【令和8年度】東京都ゼロエミ省エネ設備導入支援事業|助成率3/4・上限4,500万円の要件と申請実務を徹底解説

空調機の入替え、LED照明への交換、変圧器の更新。エネルギーコストの上昇を受けて、こうした設備投資を検討する中小企業が増えています。しかし数百万円から数千万円という初期投資の負担は重く、判断を先送りしている経営者は少なくありません。

東京都が実施する「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」は、この初期投資の壁を正面から取り除く制度です。令和8年度(2026年度)の事業規模は102.3億円。助成率は最大4分の3、上限額は4,500万円に達し、しかも設備費だけでなく設計費と工事費まで助成対象経費に含まれます。国の省エネ補助金の多くが設備費のみを対象としていることを踏まえると、この経費範囲の広さは決定的な差といえます。

一方で、この制度は「申請すれば通る」性格のものではありません。交付決定前に工事契約を結べば一発で対象外となり、申請区分は交付申請後に一切変更できず、予算を超過した回では先着順ではなく抽選が行われます。加えて、地球温暖化対策報告書の提出という、他の補助金にはない固有の要件が課されています。

本記事では、令和8年(2026年)7月改定の募集要項に基づき、助成額の3区分・対象事業者と事業所の範囲・助成対象経費の線引き・申請から工事完了までの実務フロー・つまずきやすい論点までを、実際に申請を支援する立場から網羅的に解説します。

Contents
  1. 制度が生まれた背景と政策的意義
  2. 助成率と上限額を決める3つの申請区分
  3. 助成対象となる事業者と事業所の範囲
  4. 助成対象設備と助成対象経費の線引き
  5. 令和8年度の受付スケジュールと申請の流れ
  6. 見落とされやすい必須要件 地球温暖化対策報告書制度
  7. 申請実務でつまずきやすい論点
  8. 他の支援制度との併用関係
  9. まとめ
  10. よくあるご質問
  11. 省エネ設備投資の助成金申請は壱市コンサルティングへ

制度が生まれた背景と政策的意義

この制度の設計思想を理解するには、東京都が置かれているCO2排出構造を把握する必要があります。募集要項によれば、都内の温室効果ガス排出量の約90%は二酸化炭素であり、そのほとんどがエネルギーの消費に伴って発生するエネルギー起源CO2です。これを部門別に見ると、業務・産業部門が排出量全体の半分近くを占めています。

問題はその内訳です。業務・産業部門の排出のうち、総量削減義務の対象である大規模事業所からの排出はおよそ4割にとどまります。残るおよそ6割は、都内に約63万存在する中小規模事業所からの排出です。大規模事業所には条例に基づく削減義務がかかる一方、中小規模事業所には義務がありません。義務を課さずにこの6割をどう動かすかという課題に対する、東京都の回答が本事業です。

仕組みとしては、東京都が原資を公益財団法人東京都環境公社に出えんして基金を造成し、公社が基金を原資として助成を行う形をとっています。事業の実施年度は令和5年度(2023年度)から令和8年度(2026年度)までとされ、助成金の交付は令和9年度(2027年度)まで続きます。つまり令和8年度は、現行スキームにおける最終年度にあたります。

POINT

令和8年度(2026年度)の事業規模は102.3億円です。単年度で100億円を超える規模の助成事業は都道府県レベルでは異例であり、それだけ中小規模事業所の省エネ化が政策的な優先課題と位置づけられていることを示しています。設備更新を検討している事業者にとって、活用しない理由を探すほうが難しい水準の制度です。

📊 このセクションの要点

都内の業務・産業部門のCO2排出のうち約6割は、削減義務のかからない約63万の中小規模事業所から生じています。本事業は、この層の省エネ投資を義務ではなく助成によって引き出すために設計された制度であり、令和8年度(2026年度)の事業規模は102.3億円、現行スキームの最終年度にあたります。

助成率と上限額を決める3つの申請区分

本事業の助成額は、単一の料率ではなく3つの申請区分に分かれています。どの区分で申請するかによって、助成率が3分の2か4分の3か、上限額が1,000万円か2,500万円か4,500万円かが決まります。この区分選択が、本制度における最初にして最大の戦略的判断です。

申請区分 要件 助成率 上限額
大幅削減区分 年間CO2排出量を更新前と比較して28t-CO2以上削減可能な省エネ設備の導入又は運用改善の実践を行う 4分の3 4,500万円
省エネ診断受診区分 事前に省エネコンサルティングおよび省エネ診断を受診し、この提案に基づき、年間CO2排出量を3t-CO2又は30%以上削減可能な導入・実践を行う 3分の2 2,500万円
自己計画区分 助成対象事業者が自ら計画を作成し、年間CO2排出量を3t-CO2又は30%以上削減可能な導入・実践を行う 3分の2 1,000万円

実務上の判断は、まず工事規模から入ります。助成対象経費が1,500万円を下回る規模であれば、自己計画区分の上限1,000万円に届かないため、省エネ診断を待ってまで区分を上げる意味は薄くなります。逆に工事規模が3,000万円を超え、かつCO2削減量が28t-CO2に届く見込みがあるのであれば、助成率が3分の2から4分の3へ上がる大幅削減区分を狙う価値が生じます。

ここで注意すべきは、省エネ診断のリードタイムです。クール・ネット東京は、省エネ診断について多くの申込みを受けており報告書の提出まで時間を要する場合があると公表しています。一方で、地球温暖化対策ビジネス事業者が行う省エネコンサルティング事業については、省エネ診断と同等の内容および水準による診断を実施しており、比較的短期間での案内が可能とされています。診断受診が必要な区分を選ぶのであれば、省エネコンサルティング事業の活用を早い段階で検討することが賢明です。

注意

募集要項では、交付申請受付時に提出した書類や入力内容について、申請要件の区分変更や申請金額の修正は一切受け付けないと明記されています。また、交付申請の審査中に設備を再選定することも原則として認められません。区分と設備は、申請ボタンを押した時点で確定すると理解する必要があります。

