会社設立の前に決める5つのこと

【起業する社長向け】会社設立の前に決める5つのこと|費用の考え方と準備の順番

会社設立と検索すると、手続きの話がたくさん出てきます。ところが、設立したあとにお金で苦しくなる社長の多くは、手続きではなく、手続きに入る前の決めごとと準備の順番があいまいなまま進めています。

先に押さえておきたいのは、資本金に「いくらが正解」という額はなく、事業に必要な資金と信用から自分で決めるものだという点です。設立の費用も、手続きの費用だけでは足りません。

本記事では、設立の前に決める5つのこと、資本金の考え方、費用の3つの見方、設立までの大まかな流れ、設立後すぐにやること、よくある失敗を整理します。解説動画の内容に沿った個別解説で、例は架空の社長です。登記書類の書き方、定款の作成、税務、社会保険の手続きは扱いません。

設立の前に決める5つのこと

設立の前に決めておきたいのは、次の5つです。会社の形は別の記事で詳しく扱っていますので、ここでは名前を挙げるにとどめ、どの形を選んでも共通する準備を中心にお話しします。

決めること 考えどころ
1.事業の中身と目的 誰に何を売るか、最初にいくら出ていくか
2.会社の形 株式会社か合同会社か(別の記事で解説)
3.資本金 必要な資金と信用から考える
4.役員と出資者 誰が出資し、誰が何を決めるか
5.決算期と本店 お金の動きと、登記に載る住所

1つ目の事業の中身と目的は、誰に、何を売るのか、最初にいくらお金が出ていくのか、何年後にどうなっていたいのかです。ここが決まっていないと、残りの4つも決まりません。会社をつくる前に、いちばん時間をかけるべきなのはここです。

2つ目の会社の形については、株式会社と合同会社の違いの記事で詳しく整理しています。

📊 このセクションの要点

設立の前に決めるのは、事業の中身、会社の形、資本金、役員と出資者、決算期と本店の5つです。事業の中身が決まらないと、ほかの4つも決まりません。

資本金に正解の額はない|考える4つの見方

「資本金はいくらにすればいいですか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、いくらが正解という額はありません。中小機構のJ-Net21でも、会社法の改正で資本金の下限がなくなったと説明されています。事業に必要な資金と、信用の見られ方から、自分で決めるものです。

見方 考えること 具体例
最初の運転資金 売上が入る前に出ていくお金 家賃、仕入れ、人件費など
立ち上げの費用 最初にまとまって必要なお金 設備、内装、システムなど
融資での見られ方 自己資金と事業計画の中身 資本金の額だけでは決まらない
取引先からの見え方 会社の体力の目安として見られることがある 取引先や業種によって見方は違う

融資の相談では、自己資金と事業計画の中身が見られます。資本金の額だけで融資や取引が決まるわけではありません。また、業種によっては、許認可の要件として資本金などの条件が決まっている場合があります。条件は変わりますので、融資のことは日本政策金融公庫など、最新の公式ページで確認してください。

架空の例|社長のD社の最初の数か月

社長のD社(架空)は、設立のとき、資本金をできるだけ絞ってスタートしました。

時期 出ていくお金 入ってくるお金
1か月目 家賃、仕入れの支払い まだ少ない
2か月目 外注費、人件費 まだ少ない
3か月目 引き続き支払いが続く 売上の入金がようやく始まる程度

事業は順調なのに、手元のお金が足りなくなる。これは、資本金を設立にかかるお金だけで考えてしまったことが原因です。支払いが先で入金があとという流れを前提に、必要な資金を見積もるのが基本です。

資金の見積もりには、必要な資金を設備資金と運転資金に分け、調達方法を自己資金と借入などに分ける考え方が役に立ちます。日本政策金融公庫の創業計画書のセルフチェックでも、この整理が紹介されています。

📊 このセクションの要点

資本金は、最初の運転資金、立ち上げの費用、融資での見られ方、取引先からの見え方の4つの見方から考えます。支払いが先、入金があとを前提に見積もることが基本です。

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役員と出資者、決算期と本店の決め方

4つ目の役員と出資者は、誰がいくら出資するのか、誰が役員として経営を担うのか、誰が何を決めるのかという役割と責任の話です。出資の割合は、意思決定のしやすさに関わることがあります。ひとりで設立するならシンプルですが、友人や仲間と共同で設立するなら、もめたときの決め方まで先に話し合って、文章にしておくことが大切です。具体的な決め方は、専門家に確認してください。

