【第20回】持続化補助金の事業計画書の書き方|変わった点と、5-1・5-2・5-3の書き方


結論(先に答えます)

・変わったのは経費の区分ではなく、事業計画書(様式2)の補助事業計画の中身です。補助事業の効果が、第19回の2つの欄から、第20回は5-1・5-2・5-3の3つの欄になりました。

・5-2は現時点・補助事業終了時点・終了から1年後の売上高と売上総利益の目標、5-3はその根拠です。審査の観点にも、売上高・売上総利益の増加と、取得資産の継続使用が入っています。

・費用と賃金では、広報費・ウェブサイト関連費の上限が各30万円、賃金引上げ特例は年平均3.0%以上の給与支給総額の増加に変わりました。

数字とページは、公募要領(第9版)、様式2の記入例、申請システム操作手引き、第19回の公募要領で確認したものです。ページは資料に印字されたページ番号です。

事業計画書の書き方は、第20回で何が変わった?

一番大きな変更は、様式2の「補助事業の効果」です。第19回は4番の2つの欄(取組の効果・効果の試算)でしたが、第20回は5番の3つの欄(得られる効果・効果の試算・試算の根拠)に分かれ、売上高と売上総利益の目標を書く形になりました。

欄 書くこと 様式2の記入例
5-1 得られる効果 取得する資産がある場合に、補助事業のあとも継続して使い、事業展開にどう役立てるか 7ページ
5-2 効果の試算 現時点・補助事業終了時点・補助事業終了から1年後の、売上高と売上総利益の増加目標 7ページ
5-3 試算の根拠 市場環境・顧客ニーズ・営業方針などの客観的な事実に基づく、増加が期待できる根拠 7〜8ページ
補助事業の効果の欄の比較。第19回は4番で、取組の効果と効果の試算の2つ。第20回は5番で、得られる効果、効果の試算、試算の根拠の3つに分かれた。
図1 補助事業の効果の欄は、2つから3つに:試算の根拠が独立した。

経営計画(企業概要・顧客ニーズと市場の動向・強みと弱み・経営方針と今後のプラン)の4項目は、第19回と同じです。補助事業計画には、新商品開発費の有無を選ぶ項目(4番)が画面に加わり、補助事業の効果は5番になりました。申請の操作そのものは第20回の申請のやり方の記事で、制度の全体像は第20回の完全ガイドで整理しています。

5-2「効果の試算」は、どう書く?

5-2は、現時点・補助事業終了時点・補助事業終了から1年後の、売上高と売上総利益の増加目標を書く欄です。様式2の記入例では、売上高が1,080万円から1,200万円、1,320万円へ、売上総利益が665.7万円から744万円、818.4万円へ増える形です。

時点 売上高 売上総利益 売上総利益の率
現時点 1,080万円 665.7万円 約62%
補助事業終了時点 1,200万円 744万円 約62%
終了から1年後 1,320万円 818.4万円 約62%
様式2の記入例の数字。売上高は現時点1,080万円、補助事業終了時点1,200万円、終了から1年後1,320万円。売上総利益は665.7万円、744万円、818.4万円。
図2 売上高と売上総利益の目標は、3つの時点で書く。

記入例の表は千円単位(10,800・12,000・13,200千円と、6,657・7,440・8,184千円)で、上の表は万円にしたものです。記入例の表には、3つの時点のほかにもう1列あります。指示文は3つの時点なので、もう1列を必ず書くかどうかは、電子申請の画面で確認してください(事務局の資料では、このページの範囲で確認できませんでした)。

この目標は、審査の対象です。公募要領の7ページには、補助対象事業の要件として、事業効果および賃金引上げ等状況報告書を出すときの売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比べて増えることが見込める事業であることが入っています。

5-3「試算の根拠」は、何をどう書く?

5-3は、5-2の数字が増える理由を、市場環境や顧客ニーズなどの客観的な事実で書く欄です。記入例は、取組ごとに「人数 × 単価 × 日数」の式で書いています。

取組 記入例の書き方
店頭コーヒー提供 1日平均〇名 × 客単価〇円 × 年間〇日営業 = 年間〇〇千円の売上増加
贈答用パッケージ (〇個 − 〇個)× 〇円 × 12か月 = 年間〇〇千円の売上増加
看板設置 月〇名程度の新規来店客を獲得することを目標とする
5-3の根拠の書き方。店頭コーヒー提供は1日平均の人数、客単価、営業日数をかける。贈答用パッケージは増える個数、単価、12か月をかける。
図3 増える根拠は、取組ごとに「人数 × 単価 × 日数」の式で書く。

式にしておくと、5-2の売上高の増加がどの取組から、いくら増えるのかを、あとから追えます。記入例は、取組ごとの式のあとに、取組どうしのつながり(飲食による新規需要、看板による新規来店、贈答用商品の拡大)を書き、目標の売上高につなげています。

5-1「取得資産の継続使用」とは?

