【2026年10月】事業計画書の作り方|融資・経営革新・補助金に共通する骨格と数値計画を解説

【2026年10月】事業計画書の作り方|融資・経営革新・補助金に共通する骨格と数値計画を解説

融資を申し込むとき、経営革新計画を出すとき、補助金に応募するとき。事業計画書は、経営者が何度も書くことになる書類です。様式はそれぞれ違うため、毎回ゼロから書き直している経営者も少なくありません。

ところが、日本政策金融公庫の事業計画書、中小企業庁の経営革新計画の手引き、経営力向上計画の手引きを並べて見ると、どれも現状・課題・施策・数字・資金・体制という同じ流れを聞いています。この流れを一度つかんでおけば、どの場面でも応用できます。

本記事では、2026年10月時点の公式資料をもとに、事業計画書に共通する骨格、現状分析と課題の出し方、数値計画の基本、金融機関や審査で見られる点、よくある失敗、公式ツールの入手先までを整理します。なお「骨格」という整理と「よくある失敗」は壱市コンサルティングの整理であり、公式のリストではありません。

この記事の内容は、会社チャンネルの解説動画(約11分)でも解説しています。

様式は違っても聞かれる骨格は同じ

事業計画書は、提出先によって様式が異なります。しかし、公式の様式や手引きの構成を突き合わせると、聞いている中身は次の6つの流れに整理できます。この6つの流れという整理は、壱市コンサルティングの整理であり、公式の用語ではありません。

流れ 聞かれること
1 現状分析 今、どんな会社か
2 課題 何が足りないのか
3 施策 どう解決するのか
4 数値計画 数字でどうなるのか
5 資金計画 お金はいくら必要で、どう賄うのか
6 実施体制 誰が、いつまでにやるのか

日本政策金融公庫の事業計画書の構成

例として、日本政策金融公庫の「事業計画書(中小企業経営力強化関連用)」を見ます。事業者が記載する部分は、次の4つで構成されています。

項目 内容
1 現況と課題 経営上の課題項目と、それを踏まえた具体策
2 業績推移と今後の計画 前期実績・今期見込・計画1期目から3期目・最終目標を数期分の数字で記載
3 借入金・社債の期末残高推移 既存の借入と新規の借入を並べる
4 計画終了時の定量目標と行動計画 計画が終わる時点の数値目標と、達成に向けた行動

文章だけでなく、数字と行動計画まで書かせる作りになっている点が特徴です。創業の場合は、同じく公庫の創業計画書(創業の動機、経営者の略歴、必要な資金と調達方法、事業の見通しなど)を使います。

📊 このセクションの要点

融資・経営革新・補助金の事業計画書は、様式が違っても現状・課題・施策・数字・資金・体制という流れを聞いています。この流れを一度つかめば、どの場面でも応用できます。ただし、骨格という整理は当社のものです。

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現状分析と課題の出し方

ローカルベンチマーク(ロカベン)で自社を見る

現状を把握するツールとして、経済産業省のローカルベンチマーク(通称ロカベン)があります。企業の健康診断を行うツールとされ、経営者と金融機関・支援機関が対話しながら、現状と課題を相互に理解するためのものです。公式ページには、事業計画策定や補助金申請などの場面で活用できると記載されています。無料で使えます。

構成 内容
6つの指標 財務面。自社の数字を見る
商流・業務フロー 取引先との流れを書き出す
4つの視点 非財務面。数字に出ない部分を見る

注意

6つの指標の具体的な名称と算式は、本記事では取り上げていません。必ず経済産業省の公式ガイドブックでご確認ください。なお、経営力向上計画の手引きには、ロカベンの労働生産性とは計算式が異なると明記されています。

課題は4つの分類で探す

公庫の事業計画書の様式には、課題を考えるヒントとして、次の分類が載っています。

分類 例(公庫の様式より)
売上・収益 営業力の強化、販路拡大、商品開発力など
財務 資金繰り計画の策定、売掛金の回収期間の長期化、在庫の削減など
人材・マネジメント 人材・組織まわりの課題
経営全般 経営戦略の策定、事業承継、IT化の遅れなど

