【令和8年(2026年)】ものづくり補助金23次採択結果を分析|採択率35.1%・最終回の傾向と後継制度

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)の23次締切の採択結果が公表されました。申請者数1,275者に対して採択者数は448者、採択率は35.1%です。令和8年(2026年)2月6日から5月8日までの募集期間に寄せられた申請を全国採択審査委員会が審査した結果となります。

注目すべきは、この23次締切をもって、ものづくり補助金は制度としての公募を終えるという点です。令和8年度(2026年度)以降は、新事業進出補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に一本化され、すでに第1回公募が動き出しています。つまり23次の採択結果は、単なる一公募回の結果ではなく、令和2年(2020年)から23回にわたって続いた制度の最終スコアという意味を持ちます。

採択者一覧を精査すると、東京都への集中、AI・システム開発型案件の存在感、設備投資型との二極化といった傾向が明確に表れています。これらは制度が終わったから無関係になる話ではなく、後継制度の審査を読み解くうえでの重要な手がかりです。

本記事では、23次締切の採択結果を数値ファクトで整理し、採択者448者の地域分布と事業計画の傾向を独自集計で分析したうえで、次の受け皿となる新事業進出・ものづくり商業サービス補助金への実務的な接続方法を解説します。

Contents
  1. ものづくり補助金23次締切の採択結果
  2. 採択率の推移から読み解く最終回の位置づけ
  3. 採択448者の地域分布に見る集中構造
  4. 事業計画名から読み取れる採択事業の傾向
  5. 採択と不採択を分けた要素の実務的整理
  6. 次の受け皿は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
  7. まとめ
  8. よくあるご質問
  9. ものづくり補助金の終了と新制度への移行にお悩みの経営者様へ

ものづくり補助金23次締切の採択結果

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイトの公表によれば、23次締切の申請者数は1,275者、採択者数は448者でした。申請枠別の内訳は以下のとおりです。

区分 申請者数 採択者数 採択率
総計 1,275者 448者 35.1%
製品・サービス高付加価値化枠 1,169者 418者 35.8%
グローバル枠 106者 30者 28.3%
募集期間 令和8年(2026年)2月6日~令和8年(2026年)5月8日

採択率35.1%という水準の読み方

35.1%という数字だけを見ると「3者に1者は通る」という印象を持たれがちですが、この解釈は実態から離れています。ものづくり補助金の審査は絶対評価ではなく相対評価であり、要件を満たしていても、他の申請との比較の結果として採択に至らないケースが構造的に生じます。要件充足はスタートラインであって、採択の十分条件ではないと理解する必要があります。

また、23次は最終回であることが公募段階から広く認識されていた回です。「現行制度で申請できる最後の機会」という情報が流通した結果、準備の整った事業者が優先的に応募し、様子見の事業者が離脱したと考えられます。申請母集団の質が相対的に高まった状態での35.1%であり、易化を示す数字ではありません。

グローバル枠は28.3%と厳しい水準

枠別に見ると、製品・サービス高付加価値化枠の35.8%に対し、グローバル枠は28.3%と7.5ポイント低い水準です。グローバル枠は海外市場開拓や海外事業の拡大を要件とするため、輸出計画の実現可能性、現地市場の需要根拠、為替・関税リスクへの対応といった立証負担が重く、計画の完成度による差が出やすい枠です。

実際に採択された30件の事業計画名を見ると、香港のプレミアムコーヒー市場、ナイジェリア向けサンダル製造販売、ベトナム農業向けドローン散布、米国向け抹茶原料といった具合に、進出先の国・地域と製品が具体的に特定されている案件が並びます。「海外展開を目指す」という抽象的な記述では通らない枠であることが、採択案件の表題からも読み取れます。

📊 このセクションの要点

23次締切は申請1,275者・採択448者・採択率35.1%で確定しました。枠別では製品・サービス高付加価値化枠が35.8%、グローバル枠が28.3%です。最終回として準備済みの事業者が集中した回であり、数字の見た目ほど易しい審査ではなかったと整理されます。

