【経営者向け】キャッシュフローとは|利益が出ているのに現金が減る理由と、銀行が見る点・資金繰り表との違い

【経営者向け】キャッシュフローとは|利益が出ているのに現金が減る理由と、銀行が見る点・資金繰り表との違い

決算は黒字なのに、通帳の残高は減っている。そんな経験をした経営者の方は少なくありません。利益と現金は別のものです。現金の動きを読むための考え方が、キャッシュフローです。

キャッシュフローは、一定の期間に現金がいくら入り、いくら出ていったかを見るものです。会社のお金は、営業・投資・財務の3つの流れに分けて見ます。この分け方を知っておくと、現金が減った理由と、銀行に説明すべき点が見えてきます。

本記事では、3つの流れ、利益が出ているのに現金が減る4つの原因、資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い、銀行が見る点の一般的な考え方、自社で今日から見る3つの数字を整理します。解説動画の内容に沿った個別解説です。数字はすべて架空のB社の例で、税務の個別の判断には触れていません。

会社のお金は「営業・投資・財務」の3つの流れで動く

中小機構のJ-Net21では、キャッシュフロー計算書は、一定期間の現金の流れを把握し、増減の原因を表す資料と説明されています。現金の流れは、営業活動、投資活動、財務活動の3つの区分で整理されます。

流れ 中身 社長が見る点
営業のお金 商品やサービスを売って入るお金と、仕入れ・給与・家賃などで出るお金 本業でお金が増えているか
投資のお金 機械、車両、店舗の工事など、将来のために使うお金 何にいくら使ったか
財務のお金 銀行からの借入と、その返済などの出入り 足りない分を借入で埋めていないか

利益は計算上の数字ですが、キャッシュフローは実際に動いた現金の数字です。給与も仕入れの支払いも返済も、支払うのは利益ではなく現金です。この違いが、黒字でも資金が苦しくなる理由の出発点になります。

3つの流れの組み合わせで会社の状況が見える

営業がプラスで、投資と財務がマイナスなら、本業で稼いだ現金で投資と返済をしている形です。営業がマイナスで財務がプラスなら、本業で足りない分を借入で穴埋めしている形です。J-Net21の起業マニュアルでも、営業のお金の流れが慢性的にマイナスだと事業の継続が難しくなると説明されています。ただしこれは読み方の一例で、設備投資が重なる時期など、事情によって見え方は変わります。

📊 このセクションの要点

会社のお金は、営業・投資・財務の3つの流れで動きます。利益は計算上の数字、キャッシュフローは実際に動いた現金の数字です。まず営業のお金がプラスかどうかを見ます。

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利益が出ているのに現金が減る4つの原因

黒字なのに現金が減る原因は、ほとんどの場合、利益には出ない現金の動きで説明がつきます。中小機構のJ-Net21でも、黒字倒産の背景には、売掛金や在庫、仕入や人件費、返済のための資金不足があると説明されています。

原因 何が起きるか ひとこと
売掛金が増えた 売れたが、入金は後になる 売上が伸びるときほど増えやすい
在庫が増えた 仕入れに使った現金が、倉庫で眠る 売れ残りの在庫は現金に戻らない
設備を買った 支払いは先で、回収は使い続けた先になる 投資のお金として別に見る
借入の元本を返した 返済は利益に出ないが、現金は確実に出る 財務のお金として別に見る

架空の例|社長のB社の1年間

B社は、1年間の利益が300万円の黒字です。ところが、売掛金が200万円、在庫が150万円増えたため、営業のお金の流れはマイナス50万円になりました。さらに機械の購入で400万円が出ています。一方で、銀行から600万円を借り入れ、250万円を返済しました。

お金の流れ(万円) 金額 中身
営業 ▲50 利益300から、売掛金と在庫の増加▲350を調整した結果
投資 ▲400 機械を購入した
財務 +350 借入600、返済250
現金の増減 ▲100 期首500が、期末400になった

利益は300万円でも、現金は100万円減りました。しかも新しい借入が600万円あったからこの減少で済んでおり、借入がなければ現金は700万円足りなくなっていた計算です。利益は事業の結果を見る数字、現金は会社を動かし続けるための命綱です。