5つ目の決算期は、会社の1年の区切りです。忙しい時期やお金の動きが大きい時期を考えて決めます。税金への影響は会社ごとに違いますので、税理士に確認してください。本店は、登記に載る住所です。自宅にするか事務所を借りるかは、賃貸の契約やご家族の事情もあわせて確認します。どちらもあとから変えることはできますが、手続きが必要になりますので、最初によく考えておきましょう。

設立の費用は3つに分けて見る

会社設立の費用というと、手続きの費用だけを思い浮かべがちです。経営者として見るなら、次の3つに分けて考えます。この3分類は、公的な費用や専門家への委託料、運転資金といった費用の種類を、経営者向けに当社で整理したものです。

区分 中身 確認先
公的な手続きの費用 定款や登記などの公的な手続きにかかる費用 法務省・法務局の公式ページで最新を確認
専門家に頼む場合の費用 頼む範囲によって変わる 依頼する前に見積もりを聞く
設立後の運転資金 事業が続く限り必要になるお金 自社の資金計画から考える

金額は変わることがありますので、この記事では数字を挙げません。ネットの古い情報ではなく、必ず公式ページで最新の内容を確認してください。

注意したいのは、3つを別々に見ることです。手続きの費用だけで判断しないでください。設立の費用は1回きりですが、運転資金は事業が続く限り必要になります。設立後のお金が事業を支える土台です。

📊 このセクションの要点

費用は、公的な手続き、専門家に頼む場合、設立後の運転資金の3つに分けて見ます。金額は公式ページと見積もりで確認し、運転資金を土台に考えます。

設立までの大まかな流れと、設立後すぐにやること

あくまで一般的な流れです。手順の細かいところは、法務省や法務局の公式ページと専門家に確認してください。

順番 内容 確認先
1.決める 事業、資本金、役員などを固める 本記事の5つ
2.定款 会社の基本ルールを書いた書類を準備する 専門家に確認
3.出資 出資金を払い込む 公式ページと専門家に確認
4.登記 法務局に設立の登記をする 法務局の公式ページ
5.成立 登記の完了で会社が成立する 法務省の公式ページ

会社をつくることはゴールではありません。設立後すぐにやることは4つあります。

1つ目は事業用の口座です。事業のお金と自分のお金を分けて管理します。2つ目は資金計画で、最初の数か月の入金と支払いを見積もっておきます。書き出し方は資金繰り表の記事で解説しています。3つ目は融資や補助金の相談で、使える制度を早めに整理しておくと選べる道が広がります。融資の流れは創業融資の流れの記事をご覧ください。4つ目は税金や社会保険の手続きで、顧問の税理士や社会保険労務士に確認してください。

📊 このセクションの要点

設立の流れは、決める、定款、出資、登記、成立の順です。設立後は、口座、資金計画、融資や補助金の相談を進め、税務と社会保険は専門家に確認します。

よくある失敗と、最初の一歩

よくある失敗 起きること
資本金が少なすぎる 運転資金が足りなくなる
設立の費用だけを見ている 設立後の資金繰りを考えていない
口座づくりと資金計画が後回し 数字が見えないまま進む
決めごとが固まらないまま急ぐ あとから見直す手間が増える

どれも、設立の前の準備で防げることばかりです。中小企業診断士として創業の相談を受けて感じるのは、設立の前に最初の数か月の支払いを書き出している社長は、そのあとの判断がぶれにくいということです。難しい計算はいりません。まずは、家賃、仕入れ、人件費、外注費など、最初の数か月に出ていくお金を、紙に書き出してみてください。

事業計画書にまとめる段階では、事業計画書の書き方の記事も参考になります。個人事業から会社に切り替えるかどうかで迷っている場合は、法人成りの判断軸の記事をご覧ください。

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まとめ|会社設立の前に押さえる4つのポイント

ポイント 内容
1.設立の前に決める5つ 事業の中身、会社の形、資本金、役員と出資者、決算期と本店
2.資本金は必要な資金から 正解の額はなく、必要な資金と信用から考える
3.費用は3つに分ける 公的な手続き、専門家に頼む場合、設立後の運転資金
4.設立後が本番 口座、資金計画、融資や補助金の相談を進める

登記、定款、税金、社会保険は、それぞれの専門家に確認してください。制度の整理でお悩みの場合は、事前相談をご利用ください。

関連記事

参考:法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」「合同会社の設立手続について」、法務局「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」、中小機構 J-Net21「株式会社の設立手続き」「株式会社の設立費用」、日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」「資金調達の準備をしよう」。

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