採択率の推移から読み解く最終回の位置づけ

23次の結果を単独で評価しても実態はつかめません。直近6回の推移を並べると、この制度が終盤にどのような状態にあったかが見えてきます。

締切回 採択発表 申請者数 採択者数 採択率
18次 令和6年6月25日 5,777者 2,070者 35.8%
19次 令和7年7月28日 5,336者 1,698者 31.8%
20次 令和7年10月27日 2,453者 825者 33.6%
21次 令和8年1月23日 1,872者 638者 34.1%
22次 令和8年4月30日 1,552者 582者 37.5%
23次 令和8年(2026年)夏 1,275者 448者 35.1%

申請者数の縮小が制度終盤の最大の特徴

採択率は31.8%から37.5%の帯で推移しており、大きな変動はありません。むしろ際立つのは申請者数の縮小です。19次の5,336者から23次の1,275者まで、4回で約76%減少しています。同時に採択者数も2,070者から448者へと縮小しており、制度の規模そのものが段階的に絞られていったことがわかります。

この縮小は、令和7年(2025年)以降に省力化投資補助金、新事業進出補助金、成長加速化補助金など複数の設備投資系補助金が並立し、事業者の申請先が分散したこと、および予算規模の縮小が重なった結果と整理されます。採択率が横ばいのまま母数が縮んだという事実は、「競争が緩んだ」のではなく「土俵そのものが小さくなった」ことを意味します。

23回累計で約10万件の申請、約4.7万件の採択

令和2年(2020年)4月の1次締切から23次締切までの全公募回を通算すると、申請者数は99,972者、採択者数は46,783者、通算採択率は46.8%となります(グローバル展開型を含む壱市コンサルティング集計)。制度初期は採択率が50%を超える回もあり、17次締切以降に30%台へ収束したという構造的な変化があります。

また、事務局が公表する交付決定状況(集計基準日:令和8年7月8日)では、1次から22次までの交付決定数が42,783件、交付決定金額は3,662億1,940万円に達しています。6年間で約3,700億円が中小企業の設備投資に投下されたという事実は、この制度が果たした役割の大きさを示しています。

補足

採択者数と交付決定数には差があります。採択後の交付申請段階で辞退・不備・取下げが発生するためです。23次でも採択448者がそのまま交付決定に至るとは限らず、実務上は交付申請の準備を採択発表直後から進める必要があります。

📊 このセクションの要点

直近6回の採択率は31.8%から37.5%の帯で安定している一方、申請者数は19次の5,336者から23次の1,275者へ約76%縮小しました。全23回累計では申請99,972者・採択46,783者、交付決定額は3,662億円規模に達しています。

お問い合わせはこちら

採択448者の地域分布に見る集中構造

公表された採択者一覧をもとに、448者をブロック別・都道府県別に集計しました。結果は、これまでの回以上に明確な地域偏在を示しています。

ブロック 採択者数 構成比
関東ブロック 187者 41.7%
近畿ブロック 92者 20.5%
中部ブロック 59者 13.2%
九州ブロック 33者 7.4%
北海道ブロック 21者 4.7%
東北ブロック 20者 4.5%
中国ブロック 18者 4.0%
四国ブロック 12者 2.7%
沖縄ブロック 6者 1.3%

なお、本補助金のブロック区分では新潟県・長野県・静岡県が関東ブロック、三重県が中部ブロック、福井県が近畿ブロックに含まれます。都道府県別の上位は以下のとおりです。

順位 都道府県 採択者数 構成比
1位 東京都 87者 19.4%
2位 大阪府 46者 10.3%
3位 愛知県 35者 7.8%
4位 神奈川県 22者 4.9%
5位 北海道・千葉県 各21者 各4.7%
7位 埼玉県 18者 4.0%
8位 静岡県・兵庫県 各16者 各3.6%
10位 三重県・京都府 各13者 各2.9%

上位3都府県で全体の37.5%を占める

東京都・大阪府・愛知県の3都府県だけで168者、全体の37.5%を占めています。上位5都道県まで広げると211者・47.1%となり、採択の半分近くが5つの都道県に集中している構造です。一方で、山梨県と長崎県は採択者ゼロという結果でした。

この偏在を「都市部が優遇されている」と読むのは誤りです。事業者数の分布、支援機関の集積度、そして後述するAI・システム開発型案件の立地がそのまま反映された結果と理解するのが実態に近い見方です。特に東京都の87者のうち相当数がシステム・プラットフォーム開発案件であり、製造業の設備投資とは異なる申請層が採択件数を押し上げています。

