【2026年度最新】富山県の中小企業向け補助金まとめ|トランスフォーメーション補助金を中心に徹底解説

富山県では、令和8年度(2026年度)も県内の中小企業・小規模事業者を対象とした補助制度が数多く動いています。なかでも県独自の中核制度となっているのが「富山県中小企業トランスフォーメーション補助金」です。第3次募集が令和8年(2026年)2月27日から始まり、令和8年(2026年)7月31日まで受付が続いています。

この補助金の特徴は、人手不足対策のための省力化・省人化DX(デジタル変革)GX(グリーン変革)、そしてAI導入を一つの制度でまとめてカバーしている点にあります。製造業の集積地である富山県の実情に合わせ、工場の自動化やシステム投資、生成AIの活用まで幅広い取組みが対象になります。

本記事では、富山県中小企業トランスフォーメーション補助金の枠組みと要件を中心に、県独自のその他の補助制度、国の補助金との組み合わせまでを整理します。富山県内で設備投資やデジタル化を検討している経営者の方はもちろん、顧問先の支援を行う士業・支援機関の方にも参考になります。

富山県の補助金を取り巻く現状と令和8年度の方向性

富山県は、アルミ・医薬品・機械をはじめとする製造業の比率が高く、海外競争力を持つ企業が多い地域です。一方で、地方共通の課題である人手不足と物価・エネルギー価格の高騰が、県内中小企業の経営を強く圧迫しています。こうした環境を背景に、富山県の補助政策は「省力化・生産性向上」と「賃上げ」を強く結びつけた設計になっています。

令和8年度(2026年度)の方向性を理解するうえで重要なのは、県の補助金の多くが賃上げを採択や補助率引上げの条件に組み込んでいるという点です。単に設備を導入するだけでなく、その投資を通じて生産性を高め、従業員の賃金引上げにつなげるという一連のストーリーが求められます。この構造を押さえておくことが、富山県の補助金を活用するうえでの出発点になります。

💡 POINT

富山県の補助金は「省力化・生産性向上 × 賃上げ」をワンセットで設計しているものが多いという点が特徴です。設備投資の目的が賃上げや人手不足対応にどうつながるのかを、計画段階から明確に描いておくことが採択の前提になります。

富山県中小企業トランスフォーメーション補助金の全体像

制度の目的と背景

富山県中小企業トランスフォーメーション補助金は、物価高や人手不足など厳しい事業環境に直面している県内事業者を対象に、省力化・省人化による生産性向上や、DX・GXを通じた業務プロセス・事業構造の変革を幅広く支援する県独自の制度です。第3次募集では、急速に進化したAIを活用した取組みを後押しする「AI導入枠」が設けられている点が大きな特徴です。

補助対象者

補助対象となるのは、県内に主たる事業所を置く(本社登記が富山県内である)事業者です。具体的には次のとおりです。支店だけが富山県内にある場合は対象外となるため、登記内容を確認したうえで申請する必要があります。

区分 内容
対象事業者 中小企業者・小規模企業者、NPO法人、医療法人、組合(中小企業等経営強化法に基づくもの)。個人事業主・フリーランスも利用可
所在地要件 県内に主たる事務所または事業所を有すること(本社登記が県内)
対象外 みなし大企業、暴力団関係者、性風俗営業等事業者
創業者の扱い 対象となる枠あり。ただし省力化・省人化モデル枠は対象外。補助率引上げ要件は前年度の給与支払実績がない場合は対象外

補足:第3次募集からは、社会福祉法人が対象に追加されています。デイサービスや訪問介護など、ICT化・省力化のニーズが高い事業者への対応です。ただし社会福祉法人については、令和8年(2026年)4月1日以降に実施する事業が対象となる点に注意が必要です。

4つの申請枠と補助額・補助率

第3次募集では、目的に応じて4つの枠が用意されています。それぞれ上限額・補助率・対象となる取組みが異なります。下表で全体像を把握してください。

上限額 補助率 主な対象
省力化・省人化モデル枠 1,000万円 中小・組合 2/3
小規模 3/4
ロボット導入、自動化ライン構築など人手不足対応のモデル的取組み
AI導入枠 500万円 中小・組合 2/3
小規模 3/4
生成AI活用、品質検査AI、需要予測AIなどAIを活用した取組み
DX枠 500万円 中小・組合 1/2(※2/3)
小規模 2/3(※3/4)
デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
GX枠 500万円 中小・組合 1/2(※2/3)
小規模 2/3(※3/4)
省エネ・脱炭素など環境対応を通じた業務プロセス・事業構造の変革

