【令和8年(2026年)】小規模事業者持続化補助金 第19回・創業型第3回 採択率分析|通常枠は低下、創業型は上昇

中小企業庁は令和8年(2026年)7月29日、小規模事業者持続化補助金の通常枠(一般型・通常枠)第19回創業型第3回の採択結果を同日公表しました。通常枠は申請16,576件に対して採択7,819件(採択率約47.2%)、創業型は申請1,919件に対して採択791件(採択率約41.2%)という結果です。

今回の結果で注目すべきは、通常枠は第17回以降3回連続で採択率が低下し、創業型は第1回以降3回連続で採択率が上昇しているという、両者が逆方向に動いている点です。同じ持続化補助金でありながら、通常枠と創業型では審査を取り巻く環境が明確に分かれてきています。

本記事では、通常枠と創業型それぞれの採択率推移を一次情報にもとづいて整理し、この逆行がなぜ起きているのか、そして次回の第20回・第4回に向けて応募者が何を読み取るべきかを分析します。これから申請を検討している方はもちろん、過去に不採択となり再挑戦を考えている方にも参考になります。

第19回通常枠・第3回創業型の採択結果

まず、今回同日に公表された2つの結果を数値で整理します。いずれも中小企業庁の公表資料で確認できる一次情報です。

区分 回次 申請件数 採択件数 採択率
通常枠(一般型・通常枠) 第19回 16,576件 7,819件 約47.2%
創業型 第3回 1,919件 791件 約41.2%

両者はいずれも令和8年(2026年)1月28日に公募要領が公開され、令和8年(2026年)4月30日に受付を締め切り、7月29日に採択が発表されるという共通のスケジュールで進行しました。同じ制度の枠組みの中でありながら、通常枠と創業型では採択率に約6ポイントの差が生じています。

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通常枠は3回連続で採択率が低下している

通常枠の採択率は、直近3回で一貫して下がり続けています。令和7年(2025年)以降の推移を整理すると、次のようになります。

回次 受付締切 申請件数 採択件数 採択率
第17回 令和7年(2025年)6月 23,365件 11,928件 約51.1%
第18回 令和7年(2025年)11月 17,318件 8,330件 約48.1%
第19回 令和8年(2026年)4月30日 16,576件 7,819件 約47.2%

採択率は第17回の約51.1%から第18回の約48.1%、そして第19回の約47.2%へと、緩やかながら着実に低下しています。3回で約4ポイント下がった計算です。

ここで見落としてはならないのが、申請件数自体も減少しているという点です。第17回の23,365件から第19回の16,576件へと、申請は約7,000件減っています。それにもかかわらず採択率が下がっているということは、採択件数が申請件数の減少以上に絞り込まれていることを意味します。第17回は約1万2,000件が採択されていましたが、第19回では約7,800件と、採択の絶対数が大きく減っています。

これは、単に「ライバルが多いから通りにくい」という状況ではなく、予算規模と採択枠そのものが以前より引き締められていると理解するのが実態に近い見方です。申請数が減っている中でも採択率が上がらない以上、書類の完成度・経営計画の質・加点項目の取り込みといった相対評価の要素が、これまで以上に採否を分けていると整理されます。

創業型は3回連続で採択率が上昇している

一方、創業型は通常枠とは対照的な動きを見せています。第1回から第3回まで、採択率は一貫して上昇しています。

回次 申請件数 採択件数 採択率
第1回 3,883件 1,473件 約37.9%
第2回 3,220件 1,225件 約38.1%
第3回 1,919件 791件 約41.2%

採択率は第1回の約37.9%から第3回の約41.2%へと、3回で約3ポイント上昇しました。ただし、採択率が上がっている一方で、申請件数は大きく減っている点に注意が必要です。第1回の3,883件から第3回の1,919件へと、申請は約半分にまで減少しています。

創業型は「創業後おおむね1年以内の小規模事業者」を対象とする枠であり、そもそも申請できる事業者の母数が限られます。制度の認知が一巡し、要件に合致する層が絞られてきたことで申請件数が落ち着き、結果として採択率が相対的に上がっていると整理できます。創業型の採択率上昇は、通常枠のような「競争激化の緩和」とは性質が異なり、対象事業者の母集団が絞り込まれた結果としての上昇と理解しておく必要があります。

