【賃上げ加点の落とし穴】未達なら減点?返還?補助金ごとの違いと取る前の確認

補助金の賃上げは、加点として扱われる場合と、要件として扱われる場合があります。達成できなかったときの重さが違い、加点なら減点や不交付、要件なら補助金の返還になりえます。

公募要領には、賃上げ加点を受けて採択されたのに達成できなかった場合、報告から一定期間、中小企業庁が所管する補助金への申請で大幅に減点される、という趣旨の記載があります。一方、賃上げが要件の補助金では、未達の場合に補助金の返還を求める規定があります。

本記事では、賃上げ加点の仕組み、加点と要件の違い、減点と補助金の返還の条件、取る前の確認と公募要領の見かたを順番に整理します。解説動画の内容に沿った個別解説です。

賃上げ加点とは|補助金の審査で点が上乗せされる仕組み

補助金の審査には加点という仕組みがあり、賃上げの約束や実績があると点が上乗せされます。配点は公表されていない補助金もあります。

補助金 賃上げ系の加点の形
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 地域別最低賃金引上げに係る加点/事業場内最低賃金引上げに係る加点
中小企業省力化投資補助事業(一般型) 地域別最低賃金引き上げに係る加点/事業場内最低賃金引き上げに係る加点
小規模事業者持続化補助金(通常枠) 賃金引上げ加点(給与支給総額)/地域別最低賃金引上げ加点
事業承継・M&A補助金 賃上げの表明(給与支給総額の上昇)が加点事由
デジタル化・AI導入補助金 賃金引上げ計画による加点
中小企業成長加速化補助金 加点項目はない。賃上げは要件

補足

加点の項目や条件は、補助金ごと、公募の回ごとに変わります。申請する補助金の公募要領で確認してください。

賃上げ加点のメリット

メリット 内容
審査で加点される 点が上乗せされるので、採択の審査で有利に働く
賃金の現状を整理できる 賃金台帳をそろえて増やす幅を計算するため、自社の賃金の状況が見える
加点を選べる補助金もある 持続化補助金では、重点政策加点と政策加点から1つずつ、合計2つまで選べる。賃上げ加点を取らずに、ほかの加点を選ぶ判断もできる

補足

加点は採択の保証ではありません。事業計画の中身が評価される点は変わりません。

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加点と要件の違い|未達の重さが違う

賃上げが加点なのか、要件なのかで、達成できなかったときの扱いはまったく違います。

項目 加点 要件
位置づけ 取ると審査で有利になる項目 補助金を受けるために満たすと約束するもの
達成できなかったとき 減点、補助金が交付されない、など 補助金の返還になりうる
例 持続化補助金の賃金引上げ加点など 成長加速化補助金、新事業進出・ものづくりの基本要件など

補足

同じ補助金でも、賃上げが加点と要件の両方に出てくることがあります。どちらの話かを、公募要領で必ず確認してください。

📊 このセクションの要点

賃上げは、加点か要件かで未達の重さが違います。加点は減点や不交付、要件は補助金の返還になりえます。

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加点の落とし穴|達成できなかったときの減点

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、省力化投資補助事業(一般型)、持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、事業承継・M&A補助金の公募要領には、同じ趣旨の記載があります。

順番 内容
1 加点を受けて採択 賃上げを約束して採択される
2 達成できなかった 事業化状況報告(補助金により効果報告など)で、達成できなかったことが報告される
3 一定期間は大幅に減点 報告から一定期間(公募要領の記載では18か月)、中小企業庁が所管する補助金への申請で、正当な理由が認められない限り大幅に減点される
4 他の補助金の申請にも影響 対象となる補助金は、公募要領の脚注に列挙されている

補足

期間や対象の補助金の範囲は、公募要領の改訂で変わることがあります。必ず最新の公募要領で確認してください。

加点の4つの落とし穴

落とし穴 内容
次の申請で減点 報告から一定期間、中小企業庁所管の補助金への申請で大幅に減点される
例外は限られる 災害などで事業に著しい損失を受けた場合など、やむを得ない場合は、報告のときに理由を説明し、認められた場合に限って減点が免除される
持続化補助金は交付されない 賃金引上げ加点の要件を満たさないと、減点に加えて、交付決定のあとでも補助金が交付されない。実績報告までに従業員がいなくなり、算出できなくなった場合も同じ
報告を出さない 事業承継・M&A補助金は、加点事由を申請して交付決定を受けたのに事業化状況報告が未提出の場合、加点要件は達成できなかったものとみなされる

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要件の落とし穴|賃上げ要件の未達と補助金の返還

賃上げが加点ではなく要件になっている補助金では、達成できなかったときに、補助金の返還を求められることがあります。補助金の返還の条件を、公募要領で確認できた範囲で整理します。

補助金 返還になる未達 返還の範囲 返還しない場合
成長加速化補助金 給与支給総額(または1人当たり給与支給総額)の目標の未達。基準年度が申請時の直近の事業年度を下回った場合 未達成率に応じて返還。基準年度が下回った場合は全額 天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 1人当たり給与支給総額の目標の未達(賃上げ要件)/事業場内最低賃金の要件の未達 給与支給総額は未達成率に応じて一部(成長がゼロやマイナスなら全額)/最低賃金は交付額を事業計画の年数で割った額。上限は交付額 付加価値額が増えず営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合
中小企業省力化投資補助事業(一般型) 1人当たり給与支給総額の目標の未達/事業場内最低賃金の要件の未達/補助上限額の引上げ特例の未達 給与支給総額は達成率に応じて一部(成長がゼロやマイナスなら全額)/最低賃金は補助金額を事業計画の年数で割った額/特例は引上げ分 付加価値額が増えず赤字の場合や天災など。再生事業者は返還要件が免除
事業承継・M&A補助金 補助上限額の引上げに係る賃上げ要件の未達、または計画期間中に水準を維持できなかった場合 補助上限額の引上げ分 天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合
デジタル化・AI導入補助金 賃上げ目標が必須の申請で、事業場内最低賃金や給与支給総額の目標の未達。効果報告の未報告・辞退も未達とみなされる 最低賃金は全部または一部(目標年度で率が変わる)/給与支給総額は全部の返還を求める場合がある。辞退は全額 付加価値額が増えず赤字の場合や天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合
小規模事業者持続化補助金(通常枠) 賃金引上げ特例・賃金引上げ加点の目標の未達 返還ではなく、補助金が交付されない(特例の上乗せ部分だけでなく全体が対象外) ―

