/4・小規模4/5)
財務要件 営業利益減少または損失計上 業務改善コースと同等+賃金引上げ計画 営業利益減少または損失計上
賃金引上げ計画 任意 必須 任意(特例助成率の適用を受ける場合のみ必須)
申請受付期間(第1回) 令和8年5月~ 令和8年募集中 令和8年7月1日~14日
面接審査 あり あり あり

どのコースを選ぶべきかの判断軸

取り組もうとしている事業が「既存事業の延長線上」にあるか「既存事業からの飛躍」にあるかが、コース選択の最大の判断軸です。

こんな取組なら 推奨コース
既存事業の生産性向上・効率化・品質向上のための設備投資 業務改善コース
既存事業の深化・発展+従業員の賃金を引き上げたい 賃上げ重点コース
新製品・新サービス開発+新市場・新分野への進出 新市場・新分野進出コース
BtoB事業者がBtoC市場へ進出するための新商品開発 新市場・新分野進出コース
異業種機能(飲食・物販)の追加による新顧客層の開拓 新市場・新分野進出コース

賃金引上げ計画と特例助成率の活用

本コースでは、賃金引上げ計画書を提出して計画を達成した場合、特例助成率(中小企業者3/4以内、小規模企業者4/5以内)が適用されます。賃金引上げ計画が任意ではあるものの、助成率に大きな影響を及ぼすため、活用の検討は必須と言えます。

特例適用要件

要件 内容
常時使用従業員 1名以上いること
給与等総額の引上げ 賃金引上げ計画期間の従業員給与等総額を、基準期間より2.0%以上増加させる
最低賃金の水準 助成事業実施場所内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

小規模企業者の定義(特例助成率4/5の対象)

業種 常時使用従業員
製造業・その他 20人以下
商業(卸売業・小売業・飲食業)・サービス業 5人以下

助成金の交付は2回分割払い

賃金引上げ計画を策定した場合、助成金交付は2回に分割されます。1回目は通常助成率2/3で算出された金額が交付され、賃金引上げ計画の達成確認後に特例助成率(3/4または4/5)との差額が2回目として交付されます。

交付額の計算例(中小企業者の場合)

助成対象経費1,200万円・特例助成率3/4の場合
・助成額:900万円
・1回目:1,200万円×2/3=800万円
・2回目:900万円-800万円=100万円

交付額の計算例(小規模企業者の場合)

助成対象経費1,200万円・特例助成率4/5の場合
・助成額:960万円
・1回目:1,200万円×2/3=800万円
・2回目:960万円-800万円=160万円

賃金引上げ計画期間の従業員給与等総額が基準期間より2.0%以上増加させたことを確認できない場合、期間を定めて助成金を返還する必要が生じる点には注意が必要です。

制度活用の実践的戦略

本コースは助成限度額が3コース中最大の1,000万円である一方、「新製品・新サービス」と「新市場・新分野」の両方で新規性を求められるため、事業計画の構築に相応の戦略性が必要です。実務上のポイントを整理します。

既存事業との関連性を明確にする

本コースは「経営の多角化」を支援する制度であり、自社の技術・ノウハウ・資産を活かす取組が想定されています。既存事業との関連性が薄すぎる新規事業は、実現性の観点から評価が低くなる傾向があります。事業計画では、自社が持つ強みをどう新分野で活かすのか、相乗効果がどう生まれるのかを論理的に説明することが重要です。

市場分析を一次情報ベースで行う

審査の視点に「市場妥当性(既存分野から新たに進出する市場動向や社会状況の変化についての分析は適切か)」が明示されています。新市場・新分野への進出を主張するためには、その市場の規模・成長性・競合状況を公的データや業界統計に基づいて説明する必要があります。

面接審査で説明できる事業計画を作る

本コースでは書類審査通過後に対面の面接審査が必須です。面接は申請事業者の代表者・役員・従業員のみが出席でき、顧問・コンサルタント等の同席や代理出席は認められません。電子機器類の持ち込みも禁止されています。したがって、書類作成時点から「経営者自身が説明できる事業計画」として組み立てることが、面接審査を突破するうえで極めて重要です。

資金繰り計画を確実に立てる

本コースは精算払い(後払い)です。助成事業の実施段階では事業者自身が資金を用意する必要があり、助成金の交付は実績報告・完了検査の後となります。さらに、賃金引上げ計画を策定した場合は2回目の交付までさらに約1年かかります。最大2年間の資金繰り計画を事前に立てることが不可欠です。

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注意事項|申請前に押さえるべき制度上の制約

1事業者1度のみの交付決定

本コースは1事業者につき1度のみ交付決定を受けられます。ただし、申請が不採択となった場合は、次回以降の募集で再申請が可能です。

交付決定前の経費は対象外

助成対象期間は交付決定日から1年間です。交付決定前に発注・契約・支払等を行った経費は一切対象になりません。クレジットカードで支払う場合、引落しが助成対象期間を超えると対象外になるため、発注時期に注意が必要です。