個人事業主・任意団体も28者が採択

採択者448者のうち、13桁の法人番号を持たない事業者は28者、全体の6.3%です。歯科医院、動物病院、農園、個人経営の製作所などが含まれます。法人でなければ採択されないという事実はなく、事業計画の内容で評価されていることが数字から確認できます。

📊 このセクションの要点

関東ブロックが187者・41.7%を占め、東京都単独で87者・19.4%です。上位3都府県で37.5%、上位5都道県で47.1%と集中構造が鮮明で、採択ゼロの県も2県ありました。個人事業主等も28者が採択されており、法人格の有無は採否を分ける要素ではありません。

事業計画名から読み取れる採択事業の傾向

採択者一覧に記載された448件の事業計画名について、キーワードの出現状況を集計しました。事業計画の中身そのものではなく表題の文字列による集計ですが、審査を通過した事業の輪郭を把握するには十分な材料となります。

キーワード分類 該当件数 構成比
「開発」を含む 約149件 約33%
システム・プラットフォーム・SaaS・アプリ 約81件 約18%
AI 約64件 約14%
高付加価値・付加価値 約27件 約6%
自動化・省力・省人・ロボット・無人 約24件 約5%
DX 約24件 約5%
海外・輸出・越境・グローバル 約23件 約5%

補足

上記は壱市コンサルティングが公表PDFの事業計画名を機械的に文字列照合した独自集計です。PDFの行折り返しの影響で数件の誤差が生じるため、件数は概数として記載しています。事務局が公表する公式の分類統計ではありません。

ソフトウェア開発型が採択の一角を占める

最も注目すべきは、システム・プラットフォーム・SaaS関連が約18%、AI関連が約14%を占めるという点です。「ものづくり補助金」という名称から製造業の設備投資が中心という印象を持たれがちですが、23次の採択案件ではソフトウェア開発型が明確に一角を占めています。中古電子機器流通向けの価格予測SaaS、契約業務統合SaaS、採用管理システム、産業廃棄物の即時見積システムなど、業種特化型の垂直SaaSが数多く並びます。

一方で、マシニングセンタ、レーザー溶接機、ワイヤー放電加工機、真空乳化装置、色彩選別機といった具体的な設備名を掲げた製造業の案件も引き続き多数採択されています。ソフトウェア型と設備投資型の二極が並存しているのが23次の実像です。

動物病院・歯科医院の採択が定着

動物病院のCT・低侵襲外科体制構築、歯科医院の歯周病治療や補綴製作システムに関する案件が全国から採択されています。これらは「地域の医療空白を埋める」「高齢動物の低侵襲外科を確立する」といった形で、単なる機器導入ではなく新しい診療サービスの開発として計画が組み立てられている点が共通しています。設備を買う話ではなく、設備によって何を新たに提供できるようになるかを書く。この構造は後継制度でも変わりません。

📊 このセクションの要点

事業計画名の独自集計では「開発」が約33%、システム・SaaS系が約18%、AI関連が約14%を占めました。製造業の設備投資型とソフトウェア開発型が並存し、動物病院・歯科医院の新診療体制構築も定着しています。共通するのは、設備導入そのものではなく新たな提供価値を軸に計画が組まれている点です。

お問い合わせはこちら

採択と不採択を分けた要素の実務的整理

事務局は採択理由の開示および異議申立てを一切受け付けていません。したがって個別案件の採否理由を直接確認する手段は存在しません。ただし、採択案件の傾向と支援現場での実務経験からは、分岐点として整理できる要素があります。

革新性が「誰にとっての新しさか」で説明されているか

採択案件の事業計画名には「同業の中で普及していない工程を自社に取り込む」「地域で提供されていないサービスを立ち上げる」という構造が繰り返し現れます。ものづくり補助金の革新性は日本初・世界初を求めるものではなく、同業種・同一地域において相当程度普及していないことを基準としてきました。この基準を踏まえずに「最新設備を導入する」とだけ書いた計画は、審査上の評価を得にくくなります。