POINT

課題を出したら、それを踏まえた具体策を書く。公庫の様式は「課題項目を踏まえた具体策」を書かせる作りです。課題と施策がつながっているかを、必ず見直してください。

📊 このセクションの要点

現状はロカベンのような公式ツールで数字と視点の両面から見ます。課題は分類をヒントに洗い出し、必ず具体策とひもづけます。

数値計画の基本

損益計画の形

公庫の様式では、前期実績・今期見込・計画1期目から3期目・最終目標を並べ、売上高から順に利益を計算する形で記載します。

項目 ポイント
売上高 根拠のある数字で
売上原価・売上総利益 粗利を確認する
販管費(うち人件費) 人件費は別に見る
営業利益・経常利益 経常利益は営業外損益を含む
減価償却費 別に書いておく

付加価値額の定義

POINT

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費。中小企業庁の経営革新計画・経営力向上計画で使われる定義です。補助金の要件でも繰り返し登場する言葉なので、押さえておくと迷いません。

損益計画の段階で人件費と減価償却費を別に書いておくのは、この付加価値額の計算に使うためでもあります。

損益計画と資金繰りは別物

損益計画で利益が出ていても、売掛金の回収が遅れたり、在庫を抱えたりすると、手元の現金が足りなくなることがあります。公庫のページには、月別収支計画書や資金繰り表の記入例が用意されています。損益の計画ができたら、必ず資金繰りでも確かめてください。

売上は根拠を持って積み上げる

公庫の創業計画書には、売上高・売上原価・経費を計算した根拠を書く欄があります。飲食や小売などの様式には、客単価や営業日数の欄もあります。そのため、客数・客単価・営業日数のかけ算で売上を積み上げると説明しやすくなります。

補足

客数×客単価×営業日数で積み上げる方法は、様式の作りからの壱市コンサルティングのおすすめです。公式がこの方法を指定しているわけではありません。

📊 このセクションの要点

数値計画は、損益計画を数期分並べ、付加価値額の定義を押さえ、資金繰りでも確かめ、売上には根拠を付けるのが基本です。

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金融機関が見る点(様式の作りから)

融資の事業計画書で何を見られるかは、公庫の様式の作りから読み取れます。次の表は、様式の欄から読み取れることを整理したものです。

様式の欄 読み取れること
計算根拠の欄 数字の裏づけが問われる
必要資金と調達方法 自己資金とのバランス
借入金の残高推移 返済の負担
取引先の回収・支払の条件 資金繰りの見通し
経営者の略歴(担当業務・役職・身につけた技能まで) 経験と実行力

注意

返済の元になるお金をどう見るかは、金融機関や制度によって異なります。本記事では公式の定義を確認できていないため、断定しません。公式の様式・手引でご確認ください。

📊 このセクションの要点

金融機関は、数字の根拠、必要資金と調達のバランス、借入残高の推移、回収・支払の条件、経営者の経験を、様式の構造から確認していると読み取れます。

経営革新・経営力向上・補助金で見られる点

経営革新計画の数値目標

経営革新計画は、新事業活動により経営の相当程度の向上を図る計画です。指標は、付加価値額(または1人当たり付加価値額)の伸び率と給与支給総額の伸び率の2つで、事業期間3年から5年に対して、付加価値額は年平均3%以上、給与支給総額は年平均1.5%以上とされています(中小企業庁「経営革新計画 進め方ガイドブック」2022年2月発行)。

計画期間 付加価値額 給与支給総額
3年 9%以上 4.5%以上
4年 12%以上 6%以上
5年 15%以上 7.5%以上

給与支給総額は、役員報酬・給料・賃金・賞与・各種手当を指します。承認を受けても、補助金が自動的に出るわけではありません。承認のメリットとしては、政府系金融機関の特別貸付や信用保証の特例などが案内されています。