もう一点、採択方式にも独自の性格があります。本事業は各回の交付申請において公社が定める予算を超過した場合、受付期間に申請のあった全件を対象に抽選が行われます。先着順ではないため、受付初日に駆け込む実益はありません。ただし抽選の有無にかかわらず、書類の過不足や要件不十分、記載不備によって不交付決定となる可能性があるとされており、書類精度を落としてよい理由にはならない点を冷静にご判断ください。

📊 このセクションの要点

助成額は3区分で決まり、28t-CO2以上の削減で4分の3・4,500万円、省エネ診断受診で3分の2・2,500万円、自己計画で3分の2・1,000万円となります。区分は交付申請後に変更できず、金額の修正も受け付けられません。予算超過時は先着順ではなく抽選が行われるため、早さよりも区分選択と書類精度が結果を左右します。

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助成対象となる事業者と事業所の範囲

対象となる事業者の類型

助成対象事業者は、都内において中小規模事業所を所有し、又は使用する中小企業者等です。具体的には、中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者のほか、個人事業主、学校法人、一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人・特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人が含まれます。中小企業者の定義は次のとおりです。

業種 資本金 常時使用する従業員
製造業・建設業・運輸業・その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

資本金基準と従業員基準のいずれかを満たせば中小企業者に該当します。複数の業種を営む場合は売上高が大きいほうを主たる業種とし、売上高が同じ場合には各事業の従業員数から判断します。なお、製造小売は小売業として扱われます。常時使用する従業員には事業主本人とその三親等以内の生計を一にする親族、法人の役員、臨時の従業員は含まれません。

一方で、形式的に中小企業者に該当していても、大企業との資本関係によって除外される場合があります。一の大企業又はその役員が発行済株式総数の2分の1以上を所有している場合、複数の大企業又はその役員が3分の2以上を所有している場合、一の大企業の役員又は職員が当該中小企業者の役員総数の2分の1以上を兼務している場合は対象外です。また、LLP(有限責任事業組合)および任意グループも対象ではありません。個人事業主の場合は、管轄の税務署に所得税法第229条に基づく開業届を提出している必要があります。

中小規模事業所とは何か

助成対象事業所は、都内に設置されている事業所(建物又は施設)又は事業所内に設置されている事務所・営業所等であって、年間の原油換算エネルギー使用量が1,500kL未満のものと定義されています。区分所有の場合は助成対象事業者の所有部分で判断します。なお、共通の所有者が存在する建物等が隣接・近接している場合は、事業所範囲のとらえ方によって対象外となる場合があるため、東京都の特定温室効果ガス排出量算定ガイドラインで確認が必要です。

補足

1,500kLという数値は、実務では延床面積3万平方メートル程度未満、年間光熱費1億円程度未満が目安として説明されることがあります。一般的な中小規模のオフィスビル・工場・店舗・倉庫・宿泊施設・医療機関の多くはこの範囲に収まると整理されます。年間1,500kL以上の事業所は大規模事業所に区分され、総量削減義務の対象となるため本事業の対象外です。ただし目安はあくまで目安であり、正式には前年度のエネルギー使用実績から原油換算して判断します。

申請できる範囲と住居部分の扱い

申請範囲は、事業所を所有する場合は登記上、所有権を有する範囲までとされ、事業所を使用する場合は賃貸借契約等における専有面積が範囲となります。ただし、申請範囲に住居部分を含めることはできません。住居と事務所等の兼用施設の場合は、申請範囲が事業専用部分であることを明確にする必要があります。賃貸マンションの住戸や社宅の居室を対象に含めようとする申請は、この規定に抵触します。

建物が共有ないし区分所有の場合は、所有者全員の共同申請とするか、他の所有者の許可を得たうえで申請します。複数の所有者で共同申請する場合は共同申請者のうち1名を代表者とすることができますが、いずれの場合も共有者および区分所有者はすべて助成対象事業者の要件を満たしていなければなりません。

補足

次に該当する事業者は対象となりません。国その他の団体(都内区市町村は除く)から同一内容で補助金等の交付を受けている又は受けることが決まっているもの、過去に税金の滞納があるもの、刑事上の処分を受けているもの、国又は地方公共団体の出資を受けているものです。納税証明書は法人事業税・法人都民税等について提出が求められ、手続代行を行う場合は手続代行者の納税証明書も必要となります。

📊 このセクションの要点

対象は都内で年間原油換算エネルギー使用量1,500kL未満の中小規模事業所を所有又は使用する中小企業者等で、医療法人・社会福祉法人・学校法人・NPO法人も含まれます。大企業の資本関係や役員兼務による除外規定があり、LLPと任意グループは対象外です。申請範囲は所有なら登記上の所有権の範囲、使用なら専有面積であり、住居部分を含めることはできません。

助成対象設備と助成対象経費の線引き

助成対象となる省エネ設備は、都内中小クレジット算定ガイドラインに定める都内中小クレジットの対象となる削減対策項目に掲げる要件に該当する設備です。募集要項では、高効率空調設備、全熱交換器、LED照明設備、高効率ボイラー、高効率変圧器、断熱窓、高効率コンプレッサ、高効率冷凍冷蔵設備などが例示されています。導入する設備がこれらに該当しない場合でも、所定の省エネ効果が見込まれ、かつ公社が認める設備であれば対象となる余地があります。

加えて、設備の入替えを伴わない運用改善の実践も助成対象です。人感センサー等の導入や照明スイッチの細分化工事といった、既存設備を適切に運転してエネルギーロスを抑制する取組がこれにあたります。設備更新の予算が組めない事業者にとって、運用改善から着手できる設計になっている点は実務上の意義が大きい部分です。

助成対象設備の一覧と設備ごとの要件

募集要項が例示する8種類の省エネ設備について、都内中小クレジット算定ガイドラインに定められている要件の概要と、実務上想定される更新場面を整理します。重要なのは、設備の名称が一致していれば対象になるのではなく、機種ごとの効率基準を満たしていることが要件だという点です。