関連会社・顧問契約先との取引は対象外

親会社・子会社・グループ企業、役員等が経営する会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社、自社と顧問契約・アドバイザリー契約・コンサルタント契約等を締結している会社との取引は対象外です。

経費区分ごとの単独申請可否

「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」「市場調査費(委託・外注費の一部)」は単独での申請ができません。また、これらの経費のみを組み合わせての申請も認められません。主たる経費区分(原材料費・機械装置費・委託外注費・産業財産権費・規格認証費・設備等導入費・システム等導入費・不動産賃借料)のいずれかを含む必要があります。

公表への同意

交付決定された場合、事業者の名称・代表者名・所在地・助成事業内容等が公表されることがあります。本事業への申請をもって公表に同意したものとされます。

まとめ|本コース活用の5つのポイント

ポイント 内容
① 助成限度額1,000万円・助成率最大4/5 3コース中最大の助成限度額。賃金引上げ計画を策定すれば小規模企業者は4/5の助成率となり、新規事業の立ち上げ資金を実質的に大きく圧縮できる。
② 新製品開発と新市場進出の両方が必須 「何を作るか」と「誰に売るか」の双方で新規性が必要。既存事業の延長線上にある取組は対象外となり、業務改善コースまたは賃上げ重点コースが適合する。
③ 申請期間はわずか2週間 令和8年(2026年)7月1日~7月14日。GビズIDプライム取得には時間がかかるため、未取得事業者は今すぐ準備を開始する必要がある。
④ 面接審査は経営者本人が説明 10月7日~15日に対面で実施。代理出席・コンサルタント同席は不可。経営者自身が説明できる事業計画を作ることが採択への核心となる。
⑤ 精算払いのため資金繰り計画が必須 助成金は事業完了後の精算払い。賃金引上げ計画を策定した場合は2回分割払いで最大2年かかるため、自己資金または借入によるキャッシュフロー設計が不可欠。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 「新製品・新サービス」の新規性はどの程度求められますか?

A1.既存事業と比較して「新製品」「新サービス」と判断できるレベルの新規性が求められます。完全な新規開発である必要はなく、既存事業との比較で新規性が認められれば対象となります。たとえば、製造業がBtoB向けに販売してきた部品技術を活用してBtoC向け一般消費者商品を開発する場合、既存事業との比較で十分に新規性が認められます。一方、既存商品の色違い・サイズ違いを増やすだけ、既存サービスのパッケージを変えるだけといった取組は新規性が乏しいと判断されます。

Q2. 「新市場・新分野」とはどの程度の範囲を指しますか?

A2.自社がこれまで取引していなかった顧客層・地域・販売チャネルへの進出が該当します。BtoBからBtoC、国内市場から海外市場、卸売から直販への切替などが典型例です。地理的な新市場進出も対象となるため、東京都内で展開してきた事業を関西圏に展開する取組も該当する可能性があります。重要なのは、自社にとって「新たな」市場・分野であることを論理的に説明できることです。

Q3. 黒字企業は本コースを申請できませんか?

A3.本コースの財務要件は「直近決算期の営業利益が前期決算期と比較して減少」または「直近決算期において損失を計上」のいずれかです。営業利益が出ていても、前期と比較して減少していれば要件を満たします。たとえば前期1,000万円の営業利益が直近期で800万円に減少していれば、減少幅にかかわらず要件該当となります。完全な右肩上がりの増益基調にある事業者は本コースの財務要件を満たさないことになります。

Q4. 業務改善コースと新市場・新分野進出コースのどちらを選ぶべきですか?

A4.取り組もうとしている事業の性格で判断します。既存事業の生産性向上や品質向上のための設備投資・システム導入であれば業務改善コース(助成限度額600万円)です。既存事業と異なる新製品開発と新市場進出を一体的に行うのであれば新市場・新分野進出コース(助成限度額1,000万円)です。両者は重複申請できないため、事業計画の性格を整理した上で1つに絞る必要があります。両方の性格を持つ場合は、計画の比重がどちらに偏っているかで判断するのが実務的な対応です。

Q5. 国の補助金(ものづくり補助金・新事業進出補助金など)と併用できますか?

A5.本コースは「同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成等を受けていないこと」が要件です。同一事業について国の補助金と本コースを同時に受けることはできません。ただし、まったく異なる事業内容であれば、別々の補助金を活用することは可能です。たとえば本コースで新製品開発を支援してもらい、別途、既存事業の生産性向上にものづくり補助金を活用するといった棲み分けは認められます。事業内容の切り分けについては、申請前に公社に確認することが安全です。

Q6. 既存事業の延長線上のリブランディングは対象になりますか?

