【令和8年3次公募】省エネ・非化石転換補助金とは?補助率・省エネ要件・9月28日締切を徹底解説

令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金」の3次公募が、令和8年(2026年)8月20日に開始されました。締切は令和8年(2026年)9月28日17時必着で、これが本年度の最終公募となります。空調・ボイラ・変圧器・工作機械といった日常的な設備更新から、工場全体のエネルギー構造の転換まで、幅広い設備投資を対象とする制度です。

この補助金の本質は、事業計画の独創性を競う制度ではなく、「導入する設備が、あらかじめ定められた省エネ要件を数値で満たしているかどうか」を判定する制度である点にあります。1次公募の採択率が設備単位型で93.3%に達しているのは、審査が甘いからではなく、要件を数値で満たした申請が通り、満たさない申請が落ちるという構造だからです。

本記事では、省エネ・非化石転換補助金の制度全体像、工場・事業場型と設備単位型それぞれの申請タイプと補助率、3次公募のスケジュール、1次公募の採択実績から読み取れる実像、申請実務上の落とし穴までを、一次情報に基づいて整理します。

省エネ・非化石転換補助金とはどのような制度か

省エネ・非化石転換補助金は、経済産業省の事業として一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行する補助金です。工場や事業場で使用する設備を、省エネルギー性能の高い設備へ更新する際の費用の一部を支援します。制度としては長く続いており、令和6年度補正予算までは「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」「省エネルギー投資促進支援事業」という名称で運用されてきました。令和7年度補正予算から「省エネ・非化石転換補助金」という呼称に整理され、非化石エネルギーへの転換という政策目的が名称の前面に出ています

この名称変更は、制度の重心が移動していることを示しています。従来の省エネ補助金は「同じ仕事をより少ないエネルギーで行う」ことを支援する制度でした。現在の制度は、それに加えて「使うエネルギーの種類そのものを化石燃料から電気や非化石燃料へ切り替える」取組を独立した支援対象として扱っています。実際、令和8年(2026年)度の制度では、電化・脱炭素燃転型という区分が設けられ、電化する事業には上限5億円という他区分より高い枠が設定されています。

政策的な位置づけと予算規模

本事業の目的は、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することと定められています。エネルギー価格の高止まりが中小企業の収益を圧迫し続けるなかで、省エネ投資は環境政策であると同時に、企業のコスト構造そのものを改善する産業競争力政策として位置づけられています。

経済産業省の予算資料によれば、工場・事業場型(GX設備単位型を含む)の令和7年度補正予算額は550億円、国庫債務負担行為要求額は2,275億円です。設備単位型は令和7年度補正予算額125億円、国庫債務負担行為要求額175億円とされています。国庫債務負担行為が予算額を大きく上回っているのは、設備の納期遅れを理由に投資を見送る事業者に対応するため、複数年度にまたがる設備導入を可能にしているためです。

補足

「非化石転換」とは、重油やガスなどの化石燃料の使用を減らし、電気や水素等の非化石エネルギーへ切り替えることを指します。本補助金では、非化石転換を伴う申請について補助金限度額が引き上げられる一方、非化石転換であってもエネルギー使用量が増加する事業は補助対象外とされています。

この制度の審査の性格

ものづくり補助金や新事業進出補助金に慣れている経営者ほど、この補助金では発想の切り替えが必要になります。SIIは採択方針について、事業区分ごとに評価項目に従って審査を行い、外部審査委員会の評価を踏まえて上位者から予算の範囲内で採択すると公表しています。ただし実務上の決め手になるのは、事業計画書の文章表現ではなく、省エネルギー量の計算結果と投資回収年数という数値です。

言い換えれば、この補助金は「魅力的な物語を書く力」ではなく「既存設備の稼働実態を正しく把握し、SIIが定めた計算方法に沿って省エネ効果を積み上げる力」を問う制度です。この違いを理解しないまま、他の補助金と同じ感覚で申請準備に着手すると、締切直前に既存設備の運転データが揃わず断念するという事態になります。

📊 このセクションの要点

省エネ・非化石転換補助金は、経済産業省の事業としてSIIが執行する設備更新支援制度です。令和7年度補正予算から非化石転換が名称の前面に出て、電化・燃料転換が独立した支援対象となりました。審査の実質は事業計画の物語性ではなく、省エネルギー量と投資回収年数という数値の充足度にあります。

