【総括】新事業進出補助金 第1回〜第4回の採択結果まとめ|累計2,881件・採択率35.7%から見えた採択の条件

【総括】新事業進出補助金 第1回〜第4回の採択結果まとめ|累計2,881件・採択率35.7%から見えた採択の条件

【総括】新事業進出補助金 第1回〜第4回の採択結果まとめ|累計2,881件・採択率35.7%から見えた採択の条件

令和7年(2025年)4月に公募が始まった新事業進出補助金は、令和8年(2026年)9月30日の第4回採択発表をもって、すべての公募の審査を終えました。4回の公募で応募は延べ8,067件、採択は2,881件、通算の採択率は35.7%です。今後の新市場進出への支援は、ものづくり補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ引き継がれます。

4回分の公表データを並べると、回ごとの一時的な傾向ではなく、制度を通じて一貫していた採択の条件が浮かび上がります。製造業の採択率は4回すべてで最も高く、申請額が大きい計画ほど採択率が高い傾向も毎回変わりませんでした。一方で、採択率そのものは一度も上がることなく低下を続けています。

本記事では、事務局が公表した第1回〜第4回の採択結果と採択案件一覧2,881件を壱市コンサルティングで集計し、業種・投資規模・地域・事業テーマの4つの切り口から制度全体を総括します。そのうえで、後継制度に申請する事業者が引き継ぐべき教訓を整理します。

Contents
  1. 新事業進出補助金の4回の歩み
  2. 業種別総括|製造業は4回すべてで採択率トップ
  3. 申請額別総括|投資規模が大きいほど採択率が高い傾向は毎回同じ
  4. 地域別総括|大都市の採択率は全国平均を下回る傾向
  5. 事業テーマの変遷|インバウンドが減り、AI・宿泊体験・ペットが増えた
  6. 4回の採択データから見えた「採択される計画」の条件
  7. 次の受け皿「新事業進出・ものづくり補助金」と不採択事業者の再申請
  8. この記事のまとめ
  9. よくある質問(Q&A)
  10. 後継制度への申請をご検討の方へ

新事業進出補助金の4回の歩み

新事業進出補助金は、新規の公募を終えた事業再構築補助金の後を受け、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する制度として創設されました。中小企業基盤整備機構が事務局を担い、約1年半の間に4回の公募が行われています。

公募回 公募期間 採択発表 応募件数 採択件数 採択率
第1回 令和7年(2025年)4月22日〜7月15日(延長後) 令和7年(2025年)10月1日 3,006件 1,118件 37.2%
第2回 令和7年(2025年)9月12日〜12月19日 令和8年(2026年)3月31日 2,350件 832件 35.4%
第3回 令和7年(2025年)12月23日〜令和8年(2026年)3月26日 令和8年(2026年)7月1日 1,212件 423件 34.9%
第4回 令和8年(2026年)3月27日〜6月19日 令和8年(2026年)9月30日 1,499件 508件 33.9%
合計 ― ― 8,067件 2,881件 35.7%

応募件数は初回の半分以下に

応募件数は第1回の3,006件が最多で、第2回2,350件、第3回1,212件と減少し、最後の第4回で1,499件にやや持ち直しました。第1回には事業再構築補助金の後継制度を待っていた事業者の申請が集中し、回を重ねるごとに準備の整った事業者から申請を終えていった流れと整理されます。

採択率は一度も上がらなかった

注目すべきは、応募件数が減っても採択率が一度も上昇しなかった点です。37.2%から33.9%まで、4回連続で低下しています。応募が少ない回は通りやすいという期待は、本制度では当てはまりませんでした。採択件数は応募の規模に合わせて調整され、一定の水準に達した計画だけが採択される運用であったと認識する必要があります。

関税加点の対象は採択の約半数

公募回 採択件数 うち関税加点対象 採択に占める割合
第1回 1,118件 590件 52.8%
第2回 832件 446件 53.6%
第3回 423件 176件 41.6%
第4回 508件 224件 44.1%
合計 2,881件 1,436件 49.8%

米国の関税措置の影響を受ける事業者を対象とした加点は、4回累計で採択の49.8%、ほぼ半数に及びました。ただし第3回以降は4割台に下がっており、加点がなくても採択されている事業者が過半数となっています。加点は有利な要素ですが、採択を決めるのは計画書本体の質であることに変わりはありません。

