【2026年10月時点】融資制度の変更点|日銀の利上げ・公庫の金利・マル経・保証5号・経営者保証

【2026年10月時点】融資制度の変更点|日銀の利上げ・公庫の金利・マル経・保証5号・経営者保証

令和8年(2026年)は、日本銀行が6月と9月の2回、政策金利を引き上げた年です。金利のある時代が、中小企業の資金繰りにも現実の問題として関わってきました。

同じ年には、公庫のセーフティネット貸付の金利引下げ対象の拡大、セーフティネット保証5号の指定、経営者保証情報ネットワークの開設、企業価値担保権の制度開始など、融資まわりの動きが相次いでいます。

この記事は令和8年(2026年)10月時点の整理です。制度や金利は変わりますので、申込みの前に必ず日本銀行、日本政策金融公庫、中小企業庁などの公式サイトで最新の情報をご確認ください。

本記事では、日銀の利上げ、公庫の金利とマル経融資、資金繰りが苦しいときの制度、経営者保証の動き、そして社長が今やっておくことを、公式の情報に基づいて整理します。

補足

本記事では、公式の情報として確認できた内容と、当社の推測を区別して書いています。推測にあたる部分には、その旨を明記しています。

今年の主な変更点を時系列で整理

まず、令和8年(2026年)に確認できる主な動きを一覧にします。日付はいずれも公式の公表にもとづきます。

時期 内容 影響する事業者
3月27日 金融庁が金融機関へ、中東情勢を踏まえた金融上の対応を要請(資金繰り相談への丁寧な対応、条件変更への迅速・柔軟な対応など) 借入のある・借入予定の事業者
4月1日 公庫のセーフティネット貸付の金利引下げ対象が、中東情勢による取引・生産の減少などの影響を受けた事業者へ拡大 中東情勢の影響を受けた事業者
5月1日 M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワークが開設 事業承継・M&Aで経営者保証の整理が必要な経営者
5月25日 事業性融資推進法が施行され、企業価値担保権の制度が開始 担保・保証に頼らず借りたい事業者
6月16日 日銀が政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ引上げ(6月17日適用) 変動金利で借りている事業者
9月16日 中小企業庁がセーフティネット保証5号の10月1日〜12月31日の対象業種を公表 指定業種に属し売上等が減少した中小企業
9月18日 日銀が政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引上げ(9月24日適用) 変動金利で借りている事業者
10月1日 公庫の金利(国民生活事業・中小企業事業)が10月1日付の表に更新 公庫から新規に借りる事業者

📊 このセクションの要点

今年は、日銀の2回の利上げに加えて、中東情勢への対応、経営者保証や企業価値担保権など、融資まわりの変更が重なりました。

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日銀の利上げと中小企業の借入

日銀の政策金利は今年2回上がった

日本銀行の公表文によれば、4月の決定会合では政策金利を0.75%程度で据え置き、6月16日の会合で1.0%程度へ、9月18日の会合で1.25%程度へ引き上げています。半年のあいだに2回の利上げがあったことになります。

決定会合 決定 適用日
4月27日・28日 0.75%程度で推移(据置) ―
6月15日・16日 1.0%程度へ引上げ 6月17日
9月17日・18日 1.25%程度へ引上げ 9月24日

日銀が示している判断と方針

9月18日の公表文では、基調的な物価上昇率が2%に近づいていると判断されています。そのうえで、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げていく方針が示されました。調整のタイミングやペースは、中東情勢、AI関連需要の拡大、為替の影響を含めて点検しながら検討するとされています。

注意

日銀の公表文は、中小企業の個別の貸出金利への影響を記載していません。以下は公表文ではなく、当社の推測です。変動金利(短期プライムレート連動など)の借入は、政策金利の上昇に合わせて負担が増える可能性が高いと考えられます。固定金利の借入は、借換えや新規借入のときに、今の水準が反映されると考えられます。