3次公募のスケジュールと締切

令和7年度補正予算の本補助金は、工場・事業場型と設備単位型が共通のスケジュールで公募されています。3次公募は令和8年(2026年)8月20日に開始され、締切は令和8年(2026年)9月28日17時必着です。申請書類は郵送のみで、持参は認められていません。配送状況が確認できる手段で郵送する必要があります。

区分 期間・時期
1次公募期間 令和8年(2026年)3月30日〜4月27日(交付決定:6月19日実施済み)
2次公募期間 令和8年(2026年)6月1日〜7月9日
3次公募期間 令和8年(2026年)8月20日〜9月28日 17時必着(郵送のみ・持参不可)
3次公募の交付決定 令和8年(2026年)11月下旬 予定
事業完了期限 該当年度の1月31日まで(複数年度事業を除く)
補助事業ポータル アカウント登録から利用開始まで約1日。1次・2次で取得済みのアカウントは3次でも使用可

3次公募は、本年度の最終公募です。今回を逃した場合、次の機会は令和8年度補正予算を財源とする新年度の公募まで待つことになります。設備の納期が長期化している現状を踏まえれば、「来年でよい」という判断は、実質的に1年以上の先送りを意味します

注意

見積の取得は公募開始日以降に行う必要があります。公募開始前の日付が入った見積書は使用できません。また、設備の発注・契約は交付決定後に行う必要があります。交付決定前に発注してしまった設備は補助対象外となり、この点は例外が認められません。

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📊 このセクションの要点

3次公募は令和8年(2026年)8月20日から9月28日17時必着で、本年度の最終公募です。郵送のみで持参は不可、交付決定は11月下旬が予定されています。見積は公募開始日以降、発注・契約は交付決定後という順序を守らなければ補助対象外となります。

工場・事業場型の4つの枠と補助率

本補助金は大きく「工場・事業場型」と「設備単位型」に分かれます。工場・事業場型は、工場や事業場の全体を対象範囲として省エネルギー量を計算するタイプです。個々の設備単位ではなく事業場全体でエネルギー使用量の削減率を示すため、計算の手間は大きくなりますが、その分だけ補助金限度額が桁違いに大きく設定されています。

4つの枠の比較

省エネ要件(いずれか) 投資回収要件 補助率
先進枠 省エネ率+非化石割合増加率30%以上/省エネ量+非化石使用量1,000kl以上/原単位改善率15%以上 5年以上 中小企業者等2/3以内/大企業・その他1/2以内
一般枠 省エネ率+非化石割合増加率10%以上/省エネ量+非化石使用量700kl以上/原単位改善率7%以上 5年以上 中小企業者等1/2以内(回収7年未満は1/3)/大企業・その他1/3以内(回収7年未満は1/4)
中小企業投資促進枠 省エネ率+非化石割合増加率7%以上/省エネ量+非化石使用量500kl以上/原単位改善率5%以上 3年以上 中小企業者等1/2以内(回収5年未満は1/3)/大企業・その他は対象外
サプライチェーン連携枠 それぞれの事業者が省エネ率+非化石割合増加率5%以上 中小企業者等3年以上/大企業・その他5年以上 中小企業者等1/2以内(回収5年未満は1/3)/大企業・その他1/3以内(回収7年未満は1/4)

中小企業者にとって最も現実的な選択肢は、中小企業投資促進枠です。一般枠と比べて省エネ要件が緩和されており、事業場単位の省エネ率は10%以上ではなく7%以上、省エネ量は700kl以上ではなく500kl以上で足ります。投資回収年数の下限も5年から3年に引き下げられているため、回収の早い設備投資でも申請が可能です。ただし、中小企業投資促進枠に申請する場合、SIIが指定するフォーマットにより一般枠の効果を満たす事業計画書を作成し、公表することが求められます。

サプライチェーン連携枠は、令和8年(2026年)度に新設された枠です。複数の事業者が協力して一体的な省エネ計画を実施する場合に活用でき、各事業者に求められる省エネ率は5%以上と最も低く設定されています。個社単位では省エネ要件を満たせない中小企業が、取引先とともに申請するという設計が可能になります。