対象設備 要件の概要 想定される更新場面
高効率空調設備
(高効率パッケージ型空調機)
冷房能力や機器のサイズに応じて定められた冷暖房平均COP、通年エネルギー消費効率(APF)が基準値以上であること 事務所ビル・店舗・工場・医療機関における業務用エアコンの更新
全熱交換器 全熱交換器(エンタルピー制御機能あり又はなし)、除加湿可能全熱交換機能付外気処理機のいずれかであること 換気設備の更新。空調更新との同時施工でCO2削減量を積み上げる場面
LED照明設備
(高効率照明設備)
ランプを含む照明器具であり、LEDの場合はエネルギー効率(lm/W)が一定の基準以上であること 蛍光灯・水銀灯からのLED化。倉庫・工場の高天井照明、共用部照明の更新
高効率ボイラー
(高効率熱源機器)
熱源機器ごとの定格COP又はボイラー効率が一定の基準以上であること 給湯ボイラー・温水ボイラーの更新。宿泊施設・入浴施設・食品工場
高効率変圧器 超高効率変圧器、トップランナー変圧器(2006年基準又は2014年基準)のいずれかであること キュービクル内の受変電設備更新。更新周期を迎えた老朽変圧器の入替え
断熱窓 ガイドラインの削減対策項目に定める開口部の断熱改修に係る要件に該当すること 事務所・店舗の窓改修。内窓設置やガラス交換による空調負荷の低減
高効率コンプレッサ
(高効率エアコンプレッサー)
インバーター制御、圧縮機、高効率モータ等の対策が導入されており、かつ電動機出力7.5kW以上であること 工場のエア源設備の更新。金属加工・食品製造・印刷業などの生産設備
高効率冷凍冷蔵設備 インバーター圧縮機、高効率照明等の対策が導入されている冷凍冷蔵庫、ショーケース、冷温用パッケージ型空調機等であること 食品スーパー・飲食店・冷蔵倉庫のショーケース、冷凍冷蔵庫の更新

この8種類に該当しない設備であっても、所定の省エネ効果が見込まれ、かつ公社が認める設備であれば助成対象となる余地があります。給湯器や高効率モータ、EMS(エネルギーマネジメントシステム)といった設備が検討対象に入る案件もあります。導入予定の設備が要件を満たすかどうかは、交付申請時に仕様書又はカタログで基準値の該当箇所を示して立証する必要があります。

注意

LED化で最も多い誤解が直管形LEDランプの扱いです。東京都環境局は、都内中小クレジットにおいて既設照明器具にそのまま装着するタイプ(既存安定器接続形)の直管形LEDランプ交換はクレジット対象外であると明示しています。ランプのみを差し替える工事は対象にならず、照明器具ごと交換する必要があると理解してください。あわせて、本事業は省エネ設備への更新が要件であるため、既存設備が存在しない場所への新規導入(新設)に係る費用も対象外です。

対象となる経費・ならない経費

項目 助成対象となるもの 助成対象とならないもの
設計費 助成対象設備の導入等に係る設計に必要な経費 本事業と直接関係のない設計に要した費用
設備費 助成対象設備の購入・製造・据付等に必要な経費、その他事業実施に必要不可欠な付属機器 計測機器又は装置、必要不可欠とは言えない付属機器等
工事費 労務費、材料費、機器搬入費、機器据付費、基礎工事、配電・配管工事、直接仮設費、断熱・保温等の設置工事、総合試験調整費、立会検査費、養生費、天井解体及び復旧費、点検口取付費等 安全対策費、土地の取得・賃貸・管理等に要する費用、道路使用許可申請費用、既存設備等の撤去・処分に必要な経費
諸経費 公社に提出する申請書類等の作成費用、各種保険、保証料等
消費税 上記経費に係る消費税相当額はすべて対象外

ここで実務上つまずきやすいのが撤去費の扱いです。既存設備等の撤去・処分に必要な経費は助成対象外とされています。しかし募集要項は同時に、省エネ設備の導入においては設備を更新することが要件となるため、既存設備等の撤去工事費用は必ず見積書に記載するよう求めています。助成対象外だから見積書から省いてよいという話ではなく、更新であることを証明する材料として記載が必須である、という構造です。この一点を誤解して見積書を作り直すことになる事案は珍しくありません。

また、過剰と見なされるもの、増設されるもの、将来用・兼用・予備用のもの、そして施工業者等からの還付等に伴い助成対象者が実質的に負担していないとみなされる経費は対象となりません。各項目の費用が助成対象事業を行うために必要かつ不可欠であることの証明責任は、助成事業者側が負うと明記されています。

自社・グループ会社から調達する場合の利益排除

助成対象経費の中に、自社又は資本関係にある会社からの調達分が含まれる場合には、利益等排除の対象となります。自社調達および100%同一の資本に属するグループ企業からの調達では、調達品の製造原価又は工事原価をもって助成対象経費とします。原価を証明できない場合は、直近年度の決算報告における売上総利益率をもって市場流通価格から利益相当額を排除します。持株比率20%以上100%未満の関係会社からの調達では、原価に販売費及び一般管理費を加えた額が助成対象経費となります。

注意

利益等排除の判定にあたっては、根拠となる決算報告書等の書類の提出が求められます。書類の提示がない場合は、利益等排除部分以外も助成対象外となる場合があるとされています。グループ内の建設会社や設備会社に発注する計画である場合は、申請の初期段階から原価資料の整備を進めておく必要があります。

📊 このセクションの要点

高効率空調設備・全熱交換器・LED照明設備・高効率ボイラー・高効率変圧器・断熱窓・高効率コンプレッサ・高効率冷凍冷蔵設備の8種類が例示され、人感センサー導入や照明スイッチ細分化といった運用改善も対象です。設備名が一致するだけでは足りず、機種ごとの効率基準を満たす必要があり、既存安定器接続形の直管形LEDランプ交換や新設は対象外です。経費は設計費・設備費・工事費が対象で、撤去費は対象外でありながら更新の証明として見積書への記載が必須となります。