補足:DX枠・GX枠の「※」は、補助率引上げ要件を満たした場合の補助率です。補助金申請額には下限が設けられており、省力化・省人化モデル枠は200万円、その他の枠は100万円を下回ると受理されません。

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枠ごとの要件と賃上げ要件の注意点

省力化・省人化モデル枠

上限1,000万円・補助率2/3(小規模3/4)と、4つの枠のなかで最も手厚い枠です。ただしその分、要件も厳しく設定されています。事業場内平均賃金(時給単価)の引上げ給与支給総額(月額)3%以上の引上げの両方が必須要件として課されます。採択件数も限られると見込まれるため、計画書の完成度が採否を分けます。創業者は対象外です。

AI導入枠

第3次募集の目玉となる枠で、上限500万円・補助率2/3(小規模3/4)です。生成AIを活用した業務効率化、品質検査AI、需要予測AIなど、AIを軸とした取組みが対象になります。なお、第1次・第2次募集でDX枠で採択された事業者がAI導入枠に申請することは可能とされており、DX枠とは別枠として扱われます。

DX枠・GX枠

いずれも上限500万円で、基本の補助率は中小・組合1/2、小規模2/3です。給与支給総額(月額)を3%以上引き上げた場合は補助率が引き上げられ、中小・組合2/3、小規模3/4となります。DX枠ではデジタル技術による生産プロセス・サービス提供方法の改善、GX枠では省エネ・脱炭素を通じた業務プロセスの変革が対象です。

全枠共通の必須要件(賃上げ・とやまDXパートナー)

枠を問わず、補助金の交付を受けるには事業実施期間中に事業場内平均賃金(時給単価)を平均10円以上引き上げることが必須です。また、GX枠を除き、「とやまDXパートナー」に登録されたITベンダー等の支援を受けて申請することが求められます。とやまDXパートナーによるコンサルティング等の費用も、上限100万円かつ設備導入経費を超えない範囲で補助対象となります。

⚠️ 注意

賃上げ要件は「達成できれば加点」ではなく「交付の必須条件」です。事業実施期間中に時給単価を平均10円以上引き上げられなければ、採択後でも補助金を受け取れない可能性があります。賃上げの原資を含めた資金繰りを、計画段階で必ず確認してください。

申請スケジュールと事前着手のルール

第3次募集の応募期間は、令和8年(2026年)2月27日から令和8年(2026年)7月31日までです。申請方法はオンラインと郵送の2通りで、郵送は7月31日の消印まで有効です。持参による申請は受け付けていません。

注目すべきは事前着手が認められている点です。令和8年(2026年)2月3日以降に実施した事業であれば補助対象になります。事業着手日は見積書の日付で判断されるため、見積書の日付が令和8年(2026年)2月3日以降であることが必要です。すでに動き出している投資案件でも申請できる余地があります。

項目 内容
応募期間 令和8年(2026年)2月27日〜7月31日
申請方法 オンライン申請・郵送(持参不可、7月31日消印有効)
事前着手 令和8年(2026年)2月3日以降の着手が対象(見積書の日付で判断)
事務局 富山県中小企業トランスフォーメーション補助金事務局(富山県新世紀産業機構/TONIO)TEL 076-444-5507

なお、第1次・第2次募集で採択された枠と同一の枠への申請はできません。再申請は1回に限り可能ですが、後半の募集回では再申請ができなくなる扱いもあるため、早めの申請が有利です。最新の締切や要件は、申請前に必ず事務局や公募要領で確認してください。

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富山県のその他の注目補助金

トランスフォーメーション補助金のほかにも、富山県では中小企業が活用できる制度が複数動いています。物価高・賃上げ・販路開拓といった経営課題に対応する制度を中心に整理します。下記の金額・期限は記事作成時点の情報のため、申請前に各担当課で最新情報を確認してください。

制度名 概要
賃上げサポート補助金 国の業務改善助成金への上乗せ制度。事業場規模30人未満の事業者向けに、対象経費の1/10を県が追加補助(担当:県人材確保推進課)
価格転嫁サポート補助金 上限25万円・補助率1/2。価格交渉のための資料作成費やコンサルティング費用が対象(担当:県経営支援課)
INPIT外国出願補助金(中間手続) 上限50万円・補助率1/2。特許の海外出願中に発生する拒絶理由対応費用などが対象
中小企業成長応援ファンド 県と県内金融機関の連携で設置されたファンドの運用益を活用し、新商品開発や販路開拓を支援
小規模事業者向け継続力強化等の補助 小規模事業者を対象とした事業継続力強化に関する補助制度。市町村独自の制度と併用できる場合もある