賃上げ・付加価値目標の実現可能性が示されているか

本補助金は補助事業終了後3年から5年の事業計画において、付加価値額と一人当たり給与支給総額の成長率、事業場内最低賃金の水準を達成することを求めます。これらは努力目標ではなく、未達の場合に返還義務が生じうる要件です。採択される計画は、売上高の伸びと人件費の伸びが整合し、設備の稼働計画から付加価値額が積み上がる形で組み立てられています。数値だけを目標値に合わせて置いた計画は、審査の段階でも、採択後の事業化状況報告の段階でも問題になります。

口頭審査に耐える理解の深さがあるか

近年の公募回では、一定の要件に該当する申請者に対して口頭審査が実施されてきました。口頭審査は経営者本人が対応する必要があり、代理人の同席や外部からの助言は認められません。計画書の作成を外部に任せきりにしていた場合、この段階で内容を説明できず評価を落とすことになります。計画書は経営者自身の言葉に翻訳できる状態まで理解しておくことが、採択の前提条件となっています。

注意

補助金交付候補者の採択結果について、理由開示および異議申立ては一切受け付けられません。不採択となった場合、その理由を事務局に照会しても回答は得られない運用です。次の申請に向けては、審査項目に照らして自ら計画を再点検するか、第三者による客観的なレビューを受けることが現実的な対応となります。

📊 このセクションの要点

採択理由は開示されないため、分岐点は採択案件の傾向から逆算するほかありません。同業・同地域における普及度を基準とした革新性の説明、付加価値と賃上げ目標の積み上げ根拠、そして経営者自身が口頭審査で説明できる理解の深さが、実務上の三つの分水嶺と整理されます。

次の受け皿は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

ものづくり補助金は23次締切をもって公募を終えます。令和8年度(2026年度)以降の受け皿となるのが、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です。ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、令和8年(2026年)6月29日に第1回公募が開始されました。

最大の変更点は、目的別に3つの補助対象事業枠が用意されたことです。従来のものづくり補助金で言えば製品・サービス高付加価値化枠が「革新的新製品・サービス枠」に、グローバル枠が新制度の「グローバル枠」に相当し、そこに新事業進出補助金の系譜を引く「新事業進出枠」が加わった構成となっています。

項目 革新的新製品・サービス枠 新事業進出枠 グローバル枠
対象となる事業 革新的な新製品・新サービス開発の取組 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化
補助上限額 750万円~2,500万円(賃上げ特例適用時は最大3,500万円) 2,500万円~7,000万円(賃上げ特例適用時は最大9,000万円) 2,500万円~7,000万円(賃上げ特例適用時は最大9,000万円)
補助下限額 100万円 750万円 750万円
補助率 中小企業者1/2(一定条件で2/3)、小規模・再生事業者2/3 中小企業者1/2(一定条件で2/3) 中小企業者2/3
建物費 対象外 対象 対象
補助事業実施期間 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内) 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内) 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)

第1回公募のスケジュールは後ろ倒しされている

第1回公募のスケジュールは令和8年(2026年)7月17日付で変更されています。当初は申請受付が8月31日、締切が9月30日とされていましたが、いずれも1か月後ろ倒しになりました。

段階 日程
公募開始 令和8年(2026年)6月29日
申請受付開始 令和8年(2026年)9月30日
申請締切 令和8年(2026年)10月30日18時(厳守)
口頭審査 該当者のみ実施
採択発表 令和9年(2027年)1月予定
交付申請締切 原則、採択発表日から2か月以内

補助対象事業の要件は6項目に整理された

新制度では、3年から5年の事業計画において次の要件をすべて満たすことが求められます。付加価値額の年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準を毎年維持すること。加えて、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と「両立支援のひろば」での公表、子育て等に関する職場環境整備の取組、金融機関から資金提供を受ける場合の事業計画確認が要件となります。

注意

賃上げ要件と事業場内最賃水準要件は、目標値未達の場合に補助金の返還義務が生じる要件として明記されています。賃上げ特例の適用を受ける場合は、給与支給総額が年平均成長率6.0%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以上高い水準へとハードルが上がります。補助上限額を優先して特例適用を選択すると、達成困難な水準を自ら課すことになりかねません。上限額と達成可能性を冷静にご判断ください。