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通常枠と創業型で採択率が逆方向に動く理由

同じ持続化補助金でありながら、通常枠と創業型で採択率が逆方向に動いているのはなぜか。ここまでの数値を踏まえると、次の3つの構造で整理できます。

採択枠と予算規模の締め付け方が異なる

通常枠は申請件数が多く、政策上も広く薄く支援する性格の強い枠です。予算の制約が採択件数に直接反映されやすく、申請が減っても採択がそれ以上に絞られれば採択率は下がります。創業型は制度として新しく、創業支援という政策的な重点分野に位置づけられているため、対象母数が小さいことも相まって採択率が下がりにくい構造にあります。

申請者の層が異なる

通常枠は既存の小規模事業者が販路開拓を目的に申請するケースが中心で、申請のリピーターも多く、書類の水準が全体として底上げされています。その中での相対評価となるため、平均的な計画では採択に届きにくくなっています。創業型は創業直後の事業者が対象で、事業の新規性・地域への波及効果といった観点が評価されやすく、制度趣旨との親和性が採択につながりやすいと整理されます。

申請件数の減少が採択率に与える影響が逆に出ている

通常枠では、申請減少の効果を上回るペースで採択枠が縮小したため採択率が低下しました。創業型では、申請減少に対して採択枠の縮小が緩やかだったため採択率が上昇しました。同じ「申請件数の減少」でも、採択枠の動き方次第で採択率は上にも下にも振れるという点が、両者の逆行を生んでいる本質と理解するのが実態に近い見方です。

次回応募者への示唆

今回の結果は、次回の第20回(通常枠)・第4回(創業型)に向けて申請を検討する事業者にとって、いくつかの実務的な示唆を含んでいます。

通常枠については、採択率が5割を切る競争環境が定着したと認識する必要があります。かつての「申請すれば半分以上は通る」という感覚は通用しにくくなっており、経営計画の具体性、販路開拓の実現可能性、数値目標の妥当性といった審査の観点を、これまで以上に丁寧に作り込むことが採否を分けます。加点項目の取り込みも、相対評価の中で無視できない差になります。

創業型については、採択率が上昇傾向にあるとはいえ、依然として4割程度であり、決して通りやすい枠ではありません。創業直後という特性を活かし、事業の新規性や地域への波及効果を経営計画の中で明確に打ち出すことが有効です。要件(創業時期など)の確認を早い段階で済ませ、対象に該当することを前提に計画を練り込むことが賢明です。

いずれの枠も、公募要領が公開されてから締切までの期間は限られています。GビズIDの取得、見積の収集、事業支援計画書(様式4)の発行依頼など、時間のかかる準備は公募開始前から着手しておくことが重要です。

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この記事のまとめ

ポイント 内容
① 通常枠第19回は採択率約47.2% 申請16,576件・採択7,819件。第17回の約51.1%以降、3回連続で採択率が低下している。
② 通常枠は採択の絶対数が縮小 申請件数も減っているが、それ以上に採択枠が絞られており、予算・採択枠の締め付けが背景にあると整理される。
③ 創業型第3回は採択率約41.2% 申請1,919件・採択791件。第1回の約37.9%以降、3回連続で採択率が上昇し、通常枠と逆方向に動いている。
④ 逆行の本質は採択枠の動き方の違い 両枠とも申請は減少しているが、採択枠の縮小ペースの差が採択率を上下に振り分けている。
⑤ 次回は計画の作り込みが採否を分ける 通常枠は5割を切る競争が定着。創業型も4割程度で油断できない。準備は公募開始前からの着手が重要。

よくある質問

Q1.第19回の採択率が下がったのは競争が激しくなったからですか?

A1.競争激化だけが原因ではなく、採択枠そのものの縮小が大きく影響しています。第19回は申請件数が第17回より約7,000件減っているにもかかわらず採択率が低下しました。申請が減っても採択率が上がらないということは、採択の絶対数が申請の減少以上に絞られていることを意味します。予算規模や採択枠が以前より引き締められている点を踏まえて、申請戦略を組み立てる必要があります。

Q2.通常枠と創業型はどちらが通りやすいのですか?