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令和8年度の受付スケジュールと申請の流れ

令和8年度(2026年度)の交付申請は全6回に分けて受け付けられます。第3回までの受付はすでに終了しており、令和8年(2026年)8月時点で次に控えているのは第4回です。

回次 交付申請受付期間 工事完了届の最終提出期限
第1回 令和8年4月21日(火)〜5月8日(金) 受付終了 令和9年9月30日(木)
第2回 令和8年6月15日(月)〜6月26日(金) 受付終了 令和9年9月30日(木)
第3回 令和8年7月31日(金)〜8月14日(金) 受付終了 令和9年10月29日(金)
第4回 令和8年9月16日(水)〜10月2日(金) 令和9年10月29日(金)
第5回 令和8年11月9日(月)〜11月20日(金) 令和9年11月30日(火)
第6回 令和9年1月18日(月)〜1月29日(金) 令和9年11月30日(火)

各受付期間は開始日の9時から最終日の17時まで(必着)です。申請は原則として電子申請であり、メールアドレス認証フォームで認証を行ったうえで交付申請フォームから提出します。受付終了時刻の間近は回線が混雑して申請が完了できない可能性があるとされているため、最終日の夕方に作業を残さない段取りが必要です。

交付決定から工事完了までの実務

申請から交付決定までには概ね2か月を要するとされています。審査内容や申請件数によって前後するため、工事の着工時期から逆算した計画が不可欠です。交付決定を受けたのち、助成事業者は速やかに助成事業の実施に必要な契約を締結し、事業に着手します。

契約にあたっては、売買・請負その他の契約を競争に付さなければならず、最安値の見積書を提示した業者と契約を締結する必要があります。見積書は3社以上から取得し、取得したすべての見積書を添付します。見積書は発行後3か月以内のもので、見積り基準等を明記して費用の算出根拠を示し、一式表記は行わないこととされています。「機器据付費一式 2,000,000円」のように算出根拠が明確に記載されていない場合、助成対象経費とはみなされません。一括値引きも認められません。

工事完了の日は、設置工事および設備の試運転の完了と、助成対象経費全額の支出完了をもって判定されます。工事請負業者等への代金支払方法は、原則として検収翌月末までに金融機関による振込で行う必要があり、クレジット契約、割賦契約、手形、相殺等による支払は認められません。工事完了届は、助成事業が完了した日から起算して30日以内に提出します。

申請から入金までの流れ

段階 実施すること 期限・目安
申請前 省エネ診断の受診(受診する区分の場合)、省エネ計算、3社以上の相見積取得、謄本・納税証明書等の準備 診断は必ず交付申請前に受診
交付申請 メールアドレス認証後、交付申請フォームから書類を添付して電子申請 各回の受付最終日17時必着
審査・交付決定 書類審査および必要に応じた現地調査を経て交付決定通知書が送付される 申請から概ね2か月
契約・着工 最安値の見積書を提示した業者と工事契約を締結し、工事に着手する 交付決定通知の受領後
工事完了・支払 設置工事・試運転の完了と、助成対象経費全額の支払完了をもって事業完了となる 支払は検収翌月末までに金融機関振込
工事完了届 工事完了届兼交付請求書、工事写真、試運転結果報告書、マニフェスト伝票、支払証憑等を提出 完了日から30日以内、かつ各回の最終提出期限まで
額の確定・入金 完了審査および現地調査を経て助成金額確定通知書が発行され、助成金が支払われる 精算払い(全額立替が前提)

申請から交付決定までは概ね2か月を要し、そこから工事契約・着工・完了・完了届提出・審査・入金と進みます。交付申請から助成金の入金までの全体スケジュールとしては、半年から1年程度を見込んでおく必要があります。設備の老朽化が進んでいて更新を急ぐ案件では、この期間を許容できるかどうかが制度活用の前提条件になります。

交付申請時の主な提出書類

交付申請では20種類を超える書類の提出が求められます。とくに取得に日数を要する公的書類と、施工業者の協力が必要な書類は、受付期間の直前に着手すると間に合いません。

区分 主な書類と留意点
申請様式 交付申請書類チェックリスト、助成金交付申請書、助成事業実施計画書、助成事業経費内訳書、内訳明細表、見積比較表。電子申請の場合、交付申請書と実施計画書は申請フォーム上に直接入力する
誓約書・同意書 助成対象事業者の誓約書および同意書、共同申請者の誓約書、手続代行者の誓約書。申請を行った者以外の誓約書は、該当者による押印または署名がされた写しの提出が必要
法人・事業者関係 商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書、発行後3か月以内)。個人事業主は開業届。中小企業団体等は定款および組合名簿等
納税証明書 法人事業税・法人都民税の納税証明書等。建物が共同所有の場合は共有者分、手続代行を行う場合は手続代行者分も必要
建物関係 建物登記簿謄本(全部事項証明書、発行後3か月以内)。所有者でない場合は賃貸借契約書の写しと、必要に応じて工事及び設備設置についての承諾書
見積関係 工事見積書(発行後3か月以内、3社以上、取得した全ての見積書を添付)。一式表記は不可で、費用の算出根拠を示すこと。一括値引きも不可
省エネ効果の立証 省エネ診断報告書(受診する区分の場合)、省エネ計算シート(エネルギー使用量・CO2削減効果・各設備シート)、省エネ効果の確認できる証憑
設備要件の立証 クレジット算定ガイドラインに定める省エネ設備の要件が確認できる証憑。既存設備・導入設備それぞれの仕様書又はカタログ等(基準値の該当箇所にマーキング)
図面・稼働実績 既存設備・導入設備の機器配置図(省エネ計算シート等と整合する図記号を記載)、事業所の営業時間・年間営業日数・導入設備の年間稼働時間がわかるもの
エネルギー実績 エネルギー購買伝票等。申請年度の前年度4月から1か年分の、助成対象事業所で使用している全てのエネルギーの使用実績がわかるもの
共同申請の場合 ESCO事業者との共同申請はパフォーマンス契約書案とサービス料金計算書案、リース等事業者との共同申請はリース契約書案とリース料金計算書案

