【社長向け】自己資本比率と流動比率|銀行に聞かれる数字を自社で確認する

【社長向け】自己資本比率と流動比率|銀行に聞かれる数字を自社で確認する

銀行の融資の面談で、「自己資本比率はどのくらいですか」「流動比率は」と聞かれて、答えに詰まった経験はないでしょうか。この2つの数字は、決算書の貸借対照表から、割り算だけで自分で出せます。

自己資本比率は会社の体力、流動比率は短期の支払い余力を見る数字です。体力は長い目、余力は目先の話です。不況が来ても大丈夫か、来月の支払いは大丈夫か、という経営者の2つの不安に、それぞれ答えてくれます。

本記事では、2つの数字の意味、架空の会社での計算の仕方、業種で違う目安の考え方、数字が低いとき・高いときの打つ手、銀行が聞く理由を整理します。解説動画の内容に沿った個別解説です。数字はすべて架空の例で、補助金の個別の条件や税金の計算には触れていません。

自己資本比率は「体力」、流動比率は「支払い余力」

自己資本比率は、会社が使っているお金のうち、返さなくてよいお金がどれだけあるかの割合です。中小機構のJ-Net21では、調達した資金全体に占める返済不要な資金の割合と説明されており、高いほど長期的な財務面の安全性が高いとされています。返さなくてよいお金が厚いほど、赤字が続いても耐えやすくなります。

流動比率は、1年以内に現金になるもの(流動資産)で、1年以内に払うお金(流動負債)をまかなえるかを見る数字です。J-Net21では、近い将来に現金化される資産が、支払うべき負債に対してどの程度あるかを示すものと説明されており、高いほど短期的な安全性が高いとされています。

数字 何を見るか 計算式 見る場所
自己資本比率 会社の体力(長い目) 自己資本÷総資本×100 貸借対照表
流動比率 短期の支払い余力(目先) 流動資産÷流動負債×100 貸借対照表

補足

総資本は、貸借対照表の資産の合計(総資産)と同じ金額です。自己資本は、細かい違いはありますが、まずはざっくり純資産で見て問題ありません。

📊 このセクションの要点

自己資本比率は長い目の体力、流動比率は目先の支払い余力です。どちらも貸借対照表の数字を使った割り算で、社長が自社で確認できます。

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架空のA社で計算してみる|拾うのは貸借対照表の4か所だけ

計算に使うのは、貸借対照表の4か所です。資産の部の合計(総資産)、純資産の部の合計(純資産)、流動資産の合計、流動負債の合計です。決算書が手元にあれば、5分で計算できます。

項目(架空のA社) 金額 計算
総資産 8,000万円 ―
純資産 2,000万円 ―
自己資本比率 25% 2,000万円÷8,000万円
流動資産/流動負債 3,000万円/2,000万円 ―
流動比率 150% 3,000万円÷2,000万円

A社の自己資本比率は25%です。会社の持ち物の4分の1が返さなくてよいお金で、残りの4分の3はいずれ返すお金、という意味です。流動比率は150%で、1年以内に払うお金の1.5倍の備えがある、という見方になります。

流動比率について、J-Net21では、100%を下回ると、支払いに固定負債や自己資本が充てられている状態になり、安全性が懸念されると説明されています。100%が1つの分かれ目になります。ただし、これは一般的な考え方の1つです。

架空のB社と比べると

項目 A社 B社
純資産 2,000万円 400万円
総資産 8,000万円 5,000万円
自己資本比率 25% 8%
流動比率 150% 90%

B社は、自己資本比率が8%、流動比率が90%です。赤字が続いたときに耐える体力が小さく、目先の支払いを短期の借入で回している可能性もあります。ただし、この2つの数字だけで悪い会社と決めつけることはできません。業種によって、普通の水準が違うからです。

📊 このセクションの要点

自己資本比率は純資産÷総資産、流動比率は流動資産÷流動負債です。A社は25%と150%、B社は8%と90%という架空の例で、同じ割り算でも体力と余力に差が出ます。

目安は業種で大きく違う|同じ業種の数字と比べる

何%あれば安心、という数字は、業種によって大きく違います。設備や在庫を多く持つ業種と、そうでない業種では、普通の水準がまったく異なるためです。自社の数字を1つの基準だけで高い低いと決めつけず、同業と比べることが重要です。