補助金限度額と対象経費

単年度事業 複数年度事業 連携事業
先進枠 15億円/年度(20億円) 30億円/事業全体(40億円) 30億円/事業全体(40億円)
一般枠・中小企業投資促進枠 15億円/年度(20億円) 20億円/事業全体(30億円) 30億円/事業全体(40億円)
サプライチェーン連携枠 15億円/年度(20億円) 20億円/事業全体(30億円) 設定なし
エネルギー需要最適化型 1億円/事業全体 同左 同左

括弧内の金額は、非化石転換を伴う申請を行った場合の限度額です。工場・事業場型の補助対象経費は設計費・設備費・工事費の3つで、設備単位型が設備費のみであるのと対照的です。生産ラインの改修工事を伴う設備更新では、この工事費が対象になるかどうかが投資判断を左右します。

POINT

工場・事業場型のエネルギー需要最適化型(Ⅳ型)は、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入を支援する区分です。原油換算量ベースで2%改善が目安とされ、エネマネ事業者が提供する登録済みのEMS機器を導入することが条件になります。EMSを単独で導入する場合は、工場・事業場型のⅣ型として申請します。

📊 このセクションの要点

工場・事業場型は先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠の4区分で構成されます。中小企業者にとっては省エネ要件が緩和され投資回収3年以上で申請できる中小企業投資促進枠が現実的な選択肢です。対象経費に設計費と工事費が含まれる点が設備単位型との大きな違いです。

設備単位型の各区分と補助率

設備単位型は、工場・事業場のなかの設備単位で省エネルギー量を計算するタイプです。事業場全体のエネルギー使用量を把握する必要がないため、申請の負担は工場・事業場型より格段に小さくなります。中小企業が最初に検討すべきなのは、多くの場合この設備単位型です。

設備単位型の省エネ要件

設備単位型で求められる省エネ要件は、次の3つのうちいずれか1つを満たすことです。3つすべてを満たす必要はありません。

指標 基準 満たしやすい設備の傾向
省エネルギー率 10%以上 老朽化した既存設備からの更新。既存設備が古いほど有利
省エネルギー量 1kl以上(原油換算) 稼働時間が長く消費電力の大きい設備。削減率が低くても絶対量で満たせる
経費当たり省エネ量 1kl/千万円以上 投資額に対して省エネ効果が大きい設備。LED照明や高効率空調が該当しやすい

実務では、この3指標のどれで攻めるかを設備ごとに見極めることが要点になります。例えば工作機械は投資額が大きいため経費当たり省エネ量では不利ですが、省エネ率では有利になる傾向があります。逆にLED照明は省エネ率と経費当たり省エネ量の双方で高い値を出しやすい設備です。

設備単位型の区分別の補助率・上限額

区分 対象設備 補助率 上限額
(Ⅲ)設備単位型 従来枠 指定設備 1/3以内 1億円/事業全体
(Ⅲ)GX設備単位型 メーカー強化枠 GX取組を表明したメーカーが販売する指定設備 1/3以内 3億円/事業全体
(Ⅲ)GX設備単位型 トップ性能枠(更新) トップ性能基準を満たす5設備区分 1/2以内 3億円/事業全体
(Ⅲ)GX設備単位型 トップ性能枠(新設) トップ性能基準を満たす5設備区分 1/5以内 3億円/事業全体
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(更新・改造) 産業ヒートポンプ・業務用ヒートポンプ給湯器・高性能ボイラ・高効率コージェネレーション・低炭素工業炉ほか 1/2以内 3億円(電化する事業は5億円)/事業全体
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(新設) 水素燃料を活用可能な指定設備 1/5以内 3億円/事業全体
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 登録済みEMS機器 中小企業者等1/2以内/大企業・その他1/3以内 1億円/事業全体

令和8年(2026年)度の制度で新設されたのが、GX設備単位型のトップ性能枠です。従来枠の補助率が1/3であるのに対し、トップ性能枠の更新事業は1/2まで引き上げられています。対象となるのは高効率空調・産業ヒートポンプ・高性能ボイラ・低炭素工業炉・産業用モータの5区分に限られ、それぞれ第三者委員会が定めたトップ性能基準を満たす製品である必要があります。

同じ空調更新でも、従来枠の指定設備を選ぶか、トップ性能設備を選ぶかで補助率が1/3と1/2に分かれます。設備価格の差と補助率の差を比較すれば、実質的な自己負担額はトップ性能設備のほうが小さくなる場合があります。設備選定の段階でこの検討を行わないまま見積を取ると、機会損失が生じます。

