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【経営者向け】営業利益と経常利益の違い|本業の稼ぐ力と借入の負担を見分ける

決算書を見るとき、経常利益の数字だけを見て安心している社長は少なくありません。ところが、同じ経常利益でも、本業がしっかり黒字の会社と、本業は赤字なのに黒字に見えている会社とでは、中身がまったく違います。

見分けるカギは、営業利益と経常利益の差です。営業利益は本業の稼ぎ、経常利益はそこに利息などのお金まわりの損益を加えたり引いたりした利益で、この差を見るだけで、本業の稼ぐ力と借入の負担がわかります。

本記事では、2つの利益の違い、架空の2社(H社・I社)の比較、銀行が一般的に見ることが多い点、自社の数字での見分け方、改善の打ち手、見るときの落とし穴を整理します。損益計算書の記事(4つの利益)の続きとして、2つの利益の差に絞っています。解説動画の内容に沿った個別解説で、数字はすべて架空です。個別の税務の判断は扱いません。

営業利益は本業の稼ぎ、経常利益は財務込みの利益

中小機構のJ-Net21「決算書とは?」では、営業利益は売上総利益から一般経費や売上をあげるための経費を差し引いた、本業の利益と説明されています。経常利益は、その営業利益に、配当や利息などの財務収支や本業以外の収支を加減した額で、会社の経常的な利益として重視される、とされています。

つまり、2つの利益の差は、本業以外のお金まわりの損益で決まります。計算は足し算と引き算だけです。

項目 中身
営業利益 本業の稼ぎ
+ 営業外収益 受取利息、雑収入など
- 営業外費用 支払利息など
= 経常利益 本業にお金まわりの損益を加減した利益

営業外収益には預金の受取利息や雑収入などが入り、営業外費用の中心になるのは借入の支払利息です。借入が多い会社ほど支払利息が大きくなり、営業利益と経常利益の差も大きくなります。

📊 このセクションの要点

営業利益は本業の稼ぎ、経常利益はそこに営業外収益を足し、営業外費用を引いた利益です。差は、主に借入の利息などで決まります。

同じ経常利益でも中身は正反対|H社とI社の比較

ここからは架空の2社で考えます。社長のH社とI社は、どちらも売上が1億円、経常利益は同じ70万円です。数字はすべて架空で、年間の金額です。

項目 H社 I社
営業利益 500万円 -300万円
営業外収益 20万円 400万円
支払利息 -450万円 -30万円
経常利益 70万円 70万円

H社|本業は黒字でも、稼ぎが利息に消えている

H社の営業利益は500万円と、しっかり黒字です。ところが、借入が1億5,000万円で金利が3%とすると、支払利息は年に450万円かかります。営業外収益の20万円を足しても、経常利益は70万円まで減ります。本業の稼ぎのほとんどが、利息に消えている形です。

I社|経常利益は黒字でも、本業は赤字

I社の営業利益は300万円の赤字です。それでも営業外収益が400万円あり、経常利益は70万円の黒字になっています。営業外収益の内訳は、補助金収入が350万円、雑収入が50万円という想定です。補助金や雑収入は、毎年入るとは限りません。経常利益の黒字だけでは安心できない、ということです。

経常利益だけを見ていると、この2社は同じに見えてしまいます。営業利益と経常利益を並べて見ることで、はじめて中身の違いがわかります。

📊 このセクションの要点

同じ経常利益70万円でも、H社は本業の黒字が利息に消えた会社、I社は営業外収益で黒字になった会社です。経常利益だけでは実態が見えません。

営業利益は支払利息の何倍あるか|H社の3年間の推移

利息の重さは、営業利益が支払利息の何倍あるかで見る方法があります。H社は500万円÷450万円で約1.1倍です。本業の稼ぎのほとんどを利息に払っている形で、余裕はあまりありません。仮に3,000万円を返して利息が360万円になれば、約1.4倍になります。同じ営業利益でも、余裕はずいぶん変わります。

なお、この倍率は利息の重さを見るための一つの見方です。目安の倍率や合否の線を示すものではありません。I社は営業利益が赤字ですので、利息を本業で払えていない状態です。

次に、H社の3年間の動きを見てみます。営業利益が毎年100万円ずつ伸びても、営業外の損益(営業外収益20万円から支払利息450万円を引いた-430万円)は変わりません。

項目 1年目 2年目 3年目
営業利益 300万円 400万円 500万円
営業外の損益 -430万円 -430万円 -430万円
経常利益 -130万円 -30万円 70万円