📊 このセクションの要点

4回の公募で応募8,067件・採択2,881件、通算採択率は35.7%でした。応募件数は初回の半分以下に減りましたが、採択率は37.2%から33.9%へ一貫して低下し、審査の水準は最後まで緩みませんでした。

お問い合わせはこちら

業種別総括|製造業は4回すべてで採択率トップ

事務局が各回で公表した業種別(既存事業の大分類)の応募件数・採択件数から、業種ごとの採択率を4回分並べました。

業種(大分類) 第1回 第2回 第3回 第4回 4回累計(採択/応募)
製造業 51.9% 48.3% 44.6% 50.0% 49.5%(771/1,558件)
建設業 36.5% 38.8% 38.9% 33.6% 37.0%(458/1,237件)
卸売業、小売業 36.2% 34.9% 33.2% 28.3% 33.9%(400/1,180件)
サービス業(他に分類されないもの) 35.5% 29.3% 30.3% 34.1% 32.6%(162/497件)
学術研究、専門・技術サービス業 34.2% 31.2% 33.7% 29.6% 32.3%(189/586件)
情報通信業 31.6% 29.9% 27.4% 28.2% 29.8%(173/581件)
生活関連サービス業、娯楽業 32.6% 20.2% 30.9% 33.8% 28.7%(114/397件)
宿泊業、飲食サービス業 24.4% 28.6% 28.9% 23.8% 26.1%(211/808件)
不動産業、物品賃貸業 25.6% 28.2% 27.2% 22.0% 26.1%(125/479件)

補足

医療、福祉は第1回で「その他」に含めて公表されたため表から除いています。第2回〜第4回の累計では52件/135件で採択率38.5%と、製造業に次ぐ水準でした。

製造業は「2社に1社」が4回続いた

製造業の採択率は第1回51.9%、第2回48.3%、第3回44.6%、第4回50.0%と、4回すべてで全業種の中で最も高い水準でした。4回累計では応募1,558件に対して771件が採択され、採択率は49.5%です。採択件数でも全体2,881件の26.8%を占め、本制度の中心は最初から最後まで製造業でした。

製造業の採択率が高い理由は、業種そのものが優遇されたことではありません。金型・精密加工・成形などの既存技術を、医療機器・半導体・航空宇宙・食品といった新しい市場へ展開する計画は、「なぜ自社がこの市場で勝てるのか」を技術的な根拠で説明しやすいという構造的な強みを持っています。新事業進出補助金の審査は、まさにこの点を問う制度であったと整理されます。

宿泊・飲食と不動産は4回とも3割に届かず

反対に、宿泊業・飲食サービス業と不動産業・物品賃貸業は、4回すべてで採択率が3割に届かず、累計でともに26.1%と最も低い水準でした。両業種は民泊・一棟貸し・カフェ・サウナといった参入しやすい事業を計画する事業者が多く、類似の計画の中で独自性を示しにくいという課題を抱え続けました。

📊 このセクションの要点

製造業は4回すべてで採択率トップ、累計49.5%と「2社に1社」が続きました。宿泊・飲食と不動産は累計26.1%で、参入しやすい事業ほど独自性の説明が難しいという構造が最後まで変わりませんでした。

申請額別総括|投資規模が大きいほど採択率が高い傾向は毎回同じ

補助金申請額を3つの区分にまとめ、各回の採択率を算出しました。

補助金申請額 第1回 第2回 第3回 第4回 4回累計(採択/応募)
1,500万円未満 29.4% 27.2% 30.4% 26.7% 28.4%(693/2,436件)
1,500万円以上3,000万円未満 37.9% 36.6% 36.3% 35.4% 36.8%(1,374/3,731件)
3,000万円以上 47.0% 41.7% 38.2% 41.4% 42.8%(814/1,900件)

4回すべてで、申請額が大きい区分ほど採択率が高いという順序は一度も入れ替わりませんでした。累計では1,500万円未満が28.4%、3,000万円以上が42.8%で、14ポイント以上の差があります。