注意

設備単位型の補助対象経費は設備費のみです。工事費は対象外となります。ただし(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型については設備費と工事費が対象とされ、工事費は中小企業者等に限るという条件が付いています。同じ設備単位型でも区分によって対象経費の範囲が異なるため、見積の内訳を作成する段階で確認が必要です。

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📊 このセクションの要点

設備単位型は省エネ率10%以上・省エネ量1kl以上・経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たせば申請できます。令和8年(2026年)度に新設されたトップ性能枠は補助率1/2で、従来枠の1/3を上回ります。対象経費は原則として設備費のみで、工事費は電化・脱炭素燃転型を除いて対象外です。

補助対象となる設備の種類

本補助金の補助対象設備は、SIIがあらかじめ公表したリストに掲載されているものに限られます。「省エネ性能が高いから対象になるはず」という判断は通用しません。型番単位でSIIの補助対象設備一覧に登録されているかどうかが、申請可否の分かれ目になります。

設備の類型 内容 主な対象申請タイプ
先進設備・システム SIIが公募し、外部審査委員会の審査を経て採択した先進的な設備・システム 工場・事業場型 先進枠
オーダーメイド型設備 機械設計または使用目的に合わせて設計・製造する設備で、設計図書等の納品物があるもの 工場・事業場型 一般枠/中小企業投資促進枠
指定設備 15の設備区分でSIIがエネルギー消費効率等の基準を定め、対象として公表した設備 設備単位型/工場・事業場型(一般枠等)
トップ性能設備 GX要件を満たすメーカーが製造し、第三者委員会のトップ性能基準を満たす5設備区分の設備 GX設備単位型 トップ性能枠
電化・脱炭素燃転型対象設備 化石燃料から電気への転換や低炭素燃料への転換を伴う指定設備等 (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
EMS機器 SIIのシステム要件を満たし、事前に確認を受けて登録された補助対象システム・機器 (Ⅳ)エネルギー需要最適化型

指定設備として定められている15の設備区分は、高効率空調、低炭素工業炉、工作機械、産業ヒートポンプ、変圧器、プラスチック加工機械、業務用給湯器、冷凍冷蔵設備、プレス機械、高性能ボイラ、産業用モータ、印刷機械、高効率コージェネレーション、制御機能付きLED照明器具、ダイカストマシンです。これに加えて、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定された設備も対象となります。自社の設備がどの区分にも当てはまらないと思われる場合でも、この枠で対象になる可能性があります。

POINT

導入したい設備が補助対象かどうかは、SIIの「指定設備一覧」および「先進設備・システム一覧」の検索ページで型番を照合して確認します。設備メーカーや販売店が「補助金対象です」と説明していても、実際にはリスト未登録である事例があります。見積を依頼する前に自社で照合しておくことが賢明です。

📊 このセクションの要点

補助対象設備は先進設備・システム、オーダーメイド型設備、指定設備、トップ性能設備、電化・脱炭素燃転型対象設備、EMS機器の6類型に整理されます。指定設備は15の設備区分に加え「その他SIIが認めた高性能な設備」でも対象となります。型番単位でSIIのリストに登録されているかどうかを、見積依頼前に自社で照合することが重要です。

1次公募の採択実績が示すもの

SIIは令和8年(2026年)6月19日に1次公募の交付決定を行い、採択結果の概要を公表しています。この数字は、3次公募に臨む事業者にとって最も参考になる一次情報です。

事業区分 申請件数 採択件数 採択率 採択金額合計
(Ⅰ)工場・事業場型/(Ⅳ) 250件 213件 85.2% 315億1,000万円
(Ⅲ)設備単位型/GX(Ⅲ) 1,816件 1,695件 93.3% 205億3,000万円
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 91件 84件 92.3% 13億5,000万円
(Ⅲ)+(Ⅳ)組み合わせ 23件 23件 100.0% 3億2,000万円

設備単位型の採択率93.3%という数字を見て「ほぼ通る補助金」と受け取るのは、半分正しく、半分危険な理解です。正しいのは、事業計画の独創性を競う制度ではないため、要件を数値で満たしていれば採択される公算が高いという点です。危険なのは、この高い採択率が「要件を満たした申請だけが提出されている」結果でもあるという点を見落とすことです。設備単位型では、そもそも省エネ量計算で要件を満たせない案件は申請段階で脱落しています。