富山市など市町村レベルでも、設備投資や生産性向上を後押しする独自の補助制度が用意されている場合があります。本社や事業所の所在地に応じて、県と市町村の制度を組み合わせられないかを検討することが、資金調達の幅を広げる鍵になります。

国の補助金との組み合わせ

富山県の中小企業が活用できる補助金は、県独自制度だけではありません。国の主要補助金もあわせて検討することで、投資規模や目的に応じた最適な選択が可能になります。代表的な国の制度を整理します。

制度名 主な用途
ものづくり補助金 革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善のための設備投資
中小企業新事業進出促進補助金 既存事業とは異なる新市場・新分野への進出に伴う投資
デジタル化・AI導入補助金 会計ソフト・受発注システム・EC構築・生成AIツール等の導入。通常枠は上限450万円・補助率1/2(要件により2/3)

💡 POINT

かつての「IT導入補助金」は、後継制度である「デジタル化・AI導入補助金」にリニューアルされました。名称にAIが入ったとおり、生成AIや業務効率化AIシステムの導入費用も補助対象に含まれるようになっています。県のトランスフォーメーション補助金(AI導入枠)と目的が重なるため、どちらが自社の取組みに適しているかを比較検討することが重要です。

採択可能性を高めるための実践的ポイント

補助金は申請すれば必ず採択されるものではありません。とくに富山県中小企業トランスフォーメーション補助金は、賃上げや生産性向上との一貫性が問われます。採択可能性を高めるために、次の点を意識して計画を組み立てることが重要です。

第一に、「投資の目的」と「賃上げ・生産性向上」のつながりを論理的に示すことです。設備やシステムを導入する目的が、人手不足の解消や労働生産性の向上、そして従業員の賃上げにどう結びつくのかを、数値とともに描くことが求められます。

第二に、加点要素を計画的に取得することです。パートナーシップ構築宣言への登録、とやまDXコンソーシアム会員企業であること、県内発注の計画などは優先採択や加点につながります。これらは申請直前では間に合わないものもあるため、早い段階での準備が有効です。

第三に、GX枠を除き「とやまDXパートナー」の支援を受ける必要がある点を踏まえ、信頼できる支援者と早めに連携することです。計画の質は、伴走する支援者の経験に左右される面があります。

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申請時の注意点

最後に、申請にあたって見落としやすい注意点を整理します。これらを事前に確認しておくことで、形式不備による不受理を防げます。

補助金申請額には下限が設けられています。省力化・省人化モデル枠は200万円、その他の枠は100万円を下回ると受理されません。また、見積書の日付が事前着手の起点である令和8年(2026年)2月3日より前の場合、その事業は対象外となります。さらに、事務局では来訪による相談対応を受け付けておらず、問い合わせは電話またはFAXで行う必要があります。

⚠️ 注意

補助金は公募回ごとに要件・上限額・締切が変更されることがあります。本記事は記事作成時点の公表情報に基づいています。実際の申請にあたっては、必ず富山県新世紀産業機構(TONIO)の公式サイトや最新の公募要領で、ご自身の状況に即して内容をご確認ください。

まとめ|富山県の補助金活用の要点

ポイント 内容
① 中核はTX補助金 令和8年度(2026年度)の富山県の中核は中小企業トランスフォーメーション補助金。第3次は7月31日まで受付
② 4つの枠を使い分ける 省力化・省人化モデル枠(上限1,000万円)、AI導入枠・DX枠・GX枠(各上限500万円)から目的に応じて選択
③ 賃上げが必須条件 全枠共通で事業場内平均賃金(時給単価)10円以上の引上げが交付の必須要件。資金繰りを含めて計画する
④ 県と国を組み合わせる ものづくり補助金・新事業進出促進補助金・デジタル化・AI導入補助金など国の制度との比較・組み合わせが有効
⑤ 早めの準備が有利 加点要素の取得やとやまDXパートナーとの連携は直前では間に合わない。事前着手の活用も含め早期に動く

よくある質問(Q&A)