経常利益は、1年目と2年目が赤字で、3年目にやっと70万円の黒字です。本業がよくなっても、借入の負担が変わらなければ、手元にはなかなか残りません。

📊 このセクションの要点

営業利益が支払利息の何倍あるかで、利息の重さが見えます。本業が伸びても、借入の負担が同じなら、経常利益は大きく改善しません。

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銀行が一般的に見ることが多い点

最初にお断りしておくと、何を重視するかは、銀行や案件によって異なります。以下は一般的に見られることが多い点の紹介であり、審査基準ではありません。

見られることが多い点 考えること
営業利益は黒字か 返済は本業の稼ぎから行うのが基本
利息を払える水準か 営業利益が支払利息の何倍あるか
営業外収益の中身 補助金のような一時的な収入ではないか
赤字の場合の理由と見通し 理由と立て直しの見通しを説明できるか

H社なら、営業利益が利息の約1.1倍しかない点を聞かれるかもしれません。I社なら、営業外収益の中身が一時的なものでないかを確認されることがあります。どちらの場合も、差の中身を自分の言葉で説明できる状態にしておくことが大切です。創業の段階で損益計画を見るときも、売上総利益から営業利益、経常利益へと順に確認される形が一般的です。

📊 このセクションの要点

銀行が見ることが多いのは、営業利益の黒字、利息を払える水準、営業外収益の中身、赤字の場合の理由と見通しです。重視する点は金融機関や案件で異なります。

自社の数字での見分け方|4つの手順

見分け方は、電卓1つでできる4つの手順です。

手順 やること
1.並べる 損益計算書から営業利益と経常利益を、3年ぶん並べる
2.差を計算する 経常利益から営業利益を引く
3.中身を見る 差の内訳を、営業外収益と営業外費用で確認する
4.利息の重さを出す 営業利益が支払利息の何倍あるかを出す

3年ぶんを並べるのは、一般的な目安です。1年だけでは一時的な要因が混ざりやすく、流れで見ると傾向がわかります。差がマイナスなら、利息などの負担が大きい会社です。差がプラスなら、本業以外の収入があった会社です。この4つで、本業の稼ぐ力と借入の負担が見えてきます。

改善の打ち手は2つ|本業を上げる、借入を軽くする

改善の打ち手は大きく2つです。1つは本業の利益を上げること、もう1つは借入の負担を軽くすることです。H社(営業利益500万円、借入1億5,000万円、金利3%)で、どれくらい効くかを単純計算で比べます。他の条件は変わらない前提です。

打ち手 経常利益
何もしない 70万円
営業利益を100万円増やす 170万円
金利が0.5ポイント下がる(利息が年75万円減) 145万円
3,000万円を返す(利息が年90万円減) 160万円

本業を上げることも、借入を軽くすることも、どちらも効きます。どちらか一方ではなく、両方を見るのが基本です。ただし、借り換えや返済には、手数料や条件の制約がある場合があります。具体的な進め方は、銀行や専門家にご相談ください。

📊 このセクションの要点

打ち手は、本業の利益を上げることと、借入の負担を軽くすることの2つです。どちらも経常利益に効きますが、借り換えや返済には条件があるため、事前に確認します。

見るときの落とし穴|一時的な収入に注意

落とし穴 起きること
経常利益だけで判断する 本業の赤字を見落とす
補助金収入が入っている 毎年あるとは限らない
雑収入などで黒字になっている 翌年は続かないことがある
1年だけで判断する 一時的な要因を見分けられない

補助金収入は、営業外収益に入れる形が多いとされますが、会社や補助金の内容によって扱いは異なります。個別の会計や税務の扱いは、顧問の税理士にご確認ください。大切なのは、入っているお金が毎年あるものかどうかを見分けることです。

I社で確認してみます。営業利益が-300万円、支払利息が30万円のままで、補助金350万円と雑収入50万円が入っているのが今の姿です。

ケース 経常利益
今期(補助金350万円あり) 70万円
補助金がなくなる -280万円
雑収入50万円もなくなる -330万円

補助金がなくなると、経常利益は280万円の赤字になり、雑収入もなくなれば330万円に広がります。本業の営業利益が赤字のままだからです。一時的な収入は、続くかどうかを必ず確認してください。

📊 このセクションの要点

経常利益だけで安心せず、営業外収益の中身を確認します。補助金収入や雑収入が消えたときの姿も、あらかじめ計算しておきます。

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まとめ|営業利益と経常利益の差を見る4つのポイント

ポイント 内容
1.2つの利益の違い 営業利益は本業の稼ぎ、経常利益は利息などを加減した利益
2.差を見る 差で、借入の利息の重さがわかる
3.経常利益だけで安心しない 本業の赤字や一時的な収入を見落とす
4.打ち手は2つ 本業の利益を上げる、借入の負担を軽くする

中小企業診断士として社長の話を聞いていて感じるのは、経常利益の数字だけを見て安心している社長が意外に多いということです。難しい計算はいりません。まずは、自社の営業利益と経常利益を3年ぶん並べて、その差の中身を見てみてください。

4つの利益の全体像は損益計算書の見方の記事、本業の利益を上げるときの考え方は損益分岐点の記事、人件費の見方は労働分配率の記事で解説しています。

関連記事

参考:中小機構 J-Net21「決算書とは?」「損益計画の書き方」。

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