A2.第19回・第3回の実績では通常枠のほうが採択率は高い状況です。通常枠第19回が約47.2%、創業型第3回が約41.2%で、約6ポイントの差があります。ただし、創業型は対象が創業後おおむね1年以内の事業者に限られ、母数が小さい枠です。単純な採択率だけでなく、自社が要件に合致するかどうか、どちらの枠の趣旨に事業計画が馴染むかで選ぶことが重要です。

Q3.創業型の採択率が上がっているなら、創業型で申請したほうが有利ですか?

A3.要件に該当することが前提であり、有利かどうかは事業内容次第です。創業型の採択率上昇は、申請できる事業者の母数が絞られてきた結果という側面が強く、審査が甘くなっているわけではありません。創業直後という特性を活かせる事業計画であれば創業型が向いていますが、要件(創業時期など)を満たさなければそもそも申請できません。まずは対象要件の確認から始めることが賢明です。

Q4.採択率が5割を切ったということは、もう申請しても無駄ですか?

A4.無駄ではありませんが、平均的な計画では届きにくくなっています。採択率が約47.2%ということは、半数近くは採択されています。問題は、申請者全体の書類水準が底上げされており、その中での相対評価になっている点です。経営計画の具体性、販路開拓の実現可能性、数値目標の妥当性を丁寧に作り込めば、採択の可能性は十分にあります。準備の質が採否を分ける局面と理解してください。

Q5.過去に不採択だった場合、次回はどう対策すべきですか?

A5.不採択の原因を審査の観点に照らして特定し、計画の弱点を補強することが最優先です。持続化補助金は、経営計画の一貫性や販路開拓の効果が審査で重視されます。前回計画のどこが評価されにくかったのかを、審査基準に沿って冷静に見直すことが重要です。単に文章を書き直すのではなく、事業の強みと市場機会、具体的な取組内容と数値効果の因果関係を再設計することが、再挑戦での採択につながります。

Q6.次回の第20回・第4回はいつ頃の予定ですか?

A6.公募スケジュールは中小企業庁および補助金事務局の公表で確認する必要があります。過去の公募は、公募要領公開から締切まで数か月、締切から採択発表までさらに約3か月というサイクルで動いています。第19回・第3回は令和8年(2026年)1月28日公開・4月30日締切・7月29日発表でした。次回の正確な日程は最新の公表情報で確認し、公募開始前から準備に着手することをおすすめします。

Q7.申請件数が減っているのはなぜですか?

A7.制度の認知が一巡したことや、採択率低下による様子見が影響していると整理されます。通常枠は第17回の23,365件から第19回の16,576件へと申請が減少しました。補助金制度が定着して一巡したこと、採択率が下がる中で申請を見送る事業者が出ていることなどが背景と考えられます。創業型も同様に申請が減っていますが、こちらは対象が限られる枠であることが大きく影響しています。

Q8.採択率の分析は、自社の申請にどう活かせますか?

A8.採択枠の縮小傾向を前提に、計画の質で差をつける戦略に切り替えることに活かせます。採択率が下がり続けているという事実は、「出せば通る」前提の申請が通用しなくなっていることを示します。競争環境を正しく認識したうえで、審査で評価される要素に資源を集中させることが重要です。加点項目の取り込みや、事業計画の因果関係の明確化など、相対評価で上位に入るための作り込みが採否を分けます。

Q9.持続化補助金と他の補助金を組み合わせて活用できますか?

A9.目的や対象経費が異なる補助金であれば、事業全体の中で使い分けることは可能です。販路開拓は持続化補助金、設備投資による省力化は省力化投資補助金、ITツール導入はデジタル化・AI導入補助金というように、投資の性質に応じて制度を選ぶ考え方があります。ただし、同一の経費を複数の補助金で重複して受けることは認められません。事業計画全体を俯瞰し、どの投資にどの制度を充てるかを設計することが有効です。

Q10.採択率の推移を踏まえて、経営者が最も意識すべきことは何ですか?

A10.補助金ありきではなく、事業計画そのものの質を高めることです。採択率が下がり続ける環境では、補助金を前提に投資を決めるのではなく、まず自社にとって必要な販路開拓・投資を明確にし、その裏づけとして補助金を活用する順序が重要です。採択されなくても実行する価値のある計画を練り上げることが、結果として審査でも評価される計画につながります。補助金は目的ではなく手段であるという原点を、採択率の推移は改めて示しています。

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