注意

インターネット上には、古い基準を載せた記事も残っています。ガイドブックの発行は2022年2月であり、2026年10月時点で数値が改定されていないかは、公式ページ本文で再確認できていません。申請時は最新の手引きと都道府県の窓口でご確認ください。

経営力向上計画

項目 内容
期間 3年・4年・5年のいずれか
指標 労働生産性を伸ばす計画
計算 付加価値額 ÷ 労働投入量
効果 税制措置や金融支援
注意 開業のための計画は対象外

目標の伸び率の数字は、本記事では取り上げていません。必ず中小企業庁の最新の「経営力向上計画策定の手引き」でご確認ください。

補助金で見られる点の例

補助金は制度ごとに審査項目が異なります。補助金全体に共通する審査要素を公式に一括してまとめた資料は、確認できていません。次の表は、公募要領に基づく例です。

制度の例 見られる点
小規模事業者持続化補助金 第20回 自社の経営状況の分析、経営方針・目標とプラン、補助事業計画の有効性、積算の透明性・適切性
同(賃金引上げ加点) 1人あたりの給与支給総額を年平均2.0%以上増加させる賃上げ
事業承継・M&A補助金 事業承継促進枠 取組の目的・必要性、実現可能性、収益性、継続性

共通して言えるのは、付加価値額や賃上げなど数字で約束する形が多いという点です。申し込む補助金の公募要領で、必ず確認してください。

📊 このセクションの要点

経営革新は付加価値額が年平均3%以上、給与支給総額が年平均1.5%以上。経営力向上計画は労働生産性。補助金は制度ごとに審査項目が違うため、公募要領で確認します。

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よくある失敗(当社の整理)

注意

以下は公式の「よくある失敗」のリストではありません。公式様式の構造から、壱市コンサルティングが整理したものです。

失敗 理由(様式の構造から)
根拠のない売上 公庫の様式は売上高・売上原価・経費の計算根拠を書かせる
返済・資金繰りの視点がない 借入金残高の推移や回収・支払の条件を書く欄がある
課題と施策がつながらない 課題項目を踏まえた具体策を書かせる様式になっている
目標が期間と合っていない 経営革新は3年から5年の期間で伸び率が決まる
作って終わり 融資後の進捗報告(利用制度による)や、経営革新の承認後の調査がある
古い基準で作る 基準や様式は更新される。最新の手引き・公募要領で確認する

📊 このセクションの要点

事業計画書は、出してからが本番です。数字の根拠、資金繰り、課題と施策のつながり、期間との整合、最新基準の確認を押さえてください。

使える公式ツール・様式の入手先

目的 ツール・様式 入手先
融資(創業) 創業計画書(Excel/PDF)、業種別の記入例 日本政策金融公庫 国民生活事業「各種書式ダウンロード」 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
融資(既存事業) 事業計画書(中小企業経営力強化関連用)、月別収支計画書・資金繰り表の記入例 同上
現状把握 ローカルベンチマーク 経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
経営革新計画 進め方ガイドブック、様式 中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/index.html (申請は都道府県の窓口)
経営力向上計画 策定の手引き 中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

補足

様式や基準は変わることがあります。ご利用の際は、各公式サイトで最新版をご確認ください。

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まとめ:事業計画書の5つのポイント

ポイント 内容
1 骨格は共通 現状・課題・施策・数字・資金・体制の流れで聞かれる(当社の整理)
2 課題と施策をひもづける 課題を出したら、それを踏まえた具体策を書く
3 数字には根拠を 売上は積み上げ、損益計画と資金繰りの両方で確かめる
4 付加価値額を押さえる 営業利益+人件費+減価償却費
5 最新の公式資料で確認 基準・様式は変わる。公式の様式・手引・公募要領を確認する

よくある質問(Q&A)