順番 やること ポイント
1 自社の数字を出す 自己資本比率と流動比率の2つの割り算
2 同業の数字を探す 日本政策金融公庫が公表している業種別の経営指標を使う
3 差を見る 高いか低いか、どのくらい違うか
4 数年の動きを見る 良くなっているか、悪くなっているか

日本政策金融公庫は、国民生活事業で融資した小企業の決算をもとに、業種別の経営指標を公表しています。自社に近い業種の数字と見比べてください。1年だけでなく数年の推移で見ると、銀行への説明もしやすくなります。

📊 このセクションの要点

目安は業種で違います。同業の経営指標と比べ、数年の動きまで見ると、自社の数字の位置づけが分かります。

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数字が低いとき・高いときの打つ手

まず低いときです。J-Net21では、次のような改善策が説明されています。そのほか、売掛金の回収を早める、在庫を見直すといった、現金を増やす手も一般的です。

低い数字 打つ手
自己資本比率 利益を会社に残していく。余裕があれば増資で自己資本を増やす。事業の拡大が見込めないなら、投資を抑えて固定資産を圧縮し、借入金の返済を進める
流動比率 短期の借入金を長期の借入金に借り換え、1年以内に払うお金を減らす。売掛金の回収を早め、在庫を見直す

補足

借り換えは金融機関との相談が前提です。早めに話しておくと安心です。

高いときも、中身を見る

数字が高ければ安心とも限りません。自己資本比率が高いのは体力がある証拠ですが、必要な投資をせずにお金が眠っていないかも考えます。流動比率が高いときは、中身を見ます。現預金が多いのか、回収が遅れている売掛金や売れ残りの在庫が多いのかで、意味がまったく違います。

補助金は後払いなので、流動比率が一時的に下がることがある

補助金を使って投資をする場合、補助金は採択されるとは限らず、お金が入るのは基本的に後払いです。先に払う分をつなぎの短期借入で賄うと、流動比率が一時的に下がることがあります。補助金の条件は、必ず公募要領で確認してください。数字が下がる理由を、銀行に説明できるようにしておくと安心です。

📊 このセクションの要点

低いときは、利益を残す、投資を抑えて返済する、短期借入を長期に借り換えるなどの打つ手があります。高いときも、現預金か売掛金・在庫かという中身を見ます。

銀行が聞く理由と、面談の前にやること

融資は、貸したお金を返してもらう約束です。だから銀行は、まず返せる会社かを見ます。自己資本比率は赤字や不況のときに耐える体力があるか、流動比率は1年以内の支払いをまかなえる余力があるかを見る数字です。

もちろん、利益やお金の流れなども併せて見られるため、1つの数字だけで融資の可否が決まるわけではありません。低い数字でも、理由と、これからどう改善するかを自分の言葉で説明できると、話は違ってきます。固定長期適合率のように、長く使う資産を返済までの期間が長い資金でまかなえているかを見る指標もありますが、まずはこの2つを押さえておくと十分です。

面談の前にやること 内容
1.4つの数字を拾う 貸借対照表から総資産・純資産・流動資産・流動負債を拾う
2.2つの割り算をする 自己資本比率と流動比率を出す
3.同業と数年の動きを比べる 業種別の経営指標と、自社の推移を見る
4.理由と対策を整理する 低いなら、理由と対策を一言で説明できるようにする

あわせて、1年先までの資金繰り表を作っておくと、短期の支払い余力が目で見えるようになります。完璧でなくて構いません。まずはざっくり出してみてください。

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まず決算書から4つの数字を拾ってみる

中小企業診断士として経営者と話していて感じるのは、自社の2つの数字をあらかじめ知っている社長は、銀行との面談で落ち着いて話せるということです。次の一歩は、決算書から4つの数字を拾って計算することです。

ポイント 内容
1.体力と余力を分けて見る 自己資本比率は長い目、流動比率は目先
2.割り算で自社の数字を出す 貸借対照表の4か所を拾うだけ
3.同業と比べる 目安は業種で大きく違う
4.低くても高くても中身を見る 打つ手と、数字の裏にある内訳を確認する
5.理由を説明できるようにする 数字1つで融資は決まらない。理由と改善の計画が大切

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参考:中小機構 J-Net21「貸借対照表の見方と活用について教えてください。」、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」。

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