実務の負荷が集中するのは、機器配置図と仕様書、そしてエネルギー購買伝票です。機器配置図は既存・導入の双方について、省エネ計算シート又は省エネ診断報告書と整合の取れる図記号を記載する必要があり、施工業者との連携なしには成立しません。電気やガスの検針票を1か年分そろえる作業も、経理担当者に早めに依頼しておくべき項目です。

POINT

令和8年度(2026年度)から工事完了時の提出書類が変更されました。支払の証憑は、口座の入出金履歴がわかる振込明細書や通帳の写しが必須となり、領収書での提出は基本的に受理されません。あわせて、手続代行者による申請においては、申請者本人により署名または押印された誓約書および同意書の提出が必須となっています。過年度はフォーム上での代理誓約が認められていましたが、令和8年度からは取扱いが変わっている点に注意が必要です。

工事完了届の提出にあたっては、工事写真(施工前・施工中・施工後)、試運転結果報告書、マニフェスト伝票A票の写し、フロン類の回収を確認できる書類、請求書と支払の証憑、導入設備の機器一覧表と機器配置図などが必要です。マニフェスト伝票については、提出できない場合には助成金を交付できないことがあると明記されています。

なお、助成事業の事業期間は工事完了の届出を行った日の属する年度の翌年度から起算して2箇年度目の末日までとされ、この期間中は地球温暖化対策報告書を都に毎年度継続して提出する義務が課されます。工事が終われば終わりという制度ではなく、その後2年度にわたる報告義務が残ることを、申請前に事業者へ説明しておく必要があります。

📊 このセクションの要点

令和8年度(2026年度)は全6回の受付があり、次回は第4回の令和8年9月16日から10月2日までです。申請から交付決定までは概ね2か月、入金までの全体では半年から1年程度を見込みます。契約は3社以上の相見積を経て最安値の業者と締結し、支払は金融機関振込に限られ、支払証憑は振込明細書または通帳の写しが必須です。交付申請では登記簿謄本・納税証明書・機器配置図・エネルギー購買伝票など20種類を超える書類が求められ、工事完了後も2箇年度にわたり地球温暖化対策報告書の継続提出が必要です。

見落とされやすい必須要件 地球温暖化対策報告書制度

本事業には、他の補助金には見られない固有の要件があります。それが地球温暖化対策報告書の提出です。助成対象設備を導入する事業所について、工事完了の届出に合わせて地球温暖化対策報告書データを提出しなければなりません。この要件を知らないまま申請準備を進め、完了届の段階で慌てる事例が後を絶ちません。

地球温暖化対策報告書制度は、都内で中小規模事業所を所有又は使用している事業者を対象に、各事業所のCO2排出量と地球温暖化対策の状況等を東京都に報告する制度です。対象となるのは、燃料・熱・電気の使用量を原油に換算した合計量が年間1,500kL未満の都内のすべての中小規模事業所です。自動車・鉄道・船舶・航空機等の運行に伴うもの、住居、都外の施設は対象から除かれます。

区分 該当要件 令和8年度(2026年度)提出期限
義務提出 同一事業者が都内に設置(所有又は使用)する複数の中小規模事業所のうち、前年度の原油換算エネルギー使用量が30kL以上1,500kL未満のものをすべて合計すると3,000kL以上になる場合 令和8年(2026年)8月31日(月)
任意提出 義務要件に該当しない事業者。本助成金の申請者の多くはこちらに該当する 令和8年(2026年)12月15日(火)

報告内容は、2030年度に向けた省エネと再エネ利用の目標・計画、実績年度のCO2排出量(エネルギー等の使用量)、実績年度の地球温暖化対策の実施状況の3点です。作成は都環境局のホームページから作成ツールをダウンロードして行い、原油換算やCO2排出量への換算は自動計算されます。提出はオンラインで完結し、印刷・郵送は不要です。

テナントビルの場合の考え方は、本助成金の申請範囲とも直結します。所有者(オーナー)と使用者(テナント)の双方が対象事業者となり、オーナーの報告範囲はビル全体、テナントの報告範囲は賃貸部分のみです。自社所有ビルか、テナント入居か、あるいは賃貸ビルのオーナーとして共用部を更新するのかによって、報告主体と範囲が変わります。

なお、都が公表する直近の提出実績によれば、令和7年提出分は義務提出254事業者・任意提出3,248事業者の合計3,502事業者、事業所数は33,926事業所、CO2排出量は531万tとなっています(令和8年3月31日時点)。任意提出が義務提出を大きく上回る構造は、本助成金をはじめとする支援策の受給要件として報告書提出が組み込まれていることの反映と整理されます。

📊 このセクションの要点

助成対象事業所について地球温暖化対策報告書を提出することが必須要件であり、工事完了の届出に合わせて提出します。多くの申請者は任意提出に該当し、令和8年度(2026年度)の任意提出期限は12月15日です。テナントビルではオーナーがビル全体、テナントが賃貸部分を報告範囲とします。事業期間の最終年度まで毎年度の継続提出が求められる点も見落とせません。

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申請実務でつまずきやすい論点

交付決定前の契約・発注は例外なく対象外

募集要項の冒頭に置かれた注意事項として、助成対象経費について交付決定前に発注・契約等を行っていた場合は助成金を交付できないと明記されています。違反した場合は交付決定およびその他の決定が取り消され、すでに助成金が交付されている場合には年10.95%の利率による加算金を加えて返還することになります。設備業者から「先に契約だけ進めましょう」と提案された場合、この一点で案件が消えるおそれがあると理解する必要があります。