Q1.事業計画書は、融資・経営革新・補助金で使い回せますか。

A1.様式は異なるため、そのまま使い回すことはできません。ただし、現状・課題・施策・数字・資金・体制という聞かれる流れは共通しています。この流れで中身を整理しておけば、様式ごとに必要な欄へ転記・調整するだけで済みます。公庫の事業計画書、経営革新計画、経営力向上計画の構成を突き合わせた壱市コンサルティングの整理であり、公式の用語ではない点にご注意ください。

Q2.付加価値額とは何ですか。

A2.営業利益と人件費と減価償却費を足したものです。中小企業庁の経営革新計画・経営力向上計画で使われる定義で、補助金の要件でも繰り返し使われます。損益計画で人件費と減価償却費を別に書いておくと、計算しやすくなります。補助金ごとに算入範囲の細部が異なる場合があるため、公募要領で定義を確認してください。

Q3.経営革新計画の承認基準を教えてください。

A3.付加価値額が年平均3%以上、給与支給総額が年平均1.5%以上です。事業期間は3年から5年で、3年なら9%以上と4.5%以上、5年なら15%以上と7.5%以上となります(中小企業庁「経営革新計画 進め方ガイドブック」、2022年2月発行)。旧基準の経常利益を指標とする情報も残っていますが、最新のガイドブックは給与支給総額です。申請前に、最新の手引きと都道府県の窓口でご確認ください。

Q4.経営革新計画が承認されると補助金が出ますか。

A4.承認されただけで補助金が自動的に出るわけではありません。ガイドブックには、承認後のメリットとして政府系金融機関の特別貸付や信用保証の特例などが記載されています。補助金は別途、各補助金の公募要領に従って申請する必要があります。

Q5.損益計画と資金繰りは、何が違うのですか。

A5.損益計画は利益を、資金繰りは現金の動きを見るものです。売掛金の回収が遅れたり在庫を抱えたりすると、利益が出ていても現金が不足することがあります。公庫のページには月別収支計画書や資金繰り表の記入例があるため、損益の計画ができたら資金繰りでも確かめてください。

Q6.売上の根拠は、どう書けばよいですか。

A6.客数・客単価・営業日数のかけ算で積み上げると説明しやすくなります。公庫の創業計画書には、売上高・売上原価・経費を計算した根拠を書く欄があり、飲食や小売の様式には客単価や営業日数の欄もあります。ただし、この積み上げ方は様式の作りからのおすすめであり、公式が指定している方法ではありません。業種により適した積み上げ方は異なります。

Q7.金融機関は事業計画書のどこを見ますか。

A7.数字の根拠、資金のバランス、返済の見通しなどです。これは公庫の様式の作りから読み取れる点で、計算根拠の欄、必要資金と調達方法、借入金残高の推移、取引先の回収・支払の条件、経営者の略歴などが設けられています。返済の元になるお金の見方は金融機関や制度によって異なるため、公式の様式・手引でご確認ください。

Q8.ローカルベンチマークは、事業計画書づくりに使えますか。

A8.現状把握のツールとして使えます。経済産業省が公開する無料のツールで、財務面の6つの指標、商流・業務フロー、非財務面の4つの視点の3枚組です。公式ページには事業計画策定や補助金申請などでの活用が記載されています。6つの指標の具体的な内容は、公式ガイドブックでご確認ください。

Q9.補助金の審査で共通して見られる点はありますか。

A9.補助金全体に共通する審査要素を、公式にまとめた資料は確認できていません。持続化補助金第20回では経営状況の分析・目標とプラン・計画の有効性・積算が、事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠では目的・実現可能性・収益性・継続性が見られます。付加価値額や賃上げなど数字で約束する形が多い傾向はありますが、審査項目は公募要領ごとに異なります。

Q10.計画は作って終わりでよいですか。

A10.作って終わりでは不十分です。公庫の事業計画書には、融資後に事業計画期間内で年1回以上、進捗状況を報告する旨の記載があります(利用する制度による条件です)。経営革新計画も、承認後にフォローアップ調査と終了時の調査があります。計画は提出してからが本番です。

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※本記事は2026年10月時点の公式資料に基づく解説です。制度の内容や様式は変更される場合があります。申請の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

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