【令和8年(2026年)】新事業進出補助金 第3回採択結果を分析|採択率34.9%・製造業が牽引・次の受け皿とは

令和8年(2026年)7月、中小企業新事業進出補助金事務局から第3回公募の採択結果が公表されました。応募件数1,212件に対し、採択件数は423件。採択率は34.9%で、第1回の37.2%、第2回の35.4%からゆるやかに低下する結果となりました。

注目すべきは応募件数そのものの減少です。第1回3,006者、第2回2,350者から、第3回は1,212件へとほぼ半減しました。この背景には、後継制度である「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が令和8年(2026年)6月29日に第1回公募を開始したという制度の大きな転換があります。新事業進出補助金の枠組みは、この後継制度の「新事業進出枠」へと発展的に引き継がれています。

本記事では、第3回の採択結果を業種別・地域別・申請額別に整理し、採択と不採択を分けた要因、そして第3回で不採択・見送りとなった方が次に狙うべき制度までを客観的に解説します。今回申請された方はもちろん、これから新市場進出への投資を検討している経営者の方にも参考になります。

新事業進出補助金 第3回公募の採択結果概要

中小企業新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する制度です。第3回公募では、電子申請システムにおける申請受付件数1,212件に対し、423件が補助金交付候補者として採択されました。採択率は約34.9%です。

今回の採択で特徴的なのは、採択423件のうち176件(約41.6%)が関税加点の対象であった点です。米国の関税措置による影響を受ける事業者への加点が、採択構成に大きく作用したと整理されます。

項目 第3回公募の実績
応募件数(申請受付件数) 1,212件
採択件数 423件
採択率 約34.9%
うち関税加点対象 176件(採択の約41.6%)
結果公表時期 令和8年(2026年)7月

業種別・地域別・申請額別に見る採択傾向

業種別|製造業が採択件数・採択率ともに牽引

主たる業種(既存事業・大分類)で見ると、応募件数は製造業、卸売業・小売業、建設業の順に多く、採択件数は製造業、建設業、卸売業・小売業の順に多い結果でした。とりわけ製造業は採択率44.6%と平均を大きく上回り、今回の採択を牽引しました。

業種(大分類) 応募 採択 採択率
製造業 222 99 44.6%
建設業 167 65 38.9%
卸売業・小売業 187 62 33.2%

製造業の高い採択率は、新事業進出補助金が「機械装置・システム構築費または建物費」を必須経費とする設備投資型の制度であることと整合します。既存の技術・設備を土台に、新市場向けの生産体制を具体的に描ける事業者が評価されやすい構造にあると理解するのが実態に近い見方です。

都道府県別|大都市は競争激化、地方に高採択率も

応募件数・採択件数はいずれも東京都、大阪府、愛知県が上位を占めました。一方で採択率に目を向けると、東京都・大阪府は平均を下回り、愛知県・京都府・福岡県などが平均を上回っています。応募が集中する大都市ほど競争が激しく、相対評価で厳しくなる傾向が読み取れます。

都道府県 応募 採択 採択率
東京都 248 76 30.6%
大阪府 119 35 29.4%
愛知県 68 27 39.7%
京都府 49 20 40.8%
福岡県 52 21 40.4%

なお石川県(16件中11件採択)や富山県(20件中8件採択)など、応募母数が小さいながら高い採択率を示した地域もあります。母数が少ない都道府県は数値がぶれやすいため、参考値として捉えるのが妥当です。

申請額別|高めの投資規模ほど採択率が高い傾向

補助金申請額の分布では、応募件数は2,500万円以上〜3,000万円未満が246件と最多で、次いで1,000万円以上〜1,500万円未満、500万円以上〜1,000万円未満の順でした。採択率を見ると、投資規模の大きい2,500万〜3,000万円帯が40.7%と高く、500万〜1,000万円帯の23.0%を大きく上回っています。

申請額帯 応募 採択 採択率
2,500万〜3,000万円未満 246 100 40.7%
1,000万〜1,500万円未満 211 77 36.5%
500万〜1,000万円未満 174 40 23.0%

これは「金額を大きくすれば通りやすい」という意味ではありません。新市場への進出という制度趣旨に照らし、相応の投資と事業インパクトを伴う計画のほうが、審査項目を満たしやすいという構造として整理するのが妥当です。

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採択と不採択を分けた要因

数値の傾向を踏まえると、第3回で採択と不採択を分けた要因は、次の3点に集約されます。

採択を左右した3つのポイント

「新規性」と「新市場性」の明確さ:既存事業で扱っていなかった顧客層・市場に進出することが要件です。既存の延長や、単なる設備更新にとどまる計画は評価されにくくなります。

設備投資と事業計画の一貫性:機械装置・システム構築費または建物費が必須のため、投資内容と収益計画・付加価値向上が論理的につながっているかが問われます。

賃上げ・付加価値の達成計画:付加価値額や給与支給総額の成長目標に、根拠のある数値計画を示せているかが分岐点になります。

とりわけ第3回では、関税影響を受ける事業者への加点が採択の4割超に及びました。外部環境の変化を自社の事業リスクとして具体的に記述し、その克服策としての新市場進出を描けた計画が、加点を的確に取り込んでいたと理解できます。