設備区分別に見る採択率の差

同じ設備単位型でも、設備区分によって採択率には明確な差があります。

設備区分 申請件数 採択件数 採択率 平均省エネ率
高効率空調 867件 812件 93.7% 31.6%
工作機械 380件 365件 96.1% 46.2%
プラスチック加工機械 109件 104件 95.4% 48.4%
制御機能付きLED照明器具 80件 78件 97.5% 53.4%
変圧器 30件 25件 83.3% 55.4%
産業用モータ 69件 53件 76.8% 16.5%
業務用給湯器 11件 7件 63.6% 25.7%

生産設備(工作機械・プラスチック加工機械・プレス機械・印刷機械・ダイカストマシン)の合計採択率は96.2%で、ユーティリティ設備の92.1%を上回っています。生産設備の平均省エネ率は48.5%と高く、既存設備の老朽化が進んでいる分野ほど採択されやすい構造が読み取れます。

一方で産業用モータの採択率は76.8%、業務用給湯器は63.6%にとどまっています。産業用モータの平均省エネ率は16.5%と他区分より低く、省エネ効果の立証が難しい分野で不採択が発生していると整理されます。この2区分での申請を検討する場合、省エネルギー量計算の精度を高めることが採否を分けます。

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📊 このセクションの要点

1次公募の採択率は設備単位型93.3%、工場・事業場型85.2%でした。生産設備の採択率は96.2%とユーティリティ設備を上回り、既存設備の老朽化が進んだ分野ほど有利です。産業用モータ76.8%、業務用給湯器63.6%と低い区分もあり、省エネルギー量計算の精度が採否を分けます。

申請から交付決定までの流れ

本補助金の申請は、SIIが提供する「補助事業ポータル」への入力と、印刷した書類の郵送という2段構えで進みます。電子申請だけで完結しない点が、他の補助金と異なる特徴です。

交付申請の9ステップ

ステップ 内容
STEP 1 補助事業ポータルのアカウントを登録する(利用開始まで約1日)
STEP 2 公募要領・パンフレット・交付申請の手引きを読み込む
STEP 3 導入する設備・システム・エネマネ事業者を、公表リストから選定する
STEP 4 工場・事業場型と設備単位型のどちらで申請するか、申請タイプを決める
STEP 5 見積を取得し、事業完了日までに設備が手配可能か確認する
STEP 6 決算書・登記簿謄本等の必要書類を収集し、申請書類を作成する
STEP 7 省エネルギー量を算出し、省エネ要件・投資回収年数・限度額を確認する
STEP 8 補助事業ポータルへ必要情報を入力し、書類を印刷する
STEP 9 書類をファイリングし、副本を控えたうえで正本を郵送する

実務上の最大の山場はSTEP 7の省エネルギー量計算です。SIIは設備区分ごとに「省エネルギー量計算の手引き」を公表しており、電気式パッケージエアコン、チリングユニット、高性能ボイラ、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具については指定計算の方法が定められています。それ以外の設備や生産設備については独自計算が必要になります。既存設備の稼働時間・負荷率・消費電力といった運転実績データを、根拠資料とともに揃えられるかどうかが、申請可否を左右します

採択後に発生する義務

補助金は交付決定を受けて終わりではありません。SIIは、補助金関係書類に5年間の保管義務があること、法定耐用年数の期間中は許可なく設備を処分(売却・廃棄・転用・譲渡等)することが禁止されていることを明示しています。設備の入れ替えを前提とした事業計画を持つ場合、この財産処分制限が経営判断の制約になる点を織り込んでおく必要があります。

注意

3次公募の交付決定は令和8年(2026年)11月下旬の予定で、単年度事業の事業完了期限は該当年度の1月31日です。交付決定から事業完了までの実質的な期間は2か月程度しかありません。納期が長い設備を検討する場合、この期間内に据付・検収・支払いまで完了できるかを、見積取得の段階でメーカー・販売店と確認しておくことが不可欠です。

📊 このセクションの要点

申請は補助事業ポータルへの入力と書類の郵送という2段構えで、9つのステップで進みます。最大の山場は省エネルギー量計算で、既存設備の運転実績データの整備が申請可否を左右します。3次公募は交付決定から事業完了期限までが約2か月と短く、設備の納期確認が実務上の必須事項となります。