5-1は、補助事業で取得する資産がある場合に、補助事業が終わったあとも継続して使うことで、事業展開にどう役立つかを書く欄です。審査の観点にも同じ内容が入っています(公募要領33ページ)。

記入例は、店舗改装・看板・贈答用パッケージなどの取り組みを書いたうえで、「取得した資産についても耐用年数を目途に事業目的のみに使用する」と結んでいます(記入例7ページ)。機械・改装・ウェブサイトなど、補助金で整える資産を、いつまで・何のために使い続けるかを決めてから書きます。

審査の観点は、どう変わった?

審査の観点(計画審査)に、売上高・売上総利益の増加と、取得した資産の継続使用が文言として入っています(公募要領33ページ)。5-2・5-3の目標と根拠は、審査の観点に直接つながる欄です。

審査の項目 見られること(公募要領33ページ)
経営方針・目標と今後のプラン 自社の強み・弱みを踏まえ、売上高・売上総利益の増加を目指すものか。市場や顧客ニーズを捉え、売上高・売上総利益の増加を目指すものか
補助事業計画の効果 効果が客観的事実に基づいて目標設定され、売上高・売上総利益の増加を目指すものか
取得した資産 補助事業終了後も継続して使用し、事業展開に役立てることが明確か

第19回の公募要領と同じく、加点は重点政策加点・政策加点から1種類ずつ、合計2種類まで選べます。計画審査の書き方は変わっても、加点の選び方の枠組みは同じです(公募要領33ページ)。

新商品開発費があるときは、何を書く?

新商品開発費を計上するときは、テストマーケティングや市場調査を踏まえたものが補助対象です。その内容と結果を、様式2に書きます(公募要領16ページ)。第19回の要領(15ページ)には、この記載はありません。

申請の画面にも、新商品開発費の取組の有無を選ぶ項目があり、「はい」の場合は、テストマーケティングまたは市場調査に関する報告の有無を選びます。報告がない場合は、実績報告時に報告がなければ新商品開発費は補助対象外になる旨に同意して進みます(操作手引き52ページ)。経費明細表の計上と、選んだ内容が食い違うと、次の画面に進めない点にも注意してください。

広報費・ウェブの上限と、賃金引上げ特例はどう変わった?

広報費もウェブサイト関連費も、補助金交付申請額の上限は30万円です(公募要領13・14ページ)。賃金引上げ特例は、事業場内最低賃金を50円以上引き上げる要件から、1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増える要件に変わりました(公募要領9ページ)。

項目 第19回 第20回
広報費の上限 上限の記載なし(要領12ページ) 補助金交付申請額の上限30万円(要領13ページ)
ウェブサイト関連費の上限 補助金交付申請額の1/4(最大50万円)(要領13ページ) 補助金交付申請額の上限30万円(要領14ページ)
賃金引上げ特例 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ(要領9ページ) 1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増加(要領9ページ)
費用と賃金の変わった点。広報費は上限の記載なしから補助金交付申請額の上限30万円へ。ウェブサイト関連費は4分の1・最大50万円から30万円へ。賃金引上げ特例は最低賃金50円以上の引き上げから、給与支給総額が年平均3.0%以上増加へ。
図4 広報費・ウェブサイト関連費は上限30万円、賃金引上げ特例は年平均3.0%以上に。

広報費だけ・ウェブサイト関連費だけの申請はできません。必ずほかの経費と一緒に申請します。上限は、経費の額ではなく補助金交付申請額にかかります。

賃金引上げ特例は、補助上限に150万円が上乗せされます(公募要領3ページ)。ただし、要件を1つでも満たさない場合は、上乗せ分だけでなく補助金が交付されません(公募要領10ページ)。別の加点である賃金引上げ加点は、年平均2.0%以上の増加が要件で(公募要領35ページ)、特例を希望すると加点が自動的に選択されます(公募要領10ページ)。実績報告までの給与の見通しを、数字で見てから決めてください。

申請の日程は? いつまでに書き終える?