補足

この結果は、申請額を増やせば採択されやすくなることを意味しません。大型の投資を計画する事業者ほど、設備仕様・見積・市場調査・資金調達の裏付けを入念に準備している傾向があり、その準備の厚みが採択率の差として表れていると読むのが妥当です。

📊 このセクションの要点

申請額3,000万円以上の累計採択率は42.8%で、1,500万円未満(28.4%)を大きく上回りました。この傾向は4回すべてで共通しており、計画の準備の厚みが採択を左右したと整理されます。

お問い合わせはこちら

地域別総括|大都市の採択率は全国平均を下回る傾向

都道府県 応募件数(4回累計) 採択件数(4回累計) 採択率
東京都 1,531件 484件 31.6%
大阪府 807件 275件 34.1%
愛知県 548件 217件 39.6%
兵庫県 347件 122件 35.2%
福岡県 301件 103件 34.2%
神奈川県 293件 94件 32.1%
静岡県 272件 101件 37.1%
京都府 263件 92件 35.0%
北海道 239件 84件 35.1%

応募・採択ともに最も多かったのは東京都で、4回累計で1,531件の応募、484件の採択でした。ただし採択率は31.6%と全国平均の35.7%を下回っています。一方、製造業の集積が厚い愛知県(39.6%)と静岡県(37.1%)は全国平均を上回りました。都道府県ごとの採択枠があるわけではなく、地域の業種構成が採択率の差として表れていると整理されます。

📊 このセクションの要点

東京都は採択件数が最多ながら採択率は31.6%にとどまり、愛知県・静岡県は全国平均を上回りました。地域差の背景には、製造業の比率という業種構成の違いがあります。

事業テーマの変遷|インバウンドが減り、AI・宿泊体験・ペットが増えた

採択案件一覧の事業計画名に含まれるキーワードを、回ごとに集計しました。数値は各回の採択件数に占める割合です。

キーワード 第1回 第2回 第3回 第4回 4回累計
AI 6.4% 6.2% 9.7% 8.3% 206件
体験 5.5% 9.1% 8.3% 7.7% 212件
宿泊 3.8% 5.9% 6.4% 7.3% 155件
ペット 1.3% 1.7% 2.6% 2.4% 52件
医療 1.3% 1.0% 2.8% 2.6% 47件
半導体 2.5% 1.8% 1.4% 1.8% 58件
インバウンド 1.9% 1.2% 1.2% 0.8% 40件
EV 1.3% 1.0% 0.5% 0.6% 28件
カフェ/サウナ 0件/0件 24件/13件 9件/6件 8件/5件 41件/24件

AIは「使うこと」より「何に使うか」

AIを含む計画は4回累計で206件にのぼり、第3回以降は採択の8〜10%を占めるまでに増えました。採択された計画の多くは、AIそのものを売りにするのではなく、既存事業で蓄積した熟練ノウハウや業界データとAIを組み合わせ、特定の業界課題を解決する構成になっています。

「インバウンド」の看板だけでは通らなくなった

「インバウンド」を含む計画は第1回の1.9%から第4回は0.8%へと減少しました。一方で「宿泊」は3.8%から7.3%へ、「体験」も5〜9%台で推移しています。観光需要を狙う計画そのものが減ったのではなく、訪日客という市場の大きさを訴えるだけの計画から、地域資源・特定の顧客層・体験価値を具体的に設計した計画へと、採択される計画の書き方が変わったと整理されます。

また、第1回では採択がなかった「カフェ」「サウナ」を含む計画が第2回以降に登場しています。参入しやすい事業であっても、既存事業との接続や地域性で独自性を示せば採択の対象になり得ることを示しています。

📊 このセクションの要点

AIを含む計画は累計206件まで増え、観光系は「インバウンド」の一般論から地域資源・体験・特定顧客層を組み合わせた計画へと変化しました。テーマの流行よりも、自社ならではの組み合わせが評価されています。

