【令和8年(2026年)】小規模事業者持続化補助金 第19回 採択7,621件を独自集計|地域・事業テーマの傾向を分析
中小企業庁は令和8年(2026年)7月29日、小規模事業者持続化補助金 通常枠(一般型・通常枠)第19回の採択結果を公表し、申請16,576件に対して7,819件が採択されました。採択率は約47.2%です。壱市コンサルティングでは、この採択者リストのうち約7,621件(公表総数の約98%)を独自に集計し、どの地域で、どのような事業テーマが採択されているのかを分析しました。
採択率という「通ったか否か」の数値だけでは、実際にどのような取組が評価されているのかは見えてきません。今回の独自集計では、採択が関東・近畿に集中していること、法人と個人事業主がほぼ半々であること、そして事業テーマの約半数が「新規顧客獲得・販路開拓」に集中していることが明らかになりました。
本記事では、7,621件の採択事例を地域別・事業者区分別・テーマ別に整理し、次回の第20回に向けて応募者が参考にできる傾向を客観的に分析します。これから申請を検討している方はもちろん、自社の事業計画がどのような位置づけにあるのかを確かめたい方にも参考になります。
独自集計の対象と方法
本記事の集計は、補助金事務局が公表する採択者リスト(商工会議所地区9ブロックおよび商工会地区)をもとに、壱市コンサルティングが独自に実施したものです。集計にあたっての前提を先に整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 集計対象 | 第19回通常枠の公表採択者リスト(商工会議所地区・商工会地区) |
| 集計件数 | 約7,621件(公表総数7,819件の約98%をカバー) |
| 分類軸 | 所在地(地方ブロック・都道府県)、法人/個人の別、補助事業名のキーワード |
| 留意点 | 事務局・中小企業庁の公式区分とは集計方法が異なる独自集計であり、テーマ分類は補助事業名のキーワードに基づく(重複計上あり) |
以下の数値は、あくまで壱市コンサルティングによる独自集計であり、事務局が公式に区分・公表したものではありません。傾向を把握するための参考値としてご覧ください。
地域別の採択傾向は関東・近畿に集中している
採択事業者の所在地を地方ブロック別に集計すると、関東と近畿の2ブロックで全体の過半を占める結果となりました。
| 地方ブロック | 採択件数(独自集計) | 構成比 |
|---|---|---|
| 関東 | 約2,601件 | 約34.1% |
| 近畿 | 約1,668件 | 約21.9% |
| 東海 | 約953件 | 約12.5% |
| 九州・沖縄 | 約951件 | 約12.5% |
| 北陸信越 | 約454件 | 約6.0% |
| 中国 | 約382件 | 約5.0% |
| 東北 | 約287件 | 約3.8% |
| 四国 | 約228件 | 約3.0% |
| 北海道 | 約97件 | 約1.3% |
関東と近畿だけで全体の約56%を占めており、そこに東海・九州沖縄を加えた4ブロックで約81%に達します。都道府県別に見ると、その集中はさらに鮮明です。
| 都道府県 | 採択件数(独自集計) |
|---|---|
| 東京都 | 約1,194件 |
| 大阪府 | 約721件 |
| 愛知県 | 約546件 |
東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・京都・兵庫という主要8都府県で全体の約52%を占めています。これは、事業者数そのものが大都市圏に集中していることの反映であり、地方の事業者にとって不利ということを意味するわけではありません。むしろ、事業者数に比して申請・採択が少ない地域は、競争環境が相対的に緩やかである可能性があると整理することもできます。地域の事業者数と採択件数のバランスを踏まえて、自社の立ち位置を客観的に把握することが重要です。
法人と個人事業主はほぼ半々
採択事業者を法人と個人事業主等に分けて集計すると、両者はほぼ拮抗しています。
| 事業者区分 | 採択件数(独自集計) | 構成比 |
|---|---|---|
| 法人 | 約3,985件 | 約52.3% |
| 個人事業主等 | 約3,636件 | 約47.7% |
小規模事業者持続化補助金は、その名の通り小規模事業者を対象とする制度であり、個人事業主も法人と遜色ない割合で採択されています。法人でなければ通りにくい、という制度ではないことが、この集計からも確認できます。個人事業主であっても、経営計画と販路開拓の取組がしっかり設計されていれば、採択の土俵に十分に立てると理解するのが実態に近い見方です。
事業テーマは「販路開拓」が約半数を占める
補助事業名に含まれるキーワードから事業テーマを分類したところ、「新規顧客獲得・販路開拓」が突出して多い結果となりました。以下は補助事業名のキーワードに基づく独自分類で、複数テーマにまたがる事業は重複して計上しています。
