経営力向上計画とは|制度の中身・メリット・申請の流れ・補助金の加点
自社の経営力を上げるための計画を国が認定してくれる。それが経営力向上計画です。人材育成やコスト管理、設備投資などの取組を、3枚ほどの様式にまとめて申請します。
認定を受けると、税制や金融の支援、補助金の優先採択といったメリットがあります。小規模事業者持続化補助金などでは、補助金の加点にもなっています。一方で、計画は実行が前提で、設備を取得する順番にも決まりがあります。
本記事では、制度の中身、メリットと負担、申請の流れ、公式の様式と記載例の見方、補助金の加点との関係を順番に整理します。解説動画の内容に沿った個別解説です。
経営力向上計画とは|制度の中身
経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づく制度です。人材育成やコスト管理などのマネジメントの向上や、設備投資などの取組で、自社の経営力を向上させる計画を作り、事業分野を所管する大臣が認定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画書 | 様式は3枚ほど。簡単な計画を作れば認定を受けられる |
| 計画の期間 | 計画の開始月から数えて3年・4年・5年のいずれかを選ぶ |
| 対象 | 会社・個人事業主のほか、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人、各種の組合など(従業員数2,000人以下などの条件あり) |
| 相談先 | 認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・中央会・地域金融機関・士業など)に計画づくりの相談ができる |
| 開業前 | 事業を向上させるための計画が対象。開業のための計画は対象外 |
補足
個人事業主は開業届を提出していること、法人は設立登記がされていることが必要です。創業前の方の計画には使えません。
計画書に書く4つのこと
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 企業の概要と現状 | 事業の概要、顧客・市場・競合の動き、自社の強みと弱み、ローカルベンチマークの結果 |
| 経営課題と目標 | 課題を整理し、目標を労働生産性などの数字の指標で示す(基本方針に沿う場合は労働生産性) |
| 取り組む内容と期間 | 取組ごとに具体的な実施事項と実施期間を書く。新事業活動に当たるかも記載する |
| 必要な資金と設備 | 資金の使途と調達方法(自己資金・融資・補助金・リースなど)。税制を使うときは設備の情報も書く |
📊 このセクションの要点
経営力向上計画は、3枚ほどの様式で自社の経営力向上の取組を示し、国の認定を受ける制度です。開業前の計画は対象外です。
メリットとデメリット
認定のメリット
国の手引きでは、支援措置は税制措置・金融支援・法的支援の3種類です。あわせて、補助金における優先採択も支援措置の一つとして示されています。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 税制措置 | 認定計画に基づき取得した一定の設備について、中小企業経営強化税制(即時償却または税額控除の選択適用)が使える |
| 金融支援 | 日本政策金融公庫の融資、信用保証協会の通常とは別枠の保証、中小機構の債務保証など |
| 補助金の優先採択 | 認定事業者に対する補助金での優先採択。個別の加点は後述 |
| 法的支援 | 事業承継等を行う場合の、許認可の承継の特例など |
注意
税制の適用期間・対象の設備・控除の率などは税制改正で変わります。自社の場合にどう適用できるかは個別の判断になるため、税理士に確認してください。本記事では税の数字は載せていません。
デメリットと負担
| 負担 | 内容 |
|---|---|
| 計画書づくりの手間 | 現状の分析から書く必要がある |
| 実行が前提 | 目標が未達だっただけでは認定は取り消されないが、計画に従って取組が行われていない場合は取り消されることがある |
| 設備は認定のあとに取得 | 税制を使う設備は、原則として認定を受けてから取得する。例外として、申請前に取得する場合は申請書到達日から遡って60日以内 |
| 融資・保証は別の審査 | 金融機関や信用保証協会の審査は認定審査とは別。認定を受けても融資や保証を受けられない場合がある |
📊 このセクションの要点
メリットは税制・金融・補助金の優先採択・法的支援です。負担は、計画書づくりの手間、実行が前提であること、設備の取得順、融資の別審査です。
申請の流れ|提出先と期間
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 準備 | 日本標準産業分類で自社の事業分野を調べ、事業分野別指針(なければ基本方針)を確認する |
| 2 作成 | 指針に沿って計画を書く。認定経営革新等支援機関に相談できる |
| 3 申請 | 事業分野を所管する大臣に申請する。電子申請(経営力向上計画申請プラットフォーム)も使える |
| 4 認定 | 標準処理期間は約30日。複数の省庁にまたがる場合は約45日。経済産業部局のみ宛の電子申請は約14日(休日等を除く) |
| 5 実行 | 計画に沿って取組を進め、設備は原則として認定のあとに取得する |
提出先は事業分野によって異なります。中小企業庁では申請を受け付けていません。電子申請にはGビズIDプライムが必要です。不備があると照会や差し戻しで時間がかかるため、余裕を持って提出します。
申請でつまずきやすい4つの点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 提出先を間違える | 「事業分野と提出先」の一覧で確認する |
| 設備の取得が先になる | 税制を使うなら、取得の前に認定を受けるのが原則 |
| 融資を申請後に相談する | 金融支援を使うなら、計画を申請する前に関係機関へ相談する |
| 指標の伸び率の計算 | 小数点第2位は切り捨て。1%に少しでも足りないと条件を満たさない |
📊 このセクションの要点