📊 このセクションの要点

政策金利は6月に1.0%程度、9月に1.25%程度へ。日銀は今後も引上げ方針を示しています。個別の貸出金利への影響は公表されておらず、変動金利の負担増は当社の推測です。

日本政策金融公庫の金利とマル経融資

公庫の金利は10月1日付の表で確認する

公庫の金利は、令和8年(2026年)10月1日現在の表が公式サイトに掲載されています。国民生活事業の基準利率は、無担保(税務申告2期終了)で4.05〜5.65%、有担保で3.05〜5.25%です。中小企業事業は貸付期間によって変わり、基準利率は3.20〜4.40%です。

区分(国民生活事業・年利%) 基準利率 特別利率A 特別利率B 特別利率C 特別利率E 特別利率J
無担保(税務申告2期終了) 4.05〜5.65 3.65〜5.25 3.40〜5.00 3.15〜4.75 2.65〜4.25 3.00〜4.60
無担保(2期未満) 3.85〜5.45 3.45〜5.05 3.20〜4.80 2.95〜4.55 2.45〜4.05 2.80〜4.40
有担保 3.05〜5.25 2.65〜4.85 2.40〜4.60 2.30〜4.35 2.30〜3.85 2.15〜4.20
災害貸付等 3.20〜4.80 2.80〜4.40 2.55〜4.15 2.30〜3.90 2.30〜3.40 2.15〜3.75

実際に適用される利率は、担保の有無を含む信用リスクなどに応じて決まります。表の数字はあくまで目安です。どの特別利率がどの制度に適用されるかは、公庫のページの表でご確認ください。

注意

公庫の公式ページに掲載されているのは現在の表のみで、過去の月別の推移は、公式の一覧では確認できませんでした。そのため本記事では金利の推移を月ごとには示していません。また、日銀の利上げと公庫の金利の関係について、公庫が利上げを理由に挙げた公式の文書は確認できていません。両者が連動したと断定することは避けます。

マル経融資の現状

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者向けの融資です。公庫の制度概要によれば、内容は次のとおりです。

項目 内容
貸付限度額 2,000万円
返済期間 10年以内(うち据置2年以内)
担保・保証人 無担保・無保証人(保証協会の保証も不要)
利率 特別利率F 3.05%(令和8年10月1日現在)

利用には推薦が必要です。主な要件は、小規模事業者であること(従業員は商業・サービス業で5人以下、製造業等で20人以下)、原則6か月以上の経営指導を受けていること、最近1年以上同じ地区で事業を行っていること、所得税などを完納していること、商工会・商工会議所の長の推薦を受けることです。業種ごとの人数区分などの細部は、公庫のページで再確認してください。

POINT

マル経は、経営指導を受ける期間が必要です。使いたいと考えたら、早めに商工会・商工会議所へ相談することが賢明です。

📊 このセクションの要点

公庫の金利は10月1日付の表で確認できます。マル経融資は限度額2,000万円、10年以内、無担保・無保証人で、特別利率Fは3.05%です。

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資金繰りが苦しいときの制度

公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)

売上の減少など、業況が悪化した事業者向けの公庫の貸付です。公庫のページによれば、対象の例は、最近の決算期の売上高が前期または前々期より5%以上減少した場合、最近3か月の売上高が前年同期比で5%以上減少し今後も減少が見込まれる場合などです。

項目 内容
限度額(直接貸付) 7億2千万円
返済期間 設備20年以内(据置3年以内)、運転10年以内(据置3年以内)
利率 基準利率。原油価格の上昇やウクライナ情勢の影響で売上高利益率が5%以上減少しているなど特定の要件に該当する場合は、基準利率-0.4%

令和8年(2026年)4月1日からは、この金利引下げの対象が、中東情勢による取引や生産の減少などの影響を受けた事業者にも広がっています。引下げの要件の細部は、中小企業庁の資料でご確認ください。また金融庁は、金融機関に対し、資金繰り相談への丁寧な対応と、条件変更への迅速・柔軟な対応を要請しています。