他の設備投資系補助金との使い分け

設備投資を検討する中小企業にとって、選択肢は省エネ補助金だけではありません。それぞれの制度が何を評価軸としているかを整理すると、自社の投資案件に合う制度が見えてきます。

制度 主たる評価軸 向いているケース
省エネ・非化石転換補助金 省エネルギー量・省エネ率・投資回収年数という数値 老朽化した既存設備の更新。エネルギーコスト削減が主目的の投資
ものづくり補助金 製品・サービスの革新性と付加価値額の向上 新しい製品を作る、新しい加工を可能にする設備投資
省力化投資補助金(一般型) 労働生産性の向上と人手不足の解消 自動化・省人化によって工数を削減する設備投資
新事業進出補助金 新市場・新製品への進出と事業ポートフォリオの転換 既存事業とは異なる新規事業を立ち上げる投資
デジタル化・AI導入補助金 ITツール・AIの導入による業務効率化 ソフトウェアやクラウドサービスの導入が中心の投資

同じ設備更新でも、狙う制度によって申請の準備物がまったく異なります。省エネ補助金は既存設備の運転データ、ものづくり補助金は市場と技術の分析、省力化投資補助金は工数の実測値が中心になります。設備を決めてから制度を探すのではなく、投資の目的から制度を選び、その制度の評価軸に合う設備仕様を選定する順序が合理的です

POINT

同一の設備に対して複数の国庫補助金を重複して受給することは、原則として認められません。SIIは「本補助金と併用可能な補助金等」というFAQを公表しており、他制度との併用可否はここで確認できます。自治体の補助金との併用については、当該自治体の要綱を個別に確認する必要があります。

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📊 このセクションの要点

省エネ補助金は省エネルギー量という数値、ものづくり補助金は革新性、省力化投資補助金は労働生産性というように、制度ごとに評価軸が異なります。設備を決めてから制度を探すのではなく、投資目的から制度を選び、その評価軸に合う設備仕様を選定する順序が合理的です。同一設備への国庫補助金の重複受給は原則として認められません。

まとめ

押さえるべきポイント 内容
3次公募が本年度の最終機会 締切は令和8年(2026年)9月28日17時必着。郵送のみで持参は不可。今回を逃せば次は新年度の公募まで待つことになる
中小企業はまず設備単位型を検討 省エネ率10%以上・省エネ量1kl以上・経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たせばよく、事業場全体の計算が不要
トップ性能枠で補助率が1/2に 従来枠の1/3に対し、令和8年(2026年)度新設のトップ性能枠(更新事業)は1/2。設備選定の段階で比較検討する価値がある
採択率の高さは要件充足の結果 1次公募の設備単位型の採択率は93.3%。数値要件を満たせば通る制度であり、逆に計算が甘い申請は落ちる
手続きの順序を守る 見積は公募開始日以降、発注・契約は交付決定後。順序を誤った設備は補助対象外となり、例外は認められない

よくあるご質問

Q1.3次公募の締切と交付決定はいつですか

A1.締切は令和8年(2026年)9月28日17時必着、交付決定は同年11月下旬の予定です。工場・事業場型と設備単位型は共通のスケジュールで公募されており、3次公募期間は令和8年(2026年)8月20日から9月28日までです。申請書類は郵送のみで、SIIへの直接持参は認められていません。配送状況が確認できる手段で郵送する必要があるため、レターパックプラスや宅配便など追跡番号が付く方法を選びます。締切日が「必着」であるため、投函日ではなく到着日で判定される点に注意が必要です。地方から発送する場合、遅くとも締切の3営業日前には発送を完了させておくことが安全です。なお、単年度事業の事業完了期限は該当年度の1月31日とされており、交付決定から事業完了までの期間が2か月程度しかない点も併せて確認しておく必要があります。