申請受付は11月5日から始まっており、様式4の発行依頼は12月4日(金)まで、申請の締切は12月15日(火)17時です(公募要領3ページ)。事業計画書を書く時間は、12月4日までに取るのが現実的です。

申請の日程。申請受付の開始は11月5日、様式4の発行依頼の受付締切は12月4日、申請受付の締切は12月15日17時。12月4日から12月15日までは11日。
図5 様式4の発行依頼は12月4日、申請の締切は12月15日17時。

様式4は、商工会議所などから事業支援計画書を発行してもらうもので、締切以降の発行依頼はできません。電子申請の操作と必要書類は、第20回の申請のやり方の記事にまとめています。

書く前に決めておく数字は?

決めておく数字は3つです。現在の売上高と売上総利益、補助事業終了時点と1年後の目標、増える根拠の式です。

  • ☐ 現在の売上高と売上総利益を出す(当社は、決算書の数字とそろえるのが安全と考えます)
  • ☐ 補助事業終了時点と、終了から1年後の目標を、増える額で決める
  • ☐ 取組ごとに、人数・単価・日数で、増える根拠の式を書けるようにする
  • ☐ 取得する資産を、補助事業のあとも、いつまで・何のために使うかを決める
  • ☐ 新商品開発費があるときは、テストマーケティングや市場調査の内容と結果を用意する
  • ☐ 広報費・ウェブサイト関連費の補助金交付申請額が、それぞれ30万円以内かを確かめる
  • ☐ 賃金引上げ特例を選ぶときは、給与支給総額の年平均の増加を、実績報告まで数字で見通す

ほかの補助金の締切を含む日程の一覧は補助金ニュース11月号で確認できます。公募要領の読み方は第20回の公募要領の解説記事も参考になります。

画面と要領で確認したいところは?

資料で断定できない点は、電子申請の画面と公募要領で確認してください。迷う点は、事務局に確認してから書くのが安全です。

  • ☐ 5-2の表は、3つの時点か、記入例のようにもう1列か(指示文は3つの時点)
  • ☐ 取得する資産がない場合に、5-1で何を書くか(要領は「取得する資産がある場合」の指示)
  • ☐ 経営計画1-2に、記入例のような商品別の表を入れるのが必須か(記入例の書き方の例として載っている)

よくある質問(FAQ)

Q1.第20回の事業計画書で、一番変わったのはどこですか。

A1.補助事業計画の「補助事業の効果」です。第19回は2つの欄、第20回は5-1・5-2・5-3の3つの欄で、売上高と売上総利益の目標を3つの時点で書きます(記入例7ページ)。

Q2.5-2の表は、何列書けばよいですか。

A2.指示文は、現時点・補助事業終了時点・終了から1年後の3つの時点です。記入例の表にはもう1列あります。必ず書くかどうかは、電子申請の画面で確認してください。

Q3.取得する資産がない場合、5-1には何を書きますか。

A3.要領と記入例では、「取得する資産がある場合」の書き方が示されています。ない場合の扱いは資料で確認できないため、画面の指示を確認し、迷う場合は事務局に確認します。

Q4.広報費やウェブサイト関連費だけで申請できますか。

A4.できません。必ずほかの経費と一緒に申請します。補助金交付申請額の上限は、どちらも30万円です(公募要領13・14ページ)。

Q5.賃金引上げ特例の要件を達成できなかったらどうなりますか。

A5.補助金が交付されません。要件を1つでも満たさない場合は、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付対象外です(公募要領10ページ)。

Q6.賃金引上げ特例と賃金引上げ加点は、何が違いますか。

A6.特例は年平均3.0%以上、加点は年平均2.0%以上の給与支給総額の増加が要件です。特例を希望すると、賃金引上げ加点が自動的に選択されます(公募要領9・10・35ページ)。

出典と注意

この記事は、小規模事業者持続化補助金の事務局の公表資料(取得日 2026年11月5日)にもとづきます。制度の内容は変わることがあるため、申請の前に最新の公募要領を確認してください。

  • 小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)第20回 公募要領(第9版)
  • 第20回 申請システム操作手引き(商工会議所地区)
  • 第20回 様式2(経営計画・補助事業計画)記入例
  • 第19回 公募要領(第5版)・申請システム操作手引き

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