セーフティネット保証5号

信用保証協会の制度で、全国的に業況が悪化している業種として国が指定した業種の中小企業を支えます。通常の保証の限度額2.8億円とは別に、別枠2.8億円で保証を受けられます(利用要件を満たす場合)。

項目 内容
認定要件の例 指定事業のみを行い、最近3か月の売上高が前年同期比で5%以上減少
指定期間 10月1日〜12月31日の対象業種は、9月16日に中小企業庁が公表
見直し 指定は3か月ごとに見直されるため、そのつど確認が必要

手続の流れは次のとおりです。

順番 手続 ポイント
1 自社の業種が指定業種に入っているか確認 日本標準産業分類の4けたの業種コードを指定業種の一覧に当てる
2 事業所のある市区町村に認定を申請 認定申請ができるのは指定期間内
3 認定書を受け取る 期間内に認定申請すれば、金融機関等への申込みが期間後でも対象
4 認定書を持って金融機関または信用保証協会へ申込み 審査の結果、希望に沿えない場合がある

注意

指定業種に入るかどうかは、業種コードで一覧と照らして確認する必要があります。認定申請は指定期間内に行ってください。

📊 このセクションの要点

売上が減っているなら、公庫のセーフティネット貸付と保証5号が選択肢です。5号は指定期間内の認定申請が前提で、指定業種かどうかの確認から始めます。

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経営者保証と企業価値担保権

金融庁のページを見ると、令和8年(2026年)は経営者保証に依存しない融資に向けた動きがいくつも確認できます。

時期 動き
5月1日 M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワークを開設
5月25日 事業性融資推進法の施行により、企業価値担保権の制度が開始
6月26日 「経営者保証に関するガイドライン」等の活用実績の最新報告を公表

企業価値担保権について、金融庁は、不動産担保や経営者保証等に過度に依存しない、事業の将来性に着目した融資を後押しする制度だと説明しています。本記事では、令和8年(2026年)5月25日に制度が始まった事実にとどめます。仕組みの詳細は、別の記事で解説しています。

関連記事:企業価値担保権とは?仕組み・経営者保証・利用35社の実績と事例を解説

📊 このセクションの要点

経営者保証に頼らない融資の動きは進んでいます。企業価値担保権は令和8年(2026年)5月25日に制度が開始しました。詳細は関連記事をご覧ください。

社長が今やること

ここまでの内容を踏まえ、当社が考える、今やっておくことを4つに絞ります。公式の事実ではなく、実務上の助言です。

やること 内容
1.借入の棚卸し 変動か固定か、残高、返済予定を一覧にする。日銀が引上げ方針を示しているため、ここがすべての出発点
2.使える制度の確認 売上や利益率が下がっているなら、5号の対象か、セーフティネット貸付が使えるかを確認。小規模事業者はマル経の推薦要件も確認
3.経営者保証の相談 既存の借入の保証を外せないか、経営者保証ガイドラインの活用として金融機関に相談。承継・M&Aなら情報ネットワークも確認
4.資料を整えて早めに見せる 事業計画、資金繰り表、直近の決算書を整え、金融機関に早めに見せる

金融庁は金融機関に対し、事業者の業況をよく把握して丁寧に対応するよう要請しています。そして、金利や制度は変わりますので、申込みの直前には、公庫や中小企業庁の公式ページで最新の情報をご確認ください。

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まとめ|5つのポイント

ポイント 内容
1.日銀の利上げ 6月に1.0%程度、9月に1.25%程度へ。今後も引上げ方針
2.公庫の金利 10月1日付の表で確認。利上げとの連動は公式には確認できていない
3.マル経融資 限度額2,000万円、10年以内、無担保・無保証人。推薦の要件に時間がかかる
4.資金繰りが苦しいとき セーフティネット貸付と保証5号。5号は指定期間内に認定申請
5.経営者保証 保証に頼らない融資の動きが進み、企業価値担保権は5月25日に開始