| 事業テーマ(独自分類) | 件数(独自集計・重複あり) | 構成比 |
|---|---|---|
| 新規顧客獲得・販路開拓 | 約3,710件 | 約48.7% |
| 店舗改装・設備導入 | 約808件 | 約10.6% |
| デジタル関連(EC・HP・SNS・AI等) | 約775件 | 約10.2% |
| 冷凍・高付加価値加工・6次化 | 約461件 | 約6.0% |
| 生産性向上・業務効率化 | 約441件 | 約5.8% |
| インバウンド・観光対応 | 約208件 | 約2.7% |
「販路」という語を補助事業名に含む事例は約2,800件(全体の約37%)にのぼり、この制度が販路開拓を軸とする補助金であるという性格が、採択事例にもそのまま表れていることが分かります。持続化補助金は、名称が示す通り「持続的な経営に向けた販路開拓」を核心に据えた制度であり、事業計画をこの趣旨に沿って組み立てることが採択への近道であると整理されます。
一方で、EC・ホームページ・SNS・AIといったデジタル関連を掲げた事例が約775件(約10.2%)を占めている点も見逃せません。そのうちAI・DXを明確に掲げた事例は約230件でした。デジタル化・AI導入補助金など他制度との役割の違いを踏まえつつ、販路開拓の手段としてのデジタル活用を計画に組み込む事業者が一定数存在していることが読み取れます。
独自集計から見える次回応募への示唆
今回の独自集計は、次回の第20回に向けて申請を検討する事業者にとって、いくつかの実務的な示唆を含んでいます。
第一に、事業計画は「販路開拓」を主軸に据えることが制度趣旨に合致するという点です。採択事例の約半数が販路開拓をテーマとしており、店舗改装や設備導入であっても、それが最終的に新規顧客の獲得・売上拡大にどうつながるのかを明確に描くことが評価につながります。設備投資そのものを目的にした計画ではなく、販路開拓の手段として設備を位置づける構成が有効です。
第二に、個人事業主でも十分に採択の可能性があるという点です。採択の約半数が個人事業主等であり、規模の小ささが不利になる制度ではありません。むしろ小規模ならではの機動力や地域密着性を、経営計画の強みとして打ち出すことが有効です。
第三に、地域の競争環境を踏まえた立ち位置の把握です。大都市圏は採択件数が多い一方で申請も集中します。自社の所在する地域の事業者数と採択件数のバランスを把握し、その中で自社の計画がどう際立つかを設計することが重要です。
この記事のまとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 採択7,621件を独自集計 | 第19回通常枠の公表採択者リストのうち約98%を対象に、地域・事業者区分・テーマを独自に集計した(公式区分とは方法が異なる参考値)。 |
| ② 採択は関東・近畿に集中 | 関東約34.1%・近畿約21.9%で過半を占め、主要8都府県で全体の約52%。事業者数の分布を反映した結果と整理される。 |
| ③ 法人と個人はほぼ半々 | 法人約52.3%・個人事業主等約47.7%。個人事業主でも採択の土俵に十分立てる制度である。 |
| ④ テーマの約半数が販路開拓 | 「新規顧客獲得・販路開拓」が約48.7%で突出。「販路」を含む事業名は全体の約37%にのぼる。 |
| ⑤ 販路開拓を主軸に計画を設計する | 設備投資やデジタル活用も、販路開拓の手段として位置づける構成が制度趣旨に合致し、採択につながりやすい。 |
よくある質問
Q1.この集計は中小企業庁の公式発表ですか?
A1.公式発表ではなく、壱市コンサルティングによる独自集計です。中小企業庁および補助金事務局が公表した採択者リストをもとに、所在地・事業者区分・補助事業名のキーワードを独自に分類・集計したものです。事務局の公式区分とは集計方法が異なるため、傾向を把握するための参考値としてご覧ください。採択率など公表されている一次情報の数値は、中小企業庁の公表資料と一致しています。
Q2.なぜ7,819件ではなく7,621件なのですか?
A2.公表リストから機械的に読み取れた件数が約7,621件だったためです。採択者リストはPDFで公表されており、そのうち構造化して集計できたのが約7,621件でした。これは公表総数7,819件の約98%に相当します。残りの約2%は集計の対象外となっていますが、全体の傾向を把握するうえで支障のない水準のカバー率と考えています。
Q3.関東・近畿に集中しているなら、地方は不利ですか?
A3.不利とは言い切れません。事業者数の分布を反映した結果と理解するのが妥当です。採択件数が多い地域は、そもそも事業者数が多く、申請も集中します。地方は採択件数こそ少ないものの、その分申請も少なく、競争環境が相対的に緩やかである可能性があります。地域の事業者数と採択件数のバランスを踏まえて、自社の立ち位置を客観的に把握することが重要です。
Q4.個人事業主でも採択されますか?