POINT

利益と現金の差が大きいときは、まず売掛金と在庫が増えていないかを疑います。売上が伸びているときほど、この2つに現金が吸い込まれます。

📊 このセクションの要点

現金が減る原因は、売掛金の増加、在庫の増加、設備の購入、借入の元本の返済の4つです。利益が出ていても、現金が尽きれば事業は止まります。

資金繰り表は「これからの見込み」、キャッシュフロー計算書は「これまでの結果」

どちらもお金の流れを見る表で、よく混同されます。いちばん大きな違いは時間です。J-Net21では、キャッシュフロー計算書は過去の結果、資金繰り表は将来の見込みを見る表として整理されています。資金繰り表には決まった書式はなく、予定と実績を比べて使います。

比べる点 資金繰り表 キャッシュフロー計算書
見る時間 これからの見込み これまでの結果
更新の頻度 毎月など、こまめに 一定期間ごと(例:1年間)
わかること 現金が足りなくなる月 お金の出どころと使い道
使う場面 資金の備え、銀行への説明 振り返りと原因の確認

なお、中小企業では、キャッシュフロー計算書を必ず作るとは限りません。求められない場合もあります。ただ、お金の流れの考え方は、作成の有無にかかわらず、どの会社の経営にも役に立ちます。

見込みと結果を行き来させる

来月や半年後に資金が足りるかを知りたいときは、資金繰り表で先を見ます。この1年のお金がどこから入って何に使われたかを知りたいときは、結果の側で振り返ります。そして結果を見て、次の資金繰り表の見込みを直します。見込みと結果を行き来させるほど、見込みの精度は上がります。資金繰り表そのものの作り方は、別の記事で整理しています。

📊 このセクションの要点

資金繰り表は先を見る表、キャッシュフロー計算書は振り返る表です。使い分けて行き来させると、資金の見通しが立てやすくなります。

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銀行が見る点(一般論)|返済は営業のお金の範囲に収まっているか

銀行の見方は、金融機関や案件によって異なります。ここでは、J-Net21が示す考え方を土台にした一般論として整理します。J-Net21では、借入金の返済額は、営業活動による現金の増加の範囲内に収まっていることが望ましいと説明されています。

見られやすい点 確認の中身
本業で現金を生んでいるか 営業のお金の流れがプラスか
返済に回せる余裕があるか 返済の原資になる現金がどれだけあるか
お金の使い道は明確か 投資の中身と目的がはっきりしているか
借入に頼りすぎていないか 営業のお金が足りず、借入で穴埋めを続けていないか

架空の例|B社の翌年の返済の余裕

B社は、機械の効果が出て、翌年の営業のお金の流れが400万円のプラスになったとします。借入の元本の返済は250万円です。返済をしても150万円が手元に残るので、返済に余裕があると説明しやすくなります。逆に、営業のお金が返済額を下回っていれば、その差を何で埋めるのかを聞かれることになります。

補足

この例は、考え方の一例です。実際の融資の判断を示すものではありません。個別の判断は、金融機関や専門家にご確認ください。

📊 このセクションの要点

銀行は、本業で現金を生んでいるか、返済に回せる余裕があるかを見ます。返済額と営業のお金を並べて説明できるようにしておくと安心です。

自社で今日から見る3つの数字

難しい計算は必要ありません。自社の通帳と毎月の試算表があれば、次の3つは確認できます。

数字 見方
月末の現金残高 毎月の支払いの何か月分にあたるかを見る
利益と現金の増減の差 差が大きいときは、売掛金や在庫が増えていないかを疑う
返済額と営業で増えた現金 返済を営業のお金が上回っているかを確認する

次の一歩は、まず今月の3つの数字を書き出すことです。次に資金繰り表を作って先の見込みを置き、銀行に出す数字は、見込みと結果をそろえて整理しておきます。

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利益と一緒に、現金の流れを見る社長は強い

中小企業診断士として経営者と話していて感じるのは、利益と一緒に現金の流れも見ている社長は、資金の悩みで慌てることが少ないということです。まずは今月の3つの数字から始めてみてください。

ポイント 内容
1.3つの流れで見る 営業・投資・財務のお金の流れ
2.利益と現金は別 売掛金・在庫・設備・返済で現金は減る
3.見込みと結果を使い分ける 資金繰り表は先を、計算書は振り返りを見る
4.返済の余裕を説明する 営業のお金と返済額を並べる
5.毎月3つの数字を見る 現金残高・利益との差・返済との比較

関連記事

参考:中小機構 J-Net21「キャッシュフロー計算書の見方と活用方法」「資金繰り表を活用する」「黒字倒産とはどのようなものでしょうか?」、同 起業マニュアル「キャッシュフロー経営の基本」。

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