Q1. 富山県中小企業トランスフォーメーション補助金の対象になるのはどんな事業者ですか?
A1.本社登記が富山県内にある中小企業・小規模企業が中心です。中小企業者・小規模企業者のほか、NPO法人、医療法人、組合が対象で、個人事業主・フリーランスも利用できます。第3次募集からは社会福祉法人も追加されました。一方、みなし大企業や暴力団関係者、性風俗営業等事業者は対象外です。支店だけが富山県内にあるケースは対象にならないため、登記内容を必ず確認してください。
Q2. 4つの枠のうち、どれを選べばよいですか?
A2.取組みの内容で選びます。ロボット導入や自動化ラインなど人手不足対応の設備投資なら省力化・省人化モデル枠(上限1,000万円)、生成AIや品質検査AIの導入ならAI導入枠、デジタル技術による業務改善ならDX枠、省エネ・脱炭素ならGX枠が基本です。投資規模が大きく賃上げにも取り組めるなら、補助率の高い省力化・省人化モデル枠が有力ですが、要件が厳しい点に注意が必要です。
Q3. 賃上げ要件を満たせないとどうなりますか?
A3.賃上げは加点ではなく交付の必須条件です。全枠共通で、事業実施期間中に事業場内平均賃金(時給単価)を平均10円以上引き上げる必要があります。これを満たせない場合、採択された後でも補助金を受け取れない可能性があります。設備投資の効果が出る前から賃上げの原資が必要になるため、資金繰りも含めて計画段階で十分に確認しておくことが重要です。
Q4. もう設備の発注を進めていますが、いまから申請できますか?
A4.第3次募集では事前着手が認められています。令和8年(2026年)2月3日以降に着手した事業であれば対象になります。着手日は見積書の日付で判断されるため、見積書の日付が令和8年(2026年)2月3日以降であることが条件です。すでに動き出している案件でも、要件を満たせば申請の余地があります。ただし社会福祉法人については令和8年(2026年)4月1日以降の事業が対象です。
Q5. 「とやまDXパートナー」とは何ですか?必ず使う必要がありますか?
A5.とやまDXパートナーは、県に登録されたITベンダー等の支援者です。GX枠を除く各枠では、とやまDXパートナーの支援を受けて申請することが求められます。さらに、とやまDXパートナーによるコンサルティング等の費用も、上限100万円かつ設備導入経費を超えない範囲で補助対象になります。GX枠のみこの要件の対象外です。どの支援者と組むかは計画の質に影響するため、早めの連携が有効です。
Q6. 過去の募集回で採択された枠に、また申請できますか?
A6.第1次・第2次募集で採択された枠と同一の枠への申請はできません。ただし、過去にDX枠で採択された事業者がAI導入枠に申請することは可能とされています。AI導入枠はDX枠とは別枠の扱いだからです。再申請は1回に限り可能ですが、後半の募集回では再申請ができなくなる扱いもあるため、早めの申請が有利です。
Q7. 国の「デジタル化・AI導入補助金」と県のAI導入枠は、どちらを使うべきですか?
A7.取組みの内容と投資規模で判断します。国のデジタル化・AI導入補助金は会計ソフトや受発注システム、EC構築、生成AIツールなど幅広いITツールが対象で、通常枠は上限450万円・補助率1/2(要件により2/3)です。県のAI導入枠は上限500万円・補助率2/3(小規模3/4)と補助率が手厚い反面、賃上げ要件や所在地要件があります。両者は併願や使い分けの検討余地があるため、目的に応じて比較することが重要です。
Q8. 申請額に下限はありますか?
A8.あります。補助金申請額が下限を下回ると受理されません。省力化・省人化モデル枠は200万円、その他の枠(AI導入枠・DX枠・GX枠)は100万円が下限です。小規模な投資では下限に届かないことがあるため、申請枠を選ぶ段階で投資規模を確認しておく必要があります。上限額だけでなく、下限額にも注意してください。
Q9. 採択されやすくするために、事前にできることはありますか?
A9.加点・優先採択につながる準備を早めに進めることが有効です。パートナーシップ構築宣言への登録、とやまDXコンソーシアム会員企業であること、県内発注の計画などが該当します。これらは申請直前では間に合わないものもあります。あわせて、投資の目的と賃上げ・生産性向上のつながりを数値で示せる事業計画を作り込むことが、採否を分ける最大のポイントになります。
Q10. 富山県の補助金活用で、経営者が最も意識すべきことは何ですか?
A10.補助金を「設備購入の値引き」ではなく「生産性向上と賃上げを実現するための投資」と位置づけることです。富山県の補助制度は、賃上げや人手不足対応を強く求める設計になっています。補助金で導入した設備やシステムを使って、どのように生産性を高め、賃金引上げにつなげるのか。この一連のストーリーを描けるかどうかが、採択だけでなく事業の成果そのものを左右します。早い段階から専門家と連携して計画を固めることが賢明です。

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壱市コンサルティングでは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、補助金の選定から事業計画の設計、申請後の伴走支援までを一貫してサポートしています。富山県のトランスフォーメーション補助金のように賃上げ要件が組み込まれた制度では、投資と生産性向上・賃上げのつながりを描くことが採択の鍵になります。

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