お問い合わせはこちら

4回の採択データから見えた「採択される計画」の条件

業種・投資規模・地域・テーマの4つの切り口に共通する結論を、後継制度に申請する事業者が引き継ぐべき条件として整理します。

条件 4回のデータが示したこと 計画書で示すべきこと
既存の強みとの接続 既存技術を新市場に転用する製造業が4回すべてで採択率トップ 既存事業の技術・顧客・ノウハウを新市場で使う理由
独自性の立証 参入しやすい宿泊・飲食・不動産は累計26.1%にとどまった 類似の計画と比べて他社がまねできない理由
準備の厚み 申請額3,000万円以上の採択率は42.8%と毎回最も高い 設備仕様・見積・市場調査・資金調達の裏付け
市場の具体性 「インバウンド」などの一般論の計画は減少した 対象顧客・市場規模・競合を数値と固有名詞で示すこと
審査水準の継続 応募が減っても採択率は37.2%から33.9%へ低下し続けた 「応募が少ないから通る」という前提を置かないこと

新事業進出補助金の4回は、「自社がその新市場に進出する必然性」を説明できた計画だけが採択された制度であったと総括されます。この評価軸は、統合後の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「新事業進出枠」にも引き継がれると見込まれます。

📊 このセクションの要点

採択の条件は「既存の強みとの接続」「独自性の立証」「準備の厚み」「市場の具体性」「審査水準を前提にした計画づくり」の5つに集約されます。後継制度でもこの軸で計画を組み立てることが重要です。

次の受け皿「新事業進出・ものづくり補助金」と不採択事業者の再申請

4回の総括を踏まえ、これから申請する事業者が向き合うのが後継制度です。新事業進出補助金の公式サイトには「公募は終了しました」と掲載されており、本制度での新たな申請機会はありません。今後、新市場への進出を支援するのは、ものづくり補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(新事業進出・ものづくり補助金)の「新事業進出枠」です。

第1回公募のスケジュールと申請枠

項目 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募)
公募期間 令和8年(2026年)6月29日〜10月30日 18:00(当初の9月30日から延長)
申請受付 令和8年(2026年)9月30日から
採択結果発表 令和9年(2027年)1月(予定)
申請枠 革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠

新事業進出枠の補助上限・補助率

従業員数 補助上限額 賃上げ特例適用時
1〜20人 2,500万円 3,000万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円
51〜100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

補助率は2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)、補助下限額は750万円、補助事業の実施期間は交付決定日から14か月以内です。対象となるのは、自社にとって新規性のある製品・サービスで、かつ既存事業では対象にしていなかった顧客層の市場に進出する事業です。既存製品の増産、単なる商圏の拡大、メニューの追加といった計画は対象になりません。

新事業進出枠の主な基本要件

要件 内容
付加価値額 事業計画期間(3〜5年)で、付加価値額の年平均成長率4.0%以上
賃上げ 1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上(目標未達の場合は補助金の返還あり)
事業場内最低賃金 毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準
一般事業主行動計画 次世代法に基づく行動計画を策定し「両立支援のひろば」に公表(掲載まで1〜2週間程度)

新事業進出補助金で不採択だった事業者は再申請できる

公募要領では、本補助金で不採択となった事業者は「事業計画の見直しを行った上で、再度申請することができます」とされています。新事業進出補助金の第1回〜第4回で不採択となった事業者も、対象外となる事業者の規定に該当しなければ、新事業進出・ものづくり補助金に申請できます。一方で、次のケースは対象外です。

申請者の状況 新事業進出・ものづくり補助金への申請
新事業進出補助金で**不採択**だった 申請できる(事業計画を見直したうえで)
申請締切日から16か月以内に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金・新事業進出・ものづくり補助金で採択された(採択辞退を除く) 対象外(第4回の採択事業者はこれに該当)
申請締切日時点で、上記の補助金の交付決定を受けて補助事業を実施中 対象外
過去3年間に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた 対象外

注意

不採択となった計画書をそのまま提出しても、結果は変わりにくいと認識する必要があります。新事業進出枠の「新規性×新市場」の考え方と審査項目に沿って、既存の強みとの接続・市場と顧客の具体性・投資と収益の整合の3点から計画を組み直すことが重要です。また、一般事業主行動計画の公表は掲載まで時間がかかるため、締切から逆算して最優先で着手することが賢明です。

新事業進出・ものづくり補助金 公式サイト

📊 このセクションの要点

後継の新事業進出・ものづくり補助金(第1回締切:令和8年(2026年)10月30日18:00)の新事業進出枠は、従業員数に応じて補助上限2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)、補助率2分の1です。新事業進出補助金で不採択だった事業者は再申請できますが、第4回の採択事業者は対象外です。