申請区分と設備は申請時点で確定する

交付申請後の区分変更・金額修正は一切受け付けられず、審査中の設備再選定も原則として認められません。省エネ計算の精度が甘いまま申請すると、後から取り返す手段がありません。既存設備の型番・台数・稼働時間を実測ベースで押さえたうえで、CO2削減量が要件を満たすかを事前に確定させておく作業が、申請書作成そのものよりも重要です。

削減要件を満たすための数字の操作は認められない

省エネ計算シートについて、募集要項は、設備の更新時には現行の性能や仕様を維持して実施すること、削減要件を満たすことを目的に稼働時間や設置台数を意図的に操作した場合は助成金交付が認められない可能性があることを明記しています。3t-CO2の閾値に届かせるために稼働時間を過大に見積もる手法は、審査で否定されると考えるべきです。

1事業者1事業所という申請枠の制約

各回で一つの事業者が申請できるのは一つの事業所のみです。また、一つの事業者が同一事業所を申請できるのは年度に一回までとされています。一つの事業者から複数の申請があった場合は、はじめに申請されたものが受理されます。複数拠点を持つ事業者が全拠点を一気に更新しようとしても、この制度では回を分けて申請する設計になります。

不備の修正には60日の期限がある

申請書類に不備がある場合、公社が修正を求めた日の翌日から起算して60日以内に修正を行わないときは、その申請は撤回したものとみなされます。工事完了届についても同様に60日以内の修正が求められます。担当者の異動や施工業者との連絡遅延で放置すると、申請そのものが消滅する仕組みです。

法令遵守が不交付事由になる

募集要項は、各種法令を遵守していない場合は不交付決定となると明記したうえで、3点を具体的に挙げています。第一に、建設業の許可を受けずに税込500万円以上の工事に係る見積書を発行することや請け負うことは建設業法違反となります。一つの工事を2以上の契約に分割して請け負う場合でも、各契約の請負代金の額の合計が税込500万円以上となる場合は許可が必要です。第二に、電気工事業法により契約額にかかわらず電気工事業登録が必要です。第三に、行政書士でない者が報酬を得て官公署に提出する書類等の作成を業として行うことは行政書士法違反となります。施工業者が無償を装って申請書類一式を作成するようなスキームは、この規定に照らして慎重な検討を要します。

注意

クール・ネット東京は令和8年(2026年)4月10日、「工事実質0円」を謳った営業活動について注意喚起を公表しています。「受注金額から一部金額をキャッシュバック等するので自己負担はありません」というセールスや電話勧誘があったとの情報が寄せられており、本事業は対象経費の3分の2以内を助成するものであって残りは自己負担であること、助成額をキャッシュバック等に利用する行為は不正虚偽となることが明記されています。あわせて、クール・ネット東京の名称を騙った不審な勧誘行為も発生しており、交付決定通知書の交付前に工事費用の支払を求められた場合は詐欺の可能性があるとして、安易に応じず窓口または警察へ相談するよう呼びかけられています。

不正が疑われる典型的な行為として整理されるのは、値引きやキャッシュバック分を差し引かずに助成額を申請すること、契約書を二重に作成して助成対象経費を水増しすること、他の補助金との併給を隠して申請することです。募集要項は、偽りその他不正の手段により手続きを行った場合の措置として、不交付決定、交付決定の取消し、助成金の返還請求、年10.95%の違約加算金の納付請求、一定期間にわたり助成対象者の対象外とすること、氏名又は名称および不正内容の公表を挙げています。これらの措置は助成事業者だけでなく、手続代行者および施工業者にも及びます。申請者から業務を受託した者が不正手続き等を行ったときは、当該申請者が受託者と共に不正手続き等を行ったものとみなされる点にも留意が必要です。

📊 このセクションの要点

交付決定前の契約・発注は年10.95%の加算金を伴う取消事由となり、申請区分と設備は申請時点で確定します。削減要件を満たす目的で稼働時間や台数を操作すれば交付が認められません。各回1事業者1事業所という枠、不備修正の60日期限、建設業法・電気工事業法・行政書士法の遵守も不交付に直結する論点です。不正手続きに対する措置は、助成事業者のみならず手続代行者や施工業者にも及びます。

他の支援制度との併用関係

省エネ設備の導入を支援する制度は国・都・区市町村に複数存在します。本事業と他制度をどう組み合わせられるかは、実際の自己負担額を左右する重要な論点です。

制度 本事業との関係
国その他の団体の補助金 本事業の助成対象となる事業と同一の内容で国その他の団体(都内区市町村を除く)から補助金等の交付を受けている、又は受けることが決まっている事業者は助成対象事業者となりません。交付の条件としても、助成対象経費に関して重複受給しないことが定められています
区市町村の助成金 併用の余地があります。ただし本事業の助成金額と区市町村の助成額の合計が助成対象経費を上回る場合、上回る金額を差し引いた額が交付額となります。同一の助成対象経費について区市町村から助成を受ける場合は、区市町村に可否を確認する必要があります
都の省エネ促進税制 本助成金を交付された場合、都の省エネ促進税制による事業税の減免措置は受けられません。この税制は地球温暖化対策報告書等を提出した都内の中小規模事業所等が都の指定する導入推奨機器を取得した場合に法人事業税・個人事業税を減免するもので、設備取得額(上限2,000万円)の1/2を事業税額から減免します(事業税額の1/2を限度)。助成金と税制のどちらが有利かを事前に比較する判断が必要です
東京都中小企業制度融資「HTT・ゼロエミッション支援」 資金繰り面での併走が可能です。融資限度額2億8,000万円、融資期間15年以内(据置2年以内)で、地球温暖化対策報告書を提出し都のウェブサイト上で公表している場合は信用保証料の2/3が補助されます。助成金は精算払いであるため、工事代金の立替資金として活用する余地があります