Q2.中小企業はどの申請タイプから検討すべきですか

A2.多くの中小企業にとって、設備単位型が最初に検討すべき選択肢です。設備単位型は工場や事業場の全体でエネルギー使用量を計算する必要がなく、更新する設備そのものの省エネ効果だけを示せば申請できます。省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のうちいずれか1つを満たせばよいため、要件のハードルも相対的に低く設定されています。一方で、複数の設備をまとめて更新し、事業場全体で7%以上の省エネ率が見込める場合は、工場・事業場型の中小企業投資促進枠のほうが有利になります。設備単位型の上限額が1億円であるのに対し、中小企業投資促進枠は補助率1/2で上限額も桁違いに大きいためです。判断の分岐点は、更新する設備の規模と、事業場全体のエネルギー使用量に占める割合です。

Q3.投資回収年数の要件はなぜ「5年以上」なのですか

A3.補助金がなくても実施される投資に公費を投じないという政策的な考え方に基づくものです。投資回収年数が短い設備投資は、補助金の有無にかかわらず経済合理性があるため、企業は自力で実施すると考えられます。逆に回収に長期間を要する投資は、補助金がなければ先送りされる可能性が高い。この構造から、多くの枠で「投資回収年数が5年以上であること」が要件とされています。ただし中小企業投資促進枠とサプライチェーン連携枠の中小企業者等については3年以上に緩和されています。また一般枠では、投資回収年数が7年未満の事業は補助率が1/2から1/3に引き下げられるという設計になっており、回収年数が短いほど補助率が下がる仕組みです。回収年数の計算は補助対象経費をエネルギー削減額で除して求めるため、設備価格と削減効果の双方が影響します。

Q4.導入したい設備が補助対象かどうかはどう確認しますか

A4.SIIが公表する「指定設備一覧」「先進設備・システム一覧」の検索ページで、型番を照合して確認します。本補助金の補助対象設備は、SIIがあらかじめ基準を定めて公表したリストに掲載されているものに限られます。省エネ性能が高い設備であっても、リストに登録されていなければ対象外です。実務では、設備メーカーや販売店から「この機種は補助金対象です」と説明を受けたものの、実際に照合するとリスト未登録であったという事例が発生します。見積を依頼する前に、自社で型番を検索して確認しておくことが賢明です。指定設備として定められた15の設備区分に該当しない場合でも、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定されている可能性があるため、区分名だけで諦める必要はありません。

Q5.見積や発注のタイミングを間違えるとどうなりますか

A5.補助対象外となり、補助金を受けられません。SIIは、見積の取得は公募開始日以降に行う必要があること、発注や契約は交付決定後に行う必要があることを明示しています。公募開始前の日付が入った見積書は使用できず、交付決定前に発注した設備は補助対象になりません。この2点は補助金適正化法の考え方に沿った原則であり、事情を説明しても例外は認められません。実務で起きやすいのは、設備が故障して急いで発注してしまい、後から補助金の存在を知るという順序の逆転です。設備の更新を検討し始めた段階で、まず制度の公募スケジュールを確認し、発注の前に申請可能性を判断するという順序を組織的に徹底することが重要です。

Q6.採択率が9割を超えているなら簡単に通るのですか

A6.「要件を数値で満たせば通る」制度であり、「準備が甘くても通る」制度ではありません。1次公募における設備単位型の採択率は93.3%でしたが、この数字は要件を満たした申請だけが提出された結果でもあります。省エネルギー量の計算で要件を満たせない案件は、そもそも申請段階で脱落しています。設備区分別に見ると、産業用モータの採択率は76.8%、業務用給湯器は63.6%にとどまっており、区分によっては4件に1件以上が不採択となっています。産業用モータの平均省エネ率が16.5%と他区分より低いことからも、省エネ効果の立証が難しい分野で不採択が発生していると整理されます。採択率の高さを理由に準備を軽視すると、書類の不備による差し戻しや、計算根拠の不足による不採択につながります。

Q7.中小企業投資促進枠の「事業計画書の公表」とは何ですか

A7.省エネ要件が緩和される代わりに求められる、SII指定フォーマットによる計画書の作成・公表義務です。中小企業投資促進枠は、一般枠と比べて事業場単位の省エネ要件が10%以上から7%以上へ、省エネ量が700kl以上から500kl以上へと緩和されています。この緩和と引き換えに、SIIが指定するフォーマットにより一般枠の効果を満たす事業計画書を作成し、公表することが条件として定められています。つまり「今回の申請では7%だが、中長期的には一般枠水準の10%に到達する計画がある」ことを示し、それを対外的に公表するという仕組みです。公表義務があるということは、その計画が社外の目に触れるということでもあります。実現可能性の低い計画を記載することは避け、社内で合意形成を経た内容にしておく必要があります。