補足

表は公募要領で確認できた範囲の整理です。具体の率・年数・金額は回ごとに変わるので、ここでは書いていません。返還の詳しい条件は、交付規程と公募要領で確認してください。

返還が重くなる場面

場面 内容
賃上げを表明していない 新事業進出・ものづくりや成長加速化では、目標を従業員等に表明していなかった場合、交付決定の取消と補助金の全額返還が書かれている
成長がゼロかマイナス 新事業進出・ものづくりと省力化では、給与支給総額の年平均成長率がゼロやマイナスの場合、全額返還
最低賃金の要件の未達 毎年の判定で未達なら、交付額を事業計画の年数で割った額の返還(新事業進出・ものづくり、省力化)
報告しない・辞退する デジタル化・AI導入補助金では、効果報告をしない場合や辞退した場合、賃上げ目標の要件の未達とみなされ、全額返還になる場合がある

新事業進出・ものづくり、省力化、事業承継・M&Aの賃上げ加点そのものが返還になるとは、公募要領に書かれていません。ただし、同じ補助金で賃上げが要件になっていれば、未達は補助金の返還になりえます。

📊 このセクションの要点

賃上げが要件の補助金では、達成できなかったときに補助金の返還になりえます。返還を求められない場合も書かれていますが、条件は補助金ごとに違います。

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取る前の確認と、公募要領の見かた

取る前の4つの確認

確認すること 内容
加点か、要件か 未達の重さが違う。返還になりうるかを確認する
達成できる水準か 賃金台帳で試算する
表明と報告 従業員への表明が必要か、報告の時期と出す書類を先に確認する。デジタル化・AI導入補助金では、表明したと申告したのに実際は表明していなかったことが分かると、交付決定が取り消される
返還の条件 交付規程と公募要領で確認する

達成に自信がなければ、無理に取らず、ほかの加点を選ぶのも一つの判断です。

公募要領で見る4か所

見る場所 わかること
加点の項目 条件と提出書類
減点の項目 達成できなかったときの扱い
賃上げの要件と返還の規定 返還になる条件。交付規程もあわせて確認
報告の章 いつ、何を出すのか

ページ番号は版によって変わるので、見出しの名前で探すのが確実です。

賃上げ加点と補助金の返還のよくある質問

Q1.賃上げ加点を取ると、必ず採択されますか。

A1.いいえ。加点は採択の保証ではありません。加点は審査で点が上乗せされる仕組みで、事業計画の中身が評価される点は変わりません。

Q2.賃上げ加点を達成できなかったら、補助金の返還になりますか。

A2.公募要領で確認できた範囲では、加点の未達は、返還ではなく減点などの扱いです。新事業進出・ものづくり、省力化、事業承継・M&Aの賃上げ加点そのものが返還になるとは、書かれていません。ただし、同じ補助金で賃上げが要件になっていれば、未達は補助金の返還になりえます。持続化補助金は、返還ではなく補助金が交付されません。

Q3.賃上げ要件を達成できなかったら、補助金はどうなりますか。

A3.補助金の返還を求められることがあります。返還の範囲は、全額・一部・引上げ分など補助金ごとに違います。成長がゼロやマイナスの場合や、表明していなかった場合に、全額返還になる補助金もあります。

Q4.補助金の返還を求められない場合はありますか。

A4.付加価値額が増えず赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合が、書かれています。条件は補助金ごとに違います。免除されると決めつけず、公募要領と交付規程で確認してください。

Q5.減点の期間は何か月ですか。

A5.公募要領の記載では18か月です。ただし、期間や対象は公募要領の改訂で変わることがあります。申請する補助金の最新の公募要領で確認してください。

まとめ|賃上げ加点と補助金返還の4つのポイント

ポイント 内容
1.仕組み 賃上げの約束や実績で、審査の点が上乗せされる。補助金ごとに形が違う
2.加点と要件の違い 賃上げは、加点か要件かで未達の重さが違う。加点は減点や不交付、要件は補助金の返還になりえる
3.返還 返還になりうるものは、申請の前に交付規程と公募要領で必ず確認する
4.取る前の確認 加点か要件かを確認し、賃金台帳で試算し、表明と報告の時期・書類を確認する

賃上げは、加点か、要件かで、未達の重さが違います。返還になりうるものは、申請の前に、交付規程と公募要領で必ず確認してください。

制度の整理のご相談

自社に合う加点の整理から、ご相談いただけます

壱市コンサルティングでは、補助金の加点や要件になる賃上げについて、自社の場合にどの制度が合うのかを整理する事前相談を受け付けています。書類の作成や手続きなど、士業の業務にあたる部分は、提携先の士業事務所と連携して対応します。

📋 制度の整理

賃上げが加点か要件か、未達のときの減点や補助金の返還を踏まえて、自社が何を約束するかを整理します。

💼 補助金の公募要領の確認

申請を予定している補助金の加点項目・減点項目・返還の規定、報告の時期を確認し、いつ何を準備するかの逆算を一緒に考えます。

迷ったら、お気軽にご相談ください

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

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