お問い合わせはこちら

この記事のまとめ

ポイント 内容
4回累計の実績 応募8,067件・採択2,881件・通算採択率35.7%。採択率は37.2%から33.9%へ一貫して低下
製造業が最後まで中心 製造業の採択率は4回すべてでトップ。累計49.5%で採択全体の26.8%を占めた
投資規模と採択率 申請額3,000万円以上の累計採択率は42.8%、1,500万円未満は28.4%。順序は4回とも不変
テーマの変化 AIは累計206件に増加。インバウンドの一般論は減り、地域資源・体験・特定顧客層を組み合わせた計画が増えた
後継制度への引き継ぎ 新事業進出・ものづくり補助金の第1回締切は令和8年(2026年)10月30日18:00。不採択だった事業者は再申請できる

よくある質問(Q&A)

Q1.新事業進出補助金は全部で何回公募されましたか。

A1.第1回から第4回までの4回です。新事業進出補助金は、令和7年(2025年)4月22日に第1回の公募が始まり、令和8年(2026年)6月19日に締め切られた第4回が最後の公募となりました。第4回の採択結果は同年9月30日に公表され、公式サイトには「公募は終了しました」と掲載されています。4回の合計で応募は8,067件、採択は2,881件でした。今後、新市場への進出を支援する補助金は、ものづくり補助金と統合された新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に引き継がれています。

Q2.4回を通じた採択率はどのくらいでしたか。

A2.通算の採択率は35.7%です。4回の合計で、応募8,067件に対して2,881件が採択され、通算の採択率は35.7%でした。回ごとに見ると、第1回37.2%、第2回35.4%、第3回34.9%、第4回33.9%と、一度も上昇することなく低下を続けています。応募件数は第1回の3,006件から第3回の1,212件まで減りましたが、それでも採択率は上がりませんでした。応募が少ない回ほど通りやすいという考え方は、本制度には当てはまらなかったと認識する必要があります。

Q3.どの業種が最も採択されやすかったのですか。

A3.製造業で、4回累計の採択率は49.5%です。製造業の採択率は第1回51.9%、第2回48.3%、第3回44.6%、第4回50.0%で、4回すべてで全業種の中で最も高い水準でした。累計では応募1,558件のうち771件が採択されています。次いで建設業が37.0%、卸売業・小売業が33.9%でした。製造業の採択案件には、既存の加工技術を医療機器・半導体・航空宇宙などの新市場へ展開する計画が多く、自社が新市場で勝てる理由を技術的な根拠で示しやすいことが、高い採択率の背景にあると整理されます。

Q4.採択されにくかった業種はどこですか。

A4.宿泊業・飲食サービス業と不動産業・物品賃貸業で、ともに累計26.1%です。両業種とも4回すべてで採択率が3割に届かず、累計ではともに26.1%と主要業種の中で最も低い水準でした。民泊、一棟貸し、カフェ、サウナなど、参入しやすい事業を計画する事業者が多く、類似の計画との差別化や、市場の需要を具体的に示すことが難しくなりやすいという課題があります。ただし採択案件には、地域の文化資源や特定の顧客層を組み合わせた宿泊・体験型の計画も多く含まれており、独自性を明確に示せれば十分に採択の対象となります。

Q5.申請額が大きい計画ほど採択されやすかったのですか。

A5.4回すべてで、申請額が大きい区分ほど採択率が高い結果でした。補助金申請額を3つに区分すると、4回累計の採択率は1,500万円未満が28.4%、1,500万円以上3,000万円未満が36.8%、3,000万円以上が42.8%でした。この順序は4回とも一度も入れ替わっていません。ただし、申請額を増やせば有利になるという意味ではありません。大型の投資を計画する事業者ほど、設備の仕様や見積、市場調査、資金調達の見通しを入念に準備している傾向があり、その準備の厚みが結果に表れていると読むのが妥当です。