Q8.他の補助金と併用できますか

A8.同一の設備に対する国庫補助金の重複受給は原則として認められません。SIIは「本補助金と併用可能な補助金等」というFAQを公表しており、他制度との併用可否についてはこの資料で確認できます。実務上の考え方としては、同じ設備の同じ経費に対して複数の国庫補助金を充てることはできない一方で、同一事業者が別の設備について別の補助金を活用することは妨げられません。自治体が独自財源で実施する補助金との併用については、当該自治体の交付要綱で個別に判断が分かれるため、自治体窓口への確認が必要です。また、補助金以外の支援制度、たとえば中小企業経営強化税制などの税制措置との関係についても、適用要件を個別に確認することが求められます。

Q9.採択された後に発生する義務は何ですか

A9.書類の5年間保管義務と、法定耐用年数期間中の財産処分制限が主なものです。SIIは、補助金関係の書類に5年間の保管義務があること、法定耐用年数の間は許可なく処分(売却・廃棄・転用・譲渡など)することが禁止されていることを明示しています。財産処分制限は、事業の再編や設備の入れ替えを検討する際の制約になります。たとえば工場の移転や事業譲渡を計画している場合、補助金で導入した設備の扱いについて事前にSIIへ相談する必要が生じます。また、事業完了後には実績報告が求められ、その後も計画した省エネ効果が実現しているかを報告する仕組みがあります。補助金は「もらって終わり」ではなく、耐用年数にわたる管理コストを伴う制度であると理解しておくことが重要です。

Q10.省エネルギー量の計算は自社でできますか

A10.指定計算が用意されている設備区分であれば、自社での対応も可能です。SIIは設備区分ごとに省エネルギー量計算の手引きを公表しており、電気式パッケージエアコン、ガスヒートポンプエアコン、チリングユニット、高性能ボイラ、変圧器、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、コンデンシングユニット、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具については指定計算の方法が定められています。加えて省エネ計算プログラムやSII省エネ計算フォーマットといったサポートツールも提供されています。一方で、生産設備や「その他SIIが認めた高性能な設備」については独自計算が必要となり、既存設備の稼働時間・負荷率・消費電力等の実測データを根拠資料とともに整える必要があります。この独自計算の部分が、実務上もっとも負担の大きい工程です。社内に設備管理データが蓄積されていない場合は、早い段階で外部の支援を検討することが賢明です。

省エネ・非化石転換補助金の申請をご検討の方へ

設備更新の投資判断を、補助金の要件から逆算して設計します

壱市コンサルティングは、認定経営革新等支援機関として中小企業の補助金申請と設備投資計画を支援しています。省エネ・非化石転換補助金は、事業計画の表現力ではなく数値の充足度で採否が決まる制度です。だからこそ、設備を選定する前の段階で「どの申請タイプなら要件を満たせるか」を見極めることが、採択と自己負担額の双方を左右します。3次公募の締切は令和8年(2026年)9月28日です。

📊 申請タイプの適合判定

導入予定設備と既存設備の状況をうかがい、設備単位型・工場・事業場型・電化脱炭素燃転型のどれで申請すべきか、要件を満たす見込みがあるかを整理します。

📋 交付申請書類の作成支援

補助事業ポータルの入力から提出書類のファイリングまで、不備による差し戻しが起きない形で申請一式を仕上げます。

🏦 設備投資の資金繰り設計

補助金は後払いです。交付決定から入金までの資金繰りと、金融機関からの調達を含めた設備投資計画全体を組み立てます。

🔄 他制度との比較検討

ものづくり補助金・省力化投資補助金・新事業進出補助金など他制度との比較を行い、投資目的に最も適した制度を選定します。

締切まで残された時間は限られています。設備選定の前段階でのご相談が、最も効果的です。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 空調やボイラの更新を検討しているが、補助金の対象になるか分からない
  • ✅ 設備単位型と工場・事業場型のどちらで申請すべきか判断がつかない
  • ✅ 省エネルギー量の計算方法が分からず、申請に着手できていない
  • ✅ 販売店から「補助金が使える」と言われたが、内容を自社で検証したい
  • ✅ 補助金の入金までの資金繰りに不安がある

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