過去3回の推移から見えるもの

新事業進出補助金は、令和7年(2025年)の第1回公募から第3回まで、応募件数・採択率ともに推移をたどることができます。

公募回 応募 採択 採択率
第1回(令和7年7月締切) 3,006 1,118 37.2%
第2回(令和7年12月締切) 2,350 832 35.4%
第3回(令和8年公表) 1,212 423 34.9%

採択率は37.2%→35.4%→34.9%とゆるやかに低下していますが、変動幅は限定的です。むしろ大きく動いたのは応募件数で、3回で3,006件から1,212件へと6割減となりました。この急減は、後継制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募開始と時期が重なっており、申請を検討する事業者の関心が後継制度へ移行し始めたことが一因と整理できます。

確認しておきたい点:新事業進出補助金の第4回公募の有無は、本記事執筆時点(令和8年7月)で公表されていません。新市場進出への支援は後継制度の「新事業進出枠」に引き継がれる形となっているため、今後の申請は後継制度を軸に検討するのが現実的です。最新情報は各事務局の公式サイトで必ずご確認ください。

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第3回で不採択・見送りとなった方へ|次の受け皿は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」

第3回で不採択となった方、あるいは準備が間に合わず今回を見送った方にとって、次の一手は明確です。令和8年(2026年)6月29日に第1回公募が開始された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠が、新市場進出を支援する後継制度となります。これはものづくり補助金と新事業進出補助金の考え方を統合した新しい制度で、革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3枠で構成されます。

項目 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回
公募開始 令和8年(2026年)6月29日
申請受付開始 令和8年(2026年)8月31日
応募締切 令和8年(2026年)9月30日 18:00厳守
新事業進出枠 補助率 中小企業者 1/2(一定条件で2/3)
新事業進出枠 補助上限 最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)/下限750万円
主な達成要件 付加価値額 年平均+4.0%以上/1人あたり給与支給総額 年平均+3.5%以上/事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上

新事業進出枠の補助上限・補助率・新市場性の考え方は、従来の新事業進出補助金を色濃く引き継いでいます。第3回で作成した事業計画は、後継制度の新事業進出枠に向けて再構築できる可能性が高いといえます。ただし、後継制度では機械装置・システム構築費または建物費が必須である点、賃上げ・付加価値の達成要件が明確に設定されている点など、独自の要件があります。前回の計画をそのまま流用するのではなく、新制度の公募要領に沿って要件を突き合わせる作業が不可欠です。

応募締切は令和8年(2026年)9月30日18:00です。事業計画の再構築、認定支援機関の確認書、金融機関の確認書など、準備すべき書類は多岐にわたります。締切から逆算すると、着手のタイミングは早いほど有利です。

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この記事のまとめ

ポイント 内容
採択率は34.9% 第3回は応募1,212件・採択423件。第1回37.2%・第2回35.4%からゆるやかに低下しました。
製造業が牽引 製造業は採択率44.6%と平均を大きく上回りました。設備投資型制度との相性の良さが表れています。
関税加点が4割超 採択423件のうち176件が関税加点対象。外部環境リスクを織り込んだ計画が加点を取り込みました。
応募は6割減 3回で3,006件→1,212件へ急減。後継制度への移行が背景にあると整理できます。
次の受け皿 後継制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」新事業進出枠が第1回公募中。締切は令和8年9月30日です。

よくある質問(Q&A)

Q1.第3回の採択率34.9%は、過去回と比べて厳しくなったのですか?

A1.わずかに低下していますが、大きな変化ではありません。第1回37.2%、第2回35.4%、第3回34.9%と、採択率は3回を通じて35%前後で安定しています。むしろ注目すべきは応募件数の急減で、3回で3,006件から1,212件へと6割減となりました。競争率そのものは緩みつつある一方、採択率は横ばいであるため、「審査基準が引き上げられて厳しくなった」というより「制度が後継へ移行する過渡期にあった」と理解するのが実態に近い見方です。

Q2.なぜ製造業の採択率が高かったのですか?

A2.制度設計との相性が良いためです。新事業進出補助金は機械装置・システム構築費または建物費を必須経費とする設備投資型の制度です。製造業は既存の技術・設備・生産ノウハウを土台に、新市場向けの生産体制を具体的に描きやすく、投資内容と収益計画の一貫性を示しやすい立場にあります。結果として、審査で重視される「新規性」「新市場性」「投資と計画の整合」を満たしやすく、採択率44.6%という平均を大きく上回る結果につながったと整理できます。

Q3.東京都・大阪府の採択率が低いのはなぜですか?