Q6.関税加点はどの程度採択に影響しましたか。

A6.4回累計で採択の49.8%が関税加点の対象でした。関税加点の対象となった採択は、第1回590件、第2回446件、第3回176件、第4回224件で、累計1,436件、採択全体の49.8%に及びます。第1回・第2回は5割を超えていましたが、第3回・第4回は4割台に下がりました。加点は採択に有利に働く要素ですが、採択の約半数は加点の対象外の事業者であり、加点だけで採択が決まるわけではありません。要件を満たす場合は確実に申請しつつ、計画書本体の質を高めることが前提となります。

Q7.東京都や大阪府の事業者は不利だったのですか。

A7.東京都の累計採択率は31.6%で、全国平均をやや下回りました。4回累計の採択率は、東京都が31.6%、大阪府が34.1%で、いずれも全国平均の35.7%を下回りました。一方、愛知県は39.6%、静岡県は37.1%と全国平均を上回っています。都道府県ごとに採択枠が決められているわけではなく、製造業の比率など地域の業種構成の違いが採択率の差として表れていると整理されます。所在地による有利不利を気にするよりも、計画書の中身を磨き込むことが採択への近道です。

Q8.新事業進出補助金と後継制度の違いは何ですか。

A8.後継制度はものづくり補助金と統合され、3つの申請枠に再編されています。後継の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つの申請枠で構成されています。新市場への進出を目指す計画の受け皿となる新事業進出枠は、従業員数に応じて補助上限が2,500万円(1〜20人)から7,000万円(101人以上)まで設定され、賃上げ特例を適用すると最大9,000万円となります。補助率は2分の1、補助下限額は750万円です。基本要件として、付加価値額の年平均成長率4.0%以上、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすること、一般事業主行動計画の公表などが求められます。

Q9.新事業進出補助金で不採択だった事業者は後継制度に再申請できますか。

A9.再申請できます。ただし第4回の採択事業者などは対象外です。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領では、本補助金で不採択となった事業者は、事業計画の見直しを行ったうえで再度申請できるとされています。新事業進出補助金の第1回〜第4回で不採択となった事業者も、対象外となる事業者の規定に該当しなければ申請できます。一方で、申請締切日から16か月以内に新事業進出補助金などで採択された事業者は対象外であり、第4回の採択事業者はこれに該当します。過去3年間に事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者も対象外です。4回の採択データが示した5つの条件に沿って計画を組み直すことが、再挑戦の成功確率を高めます。

Q10.4回の結果から、後継制度で最も意識すべきことは何ですか。

A10.自社がその新市場に進出する必然性を、根拠をもって示すことです。4回の採択データを業種・投資規模・地域・テーマの各面から見ると、採択された計画に共通していたのは、既存事業で培った技術・顧客・ノウハウと新市場との結び付きが明確であることでした。製造業の採択率が一貫して高かったのも、申請額の大きい計画の採択率が高かったのも、この必然性と準備の厚みを示しやすいことの表れです。後継制度でも、制度の名称や枠組みが変わっても評価の軸は大きく変わらないと見込まれます。早い段階で専門家とともに計画を固めることが賢明です。

後継制度への申請をご検討の方へ

4回・2,881件の採択データを、あなたの計画書に活かします

壱市コンサルティングは、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、新事業進出補助金の申請支援を通じて蓄積した知見をもとに、後継制度である新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請を支援しています。申請枠の選定から事業計画の策定、採択後の手続きまで一貫して伴走します。

📋 申請枠の選定と事業計画書の策定

自社の計画が3つの申請枠のどれに合うかを見極め、既存事業の強みと新市場を結び付けるストーリーで計画書を作り上げます。

📊 不採択計画の診断と再構成

新事業進出補助金で不採択となった計画書を、4回の採択データと審査の観点から分析し、後継制度向けに組み直します。

🔄 採択後の伴走支援

交付申請・実績報告・事業化状況報告まで、採択後に続く手続きを伴走して支援します。

後継制度の第1回締切は令和8年(2026年)10月30日です。計画の完成度は、準備にかけた時間で決まります。

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください

  • ✅ 新事業進出補助金で不採択となり、後継制度で再挑戦したい
  • ✅ 自社の計画がどの申請枠に当てはまるのか判断できない
  • ✅ 既存事業の強みを新市場への進出にどう結び付ければよいかわからない
  • ✅ 採択後の交付申請や実績報告まで任せられる支援先を探している

お問い合わせはこちら

友だち追加 お問い合わせ