ものづくり補助金の経験をどう引き継ぐか

23次で不採択となった事業者にとって、新制度は再挑戦の機会です。ただし、ものづくり補助金の計画書をそのまま流用することは適切ではありません。新制度の革新的新製品・サービス枠は、既存の生産プロセスの改善・向上を図る事業を明確に補助対象外としており、機械装置を導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わないものも対象になりません。「何を新しく世に出すのか」を計画の主語に据え直す作業が必要です。

一方で、新事業進出枠を選ぶ場合は判断軸が異なります。この枠では、新たに製造・提供する製品等が自社にとって新規性を有し、かつその製品等が属する市場が自社にとって新たな市場であることが求められます。ここでの新規性は日本初・世界初ではなく自社にとっての新規性であり、既存事業の延長線上にある取組は該当しません。23次で高付加価値化枠に申請していた事業者が、そのまま新事業進出枠に読み替えられるとは限らない点に注意が必要です。

POINT

新事業進出枠では、公募開始日以降に初めて取り組んでいる事業について新規性を有するものとみなされます。すでに着手している事業を後から申請することはできません。検討段階の新規事業がある場合は、着手のタイミングと申請枠の選択を先に整理しておくことが賢明です。

📊 このセクションの要点

後継制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で、革新的新製品・サービス枠・新事業進出枠・グローバル枠の3枠構成です。第1回公募は令和8年(2026年)10月30日18時が申請締切、採択発表は令和9年(2027年)1月予定となっています。ものづくり補助金の計画をそのまま流用することはできず、枠の選択から組み立て直す必要があります。

お問い合わせはこちら

まとめ

ポイント 内容
23次の結果 申請1,275者・採択448者・採択率35.1%。製品・サービス高付加価値化枠35.8%、グローバル枠28.3%で、この回をもってものづくり補助金の公募は終了。
制度終盤の構造 採択率は30%台で安定する一方、申請者数は19次の5,336者から4回で約76%縮小。全23回累計で申請99,972者・採択46,783者、交付決定額は3,662億円規模。
地域の集中 関東ブロックが41.7%、東京都単独で19.4%。上位3都府県で37.5%を占め、採択ゼロの県も2県。個人事業主等も28者が採択されている。
採択事業の傾向 事業計画名の独自集計でシステム・SaaS系が約18%、AI関連が約14%。製造業の設備投資型と並存し、設備導入ではなく新たな提供価値を軸に組まれた計画が採択されている。
次の一手 後継制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金。第1回の申請締切は令和8年(2026年)10月30日18時。3枠のどれを選ぶかで計画の組み立てが根本から変わるため、枠の選定から着手する。

よくあるご質問

Q1.ものづくり補助金23次締切の採択率は何%ですか。

A1.総計で35.1%です。申請者数1,275者に対して採択者数は448者でした。申請枠別では、製品・サービス高付加価値化枠が申請1,169者・採択418者で35.8%、グローバル枠が申請106者・採択30者で28.3%となっています。募集期間は令和8年(2026年)2月6日から5月8日まででした。直近の推移を見ると、19次が31.8%、20次が33.6%、21次が34.1%、22次が37.5%であり、23次の35.1%はこの帯の中に収まる水準です。ただし採択率の数字だけで難易度を判断することは適切ではありません。本補助金の審査は相対評価であるため、申請母集団の質によって同じ採択率でも実質的な難易度は変動します。23次は最終回であることが広く認識された回であり、準備の整った事業者が集中したと考えられます。

Q2.なぜ申請者数がここまで減少したのですか。

A2.補助金の選択肢が増え、申請先が分散したことが主因と整理されます。19次の5,336者から23次の1,275者へ、4回で約76%の縮小です。この期間に、省力化投資補助金、新事業進出補助金、成長加速化補助金といった設備投資を支援する制度が相次いで整備され、事業者が自社の取組に最も合う制度を選べる状況になりました。従来はものづくり補助金に集中していた申請が、目的別に分散したと理解するのが実態に近い見方です。加えて、予算規模の縮小に伴い採択者数自体が絞られたこと、制度の統合が予告されていたことで様子見に回った事業者が一定数存在したことも影響しています。申請者数の減少は制度への関心低下ではなく、支援メニューの再編に伴う構造的な移動と捉えるべきです。