実務上とくに見落とされやすいのが、助成金と省エネ促進税制の関係です。両者は択一であり、助成金を受ければ事業税の減免は使えません。助成対象経費が小さく助成額が限定的な案件では、税制を選んだほうが有利になる可能性もあります。設備投資額と課税所得の水準を並べたうえで、早い段階で比較検討することが賢明です。

📊 このセクションの要点

国その他の団体の補助金とは同一内容での重複受給ができず、区市町村の助成金とは対象経費を上回らない範囲で併用できます。都の省エネ促進税制による事業税の減免は本助成金と併用できないため、事前の比較検討が必要です。資金繰り面では信用保証料の3分の2が補助されるHTT・ゼロエミッション支援融資が併走手段となります。

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まとめ

ポイント 内容
工事費まで対象になる希少な制度 設計費・設備費・工事費が助成対象経費に含まれ、労務費・据付費・配電配管工事・天井解体復旧費まで算入できます。設備費のみを対象とする国の補助金と比べ、実質的な負担軽減効果が大きく異なります
区分選択が助成額を決める 28t-CO2以上の削減なら3/4・4,500万円、省エネ診断受診なら2/3・2,500万円、自己計画なら2/3・1,000万円です。交付申請後の区分変更は一切認められないため、申請前の見極めがすべてを決めます
交付決定前の契約は致命傷 交付決定前の発注・契約は助成対象外となり、交付済みの場合は年10.95%の加算金を付して返還することになります。工事スケジュールは交付決定日を起点に組み立てる必要があります
地球温暖化対策報告書が必須要件 工事完了の届出に合わせた提出が必要であり、事業期間の最終年度まで毎年度の継続提出が求められます。任意提出の令和8年度(2026年度)提出期限は12月15日です
令和8年度は現行スキームの最終年度 事業実施年度は令和5年度から令和8年度までとされています。残る受付は第4回(9月16日〜10月2日)、第5回(11月9日〜11月20日)、第6回(令和9年1月18日〜1月29日)の3回です

よくあるご質問

Q1.LED照明への交換だけでも申請できますか

A1.LED照明設備は助成対象設備として明示されており、単独での申請も可能です。ただし要件となるのは設備の種類ではなくCO2削減量です。自己計画区分または省エネ診断受診区分を選ぶ場合、年間CO2排出量を更新前と比較して3t-CO2又は30%以上削減できることが必要となります。既存が蛍光灯や水銀灯で台数がまとまっている案件では30%の削減率をクリアしやすい一方、既存の一部がすでにLED化されている建物では削減率が伸びず、要件を満たさないことがあります。高効率空調設備、全熱交換器、高効率変圧器といった他の対象設備の更新を同時に行い、事業所全体としての削減量を積み上げる設計も選択肢です。ただし、既設照明器具にそのまま装着する既存安定器接続形の直管形LEDランプ交換は都内中小クレジットの対象外とされているため、照明器具ごと交換する計画とする必要があります。なお、設備の入替えを伴わない人感センサーの導入や照明スイッチの細分化工事も運用改善として対象に含まれます。

Q2.賃貸ビルのオーナーですが申請できますか

A2.中小企業者等の要件を満たす限り、事業所を所有する立場での申請が可能です。申請範囲は登記上、所有権を有する範囲までとなります。ただし申請範囲に住居部分を含めることはできないため、賃貸マンションの住戸部分を対象とすることはできません。事務所ビルや店舗ビルの共用部・専有部の更新であれば、所有者として申請する余地があります。建物が共有ないし区分所有である場合は、所有者全員の共同申請とするか、他の所有者の許可を得たうえで申請する必要があり、共有者・区分所有者はすべて助成対象事業者の要件を満たしていなければなりません。地球温暖化対策報告書についても、オーナーの報告範囲はビル全体となる点をあわせて確認しておく必要があります。

Q3.テナントとして入居していますが申請できますか

A3.事業所を使用する立場での申請が可能で、申請範囲は賃貸借契約等における専有面積となります。この場合、賃貸借契約書の写しの提出が必要です。工事および設備設置についてあらかじめ賃貸人の承諾が必要な場合には、工事及び設備設置についての承諾書を提出します。契約期間についても確認が入り、法定耐用年数期間中の継続的な契約が確認できない場合は、賃貸人と申請者との契約の継続意思が確認できる書類の提出が求められます。自動更新の記載がある契約書であれば追加提出は不要です。退去予定が近い物件での申請は、この要件に照らして成立しにくいと理解しておく必要があります。

Q4.省エネ診断は必ず受診しなければなりませんか

A4.必須ではありません。助成対象事業者が自ら計画を作成する区分を選べば、診断を受けずに申請できます。ただしその場合の上限額は1,000万円となり、省エネ診断受診区分の2,500万円より低く設定されています。診断を受診する場合は、必ず交付申請前に受診しておく必要があります。診断の選択肢は、クール・ネット東京が実施する「事業所の省エネ診断」と、地球温暖化対策ビジネス事業者が行う無料の「省エネコンサルティング事業」の2つです。前者は申込みが集中しており報告書の提出までに時間を要する場合があると公表されている一方、後者は同等の内容および水準の診断を比較的短期間で受けられるとされています。工事時期が決まっている案件では、後者の活用が現実的です。

Q5.交付決定までどのくらいかかりますか

A5.募集要項では、申請から交付決定までに概ね2か月を要すると案内されています。ただし審査内容や申請件数、その他の事情により前後する場合があるとされています。第4回(令和8年9月16日〜10月2日)に申請した場合、交付決定は12月前後となる見込みです。交付決定前に工事契約を締結できないため、工期の逆算にはこの2か月を必ず織り込む必要があります。なお、審査の進捗および途中経過に関する照会には回答されませんが、電子申請を行った場合はマイページや審査進捗確認ページで抽選状況および審査状況を確認できます。手続代行を利用した申請者は、受付番号を手続代行者に確認することで進捗を追えます。

