【2026年10月時点】経営革新計画の完全ガイド

【2026年10月時点】経営革新計画の完全ガイド|承認の条件・メリット・申請の流れと県ごとの違い

経営革新計画は、新しい取り組みに挑戦する中小企業が3年から5年の計画を作り、都道府県知事などの承認を受ける国の制度です。承認を受けると、日本政策金融公庫の融資や信用保証の特例など、支援措置を使える入口になります。

一方で、数値目標の指標は「付加価値額」と「給与支給総額」であり、旧基準の「経常利益」ではありません。また、承認は補助金の採択ではなく、融資や保証もそれぞれの機関が別に審査します。古い記事を見て誤解されやすい点が多い制度です。

運用は都道府県ごとに異なり、電子申請の対応も順次広がっています。本記事は2026年(令和8年)10月時点の情報で、制度の中身、承認の条件、メリット、申請の流れと県ごとの違い、承認件数、注意点までを整理します。

本記事では、中小企業庁や各県の公式情報にもとづき、経営革新計画の全体像を客観的に整理します。

経営革新計画とは|根拠法・申請先・計画期間

経営革新計画は、中小企業等経営強化法にもとづく制度です。会社が新たな事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図る中期の計画を作成し、都道府県知事などが審査して承認します。東京都も「新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図る中期的な経営計画書」と説明しています。

項目 内容
根拠法 中小企業等経営強化法
内容 新たな事業活動で経営の向上を図る中期の計画
承認する人 都道府県知事など(国の地方支分部局の場合もあります)
申請先 まず所在地の都道府県の商工担当部局
相談先 商工会・商工会議所、中小企業支援センター、中小企業団体中央会、政府系金融機関など
計画期間 3年から5年が標準(北海道は3年から8年と案内しており、期間の扱いは各県の手引で確認)

申請先の窓口や相談先は、中小企業庁のよくある質問でも案内されています。まずは所在地の県の窓口に問い合わせることが出発点です。

📊 このセクションの要点

経営革新計画は、中小企業等経営強化法にもとづき、知事などが承認する中期の経営計画です。申請先はまず所在地の県の窓口です。

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承認の条件|新しい取り組みと2本立ての数値目標

「新しい取り組み」は法令上5つ

新事業活動は、一般に「4類型」と説明されることがありますが、法令上は研究開発を加えた5つに整理されています。神奈川県・千葉県・北海道の案内にも5つ目まで掲載されています。

番号 新事業活動の類型
1つ目 新商品の開発または生産
2つ目 新役務(サービス)の開発または提供
3つ目 商品の新たな生産または販売の方式の導入
4つ目 役務の新たな提供の方式の導入
5つ目 技術に関する研究開発とその成果の利用

基本的には「その会社にとって新しいこと」が重視され、業界で初めてである必要はないと説明されています。ただし、新しさの細かい判断基準は県の手引によって異なるため、所在地の県の案内で確認することが重要です。

数値目標は付加価値額と給与支給総額の2本立て

経営の相当程度の向上とは、次の2つの指標を両方満たす計画を指します。(a)付加価値額(または一人当たりの付加価値額)、(b)給与支給総額です。計画終了時の伸び率の目安は次のとおりです。

計画期間 付加価値額(年平均3%以上) 給与支給総額(年平均1.5%以上)
3年 9%以上 4.5%以上
4年 12%以上 6%以上
5年 15%以上 7.5%以上

付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」、給与支給総額は役員・従業員の給料・賃金・賞与と、給与所得となる手当の合計です。会社の稼ぐ力を高めながら、働く人への分配も増やす計画が求められる、という設計です。

注意

以前は「経常利益」が指標の一つでしたが、令和2年(2020年)10月1日から「給与支給総額」に変わっています。古いブログ記事や資料には経常利益と書かれたものが残っているため、注意が必要です。なお、計画期間の上限や6年以上の伸び率は、各県の手引で確認してください。

📊 このセクションの要点

新しい取り組みは法令上5つで、業界初である必要はありません。数値目標は付加価値額と給与支給総額の2本立てで、経常利益は旧基準です。

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承認を受けるメリット|融資・保証・特許料・補助金

承認を受けると、次のような支援措置の対象になります。いずれも承認だけで自動的に利用できるわけではなく、各機関が別に審査します。利率・保証の枠・減免の条件などの数字は変わることがあるため、最新の内容を各機関で確認してください。

支援 内容 確認先
政府系金融機関の融資 日本政策金融公庫の新事業活動促進資金を使える(基準利率からの引下げなどの措置あり) 日本政策金融公庫
信用保証の特例 承認を受けた計画に必要な資金について、通常とは別枠の保証を受けられる場合があります 各信用保証協会
特許料の減免 承認計画にもとづく研究開発の成果に係る特許が、減免の対象となることがあります 特許庁
そのほか 中小企業投資育成株式会社の特例、販路開拓の支援、海外展開時の資金調達支援など 各機関・県