よくあるご質問

Q1.日銀の利上げで、変動金利の借入はどうなりますか。

A1.個別の貸出金利への影響は公表されておらず、当社の推測にとどまります。日銀の公表文は、中小企業の個別の貸出金利への影響を記載していません。そのうえで当社は、変動金利(短期プライムレート連動など)の借入は、政策金利の上昇に合わせて負担が増える可能性が高いと考えています。実際の改定時期や幅は、借入先の金融機関にご確認ください。

Q2.公庫の金利は日銀の利上げに連動していますか。

A2.連動したとは断定できません。公庫の公式ページは現在の表のみを掲載しており、公庫が利上げを理由に挙げた公式の文書も確認できていません。方向が同じだとしても、因果関係は断定しない立場です。

Q3.公庫の金利は今いくらですか。

A3.令和8年(2026年)10月1日現在の表で確認できます。国民生活事業の基準利率は無担保(2期終了)で4.05〜5.65%、有担保で3.05〜5.25%、中小企業事業は貸付期間で変わり3.20〜4.40%です。適用利率は担保の有無を含む信用リスクなどで決まります。

Q4.マル経融資の条件を教えてください。

A4.限度額2,000万円、返済10年以内、無担保・無保証人です。利率は特別利率Fで、令和8年(2026年)10月1日現在3.05%です。商工会・商工会議所の経営指導を受け、その長の推薦を受ける必要があります。最新の条件は公庫のページでご確認ください。

Q5.マル経は誰でも使えますか。

A5.小規模事業者で、原則6か月以上の経営指導などの要件を満たす必要があります。従業員は商業・サービス業で5人以下、製造業等で20人以下が目安です。ほかに、最近1年以上同じ地区で事業を行っていること、所得税などの完納も要件です。要件を満たすまで時間がかかるため、早めの相談が賢明です。

Q6.セーフティネット貸付の対象は。

A6.売上高の減少など、業況が悪化した事業者が対象です。対象の例は、最近の決算期の売上高が前期または前々期より5%以上減少した場合などです。限度額は直接貸付で7億2千万円です。特定の要件に該当すると基準利率から0.4%引き下げられ、4月1日から中東情勢の影響を受けた事業者も引下げの対象に加わりました。細部は中小企業庁の資料でご確認ください。

Q7.セーフティネット保証5号は誰でも使えますか。

A7.国が指定した業種に属し、認定要件を満たす中小企業が対象です。認定要件の例は、指定事業のみを行い、最近3か月の売上高が前年同期比で5%以上減少していることです。通常の限度額2.8億円とは別に、別枠2.8億円で保証を受けられます。指定は3か月ごとに見直されます。

Q8.5号の手続はどう進めますか。

A8.市区町村への認定申請が先です。まず業種コードで指定業種かを確認し、事業所のある市区町村に認定を申請します。認定書を受け取ったら、金融機関または信用保証協会へ保証付き融資を申し込みます。認定申請は指定期間内に行う必要があり、審査の結果、希望に沿えない場合もあります。

Q9.経営者保証を外すにはどうすればよいですか。

A9.金融機関に、経営者保証ガイドラインの活用として相談します。事業計画、資金繰り表、直近の決算書を整えて、早めに見せることが出発点です。事業承継・M&Aを控えている場合は、5月1日に開設された経営者保証情報ネットワークも確認してください。

Q10.企業価値担保権とは何ですか。

A10.事業の将来性に着目した融資を後押しする制度で、令和8年(2026年)5月25日に始まりました。金融庁は、不動産担保や経営者保証等に過度に依存しない融資を後押しする制度と説明しています。仕組みの詳細は、関連記事で解説しています。

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本記事は令和8年(2026年)10月時点の公式情報にもとづく整理です。制度の内容や日程は変更される場合があります。申込みの前に、日本銀行、日本政策金融公庫、中小企業庁、金融庁の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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