Q6.抽選になると聞きましたが早く申請したほうが有利ですか

A6.先着順ではないため、受付期間内であれば申請の早さは当落に影響しません。各回の交付申請において公社が別に定める各回の予算を超過した場合、受付期間に申請のあった全件を対象に抽選が行われます。したがって初日に急いで申請する実益はなく、むしろ書類を整えることに時間を使うべきです。ただし抽選の有無にかかわらず、書類の過不足や要件不十分、記載不備により不交付決定となる可能性があると明記されています。また受付終了時刻の間近は回線の混雑により申請が完了できない可能性があるため、最終日の夕方に送信作業を残す進め方は避けるべきです。抽選に外れた場合は次回以降の回に改めて申請することになります。

Q7.リースやESCOで設備を導入する場合も対象になりますか

A7.中小企業者等と共同して助成事業を実施するリース等事業者およびESCO事業者も、助成対象事業者に含まれます。要件として、工事に着手する日までに、助成事業が終了するまでの間継続するファイナンスリース契約もしくは割賦販売の契約、又はシェアードセイビング方式のESCO契約を締結することが求められます。さらに、リース料・割賦販売価格・サービス料について、助成金の交付額に相当する金額が減額されていることが必要です。ESCO事業者については、東京都地球温暖化対策ビジネス事業者に登録している事業者であって、1年以上継続して実施するESCO契約に係る計測・検証を伴う実績を有することが条件となります。共同申請の場合、交付申請は助成事業を実施する者全員が共同で行います。

Q8.申請書類の作成を施工業者に任せても問題ありませんか

A8.手続代行者に依頼することは制度上認められていますが、法令上の制約を確認する必要があります。募集要項は、行政書士でない者が他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成を業として行うことは行政書士法違反となると明記しています(法律に別段の定めがある場合を除く)。あわせて、令和8年度(2026年度)から手続代行者による申請においては、申請者本人により署名または押印された誓約書および同意書の提出が必須となりました。また公社は手続代行者が行う手続について必要に応じて調査を実施し、複数の申請について代行を行うもの、高額な申請について代行を行うもの、虚偽その他不正の疑いのある申請について代行を行うものを調査対象の例として挙げています。

Q9.助成金はいつ入金されますか

A9.工事完了届の提出後に公社が審査を行い、助成金額を確定したうえで支払われる精算払いです。したがって工事代金は一度全額を自己資金または借入金で支払う必要があります。助成金の額は、助成対象経費の実支出額に助成率を乗じて得た額と交付決定額のいずれか低い額とされ、千円未満の端数は切り捨てられます。工事完了届は助成事業が完了した日から起算して30日以内に提出し、公社は書類審査および必要に応じて行う現地調査等により内容を確認します。省エネ効果が確認できない場合や、申請したとおりに設備が設置されていない場合は、助成金が支払われないことがあります。資金繰りに不安がある場合は、信用保証料の3分の2が補助されるHTT・ゼロエミッション支援融資の活用も検討に値します。

Q10.工事完了後に守るべき義務はありますか

A10.事業期間は工事完了の届出を行った日の属する年度の翌年度から起算して2箇年度目の末日までであり、その間に複数の義務が残ります。具体的には、地球温暖化対策報告書を都に毎年度継続して提出すること、助成事業所におけるCO2排出状況を把握し設備機器の運用管理等を実施すること、都および公社が行う効果分析等に必要な書類の提出および現地調査等に応じることが交付の条件として定められています。また、取得財産等については法定耐用年数の期間において効率的な運用を図る必要があり、取得価格が1件当たり50万円以上のものを処分しようとする場合は事前に公社の承認が必要です。経理に関する証拠書類は、工事完了届兼交付請求書を提出した日の属する公社の会計年度終了の日から5年間保存しなければなりません。

省エネ設備投資の助成金申請は壱市コンサルティングへ

区分選択とCO2削減量の設計から、交付決定後の完了報告まで一気通貫で支援します

本事業は、申請書の体裁を整えれば通る制度ではありません。どの申請区分を選ぶか、CO2削減量が要件を満たすか、見積書が算出根拠を備えているか、交付決定前に契約が動いていないか。判断すべき論点が申請前の段階に集中しており、一度申請すれば区分も金額も修正できません。壱市コンサルティングは、認定経営革新等支援機関として、この制度の入口の設計から関与します。

📊 申請区分の判定と助成額シミュレーション

既存設備の仕様・台数・稼働時間からCO2削減量を試算し、28t-CO2区分・省エネ診断区分・自己計画区分のどれを狙うべきかを工事規模と時間軸の両面から判定します

📋 交付申請書類の作成支援

助成事業実施計画書・経費内訳書・省エネ計算シート・機器配置図の整合を取り、見積書の算出根拠や撤去費の記載漏れといった差戻し要因を申請前に潰します

🛡️ 地球温暖化対策報告書の作成対応

本事業の必須要件である報告書について、作成ツールへの入力から提出、事業期間中の継続提出までを見据えて体制を整えます

🔄 交付決定後の伴走支援

契約締結のタイミング管理、工事写真やマニフェスト伝票の準備、振込明細書による支払証憑の整備、完了届の提出までを継続して支援します

🏦 資金調達と税制の比較検討

精算払いに伴う立替資金の調達、HTT・ゼロエミッション支援融資の活用、都の省エネ促進税制との有利判定まで、財務面から検討します

次回は第4回、令和8年(2026年)9月16日から10月2日までの受付です。交付決定までに概ね2か月を要することを踏まえ、早い段階でのご相談が結果を左右します。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 空調やLED照明の更新を検討しているが、どの助成金が使えるか分からない
  • ✅ 設備業者から助成金の話を受けたが、内容が適切か第三者に確認したい
  • ✅ CO2削減量が要件を満たすのか、自社では判断がつかない
  • ✅ 地球温暖化対策報告書を提出したことがなく、何から始めるべきか分からない
  • ✅ 助成金と省エネ促進税制のどちらを選ぶべきか比較したい
  • ✅ 申請したものの不備の指摘を受け、対応に行き詰まっている

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