Q3.グローバル枠の採択率が低いのはなぜですか。

A3.立証すべき事項が多く、計画の完成度による差が出やすい枠だからです。23次のグローバル枠は申請106者・採択30者で28.3%と、高付加価値化枠より7.5ポイント低い水準でした。海外展開を扱う以上、進出先市場の需要根拠、現地の競合状況、販路の確保方法、規制や認証への対応、為替や関税の変動リスクまで踏み込んだ説明が必要になります。国内向けの設備投資計画に比べ、検証が求められる論点が明らかに多いのです。実際に採択された案件を見ると、香港、ナイジェリア、ベトナム、米国、欧州といった具体的な国・地域と、そこで売る製品が明示されています。「将来的に海外展開も視野に入れる」という記述では評価を得られません。後継制度のグローバル枠でも、自発的な海外販路開拓であることが求められ、取引先主導の事業は補助対象外とされています。

Q4.東京都に採択が集中しているのは地域差別ではないのですか。

A4.地域による優劣ではなく、申請母集団の分布が反映された結果と整理されます。東京都は87者で全体の19.4%を占め、関東ブロック全体では187者・41.7%に達します。ただし、これは審査で地域を加点・減点しているという意味ではありません。事業者数そのものの分布、支援機関や金融機関の集積、そして23次で存在感を示したAI・システム開発型企業の立地が、そのまま件数に表れています。実際、東京都の採択案件にはSaaS・プラットフォーム開発が多数含まれ、製造業の設備投資とは異なる申請層が件数を押し上げています。地方の事業者にとって重要なのは、都市部との比較ではなく、自社の取組が同業・同一地域において普及していない内容であることを具体的に示すことです。採択者ゼロの県が2県あった一方、四国・沖縄からも着実に採択が出ています。

Q5.ものづくり補助金は本当に終了するのですか。

A5.新規の公募としては23次締切が最後であり、後継制度に統合されます。令和8年度(2026年度)以降は、新事業進出補助金と統合された新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が実施されます。令和8年(2026年)6月29日に第1回公募が開始され、すでに公募要領も公開されています。ただし、23次までに採択された事業者への支援が終わるわけではありません。交付決定、補助事業の実施、実績報告、額の確定、そして補助事業完了後5年間にわたる事業化状況報告まで、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の枠組みは継続します。すでに採択されている事業者は、従来どおり同補助金の事務局の指示に従って手続きを進める必要があります。新規申請と既存案件の管理は別の話として整理してください。

Q6.23次で不採択でした。後継制度に再申請できますか。

A6.再申請は可能ですが、計画書の流用は避けるべきです。後継制度は補助対象事業枠の考え方が再構成されており、ものづくり補助金の計画書をそのまま提出しても評価されません。特に革新的新製品・サービス枠は、既存の生産プロセスの改善・向上を図る事業を明確に補助対象外としています。設備を導入して既存製品の生産性を上げるという構成の計画は、この枠では通りません。何を新しく開発し、顧客にどのような新しい価値を提供するのかを主語に据え直す必要があります。また、不採択理由は開示されないため、前回の弱点を事務局に確認することはできません。審査項目に照らして自ら計画を再点検するか、第三者の客観的なレビューを受けたうえで、枠の選択から組み立て直すことが現実的な進め方です。同じ内容を再提出しても、評価が大きく改善する可能性は低いと考えるべきです。

Q7.後継制度の3つの枠は、どれを選べばよいのですか。

A7.取組の性質によって決まり、金額で選ぶものではありません。革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力を活かして新製品・新サービスを開発する取組が対象です。新事業進出枠は、自社にとって新規性のある製品等を、自社にとって新たな市場に投入する取組が対象となります。グローバル枠は、自発的な海外販路開拓のために国内の製造等拠点を強化する取組が対象です。補助上限額は新事業進出枠とグローバル枠が最大7,000万円と大きく見えますが、補助下限額も750万円と高く設定されており、小規模な設備投資では要件を満たせません。革新的新製品・サービス枠の下限は100万円です。自社の投資規模と取組の性質を照らし合わせ、無理に大きな枠へ寄せないことが重要です。枠の選択を誤ると、計画全体の論理が成立しなくなります。