A3.応募が集中し、競争が激しくなるためと考えられます。東京都は応募248件・採択76件で採択率30.6%、大阪府は応募119件・採択35件で29.4%と、いずれも全国平均を下回りました。一方、愛知県39.7%、京都府40.8%、福岡県40.4%は平均を上回っています。ただし採択審査は都道府県ごとの枠ではなく計画の中身で決まるため、大都市だから不利というより、応募数が多い地域ほど相対的に高い完成度が求められると理解するのが妥当です。

Q4.申請額は大きいほうが採択されやすいのですか?

A4.金額を大きくすること自体が有利になるわけではありません。第3回では2,500万〜3,000万円未満の帯が採択率40.7%と高く、500万〜1,000万円未満の23.0%を上回りました。これは、新市場への進出という制度趣旨に照らし、相応の投資規模と事業インパクトを伴う計画のほうが審査項目を満たしやすいという構造の表れです。実態の伴わない過大な申請は逆に減点要因となり得ます。投資規模は事業計画の必然性から導くことが重要です。

Q5.関税加点とは何ですか?176件という数字はどう捉えればよいですか?

A5.関税加点は、米国の関税措置などの影響を受ける事業者に対する加点です。第3回では採択423件のうち176件、約41.6%が関税加点の対象でした。これは、外部環境の変化を自社の経営リスクとして具体的に記述し、その克服策として新市場進出を位置づけた計画が、加点を的確に取り込んだことを示しています。加点はあくまで計画の質を前提としたうえで効いてくる要素であり、加点だけを狙った形式的な記述では評価されにくい点に注意が必要です。

Q6.第3回で不採択でした。再チャレンジはできますか?

A6.後継制度で再チャレンジが可能です。新事業進出補助金の第4回公募は本記事執筆時点で公表されていませんが、新市場進出への支援は後継制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠へ引き継がれています。同枠は令和8年(2026年)6月29日に第1回公募を開始しており、応募締切は9月30日18:00です。不採択の場合は審査で評価されなかった論点を見直したうえで、後継制度の要件に沿って計画を再構築するのが現実的な進め方です。

Q7.「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は従来と何が違うのですか?

A7.ものづくり補助金と新事業進出補助金の考え方を統合した新制度です。革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3枠で構成され、このうち新事業進出枠が従来の新事業進出補助金を引き継ぐ位置づけです。補助上限は新事業進出枠で最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)、下限750万円と、従来の水準を維持しています。一方で、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上などの達成要件が明確化されており、申請前に要件を丁寧に突き合わせる必要があります。

Q8.後継制度の新事業進出枠は、いつまでに準備を始めるべきですか?

A8.できるだけ早い着手が有利です。第1回公募の応募締切は令和8年(2026年)9月30日18:00厳守です。事業計画書の作成に加え、認定支援機関の確認、金融機関による確認書、労働者名簿などの参考様式、再生事業者加点を希望する場合の様式など、準備すべき書類は多岐にわたります。締切直前は電子申請システムが混み合うリスクもあります。締切から逆算し、遅くとも締切の数週間前には計画の骨格を固めておくことが賢明です。

Q9.前回作成した事業計画は、後継制度にそのまま流用できますか?

A9.土台としては活用できますが、そのままの流用は避けるべきです。新事業進出枠は従来の「新規性」「新市場性」の考え方を引き継いでいるため、計画の骨格は再利用できる可能性が高いといえます。一方で、機械装置・システム構築費または建物費が必須である点、付加価値・賃上げの達成要件が数値で設定されている点など、後継制度独自の要件があります。前回の計画を新制度の公募要領と1項目ずつ突き合わせ、要件のずれを埋める再構築作業が不可欠です。

Q10.採択されるために、経営者として最も意識すべきことは何ですか?

A10.「なぜ自社がその新市場に進出する必然性があるのか」を語れることです。補助金の審査は、設備の立派さや金額の大きさではなく、既存事業の強みと新市場のニーズが論理的につながっているか、そしてその投資が付加価値向上と賃上げにどう結びつくかを見ています。第3回で製造業や関税影響事業者の採択率が高かったのは、外部環境と自社の資源を踏まえた進出の必然性を描けたためです。制度が後継へ移行した今こそ、事業の必然性を軸に計画を練り直すことが、採択への近道となります。

新事業進出・新市場開拓のご相談なら壱市コンサルティング

壱市コンサルティングは、認定経営革新等支援機関として、新事業進出補助金をはじめとする補助金申請を数多く支援してきました。制度が「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ移行した今、これまでの申請ノウハウを活かし、後継制度の新事業進出枠に向けた計画づくりを伴走支援します。

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新規性・新市場性・投資と収益の一貫性という審査の核心を押さえ、採択に耐える事業計画を組み立てます。第3回の計画を後継制度向けに再設計するご相談にも対応します。

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採択はゴールではなくスタートです。交付申請、補助事業の実施、実績報告、事業化状況報告まで、5年間の伴走を前提に支援します。

後継制度の応募締切は令和8年(2026年)9月30日。着手は早いほど有利です。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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