補助金の加点は「あれば」程度で考える

補助金によっては、承認を受けた計画に対して加点や上乗せがある場合があります。たとえば、県が独自に実施する補助事業で、承認計画にもとづく事業の補助上限を加算している例があります。ただし、どの補助金でも加点されるわけではありません。国の補助金は制度ごとの公募要領で決まっているため、加点の有無は公募ごとに確認してください。

注意

承認は補助金の採択ではありません。融資も、信用保証も、補助金も、それぞれの機関が別に審査します。承認は支援を使うための「入口」と考えるのが実態に近い見方です。

📊 このセクションの要点

支援措置は融資・保証・特許料の減免などです。数字の条件は最新を各機関で確認し、補助金の加点は公募要領で都度確認します。

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申請の流れと県ごとの違い

標準的な流れは次のとおりです。細部は県によって異なります。

段階 内容
事前相談 県の窓口、商工会・商工会議所、認定支援機関、中小企業支援センターなどに相談
申請書の作成 国の様式(様式第1号など)で申請書・別表を作成
事前確認・面談 県による事前確認や予備審査(県により異なる)
申請・審査 電子申請か紙かは県による。書類審査など
承認 承認書の交付
承認後 融資・保証などを各機関へ個別に申込み。計画開始後は年次の進捗報告が必要(詳細は県で確認)

標準的な必要書類は、申請書(様式1-1〜1-3、別表1〜6)、直近2期分の決算書または確定申告書一式、定款、登記事項証明書などです。県によって追加の資料を求められることがあります。

県ごとの運用の例

県 運用の例(公式ページの記載にもとづく)
東京都 毎月の審査会で審査。締切や提出方法などの運用は変わることがあるため、最新の案内で確認
千葉県 申請前の事前確認に1〜2か月が目安。令和8年度から専門家派遣(最大5日間・無料)を開始と記載
神奈川県 予備入力票、窓口での面談、予備審査を経て電子申請へ進む流れ
秋田県 県独自の補助事業で、承認計画にもとづく事業の補助上限を加算する例(募集は終了済み)

POINT

締切、事前確認の期間、必要書類、電子申請か紙かは県ごとに異なります。所在地の県の最新ページと窓口で確認することが、遠回りを避ける近道です。

電子申請の広がり

中小企業庁が運用する経営革新計画電子申請システムは、令和7年(2025年)3月28日から本番利用が始まっています。利用にはGビズIDの取得が必要とされています。受付を始める県は順次増えており、中小企業庁の新着情報では、令和7年(2025年)に高知県・福井県、令和8年(2026年)に岐阜県・石川県・広島県が受付を開始したと案内されています。電子申請が使えるか、紙でもよいかは県によって異なります。

📊 このセクションの要点

流れは事前相談から承認までで、承認後も年次の報告があります。締切や書類、電子申請の可否は県ごとに違うため、最新の案内を確認します。

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承認件数で見る制度の現状

中小企業庁が公表する承認件数(令和8年(2026年)3月末時点)によると、平成11年度から令和7年度までの累計は112,072件です。年度別の推移は次のとおりです。

年度 承認件数
平成11年度〜令和2年度 90,842件
令和3年度 5,853件
令和4年度 4,571件
令和5年度 3,976件
令和6年度 3,311件
令和7年度 3,519件(前年度より増加)

令和3年度以降は減少傾向でしたが、令和7年度は前年度より増加しました。都道府県別では差が大きく、令和7年度は埼玉県が1,070件で全国の約3割を占め、東京都349件、福岡県260件、愛知県206件、神奈川県50件となっています。

都道府県 令和7年度の承認件数
埼玉県 1,070件
東京都 349件
福岡県 260件
愛知県 206件
神奈川県 50件

補足

承認率(申請のうち承認された割合)は、公式には公表されていません。申請件数が公表されていないためです。民間の試算が出回ることがありますが、本記事では扱いません。

📊 このセクションの要点

累計は11万2,072件で、令和7年度は3,519件と前年度より増加しました。件数には県ごとに大きな差があります。

注意したいこと|承認は入口、運用は県ごと

注意点 内容
承認は採択ではない 融資・保証・補助金は、それぞれの機関が別に審査する
支援は計画期間中 支援措置を利用できるのは計画の期間中
古い記事に注意 指標は経常利益ではなく給与支給総額
県ごとに運用が違う 締切、事前確認、電子申請の可否は所在地の県で確認
丸投げは避ける 計画は社長自身の事業計画。東京都は申請時の電話予約・提出を事業者自身で行うよう案内

東京都は令和8年度の留意点として、認定支援機関などによるトラブルの報告制度を強化していると案内しています(ページの更新表示は古いため、最新の案内を確認してください)。代行業者や支援機関の選定は慎重に行うことが重要です。