A6.対象外となる可能性が高いです。募集要項では「すでに売上実績があり、提供体制が確立されている取組」「既存の製品・サービスを、そのまま別の市場に展開する取組」が対象外と明示されています。既存商品をパッケージや名称だけ変更して別市場に展開する取組は、新製品・新サービスとして認められない可能性があります。コンセプト・機能・ターゲットのいずれかで実質的な新規性が必要です。

Q7. 採択後に事業内容を変更することはできますか?

A7.原則として交付決定後に助成事業の内容を変更することはできません。後発的かつやむを得ない事情により変更する場合は、あらかじめ公社に変更の申請をし、承認を受ける必要があります。公社の事前承認を得ずに変更等を行った場合の経費は助成対象外となります。事業計画は実行可能性を十分検討した上で策定することが重要です。

Q8. 賃金引上げ計画を達成できなかった場合はどうなりますか?

A8.賃金引上げ計画期間の常時使用従業員の給与等総額が、基準期間より2.0%以上増加させたことを確認できない場合、特例助成率は適用されず、通常助成率2/3で算出された助成金(1回目交付分)のみが確定します。さらに、既に特例助成金が交付されている場合は、期限を定めて返還が求められる場合があります。ただし、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合や、従業員一人当たりの賃金は増加している場合などは、返還が免除されることがあります。賃金引上げ計画は、達成可能性を慎重に見極めた上で策定する必要があります。

Q9. 不採択となった場合、次回の申請に向けてどう動くべきですか?

A9.本コースは不採択となった場合、次回以降の募集で再申請が可能です。ただし、公社は不採択理由を個別に通知しません。事業者自身で書類審査の視点(新規性・市場妥当性・実現性・優秀性・自己分析力)を踏まえて事業計画を再点検する必要があります。特に「市場妥当性」と「実現性」は、公的データの活用と社内体制の整備状況で評価が分かれやすい項目です。再申請の際は、市場分析の根拠強化、組織体制の具体化、財務的裏付けの提示を意識した計画の再構築が有効です。

Q10. 本コースを最も効果的に活用するために、経営者として最も意識すべきことは何ですか?

A10.本コースは「補助金を取ること」自体を目的にすると失敗しやすい制度です。本コースが求めているのは、既存事業の延長線上ではない「新製品開発+新市場進出」という挑戦的な取組であり、採択された事業は1年間の助成対象期間内に確実に実行する必要があります。さらに賃金引上げ計画を策定した場合は、計画達成にも責任を持つことになります。経営者として最も意識すべきは、補助金を起点に新規事業を始めるのではなく、「中期的な経営戦略の一環として新市場・新分野への進出を位置づけ、その実現を補助金で加速させる」という順序です。経営の本筋に組み込まれた事業計画でなければ、面接審査での説得力も、事業実施段階での実行力も伴いません。

経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の活用支援なら壱市コンサルティング

新市場・新分野進出コースの戦略設計から面接審査対策まで一貫支援

壱市コンサルティングは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、東京都の助成金活用を含む経営の多角化・新規事業展開を一貫してサポートしています。本コースは助成限度額1,000万円・助成率最大4/5と魅力的な制度である一方、「新製品・新サービス」と「新市場・新分野」の両方で新規性を求められ、面接審査では経営者本人が説明する必要があるなど、事業計画の戦略性と実行力が問われる制度です。

📋 事業計画の戦略設計

既存事業との関連性・新規性・市場妥当性を論理的に整理し、5つの審査視点(新規性・市場妥当性・実現性・優秀性・自己分析力)を満たす事業計画書をご一緒に策定します。

🏦 資金繰り計画の構築

本コースは精算払いです。賃金引上げ計画を策定した場合は2回分割払いで最大2年かかります。融資・自己資金・補助金の組み合わせによるキャッシュフロー設計をサポートします。

🔄 面接審査対策と伴走支援

面接審査は経営者本人が説明する必要があります。想定問答の整理、説明訓練、事業計画の論理補強まで、面接当日に向けた準備を伴走します。

🛡️ 採択後の実績報告・賃金引上げ計画の運用支援

採択がゴールではありません。交付決定後の事業実施・実績報告・完了検査・賃金引上げ計画達成までの運用を、認定経営革新等支援機関として継続支援します。

補助金を取ることが目的ではなく、新規事業を成功させることが目的です。
経営戦略の文脈で本コースを位置づける支援を提供します。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

✅ 新規事業を立ち上げたいが、どのコースに申請すべきか判断がつかない
✅ 「新市場・新分野」と言えるかどうか自社の取組に確信が持てない
✅ 面接審査で経営者として何を説明すべきか整理できていない
✅ 賃金引上げ計画を策定すべきか、達成可能性が読めない
✅ 採択後の資金繰り計画と実績報告まで、伴走してくれる専門家を探している

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