A4.採択事例の約半数が個人事業主等であり、十分に採択の可能性があります。独自集計では法人が約52.3%、個人事業主等が約47.7%とほぼ拮抗しています。持続化補助金は小規模事業者を対象とする制度であり、法人でなければ通りにくいということはありません。小規模ならではの機動力や地域密着性を経営計画の強みとして打ち出すことが有効です。
Q5.販路開拓以外のテーマでは採択されにくいのですか?
A5.販路開拓以外でも採択されますが、最終的に販路開拓・売上拡大につながる設計が重要です。店舗改装・設備導入やデジタル活用も一定数採択されています。ただし、この制度は「販路開拓」を核心に据えた補助金です。設備投資であっても、それが新規顧客の獲得や売上拡大にどうつながるのかを明確に描くことが、制度趣旨との整合性を高め、採択につながりやすくなります。
Q6.デジタル関連の事業も採択されていますか?
A6.EC・ホームページ・SNS・AI等のデジタル関連は約775件(約10.2%)採択されています。そのうちAI・DXを明確に掲げた事例は約230件でした。デジタル活用を販路開拓の手段として組み込んだ事業計画が一定数採択されています。なお、ITツールの導入自体が主目的の場合は、デジタル化・AI導入補助金など他制度のほうが適していることもあり、投資の目的に応じた制度選択が重要です。
Q7.テーマ分類の件数を合計すると総数と合わないのはなぜですか?
A7.一つの事業が複数のテーマにまたがる場合、重複して計上しているためです。テーマ分類は補助事業名に含まれるキーワードに基づいており、たとえば「ホームページ制作による新規顧客開拓」という事業名は、デジタル関連と販路開拓の両方に計上されます。そのため各テーマの件数を単純合計しても採択総数とは一致しません。あくまで、どのようなテーマが多いかの傾向を示す参考値です。
Q8.この集計を自社の申請にどう活かせますか?
A8.採択事例の傾向を踏まえ、自社の計画を制度趣旨に合わせて設計することに活かせます。採択の主軸が販路開拓であること、個人事業主でも採択されること、地域による競争環境の違いがあることを踏まえれば、自社の計画がどの位置づけにあるかを客観的に把握できます。傾向に合わせて計画を丸めるのではなく、自社の強みを制度趣旨と結びつけて表現することが、採択に近づく設計です。
Q9.採択者リストは誰でも見られるのですか?
A9.補助金事務局のホームページで公表されており、誰でも閲覧できます。商工会議所地区・商工会地区それぞれの採択者リストが、事務局のサイトで公開されています。自社と同じ地域・業種の採択事例を確認することで、どのような取組が採択されているかの実感を持つことができます。ただし、リストには事業内容の詳細までは記載されていないため、傾向の把握が中心となります。
Q10.採択事例の傾向を踏まえて、経営者が最も意識すべきことは何ですか?
A10.「販路開拓を軸に、自社の強みをどう活かすか」を計画の中心に据えることです。採択事例の約半数が販路開拓をテーマとしている事実は、この制度が何を支援したいのかを明確に示しています。設備投資もデジタル活用も、それ単体ではなく販路開拓の手段として位置づけることが重要です。他社の採択事例に寄せるのではなく、自社にとって必要な販路開拓は何かを起点に計画を組み立てることが、結果として審査でも評価される計画につながります。
持続化補助金の申請支援なら壱市コンサルティング
採択事例の傾向を、自社の計画づくりに活かす
採択事例の傾向を眺めるだけでは、自社の申請は前に進みません。大切なのは、その傾向を踏まえたうえで、自社の強みと販路開拓の狙いをどう結びつけるかです。壱市コンサルティングでは、認定経営革新等支援機関として、採択データの傾向分析を踏まえながら、その事業者ならではの経営計画を組み立てることを大切にしています。
📊 採択傾向を踏まえた申請戦略の立案
地域・事業者区分・テーマの傾向を踏まえ、自社の計画の立ち位置を客観的に評価します。
📋 販路開拓を軸とした経営計画の策定
制度趣旨である販路開拓を中心に据え、設備投資やデジタル活用を手段として位置づけた計画を設計します。
🔄 採択後の交付申請・実績報告までの伴走支援
採択がゴールではありません。補助事業の完了まで見据えた支援を行います。
🤝 他制度との組み合わせ提案
省力化投資補助金やデジタル化・AI導入補助金など、投資の性質に応じた制度の使い分けを提案します。
他社の事例に寄せるのではなく、自社にとって必要な販路開拓を起点にした計画づくりをお手伝いします。
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
- ✅ 自社の事業計画が採択事例の傾向に合っているか確かめたい
- ✅ 設備投資やデジタル活用を、どう販路開拓と結びつければよいか分からない
- ✅ 地域の競争環境の中で、自社の計画がどう際立つか知りたい
- ✅ 個人事業主でも採択される計画の作り方を相談したい
- ✅ 補助金と他制度をどう組み合わせるべきか相談したい