事業分野を調べ、指針に沿って計画を書き、所管の大臣に申請します。認定まで約30日、電子申請なら短くなります。提出先と設備の取得順に注意します。
公式の様式と見本の見方
中小企業庁の経営力向上支援のページに、資料がまとまっています。
| 資料 | できること |
|---|---|
| 経営力向上計画策定の手引き | 計画の書き方と、よくある質問を確認できる |
| 支援措置活用の手引き | 税制・金融・法的支援の中身を確認できる |
| 申請書の様式 | 様式第1と別紙(計画書)、提出前のチェックシート、記載要領つきの様式がある |
| 業種別の記載例 | 農業、建設業、製造業、小売業、卸売業、外食、医療、保育、介護、障害福祉、学習塾など、多くの業種の見本がある |
記載例を読むときの4つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 自社の業種の例を選ぶ | 事業分野が同じ、または近い記載例を探す |
| 現状認識の書き方を見る | 顧客・市場・競合・強みと弱みを、数字と課題でどこまで具体的に書いているか |
| 取組と期間と資金の対応 | 取り組む内容ごとに、実施期間と必要な資金が1つずつ対応しているか |
| そのまま写さない | 計画は実行が前提。自社の事実で書く |
補足
記載例は、現状認識で数字と課題を書き、課題に対応する取組を書き、取組ごとに実施期間と必要な資金を書き、最後に指標の伸び率で締める流れになっています。
補助金の加点との関係
国の手引きには、認定事業者に対する補助金における優先採択が支援措置として示されています。具体的な加点の扱いは補助金ごとに異なり、公募回によって変わります。申請する補助金の公募要領で確認してください。
| 補助金 | 加点の扱い |
|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(通常枠) | 政策加点の一つ。各締切回の基準日までに認定を受けていること。認定書の写しが必要 |
| 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 政策加点の中に経営力向上計画の項目がある |
| 事業承継・M&A補助金 | 複数の枠で加点事由の一つ(経営革新計画の承認、先端設備等導入計画の認定などと並ぶ) |
| そのほか | 回ごとに扱いが変わるため、公募要領で確認する |
加点を狙うときの4つの注意
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 基準日までに認定済み | 基準日より後の認定や、申請中は対象にならない |
| 認定書の写しを提出 | 申請のときに必要なので、手元に保管する |
| 審査に約30日かかる | 補助金の締切から逆算して動く |
| 加点は採択の保証ではない | 事業計画の中身が評価される点は変わらない |
📊 このセクションの要点
持続化補助金や事業承継・M&A補助金で加点の対象になっています。条件と基準日は公募要領で確認し、認定までの日数を見込んで早めに動きます。
経営力向上計画のよくある質問
Q1.経営力向上計画とは何ですか。
A1.自社の経営力を上げる計画を、国が認定する制度です。中小企業等経営強化法に基づく制度で、3枚ほどの様式で申請します。認定を受けると、税制や金融の支援、補助金の優先採択などが受けられます。
Q2.創業前でも申請できますか。
A2.開業のための計画は対象外です。事業を向上させるための計画が対象です。個人事業主は開業届の提出、法人は設立登記が必要です。
Q3.計画はどこに提出しますか。
A3.事業分野を所管する大臣です。提出先は事業分野によって異なります。中小企業庁では受け付けていないため、「事業分野と提出先」の一覧で確認します。電子申請も使えます。
Q4.認定までどのくらいかかりますか。
A4.標準処理期間は約30日です。複数の省庁にまたがる場合は約45日です。経済産業部局のみ宛の電子申請は約14日(休日等を除く)です。不備があると長引きます。
Q5.目標が達成できなかったら認定は取り消されますか。
A5.未達だけでは取り消されません。ただし、計画に従って取組が行われていないと認められる場合は、取り消されることがあります。
Q6.補助金の加点は必ずつきますか。
A6.補助金ごとに異なります。公募要領で確認してください。持続化補助金などで政策加点になっていますが、基準日までの認定が必要です。加点は採択の保証ではありません。
まとめ|経営力向上計画の4つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 1.制度 | 自社の経営力を上げる計画を国が認定する。様式は3枚ほど。開業前の計画は対象外 |
| 2.メリットと負担 | 税制・金融・補助金の優先採択・法的支援と、実行が前提・設備の取得順・融資の別審査 |
| 3.申請 | 事業分野を調べ、指針に沿って計画を書き、所管の大臣へ。認定まで約30日 |
| 4.補助金の加点 | 持続化補助金や事業承継・M&A補助金で加点。基準日までに認定済みであることが必要 |
まずは、中小企業庁のページで、自社の業種の記載例を読んでみてください。税の取扱いは税理士に、加点の条件は公募要領で確認します。
制度の整理のご相談
自社に合う制度の整理から、ご相談いただけます
壱市コンサルティングでは、補助金の加点になる制度について、自社の場合にどの制度が合うのかを整理するご相談を受け付けています。書類の作成や手続きなど、士業の業務にあたる部分は、提携先の士業事務所と連携して対応します。
📋 制度の整理
経営力向上計画の中身と負担を踏まえて、自社が認定を目指すかどうか、ほかの加点制度と比べてどれから検討するかを整理します。
💼 補助金の公募要領の確認
申請を予定している補助金の加点項目と基準日の条件を確認し、いつ動くかの逆算を一緒に考えます。
迷ったら、お気軽にご相談ください
こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください
- ✅ 補助金の加点のために、どの制度から取ればよいかわからない
- ✅ 計画書に何を書けばよいか不安がある
- ✅ 設備投資と認定の順番を整理したい
- ✅ 手続きを任せられる士業事務所を探している