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専門家の関わり方と、申請前に社長が準備すること

相談先は、県の窓口、商工会・商工会議所、認定支援機関などいくつもあります。そのうえで、壱市コンサルティングでは、中小企業診断士が関われる場面を例として次のように整理しています(公式の定義ではなく、当社の見解です)。

場面 内容
新しさと数字の整合 新しい取り組みと数値目標をつなぐ
財務数値の予測 付加価値額・給与支給総額の根拠づくり
金融機関との橋渡し 融資の相談につなげる
承認後の進捗管理 年次の報告まで伴走

申請前に社長が準備すること

準備 内容
3年後、5年後の姿を決める どんな新しい取り組みで、どんな会社になるか
数字の土台をそろえる 直近2期分の決算書など
賃金の方針を考える 給与支給総額が目標に入るため
窓口に早めに相談する 県によって準備期間が異なる

📊 このセクションの要点

専門家は、新しさと数字の整合、財務予測、金融機関との橋渡し、承認後の管理で関われます。計画の主役は社長自身で、早めの相談が基本です。

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まとめ|経営革新計画の5つのポイント

ポイント 内容
1.制度の本質 承認は融資・保証などを使うための入口
2.数値目標 付加価値額と給与支給総額の2本立て(経常利益は旧基準)
3.メリット 日本政策金融公庫の融資、信用保証の特例、特許料の減免など。条件は最新を各機関で確認
4.注意 承認は補助金の採択ではなく、融資・保証は別審査
5.運用 締切・書類・電子申請の可否は県ごと。所在地の県の窓口で確認

よくある質問(Q&A)

Q1.経営革新計画とは何ですか?

A1.新たな事業活動に取り組む中期の経営計画を、知事などが承認する制度です。中小企業等経営強化法にもとづく国の制度で、承認を受けると融資や信用保証の特例などの支援措置を使う入口になります。申請先はまず所在地の都道府県の窓口で、商工会・商工会議所や認定支援機関にも相談できます。

Q2.数値目標は何ですか?

A2.付加価値額(または一人当たり付加価値額)と給与支給総額の2本立てです。3年計画なら付加価値額9%以上・給与支給総額4.5%以上、4年なら12%以上・6%以上、5年なら15%以上・7.5%以上が目安です。付加価値額は営業利益、人件費、減価償却費の合計です。

Q3.経常利益は基準になりますか?

A3.いいえ、旧基準です。令和2年(2020年)10月1日から経常利益に代わって給与支給総額が指標になりました。古い記事や資料には経常利益の記載が残っているため、公式の最新情報で確認してください。

Q4.新しい取り組みは業界で初めてでなければなりませんか?

A4.その会社にとって新しいことが重視されると説明されています。法令上の新事業活動は、新商品の開発・生産、新サービスの開発・提供、新しい生産・販売方式の導入、新しい提供方式の導入、研究開発とその成果の利用の5つです。細かい判断基準は県の手引で異なるため、窓口で確認してください。

Q5.承認を受けたら補助金に採択されますか?

A5.いいえ、承認と採択は別です。承認は補助金の採択を意味しません。補助金によっては加点や上乗せがある場合がありますが、国の補助金は公募要領で個別に決まっているため、公募ごとに確認する必要があります。

Q6.承認を受けたら融資は自動的に出ますか?

A6.いいえ、融資は別途審査されます。日本政策金融公庫や信用保証協会などの各機関が、承認とは別に審査します。承認は支援を使うための入口であり、利率や保証の枠などの数字は変わることがあるため、最新の内容を各機関で確認してください。

Q7.申請の流れを教えてください。

A7.事前相談、申請書の作成、事前確認、申請・審査、承認の順です。標準的には、県の窓口などへの事前相談、国の様式での申請書作成、県による事前確認や面談、申請と審査、承認書の交付と進みます。承認後は各機関へ個別に申し込み、計画開始後は年次の進捗報告も必要です。

Q8.審査の期間や締切はどれくらいですか?

A8.全国一律の公式な期間はなく、県ごとに異なります。千葉県は申請前の事前確認に1〜2か月が目安とされ、東京都は毎月の審査会で審査するとされています。締切や運用は変わることがあるため、所在地の県の最新の案内で確認してください。

Q9.電子申請はできますか?

A9.県によって対応が異なります。中小企業庁の経営革新計画電子申請システムは令和7年(2025年)3月28日から本番利用が始まり、GビズIDの取得が必要です。受付を開始する県は順次増えていますが、電子申請か紙かは県によって異なります。

Q10.承認件数や承認率はどうなっていますか?

A10.累計は112,072件ですが、承認率は公式に公表されていません。中小企業庁の公表(令和8年(2026年)3月末)では、平成11年度から令和7年度の累計が112,072件、令和7年度は3,519件です。承認率は申請件数が公表されていないため、公式には示されていません。

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壱市コンサルティングでは、中小企業診断士・認定支援機関として、新しい取り組みの整理から数値目標の組み立てまで、現場の視点でご相談をお受けしています。

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年次の報告まで見据えた伴走をご相談いただけます。

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