Q8.後継制度の賃上げ要件はどの程度厳しいのですか。

A8.未達の場合に返還義務が生じうる水準であり、慎重な検討が必要です。補助事業終了後3年から5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準を毎年維持することが求められます。付加価値額の年平均成長率4.0%以上も併せて必要です。さらに賃上げ特例の適用を受けて補助上限額を引き上げる場合は、給与支給総額が年平均成長率6.0%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以上高い水準へと基準が上がります。補助上限額の差に目を奪われて特例を選択すると、達成困難な目標を自ら課すことになりかねません。5年間の人件費計画と付加価値の積み上げを試算したうえで、特例の適用可否を判断することが賢明です。

Q9.後継制度の第1回公募のスケジュールを教えてください。

A9.申請締切は令和8年(2026年)10月30日18時です。公募開始は令和8年(2026年)6月29日、申請受付開始は9月30日、申請締切は10月30日18時(厳守)となっています。当初は申請受付開始が8月31日、締切が9月30日とされていましたが、令和8年(2026年)7月17日付でいずれも1か月後ろ倒しに変更されました。採択発表は令和9年(2027年)1月予定です。交付申請は原則として採択発表日から2か月以内、補助事業の実施期間は革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内、新事業進出枠とグローバル枠が14か月以内とされています。申請は電子申請システムでのみ受け付けられ、交付決定日より前に発注した経費は補助対象になりません。スケジュールは変更される可能性があるため、事務局ホームページで最新情報を確認してください。

Q10.認定経営革新等支援機関の関与は必要ですか。

A10.制度上の必須要件ではありませんが、実務上の有用性は高いと整理されます。23次の採択者一覧を見ると、認定経営革新等支援機関名が記載されている案件と記載のない案件が混在しており、支援機関の関与がなくても採択されている事業者は相当数存在します。したがって「支援機関がなければ通らない」という理解は誤りです。一方で、金融機関から資金提供を受ける場合には事業計画の確認を受けることが要件とされており、金融機関との対話は避けて通れません。また、口頭審査では経営者本人が事業内容を説明する必要があるため、計画づくりの過程で第三者と論点を詰めておくことが、結果的に説明力の向上につながります。支援機関を採択のための手段ではなく、計画の精度を上げる相手として位置づけることが有効です。

ものづくり補助金の終了と新制度への移行にお悩みの経営者様へ

制度が変わる今こそ、枠の選定から一緒に組み立て直しませんか

壱市コンサルティングは、中小企業診断士が代表を務める認定経営革新等支援機関です。約30名の提携コンサルタント・行政書士とともに、累計150件超・15億円超の補助金採択実績を積み上げてきました。ものづくり補助金の申請支援で培った審査項目の読み解きを、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募にそのまま活かします。

📊 補助対象事業枠の選定診断

革新的新製品・サービス枠・新事業進出枠・グローバル枠のどれが自社の取組に適合するかを、投資規模と事業の性質から整理します。

📋 事業計画書の作成支援

革新性の論証、付加価値額と賃上げ目標の積み上げ、収支計画の整合まで、審査項目に沿って計画を構築します。

💼 口頭審査への備え

経営者ご自身が計画を自分の言葉で説明できる状態まで、想定問答を用いて準備を進めます。

🔄 採択後の伴走支援

交付申請から実績報告、補助事業完了後の事業化状況報告まで、返還リスクを抑えながら継続的に支援します。

第1回公募の申請締切は令和8年(2026年)10月30日18時です。枠の選定と計画づくりには相応の時間を要しますので、早い段階でご相談ください。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ ものづくり補助金で不採択となり、次にどの制度へ出すべきか判断がつかない
  • ✅ 3つの補助対象事業枠のどれに該当するのか自社では整理しきれない
  • ✅ 賃上げ要件を満たせるか不安で、特例適用の判断に迷っている
  • ✅ 設備導入の構想はあるが、革新性の説明の仕方がわからない
  • ✅ 採択後の事業化状況報告や返還リスクへの備え方を知っておきたい

お問い合わせはこちら

友だち追加 お問い合わせ